ぱぱげりおんIFのif・第壱拾六話

アスカとレイの子育て日記・その1

EPISODE:01 Angel Coming


〜 ユイカ、誕生 〜


平成14年4月8日校了



 特に何か大きなことがあるワケもなく、平穏な日々。
変ったことと言えば、それまで支配していた国連に掌を返されたせいで、ここ半年ほどの間に12人のゼーレメンバー全てが、ある者は軍や警察に逮捕され、ある者は抵抗の後に射殺され、ある者は自ら死を選び、リーダーを失った組織そのものが、とうとう消え去ってしまったということだけだった。
ただ、その残党がどこかで生き残っている可能性は否定できないとされ、常に不穏な噂だけは流れ続けていた。
「最後の戦い」は世界中の人々に、特にその主な舞台となった日本に、わけてもその中心地だった第三新東京市に大きな爪痕を残した。
しかし時と共にその痕跡は消え続け、直接の関係者を除けば、人々の記憶からも消えようとしている。
街そのものが消滅するほどの被害を受けた第三新東京市だったが、その中心部に大きな口を開けていたクレーターも綺麗に塞がれ、地上には新たにNERV用の施設が建設されている。
市街地の、溶け、崩れ、堆積した瓦礫の排除も進み、元の第三新東京市周辺部の開発と合わせて、いつもどこかで建設業者が働いている。
しかし、今日の第三新東京市は違った。

「はぁあ・・・、ヒマねぇ・・・」
「たまにはいいわ」

そろそろかなり大きくなったお腹を抱えて、床にぺたんと座り込んだアスカが窓の外を見やって呟く。
ソファーに座って読んでいた本から目をあげたレイは、静かに呟くように答えた。

「急にポンとオフなんてもらったって、退屈なだけよ」
「そう?」


 ここ数日続いていた好天のせいで、マスコミは連日水不足を憂いていた。
しかしまるで、そんな人間共の心配をあざ笑うかのように、台風が来たのかと思うような豪雨。
久々の天恵に、時折吹く風に頭を揺らしながらも、嬉しげに全身いっぱいにシャワーを浴びる稲の青々とした輝き。
雲間に光る閃光が地上目指して駆け降り、周囲の空気を震わせて轟く重低音。
こんな環境下にまで働く酔狂者は、働けば働いただけ稼げることを保証された建設業者にも、突然の休日を与えていた。
そしてここ数ヶ月、ほとんど休日返上で研究室に篭っていたアスカにも、

「たまには休みなさい」
「今いいとこなのよ、リツコ。
 やっと調子が出て来たんだから」
「総務から苦情が来ているのよ、休暇が溜まってるから何とかしてくれって」
「どうしても消化しなきゃいけないの?」
「今はNERVも一般企業と変わらないわ。
 労働時間についてはかなりうるさいのよ・・・」
「しゃぁないわね・・・」

そんなやり取りの末、3日間の休暇が与えられてしまったのだ。


「そりゃまぁ、アンタは普段から何もしてないんだからいいわよ・・・。
 アタシは毎日毎日朝から晩まで働いてるのよ。
 急に休みもらっても、何すればいいか解んないわよ」
「何もしなければいいわ。
 今のあなたには、休養が必要よ」

アスカが正式にNERV職員としてリツコの下でサルベージ技術の再構築に向けて働きだして既に半年。
MAGIの全てのファイルはもとより、初号機や弐号機のデータバンク、技術部の倉庫に埋もれていたデータディスクや書類の山、全職員の私的な日記やメモ書きに至るまで、ありとあらゆる物が集められ、調べられていく。
僅かでも関係すると思われるものは全てピックアップされ、片端からデータとして取り込まれ、データベースに蓄積された。
キーワード別に分類され、フィルターが掛けられ、洗練した情報として取り出された物はしかし、その膨大な努力の結実というにはあまりにも寂しく小さな物でしかなかった。
結局は、ATフィールドと人の形、人とエヴァとの関りなど、2003年以降人工進化研究所で繰り返された研究をもう一度なぞるのが、技術部職員の主立った仕事となってしまっていた。


 それに対してレイは、単に普通の15歳の少女として扱われ、今のところは再開成った第壱中学校に通っていた。
とはいえその存在自体は、NERV技術部職員にとってはサルベージ技術のためのかっこうのサンプルであり、ある意味囲い込みとでも言おうかNERV職員という肩書きを与えられ、3〜4日に一回程度は「出勤」することを求められてもいた。
しかし一部心無い者達には「アスカの付録」としか見られていないこともあり、その立場は恐ろしく不安定であり、もし「碇総司令の娘」という事実(?)が無ければ、よりドライに「実験動物」扱いされていただろうことは想像に難くない。
技術部内にいてそれを肌で感じていたアスカは、だからこそ躍起になって「レイ補完計画」と密かに名付けたプランに従って、感情の表し方を教え、普通の女の子としての動作を教え、会話を始めとする人付き合いを教えていた。

