一緒に暮らすようになり、お互い自分の気持ちに気付き始めたシンジ・アスカ

だが、なかなか踏み込めないでいる二人

ミサト曰く。「なんかきっかけがあればねぇ」

そして、きっかけは突然やってくる。

 

きっかけは突然に・・・

 

「シンジのやつおっそいなぁ」

時間は6時過ぎ。当然葛城家では夕飯の時間である。しかし、シンジはまだ帰ってこない。

「このアタシを飢え死にさせる気ぃ。」

ダイニングテーブルで指をトントンさせているアスカ。自分で作るという考えは浮かばないらしい。

「はぁ。それにしてもお腹すいたわ。なんかないのかしら?」

そういって冷蔵庫を覗くアスカ。冷蔵庫の中は、さすがシンジと言うべきか、整然としている。

「今日はチャーハンなのかな? 早く食べたいなぁ。」

どうやらお冷やのご飯からそう材料から判断したようだ。なら、自分で作ろうとは思わないのだろうか?

(アタシが作ちゃおうかな? アイツどんな顔するかな?)
(でも、シンジの料理食べたいし・・・・)
(アイツの取り柄が発揮できること取っちゃまずいしね)
(美味しいって言ってあげると、アイツ嬉しそうだし)
(アタシが作って、美味しいて言ってもらえたら、やっぱ嬉しいのかな?)

乙女の心理は複雑である。エプロン持ちつつ思考中である。そんな時にちょっかいは必ず入るものである。開く扉、そこには・・・

(シンジ?)

慌てて言ったセリフは

「おっそ〜い。何やってたのよっ!!」

「えっ なんか待たせてたぁ」

と言って靴を脱ぐミサト。

「なんだ、ミサトか・・・」

残念がるアスカ。ニヤつくミサト。

「ごめんねぇ、愛しのシンちゃんじゃなくてぇ」

「なに言ってんのよ!!」

「シンちゃんかと思ったんでしょ?」

「別にぃ・・・・」

「そぉぅ? 残念そうな顔してるように見えたけどぉ?」

「・・・・・・・・」

自分の気持ちを自覚しているだけに無言になってしまうアスカ。ミサトはと言うと・・・・ やはりビールを開けてる。

「それにしてもシンちゃんどうしたのかしら?」

「3バカでどっか行ってるんじゃない?」

「愛しのアスカを残してぇ?」

「なに言ってんのよ!!」

やはりビールの入ったミサトはオヤジであった。”愛しの”と言われて変にシンジの事が気になりだしたアスカ。

(でも、なんの連絡もよこさないなんて・・・)
(どうでもいいのかな?)
(でもアイツそういうヤツじゃないし)
(どうしたのかな? まさか・・・)

「でも、まさかシンちゃん事故とかじゃないわよねぇ」

「ちょっ ちょっと、やめてよ!!」

「ゴメン。しゃれにならないわね。」

さすがにミサトもまずいと思ったようだ。アスカの顔には明らかな不安が浮かんでいる。そうミサトがからかえないほどに。そして、その不安が二人を支配するとき、

「トゥルルルルルル、トゥルルルルルル、トゥルルルルルル」

ビクッとするアスカ。怪訝な顔で電話を見るミサト。

「アタシがでる」

電話機に近いアスカがそう言う。受話器に伸ばすその手は、微かに震えているようにも見える。

(痛い。心臓が早く打ちすぎて、血管が痛い)
(まさか・・・・ シンジ・・・・)

