腹ぺこ戦争反対論


渡辺ヤスヒロ


 現在もなお世界各地では紛争が行われている。紛争国では、兵士達の他にも多くの被害者が出ている。家を焼かれたり、戦闘を避けるために故郷を離れ、難民となってしまった人々も大勢いる。彼等には、もちろん十分な蓄えや職が有る訳でなく、その日その日を国連の支援物資等で辛うじて食いつないでいるのである。
今のところ、人道的な国際的な立場から難民への支援物資が送られているが、実際には届いていないことも多いという。無論中間マージンを取られるからではなく、どこかしらの軍隊によって差し止められたりするからである。補給路を絶つ事が重要な戦略の一つである事は、言うまでもない。それが難民への支援物資であると、いくら主張してもそんなことが戦場で通るとは思えない。自分の見逃した支援物資によって敵部隊が回復し、味方が殲滅させられるかも知れない、と言う危機に兵士達は恐れおののいているのである。その昔、アンリ=デュナンが赤十字の旗を頼りに戦場を渡り歩けば砲撃が止んだと言うが、今の国連平和維持軍にそんな力は期待できないだろう。
現在では、食料や衣料品の他にも人的支援も行われる様になり、彼等を養うためにも様々な物資が送られている。今後支援物資は増える事こそあれ、減る見込みはなさそうである。そしてその支援物資が原因で、更なる戦闘が起きている。
 送られた食料を食べて、兵士たちは戦争へ出向いて行くのである。支援物資こそが、最大の戦争の原因である事は明白であろう。
この戦争状態を止める方法が一つだけある。つまり、全ての支援物資の供給を絶てば、戦争どころではなくなり自然と平和になるに違いないのだ。例え餓死者が何万人出ようが、戦争が行われるよりはマシなのではないだろうか?
昔から良く言われる諺にこう言うものがあることだし。
 『腹が減っては戦はできぬ』


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