「挨拶は基本よ。
 朝はおはよう、昼はこんにちは、夜はこんばんは、寝る時はお休み。
 なるたけ笑顔でやるのよ」
「笑顔・・・?
 判らないわ」
「こうするのよ」

アスカはにこっとしてみせた。
レイもそれを真似する。
その笑顔に、アスカはどきっとした。

「どうしたの、アスカ?
 顔が赤いわ・・・。
 どこか具合が悪いの?」
「え、あ、あ、いえ、何でもないわ」

鋭いツッコミに慌てるアスカ。

「碇君もそうだったわ・・・。
 初めて私の部屋に来た時・・・」
「へ?」

レイは、第五使徒戦前にシンジが自分の部屋に来た時のことを話した。
シンジの顔が赤かった理由は、アスカにはピンと来た。

「アンタが素っ裸で出て来たからよ、それは」
「なぜ?」

心底不思議そうな表情を浮かべるレイに、アスカは頭痛がして来た。

「前にも言ったでしょ。
 人前に裸で出ちゃいけないの。
 それは恥ずかしい事なのよ」
「恥ずかしい?」
「そう。
 人としてよくないこと、悪いことなの」
「プールに入る前は裸になるわ」
「着替える時は別よ。
 それでも、女は男の前で裸になっちゃいけないのよ」
「そう・・・、わかったわ」

レイは納得したように頷いた。
一事が万事この調子で、一筋縄では行かない難しさがあったが、アスカにとってはそんなレイとの付き合い自体が楽しいものだった。


 妊婦というのは、お腹の中にもう一人分の体を抱えている関係で、普通の人以上にエネルギーの消耗が激しいとよく言われる。
それまでどんなにダイエットに気を使っていた女性でも、悪阻のある時期は別にして、安定期に入ったとたん、驚くほどよく食べるようになる。

「中にもう一人いるんだから当然でしょ」

食事量をからかわれたアスカは、そう言って平然と大盛りの食事を平らげた物だった。
しかしこの数ヶ月の研究生活は、それすらも追い付かないほどの消耗をアスカに強いた。
疲れが見えるアスカにリツコは、出産が終わるまで早出残業休日出勤といった、全ての時間外勤務の禁止を言い渡した。

「そんな悠長なこと言ってる場合じゃないわよ。
 そのせいでシンジが帰るのが遅れることの方が問題よ」
「冷たい言い方かも知れないけど・・・、自惚れないで。
 たかがあなた一人が、ほんの4時間ばかり長く研究した程度でどうにでもなる物じゃないわ。
 ユイさんの時、何年掛かったと思っているの?」

教師が生徒に言い聞かせるような厳しい口調に、アスカは俯いてしまった。

「そ、そりゃまぁ・・・」
「それに、今のあなたは、あなた一人の体じゃないのよ。
 お腹の子供に何かあったら、シンジ君に悪いわよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「安心しなさい。
 焦っているのはあなただけじゃないのよ」

半ば苦笑を浮かべたリツコは、毎日のように研究室を覗きに来ては邪魔者にされて引き上げて行く、とある髭眼鏡の人物を思い出していた。
それに思い至ったアスカも、同じような笑みを浮かべる。

「ふふっ、それもそうね・・・」

とはいえ、早出残業こそなくなったものの、結局は休日返上の勤務が続き、またリツコも、その熱意に棹差すよりは、と見て見ぬふりをしていた。
しかしながら総務からの要請を無視するわけにもいかず、ついには冒頭のような会話となったわけだ。


「はぁあ・・・、ヒマねぇ・・・」
「はい・・・」
「え?」

何をするでもなく愚痴をこぼすアスカに、ポンと手渡された本。

「必要でしょ?」
「レイ、これって・・・」

アスカの目線が、レイの顔と表紙とを何度も往復する。

『爽やかママの子育て日記』

「アンタねぇ・・・」

レイの考えていることが解ってしまうだけに、思わず苦笑を浮かべてしまう。

「どうしたの?」
「ばか」

くすっと笑ったアスカは、きょとんとするレイをきゅっと抱きしめた。
嬉しいと言うのか、優しいと言うのか、微妙な軟らかさを持った表情。
人はそれを、「母の笑み」と呼ぶ。

こつん

「あ、蹴った!」

アスカがあわてて自分のお腹に手をあてる。

「何?」
「ほら、触って」

驚くレイの手を自分のお腹に導く。

こつん、こつん

「これは・・・・、何?
 誰かいる・・・、そう、もう一人のあなた・・・。
 そして・・・、もう一人の碇君・・・。
 あなたたち二人から受け継いだモノを持つ命」

そう呟くレイも、先程のアスカと同種の笑みを浮かべた。
アスカも再び同じ笑みを浮かべると、そっとお腹の上をさすった。

「アンタは幸せよ・・・。
 パパはいないけど、ママは二人もいるわよ」


 部屋の窓から見える稲穂が金色に輝く。
元々夏の避暑地や冬の湯治場として、年中通じて利用できるリゾート地として開発が始められたという経緯がある箱根地域を元に発展した第三新東京市は、けっこう標高が高い。
そのためだろうか、海岸沿いの低地に比べて稲の発育が遅く、ほぼ昔ながらのカレンダー通りの時期に収穫が行われる。
開け放った窓から時折吹き込む微風に乗って、刈入れを行うコンバインの軽やかなエンジン音がかすかに聞こえる。

