H-IIA4号機打ち上げ・種子島・鹿児島紀行


立て看板
地元の熱意も見て取れる
トップページ

2002/12/12(木)

鹿児島へ
 大阪をバイクで8時前に発つ。で、高速道を使って鹿児島まで約10時間で走破。
 給油3回に休憩4回。そして・・・。捕縛1回・・・。広島の中国道で、走行区分違反。反則金6000円、点数1点。120km/h程度で流していたが、何とか速度違反は逃れた。中国道、80km/h制限なんだが、この前名神で切られた時はしっかり速度違反も取りやがったよな、チクショウ。それに比べれば良心的?だったか>広島県警。はあ〜、不注意だったが、毎度思うが、こんなんで捕まえる方も捕まえる方であろう・・・。

 え〜、気を取り直して。気温は低かった。雨雪はなかったが、まあやはりしんどかった。が、まあ、一番辛いのは休憩から走り始めの10分くらい。それさえ乗り切れば、感覚も慣れてきて、グリップヒーターの助けもあって、比較的集中して走ることが出来た。気温表示計が少なかったが、確実に10度は大幅に切っているだろうな、と思ってたら、気温表示計にエンカウント。6度だと。山陽道・中国道・九州道、ほとんどすべて同じような気温。南に下れば・・・と思ったが、甘かった。九州道は、鹿児島へのルートで相当な山の中に入ってしまう。南に下るとかそういうことではなく、道が平野部を走っているか山間部を走っているかで体感気温が全く違うんだなーということが良く分かった。一番暖かかったのは、九州道のえびのジャンクションを抜けた後の長いトンネル(^^;)。中央道を3月に走ったことを思い出した。永遠にこのトンネルが続けば良いのに・・・と、空気はメチャメチャ悪いんだが、とにかく暖かいので思ってしまうのだ。トンネル以外では、熊本の平野部はそれほど寒くは感じなかったな。しかし、基本的には最後まで寒かった・・・。

 高速道路代14,000円也。一度に払う高速代としては空前だわな〜・・・。15,000円分ちょい残っていたハイカが一回の精算でほとんど消える。うひー。

領収書
空前の領収金額

 ネットで予約しておいた鹿児島の宿に着いたら、すぐに宿の大浴場に入って身体を温める。じわ〜と指の先から温かさが染み込んでくる・・・。気持ちよかった・・・。
 宿(KKR敬天閣)は6階だが、窓は城山に面していて眺望は悪かった。室内は随分ゆったりした作りで、シングルの割には相当広々としていた。鹿児島は流石桜島の近くなこともあって温泉旅館が市内に各所あり、KKR敬天閣も温泉だった。あまり目立たない場所に駐車場があって、バイクも安心して置ける、良い宿だった。

天文館
鹿児島の繁華街・天文館

 鹿児島でちょい市内観光。繁華街・天文館が近く、そこで晩飯。本当はあらかじめトンカツの美味なところの情報を入手していたのだが、行ってみたらその店はなくなっていて、移転していた模様・・・。頭がトンカツモードに入っていたので、何としてもトンカツを・・・と思うが、基本的に呑み屋街なので焼鳥屋や焼き肉屋ばかり。一つ黒豚専門店というのを見つけて入ってみるが、今日はしゃぶしゃぶだけだそうで諦める。結局、酒の肴ではなくせめて飯らしいものをということで、貝汁とわっぱめしのセットの店に入る。これはこれで結構美味でした。

 あとはぶらぶらと散策。結構にぎやかな街だね。金沢と大体同じような規模。ただ、道は鹿児島の方が倍くらい広いが(^^;)。市内を走っている路面電車に乗ってみたり。この路面電車、なかなかよく出来ていて、地下鉄なんぞよりこの方がよほど気が利いていると思う。
路面電車 架線 ベンチ
鹿児島の路面電車。この他にも数種類あるようだ。最新鋭の恐らく輸入LRTも見た。 架線は道路中央の照明灯を兼ねたポールで支えられている。路面電車によくある架線を固定するためのワイヤーがなく、開放感がある。 道路中央の停留所にはベンチがあるが、スペース効率を考えた作りになっている
 結構やる気のある路面電車だったのが印象的だった。

