サードコンタクト

 

作者/CANWさん

 

 

 

ネルフの司令を勤める碇ゲンドウ。

彼の朝はまずメールを確認することで始まる。

ある日、メールボックスにプライベートメールが届いていることに気づいた。

 

「 碇ゲンドウ様

今度新第3東京市に新しいメガネ店 −金猫堂− が開店しました。

つきましては開店セールでコンタクトレンズを格安の値段でご奉仕しています。

『気分を変えてみたい』とか『メガネだとスポーツに向かない』などと思ったら、ご検討して見てください。

−金猫堂 新第3東京市店− 」

 

「冬月、どう思う。」

「コンタクトレンズか・・・碇は今まで2度つけてたことがあったな。」

 

1度目は障害事件を起こしたときにメガネが壊れてしまったため、買ったもの。

(あの時はユイが「カワイイところもあるんですよ」とか言ってくれたな。)

2度目はレイにメガネをあげた時。

(レイもあの時以来、私をより信頼するようになったしな。)

 

「私がコンタクトをつけてるときはウケがいいようだな。

では、今回もコンタクトレンズをつけてみるか。」

「碇、私が『第一印象は、そう、イヤな男だった。』と言ったのを覚えてないのか?」

「フ、男の戯れ言などとっくに忘れたわ。」

 

自分に都合の言いように自分の記憶を操作できる男、碇ゲンドウ。

 

「碇、本当にコンタクトにするつもりか?」

「そうだ。決定に変更はない。」

「しかし碇、まだ早いのではないか?」

冬月はよっぽどゲンドウのコンタクト姿がイヤらしい。

 

「レイは徐々にシンジに引かれつつある。今、手を打たないと手後れになる。」

「そうか・・・・今回で3度目のコンタクトとなるわけか。」

 

(私のメガネをとった姿を見れば、レイもシンジなど捨ててこっちに来るだろう。

シンジにも私の父らしいカッコいいところを見せて格の違いを分からせなければな。)

 

そしてゲンドウはメールでコンタクトレンズ購入の注文をした。

 

なぜゲンドウが一度コンタクトにして、色メガネに戻ったのかということには諸説がある。

最も有力な説は

「色メガネでにらまれるとコワイ」

ということで部下に恐怖感を植え付けるためだと言う説である。

恐怖感を植え付ける事で部下に絶対服従をさせてたらしい。

 

なぜかその後たった1時間で商品が届いた。

すでにレイ奪還計画で浮かれていたゲンドウはその事実を疑問には思わなかったようだ。

 

「冬月、後を頼む。」

ゲンドウは鏡のあるトイレに行ってしまった。

「碇め、本当にイヤな男だな。」

 

そして、メガネをとって少し青いコンタクトレンズをつけたゲンドウは片足を洗面台に乗っけてポーズを取っていた。

「フ、我ながらなかなかイケテルではないか。」

どうやら姿だけでなく性格まで変わっているらしい。

「さあいくよ、ユイの分身、そして私の下僕。」

なんだか浮かれまくって訳わからない発言をしているゲンドウ。

 

ちょうどレイがネルフに向かってきているのを発見した。

幸い周りに人は誰もいない。

 

(早速チャンスが来るとはな。どうやって私のカッコよさをアピールしてやろうか・・・

やはりこれが一番か・・・?

 

−−ゲンドウの予想シーン(妄想?)−−

 

『おお、レイか。』

「あなた、誰?」

『私だ。』

「・・・司令ですか?」

『そうだ。』

「カッコよすぎてわかりませんでした。」

『レイ、私とシンジとどっちがカッコいいか?』

「もちろん・・・司令です。」

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

これでレイもイチコロだな。)

 

そう考えてるうちにレイが接近してきた。

ゲンドウはさりげなく曲がり角から現れてレイに話し掛けた。

 

「おお、レイか。」

「あなた、誰?」

「私だ。」

 

(フッ、作戦どおりだな)

 

「私・・・自分を表す言葉。」

「はっ?」

「私は私、あなたじゃないわ。それじゃ、さよなら。」

 

訳のわからないことを行ってレイは去っていってしまった。

 

「く、レイ・・・私がわからないのか?

