熾烈を極めた使徒との戦い

身と心をボロボロにしながらも戦った少年少女達の事はご存知でしょう

そして幾つもの選択の中から掴んだ未来

ほんの少し優しくなった世界

穏やかなに流れる時間

ちょっと大人になった子供たちの姿を見てみることにしましょう


pleasant wind, quiet time


芳しい木々の森

煌く太陽の木漏れ日

道端に生える見知らぬ草花

軽やかに舞う虫達

吹き抜けていく心地よい風

そして、穏やかに流れる時間

特別なことをしている訳じゃないの

とても身近なことをしているだけなの

でも、あたしのお気に入りの過ごし方

そんな気持ちのいい時を与えてくれたのは・・・・・・・・・


涼しい所へ行きたい!

季節が戻り始めているとはいえ、まだまだ常夏な日本

クーラーの効く建物以外にそんな所、そうそうないわよね

でも、そんなあたしの我侭なリクエストにシンジは車を走らせる

どこへ行くのかしら?

「多分涼しいと思うんだけどなぁ。さぁ、着いたよ。」

着いたの?

結構走ったわね

40分くらい走ってたのかしら

んっ? 森林公園?

へぇ、こんなところがあったの

シンジは日陰に車を止めると、あたしに呼びかける

「こういう所はどうなかな?」

なるほど、森の中だったら涼しいかもしれないわね

なかなかいいチョイスよ

早速、外に出てみましょう

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・

暑いわね

「うん、暑いね。」

にこやかな顔で、『うん、暑いね』じゃないわよぉ

ぜんぜん、涼しくなーい

シ〜ン〜ジ、話が違うぞ!

こらっ、笑いながらどこ行くのよ

「駐車場なんだから当たり前だよ。森の中入ったらだいぶ違うよ。」

・・・・・・・・・そりゃそうか

下、アスファルトだもんね

もう昼過ぎているから、かなり熱ためてるわね

あっ、あそこなんか陽炎でてる

汗が滲み出てくるわぁ

「ほらっ、アスカ、おいでよ。日焼けしちゃうよ?」

シンジがあたしの方を振り向いて、手を差し伸べている

ああん、待ってよ

えへへ、お待たせ!

少しでも体動かすと、汗かいちゃうわね

ハンカチ、ハンカチと

「森の中歩いたら、結構涼しいと思うよ。」

うん、森の中は涼しそう

じゃぁ、今日のデートはお散歩ね♪

ちゃんと歩くのって久しぶりな気がするわ

今日、ズボン履いてきて正解だったわね

スカートじゃ、ちょっと・・・・ね

「他のところがよかったかな?」

えっ、お散歩もいいなぁって思うわよ

どこかへ遊びに行くのもいいけど、こういうのもいい感じ

それに・・・・・・・・・・シンジと一緒だったら、どこでも楽しいもの

映画見ていたって

ドライブしていたって

もちろん散歩していても

だから、そんなに気にしなくても大丈夫

「アスカ・・・・・・・・・・・・・・」

うふふ、さぁ、お散歩しよ、お散歩っ♪

今日はとっても天気いいから、出かけたい気分だったのよね

やっぱりこういう日は、お外に出なくっちゃ

人間もお日様が出ると動き出して、暗くなると動かなくなる生き物って言うの本当ね

太陽の光浴びていると、体動かしたくなってくるもの

「でも、暑さで汗かいちゃうけどね。」

あっ、シンジも結構汗かいてるわね

ハンカチ使う?

やっぱ、誰でもこの暑さで歩くと汗でてくるわよね

もう少し風があれば・・・・・・・・・・??

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・っ!!

・・・・・・

・・

うわぁ、涼しいぃ

気持ちいい風が吹いて来るっ!

「うん、気持ちいいね。風がある無いではこんなにも違うんだね。」

違うなんてもんじゃないわ

体動かして汗かいたからかもしれないけど

火照った体を冷ましてくれる風がこんなにも心地いいものだなんて

シンジ

ここに来て正解よ

シンジの考えの通りだったわ

森の中だから、都会みたいに熱風が吹いて来るわけじゃないし

クーラーみたいに不自然な涼しさじゃないし

う〜ん、本当に気持ちいいわ

「無機的じゃなくって、有機的な風とでもいうのかな。生き物が本来知っている涼しさなんだろうね。」

有機的な風かぁ

風の中に命を感じているってことなのかな

シンジの言う通りかもしれない

科学が進んで忘れかけていることなのね、きっと

こんなにも素晴らしいことなのにね

んっ、どうしたの?

あたしの方じっと見て

「えっ、なんでもないよ。ちょっとアスカに見惚れていただけ。」

えっ、見惚れていたって・・・・

もうっ、何を言うのよ

シンジって突然そういうこと言うから、こっちは照れるのよね

あっ、今、笑ったでしょ?

