みなさんこんにちは、えむえすびーむです。

大自然さんの「湯上がり精神論」と、お絵かき掲示板No.336 ishikawa さんに刺激を受け、また稚作を投稿させていただきました。
みゃあさんのサイトの珠玉の作品群の末席に置いていただければと思います。

※注…この作品は以前私が投稿させてもらいました 『 お泊まり 』 とはなんの関連もありません。(;^_^A


●舞台設定

「新世紀エヴァンゲリオン」第10話「マグマダイバー」の後のお話。
まだ一緒に住むようになってそんなに経ってないアスカとシンジのふたり。
シンジにとってはアスカは十分気になる女の子のようです。
ではアスカは?

もちろんLASです!

エヴァ
■ 『マグマダイバー』その後 ■
〜 温泉宿にお泊まり 〜
act.01
―― 宴のはじまり ――
作・えむえすびーむ

ネルフ初の使徒捕獲作戦は使徒の孵化、覚醒により失敗に終わった。
そしてエヴァ弐号機片脚折損消失の大破、初号機も外殻溶解の中破と相変わらず損害も大きかった。
作戦が終了し、部隊は手際よく撤収を始めたが、その作戦課長だけは別のことを考えていた。
「え、温泉ですか?」
「そ!」
「はいは〜い、あたし日本の温泉入りたーい!」
「じゃ、決まりね。今日はここに泊まっていきましょう。」


ネルフ作戦課長 葛城ミサト一尉、エヴァンゲリオン初号機パイロット 碇シンジ、同弐号機パイロット 惣流アスカ・ラングレー、及びクール宅急便で送られてきた温泉ペンギン ペンペンの三人と一羽は浅間山麓の鄙びた旅館『近江屋』にいた。

その作戦の地「浅間山」で温泉にはいるために!

今回の作戦は失敗となったが、ミサトはシンジ、アスカ、ふたりの行動にはおおむね満足していた。
使徒の捕獲はできなかったものの、惣流アスカ・ラングレーの活躍により第八使徒は殲滅でき、碇シンジの捨て身の行動によりエヴァ弐号機とそのパイロットの喪失という最悪の事態は免れた。
初号機が噴火口に飛び込んだときは、エヴァ二機の喪失がミサトの脳裏に浮かんだが、結果的に弐号機を救うこととなった。
シンジが作戦中、指揮官の指示も許可も受けずに勝手に行動したことは許されないこととミサトは考えていたが、今回は大目に見て注意し反省を促しただけに留めた。
それよりミサトはシンジが我が身を顧みずアスカの救出に向かったことに感謝していた。
まだ若い少年少女を戦いに駆り出しそれを失うことはミサトには耐えられないことであったし、それが寝起きを共にするかわいい同居人たちであればなおさらだ。
ミサトにとっては血の繋がりはないがふたりは大事な家族であり、ミサトはふたりを愛しく思っていた。
今回の件でミサトはシンジがアスカに好意を持っていると思うようになった。
それが友情か愛情か、愛情としても男女のものか家族愛なのか判断はつかなかったが、同居をはじめてまだ日の浅いシンジとアスカが親睦を深めるにはいい機会ではと考え、無事(?)作戦を終えたふたりを慰労するため、温泉名所であるこの作戦の地、浅間に宿泊することを思いつく。
これをミサトは同僚の技術課長に提案するが二瞥もなく反対され、上長である司令の許可を得なければならなくなる。
といってもこういったことは総司令がとりあってくれるはずもなく、副司令に相談し了解をとりつけた。
シンジ、アスカの専属エヴァは共に今作戦で損傷し修理を要したし、現在唯一稼働できる零号機とそのパイロット綾波レイは本部にある。いままで使徒が短期間で連続的に出現した事例はなく、戦自のVTOL機を使えばすぐに帰還できることを考慮したうえでの作戦課長であるミサトの提案であり、副司令は反対する理由を持たなかった。
ミサトは同僚の技術課長とスタッフたちにも宿泊を勧めたが、技術課長はミサトを睨みつけ恨み言をひと言吐き愛弟子の助手と撤収をはじめ、他のスタッフも技術課長の逆鱗に触れることを怖れ、皆それに従った。
のちに本部で留守番に残った眼鏡のオペレーター一人だけが作戦課長と温泉に行きたかったと地団駄を踏んで悔しがったそうである。



