リニモ乗車記(2009/01/03乗車)


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 この記事に触発されて、帰省からの帰りに寄り道して乗ってきた。特に「乗り鉄」ってわけでもないんだけど、Canon Eos Kiss Digital Fで写真も撮ってきたので、久々に簡単にレポート。
 リニモの正式名称は愛知高速交通・東部丘陵線である。名古屋市の東部に位置し、瀬戸・豊田方面とのアクセスを担う路線だ。2007年の「愛・地球博」の交通アクセスとしても利用されたが、現在は、都市の周縁を走る郊外型の公共交通機関である。藤が丘−八草間の8.9kmを17分で結び、昼間は10分間隔で車両が運行されている。駅は9駅。Webサイトはここ
 行き方としては、僕は今回は、JRで金山駅に行き、中央線に乗り換え、千種で地下鉄東山線藤が丘方面に乗り換えてというルートを使った。地下鉄東山線の最終駅が藤が丘で、リニモに接続している。その他愛知環状鉄道を使って八草から乗るルートがある。大きなターミナル駅から直に出ていないので、若干行きにくいけど、それでも200万都市名古屋の郊外なので、それなりに鉄道だけでアクセスは出来るという感じだ。

 まずは行きの写真を。藤が丘から八草まで。
藤が丘駅 車両内部
始発駅は地下 車両内部
椅子 先頭
シンプルな内装 先頭部分を陣取る。無人運転。
闇走行 出口
まずは闇の中をしばらく走る 高架部分へ出る
登坂 急カーブ
急勾配&急カーブをズンズン登る 市街地部分はこういう急カーブが多い
すれ違い 郊外
反対車線の車両とのすれ違い 徐々に郊外へ
路面が近い 反対車両
最低地上高が低く軌道面が近い 僕も多分こんな感じに見えていた筈
ジェットコースター?
ジェットコースターのようでもある

 リニモの藤が丘は地下駅だ。リニモは高架線という思い込みがあったが、藤が丘と次の間の駅で地上に出て高架になる。ちなみに乗り換えの地下鉄東山線藤が丘駅は高架にある地下鉄の駅で、高架にある地下鉄の駅から、地下にあるリニモの駅に乗り換えることになり、地下鉄線なのに高架駅、高架線なのに地下駅と、上下にクロスした関係になっており、ユニークだ。

 リニモ最大の特徴は、磁気浮上式のリニアモーター車であることだ。リニアモーターやリニモのHSSTについては、Wikipediaなどをご覧頂ければ良いと思う。
 リニアモーターカーと言えば「夢の超特急」というイメージが強いと思うけど、既にリニアモーター駆動自体はそれほど珍しいものではなくなりつつある。東京では地下鉄の大江戸線、大阪でも長堀鶴見緑地線、今里筋線にて営業運転されている。しかし、磁気浮上式のリニアモーターカーとなると、殆ど例がない。営業運転しているのは上海とリニモくらいではないだろうか。レアな乗り物である。

 写真を撮るため先頭部分に乗っていると子どもさんが家族とやってきて、「何で車輪がないのに走るの?」「何で運転手がいないのに走るの?」という質問が出る。受け答えの中で、「電気じゃなくて磁石の力で走っている」という何か間違っているのか合っているのか微妙な答え方をしていたのも目立った。
 僕が聞かれたら、運転手がいないのは地上の中央制御室で制御しているから。リニモは磁石の力で浮いて、磁石の力で走っているけどその磁石には電気が使われている。実は電気と磁石の力は近い関係で、普通の電車の中にも磁石が入っているんだよ、くらいのことは言いたいなあと思った。まあ子どもの年齢とかにもよるけどね。

 八草駅
橋げた 八草駅
特徴的な橋げた 八草駅
料金表 車両
料金表 折り返し車両

 写真を見ても分かる通り、乗客がいない。沿線には大学や博物館があるのだけど、年始のお休みだった影響からか、ホントに人がいなかった。復路は当初、パーフェクトに貸切状態だった。沿線の様子を見ればわかるけど、藤が丘を出てしばらくすると山の中って感じになってしまい、輸送需要があまり見込めない地域であり、実際、経営は厳しいようだ。尚、写真に写っている隣の高速道路は、名古屋瀬戸道路という道路らしい。

車両
 車両が軌道上にある写真を見ると良く分かるが、車輪・台車・大掛かりなサスペンションといったものが車両床下にほとんどないため、路面の殆ど直上にいきなり車両本体がある(簡単なサスペンションはあるようだ)。理屈は分かっていても不思議な光景だ。車両重量に強烈に低減効果が効いていると考えられ、エネルギー効率の向上に寄与している筈だ。
 考えてみると、足回りに「回転運動」の要素が全くない珍しい乗り物だ。鉄道や自動車は、車輪を回転させて推進力を生んでいる。車輪式のリニアモーターは推進力としては回転運動を使っていないが、車輪が車体を支えている。飛行機も、離着陸の時には車輪が必要だし、推進力を生んでいるエンジンでは、タービンやプロペラが回転している。ヘリコプターは車輪はないものが多いが、やはりローターが回っている。飛行船だって推進にはファンが必要だ。
 他に思いつくのはロケットくらい。(ターボポンプとかの中では回転運動はあるが・・・)でも、多分僕がロケットに乗ることは一生ないだろうと思うので、やはりかなりレアな体験だろうと思う。