 あと、散策しているうちに、こんなモノも発見。

パームスプリングス
カプセルホテル・パームスプリングス。
経営者がPalmerなんだろうか。


 翌日に備え、フェリー乗り場を確認。明日乗る種子島行きのフェリーも接岸していた。街から道3本ほどで港に出てしまう。函館と良く似ているなあ・・・。

夜の港のRT
背後にあるのは屋久島行きのフェリーで荷の
積み込みの作業をしていた。お疲れさまです。


 港から宿に戻り、とりあえず翌日も早いので早めに就寝。宿の部屋に戻ってこれ(写真部分以外の日記)書いてたら、さすがに900km移動の疲れがどっと出てきたよ・・・。

2002/12/13(金)

種子島へ
 05:30起床。朝風呂に入り、前夜用意しておいた簡単な朝食を済ませて、身支度を整え、7時頃チェックアウト。何せフェリーの出航が8時半なので、あまりのんびり出来ない。鹿児島港の南埠頭へ。前日行っているのに、どういうわけか道に少し迷い焦る(^^;)。が、狭い鹿児島、すぐにリカバリーでき、南埠頭に到着。ここから出ている種子島行きの九州商船・フェリー出島に乗るのです。

朝のフェリー出島 朝の桜島
朝日に映えるフェリー出島。結構船齢が行ってる
お祖母さん船
朝の桜島。港から


 待ち受け場所は最近建てられたようで、かなりモダン。その内部。

H2A2号機ポスター 切符売り場
すげーでかいポスター ロケットの表示が良い。宇宙への乗り換え口(^^;)


 隅に飾られているばかでかいH-IIAロケットの発射写真が期待感をそそられる。8時半発の船で、7時半から切符を売り出している。切符売り場の窓口の上にはロケットのプレートも。フェリーからロケットに乗り換えるみたいなSF的錯覚感(^^;)。
 埠頭の切符売り場の待ち合わせには既に同好の士と見られる若い男性がそこここに。みんな好きねえ。

 フェリー出島は、鹿児島港と種子島の西之表港を4時間ほどで結ぶ中距離フェリー。船内の案内には「国鉄乗継」といった表示が見られる。相当古い船で、かなり汚い。
 勘違いしていたが、フェリーの運賃は、手荷物料金は2等客室の運賃込みだった。だから、750cc超のバイクも2等客室込みで片道4950円。マジで車の半値。ああ、高速道路もこのくらいだったら・・・とは毎度思う。

乗船券と手荷物切符 手荷物RT
乗船券と手荷物切符。手荷物切符はバイクに付ける 重量270kgの"手荷物"(^^;)。フツーはミラーに付けるが
RTだとFM用のアンテナが具合良い

 同じくロケット見物に来たという人から、フェリー内ではセンタースタンドをかけた方が良いとのアドバイス。RSでサイドスタンドで固定された際に、リアのサスが逝っちゃったらしい。行きの種子島行きフェリーではセンタースタンドOKだったが、帰りと志布志−大阪のフェリーはサイドスタンドで固定するよう作業員の方に言われる。まあ、北海道の時も大丈夫だったから大丈夫でしょと思い、サイドスタンドで固定したが、実際大丈夫だったようだ。

 フェリー出島はそんなに大きくない。船倉から埠頭にエレベーターで荷揚げ荷下ろしするようになっていて、エレベーター部分がボトルネックになって積み込み・乗り込みはかなり時間がかかる。もっと大きなフェリーだと、直接船倉に乗り込めるのだが、この船だと一度エレベーターに乗る必要がある。コンテナを積む作業も行われていたが、慣れた手さばきでフォークリフトを操りコンテナを扱う港湾労働者の運転テクはなかなかカッコイイ。
 貨客を積み込んでいよいよ出航。