いや、私がカッコよくなりすぎてしまって分からなかったんだな。」

まだ自分をカッコいいと思っているゲンドウ。

自分がカッコいいと思われていない事に気づいてないのか?

 

「しょうがない、メガネをかけていってレイの前でわざとらしくメガネを取る。この作戦で行くか。」

別の道を使って先回りをしたゲンドウはメガネをかけて再びレイの前に姿を現した。

 

「レイか。」

「司令・・・何か用ですか?」

「いや、別に用事があるわけではない。」

 

そう言ってさりげなくメガネを取るゲンドウ。

そしてレイをジッと見つめた。

レイは何も喋らない。

(フッ、あまりのカッコよさに声も出ないのか。)

 

「どうした、レイ。」

「司令、メガネはつけないんですか?」

「ああ、コンタクトにしたから問題無い。」

「そうですか・・・。」

「レイ、何か言いたい事があるのか?( ̄ー ̄)」

「いえ、ありません。」

 

「何かあるだろう・・・『素敵ですね。』とか『カッコいいですね。』とか。」

「・・・よくわからない。」

「前に私がコンタクトにしたときの事を忘れたのか?」

「・・・・」

「あの時はレイも誉めてくれたろう。忘れてしまったのか?」

「いえ、知らないの。」

 

一瞬、ゲンドウは嫌な予感がした。

 

「私、3人」

レイが話している途中なのにゲンドウは走って行ってしまっていた。

ずばり、ゲンドウの予感は的中したようだ。

 

ゲンドウは全力でレイから逃げていた。

(レ、レイが私のカッコよさを認めてくれないとは・・・問題大有りだッ)

少し目に涙を浮かべている。

こんなところを部下に見られたら即、司令差し替えかも知れない。

もっとも現在ネルフに彼に逆らえる人物は存在しないのでそれも無いかも知れない。

 

(こうなったら、せめて我が愛しのシンジには認めてもらわねば。

シンジは人を傷つけることができない性格だからな。)

都合のいいときだけシンジを「愛しの息子」扱いするゲンドウ。

ある意味ジャ○アンである。

 

そう思っているところにちょうどアスカと一緒にネルフへ向かうシンジを発見した。

 

(惣流君も一緒か、ちょうどいい。

 

−−ゲンドウの予想シーン(妄想?)−−

 

「おお、シンジか。」

『あれ、父さん、メガネどうしたの?』

「コンタクトにしたんだがな。どうだ?シンジ。」

『いや・・・すごくカッコよくって。』

『ねぇシンジ、アタシと結婚しなぁい?』

『どうしたんだよアスカ、急にそんな事言い出して。』

『だって・・・シンジと一緒になればこんなにステキな人がお義父さんになるんだもん。』

 

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

フッ、シンジ、惣流君はくれてやるから、レイはよこせ。

シンジは、私を暗くて何考えてるかわからない父親だと思っているだろうからな。

今回は明るく行くか。)

 

そう言ってまたもやさりげなく曲がり角から現れたゲンドウ。

 

「おお、シンジか。」

「あれ?父さんどうしたの?こんなところで。」

「いや、ちょっとな。・・・お、惣流君も一緒か。いや、相変わらず惣流君はかわいいな。

ネルフには美男美女がそろっているが、特に惣流君はユイの次ぐらいにかわいいよ。

まったく、シンジの嫁になってもらいたいもんだ。」

 

作戦どおり明るくシンジたちに話し掛けるゲンドウ。

ちなみに「美男」とは自分の事を言っているのだろうか?

