ザウルスポケットMI-106インプレ トップページ


硬体的印象ハードウェアのインプレッション

□ 大きさ・重さ
 PDAとして最小・最軽量の部類に入る。が、胸ポケットに入る大きさ、というのは、スーツの上着の胸ポケットに入るということで、普段の環境では上着を着ていない私にとっては、Yシャツの胸ポケットに入れるには重過ぎ・大き過ぎのため、胸ポケットに入れての使用はあきらめた。重いのもさることながら、落とす危険がかなり高いので・・・。MDジャケットサイズのMDプレーヤーくらいの軽さ・小ささだったらなあと思う。そう考えると大きさも重さもさらにシェイプアップして、今の2/3くらいにならないとならないのだが・・・。もっともズボンのベルトに付けるZingのポーチを買って付けてみたら、実にこうウェアラブルでサクサク使えて、まあ現状でも問題ないかとは思う。あんまり小さいと今度は操作性や視認性に問題が出てきそうだし。

□ 液晶
 モノクロ16階調反射型液晶、バックライトがないので、暗いところではまったく役に立たないが、光があればあるだけ見やすくなるし、そこそこ見えるレベルだ。ペン感知タブレット一体型液晶としてはよく出来ているんだなあ、ということが、モバギR300の表面ツルピカ低コントラストのダメダメ粗悪モノクロ液晶を見た後だとなおさら感じる(NECは猛省するように。あんなもんを市場に出してはいかん)。

□ 電池
 電池はすばらしく持つ。こういう携帯機器の類ではピカイチだ。何しろ単4電池2本で公称40時間動作可能であり、実際、オン・オフでかなり頻繁に使っても10日やそこらは平気で動いてくれる。単4電池2本というのも良い。私は常に前記のZingポーチに本体といっしょに予備の単4電池を入れているが、全然かさばらない。そんなわけで、今のところACアダプタの必要性も全く感じていない。

□ 赤外線通信
 別項で書いた通り、かなり接続までに苦労したんである。PCの前のHDDがあったから良かったものの、イチからやれと言われると、もう気力がないし、はっきり言って無理だと思う。まあ、ザウルス側が悪いというわけでもないのだが。

□ 内蔵メモリ
 MI-106ではユーザーメモリエリアは約3.1MB、過去のザウルスではまさに空きメモリ領域との戦いであったが、残りメモリ量を見ていると、長いこと残り1/4のまま減らない。MI-110/110Mでは、ユーザーエリアが倍以上になるんだが、今のワタクシの使い方ならMI-106で十分であろうと思ってMI-106にしたのは、メモリ量の点からは正解であった。


軟体的印象ソフトウェアのインプレッション

□ 手書き認識
 意外と手書き認識が良くなっているので使えそう。前ちょっと(1週間くらい)持ってたPI-8000だと、ひらがながかなり駄目だったのであまり期待してなかったが、かなり精度が上がっていてまあまあ使える。特に、文字を大き目に書くように心がけると、格段に認識精度が向上するのを使っていて発見した。ZAURUSの手書き文字認識は、もともと漢字の認識率はかなり良かったが、画数が極端に少ない漢字以外では、ひらがなで入力して変換できたほうが入力効率は高いと感じるので、ひらがなの認識率が向上したのはありがたい。
 あと、MI-106では崩し文字でも認識されるので、同音異義語が多かったりして変換の面倒な画数の多い漢字を手書きで直接認識させようとするときは便利。めんどーでぐにゃぐにゃに書いてもそれなりに認識される(あくまでそれなりなので、過大な期待はできないが)。さらに、くせじ登録ができるので、これを利用して「自分文字」を登録させることができる。たとえば、電気の「電」の字を中国語の簡体字風に表記したりできるが、プロポーションを相当変えて入力しても正確に認識してくれる。正直、手書き文字認識より、下記のインクワープロ目的で、安いWiZより高いZAURUSにしたのだが、手書き文字認識の精度もスピードも文句なく、通常のメモ用途には十分使える。

□ アクションリスト
 アクションリストというのがあり、まめに入れている。これ、かなり便利。やるべきことを控えておく備忘録には打ってつけの機能だ。優先度、処理の日付を入力させるようになっている。済んだ用件は処理のボックスをタップするだけで、処理した日付も入れてくれる。仕事中に思い付いたWEBのアイディアとか、逆にプライベート中に思い付いたデータベースのアイディアやマクロのネタなどを思い付いたら控えるようにしている。

□ スケジュール月間表示
 スケジュールの月間表示。会社勤め始めてから必ず置いていた机の上の卓上カレンダー(なぜか富士ゼロックスの)を駆逐してしまった。カラーだともっと視認性が良くなってさらに使えるだろう。スケジューリングを重視する人は、スケジュールの見通しの良さの点だけでもパワーザウルス(カラー)を検討しても良いかもしれない。ザウポケの場合、白黒液晶が災いして、本格的なスケジューリングに使うのは辛いと思う。

□ インクワープロ
 インクワープロは、手書き文字認識も出来ない状況での走り書きに適している。たとえば電話のメモなどでの使用。それと、PCとの連携を考えると、実はこのインクワープロで大き目のテキストデータをやりとりできる。ただし、相当制限はきつく、20000文字(=40KB弱)でアウトになるようだ。しかし、大抵の用はこれで済むだろう。
 これには清書機能というのがついている。しかし、遅い・・・。