さらば鹿児島 洋上から桜島
さらば鹿児島 洋上からの桜島


 船室。1等は一人毛布と枕があてがわれる以外は2等と変わらない。そんなに混んでいなければ、2等でも全員に行き渡るくらいの毛布と枕はあった。ただ、1等客室の窓側の端はベンチシート状になっていて腰掛けられるのが違う。しかしその程度で金額ほどの差があるのかどうか。あと禁煙部分と喫煙部分が分けられてはいるのだが、2等客室は一つの大部屋なので、結局分煙の意味があまりなかったり。

 全く期待していなかったのだが、自由に使える電源コンセントがあって、ノートPCを使うことが出来た。しかし、洋上ではネットにはつなげられないので、専らデジカメ写真をせっせとノートPCに移送するくらい。だが、電池の消耗(っていうかサイクルカウント)を気にせずに使えるので電源コンセントを使えるのはありがたかった。
 錦江湾を出て外洋に入るとさすがに揺れ出す。特に横揺れが結構来る。歩いていると真っ直ぐ歩けないくらいの揺れ。
 種子島に近づくと、天気は曇り。明日の打ち上げ、大丈夫だろうか。

波頭 ソケット
結構波頭が立ってます。 ソケットの近くに陣取ってノートPCを稼動。
期待してなかったので有り難かった。


 所要時間は4時間弱。寝て過ごせば良かったのだが、前日睡眠が足りていたためか、あまり眠れず。本をもう少し持ってくれば良かった。

 んで、12時半頃、種子島着。

おじゃり申せ
西之表港に到着。おじゃり申せ


 愕然。何とDDIポケ(PHS)が全く使えない。たまたま使えない場所がある、のではない。種子島全島にDDIポケットが入っていないのだ・・・。CFのH"カードを挿したノートPC持ってきたのにネットが使えないとは。あああ、一番情報が必要なときに・・・。

 気を取り直してマップを片手にバイクで下見。ホテルの位置を確認。ホテルは、西之表港の、フェリー乗り場ではない、漁船の港の前にあってすぐに分かる。チェックインは後にして、明日の見物場所へのルート確認と、NASDAの見学施設に向かう。

 種子島の道路は、国道と農道(県道)が南北に3本並行して走っていて、地図と道路標識さえ注意してみれば、ほとんど迷いようがないくらい単純だ。種子島は、北から西之表市・中種子町・南種子町の3つの自治体より成る。果物の種のような細長い形の真ん中のくびれた部分が中種子町、北が西之表、南が南種子町となる。メインルートは島北部では西側・島南部では中央を走り、西之表・中種子・南種子の島間崎(屋久島へのフェリーが出る港)を接続する国道58号線、西之表と中種子を島北部で中央に走る県道76号線、島の周囲を取り囲むように走る県道75号線の3本。行きは58号線で行ってみる。西之表港から、打ち上げ施設や見学場所のある南種子町までは40kmほど。
 昼時に着いて、空腹だったのだが、とりあえず本格的に走り出してしまい、まあ走っているうちにどこかで昼食を取る場所くらいすぐ見つかるだろう・・・と思い、島北西部で海に面して走る国道58号線を走るが、行けども行けども、食堂どころかコンビニ1件見あたらず、種子島を舐めていた自分を知る(^^;)。
 道は信号がほとんどない。しかし、道路工事多し。田舎では公共工事が主力産業ってのをまざまざと見せられた感じ。何せ、通常の交差点等の信号機より、工事中の片側交差通行の無人信号機の方が遙かに多い感じである。
 その代わり交通量は激少なく、たまに前の車につかえてしまっても(地元の人はもの凄い安全運転。完全法規走行)、対向車がほとんど来ないので見通しの良いところでサクっと抜いていける。前述の通り信号もないこともあり、西之表から南種子町まで40km程度あるのだが、そんな距離は感じさせず快走。

