開講が大幅に遅れて申し訳ありません。m(__)m
恋愛ゲーム研究会では、本講義に先立ち、恋G研メーリングリスト、ホームページとfj.rec.games.video.*等で「恋愛ゲームにセックスは必要か?」と題してアンケートを行いました。アンケートに協力して下さった方、本当にありがとうございます。m(__)m
それでは、早速アンケート結果を見てみましょう。
問、恋愛ゲームにおいて、セックスは本質的に必要なものなのでしょうか?
1 | ■■□ | 7(9.1%) |
---|---|---|
2 | ■■■■■■ | 18(23.4%) |
3 | ■■■■■■■■■■■■■■ | 42(54.5%) |
4 | □ | 2(2.6%) |
5 | □ | 1(1.3%) |
6 | ■■□ | 7(9.1%) |
いきなり最初から恋愛ゲームにおけるセックスが本質的に(恋愛を表現するために)必要なものなのかどうかをダイレクトに尋ねてみました。結果はご覧の通りで、実質的に選択肢1が「本質的に必要」、それ以外は全て「本質的な問題でない」ということなのですから、ほぼ9割の人が本質的には関係ないものであると考えていることが明らかになりました。
個々の回答に対する意見としては、次のようなものがありました。(ただし、適当に編集している場合があります。m(__)m)
本質的に必要という回答例。
本質的に必要ではないという回答例。
恋愛ゲームに対するスタンスの違いが現れているように思います。
また、6.その他という回答の例としては、
など、場合によって違うのではないか、という意見が多かったです。
さて、この結果から「恋愛ゲームにセックスは必要か」という問いにどう答えればいいのかということになるのですが、結論から言ってしまえば、「答えはない」ということになります。
なぜならば、恋愛に対する価値観も、セックスに対する価値観も人それぞれであって、これが正しい、というものはないからです。前述の問いに答えようとすれば、「恋愛とは何か?」「セックスとは何か?」という問いに答えなければならないことになりますし、これは明らかに個人の(そして恋G研の)範囲をはるかに越えた問題でしょう。
ですから、今回のアンケートについても全ての回答がその人にとって正しいものだと思います。
が、それでは何の議論にもなりませんので、全体の意見を踏まえた考察をしていきましょう。他の人がどう考えているかを知り、そして自分で良く考えることが大切だと思いますので、できるだけ多くの意見を載せたいと思います。
さて「恋愛とは何か?」と書いたのですが、実際には恋愛と恋愛ゲームは別々に考えなければならない訳で、当然恋愛におけるセックスの必然性と恋愛ゲームにおけるセックスの必然性は別のものとして考える必要があります。そして、恋愛における〜はともかくとしても、アンケートによれば恋愛ゲームにおける必然性は余りないようです。
これは恋愛ゲームに何を求めるか、ということとも深い繋がりがあると言えるでしょう。
今回のアンケート結果を全体的に考えると、一つのことが見えてくる気がします。アンケートを行った時期的なものも大きいのですが、例えば今回、ToHeartのえっちシーン(の必要性)について書いて下さった方が結構いらっしゃいました。
「恋愛を感じる」ために、多くの人は恋愛ゲームにえっちシーンを必ずしも必要としないばかりか、かえって邪魔に感じられることもあるようです。
シナリオ的に無理がなければいい、という意見に対しては、それならどういうシナリオなら無理がないのか、となってそれもまた人によって違う、ということになってしまいますが、あるどこかの辺りで「多くの人が納得できる」という基準は存在していると考えられます。
少なくとも、18禁だから必ずえっちシーンを入れなくてはならない的な考えは不自然さを感じざるを得ません。また、そこが今回ToHeartの非難されているところでもあった訳です。(その点では、同級生2やPia☆キャロットへようこそ!!2など、必ずしも攻略の必要条件になっていないものは好感が持てます。)
つまり、シナリオ上必要である場合にはえっちシーンを入れることに意味があるけれども、そうでない場合は逆効果にもなり得る、ということになります(先の6.その他の意見とほとんど同じです)。……当たり前と言えば当たり前のことなのですが。
これについては補講で再度取り上げる予定です。
それでは、今度は規則上の整備面から見た問題を考えてみましょう。
問、コンシューマゲームにおける性表現に対する規制はどの程度が適切であると思いますか?
