ビデオゲームの歴史自体そんなに長いものではないのですが、その中でも恋愛SLGのそれは更に短いものです。
そして、その恋愛SLGの始まりは、18禁ゲームにあるといって間違いないでしょう(当時18禁指定が必要であったかは別として)。(^_^;
#18禁は恋愛SLGじゃないと思われる人がいるかもしれませんが、それは後の講で考えることにして、まずは読み進めて下さい。m(__)m
18禁である以上「えっち」はあるんでしょうね。(^^;
すると、別に女の子だけ、または男の子だけであっても別にいいんですけど(爆)、普通は男の子と女の子が登場するわけです。
男の子と女の子が登場して「えっち」があるとすれば、(別に「愛のないえっち」でもいいんですけど(^_^;)、)「恋愛」というものが介入することは誰でも考えることでしょう。
このように、18禁ゲームで恋愛を扱う物が登場するのはごく自然な流れなのでした。
まずは恋愛を扱ったストーリーを元にして作るアドベンチャータイプのものが現れます。(これは18禁ゲームがシチューエーションを表現するのに1番簡単なアドベンチャーという形をとるものが多かった事を考えると当然でしょう。)
「きゃんきゃんバニー」シリーズなどがそれですね。(^^;
シナリオに沿って進むアドベンチャーはストーリーを楽しむのにはいいのですが、自由度が低いというのが欠点でした。
「同級生」(1992)はその常識を覆すことになります。
そこではプレイヤーはシナリオに縛られず全く自由に動くことができました。
このシステムは大ブレイクし、その後多くの類似品を生んでいきます。
この頃、またプリンセスメーカーから派生した「卒業」等の育成SLGがありました。恋愛疑似体験ゲームに育成の要素を取り入れた「初恋物語」のようなゲームもありましたが、育成がメインになるゲームは「ときめきメモリアル」の登場を待たなくてはなりませんでした。
それではパソコンゲームではなくコンシューマ機においてはどうだったのでしょうか。
コンシューマ機では恋愛という発想は生まれませんでした。いや、生まれてはいたのかもしれませんが、採算の合うゲームができるとは誰も思わなかったのでしょう。(^^;
「ときめきメモリアル」(1994)も作られた当時はヒットするとは思われていませんでした。
18禁恋愛シミュレーションでは、「えっちする」ことを目的とし、そこから始めて如何にそこまでの過程を作るか、というトップダウン的なところがありました。しかしコンシューマ機ではそういう目的はあり得ません。その代わりに赤の他人(あるいはそれに近い)状態から始まってどこまで仲良くなれるか、が目的になったのです。
同級生がアドベンチャータイプの基礎を作ったとすれば、ときめきは育成タイプの基礎、「自分を磨く+女の子をデートに誘う」という形を作りました。
ときめきはそのバランスの良さから徐々に注目され、PS版への移植をもって大ヒット作となります。
極端な話、全ての恋愛SLGの元はこの同級生とときめきであるとも言えるのです。
18禁以外で恋愛SLGが商売になるのは意外だったのかもしれませんが、本当はユーザ側にそういう需要があった訳です。
それで他の会社も似たようなゲームを出し始めたのですが、どんなものでも2番煎じは駄目…ですよね。(^^;
恋愛疑似体験ゲームへの需要は本物でした。
おそらくは18禁が発想の元であっただろうときめきは、逆に18禁ゲームに影響を与えることになります。
18禁恋愛シミュレーションの「えっち」の表現がソフト化されていくのです。
「同級生2」(1995)はその始まりとも言えるゲームで、同級生のシステムを改良・完成させ、難易度を上げることでよりゲーム性を高めました。
1996年に入るとソフト化は更に進みます。
「下級生」(1996)、「同窓会」(1996)は「えっち」をも恋愛の過程にしてしまった18禁恋愛SLG新時代のゲームということが言えるでしょう。
しかし1996年はまた同時に恋愛SLGの氾濫・マンネリ化時代の幕開けでもありました。
今後、今までと同じようなシステムで作ったとしてももはや成功することはないでしょう。どうやって新しい恋愛の「カタチ」を表現していくかが課題なのです。
かみ砕けば、プレーヤがストーリーの中の登場人物となって恋愛を疑似体験するのが目的のゲーム、ということになります。
a)シナリオアドベンチャータイプ
初期から見られる基本系です。シナリオに沿って進めていき、会話などの選択肢によって結果が変わっていくものです。
「きゃんきゃんバニープルミエール」などです。
b)フィールドアドベンチャータイプ
フィールドを自由に動いてイベントを起こしていくものです。「同級生」「同窓会」などです。
2.シミュレーション型
一般的には育成シミュレーションになります。自分の能力を鍛えたり、デート等を重ねて気分値を上げることによって女の子と親しくなるタイプです。これを恋愛SLGとと呼びます。
「ときめきメモリアル」、「エーベルージュ」(1996)などです。
1のタイプは恋愛AVG、2のタイプは恋愛SLGと名付けられた訳ですが、実際は恋愛SLGとまとめられてしまうことが多いようです。
これは恋愛を疑似体験(シミュレート)するから確かにそうなのですが……。(^^;
ここでは区別のため、「恋愛SLG」という(倍角文字の)表現の場合はこの2つを合わせたものを、「恋愛AVG」「恋愛SLG」と半角文字使った場合はそれぞれを表す、という表記法を用いることにします。
もちろんこの分類は大まかなものであって、その要素は時として複合して用いられます。「下級生」がフィールドアドベンチャータイプを基本としながら、気分値というパラメータの存在が非常に大きいものとなっているように。