チルドレン達は、秋月の思うがままに設定されてます。
ドタバタ熱血バカ騒ぎSS第二弾、今回はもろサッカー小説。
We did it! 2nd stage 〜 伝説 〜
Written by秋月 和至
試合開始のホイッスルが高らかに響き渡る。
“トウジと愉快な仲間たち”VS“ブラッドデビル”の試合が始まった。
「うっしゃいくで!」
ボールめがけ、トウジが駆ける。
「うりゃ!」
トウジが、あっさりインターセプトし、そのままドリブル。左のオープンスペースにボールを出す。がら空きのスペースにカヲルが飛び込んで来る。
「いくよ。」
カヲルは、ボールを脚でトラップし、強いライナー性のボールを、ペナルティエリアに放り込む。ディフェンダーの間を、矢のようにボールがくぐりぬける。
逆サイドから駆け上がったシンジが、ダイレクトでボールに足を合わせる。方向が変わったボールは、ゴールに向かって飛んで行くが、ゴールバーを叩いてフィールドの外へ転がっていく。
「おしいっ!」
トウジが頭を抱える。
「ごめん!」
素早く自分のポジションに、戻ろうとするシンジ。しかし、それより早くゴールキックが始まり、ボールが、シンジの頭の上を越えていく。
「しまった!」
シンジ、カヲルの両サイドが、攻撃に参加したため、ディフェンスが薄くなっていた。
シンジの前方で、ボールが味方ペナルティエリアに放り込まれる。そしてボールは当然のようにゴールネットを揺らした。前半1分の出来事だった。
「あぁ、んもう!何やってんのよ!」
アスカがわめき散らす。
「アスカ落ち着いて。まだ始まったばかりよ。」
ヒカリがなだめる。
「まずいわね。」
「えっ?!」
レイの一言に、驚く、アスカとヒカリ。
「勝たなければならない試合で、いいかたちで攻撃できたのに、得点出来なかった。しかも、カウンターで、逆に先制点を奪われた。シンちゃん達には厳しい展開よ。」
腕を組み、フィールドを見つめるレイ。呆然とそれを見つめるアスカとヒカリ。
レイの指摘通り、攻守の動きがかみ合わないシンジ達。簡単なパスミスが増え、焦りを呼ぶ。更に、その焦りがミスを呼び、新たな焦りを生む。そんな、悪循環の中でシンジ達は戦っていた。
「あっ!」
ケンスケが、敵陣内で、トラップミス。転々と転がったボールは相手チームの選手が拾う。そして、素早く前線に、高く長いパスを入れる。
シンジとカヲルは、ラインを引き上げていたので、そのボールに反応できない。慌てて戻ろうとするシンジを、嘲笑うように、隣を敵フォワードが、駆け抜けて行く。
ボールに追いついた選手を止めるため、果敢にチャージするシンジ。しかし、強引に引き離される。そして、ゴールキーパーと一対一になったフォワードは楽々ゴールを決める。
勝たねばならない試合、前半だけで0対2と引き離されてしまった。
「…………………………………………。」
見ているアスカには、勝利が遠く霞んで行くようだった。
シンジは時計板を見た。針は、まもなく、9分を指そうしている。
(このままじゃまずい!)
シンジは、パスを受け、すぐさまドリブルを始める。
すばやく、相手チームの選手が、チャックしに来る。
「クッ!」
激しいチャージに耐えるシンジ。腕を伸ばし相手を押さえ込む。譲る訳にはいかなかった。
「カヲル君!」
シンジは、大きく、左サイドにボールをはたく。その瞬間、シンジは後ろからタックルを足に受け、グランドに、転がる。が、ボールはカヲルに通ったため、ファウルは流される。
「シンジ!」
悲鳴に近い声。
地面に、座っていたアスカは、青ざめ立ち上がる。
カヲルは、ボールを受けても、スピードが落ちないまま、相手陣内を駆け上がった。ファウル覚悟で、タックルに来た選手を、ジャンプでかわす。視界にディフェンスライン上にいるトウジの姿が、入る。カヲルの頭の中、素晴らしいスピードで、ゴールまでのイメージが出来あがった。
着地と同時に、ディフェンスの裏へスルーパス。そして、首を横に振り、オフサイドではないか、確認する。フラッグは、上がっていない!
飛び込んで来たトウジが、強烈なインパクトで左足を振りぬく!