 いよいよ臨月を迎えたアスカは自宅待機とされ、コンフォート17マンションの駐車場には常に救急車が待機し、隣の家には臨時に産婦人科の女医と看護婦が泊まり込むという、至れり尽くせりのフォロー体勢がとられている。
医師を女性にしたのは、リツコの配慮だった。
自宅待機と言われても、やることがない。
端末を持ち込んで研究を続けることも考えた、というか一度やったところ、リツコの指示で接続を切られてしまい、以来二度とMAGIに繋げないでいる。
一般的なネットワークと言っても、ようは旧世紀以来続くインターネットの成れの果てでしか無いワールドワイドウェブに繋いだところで、ろくなコンテンツもない。
テレビを見るか本を読むくらいしか時間の潰し方がなかった。
そんなわけでアスカはいつの間にか、レイからもらった育児書を読んで過ごすことを日課とするようになっていた。

「ふぅん・・・、そっかぁ・・・」
「あぁ、なるほどねぇ」

などと呟きながらページをめくる。
時々眉をひそめるのは、父親の役割を記述した部分があるためだ。

「はぁ、シンジってば、楽しちゃって・・・」

パタンと本を閉じ、初号機の中で眠り続けるシンジを想い、思わず溜め息をつく。

「これ、全部アタシがやらなきゃいけないのよね・・・」

初産の母親のために必要なアドバイスをまとめただけあって、それなりの厚みがある本の表紙、にこやかに微笑む夫婦と赤ん坊の漫画チックなイラストを見つめて、またため息。

「そうでもないわ」
「あ、レイ、お帰り」
「ただいま、アスカ。
 私もできることはするもの、あなた一人じゃないわ」

ダイニングのテーブルの上に買い物袋を置き、着替えるために部屋に入りながら言うレイを、アスカは目で追いかけた。

「ありがと、レイ」
「今晩は嵐ね」
「え、台風でも来てるの?」
「いいえ、あなたがお礼を言ったから」

部屋着に着替えたレイが、澄ました笑顔で出て来る。

「何よそれ?」
「別に」
「アンタ、最近意地が悪いわよ」
「あなたの教育の賜物よ」
「あのねぇ・・・。
 あ、つ・・・」

苦笑を浮かべたアスカが、急にお腹を押さえる。

「どうしたの?」

レイは、あわてて駆け寄って来た。

「は、始まった・・・」
「そう、わかったわ」

たった一言で全てを理解したレイは、すぐさま待機している医師に連絡を入れた。
すぐに医師と看護婦が駆け込んで来る。
一般に「お知るし」と呼ばれる出血を確認し、陣痛の様子や間隔を窺った医師は、出産の兆候ありと判断するとすぐさま、待機している救急車を準備させた。

「メディカルセンターに行きましょう。
 あまり時間がないわ」
「はい」

手際よく準備を整えた医師と看護婦に付き添われたアスカのあとを、いつでもすぐ持ち出せるようにと準備していた着替えなどを詰めたバッグを手にしたレイが追う。
アスカが異状を訴えてから救急車が出発するまで、5分ほどしか掛からない早業だった。


 『分娩室』と白文字で書かれた赤いランプが煌々と灯るドアの前。
家からついて来たレイはもとより、知らせを受けたゲンドウ、リツコ、リョウジ、ミサトといった、主だった関係者が集まっている。
その中でゲンドウは、まるで自分の妻が出産を迎えているかの如く、落ち付き無く、動物園の熊のようにうろうろとしていた。
リョウジもまた、どことなく落ち付かない様子で、次から次へと煙草を灰にし続けていた。
それを尻目に、リツコはレイと何やら話をしていたし、自身翌月に予定日をひかえたミサトなどは居眠りをしていた。


 アスカが運ばれて来てから既に2時間、あいかわらず廊下をうろつくゲンドウ、吸い殻が山になって溢れそうな灰皿に煙草の灰を量産し続けるリョウジ、静かに本を読むレイ、ノートパソコンを広げてなにやら打ち込み続けるリツコ、時々何やら寝言を言いつつもあいかわらず居眠りを続けるミサト・・・。
状況の変化があらわれたのは、そんな時だった。

「生れましたよ!
 元気な女の子です。
 母子共に健康です」

看護婦がドアを開けて声をかける。
ゲンドウは、その場にへなへなとへたり込んだ。
リョウジは、くわえていた煙草をぽろりと落した。
レイは、静かに本を閉じて微笑んだ。
リツコは、あわててデリートキーを押してしまった。
ミサトは、「お前も飲めっ!」と寝言を発しただけで、気付かずに眠り続けていた。

