● ボリューム(半固定抵抗)

直熱管のハムバラにも使用します。ハムバラについては後の章で説明します。
ほとんど100Ω 2Wです。
ボリュームにはA型とB型があり,音量調整に使うのはA型ですが,なかなか入手困難です。B型でも差し支えありません。なお,ハムバラに使うのはB型です。ハムバラとは直熱管からハムが発生しないように調整するためものです。100Ωのボリュームを使います。

● ボリューム用つまみ

さまざまな種類がでていますので,好みのものを使ってください。取り付けネジは小さいので,工具として小型のドライバーが必要になるかもしれません。

● 整流用のダイオードブリッジ

直熱管のヒーターを直流で点火(直流点火)する場合に必要です。
電解コンデンサーと組み合わせて,交流(AC)の電気を直流(DC)に変換します。

● 入力端子

イコライザーアンプ,プリメインアンプの場合は,レコードプレーヤーからの線をパワーアンプの場合はイコライザーアンプからの線をつなぎます。
私の経験では,入力端子はアンプの性能,雑音の多さなどに大きな影響を与えると思います。ぜひ,ON(オン)製のものを使用してください。
配線のときにトラブルも少なく,なによりも取付時,配線時のトラブルがありません。

● 出力端子

スピーカーケーブルをつなぐためのものです。
赤色と黒色のものがひとつづつ必要です。
赤がプラス,黒がマイナスです。
パワーアンプの出力端子は,スピーカー端子になっています。
さまざまな種類があるので,気に入った物をお使いください。なお,サイズ大きな物の方が配線などしやすいようです。

● スイッチ

電源のオン・オフに使用しますが,整流管に水銀入り整流管(83など)を用いる場合は,2個必要です。 スイッチを見ると,250Vと書かれていますが,1000Vでも十分使用できます。
2回路同時にオン/オフするタイプもあります。つなぐときは図4-1のようにします。

● ヒューズ

ほとんどのアンプは3A(アンペア)のものを使用します。

● ヒューズボックス

佐久間さんは,たいてい電源スイッチのそばに,外から見えるタイプのものを取り付けています。

回路図に記載されないパーツ

先に説明したボリュームのつまみやヒューズボックスは等は,回路図に記入されていません。ですので,回路図に記入した部品のほかに,実際のアンプ製作には,次のような部品も購入する必要があります。

● シャーシ

ほとんどの佐久間アンプは奥澤製のアルミ製シャーシを利用しています。
奥澤は東京の秋葉原のシャーシ専門の会社です。特注のシャーシやシャーシ加工も行っています。
www.case-okuzawa.co.jp/) さて,奥澤(オクザワ)製の型番「01」シャーシは大きさ,加工のしやすさともちょうど良いので,これを使用してください。
大きさは幅500ミリ,奥行き300ミリ,高さ70ミリです。厚さは2ミリです。
アンプはコンパクトにまとめたほうが格好が良いと思う人がいるかもしれませんが,雑音などを減らすためにも,シャーシは大きい方がよいのです。また,ほとんどの佐久間アンプは,「01(ゼロ1)シャーシ」でないと,大きさも,強度的にもパーツが乗りません。
もっと大きなシャーシが必要な場合は,奥澤に特注の相談をしてみてください。 特注をする場合は,厚さに気を付けてください。アルミでも厚さ3ミリより厚くなると,穴あけなどがたいへんになります。 厚さは2ミリくらいにしておいて,内部に補強を入れるほうがよいでしょう。

● 三角板

シャーシには下にゴム製の足をつけます。放熱の関係もあるので,シャーシをそのまま置くのはさけてください。
ゴム製の足を直接01シャーシにつけるには無理があるので,シャーシの補強もかねて四隅に三角形のアルミ板を取り付けます。この三角板は自作も可能ですが,サン・オーディオにて販売しているものの購入をお勧めします。
また,オクザワでは,特注シャーシのほかに,三角板も特注してくれます。

● 足

ゴム製,硬質プラスチック製などがあります。

● コンセントプラグ

オーディオ用の高価な物もありますが,ホームセンターなどでも売られているごく普通の物を使用します。

● 配線用のコード

ホームセンターなどでも売られている,ごく普通の電源コードを使います。
家庭用の電気製品に付いている電源コードと同じ物です。
太さは,「1.25(芯線)」です。
1台つくるのに,10メートルあれば大丈夫です。スピーカーケーブルにも使用します。

● アース母線

アース母線という線が市販されているわけではありません。太い線をアース母線として使用します。
以前は2〜3ミリくらいの,銅線または銀メッキ線を使っていましたが,最近では,洗濯機やエアコンのアースに使うものや,屋内配線用の線などを使用しています。
2メートルあれば十分です。

● ラグ板

パーツの取り付けに用います。取り付ける端子の数で3P,4Pなどの種類があります。
たいていは,3P,イコライザー素子の場合は,5Pや6Pを使います。
構造も頑丈な物がありますが,一番簡単な(安価な)もので結構です。
シャーシに取り付ける足の部分の,1本のもの2本のものなどあります。
足が1本で,端子が3本のものは「1L3P」と呼びます。
ラグ板は配線をしている途中で必要なことがわかることも多いので,余分に買っておきましょう。

● ゴムブッシュ

シャーシの電源コードを通す穴にはめ込みます。材質はゴムやプラスチックなどがあります。

● ビス,ワッシャ,ナット,スプリングワッシャ,鬼目ナットなど

ビス,ワッシャ,ナットは,アルミ製,ステンレス製のどちらを使用しても問題ありません。なお,アルミ製のものは,時とともに酸化して白濁していきますが,ステンレス製の方は丈夫でさびません。
ビスは「ナベネジ」太さは3ミリ(M3)と4ミリ(M4)の2種類あればOKです。
電源部のオイルコンデンサー,ラグ板や三角板をシャーシ取り付ける場合は3ミリを,ホーロー抵抗を取り付ける場合は4ミリを使用します。
それぞれ長さは12ミリから15ミリくらいの物が使いやすいでしょう。
整流用ダイオードを付けるときは,3ミリか4ミリの物で,長さ30ミリくらいのものが便利です。
本数は,801Aのプリアンプの場合,各ソケットの取り付けに2本必要なので,ソケット用に8本。電源用オイルコンデンサーの取り付けに,合計6本。ラグ板は,配線中に取り付けることも多いので,配線作業をおこなわないとわからないことも多いのですが,3本程度。シャーシの三角板をつけるのに各4本,合計16本。合計で40本弱必要です。
ホームセンターでは,数本入ったものしかしか売られていませんが,秋葉原や大阪の日本橋などでは,小さなビニール袋にたくさん入ったものが安価で売られています。通販等でも購入できるかもしれません。
また,三角板をつける場合は,タッピングネジを使用すると,ナットが不要になるので,作業効率がとてもアップします。

パーツ,とくに小物は様々なものが発売されていますので,他にも便利な物があると思いますので,積極的に利用するのもよいと思います。しかし,もう一度言いますが,トランスや,抵抗,コンデンサーは,音色を決めるパーツですので,指定の物を使ってください。

以前,使用していたが現在は使用されないパーツ

● パイロットランプ

以前発表された物には,パイロットランプ(電源を入れると点灯する)が付いている物がありますが,無くてもいっこうに差し支えはありません。

● シールド線

シールド線は信号に雑音が乗らないように工夫された線です。
昔のアンプでは,イコライザーアンプの入力部分や,グリッドの線が長くなる時に使用していましたが,トランスと真空管の距離が5センチくらいなら,普通のコードで十分です。
現在は,シールド線を使用した配線箇所はありません。


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