第2講 ときめきメモリアル

〜大いなる功罪〜
97/1/14開講、3/18最終更新

キャラクタ各論

1、恋愛SLGの確立

同級生で基礎が作られた恋愛SLGというジャンルは、ときめきメモリアルはそれを確立し、社会的に認知させた(多少それが歪んでいるとしても(^_^;))ということで、非常に大きな功績をのこしたと言えるでしょう。

2、栄華の理由(わけ)

ときめきが成功した理由は大きく2つに分けられると考えます。
その1つがゲームとしてのバランス、完成度の高さ。シナリオは皆無ですが(^_^;)、育成とデートのバランスの良さ、ほどよい難易度はそれ以前にもそれ以後にも稀なほどの出来でした。

そしてもっと大事なのがもう1つの理由。そう、キャラクタの立て方です。
キャラクタが立っているか、輝いているか、は恋愛SLGが恋愛SLGとして成功するためには不可欠な要素。プレイヤーがどれだけキャラに萌えられるかが全てと言っても過言ではないほどです。
無難なキャラ作りが多い中で、ときめきはあえて非常に個性的な13人のキャラを作ることで、プレイヤーの心を掴むことに成功しました。全編喋るその音声も良くできていました。ストーリーのなさが逆にプレイヤーによるキャラの補間/補完を可能にし、深さを持たせることが出来たというのもあります。

もちろん、問題がない訳ではありません。
まず、シナリオの欠如。育成SLGとして完結しているため、そこには断片的なイベントしかなく、キャラごとのストーリーというものが全く欠如しています。そのためにプレイヤーがそれぞれ自分のキャラ像を作ることができたので一概に悪いとは言えませんが、膨大なテキストは是非ともこれからの恋愛SLGに欲しいものだと思います。

もう1つ、おかしな恋愛表現。
プレイヤーのパラメータが高いと、勝手に現れては爆弾をつけてみんなの好感度を下げるというおかしな現象が当然のように起こりました。恋人という関係では距離が離れると会いたくなるものですが、友達という関係ではそうではありません。距離が離れても、長い間会えなくても、次に会うときは前と同じように話すことが出来るはずです。みんなと仲良くしなければならない、というのは分かります。ただ、全てを恋愛という尺度で測ってしまうのは不自然なのです。

キャラ萌えができるという点では成功したときめきも、恋愛をシミュレートできたかというと疑問が残るものでした。

このように、短所も少なからずある訳ですが、ときめきメモリアルは実際に大ブレイクした訳です。そして、これ以上の成功を収めるものは将来的にもほとんどできないと言っていいと思います。なぜなら、今はこういう恋愛SLGが溢れているから。ときめきはまさにフロンティアのゲームだったのです。

3、ときめきが死ぬ瞬間

そうして、大ブレイクしたときめきメモリアルにもやがて終焉が訪れます。
これは総論の方で考えるべきことなので深くは追求しないとして、普通、1つのゲームが1年も継続して人気を保つことは不可能で、それは恋愛SLGにも当てはまります。いくら萌えたキャラでも次第に冷めてしまう。それが2次元のゲームキャラの宿命であり、現実の女の子との断絶なのです。

ときめきは成功した。しかしコナミは本当はそれに甘んじることなく「次」を考えるべきだったのです。
しかし、コナミはそれをしなかった。安易にプレイヤーから搾取することができるグッズに走ってしまった。過去の栄光にすがるのは結局自分の首を絞めることになるのに、それが分からなかった……。

そして、藤崎詩織の歌手デビュー。
残念なことに、ときめきはそれがビジネスの道具となってしまった時、完全に死んでしまったのです。

ときめきメモリアルは大成功を納めました。そして、それに続こうと他の会社が競って恋愛SLGを作るようになりました。しかし、たとえそれがまた成功したとしても今度はコナミの轍を踏んではいけないのです。ときめきは実に多くのことを私たちに残し、教えてくれました。

4、ちょっと主観的な評価(^_^;

※注:★は5個が最高。
原画★★★
CG★★★
シナリオ★★
キャラが
立っているか
★★★★★
システム★★★
操作性★★★★
BGM★★★★
ゲーム性★★★★★
え○ち度(笑)

どきどき★★★★★
せつなさ
恋愛SLGと
しての完成度
75点

5、ときめきの恋の「カタチ」

基本的にはたくさん会い、一緒に下校し、デートを重ねることによって仲良くなるタイプです。ストーリーがないので、自分でその行間を埋めてやる必要がありますが、結構自然と言えば自然と言えるでしょう。ただ、ヤキモチの表現がイマイチ。なかなか本命1人にかからせてくれないのが困りものです。
戻る