「ま〜ったく、リツコもカタブツよねェ。せっかくいい気持ちで温泉に浸かれるっていうのに。これだから三十路を越した女はいやね。」
一風呂浴び浴衣に着替えたミサトがビールを注がれたグラスを持ちながら、融通のきかない同僚をなじった。
ミサト、アスカの泊まる部屋のテーブルにはすでに夕食が並べられ、ミサトのすぐ横にはもう空いたビール瓶が数本転がっていた。
「あら、じゃあミサトもすぐそうなるのね。」
ミサトに向かい合うように座っているアスカが間髪なくツッコミをいれる。彼女も浴衣に着替え、胡座をかくミサトとは対照的にきちんと正座をしていた。
「やなこと云わないでよ。」
「だって、そうじゃない。ミサトも頭が固いじゃない。あたしがなんか云うと、『女の子はこんなことしちゃだめ』とか、『加持さんに嫌われるわよ』とか文句ばかり言うじゃない。」
「はいはい、どうせ、わたしはイヤミなオバサンですよ。」
ミサトは手に持ったグラスのビールを飲み干し、手酌でまた注いでいく。
「ね、私にもすこし頂戴。」
アスカはミサトにビールをねだった。
当然普段は未成年であるアスカは飲酒など許してもらえない。しかし、この雰囲気なら飲ませてもらえるかもしれない。大人が飲むものに対しての興味がアスカの好奇心をくすぐった。
「子供はダメよ。」
「え〜、いいじゃない、あたしドイツ人だから大丈夫よ。」
酔ったミサトと同レベルの根拠のない言い訳をアスカは言う。
「ダ〜メ!それにアスカは国籍アメリカでしょ。」
「ちぇっ、つま〜んな〜い!」
アスカは頬を膨らました。
「つま〜んな〜い、じゃないの、」
アスカはすこし拗ねたが、それに執着することなく別のものに興味を引かれる。
「ね、ここの温泉ってどんな効能があるの?」
「そこにパンフがあるでしょ。」
「あたしまだ漢字よく読めないのよ。ちょっと教えてよう。」
「ああ、はいはい、、、。ええっと、どれどれ、皮膚病疾患の治療予防、冷え性の治療、子宝成就、それと美容と、、、。」
「美容!?じゃあもっとお肌キレイになるかしら。」
アスカは両手を合わせて喜んだ。美への渇望は若い女性の共通の願望である。
「アスカは若いんだし、そんなのなくても十分これからキレイになるわよ。」
「そんなんじゃあダメよぉ。キレイになるために努力することが大切なのよ。」
「あらあぁ、誰のためにキレイになるのかしらぁ。」
ミサトのその言葉にアスカの脳裏にひとりの男の子の顔が浮かんだ。
それはいつもそばにいてくれる男の子。彼に想いを抱くようになったのはつい最近のこと。彼のことを思うと気持ちがすこし高ぶってしまう。それをミサトに悟られまいと、ぶっきらぼうに言葉を返してしまう。
「な、なによ。誰のためでもいいでしょ。」
「それって、シ〜ンジ君のためェ?」
男の子の名前を言われアスカは顔が一気に熱くなるのを感じた。
顔だけではない、身体中の血管が膨れあがり血流が全身を勢いよく巡り、身体中が熱くなり出す。自分の身体がこんなに反応してしまうことに驚き、アスカは照れ隠しのためますます声を大きくしてしまう。
「な!なんでシンジのためなのよ。!!」
「ふふふっ、動揺してる?」
「バ、バカいわないで。なんであたしが。そ、そう、加持さんのためよ。加持さんにあたしが大人の女になったことを証明するためよ。そして大人の恋をするの。」
加持リョウジ。彼への憧れは今でもアスカは持っていた。年上の男性が持つ逞しさ、包容力、年頃の女性誰もが持つ異性への憧れ。
しかし、シンジへの想いもけしてそれには劣らなかった。加持リョウジのような力強さは感じられないが、シンジの優しさと身近さそして心の弱さがアスカの母性をくすぐったのかもしれない。