1 | □ | 1(1.3%) |
---|---|---|
2 | ■■■ | 9(11.7%) |
3 | ■■■■■■■■■□ | 28(36.4%) |
4 | ■■■■■■■■■ | 27(35.1%) |
5 | ■■□ | 8(10.4%) |
6 | ■□ | 4(5.2%) |
現状容認派とPCレベルまでいいのでは?という意見を中心にきれいに分かれる結果になりました。
問、では、パソコンゲームにおける性表現に対する規制はどの程度が適切であると思いますか?また、もし前問とは異なるレベルの規制(=異なる選択肢)を選ばれた方は、どうしてコンシューマとパソコンで適切な規制が変わってくるのかも答えて下さると嬉しいです。
1 | 0(0.0%) | |
---|---|---|
2 | 0(0.0%) | |
3 | ■□ | 5(6.5%) |
4 | ■■■■■■■■■■■■■■■■■ | 51(66.2%) |
5 | ■■■■■■□ | 19(24.7%) |
6 | □ | 2(2.6%) |
こちらは現状容認派が圧倒的多数を占めました。
コンシューマとPCで規制に違いが必要な回答例としては以下のようなものがありました。
一方、画像が細かく、抽出や加工のしやすいPC上のゲームは、性表現を含むゲームに適していると考えます。どちらも嫌いではないので、前者を確保するためにもコンシューマ機での規制は続いた方がいいと思っています。(コンシューマ:3/PC:5)
また、規制に反対の回答例では以下のようなものがありました。
冒頭の問に比べると、この2つの問では主観的な要素が弱いので、はっきりとした傾向が現れているようです。
まず、PCゲームについては、規制の必要あるなしに関わらず、現状の方向性が容認されていると言えます。その中でも現在の18禁並の規制が妥当という意見が多かったのは、(恋愛ゲームにおいては)現在の規制レベルで十分表現が可能と考えているからだと思われます。もともと恋愛ゲームにおける性表現の必要性さえ問われているぐらいですから、過度な表現が必要ないのは当然でしょう。
もちろん、有力メーカーであるソニアの脱退など、コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)の倫理規定(内容は不勉強で良く知らないのですが、運用上は局部及びヘア等の直接描写の禁止…でいいのでしょうか?)に問題がないというのではありません。ただ、恋愛ゲームではその規定に引っかかるまでの表現が必要ないというだけのことです。過激なものを求める人は恋愛ゲームなどやらないでしょうし。(笑)
ソフ倫がある意味通過儀礼的なものになっているきらいはありますが、それでもユーザにとってはある意味安心して買える、ということもあるのではないでしょうか。(笑)ゲームを作る側のソフトハウスにとっては面倒なものかもしれませんが、ユーザ側はある程度好意的に受け取っていることが伺えます。
それに対し、コンシューマゲームにおいては現状容認と現状への不満、意見が真っ二つに分かれる結果となっています。
コンシューマゲームでは、最も権威ある?倫理規定としてはCESA倫理規定があります。
この規定も1字1句正確に覚えている訳ではないのですが、要旨としては大体次のようなものです。
これでもすでにサターンの18歳未満推奨以降は駄目になってしまうのですが、運用規定が公開されていないため、一体どこまでが許されるのかこれだけでは良く分かりません。
解釈次第ではどうにでもなるというのが法規則というものですから……。(汗)恋愛ゲームの存在自体を否定されては困ってしまいます。(激汗)
#まぁ、確実にアてられるジャンルですから潰されることはないでしょうけど。:-)
これは極論としても、どうもコンシューマゲームの規制はパソコンゲームに比べて不明瞭で足並みの不揃いさを認めざるを得ません。
結果的に個々のハードメーカーの不透明な規則に従っていることになります。現在の各ハードの通用的な規制は以下のようなものでしょうか(これも不勉強で正確には知りません(汗))。