 途中、種子島空港に寄ってみる。

種子島空港
ミニミニ空港。これが旅客ターミナルのほぼ全景。
この左手に管制塔もあるがこれもまた可愛かった。


 「空港」という言葉から受ける印象とは随分違う、プリティな空港。何せ、普通の住宅街を右折したらすぐに空港。右折ポイントの表示には「種子島空港0.3km」の表示。0.3kmってアンタ・・・。空港というより私鉄(それも大手じゃない地方の私鉄)の駅前って感じのたたずまいである。大変好ましい。民間航空のバートルの着陸に居合わせるがタイミング悪くシャッターは切れなかった。あとで考えてみたら、このバートルが打ち上げ当日にホバリング待機する機体だったようだ。

 尚、この種子島空港をリプレースする新種子島空港の建設が着々と進んでいるらしい。場所は、島の中央部で山を切り開いて平らにならしている最中である。島の中央を横断する農道・県道76号線がこの新空港のアクセスになる。現在はターボプロップのコミューター機で細々と連絡しているのが、現代的大型ジェット旅客機が離発着できる本格的な空港になるようだ。今のもなかなか風情はあるのだけどね。NASDAがある影響もあるのだろうか。ロケット部品搬入用とかで、ガルーダ(エアバス社の貨物専用の巨大機。愛嬌のあるフォルムで人気)とかが離発着したりするかもね。

 ようやくお店らしきモノがある町中に出ると、そこが中種子町の市街。そこのホテルの1Fの喫茶店で昼飯を取ろうと店に入ろうとすると、たまたまNASDAの人(NASDAの職員は白い制服に黄色い腕章をしているのでよく目立つ)がバスでその店に来ていて、出かけるのと入れ違いになる。外国人の姿も見られた。海外からのお客さんを送迎のついでにランチという感じだろうか。

 あらかじめ見学場所として当たりを付けておいた「宇宙ヶ丘公園」にも、一発でたどり着く。下見の必要はなかったかもだけど、やはりどんなアクシデントがあるか分からないし、1回でも「行った場所」というのは安心感が全然違うのでこれで良いのだろう。実際翌日は全く迷わずに心穏やかに行けたし。
 ただ、風がかなり強いのには閉口した。こんな強風で打ち上げできるんかいな、と不安になる。とても「南国」という感じではない。

 途中、58号線の分岐交差点(直進で宇宙ヶ丘公園、左折でNASDA施設、右折で島間崎へ)に大きな垂れ幕を見る。トップの立て看板はその対面に設置してあったモノ。地元の人の期待も高い。
垂れ幕
中種子町交差点にあった垂れ幕。Launch Vehicleは
「ロケット」の英文公式名称。こだわりもある。


 道路が単純なこと、案内標識がキッチリ整備されていることから、ほとんど迷うことなく宇宙ヶ丘公園に到着。射場への展望は、予想したより意外と近く、オレの視力でも、肉眼で打ち上げ塔が見えるくらい。打ち上げはどんなんだろうなあ、ワクワク。しかし丘の上は一層風が強い。バッチョンバッチョン写真を撮って早々に次に。


宇宙ヶ丘 射場
宇宙ヶ丘公園 射場とRT。展望も良いし、予想よりは近い感じ。
告知 駐車場
立ち入り禁止区域の表示。見学ポイントも図中に
表示されている。
展望台から公園を見る。厳密には公園というより、
公園付属の駐車場だ。ロケットのモニュメントの
ロケット先端は、打ち上げ施設に向かっている。
誰もいない(^^;)。
展望台 アンテナ
展望台。ここも打ち上げ時には賑わうことだろう。 公園からすぐ近くに見えるアンテナ。この時は
気づかなかったが、後で考えたら、ロケット用の
通信か誘導施設のようだ。