だが、幼い頃から一人で生きようと望み、強くなろうとしてきたアスカにとって自分よりも弱いと思えるモノを好きになるということは、己のアイデンティティを崩されそうな不安を感じていた。だからシンジを好きと言えない。
アスカは自分の気持ちとはウラハラの言葉を発してしまう。
「あら、そうなの?な〜んだつまんない。」
「ミ、ミサトもヘンなこと云わないでよ。そ、そういえばシンジどうしたの?ご飯冷めちゃうわ。」
「あらぁ、やっぱ気になる?」
「ミサト、怒るわよ!」
「ゴメン、ごめん。な〜んだ、アスカ、シンジ君のこと、なんとも思ってないの?」
「あ、あったりまえでしょう!」
アスカはまた言葉で肯定したが、心の奥でチクリと痛みを感じた。それはほんとはそう思っていないから。
「そうね、シンジ君って頼りないし、男らしくないところもあるもんね。話しもヘタだし、一緒にいてもつまんないかもねぇ。それにシンジ君ってまだお子様な感じだしね。あ、そんなとこがアスカも気に入らないのねぇ、うんうん、わかるわかる、ちょっとシンジ君女々しいとこあるもんね。アスカには釣り合わないか。まあ、嫌うのもわかるわ。」
シンジをなじる言葉にアスカの感情が激しく反応した。
 …確かにシンジは弱い、しかし決して女々しくもないし嫌いじゃない!
「なに云ってんのよ!そりゃあちょっと頼りないとこもあるけど、あいつ、けっこうしっかりしているじゃない。運動神経だっていいのよ。このまえの作戦だってちゃんとあたしとユニゾンできたじゃない。それに女々しいってなによ。あいつが家事のことよくできるからそんなこと云ってるんだったら大間違いよ。あれはミサトが全然ウチのことやんないからしょうがなくやってるんじゃない。あいつ、あんだけできるなんて立派よ。女々しいなんて云われる筋合い無いわよ!それにあたし、あいつ嫌いじゃないわよ!」
アスカはミサトを睨みつけた。
しかし、その睨まれたミサトの眼は笑っていた。
アスカはその瞬間、自分の迂闊さに気づいた。ミサトがシンジのことをバカにすることはない。いまミサトは自分の反応を確かめるためにわざとシンジをなじったのだ。
それにまんまと乗せられシンジを弁護してしまった。
「いまのあいつって、シンジ君のことよね。」
ミサトは意地悪く確認するように聞いてきた。
アスカは返事をすることができなかった。ただ、シンジへの気持ちがミサトに気付かれてしまったかもしれないことと、こんな幼稚な手にひっかかってしまった自分への怒りで頭がみるみる熱くなっていくのを感じていた。
「ふーん、そうじゃないかなぁっとは思ってたけどねェ。」
「べ、別にシンジのことが好きなわけじゃないのよ。」
アスカはなおも否定した。そして自分で自分に嘘をついていることを嫌悪した。
「でも、嫌いじゃないわけね。」
「み〜さ〜と〜っっっ。」
「でもチャンスじゃない。」
「・・・なにがよ。」
「助けてもらったお礼になにかしてあげればいいのよ。」
「だから、別に好きじゃないって云ってるでしょう!それに助けてもらったっていうけど、使徒をやっつけたのはあたしですかね!」
「はいはい、、、でも、シンジ君、彼、アスカを助けるために自分で勝手に飛び込んで行ったのよ。」
「え、そうなの?」
「D型装備は一体分しかなかったし、いくら初号機の外殻が強靱でもマグマにさらされれば無事じゃあすまないわ。それに対流するマグマの中はD型装備のない初号機は通信もできないから、シンジ君自力でアスカを見つけて捕まえたのよ。」
「そうなの、、、?」
「まったくぅ、初号機が飛び込んだときはわたしも肝冷やしたわよ。でも、おかげでこうしてアスカを連れ戻してくれたんだもの。感謝しているわ。シンジ君にも、アスカにも。」
「・・・そうなんだ、、、。」
決死の思いで自分を助けてくれた。いったいどんな気持ちでマグマに飛び込んだのだろう。アスカは考えた。

