鉄道の日イベントで、廃線後初めての列車が丸山まで走る
掲載: 2001.12.16

上毛新聞10月11日付より

碓氷峠にトロッコ列車

14日に信越線を走る碓氷峠専用保守機関車「500A」
 松井田町横川の碓氷峠鉄道文化むらを運営する碓氷峠交流記念財団(理事長・土屋真助役)は十四日、一九九七年に廃止された信越線横川―軽井沢駅間の線路の一部を活用して、同むらから旧丸山変電所までの約二キロの間にトロッコ列車を走らせる。一般の乗客を乗せた列車が信越線の線路の上を走るのは、同線廃止以来初めて。同財団の桜井正一常務理事は「好評ならば、今後も大きなイベントに合わせて運行を検討したい」と話している。

 信越線横川―軽井沢駅間は九七年の長野新幹線の開業に合わせて廃止。その後、上り線の一部はアスファルト舗装され遊歩道「アプトの道」として今年春に整備されたが、下り線は関係者が年一回除草や危険個所の点検をする程度で特に活用されていなかった。

 同財団では観光客や鉄道ファンから寄せられた「碓氷峠にまた列車を走らせたい」との声を受け、半年前から下り線を使っての列車の運行を独自に検討していた。その結果、同むらから旧丸山変電所周辺までは線路に問題がないことを確認した。また、踏切跡に職員を配置して交通整理をしたり、客車のデッキに誘導員を一人置き、線路内に人が入らないようハンドマイクで注意を促すなど、安全面にも配慮した。

 車両は線路補修の材料運搬などに使用していた碓氷峠専用保守機関車「500A」と貨物列車の最後尾に付くデッキの付いた車両、緩急車「ヨ8000」を使用する。所用時間は往復約三十分程度で、最高時速は約十五キロ。旧丸山変電所周辺では降車することができないが、周辺の紅葉をデッキから楽しむことができる。

 トロッコ列車は午前中三本、午後六本の計九本運行する。一回に付き定員は二十人。同むら内で運行している2フィートゲージ列車「あぷとくん」に乗った人に抽選券を手渡し、当選者を無料招待する。

 また、この日は入園料を大人三百円(通常五百円)、子ども無料(同三百円)にするほか、てこぎトロッコを使ったカーリング大会やレールスター(線路点検車両)の乗車体験、屋外展示車両の全車開放なども行われる。


運転の様子

撮影:「東京在住の応援団サポータ」さん

抽選で選ばれたお客様を乗せて丸山に向う列車。
牽引するのは、モータカーTMC500Aです。このモータカーは66.7パーミルを25t牽引可能で、碓氷線の保守作業、廃止後は文化むら屋外展示場への車両搬入などで活躍したものです。今回のイベント列車運転のために、旧国鉄ディーゼル機関車風に塗りかえられ、「DB20 1」というナンバーがつけられました。お客様が乗っているのは車掌車ヨ8841。


下り線を丸山へ向います。
上り線は「アプトの道」としてレールの上を舗装して遊歩道になっています。それ以外はほぼ廃線当時のままで、架線もまだ残されています(ただし横軽間の電力線は全て撤去されています)。


「終点」の旧丸山変電所前です。安全対策上の問題もあり、今回の運転はここまでです。
長らく廃墟状態で倒壊の危険も出てきていた旧丸山変電所ですが、現在は全面補修工事の最中です。抜け落ちていた屋根に新しい鉄骨の骨組が取りつけられています。

今回はイベントで一度限りの運転でしたが、安全面や経営面での万全の準備を行った上で、将来の鉄路復活につなげて欲しいものです。



屋外展示されているED42−1。

車体の一部に腐食や破損も見られ、徹底した整備が望まれます。
準鉄道記念物にふさわしい最高の状態で末永く保存されることを希望します。



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