□ フォトメモリー
 フォトメモリーと言うとなんのこっちゃという感じだが、要はJPEGのローダー機能を持ったペイントソフトである(標準ではBMP・GIFファイルなどは扱えない)。実は意外にもこれは使えるかもしれない。というのは、JPEGをJPEGのまま表示・編集でき、画像縮小機能も持っており、ペンで書き込みができるのである。CE2.0マシンでも、JPEGを編集するツールは標準では付かない(ペンで書き込み・編集まで出来るツールは探しているんだけど今のところ見当たらない)ことを考えると、ザウルス侮れないという感じ。場合によってはこれが大きなアドバンテージになりそうだ。また、ザウポケの場合、表示はモノクロだが、(当然のことながら)JPEGファイルそのものはカラー情報を保持したままとなる。PCからザウポケへJPEGファイルを転送し、ザウポケで加工・編集し、PCへ戻しても、カラー情報は保持されている。
 このペイントソフトそのものは、地図を書くことを念頭に置いてに作られており、円を書くツールがないとか指定範囲の塗りつぶしがないとかドット単位での拡大が効かないとか、ペイントソフトとしては不満な点が多い。軽快に動作し、ペンで直接書ける気楽さもあるので、ここはぜひとも大幅に機能を拡張し、95の「ペイント」程度の描画機能を持ってくれると、ものすごく使えるようになると思うのだが。

□ PCとの連携
 PCとの連携には2種類あって、表計算・インクワープロ等のファイルをやりとりしたいときは「ザウルスパワーコネクション」を使い、ザウルスの住所録等のデータをPCで編集したいときなどは、Outlookのアドインである「ザウルスパワーリンク」機能を使う。
 PCのOutlookとシンクロできる機能もありがたい。Outlookの住所録が、ほとんどそっくりそのままザウルスに移植できるし、シンクロさせれば、PCかザウルスのいずれかに入力したデータはどちらにも反映される。特にザウルスを常に持ち歩いていれば、出先で気が付いた時に入力し、シンクロするだけで本体へも変更が反映されるというのは、かなり強い武器って感じ。Outlookの住所録自体についても、Accessで独自に管理していた住所録をインポートしたものなので、新規に入力する必要もなかった。ただし、このシンクロ機能、PCをWin98にしたら動かなくなってしまったが。
 あと、「ザウルスPCコネクション」というザウルス用ソフトを使えば、コンパクトフラッシュでPCとファイルのやりとりが出来るようになる。ただし、テキストファイルとhtmlファイルを扱えないのは何とかして欲しい。


不満点:

□ 機能選択キー
 特に不満に思うのが、液晶画面の左右にある「機能選択キー」である。私がよく使う「アクションリスト」と「レポート&自由帳」、「インクワープロ」の3大機能へ、ダイレクトにつながる機能選択キーが3つが3つとも用意されていない。また、このキーを入れ替えることも出来ない。いちいち別のキーを押して、そこから表示されたメニューから行きたいところを選ぶということをしなくてはならない。これらの機能を行ったりきたりすることが多いと、実によろしくないんである。別にキーを私に合わせた製品を出荷せいとは言わない。せめてユーザーが選択できるようにしてもらいたいんである。

□ リスト表示設定の自由度が低い
 すべての機能において、リスト表示させるときのソート設定の自由度が低すぎる。特に、せっかく入力した「タイトル」や本文の一行目(タイトルという項目がないインクワープロなど)でもソートできないというのは、コンピュータ応用商品としてはあまりにお粗末だ。「タイトルで並び替え」が実行できると、ユーザーの工夫次第で大幅に使い勝手・応用性が上がるはずなので、改善を望む。

□ 日付の修正
 リスト表示させるときは、作成日付で降順にソートされる(超整理法?)のだが、まあこの日付降順というのはもっとも合理的だとは思うんだが、中身を修正しても自動的には日付が変わらないのはどうかと思う。ユーザーが手で入力する必要があり、またその際の日付更新の入力画面も、アクションリストでは可能なカレンダーウィンドウを開いて日付をダブルタップすれば取り込むということができず、不親切だ。そもそも、PC的な考え方で行けば、中身を修正したらその更新日付が自動的に入るのが自然だし、その方が便利だと思うのだが・・・。何でこんな仕様にしているのか理解に苦しむ。電子手帳の残滓だろうか。


 総評:

 メモとしてはすこぶる調子が良い。当初の購入動機であった、「紙の手帳に代わるメモ帳を」という目論見は十分すぎるほど達成できている。また、アクションリストはなかなか使い勝手が良い(ただし、これも「タイトルで並び替え」ができないので、使うにも限度があるが)。
 動作が極めて安定しているのもGOODだ。一度暴走させているが、無理をさせなければそういう目にすら会うこともないだろう。PCと比べたら安定感は全然高いレベルだし、CEマシンと比べても、CEマシンは定期的にリセットしないと使っているうちに空きメモリがどんどんなくなくなっていくというある意味とんでもねえ仕様になってるんだが、ザウルスではそういうこともなく、やはり安定感がある。
 常に持ち歩くメモとして購入、その目的通りに使えており、まあ満足すべきだろう。

 本格的にスケジューリング等で使えるかというと、残念ながら少なくとも私は使う気にはならない(主にリスト表示の自由度の低さが問題)。あくまで、備忘録・住所録代わりにとどまる使い方しか出来ないと思う。まあそれでも、当初考えていた以上に使えるツールではある。モデム内蔵の機種ははじめから考えていなかったのだが、この分なら割と使えるかも知れない。

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