インサイドで蹴られたボールは、倒れ込んで止めようとしたキーパーと、地面の間を擦り抜け、ゴールネットに突き刺さった。
トウジは、見ている生徒達に、派手なパフォーマンスで、喜びを表す。
得点板に一点が入り1対2。1点差に詰め寄る。と、同時に、前半終了を告げるホイッスルが、高らかに響きわたる。
「シンジ君!」
カヲルが逆サイドで、倒れたまま動かないシンジに、駆け寄る。それに続くように、トウジ達が駆け出す。
「シンジ!」
「碇!」
「シンジ君!」
シンジを取り巻くようにチームメイトが集まり、声をかける。
「……だ、大丈夫。大丈夫だよ。」
答えるように、ゆっくりと立ち上がるシンジ。体の埃をパンパンと払い落とし、そして何事もなかったように、歩き出す。
「心配させんなよ。」
シンジの頭を軽くこずくトウジ。
「大丈夫か、シンジ!」
ケンスケがシンジの肩を叩く。
「大丈夫!」
笑顔で答えるシンジ。
「………。」
やや、怪訝な表情のカヲル。
程なく、他のチームの後半戦が始まる。
「シンジ!」
「アスカ!」
一人で、校舎の方へ、行こうとしていたシンジをアスカが呼び止めた。
「あ、あ、あの、ちょっと体に付いた泥でも洗い流そうかな。なんて…。」
確かに、顔や、膝、肘などに泥は付いていたが、明らかに、動揺しているシンジ。アスカは腰に手を当て、フーとため息を一つ。
「あんたって、絶対、嘘つけないのね。」
グイッとシンジの腕を取るアスカ。そのままシンジをひっぱり校舎へ向かう。
「どこに行くんだよ。」
「いいから!」
アスカは、それ以上語らせない強い口調で言った。仕方なく、シンジはアスカに引っ張られて行く。
「只今不在」の札が、かけられていた。
「こんなとこ連れてきてどうするんだよ。」
「いいから、右足出して!」
椅子に腰掛け、おずおずと、右足をアスカに差し出すシンジ。アスカは、シンジの靴下を脱がす。誰もいない保健室。シンジは、妙なシチュエーションに、少しドキドキしていた。が、
「イタッ!」
シンジが大きく顔をしかめる。アスカが右足の踝あたりをさする。
「やっぱり。腫れてる。」
「わかってんだったら、触らないでよ!」
「わたしに、黙ってたくせに。ばれないとでも思ってたの!」
「ごめん……。でもよくわかったね。」
「そりゃ……シンジの事しかみてないもん」
アスカは、下を向いて、小さくつぶやく。
かろうじて、聞き取れたアスカの呟きに、シンジは耳まで真っ赤になる。
沈黙が、二人を支配する。
先に口を開いたのは、アスカ。
「と、とりあえず、テーピングするわね。どうせ、鈴原達に黙ったまま、後半も出るんでしょ。」
「う、うん。」
アスカは、棚から包帯や紙テープ、湿布を、持ってきて、てきぱきと、シンジの足にテーピングを施す。
「あ、ありがとう。アスカって、こういう事上手いんだね。」
「まあね……。クラブでよくするから。」
はずかしそうに、俯くアスカ。
「アスカは…、バスケットボール部だったもんね……。」
シンジは、恥じらうアスカが、とてもいとおしく思え、抱きしめたい衝動にかられた。
「はい。終わり!」
顔をあげ、微笑むアスカ。その顔に、シンジの阻止限界点突破。
「えっ!な、なに!」
いきなり、シンジに抱きすくめられるアスカ。
「ごめん。少しだけ、このままで……。」
シンジは、アスカを抱きしめる力を、込める。
「………。」
アスカは、何も言わず、シンジの背中に腕を回した。
「必ず、勝つよ!」
「うん!」
校舎から、グランドに向かう途中にシンジがアスカに言った。後半戦は目前に迫っていた。
「あと2点や。何がなんでも、あと2点取って勝つぞ!」
トウジは、叫んだ。円陣を組んで気合を入れる。
「いくぞ!」
「オウ!」
片足が地面を叩く!