隠してもダメっ

「くすっ、照れているアスカもかわいいよ。」

もうっ、シンジったら!

何か今日は、シンジに乗せられっぱなしね

でも、まっ、いいか

今日のシンジは何か、いつも以上に格好良く見えるから

今日はず〜っと、リードして貰おかっな?

「・・・・・・さぁ、もう少し歩こうよ。風も出てきたから、歩きやすいからね。」

くすくすっ

照れてる、照れてる

やったね!

少しはやり返さないとね

「アスカ、置いてっちゃうよ。」

くすくすっ

そんなことしないのは分かってるわよ

でも、シンジに迷惑かけられないから、ちょっとペースアップ

シンジの顔を覗き込んで見たけど、怒ってはないみたね

よかった、よかった

”しょうがないなぁ”って感じで笑ってるわね

てへへ

あたしもつられて笑っちゃうのよね

「さ、行こうか。」

うん、お散歩の続きね

ぐるっと回るの?

なら、結構歩くのね

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・

「疲れた? 少し休もうか?」

えっ?

シンジが2歩くらい前でこっちを向いて振り向いている

隣を歩いていたはずなのに

登坂だったから、差が出来ちゃったのかしら?

いつのまにか無口になっていらから、シンジは心配したのね

大丈夫、そんなに疲れたって感じじゃないから

「そう? 休憩入れたくなったら、言ってね。」

うん、ありがとう

シンジは疲れて・・・・・・・・・・・・ないみたいね

あたしみたいに全然息切れてないし

まだ、トレーニングを続けているの?

さすが、『継続は力なり』を実践してるわね

「ふふっ。逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、ってね。」

シンジ、ってそういうところが一番凄いのよね

過去の事実を吸収して、それを力に変えていっているって感じ

今のシンジは笑って、そういう風に冗談言えるのよね

体だけじゃなく、心も大人になったんだね

あたしはまだまだ、大人になりきれてないのに・・・

なんか、シンジの背中が大きく見える

シンジの背中?

・・・・・・・・・・・・・・・

あっ、またシンジとの距離が2歩くらい空いていちゃった

シンジが歩くの速すぎるわけじゃないのよね

あたしよりも背の高いシンジは十分歩調を合わして歩いてくれてる

じゃなかったら、もっと間が開いてるもの

「アスカ、どうしたの?」

立ち止まったあたしに、シンジが振り向いて手を差し伸べてくれている

そうか

これがあたしとシンジの今の関係なんだね

社会的には働いているあたしの方が先を歩いているみたいに見えるけど

でも、実際はシンジの方が前を歩いていて

あたしを気遣って、時には手を差し伸べてくれる

”今日は”リードしてもらっているんじゃないんだ

”今日も”リードしてもらっているんだね

でも、こんな関係も・・・・・・・・・いいな

「どうしたんだい?ニコニコしちゃって。」

えへへ、なんでもないよ

ねぇ、シンジ

手、繋いでもいい?

「ん?いいよ。疲れたんだったら、引っ張ってあげようか?」

ふふっ、大丈夫よ

シンジを近くに感じたかっただけだから

シンジ、今日気づいたことあるんだ

あたし達って少しずつ変わってきているんだね

独りで強がっていた頃のあたしはシンジの前を歩いていた

人の温もりを知った頃のあたしはシンジの隣を歩いていた

そして、人を支えることの難しさを感じている今はシンジの後ろを歩いている

シンジに支えてもらってばっかり

あたしも頑張んなくっちゃね

「いつでも頑張り屋さんのアスカ。そんなアスカが好きだよ。」

アリガト

あたしもシンジをちゃんと支えられるようになるからね

だから、今は・・・

今は至らないあたしを許してね

「今でもアスカには支えられているよ。至らないのは僕も一緒。お互い頑張んないとね。」

うん

もっとシンジを支えられる存在に

もっとシンジの傍に

もっといい関係に

もっと幸せに

「どうせだったら、他の人が羨むくらいに幸せにならなくっちゃね。僕の周りはもう思ってるだろうけどね。」

『いい彼女居て羨ましいな。幸せ者め。』とか言われているの?

ふふふっ、シンジも大変だ

見た目だけで判断している人には、シンジの苦労なんて分からないかもね

でも、きっと、もうあたしの周りの人も、羨ましがってるよ

誰がどう見ても、シンジは”いい男”だもの

「そうなのかな?」

そうなのよ

だから、取られないように頑張んなくちゃっ!

シンジの傍にいるのは、ずっとあたしでいたい

誰にも譲れない願いだから

よおぉし、頑張るぞぉ!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・

うーん、今日はよく歩いたぁ

はい、お茶

「うーん、冷たくて美味しい! はい、アスカ。」

よかったぁ、冷たいお茶、水筒に入れてきて

あたしも飲も

はぁ、体に染み渡るって感じよね

やっぱり体動かすと気持ちいいわね

どれくらい歩いていたのかしら?