 次に、折り返しの様子を。
1 2
引き込み線に車両を通す1 引き込み線に車両を通す2
3 4
ポイント部分3か所回転、本線も一部が曲がる さらに回転・曲がる
5 6
ビシッと逆接続完了 車両のヘッドランプが光り、ホームへ

 折り返しのシステムがメカニカルに面白い動きをするのでわざわざ乗れる車両を見送って撮ってきた。デジカメにムービー機能が欲しくなってしまった。このポイントのシステムは、中央リニア新幹線で、こだまタイプの各駅停車をどう実現させるか、という場合の一つの解ではないかと思う。さすがにレールのポイントに比べるとシンプルさ・信頼性が劣るように思われるが、意外とコンパクトに切り替えを実現しており、実用的ではないかと感じられた。

 最後に復路。
名古屋への道1 豊田ミュージアム
大都会?ナゴヤへの道1 トヨタ博物館
名古屋への道2 正月バージョン
大都会?ナゴヤへの道2 正月なので鏡餅
地下 終着点
地下に入る 終着
改札
藤が丘駅の改札

 トヨタ博物館には、10年くらい前に単車で行った記憶があるな・・・。と思って、Web日記にGrepかけたが発見できず。でも、Web日記以前の日記テキストファイルをチェックしたらビンゴ!1995年の夏に行ってますね・・・。14年前。えーとBMWに乗る前だなー。まだKMXに乗ってた頃じゃないかな・・・。

感想
 静か。リニアモーターの駆動音と、風きり音だけ。車内放送の音が大きく聞こえる。スピードが上がっても普通の鉄道と違ってレールからの騒音はない。ただ、リニアモーターの駆動音(インバーター?)が結構するので、これが低減されるとさらに静かになると思った。かつて沿線に住んでいた長堀鶴見緑地線の経験から言うと、確かにリニアモーターの音そのものは似ていたような気がする。こちらの地下鉄は車輪走行であり、さらにトンネル内を走行するので、総合的な騒音はリニモ並みとはいかないけど。
 車体は窓が大きい。更に地上側の防音壁も殆どない。車体の走行に伴う騒音が少ないため、防音壁を設ける必要がないということだ。見晴らしは大変良い。
 市街地内で急こう配+急カーブが結構ある。車両は徐行しているが、急こう配をものともせず、トルクフルにどんどん登っていく。碓氷峠以上の急こう配というから大したものだ。
 加速も早い。実はもっと加速性能があるようだが、あえて抑えているという。加速感もスムーズ。最高速度は100km/h。限られた直線部でのみ出しているが、先頭車両からみるとやや恐怖感を覚えるスピード感である。車輪・車台システムがなくて車高が低い分、視点が低くなって、スピード感は増している。

まとめ
 なかなか近くに行く用事はないかもしれないけど、何せ、地球上で営業運転している磁気浮上式リニアモーターシステムは上海とここだけ。リニアモーターカーと言うととにかく時速500km/hという超高速都市間交通ということだけが強調されがちだけど、近距離交通としてもなかなか良くできているのが乗ってみると分かる。
 結論としては、このために乗りに行くほどのことはないだろうけども、東海3県に用事があるのならちょっと足を延ばして乗って損はないと思う。リニモの運賃は、藤が丘−八草間の往復で720円だけど、静かでスムーズな乗車感覚は確かに未来的であり、アトラクションと考えればそんなに高くはないだろう(日常の足としては高いような気もするが)というところ。
 個人的には引き込み線に入るのと、浮上体験が出来るという貸切には興味があるなあ。これは37,000円とそれなりのお値段だけど、機会があれば体験するのも良いかも知れない。

オマケ
名城線右回り 名城線左回り
名古屋市営地下鉄名城線右回り 名古屋市営地下鉄名城線左回り

 出来るだけ青春18で行きたかったので、行きは金山でJR中央線に乗り換え、千種で地下鉄東山線で藤が丘まで行った。帰りは名城線に乗ってみたくて今池で名城線に乗換えて、大曽根でJR中央線に乗り換えた。今池とか本山とか、高校生とか大学生の頃に名古屋に遊びに来ていたときになじんだ地名で懐かしかった。
 名城線は恐ろしく久しぶりに乗ったのだけど(hal9さんが名古屋にいたころ以来かも)、環状線になっていて驚いた。後で調べたら2004年に環状線になったとのこと。
 しかも、東京の大江戸線とは違い、ホントに環状運転している。確かに、名古屋の東の地域に行くのに、栄まで出て東山線乗換とかやってたのだけど、金山から乗り換えなしで行けたりするので、地元の人の利便性は相当に増したと思う。
 あと、環状線では「内回り・外回り」表記が普通だけど、これは左側通行が前提な国においてのみ通用する表記のため、国際的な分かりやすさを優先して、名古屋の場合は「右回り・左回り」(英語表記では時計回り・反時計回り)としたとのことだ。
 大阪の地下鉄より先進的ではなかろうか。いかんぞ、頑張れ大阪市営交通。


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