「はい。葛城です。」

いつもよりはるかに弱々しい声のアスカ。電話の先には、

「あら、アスカなのね。」

リツコであった。アスカは大きなため息をつく。半分安堵、半分不安の。しかし、リツコの話す続きは、

「あのね、シンジ君事故で入院したから。ミサトにも連絡お願い。じゃぁ。」

あまりにも衝撃的な事実。真っ青な顔になるアスカ。思わずミサトも叫んでしまうほどに。

「アスカ!! どうしたの!!」

アスカの頭には黒い霧のみが支配する。事実を受け入れず呆然としている。

「アスカ!!」

「シンジが・・・・・・・入院したって、リツコから・・・・・・・」

ミサトも一抹の不安に駆られるが、受話器を代わる。

「もしもし? リツコ? チッ 切れたあとか」

電話が切れていたことに歯ぎしりしながら振り替えるミサト。アスカは呆然としながら、

「シンジが・・・・・ 入院って・・・・・・ どう・・・・したらいいの」

目に涙を貯めつつ、弱々しい声で呟くアスカ。

「どうもこうもないわよ。取りあえず病院行くの!!」

少しミサトの語調は強くなる。それは不安の現われでもある。

「うん・・・・・・・・・」

そして爆音と共に青いルノーは、激走して行く。

 

そして病院

廊下を駆けて行くアスカとミサト。二人とも取る物も取りあえずと言った感じである。

「それで、シンジ君の容体は?」

あまりにも呆然としているアスカを見て、さらに車を飛ばす事により、ミサトは冷静さを取り戻したようである。

「分からないの!! リツコから連絡あっただけで・・・・」

訝しむミサト

(嫌な予感がする。可笑しすぎない。)
(リツコのやつ、なんか企んでない?)

さすが作戦部長である。冷静になれば、状況判断が冴えてくる。慌てたのは家族と思う故か、年齢故か。そんな内に病室の前まで来ていた。

「シンジ!!」

真っ先に入ったのはアスカ。不安よりも気遣う心の方が凌駕していたようだ。

「アスカ〜 ちょっと助けてよ。止めるように頼んでよ〜」

情けない声で助けを求めるシンジ。

「ほへっ?」

訳の分からないことを呟いてしまうアスカ。

(アタシとシンジしゃべっているよね?)
(え〜っと どういうこと?)

状況判断に苦しんでいるようである。病室では、シンジがベットに固定され、リツコが満面の笑みを浮かべている。

(シンジ・・・ 怪我しているみたい・・・)
(でも、なんで動けなくされているの?)
(リツコが笑っている)

「あっ ミサトさんも止めるように言ってくださいよぉ」

立っているミサトに助けを求めるシンジ。こめかみを押さえながら、ミサトがようやく口を開く。

「リツコぉ あんたって人はぁ。いいかげんにしなさい!!」

どうやら本気(マジ)で怒っているようだ。しぶしぶシンジを開放するリツコ

「あら。ミサトは冷静なのね。バレたのかしら?」

「どういうこと? ミサト」

アスカはまだ分からないらしい。マジギレ寸前のミサトは怒鳴るように

「リツコは私たちが慌てふためく姿が見たかったのよ!!」

「だから、止めて下さいって言ったんですよ。大事になっちゃったじゃないですか。」

開放されたシンジが文句をいう。当然である。

「じゃぁ、シンジの入院も嘘なの?」

怒るまでいかないアスカ。シンジの姿はあくまで怪我人。その不安が取れていない。

「それは本当よ。まっ あくまで大事を取ってだけどね」

ようやく本当のことを言い始めるリツコ。どうやら満足したらしい。

「オホホホオ どう? やはり心配した?」

その言葉にミサトは

(この私が一箪でも冷静じゃなくなるなんてね。)
(そこまで心配・・・・ そうか家族だから当然なのね)
(でも、安心したらハラ立ってきたなぁ)
(これって、リツコに試されてたってこと?)
(リツコの奴ぁ)

