The End of Evangelion
新世紀エヴァンゲリオンAir/まごころを、君に
感想と考察




本当の感想は「語る言葉を持たない」といったところなのですが、それではレポートになりませんね。とりあえず、思ったことを書きます。
多少記憶違いのところもありましょうが、許してね。
尚、かなりネタばれがありますので、まだ映画を見ておらず、先を知りたくないという方はご遠慮ください。





それでは、いきます。



まず25話「Air」Aパート。
これは春のREBIRTH部分ですが、画像・音響・カット割りのいずれにもリテイクが入っており、非常にすっきりとした構成でわかりやすくなっています。
春は「謎を明らかにする」という触れ込みだったので、無理矢理詰め込まざるを得なかったのでしょうね。

そして副題「Love is Destructive」(愛は破壊的)のアイキャッチに続きBパート。
量産型エヴァ(以下ウナゲリオン(^^;;))9体と対峙するエヴァ弐号機。

一方、シンジをケージに向かわせる際に、撃たれてしまうミサト。
「他人を傷つけてまでエヴァに乗る資格はない」「だから何もしない方がいい」と言うシンジに対し、最期の力を振り絞って自らの経験を吐露し、説得するミサト。
そして別れの、大人のキス。
ミサトにとってシンジとは、手のかかる弟であり子供であったのでしょうね。
リフトに突き飛ばされたシンジが扉の閉まる直前に見たミサトさんの微笑みが、この映画で2番目にすばらしいカットだと思います。
力つき、倒れるミサト。
「加持くん、わたし、これでよかったのよね・・・」
泣かせます。事実、ミサトさんについては文句を言う人は私の知る限り皆無ですね。

改めて弐号機対ウナゲリオン。
話は前後しますが、アスカの復活は本当に「偽り」なのでしょうか?
ミサトとの交信後に「全機殲滅だなんて、病み上がりに気安く言ってくれちゃってぇ」と毒づいたり、戦闘中に「バカシンジなんてあてにできないのに〜!」とか叫ぶところ。
母親との、エヴァとの絆のみで復活したのならば、こんなことは言わないと思うのですが。
仮にあのままウナゲリオンを殲滅できていたなら、エントリープラグからはいつも通りのアスカが現れたと思うのです。
とにかく、戦闘開始。
静かな「G線上のアリア」が妙にはまっています。
そして強い!強すぎるぞ弐号機!!
ここにきて初めてプログナイフ(改)のブレード交換シーンとか、肩パーツからのトゲトゲ射出(ある種秘密兵器?)とか、槍を奪ってのチャンバラとか、見せ場たっぷりです。

その頃、セントラルドグマではゲンドウとレイをリツコが待ち受けていました。
ネルフ本部の自爆を謀るつもりが、カスパーの否決にあって失敗。
「赤木リツコ君。本当に・・・」
「・・・うそつき。」
撃たれる前に言うリツコの顔は、幸せそうでした。
ゲンドウは何を言ったのでしょう?
復讐に凍り付いたリツコの心を一瞬で溶け崩してしまう一言。
私としては、「自分の弱さを認める言葉」、もしくは「そんな自分を愛してくれたことに対する感謝の言葉」と思いたいのですが・・・。

そして未だ奮戦中の弐号機。
活動限界ギリギリで全てのウナゲリオンを戦闘不能にしますが、どこからともなく槍が飛んできます。
A.T.フィールドで受けとめますが、なんと槍が変形!しかもそれはロンギヌスの槍!!
あっさりとA.T.フィールドと弐号機の左目を貫く槍。同時に弐号機活動限界。
ここから先はもう酷いとしか言いようがありません。
特にアスカが左目から血を流しながら狂乱状態でレバーを動かしている姿が痛々しすぎます。
どういうわけか復活するウナゲリオン。
一斉に弐号機に襲いかかり、腕をちぎり、はらわたを食い荒らし、再び空へ。
電源は切れてるのに、神経接続は解除されてないの?マヤも口を押さえてないでなんとかしろよ!
殺意を込めて伸ばした腕をロンギヌスの槍が裂断し、次々と9本の槍が突き刺さります。
アスカの腕が割れたのはイメージか、それとも現実か・・・
パンフレットも他のホームページでもこのことを「陵辱」と言ってますが、私はこの言葉を使いたくありません。
確かにメタファー的にはそうでしょうが、あくまでエヴァとダミープラグ、ひいてはそれを創り出した人間の持つ残虐性と捉えています。

ケージに響くマヤの絶叫。でもシンジはベークライトに固められた初号機にやる気ナッシング。
怒ったユイ母さんがシンジを無理矢理乗せたのでしょう。
翼を生やし地上に出た初号機、それとシンジが見たものは、ウナゲリオンの口からぶら下がった無惨な弐号機の姿。エントリープラグは確認できません。
絶叫するシンジ。

ここでスタッフロール。
素直にあの歌とCGに感動しました。だまされてる?