分娩室のドアの隙間から、元気よくこぼれて来る産声。
廊下に座り込んだままのゲンドウは、右手をグッと握り締めて感動に打ち震えていた。
吸い殻を拾って灰皿にねじ込んだリョウジは、大きく安堵のため息をつくと、長椅子にもたれ掛かって大きな伸びをした。
レイは本をポケットにしまうと、廊下をトイレの方向へ足早に歩いて行った。
リツコは腹立ち紛れにパソコンの蓋を閉じると、この騒ぎの中なおも眠り続けるミサトを睨みつけ、さも呆れたと言わんばかりの溜め息をついた。
睨まれたことなど気付きもしないミサトは、「グッと行けぇ、グッとぉ」などと言いつつも、まだ眠り続けていた。

「あの・・・、司令、大丈夫ですか?」

看護婦の声に気付いたゲンドウが、ばつの悪そうな表情を浮かべて立ち上がる。
ぽん、と叩かれた肩越しに見ると、加持が満面の笑みを浮かべて手を差し出していた。

「やりましたね、おめでとうございます」
「あぁ」

男共ががっちり握手する後ろでは、リツコがミサトを揺り起こしていた。

「ミサト、ミサト!
 起きなさい!」
「・・・ん〜〜〜〜、もう飲めないってばァ・・・」
「バカッ!」
「ほぇ〜?」

うっすら目を開けたミサトの視界一杯に、リツコの迫力ある顔が迫る。

「呑気に寝てる場合じゃないわよ。
 生れたのよ」
「な〜にがぁ・・・?」
「子供よ子供!」
「ほえぇ〜〜?
 あたしのお腹ぁ、まだ重いけどぉ?」

完全に寝ぼけモードのすっとぼけた回答に、リツコはきゅっと片方の眉を釣り上げると、ぐいっとミサトの胸倉をつかんだ。

「ミ〜サ〜ト〜ッ!
 お〜き〜な〜さ〜い〜っ!
 あ〜な〜た〜じゃ〜な〜く〜て〜っ、ア〜ス〜カ〜の〜こ〜ど〜も〜ッ!!」
「えっ!?
 アスカ?
 どこ、どこどこっ?」

元作戦部長、再起動。

「本当に呑気な人ね。
 今生れたところよ」
「で、どっちなの?」
「女の子」
「へぇ、じゃぁ、どっちに似ても美人間違いなしね」

呑気な会話が流れる廊下へ医師が出て来る。

「司令、おめでとうございます。
 お孫さん、ご覧になりますか?」
「ま・・・、まご?」

言われたゲンドウの目が点になる。

「あぁっ!
 そうよっ!
 司令はシンちゃんのお父さんなんだから、今生れた子供のおじいちゃんなのよっ!!」

まるで世紀の大発見をしたようなミサトの声に、一同は思わず苦笑を浮かべた。
たった一人を除いて・・・。

「葛城3佐、いやミサト君・・・、君のご主人は、今何をしているか知っているか?」

ゲンドウは、まるで発令所で作戦部長を詰問するかのように無表情に呟いた。

「ええ、保安諜報部長ですよ」
「では、赤木博士は?」
「副司令でしょ?」
「ならば、話は早い」

ミサトにそう言ったゲンドウは、いつものニヤリ笑いを浮かべると、リツコに向き直って告げた。

「副司令、保安諜報部長の給料を、向こう三ヵ月、減給10%だ」
「お、俺っスかぁ?」
「妻の教育もできん男に正規の給料を払えるほどには、今のNERVは金持ちではない」
「しれえぇ〜〜〜〜っ」

半泣きのミサトは、慌ててゲンドウの腕に縋り付いた。

「反省したかね?」
「あ、は、はいぃ〜〜〜っ!
 も、もちろんですっ!」
「そうか・・・、では、あの子の誕生に免じて、特赦を出そう。
 副司令、保安諜報部長の減給10%は撤回、向こう三ヵ月、職員食堂の皿洗いで勘弁してやろう」

更に輪をかけたニヤリ笑いのゲンドウ。

「はい、解りました、司令」

同じような表情のリツコ。

「さ、皿・・・、洗い・・・」

がっくりと項垂れる加持。

「ちゃはは・・・」

「口は災いの素」という諺を実感したミサトは、頬をポリポリと掻く以外になかった。


 病室のベットに寝かされたアスカと赤ん坊、その寝顔をにこやかに見守る皿洗い当番(三ヵ月限定)とその妻。
ゲンドウとリツコは残った仕事を片付けるため、またレイはアスカの身の回りの物を取りに帰るため、早々に引き上げて行ったせいで、メディカルセンターに残されたのは2人だけだった。

「さすが、目元はシンちゃんそっくりね」
「顔の感じはアスカだな」
「ふふ、起しちゃ悪いわ。
 そのうちレイも戻って来るだろうし、帰りましょ」
「あぁ、そうだな」

二人はそっと病室を出ると、ナースステーションに寄って当直の看護婦に挨拶して、メディカルセンターを出た。
帰りの車中、ミサトがふっと呟くように言う。

「ね、あたし達の子供はどうなのかな?」
「何が?」
「どっち似かな、って」
「女ならお前に、男なら俺に似てくれることを祈るよ。
 そうすれば少なくとも外見を気にする必要はない」