N64/PS(一般) | 実写・アニメとも水着まではQK。下着は不可。 |
SS(18推) | 実写は下着不可。アニメは下着QK。裸は一切不可。 |
PC-FX(18禁) | 基本的にPCゲームの18禁とほとんど同じ。ただし精液等やグロテスクなものは不可?実写は……?さぁ?どうせアニメゲーム機だし。(笑) |
コンシューマゲームにおける規制の必要性では、年齢層の違いを挙げた人が多いのですが、しかし果たして本当に年齢層が違っているのでしょうか?PS/SSに関しては、若い世代のゲーム離れもあって、コアユーザ(及び恋愛ゲームユーザ)はすっかり18歳以上がメインになっているのではないでしょうか。
そこで、これらのユーザにおいてコンシューマゲームの規制が不満に思う人がいるのも無理もないことだと思います。
今回のアンケート結果も、コンシューマ機における18禁ゲームの需要が少なからず存在していることの現れと捉えても良いのではないでしょうか。
移植における問題も大きいでしょう。18禁PC恋愛ゲームがコンシューマ機に移植されるのがもはや当たり前になった今、性表現と規制は避けられない問題になっています。そのハードの規制で問題のある部分だけテキストとCGを差し替え、では納得する人はほとんどいないでしょう。かといって全く別なシナリオとバランスのゲームとして移植?された場合、初めてプレイする人はともかく移植前作をプレイした人の感想としてどれだけのものが得られるのか。果たして移植前作を越えるものが作れるのか。難しい課題です。
もちろん、サターン18推に対する好意的な意見も見られました。
まして、恋愛ゲームにほのぼのとした純愛を求める人ならば、もちろん規制も何もそういう表現そのものが必要ないのですから、サターンの一般ゲームやプレイステーションでも十分でしょう。恋愛ゲームに何を求めるかは人によって違うのですから。
移植などをしないのなら、コンシューマゲームは性表現なしで良いものを、PCゲームは性表現が必要なものを、という棲み分けをして、問題なくやっていけるという考え方があります。「えっちが好きならパソコンでやれ」と言うとあからさまですけど。(爆)すでにパソコンゲームでもCD-ROMで音声を使ったものが標準になり、恋愛ゲームに関しては圧倒的にパソコンゲームの方が良いクオリティで作れる時代になっていますので、パソコンで出して売れたら移植〜のような安易な考えさえやめて頂ければ問題ないのかもしれませんね。(笑)
特にコンシューマゲームの倫理規定・実際の運用についてはまだまだ考慮と熟成の余地があるように感じられる今回のアンケート結果でした。
ゲームにおける性表現の是非は難しい問題ですが、(少なくとも恋愛ゲームについて)言えることは、性表現そのものが目的ではないということでしょう。
しかし、あるそのストーリーにおいて重要な意味を持つと思われるならば性表現を伴うのを厭う理由もないのではないでしょうか。そして、もしその必要な表現さえも規制してしまうならば果たしてその規制は正しいものなのかという問題が、そこで起こるのだと思います。
何よりも大切なのは表現の幅を無理矢理狭めるのは避けるべきだということなのではないでしょうか。徒に厳しく規制するよりも、ある範囲の自由の中で、ソフトハウスがそれぞれの良心ある意思でゲームを作り、ユーザがそれぞれの選択でゲームをプレイすることが恋愛ゲームのより健全な成長にとって有意義なことだと考えるのです。
(その他の意見として……。)
数少ない18歳未満の方のご意見。でも現在のR指定(15禁)というのはかなり表現できるというか、十分サターン18推以上というか……。(^_^;;;
さて最後に。今回はあくまでより良き恋愛ゲームのために、ということで書いたのですが、建前と同時に本音が存在しているのも確か。(笑)補講では、その本音から見た「恋愛ゲームのえっち」を考えます。(^^;;;
その他、補講では本論で使わなかった最後の問とともに更に載せきれなかった皆様の様々な意見を載せる予定です。突っ込んだ内容になるのでは……。(^^;;;