「リツコ!! あんたちょっとこっち来なさい」

「なっ なによ」

この人は試すつもりは毛頭なく、ただ純粋にからかいたかったらしい。悪質ではあるが・・・・ 大魔人ミサトににらまれ、引き気味のリツコ。

「謝るわよ。ねっ ミサト。 ちょっ ちょっと?」

「ダメ」

そうしてミサトに連れて行かれるリツコ。残されたシンジとアスカは

「シンジ・・・ 怪我は大丈夫なの?」

「あっ 大した事ないよ。肩を脱臼したみたいだから少し痛いけど。」

シンジはケロッ言ってのける。しかし、アスカは涙目で

「何よ。軽く言ってくれちゃって・・・ 心配したんだぞ」

「事故ったって事しか分からなかったし・・・・・」

「もしかしたら・・・・・・・って。アタシ、アタシ・・・・・・・」

「アスカ・・・・・・」

暫し沈黙する二人。そして、

「アスカ、ありがとう。心配してくれて」

「・・・・・・・」

アスカは俯いて沈黙のままである。続けるシンジ。

「本当は自分で連絡するつもりだったんだよ。でも、そしたらリツコさんが・・・・」

「止めようとしたら、固定されて『面白そうだからいいじゃない』って。で、こんなことになっちゃったんだ。」

「ねぇ アスカ・・・・・・」

怒っているのじゃないかと心配になるシンジ。

「怒ってるの?」

「さっき、ゴメンって言ってたら怒った。」

まだ涙を浮かべているが顔を上げて言うアスカ。

「本当、 本当に心配だったんだから。苦しかったんだから」

「アスカ・・・・・・」

さりげなく動く方の手をアスカの肩に乗せるシンジ。

「シンジ・・・・」

「アスカ・・・・」

そして二人の距離は近づいていく。

少しづつ

少しづつ

突然のきっかけで・・・・・

FIN

written by nark


[後書きみたいな物]

どーも、なーくでございます
一身上の都合で閉鎖した私のサイト
残った拙作を引き取ってくださった平岡さんに多謝!!

第1弾は「きっかけは突然に・・・」
私がSSを書き始めた最初の作品です
怪我して思いついたお話ですね
うーん、懐かしい

こんな物載せて頂いていいのかな?
足を引っ張らなければいいのだけど・・・
平岡さんのHPの益々のご発展をお祈りしております


はにゃ〜ん([c]CCさくら)コメント(爆)

『第三新東京市内某所』

平岡 :さてさて、なーくさんからサイト閉鎖に伴い、作品をこちらでお預かりすることになりました!
シンジ:どうも。なんだか久しぶりに平岡さんに呼ばれて来ました。某作品じゃ、出演してないようなものだし…。
アスカ:ア〜ンタの扱いなんてどーでもいいのよ! アタシが華麗に活躍しさえすれば。
シンジ:ひ、酷いよ! アスカ!! 事故だって聴いたときにはこんなに心配してくれたじゃないかぁっ!
アスカ:こっ、これはっ、そ、そう! 今後の作戦行動のことを心配したに過ぎないのよっ!
平岡 :(あ〜あ、始まった。しかもなんて子供っぽいわかりやすい言い訳なんだ(^^;)
シンジ:うううう、嘘だったんだね!? あの言葉も、涙もみんな!
平岡 :(きっ、君もあっさり騙されるか、フツー……)
アスカ:そ、それは
シンジ:あんまりだよ。僕はアスカが本気で心配してくれたんだと思って、嬉しかったのに……。
アスカ:えっ!
平岡 :(ああ、痴話喧嘩なら他の所でやってくんないかなぁ……)
シンジ:……嬉しかったんだ。アスカが本気で、本気で僕を心配してくれたのが。
アスカ:本気に決まってるじゃない……。アタシはシンジのことが、シンジのことが……
平岡 :ええい! コメントにならん! なーくさん、第1弾、「きっかけは突然に・・・」。コメントの一行目じゃないですが、まさに「はにゃ〜ん」な気分になりました!
     しかしこれでホントに大怪我でもしていたら、アスカ嬢はどうなっていたんでしょう?(爆)
     後書きでは「足を引っ張る」なんて大変謙虚なコメントを残されていますが、全然そんなことありませんよ!!
     素晴らしい作品、ありがとうございます! 嬉しいッス。

     感想は是非ともなーくさん、ご本人へ!(nark@imix.or.jp


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