イタズラっぽい笑みとウインク。

「う〜ん、男でもリョウジに似て欲しくないかなぁ」
「ん?
 何故だい?」
「だって、あんたに似たら、将来コマシ君決定じゃない」
「それを言うなら、お前に似たらうわばみ決定じゃないか」

一瞬の沈黙。
ちらっと横目で互いを見つめあった二人は、前を向いたまま無表情に同時に口を開いた。

「「なるほど」」


 病室のドアが開くと、鞄を持ったレイが入って来た。
鞄を備え付けの棚に置いたレイは、よく眠っているいるアスカと赤ん坊を見つめると、嬉しげな笑みを浮かべた。
気配を察したのか、アスカが目を開ける。

「具合はどう?」
「うん、大丈夫」
「そう、良かったわね」
「家のこと、ちゃんとできてる?」
「問題無いわ」
「ゴメンね、レイ」
「いい、気にしないで」

言ったレイは、鞄から一冊の本を取り出す。
それは、夏の休暇の日にアスカに渡した育児書だった。

「はい、必要でしょ」
「あ、うん、ありがと」
「ん、あ、ぶ、んぎゃぁ!」

アスカが体を起したことで目がさめたらしい、赤ん坊がむずかって泣き出す。

「あらら、起しちゃったか・・・。
 ハイハイ、待っててね」

そっと体を起したアスカは、枕元のサイドテーブルに置かれた小さなガラスビンから脱脂綿を取ると、パジャマの胸元をはだけ、乳首の周りを消毒した。

「何?」
「あ、これ?
 うん、生れたての赤ん坊は抵抗力がないから。
 こういうところでもきっちり消毒してあげないといけないの」

説明しながらも脱脂綿をくずかごに入れたアスカは、あいかわらずむずがる赤ん坊を抱き上げ、乳首を含ませる。
赤ん坊は、とたんに泣きやんで元気よく母乳を飲みだした。
その様子をにこやかに見守るレイ。

「名前」
「え?」
「名前、どうするの?」
「そうなのよねぇ・・・」
「決めていないの?」
「う〜ん、いろいろ考えてるんだけどねぇ・・・」
「そう。
 時間はあるわ、ゆっくり考えて」
「そうね」

やがて満足げに乳首を離した赤ん坊を、背中をさすってげっぷをさせたアスカは、起さないように静かに寝かせた。

「じゃぁ、帰るわ」
「え、もう?」
「ええ」
「ゆっくりして行けばいいのに」
「家のこと」
「あ、そうか・・・。
 ん、わかった、ありがとね」
「問題無いわ」

そう言って帰り支度をするレイの背中に、アスカが声をかけた。

「それ、もうちょっと捻ったら?」
「ひねる?」

不思議そうな顔で振り返るレイ。

「いつも「問題無いわ」じゃ面白くないわよ。
 もっとバリエーション増やさなきゃ」
「私は漫才師じゃないわ」
「そうじゃなくって」
「冗談よ」

苦笑を浮かべたアスカに、澄まし顔で答えるレイ。

「アンタねぇ・・・。
 今晩は嵐ね」
「え、台風でも来ていた?」
「ううん、アンタが冗談を言ったからよ」
「アスカ?」
「この前のお返し」

ニカッと笑うアスカ。
二人は顔を見合わせて吹き出した。

「ところでレイ、アンタ、ちゃんと好き嫌い直す練習してる?」
「ええ、問だ、・・・いえ、大丈夫よ」
「ホントかしら」


アスカがレイと同居してから始めた「レイ補完計画」の中には、当然ながらその肉嫌いを治すことも含まれた。
ある日アスカが用意した夕食を、レイが残したことがあった。

「アンタ・・・、どうして肉を食べないの?」
「私、肉嫌いだもの」
「好き嫌いは良くないわ」
「そう・・・」

あっさりと流されてしまったアスカは、翌日の仕事帰りに料理の本を買って帰って来た。

「さぁ、やるわよっ!」

夕食の準備をするためにキッチンに立ったアスカは、本を片手に気合を入れた。

「肉がダメなら、まずは魚よ!」

気合い十分に作り、どうにか人の口に入っても差し支えない状態で完成した鰯のつみれは、しかし、レイには通用しなかった。

「レイ、それもダメなの?
 ちゃんとレモン汁で臭みも消したのよ」
「ごめんなさい、私・・・」
「ねぇ、レイ・・・。
 シンジの得意料理、何か知ってる?」
「何?」
「ハンバーグよ、ハンバーグ」
「そう」

言葉はいつものそっけないものだったが、しかしそれは、確実にレイの心に突き刺さったようで、箸を持つ手が微かに震えているのを見逃さなかったアスカは、ここぞとばかりに追い打ちをかけた。

「レイ、シンジの料理は絶品よ」

その一言は、レイの心を鷲づかみにした。
アスカは時計の法則の流れに逆らうことなく、もくもくと食事を続けていたのだが、レイだけが、言われた時のまま次元の間に取り残されていた。
10分、20分、30分・・・。
アスカが食事を終えて食器を片付ける頃になって初めて、レイは再起動した。