 写真を見ると良く分かるけど、ちょっと曇りがちで、明日のコンディションが心配だった。

 さて、次はNASDAの見学施設に行く。これが想像以上に恐ろしくキレイ。近くにプライベートビーチがあるホテルがあるようなところで、芝生の緑も目に美しい。リゾート施設みたいだ。入館無料、さすがに納税者に配慮している。特に目新しいモノはなかったけど、それなりに面白く見られた。

見学ホール リゾート?
見学施設。結構洒落た建物。 綺麗な芝生、海。ちょっと日本離れした光景。
水着のおねえちゃんがいないのが物足りない感じ。
NASDA! H-II
NASDAの生け垣 H-II実物大模型の解説
親柱 マップ
柱の親柱もH-II形状(^^;) 施設で配布していた見学マップ


 NASDAでは打ち上げ見学ポイントを紹介するマップも配っていた。この「橋」ってのは地図上では他の見学場所より遙かに射場に近くて良さそうなんだが、ここは実際に通ってみると、打ち上げ施設は山に隠れて見られない。ロケットは相当上昇してから視界に入る感じだろう。ただ、音を聞くならここだろうが、やはり眺望の良さから宇宙ヶ丘かな〜。と思い、当初の予定通り宇宙ヶ丘で見物することにした。
 日が落ちないうちにホテルに入ろうと思い、見学施設を後にする。

 NASDA施設への道すがら、こんなのがいくつかあって、どう考えても放置しておいたら崩落するだろうと思う。実際、一部は崩落して道路を少し塞いでいた。内地ならとうの昔に表面を固める工事をしているところだろうが、まあ、コストパフォーマンスを考えたら、人口が希薄でそこまで工事できないのだろうが・・・。

崖
崖。浸食・風化が激しく、かなり危険ではなかろうか
今や内地ではまず見ない風景ではと思い撮った。



 基本的には道路の案内標識通りに走れば迷うことなく目的地に着いていた感じ。かなり縮尺の大きな地図しか持っていなかったが、それで十分だったようだ。
 ガソリンが心許なくなってきたので西之表の給油所に入って給油したら、ガソリン高いのに驚く。ハイオク1リッター141円というのは初めてだ。まあ、実際のところ、鹿児島から4時間かけてきた身には、そりゃああの航路で油を運ぶんじゃあ高くもなるか・・と思う。

141円
普段はガソリンの領収書なんて捨てるが、
さすがにこれは驚いたので取っておいた。


 ホテルにチェックイン。駐車場はホテル前の漁港に面した共同駐車場。潮風が気になるが、まあ贅沢は言っておれん。一晩くらいならどってことなかろう。
 夜は呑み。ホテル近くの居酒屋で情報収集。打ち上げの音は西之表にいても分かるくらい、とか店のおねいさんに聞く。甘露という地元のいも焼酎を飲む。うめー・・・。醤油までもが甘いのにちょい驚いたり。ビール何杯かと焼酎色々4〜5杯ほど喰らって22時頃ホテルへ。いくら種子島でも、まだ営業しているお店も探せばあるだろうが、翌日に寝過ごしたりしたらあまりにもバカなので、とっととホテルに帰る。


2002/12/14(土)

打ち上げ当日
 いよいよ当日。この日のためにここまで来たのだ。6時頃にぱっちり起きる。まあ、平日いつも起きている時刻くらいには目が覚めちゃうんだけど。
 宿の展望の良い食堂でいかにもな旅館の朝食を取って、身支度してチェックアウトしたのが午前8時前。打ち上げが10時半過ぎ、移動時間を十分取っているので、ここまで来れば打ち上げを見られないことはなかろう。

 朝の種子島を西之表から南種子町までRTで移動。やや雲は多いが、陽は出ている。南国とはいえ、この時間はまだ寒い。海岸沿いの寒さを嫌って県道を通って移動。ただでさえ交通量少ないのに、この時間だと本当に農作業をしている地元の方の車くらいしかいない。

 9時前には現地・宇宙ヶ丘公園に到着。昨日の下見では誰もいなかったけど、今日は当日ということで既に10人くらいの先客がいた。


雲海1 雲海2
射場の上に雲が。曇天。 晴れ間から海に陽光が降り注ぐ。神話的光景?