 …願わくば、シンジも私に想いを寄せていてほしい。

「それにシンジ君、アスカのことまんざらではないみたいよ。」
「え、ほんと?」
アスカは突然そんなことを云われつい本音が出てしまい、顔をあげてしまう。
そこにはまたまたいやらしい笑顔のミサトの顔があった。
「ほ〜ほほほほほっ!ついに馬脚を現したわね。」
アスカは内心「しまった。」と思ったが、なおシラを切ろうとした。
「そ、その言葉なんて意味なの?」
アスカは日本語がわからないフリをする。
「とっぼけなくてもいいわよ♪」
とことんちゃかそうとするミサトにアスカは心頭憤りを感じてきた。
「だ〜から!!」
「はいはい、まっ、確かに使徒を倒したのはアスカのお手柄だけど、シンジ君に引き上げてもらったのは事実なんだから一言アリガトくらい言ってあげてもいいんじゃあなぁい。」
「え、あ、まあ、それくらいは、、い、いいわよ、、、。」
「そうそう、そうすれば、シンジ君も嬉しいだろうし。家族であるふたりが仲良くしてくれれば、お姉さんも嬉しいわ。」
「なにが家族よ、だいたいあたしたちを家族と呼ぶんならウチのこともっと考えなさいよ。全部シンジに任せっきりじゃあない。シンジがいなけりゃウチんなかグチャグチャよ!あたしとシンジは居候だけど、ウチのことやってんのあたしたちなんだからね!ミサトも協力しなさいよ!」
こんどは逆にアスカがお返しとばかりに責め立てる。ミサトも痛いところを突かれたじろいてしまう。
「あ、わたしほら、忙しいし、それにシンジ君、頼りになるししっかりしているしぃ、、、。」
「さっき、シンジのこと女々しいって言ったじゃない!」
「そ、それは、言葉のアヤというか、、、、。」
「ナニ云ってんのよ!シンジをバカにすんじゃないわよ!!」
ミサトがアスカの巻き返しを受けているとき部屋の襖が開いた。
アスカはハッと振り向きその方向を見た。
そこにはシンジが立っていた。
シンジを見た瞬間、アスカはまた顔が熱くなるのを感じた。妙に気持ちが高ぶってしまう。さっきまでミサトにからかわれていただけに、なおさらアスカはその感情を抑えることができず、ただシンジをジッと見つめてしまった。
「え、なに?」
先程まで部屋の外まで聞こえていた喧噪が突然消え、ふたりに見つめられるかたちになったシンジも立ちすくんでしまう。
ミサトはシンジの登場にアスカがフリーズしてしまっているのを見逃さなかった。
「あーん、待ってたわぁ、シンちゃん。アスカがわたしをいじめるのよォ。」
機先を制し形勢の挽回を試みる。
「だれがいじめてんのよ!」
出端を挫かれ、我に返ったアスカはさらに大声をあげて反論する。
「あの、ど、どうしたの?」
状況がつかめず戸惑うシンジ。
「どうしもしないわよ。はやく座んなさいよ。」
オロオロするシンジを見てアスカは自分の隣に敷いた座布団を叩き、そこに座るよう促す。
「あ、ごめん。」
シンジは謝りながらアスカの隣りに座った。
「そんなことで謝らない!」
「ごめん。」
「だ〜か〜ら!」
「ご、、、っ。」
シンジはハッと手で自分の口を押さえ己の言葉を制する。
アスカは溜息をついた。
 …はあ、シンジのこれ、直んないかしら、、、。
アスカがシンジのもっとも気に入らないところがその謝り癖だった。なんとかしたいと思うが早晩解決するものではないだろう。アスカは気を取り直してシンジに問いかけた。
「なんで遅かったのよう。」
「ペンペンがお風呂から上がりたがらなかったんだ。、、、で、しょうがないから置いてきちゃった。」
シンジの言葉にミサトは目を細めた。いつもけして広くないマンションの中に閉じこめられているようなペンペンにとって旅館の温泉は、まさに羽を伸ばせるところなのだろう。
「久しぶりの温泉だから喜んでいるのよ。一晩中浸かっているつもりなのよあのコ。」
「え、大丈夫なんですか。」
「大丈夫、だいじょうぶ。温泉ペンギンですもの。」
「はあ、、、。」
「それよりシンちゃん、アスカがシンちゃんのことを待ちわびていたみたいよ。」
「え?」
シンジはすこし驚いたような声をあげ隣りに座るアスカを見た。
その声にアスカもシンジの方を向いてしまい見つめ合うかたちになってしまった。
アスカの心臓がドキンと大きく高鳴った。
思わずアスカは視線をずらしあらぬ方向を向きながらミサトの言葉を否定する。
「バ、バカなこと云わないでよ。せっかくの料理が冷めちゃうから気にしていたのよ。」
 …ああん!なんであたしこんなこと言っちゃうの〜!!
照れ隠しに自分の気持ちと反対の言葉を発する自分をアスカは心の中で嘆いた。
するとシンジが、「あ、そう、、、。」と、残念そうに俯いたようにアスカには見えた。
 …え?シンジそれって、、、。