「そう、良かったわね」

そのまま、つみれを綺麗に避けて、すっかり冷めてしまった食事を再開する。
どうやらアスカの作戦はレイに対して、第参使徒にN2爆雷を食らわせた程度の被害しか与えなかったようだった。


 夕方、今度はゲンドウとリツコが病室を訪ねて来た。
読んでいた育児書から目線をあげたアスカは、そこにもう一人の客を見付けて驚いた。

「え、副司令、あ、いえ・・・」
「おめでとう、アスカ君。
 具合はどうかな?」
「えぇ、もう・・・。
 あの、えっと・・・」

声をかけてくれた冬月に答えたアスカは、彼のことをどう呼ぶべきかとまどっている様子だった。

「ふむ・・・。
 私はもうただの隠居だ。
 普通に呼んでくれればいい」
「そうですよね」
「しかし、ご隠居などとは呼ばんでくれたまえよ。
 諸国漫遊をしたくなっては困るのでな」
「え?」

表情を緩める冬月に、アスカは更にとまどった。

「冬月、この世代に通じるネタではないぞ」
「うむ、そうか・・・」
「あっ!」

ゲンドウのツッコミに、さも残念そうに呟く冬月。
その姿を見て、何かを思い出したかのような声をあげるアスカ。

「越後のちりめん問屋っ!」
「ほほう、知っていたかね?」

冬月が愉快そうに相好を崩す。

「ええ、確かケーブルテレビで」
「そうか・・・。
 一世一代の冗談が通じて幸いだな。
 ところでアスカ君、名前は決めたのかね?」
「いえ、まだ」
「ふむ・・・。
 まぁ、この子の一生のことだ。
 ゆっくり考えたまえ」
「はい。
 でも冬月先生。
 あ、そう呼ばせてもらってもいいですよね?」
「あぁ、かまわんよ。
 その先生というのは多少面はゆい気はするがね」
「先生、今日は助さんと格さんはいないんですか?」
「はっはっは、これは一本取られたな」
「どちらがどちらなのかしら?」

くすくす笑いながら訊ねるリツコに、アスカも笑いながら答えた。

「日向さんが助さんで、青葉さんが格さんかな」
「ふむ・・・」

思案顔の冬月。
代って答えたのはゲンドウだった。

「助三郎はともかく、格之進は退職した」
「え?」

元々が副司令直属オペレーター、いわば冬月の秘書のようなことをやっていた青葉シゲル。
全ての後始末を終えて保安諜報部長職を加持に譲り、代って総務部長兼任となった冬月だったが、全ての作業が軌道に乗ったのを機に、副司令職をリツコに、総務部長職を日向に譲って勇退した。
それまでは日向と共に総務部配置としてNERVと第三新東京の復興に力を注いで来た青葉だったが、つい先日退職願を提出、NERVを辞めていたのだ。

「どうして?」

最後の作戦終了後、先頭に立ってエヴァの回収作業を指揮し、戦自の破壊工作でボロボロになり動力も切れた真っ暗なケイジで、弐号機からアスカを救出する作業の陣頭に立ったのが青葉だった。
その後何かと忙しく、お礼を言う暇もあらばこそ、なかなか顔を合せる機会も無かったことで、気になっていたのだ。

「音楽の道に進みたいそうだ」

自身、あまりその方面には興味がないゲンドウは、理解し難い、というように首を振る。

「ふぅん・・・、そうなんだ」
「まぁ、青葉君もまだまだ若い。
 やりたいことがあるのなら、それもまたよし、だよ」

冬月は遠い目で窓の外を見やり、羨ましげに呟いた。


 翌日レイが病室を訪れた時、アスカのベットの周りには何かを走り書きした紙が散乱していた。
慣れない手で一生懸命書いたのだろう、ミミズののたくるような文字で書かれた紙を拾う。

『シンジ』
『アスカ』
『シンカ』
『アスミ』
『ユキ』
『ミカ』
『マミ』
『ユウナ』
『リョウコ』
『ナミ』
『レイカ』
『サユリ』
『ユカ』
『イツキ』
『カオリ』
『ミレイ』
『アユミ』
『アヤ』
『ハルナ』
『ナツミ』
『アキコ』
『フユカ』
『ユウコ』
『ヤヨイ』
『ミツコ』
『ヒロエ』
『レイナ』
『ミチカ』
『サオリ』
『マユミ』
『ミユキ』

シンジとアスカは別にして、他はみんな女の子の名前だ。
思い付く限り書き連ねたのだろう。
自分達の名前をもじった物や、中にはレイの名前をもじったものまであることに、レイは思わず苦笑を浮かべた。
そしてレイは、ふと気づいた。
「ユ」の字が含まれた名前が妙に多いのだ。
その疑問は、拾い集めた紙をサイドボードに置こうとして解決した。
満足げな笑みを浮かべて眠るアスカの隣、赤ん坊の枕元に、一枚の紙。

