新しい電子カルテ・システム by 矢嶋研一
[はじめに]
電子カルテという概念にはいろいろな定義がありますが、私はカルテを中心とした総合的なデータベースであると考えています。臨床の場で発生するさまざまな情報を簡単に素早く収集管理し、その情報の中から必要な情報を即座に手に入れられるシステムでなければなりません。
今でこそレセプト用コンピュータ(以下レセコン)もカルテの作成に重点を置くようになりましたが、9年前の開業時には、このような目的のために利用できるシステムはありませんでした。
本電子カルテ・システム「カルテメーカー」は、この考えを現実のものにするために開発を始めました。最初はMacのカード型データベースのHyperCardで作成しましたが数年で機能的な限界に達し、以後は4th Dimensionというリレーショナル・データベースで開発を行っています。
図1 処置入力画面。セット入力で光CR充填を入力中。後はカルテとパノラマ画像。
[入力は素早く網羅的に]
カルテメーカーはチェアサイドで先生自身が直接操作することを前提に作られています。忙しい臨床の合間に診療の流れを阻害することなくデータを入力できるように工夫しています。
処置行為の入力は複雑な保険診療のルールを考えなくてはなりませんが、新しく開発した処置セット&知識データベースの支援で繁雑なルールを意識せずに数回のマウス・クリックで処置行為を入力できます。
また、患部の所見、患者さんの訴えた症状、説明した内容などをしっかりとカルテに記録することが大事ですが、本ソフトではカルテのどこにでも文章を書くことができます。入力を簡略化するため、あらかじめ短文を登録し文章の作成を助ける機能もあります。
さらにカルテメーカーはレセプトの発行をはじめ、予診票、口腔内所見、PCR、基本検査、精密検査、画像、動画、音声、商品、会計、リコールデータ、歯科衛生士指導記録、技工指示書、処方箋、紹介状、領収書などのあらゆるデータの入力、管理、発行が可能です。
[カルテは読むことが大切]
一般的なレセコンは入力が簡単できることを強調していますが、実は臨床では入力された情報を他の情報との関連のなかでどのように読むかが重要です。本システムはそのための機能を特に重要視して開発しています。
手書きのカルテは素晴しいものです。字面や行間から、その当時の現場の雰囲気というのがにじみでてきます。残念ながら、コンピュータの画面からはそういうものは伝わってきません。
単に手書きと同じ形式でコンピュータに表示するだけでは手書きのカルテを超えることはできません。コンピュータならではの工夫、つまりコンピュータが得意とする部分をうまく引き出してあげることが必要になります。それは何かというと、利用者が求めるデータを即座に抽出し、適した形式に加工して表示することです。
カルテメーカーでは、このようなことに配慮し、あらかじめ十数種類の表示形式(2号カルテ、病名リスト、歯周検査一覧など)を用意するとともに、部位や処置の分類(歯周関連、補綴関連など)、任意の語句などや、それらの組み合わせでカルテを検索する強力なサーチ機能を持っています。

図2 さまざまな表示。カルテメーカーのデモンストレーション版は、中川威先生のご厚意で先生のホームページ(http://www.asahi-net.or.jp/~zh9t-nkgw/lib.html)に登録されています。
[ネットワーク]
カルテメーカーはもちろん単独のコンピュータで使うことができますが、ネットワークで複数のコンピュータを繋ぐことでカルテメーカー本来の力を引き出すことができます。
マッキントッシュと4th Dimensionはネットワークが簡単に組めます。各ユニットに1台づつ置くことで従来のカルテにかわりに臨床を支える強力な道具となります。
[さらなる次元に]
最新のバージョンはデジタルカメラやデジタルレントゲンの普及を見越して画像管理機能を大幅に強化しました。さらにPOMR(問題指向型診療録)への対応、新しい表現形式、入力方法を開発、患者さんへの適切な公開(共有)方法などの検討を続けています。
カルテメーカーは通常の販売方法をとっていません。インターネットやNiftyServeなどのコンピュータネットワークを介した直接販売です。ユーザーの方は北海道から九州まで全国に散らばっていますが、ネットワーク上の仮想会議室で毎日のように開発者である著者と共に意見を交換しています。
ユーザーと開発者との濃密な意見交換こそがカルテメーカーの進化を支えています。この場を借りて、ご意見をよせていただいた多くの方に感謝申し上げます。
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