そして26話「まごころを、君に」。
セントラルドグマでは、自らの補完計画を遂行しようとしていたゲンドウをレイが拒絶し、リリスと融合。
「ただいま。」「オカエリナサイ。」
う〜ん、レイがアダムだったのか?「アダムとリリスの禁じられた融合」とかパンフであるし。
でもあの地下の巨人はリリスの抜け殻で、リリスの正体はレイで、「アスカ、来日」で加持が運んできた物体が本当のアダムであるというのは確定してるし・・・
ゲンドウが取り出そう(?)としていたレイの子宮(??)にアダムが宿らせてあったのかもしれません。

巨大化するレイ(!)。もうめちゃくちゃ。おびえるマヤの気持ちも分かります。
とうとう地上にまで出てきて、初号機の前に現れます。
最初は目が洞のようになっていたものが、まばたき一回で赤い瞳が生まれます。
発狂状態で叫びまくるシンジ。非常によくわかります。
観ているこっちが「あたまがくるう〜(声:白鳥由里)」状態なのに、シンジの立場ならたまったものではないでしょう。
そのうち月からロンギヌスの槍オリジナルが戻ってきて、ウナゲリオンに磔にされ、セフィロトの樹の図版を描きます。ちょうど10個ある球体の位置に。
もし参号機や四号機が健在だったらどうだったのでしょう?それらの消滅すらも死海文書の記述通りだったのでしょうか?
とにかく、とうとう起こったサードインパクト。
爆発力自体は大したことありませんでしたが、ジオフロントがリリスの卵、黒き月となって空に舞い上がっていきます。
ウナゲリオンにも顔が生じて、レイゲリオン(-_-;)となります。内臓や脳味噌見えてます。
またもや発狂するシンジ。
すると巨大レイにもう1つ上半身が生まれて、しかも今度はカヲルです。もう何がなんだか。
でも今度はシンジくん嬉しそうです。やっぱりお前変だぞ。
初号機はロンギヌスの槍と融合して、生命の樹になってしまいます。
かつて「知恵の実」を手にした人と、「生命の実」を手にした使徒。
同じものから生まれながら、生き残るために他を駆逐しなければならない存在。
その2つの実を同時に手にすることこそが「人類補完計画」だったのです。
まるで、まさに「BASTARD!!」。ダーク・シュナイダーが創られた理由こそが、「生命の木の実」が象徴する人間の脳に仕掛けられた神の封印、霊的能力の制限の解除=人間の進化にあったわけですから。(ちなみにこのエピソード、エヴァが放送される1年以上前に描かれたもの)

ここでいよいよ始まります、内面世界。
まずは保育園のシーン。
なぜか映画のセット。女の子の人形が2体。
幼いシンジが砂場でネルフ本部(^^;)を作りますが、自ら壊してしまいます。
女の子に冷たくされた(裏切られた)ことに対する代償(八つ当たり)行動でしょうか。庵野監督の経験?というより、ふられて自棄になるなんて誰にもありますよね。
次にテレビ弐拾伍話でもあったミサトと加持の同棲シーン。声も映像もかなりやばいですね。足の指が開くところがリアル。
「真実は時に痛みを伴う」。その通りですね。
そして台所シーン。とことんアスカが冷たい。というより、恐い。ペンペンは気が気じゃなかったことでしょう。
電車では、アスカが「あんたの全てが手に入らないのなら、あたしはいらない。」と言ってますが、これは単純に「シンジ、あたしのものになって!」ということなのでしょうか?
再び台所。
アスカに突き飛ばされ、こぼれたコーヒーで火傷して、更に「哀れね。」などと言われ、とどめは「・・・イヤ。」
遂にシンジ切れてアスカの首を絞めます。まだ補完は始まってないので、これは過去の回想なのか、シンジの心の中の世界なのか、判断付きにくいです。
で、ここからサブリミナル映像の嵐。ここの音楽(Komm,susser Tod)非常によいです。
テレビ放送時のサブタイトルが次々に流れていくのも郷愁(?)を誘います。

再び現実世界。
初号機やジオフロントは大気圏上層にまで達し、それにあわせて巨大レイも超巨大レイになり、翼まで生えます。地球から飛び出してるよ。
アンチA.T.フィールドが最大となって、人間を形作り自分と他人を区別する心の壁、A.T.フィールドがかき消され、人々がLCLへと還っていきます。
日向はミサト、冬月はユイ、マヤはリツコの姿に抱かれ幸せそうにLCLになっていきますが、シゲル・・・かわいそうに。
皆さんも、いざという時のために想い人くらいは心に秘めておきましょうね。(^^;;)

さて、そんな中ゲンドウだけはちょっと様子が違います。
ゲンドウの側には、ユイ、レイ、そしてなぜかカヲルがいます。
そしてゲンドウは告白します。
「自分がシンジの側にいるとシンジを傷つける。」「だから何もしない方がいい。」「自分が人に愛されるなんて信じられない。」
結局、ゲンドウもシンジと同じだったんですね。
他人に触れるのが、自分が傷つくのが恐くて逃げた男。
ゲンドウは突如現れた初号機に「るろうに剣心」の宇水状態にされてしまいますが、あれは何だったんでしょう?
初号機は生命の樹になってますし・・・
そういうことで、ゲンドウだけはLCLにならなかったようですね。
この辺が「父にありがとう」なのでしょうか?シンジの望んだ世界に入り込まなかったこと?それとも、最期に「シンジ、すまなかったな。」の言葉を聞けたこと?