 おいおい、ちょっと待てよ、というくらいの曇りがち。雲のすき間から射す太陽光が海に反射してキラキラ。気温はやや寒いくらい。風は昨日よりは全然ない。基本的には打ち上げ日和だろうが、何せこの雲は洒落にならない・・・。
 雲は、こちらから射場を見て左から右へ流れている感じ。のでこちらから見て左手の西の空を見ると、うーん、まだ結構雲量がありそう。もしかすると、ロケットが雲の中に飛び込んだ後は全く見られなくなるかもなあ・・・と少し覚悟する。何せ天気のことだから、こちらがじたばたしたってしゃーないのではあるが。

 へんてこな独立系の歌手が来て車のスピーカーから変な歌を歌っていた。お前の変な歌を聴きに大阪から来たんじゃねえとか思うが、まあカンベンしてやる。NASDAの放送があるとすぐにやめたし。打ち上げにワクワクしてきた。

 徐々に、という感じで人が増えてくる。だが、もう打ち上げというイベントに慣れている地元の人が総出で、という段階は過ぎてしまったようだ。

 カウントダウンの中継は、特設の放送設備で宇宙が丘公園にも流れる。30分前くらいまでは時々アナウンスが流れる程度だが、30分前から、NASDA施設内の見学者向けのプレゼンテーションと思しきビデオの音声だけが流れた。あまり記憶が定かではないが、カウントダウンは6分前くらいから行われたと思う。300秒というのは記憶に残っている。さすがにカウントダウンが始まると緊迫感が全然違う。

 見学場所から非常に近い位置にあるアンテナ施設が、黄色い警告灯を回転させ、ゴゴっという音をたてて首を振り、射場の方向にアンテナを向け始めていた。

大パラボラ 小パラボラ
左の方の大型アンテナが射場に向く。写真では
見えないが、黄色の回転灯がアンテナの根本で回っていた
次に右の方の小型のアンテナが射場に向く。2つの
アンテナの役割は分からないが、ロケット追尾用だろう

 それと、打ち上げ20分ほど前に種子島空港からバートルがポッドを曳航して飛んできた。恐らく、昨日見たバートルだろう。消火用だろうか。この頃になると非常に人が増えている。僕の隣にも、東京から今日の飛行機で来たと思しき男性3人連れがやってきていた。結構密集状態になっていて、いやでも話が聞こえるんだが、デジカメ談義に話が咲いていた。最大望遠だとここまで見えるんだとかいった会話。双眼鏡を用意しておけば良かったと少し悔やんだ。

バートル
バートル。望遠なしだと芥子粒みたいだが。
マニアが一斉にカメラを向ける様子に少し苦笑(^^;)


 写真を見ると、この頃には青空がかなり見えていたのが分かる。

 『宇宙へのパスポート』によれば、カウントダウンの女性の声はリアルタイムではなく、録音したものらしい。某声優さんに似ているとのことで、カウントダウンの秒数音声そのものではなく、合間合間に入るステータスレポート?の声が、「確かに言われてみれば」似ていた(^^;)。

 カウントダウンは順調に進み、ついにリフトオフの瞬間を迎える。
 リフトオフ。


小太陽 雲へ
明るい。この距離からでも、少し飛んでしまっている 雲に突入。噴煙の立体的形状が良く分かる。
オレンジ色の光が雲に入ってぼやけているのが
カッコイイ(^^;)
上昇 上昇上昇
蒼空に向かって直線状に上昇するH-IIAF4。GO! もはやカメラを縦にしないと収まらなくなっている。
左端のはレンズにかかってしまった指。
筆者の慌て具合が分かる(^^;)