円陣は解かれ、各々ポジションに散っていく。
「鈴原君!」
「なんや、渚。」
「僕が、トップ下に立って、シンジ君をボランチに。相田君をセンターバックにしたいんだ。」
「でもなぁ、渚。」
「僕に作戦があるんだ。」
カヲルは、トウジに耳打ちする。
「それは、面白そうやな。」
ニヤッと笑うトウジ。
「シンジ、ケンスケ。」
「なんだい。」
「どうしたのトウジ。」
「ポジションチャンジや。ケンスケの位置にシンジが入って、渚がトップ下、ケンスケがセンターバックに入ってくれ。それでや………」
ケンスケと、シンジに小声で指示をする。
二人はうなずきポジションに散る。
「シンジ君。」
「カヲル君。」
「足は、大丈夫かい?」
「……! 気づいてたの!大丈夫。アスカにテーピングしてもらったから、後半戦、全力で行けるよ。」
「そうか、頼むよ。勝つのは僕らだ。」
カヲルとシンジは、軽く手を合わせると、すぐさま別れる。後半戦のホイッスルが鳴った。
トウジは、カヲルにチョンとボールを出す。カヲルは素早くヒールパス、案の定、相手は追ってこない。相手は、後10分間に、一点やっても優勝なのだ。フォワード以外は、ボールに向かってこない。
「ケンスケ!」
シンジは更にバックパス。ケンスケは、ペナルティエリア付近で、ボールを受ける。
さすがに、かなり深い位置でボールが回っている。あわよくば一点をと考えるのは、当たり前。敵ディフェンダー以外は、徐々に前につめてくる。
「いまだ。」
ケンスケはシンジにパス。シンジは、大きく前線へ。
「頼むで渚!」
トウジの、ノートラップ、ノールックパスは、ディフェンスライン上のカヲルの頭上に、飛んできた。
「よし!」
カヲルはジャンプ、オーバーヘッドだ。右足で踏み切り、左足を振り上げるが、タイミングが合わない。
「いけ!」
左足で合わせるのは諦め、右足を強引に振り上げる。
ジャストミートされたボールは、キーパーと、ゴールポストの間をすりぬけゴールネットを揺らす。
「バイシクルシュートかいな。」
唖然となるトウジ。
オーバーヘッドと、バイシクルシュートの大きな違いは、軸足で、シュートするか、しないかの差である。オーバーヘッドはジャンプした時、軸足と逆の足でキックする。が、バイシクルシュートは、ジャンプした軸足で、シュートするという難易度が高いシュートなのだ。ちなみに、あの、神様“ペレ”が、ワールドカップで、ブラジルを優勝に導いたシュートが、バイシクルシュートだ。
後半二分、2対2、ついに、シンジ達は追いついた。
「すごいよ!カヲル君。」
「いや、まぐれだよ。」
「まぐれで、バイシクル打てるかい。」
トウジ、シンジがカヲルに駆け寄り、抱きつく。
「いまの、すごかったよね。」
感心するヒカリ。
「なかなか見れるものじゃ、ないわ。」
同じく感心するレイ。
「シンジだって、あれくらい出来るわよ。」
言ってしまったあと、はっとなるアスカ。
レイとヒカリは、にやにやと笑いながらアスカの方を見た。アスカがしばらく二人のオモチャとなったのは言うまでもない。
「しかし、こうも上手くいくとはなぁ。」
作戦の事を言うトウジ。
「ほんとだね。」
と、シンジ。
作戦は、いたって簡単だった。自陣からのカウンター。しかも、かなり深い位置からの。サイド攻撃の得意なチームが、いきなりカウンターにでると、意外と相手はついてこれなかったりする。そこをついたのだ。
それ以後は、シンジ達は攻めまくった。相手は、点はやらないとばかりに、全員守備にまわっていた。
時間は刻々と、過ぎていた。間もなく時計は9分を過ぎようとしていた。
「おい、シンジ!どこ行くんだよ。」
ケンスケは、叫んだ。
目の前に居たシンジが、右サイドを駆け上がっていく。ボールは逆の左サイドで動いていた。
ボールを受けたカヲルが、ドリブルで左サイドを駆け上がる。真ん中でトウジが待つ。
シンジは走っていた。ゴールに向かって。
カヲルは、ディフェンダーをかわして、中にボールを放り込む。しかし、イメージと若干異なるカーブのかかったハイボールが、キーパーと、トウジの間に落ちる。
「でぇあああ。」
飛び込むトウジ。先に足がボールに触れる。が、飛び込んで来たキーパーが接触!
