秀作が多く生まれた1996年の中でも代表的な恋愛ゲームを2つだけ挙げるとしたら「せつない」系の代表同窓会ともう1つがこの「どきどき」系の下級生(elf)でしょう。
下級生はときめきタイプの育成系恋愛ゲームに同級生タイプのインターフェイスを持たせた感じで古典的恋愛ゲームの1つの集約型、完成型と言えます。
下級生は恋愛が積み重ねによって成就していく様子を描いています。会話を重ね、やがてデートに誘えるようになり、そして……。
18禁ゲームではどうしてもえっちが短絡的になってしまい、納得しにくい部分が多いのですが、この下級生の場合はプロセスがしっかりと描かれていることもあり、最も「自然」に受け入れることができたと思います。ただ気分値の変化が上昇方向ばかりで、下がる方がほとんどないのは気になるところですが。積み重ねた感情が一言で、あるいは1回のえっちで大きく崩れてしまう場合があってもいい気がするのは私だけでしょうか?
もう1つ、下級生において重要なのは「メッセージ性」ということです。そう、エンディングの「そっと目を閉じて…」の部分です。elfの恋愛ゲームではこれまでも間接的にプレイヤーに語りかける時はあったのですが、このように直接的なものはこれまでなかったし、また、他の恋愛ゲームではほとんど見かけられないものです。
そしてこれはまさに下級生の全てと言ってしまってもいいのではないでしょうか。「下級生」というゲーム全体が私たちに伝えようとしたたった1つのメッセージ。それが、とても印象的でした。
恋愛ゲームの1プレイに最適な時間というのは何時間程度なのでしょうか?
これはもちろん人によっても変わってくるのでしょうが、恋愛ゲームでは多人数のキャラクタ、マルチエンディングが当たり前なので、必然的に繰り返しプレイすることになります。
それを考えると同窓会やPia☆キャロ、To Heartなどの2〜3時間がベスト、長くてもときめきなどの5時間程度が目安でしょう。
これはとてもそんな時間では終わりません。恋愛のプロセスを表現するのはとても大事なことなのですが、面倒くさくなっては何にもならないのではないでしょうか。「恋愛は面倒なものだ」と言いたい訳ではないと思うのですが?
現実の恋愛は(少なくとも恋人としてつきあい始める前は)マンネリ化とは無縁で、常に新鮮な驚きと緊張感に満ちているはずです。プレイ時間の長さはともかくとしても、下級生はその表現を怠ったために、すぐにマンネリ化してしまいます。1人だけに絞り込んでつき合ってもマンネリ化しないだけのシナリオとイベントのボリュームが必要ではなかったのではないでしょうか。徒にキャラクタ数を増やすよりもその方がずっと大切なことだと思うのですが。
上でも書いたことですが、感情の変化が一旦上昇し始めるとほとんど逆戻りしないというのも緊張感をすっかり失ってしまっている原因と言えます。
プロセスという点で「恋愛を感じる」という部分ではトップクラスの完成度を誇る下級生なのですが、「ゲーム」として見た場合にはお世辞にも褒められたものではありませんでした。
原画 | ★★★★ |
CG | ★★★★ |
シナリオ | ★★ |
キャラが 立っているか | ★★★★ |
システム | ★★ |
操作性 | ★★★★ |
BGM | ★★★ |
ゲーム性 | ★ |
え○ち度(笑) | ★★ |
どきどき | ★★★★★ |
せつなさ | ★ |
恋愛ゲームと しての完成度 | 82点 |
ラグナを参照して下さい。m(__)m
活発 | ← | → | 大人しい | ||
お姉さま系 | 山下美夏 | 三月静 | |||
↑ | 緑谷麻紀 | 新藤麗子 | 加納涼子 | ||
橘真由美 ティナ | 結城瑞穂 | 神山みこ | |||
↓ | 飯島美雪 | 持田真歩子 | 南里愛 | ||
子供・ロリ系 | 皆川奈々 |
「下級生」とタイトルがついていても実際には下級生の割合は対して多くないんですよね。(^_^;)全範囲にキャラが分布していて良いと思います。
ただティナは…狙いとしては悪くないのですが、余りに突拍子過ぎて世界観を壊してしまっているような気がしますが……。
上でも書いているように、恋愛が積み重ねによって成就していく様子を描いたものとして非常に優れた表現であったのですが、ゲームとしては面倒さだけが目立ってしまったのが残念な所です。