『ユイカ』

ちょっと驚きの入り交じった表情でじっと見つめるレイ。

「ゆいか・・・」

口に出して言ってみる。
自分の中にある一つの想い、最後の戦いの中、ゲンドウやカヲルに気付かされた自分の想い。
いつしかレイの両目からは、暖かいものが溢れていた。

「そう、あなたはユイカと言うのね」

すやすやねむる幼子に、そっと語りかけるように呟く。

「アンタなら判ってくれると思ってた」

突然掛けられた声にビクッとする。
ちょっと得意げな表情でこちらを見ているアスカと目が合う。
レイは、慌てて背を向けるとハンカチで目を押さえた。

「レイ・・・」
「な、何?」

そっと掛けられた声に振り向く。

「ありがとう」
「何を言うのよ」

改まって言われると気恥ずかしい。
頬を真っ赤にしたレイは、再び後ろを向いてしまった。


「でも、どうして?」

手近にあった椅子に腰掛けたレイが訊ねる。

「うん・・・、シンジとの、絆、かな・・・」
「絆?」

ちょっと恥ずかしげに俯いたアスカは、ぽつり、ぽつりと話しはじめた。

「アタシね、考えてみたの。
 どうして、あの日だったのか。
 どうして、他の日じゃなかったのか・・・」

「不思議だと思わない?
 前でもない、後でもない・・・。
 自衛隊が攻めて来る、ちょうど前の日」

「確かに、あの日はアタシは危険日だった。
 シンジとの間に何か、絆が欲しいと思ってたから、わざと狙ってたのよ。
 迷惑かけたみんなには悪いけど・・・。
 この子が生れたのって、あたしにとっては望んだことだったの」

「でも、次の月だってよかったはずでしょ。
 前の月だってよかったはずでしょ?
 月に1回、必ず危険日はあるんだもの。
 なのに、なぜか、あの日じゃなきゃいけない気がしたの・・・」

「今にして思えば、ママに教えられたような気もするのよ。
 アスカ、今日が最後、今日しかないわよ、って・・・」

「でも、それだけじゃなかったような気がするの。
 シンジのママ、ユイさんにも何か言われてたような気がする。
 なんていうのかな・・・、う〜ん・・・」
「息子をよろしくお願いします」

レイは、思わず口走ってしまった。
しかしアスカは、その意味の深さにまでは気付かなかったようだ。

「あ、そう、そんな感じ!
 レイ、アンタ、よく判ったわね」
「えぇ、何となく」

どうやらうまく誤魔化せたらしく、それ以上の追求はない。

「だからね、アタシ、思ったのよ。
 この子は、たくさんの人に支えられてるんだなぁ、って・・・」

「だから余計に、シンジとの絆にこだわりたかったの・・・。
 この子は、シンジとアタシの子供なのよって」

「アタシね、リツコとか、みんなからいろんな事を聞いたの・・・。
 エヴァのこと、使徒のこと、もちろんアンタのことも・・・」

「その全部が全部、結局はユイさんから始まってるような気がしたんだ・・・」

「そして、いろんな所に分かれた全部が、今度はアタシ達に集まったの。
 アタシとシンジに集まって、この子になったように思う。
 この子はね、この半年間の全ての象徴なのよ、きっと」

「だから、始まりのユイさんと、おしまいのアタシの名前を足して「ユイカ」にしたのよ」

レイは、たまたま屑かごに目線を落して気付いた。
そこにもう2枚、同じく名前を書いた紙があったのだ。

「これは?」
「「ユイカ」の準決勝のお相手。
 今もちょっと言ったけど・・・。
 今までとこれからとに線を引いた、っていうか・・・。
 全部終らせたのは、間違いなくアタシ達でしょ。
 だから代表して名乗らせてもらってもいいかなって思ったんだけどねぇ・・・」

苦笑しながら、屑かごから出した紙をレイに渡す。

『ミライ』
『ノゾミ』

「どうして?」
「落選の理由?
 アタシの未来は、シンジが帰って来るまでお預けなの。
 アタシの望みは、シンジが帰って来ることなの。
 だから今は、どっちも使えないなぁ、って」