 

「そ、そうですか・・・(^^;)。」

「シンジも最近ちょっとカッコよくなってきたようだし、惣流君、一応シンジを花婿候補に入れてみてはどうかね?」

「そ、そうですね・・・シンジ、行く?」

「そ、そうだね(^^;)、い、急がないと後れちゃうね。」

「お、おい・・・そうだ、シンジ、昼ご飯を一緒に食べるか?」

「ご、ごめん父さん。このあとシンクロテストがあるからもう行くね。」

 

そう言って2人は早歩きで行ってしまった。

さすがにゲンドウも2人の声がやけにどもっていたのが気になったのか、

別れ際にシンジに投げつけた盗聴機で2人の会話を聞いてみた。

 

『父さん・・・一体どうしちゃったんだ?』

『そうよねぇ・・・なんかやけに明るかったし。』

『絶対なんかあるよ・・・・・まさかメガネをとった姿を自慢したかったのかな?』

『有り得るわね・・・意外と「コンタクトの私はカッコいいのだ」とか言ってたりして。』

 

図星である(^^;)

 

『でも変だよ・・・なんであんなに明るいの?それに僕目が合ったし。すごく恐いよ。』

『もしかしてアタシたちに「おじさまカッコいい」とでも言って欲しかったのかしら。

あの顔でよくそんな事を言えるわよね。』

『父さん・・・父さんはそんな人だったのか・・・なんかイメージ崩れたよ。

父さんは机で「フッ、問題ない」とか言ってる人だと思ってたのに・・・』

 

2人でゲンドウをぼろくそにけなしている。

ゲンドウがそれを盗聴機で聞いていたとは知らずに。

 

「ぐおおお、シンジ、レイ、惣流君、誰も私の事を認めてくれないのかぁぁぁ。

コンタクトの私に価値をくれぇぇぇ!」

 

訳のわからない事を心のなかで叫んでゲンドウは司令室に戻った。

戻ってきたころには、コンタクトの悲しみは怒りに変わっていた。

 

「どうした、碇。」

「くそぉぉぉ、こうなったのもコンタクトをつけたせいだ。

金猫堂とか言ったな、現存するエヴァ12体でつぶしてやる!」

「碇、まさか5号機から13号機までも使用するつもりか?」

「当然だ、あそこをつぶさない限り私の怒りはおさまらないのだ。葛城一尉、エヴァ12体全機出撃だ。」

 

「碇、頼むからやめてくれ。そんな私的な事にS2機関搭載型を10機も使うな。

そんな事しなくてもネルフの力があればつぶせるだろ。」

冬月の必死の説得で何とか落ち着いたゲンドウ。

 

「しかし、なんだこの金猫堂とかいう店は・・・碇、こんな店名聞いたことがあるか?

私はメガネのことは分からんがな。」

「ない。・・・・ん?金猫堂・・・・金・・・猫・・・・まさか!」

 

ゲンドウがそう言った瞬間、司令室のドアが開いた。

 

「ふふふふふ、ゲンちゅわぁぁん、かわいいわねぇ。」

「あ、赤木博士、やはり君の仕業だったのか・・・。」

「今ごろ気づいたの?もう遅いわよ・・・やっぱりゲンちゃんはメガネ無しの方がステキねぇ。

メガネの時よりずっとカッコいいわよ。( ̄ー ̄)」

 

リツコか近づいていくとゲンドウの顔はどんどん青くなっていった。

 

その後、ゲンドウは3日間ネルフに姿を現さなかったらしい。

 

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作者とゲンドウの謎の対談

 

ゲンドウ「なんだこれは。」

作者「司令がコンタクトをつけてみるって話ですよ。司令はコンタクトは嫌なんですか?」

ゲンドウ「そうではない。なんだこのオチは。」

作者「みんなに認めてもらえなくて、結局すべてをしくんだ赤木博士になんかされるという話ですけど。」

ゲンドウ「書き直せ。書かないなら帰れ。」

作者「(帰れってどこへ?)そんなのできるわけないよ!」

ゲンドウ「そうか、仕方が無い。冬月、エヴァ12体を出撃だ。」

作者「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 


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(updete 2001/11/18)