   『…願わくば、シンジも私に想いを寄せていてほしい。…』

シンジの寂しげに聞こえた声は、自分に想いを寄せてくれている表れなのか?
それともただ自分にはそう見えただけなのか?
アスカは迷った。
ミサトはそんなアスカをすぐに見抜いてさらに追い打ちをかける。
「あらぁ、アスカ、それでいいのぉ。」
「ミサト!これ以上変なこと言うと、ほんとに怒るわよ。」
「あのぉ、いったいどうしたんですか。」
どうもふたりの話についていけないシンジはミサトに事情を聞いた。
ミサトも待ってましたとばかりに身を乗り出してシンジに話そうとする。
「実はね、、、。」
「なんでもないわよ!はいは〜い!揃ったところで、はじめましょう!」
アスカはミサトの声を遮るように声をあげ、手をたたいた。これ以上ミサトの好きにされたら堪らない。
アスカはシンジに気付かれぬようギロリとミサトを睨みつける。
ミサトもそれに気付き、肩をすくめて、それ以上アスカを茶化すのをお終いにすることにした。
「そうね、シンちゃん、アスカ、いただきましょうか。」

三人の宴が始まった。
『A17』の発動により浅間山一帯は避難命令が出ていたが、作戦終了後解除された。旅館の主人も戻って来てすぐにミサトたちが泊まるからと、大あわてで旅館を開けたのである。避難命令のせいで他に宿泊客はおらず、そのためか食材が余っているようで三人の夕食は豪華なモノとなっていた。ミサトは旅館の主人に申し訳なく思ったが、振る舞われた料理を堪能した。刺身の舟盛り、山菜の天ぷらや川魚の塩焼き等々シンジ、アスカ、食欲旺盛な若いふたりの胃袋を満足させるものばかり。アスカは口にする一品、一品を論評しながら美味しげに食べていく。シンジもアスカの話に相づちを打ちながら、時おり口を挟みながら食卓の皿を空けていく。ミサトもふたりの楽しそうな会話を聞きながら、心地よい酔いに身を任せていった。
いつもの三人の食事。
この幸福の時間がいつまでも続くことをミサトは願った。
そして、アスカはシンジに、そしてシンジもアスカに想いを寄せているだろうことをミサトは察した。
恋心を抱く少年と少女。
シンジ、アスカが互いの想いを通じあうことができるようにとミサトは願った。


アスカのまだ幼く淡い恋が成就することを・・・・



< つづく >