キールも満足げにLCLになっていきます。補完計画はゲンドウにとってもキール(ゼーレ)にとっても予定外の事象が重なりましたが、結局双方とも結果オーライだったようです。
ゲンドウはユイに会うこと。
キールは人としての形を失うこと。
多分、彼はほとんど機械となっていた自分に絶望していたのではないのでしょうか?
かといって自殺するほどの勇気もないし、1人の孤独にも耐えられない。
だから世界中の人を道連れにして、世界中の人々の心と1つになろうとした。
彼も弱い人間だったのでは・・・

世界中の人々の魂が黒き月に集まり、リリス(超巨大レイ)の中で1つとなり、レイゲリオンは自らのS2機関にロンギヌスの槍を突き立て自滅します。
そして初号機もリリスと融合します。あのカット、危なすぎるよ。よく映倫通ったな。

ああ、とうとうきた、実写シーン。
まあ心配してたほどではありませんでした。アスレコスタジオからみやむーやめぐ姉に直接「気持ちいいの!?」なんて言われた日には立ち直れなくなるところでしたからね。
映っていた観客の1人にむかついたのは私だけでしょうか?(あいつだよ、あいつ)

「夢って何だろう?」「夢は現実の続き。」
「現実って何?」「それは夢の終わりよ。」

崩れていくリリス。
シンジとレイがLCLの海で1つになって(!?)います。なんかいきなり落ちついてますが。
「これは違う。違うと思う。」
シンジはLCLの海・・・自分も他人もない世界よりも、他人のいる・・・他人のA.T.フィールドが自分を傷つけるかもしれない現実を選択します。
シンジの心の中にいるレイやカヲルは好きだという言葉と共にある希望。
「でも・・・会いたいと思った気持ちは、本当だと思うから。」
この時の楽しそうな全員集合のカット!!この映画最高のカットです!!これが見たかった!!

初号機がリリスから現実に戻り、同時にリリスの卵が割れ、リリスが崩れていきます。
人々の魂が解放され、ウナゲリオンが石になって地上に落下します。
最後に、シンジはユイに別れを告げます。
ユイは50億年後、地球も、月も、太陽さえ消滅しても、人類が生きた証としてエヴァと共に永遠の孤独の中に生きることを選びました。
そりゃゲンドウも傷つくわな。
「1人で生きてはいけない」「1人で生きてちゃいけない」というナディアの名言はどこに・・・?
とにかく、「母にさようなら」の意味は明らかにされました。

「生きているかぎり、どこでも天国になるわ。だって生きているんですもの。太陽と月と地球があるかぎり、だいじょうぶ・・・」

うう、ここできれいに終わってくれればよかったものの・・・
副題「One more final:I need you」(もう1つの終局:君が必要なんだ)
リリスの顔が落下しているってことは、現実には違いないのでしょう。
ミサトの墓標。
砂浜に横たわるシンジと傷だらけのアスカ。
一瞬、赤い水面に現れるレイ。
シンジはアスカの首を絞め、アスカはシンジの頬を撫で、シンジは泣き出します(吐いているようにも聞こえる)。
そして予期せぬアスカの一言。
「・・・気持ち悪い。」
なんだー!これはいったいなんなんだー!!
シンジに対して?自分に対して?それとも観客を含めた他の誰かに対して?
たとえこれが初期設定通り「あんたに殺されるなんてまっぴらよ」だったとしても、このシーンの存在そのものが不可解です。
庵野監督の「現実に帰れ」というメッセージだとしても、これでは逆効果でしょう。また新たなるネタを提供してくれただけです。
まあ監督がどうのこうのではなく、あくまでキャラクターの心情から判断すれば、シンジがアスカの首を絞めた理由は、
「補完世界で酷い目に遭わされた仕返し」
と言ったところでしょうか。アスカがウナゲリオンに襲われているときに見捨てておいて仕返しも何もあったもんじゃありませんが。
夢と現実の区別がつかなくなって、発作的に首を絞めた、と。
でもアスカの手の感触と温もりによって自分を取り戻し、自分の犯しそうになった罪への後悔と嫌悪に涙した。
アスカはそんなシンジを見て「偽善的」とか「自分勝手」とか「何やってるの、理解できない」だとか思って、その感情が「気持ち悪い」という言葉になって出てきてしまった・・・と考えます(我ながら甘いなあ)。

とにかく、大概の謎は明かされ、いくつかの謎は残ったエヴァンゲリオン。
本編はこれで終わりましたが、私たちの心の中ではネバーエンディングストーリーとなることでしょう。
最後に、エヴァンゲリオンに携わった全てのスタッフ・キャストに「ありがとう、お疲れさま」


意見・感想・反論・文句などは
herewego@big.or.jp
まで。


すらっぷすてぃっくす タイトルページに戻る