返された紙を、再び屑かごに放り込む。

「捨てなくても」
「ダメ。
 シンジが帰って来るまでは封印よ」
「そう・・・」

続けて他の候補も捨ててしまったアスカに、ちょっと複雑な表情を浮かべたレイは、これ以上この話題に触れることをしなかった。

「司令には教えたの?」
「それがまだなの。
 決めてからはまだ来てないのよねぇ」

イタズラのターゲットを待つ子供の顔。
教えた瞬間のゲンドウの顔を想像したレイも、似たような笑みを浮かべる。

「そう、楽しみね」
「泣いたりしてね」

くすっと笑ったアスカの背中に何かが当る。

「んぶぅ!」
「お前も楽しみだよね、ユイカ♪」
「ぶぅ!
 だぁ!」

アスカがツンツンとほっぺたを突くと、解っているのかいないのか、楽しげな声をあげるユイカ。

コンコン

「はい、どうぞ」
「失礼しまぁす」

ノックの音に返事に、ドアを開けて入って来たのは・・・。

「ヒカリ!」
「ぐあいはどう?」
「バッチリよ」

大親友の笑顔につられるように顔を輝かせたアスカは、満面の笑みで応えた。
その笑顔の向こうにもう一つの小さな笑顔を見付けたヒカリは、目を輝かせて駆け寄った。

「きゃ〜ん、可愛いっ!」

軟らかなほっぺたを指でつつく。
ユイカがその指をきゅっと握り返して来た。

「・・・すごい・・・。
 こんなのって・・・、すごい・・・」

口元に手をあて、感動の面持ちで、ユイカに握られた人差し指をじっと見つめるヒカリ。

「スゴイって、何がスゴイの?」
「だってこの子・・・。
 私の指を握ってるのよ。
 そしてこの子はあなたの子供なのよ。
 しかも、碇君があなたに遺してくれた絆なのよ。
 すごいわよ、奇跡よ。
 これは奇跡なのよ」

妙な盛り上がりを見せるヒカリ。
アスカはレイと顔を見合わせて苦笑を浮かべた。

「ねぇねぇ、アスカ、この子の名前は?」
「ユイカよ」
「ふぅん、ユイカちゃんか。
 どんな意味を込めたの?
 教えてよ」
「うん、シンジのことをどこかに残しておきたかったんだけど、そのままじゃどうかなと思ってさ。
 だからシンジのお母さんの名前をもらって、アタシの名前とくっつけてユイカにしたのよ」

どたん!
ばたた!
どででででででででで・・・

廊下で大きな物音。
続いて逃げ去るような足音。
思わず顔を見合わす3人。
レイは、恐る恐るドアを開けると、誰もいない廊下を見て、何かを見付けた。
それを拾い上げて、部屋の中に入って来る。

「多分、司令よ」

サイドテーブルの上に置かれたのは、雲雀ヶ丘にある小さな手作りケーキショップの包み。
その「アンジェリカ」という名前の店は密かなアスカのお気に入りで、なぜか最近ゲンドウが来る時はいつも、ここで何か一品か二品買って来てくれるのが、パターンになっていた。

「名前の由来、聞いて逃げちゃったのね」
「そうね」

苦笑を浮かべあうアスカとレイ。

「え、なになに、どうしたの?」
「何でもない」
「教えてよぉ」
「だぁめ、家族の秘密よ」
「んぶぅ!」

握ったままの指に、力が入ったような気がする。
ヒカリには、ユイカにまで「聞くな」と言われたような気がして、思わず諦めの苦笑を浮かべた。

「ほら、ね?」
「しょうがないな、もぉ」

病室に笑いがこだました。





ドモドモ、J.U.タイラーでっす!(^^)/

 はい、第壱拾六話をお届けします。
当初の予定じゃ、長くても三部構成くらいと思っていたんですが、このエピソードはどうやら、前回の「過去との出逢い編」を遥かに上まわる一大歴史絵巻き(ちとおおげさ(笑))になりそうです(^^;;;

タイトルからお解りのとおり、もちろんユイカの成長日記がメインになるのですが、そうそう単純にも行かないだろうな、という予感がしてます(笑)
その善し悪しは別にして、ね(爆)
まぁ、14年もの歳月を書いてこうと言うんですから、『大河ドラマ』(これもおおげさ(笑))になってしまうのも当然かもしれませんね(^^;
ということで、今回も「前後編」のような書き方ではなく、「その1」になってしまいました。
ただ、そのままというのも面白くないので、趣向を変えて、サブタイトルのサブタイトルを付けました。
「解る人だけ笑って下さい」ネタで勝負してます(笑)
でも、「解らない人がいるとは思いたくないな」と言うネタでもあります(爆)

できれば月イチくらいのペースで書いていきたいと思いますが、はたしてどうなりますことやら(^^;


 今回は、「過去との出逢い編」のラストで語った部分から少し時がたったあたりから、ユイカが生れるまでを書きました。
前回のエピソードで書き残した人達のその後を少しづつ盛り込みつつ、さらに新展開に持込むという、ちょっと「過去との出逢い」の過去部分を引き摺ったパターンになりましたね(^^;
まぁ、そこがこの話のスタートなんだからしょうがないんですがね(笑)
今回の話を書くにあたって、今までの16本全部読み返してみたんですが、そう言えば、オペレーターズのうちマヤちょむは最初っから、マコちんもわりとおいしいところで登場してますが、シゲルっちは、前回が初登場だったんですな(^^;
しかも、「最後の戦い」以降どうしているのかを書いたのは、今回が初めて・・・。
まぁ、そのうち彼にもしっかりと登場してもらいましょう(笑)





次回予告

 いつもの日常を過ごすNERV。
アスカの出産を機に変化したものと変化しないもの。
何が正しくてなにが間違っているのか。
新生NERVで右往左往する人たちの狂想曲。


次回、第壱拾七話 「アスカとレイの子育て日記」・その2
EPISODE:02 The Best
〜 見慣れぬ日常 〜

あなたが今すべき事は、この子の幸せを第一に考えること ( ・_・ )
 By Rei Ikari

でわでわ(^^)/~~