 この後、さらにロケットは上昇を続ける。4枚目の写真辺りから、首をほとんど真上に上げないと見えないような角度になっていた。

 射場から見学地までは相当遠いから、音はすぐには届かない。腕時計をストップウォッチモードにして、時間を計る。打ち上げの噴煙が見えてから、20秒くらいしてからゴーっという音が届く。7km弱というところか。思ったより音は大きくない。もっと圧力を感じるような迫力を期待していたのだが。

 しかし、実物のロケットの噴炎は凄い。びっくりするのはその「明るさ」だ。まるで太陽みたいに明るい。色も太陽のような黄色っぽいオレンジ。これが液酸液水ロケットの燃焼光かあ・・・。『宇宙へのパスポート』で写真をキレイに撮るために露出に注意するみたいなことが書かれていたのだが、確かに、忽然と小太陽が現れたような明るさで、これは注意しないと飛んでしまうだろう。現地で、自分の網膜で直に感じないと分からないだろう。写真やビデオではそのエネルギーは伝わらない。

 アイマックスシアターの『スペースステーション3D』で見た、超接近して撮影したプロトン・ソユーズ・スペースシャトルってな迫力には全然及ばなかったが、7kmは離れているにもかかわらず、実物はもっと明るく、もっと印象的で、もっと美しかった。目に焼き付いた。

 果てしなく上昇していくロケット。青い空にひたすら延びる白い噴煙。ゾクゾクするほど美しい。凄い。映像的に、こんな理想的な状況になるとは思わなかった。気がついてみれば、雲量はほとんどない状態。つい1時間前までは雲がたれ込めていたのだ。いや、大阪からわざわざ来た甲斐があったよ。
 西之表でも十分聞こえると聞いたんだが、あの程度で遠くまで届くのだろうか?
 やはり取材資格を取って施設内部で見たいもんだね〜。
 しかし、一面の曇りだったのが、打ち上げ時間が近づくと共に晴れてきたのは。青空に一直線に伸びていくロケット、映像では見慣れているが、やはり実物は全く違う。一応写真は撮ってきたが、デジカメの性能もイマイチで、この写真ではこの打ち上げの美しさが相当スポイルされてしまっている感じ。ホンモノはこの100倍美しかった。
 まあそれとね、実際に立ち会うと、全く違うのだよ、これが。何というか・・・。この青い空の空気の層を抜ければ宇宙に出られることが、実感として迫ってくる。何キロも彼方の物体が、ほぼ垂直に飛び立って、数分で首を真上に向けないと見えない場所に行くことの凄まじさ。射場の真上の雲量を見て「見えるかな?」ってのはあまり意味がなかった。「自分の頭の上の雲」も気にしないと、意味がない。そういう乗り物なんだ・・・。実際に見てそのスケール感とか、初めて納得が行った気がする。
 谷口ジロー作画・関川夏央原作の『坊ちゃんの時代』シリーズの、舞姫のエピソードで、外国船から初めて日本の富士山を見る船客に対して、船員が「もっと上の方を見なさい」と言って、顔を上に上げて富士山の頂きを目にした船客がその雄大さに驚く・・・という描写があって、これはまあ、多分かなり誇張が入っている描写だと思うけど、何かそんな描写を思い出した。
 音の方を期待してたんだけど、音はそんなでもなくて、むしろ生の映像が予想より遙かに良かった。こりゃやみつきになるねえ・・・。


雲 ロケットに向く
噴煙と雲が同化している感じ ロケットの飛翔方向に向いている。
やはりテレメトリかレーダーか?

 打ち上げ後もしばらくは放送は続いていた。やはり衛星軌道に乗って無事衛星を放出するまでが打ち上げなので、本来ならしばらく聞き入るべきなんだろうが、フェリーの時刻等もあり、そうはのんびりもできないので、11時前には公園を立ち去る。
 良い打ち上げでした。満足感。

以下次号・・・。スマン。PC不調で・・・。まさか年越すとは思ってなかった・・・。後は帰るだけなんだけどね(01/02)。
トップページ