こぼれたボールが、ゴールに向かって転がる。トウジは、倒れこみながら、ボールを目で追った。つめてくる選手が一人。シンジだ。
「いけぇ〜シンジ!!!」
アスカは、力の限りさけんだ。
シンジは慌てず、ゴールに向かうボールを、ゴール2メートル手前、真正面から押し込んだ。
逆転のゴール、優勝へのゴールは、世界中の誰が、何度打っても外すことないであろう形で生まれた。
そして、試合終了を告げるホイッスルが、高らかに響き渡った。もみくちゃにされるシンジ。チームメイト達の手荒い歓迎を受けていた。
奇跡の逆転劇は、こうして幕を閉じた。
帰り道に、影二つ。
「アスカ〜。待ってよ。」
「あんたね。そこまで痛いんだったら、我慢しなきゃいいのよ。ホンとバカね。」
足を引きずってくるシンジに、あきれるアスカ。
「だって、アスカのためにも勝ちたかったんだ。」
笑顔を見せるシンジ。ドキッと胸が高鳴るアスカ。
「バカッ!」
アスカはシンジの、胸に飛びついた。
「アスカ。」
「しばらく、このままで……。」
一つなった、二つの影は大陽にはとても幸せそうに見えた。
FIN
後書き
や、やっと終わった。
はじめましての方、こんにちはの方、ども、秋月 和至です。
EVAサッカー小説『We did it! 2nd stage』いかがだったでしょうか?
アスカの出番が、少ないぞー!カヲル出張りすぎ!と、なってしまいました。
これも作者の実力不足です。もうちょっと、三人娘(アスカ、レイ、ヒカリ)の出番を増やしてもよかったなぁ。(反省)
こんな話ですが、感想お待ちしてます。
それは、また次回お会いしましょう。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
平岡 :うーん、サッカーはいい。人類が生み出したスポーツの極みだなぁ。
アスカ:なにナルシスホモのカヲルみたいなこと言ってのよ、アンタは。
シンジ:アスカ・・・そういう言い方はよくないよ。今回、カヲル君は大活躍だったんだから。
平岡 :で、出たな。超らぶらぶカップル・・・(--;;
アスカ:悔しかったらアンタもらぶらぶしてみなさい。
平岡 :ちっ、どうせ一人モンだよ(T-T)
シンジ:アスカぁ(^^;; 平岡さんもいじけないで下さいよ!
平岡 :そうだね。せっかく秋月さんからいい作品を頂いたんだから。
アスカ:まさに熱血サッカー小説ねぇ。『キャプテン翼』とか『蒼き伝説シュート』見てた口のアンタには
楽しめたんじゃないの?
平岡 :もちろん。バイシクルが出てきたあたりや、走り込んで決勝ゴールを決めるシンジ君の
描写は、思わず「手に汗握る」展開でしたね。
アスカ:あのシンジ・・・すっごくかっこよかったよ・・・(*^^*)
シンジ:アスカ・・・。で、でもあれはアスカの応援と傷の手当がなかったらダメだったよ。
アスカ:シンジ・・・。アリガト。
平岡 :・・・(--#
シンジ:やっぱり僕には・・・アスカが必要なんだ。いつも応援しててよ。
アスカ:うん。シンジもアタシを応援するのよ。今度バスケ部の試合があるんだから。
シンジ:当たり前じゃないか!一生懸命応援するよ。
平岡 :・・・貴様らぁ!いちゃつくなら他でやれやぁ!!
アスカ:ハン!だったらそうするわよ!いこ、シンジ。
シンジ:うん、あ、ちょっと待って。秋月さん、最後に僕を活躍させてくれてありがとうございます。
それじゃぁ。
平岡 :・・・(--;;。秋月さん、どうもありがとうございます!!
Rintarouさんとこの投稿と同時期で大変でしたね。ホント、おつかれ様です。
久しぶりになんか熱くなる小説を読ませて頂きました。
ウェブ上でのますますのご活躍を期待しております。
それでは、今後とも平岡と本ページをご贔屓にしてやって下さい。
読者の皆様!あなたの思ったことをメールに書いて、秋月さんに届けましょう!
あなたの一言が、必ずや秋月さんを次の作品に繋げることでしょう!
そして、秋月さんへの感想は・・・s0411@silver.ocn.ne.jpまで。