「40分くらいかな。4キロくらいかな。暑さもあったし、疲れた?」

やっぱり結構歩いたみたいね

ちょっと疲れたかな?

でも、シンジとお喋りしながらだから、全然気にならなかったわ

車のイスに座ったら、疲れが出てきちゃった

おかしいわね

昔はこれくらいじゃ疲れなかったのに

「アスカ、運動不足気味なのかな?コンスタントに動かさないと鈍るからね。」

シンジの言う通りかもしれない

あたしは運動不足だ、きっと

最近、仕事、仕事で運動してなかったもの

忙しいを理由にして、甘えていたのね

「忙しい身だから仕方が無いよ。でも、少しずつでも動かすようにしないとね。」

うん、そうしよう

お散歩くらいから始めようかな

急にやるとリバウンドが怖いわよね

でも、一人だとやらなさそう

一人で歩いていても楽しそうじゃないもの

誰かと一緒だったらなぁ

「じゃぁ、またデートで散歩しようよ。」

シンジとお散歩♪

シンジとお散歩♪♪

えへへ、そう言ってくれると思った

なんか、二人でお散歩するのっていいわよね

心地よい風感じながら

穏やかな時間を過ごす

けっこう贅沢な時間の使い方と思わない?

あたし・・・・

病み付きになりそう

また、お散歩に来ようね?


そして、お散歩はあたし達のデートの定番になった

シンジは気を使って、飽きないように色々なコースを考えてくれる

でも、同じところでもいいんだよ

芳しい木々の森

煌く太陽の木漏れ日

道端に生える見知らぬ草花

軽やかに舞う虫達

吹き抜けていく心地よい風

そして、穏やかに流れる時間

特別なことをしている訳じゃないけど

とても身近なことをしているだけなのだけど

でも、あたしのお気に入りの過ごし方なんだもの

そんな気持ちのいい時を与えてくれたシンジと一緒にいられれば・・・・・・・

 

 

Fin
(行間に注意!!)

written by nark


[後書きみたいな物]

どーも、なーくでございます
一身上の都合で閉鎖した私のサイト
残った拙作を引き取ってくださった平岡さんに多謝!!

第7弾は「pleasant wind, quiet time」
シリーズ第3段
意訳ですが、「心地よい風、穏やかな時間」といった感じです
行間にシンジ君の台詞を隠すとかやっています
人間、ゆっくりできる時間も欲しいなぁという作品です

こんな物載せて頂いていいのかな?
足を引っ張らなければいいのだけど・・・
平岡さんのHPの益々のご発展をお祈りしております


途中まで行間に注意しまくてはいけないコメント

静かな丘にて

平岡 :なってすがすがしい。ええのぉ。もっと若かった頃はこういうデートに憧れたもんです、特に中学の頃とか。
レイ  :……。
平岡 :シンジ君の台詞が隠れてるのはにくすぎ〜。なーくさん、巧いです。
レイ  :……。
平岡 :なーくさんの作品全体通して感じることなんですが、会話の雰囲気がいいです。
レイ  :……。
平岡 :なんか、二人の間に積み重ねられた時間見たいなものが、しっかりと見えてくるんですよねぇ。見習わなきゃ。
レイ  :……。
平岡 :森の中っていうのがホントいいです。
レイ  :……。
平岡 :あの、さ。レイちゃん? 木の陰からじ〜っと見られてるとやりにくいんだけど?
レイ  :そう? 良かったわね。
平岡 :よかぁない。
レイ  :タ●リの物真似のつもりなら全然似てないわ。
平岡 :い、厭なツッコミしてくれるなぁ。ともあれ、レイちゃんはどうだった?
レイ  :碇君、爽やかだった。
平岡 :うんうん。
レイ  :森の静かで涼しげな雰囲気がしっかりと伝わってくるわ。
平岡 :うんうん。
レイ  :……でも。
平岡 :うんうん、って、でも?
レイ  :弐号機パイロットの赤毛ザル、邪魔。ぜんぜん可愛くないわ。
平岡 :お、おいおい(^^;
レイ :碇君、私じゃ駄目なの?
平岡 :そ、それはっ。
レイ  :そう言えば、お散歩が定番になっているのね。
平岡 :あ、あのー、レイさん?
レイ :次を見てなさい、赤毛オコリザル。クックククククククッ……。
平岡 :行っちゃったぁ。何する気なんだろう……。ともあれ、ホント素晴らしい雰囲気を醸し出している作品、ありがとうございます!
     是非ともなーくさんにあなたの感動を伝えて下さい!!なーくさんのメールアドレスはこちらです。(nark@imix.or.jp


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