同級生

−睦言シリーズ−
【今夜だけはその腕で...】

−芹沢 よしこ−(1)
Written by Myaa

 

ドキッ!

 

バスルームから出てきたよしこ先生の姿を見た時、俺の心臓が大きく跳ねた。

ドアの影に隠れるようにして立つよしこ先生が、いつもと全く違って見えたからだ。

 

もちろん、いつもだって綺麗だ。

眼鏡の奥の瞳の輝きには気付いていたし、常にアップにした髪を下ろしたらどうなるのかな・・・なんてことを想像したりもしていた。

 

だけど、そこに立っていたのは先生じゃなくて、ひとりの女性だった。

しっとりと濡れた長いブラウンの髪・・・室内灯の下だと、栗色にも見える。

眼鏡を外した先生の瞳は・・・綺麗だった。想像してた通りだ。

そして、ショーツと俺のワイシャツだけを身につけたその身体は・・・・。

 

ごくり。

 

いかんいかん。

俺は何を考えているんだろう。先生がついさっきどんな目に遭ったか知っているはずなのに。

 

・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・。

でも・・・。

 

洗いざらしの真っ白いシャツの間から覗く先生の肌は・・・きめ細かで、艶めかしいほどに白くて。

気がつくと、ふっくらと盛り上がった丘を凝視していた。

 

「卓朗くん・・・・?」

「・・・・・・えっ!?」

「どうしたの?」

「いっ、いや・・・なんでもない」

 

自分でも何を話しているのか分からなかった。

先生の白い太股だけが、視界一杯に広がっている。

俺の視線に気付くと、先生は恥ずかしそうに両脚を擦りあわせた。

 

「ごっ、ごめんっ!」

 

俺は慌てて背中を向けた。顔が赤くなってたかもしれない。

全く、卓朗様としたことがなんてざまだ・・・。

だけど、このまま先生を見詰めていたら、とても我慢できないだろう。

 

ギシッ。

 

背後で、先生がベッドに腰掛ける音が聞こえた。

しかし俺の方はそれどころじゃない。

情けないことに、どうやら顔が真っ赤になってるみたいだ。

こんなところ、とてもじゃないが見せられない。

 

「・・・どうしたの、卓朗くん?」

「・・・えっ!?」

 

い、いかん・・・俺が後ろ向いてぼーっとしてたから・・・。

 

「なっ、なんでもないんだ先生・・・」

 

言いかけて、振り向いた俺の目に飛び込んで来たよしこ先生の太股の白さに、俺は硬直していた。

なんて白いんだろう・・・。

あんなに・・・あんなに・・・。

 

俺はもう自分が限界に来ていることを感じていた。

 

駄目だ・・・そんな目で俺を見ないでくれ、先生。

これ以上先生を見ていたら、俺は・・・。

 

そう思いつつも、俺は先生から目が離せなかった。

だんだん頭がぼーっとしてくる。

 

「やっぱり変よ、卓朗くん。目もうつろだし・・・もしかして、さっきの暴漢にどこかやられたんじゃ」

「ち、違うよ。本当になんでもないんだ。目がうつろなのは・・・」

 

思わずそう言いかけて、俺は咄嗟に思いとどまった。

 

「先生の身体に見とれていたから」

 

そんなことを言ってしまえば、もう絶対に抑え切れない。

俺は慌てて目を逸らし、のぼせ上がった頭をぶんぶん振った。

しかし、そんな俺の仕草を何か勘違いをしたのか、先生は立ち上がって俺の方に近づこうとする。

 

「ああ、やっぱりそうなのね!私ったら、自分のことばかり考えて、卓朗くんが怪我をしてることに気付かないなんて・・・」

「だ、だから違うって・・・」

 

駄目だ、近づかないでくれ先生!

先生が側に来たら、俺はもうどうなるか・・・。

 

「だめよ、ちゃんと先生に見せてご覧な・・・キャッ!」

「うわっ!」

 

不意に、先生がバランスを崩した。

やっぱりまだ足元がふらついていたのかもしれない。

俺は咄嗟に駆け寄ると、腕を伸ばして先生を受け止めようとした・・・。

 

ドサッ・・・・・。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

一瞬思考が途切れる。

俺たち・・・・どうなったんだろう。

 

なんだか・・・柔らかくて、温かい感触が・・・。

 

フワ・・・。

 

それに・・・なんだろう、このいい匂いは・・・。

 

「・・・・・・卓朗くん?」

「・・・・・・えっ?」

 

気がつくと、目と鼻の先によしこ先生の瞳があった。

しっとりと濡れた髪の感触が、頬をくすぐっている・・・。

 

「あ・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

 

そして視線を下げると、俺の手の中には・・・。

先生の胸があった。

 

チッ・・チッ・・チッ・・チッ・・・・・・。

 

枕元に置いてある目覚し時計の針が刻を刻む音だけが、やけに耳についた。

俺は放心したように、目の前の先生の顔を見続けている。

綺麗だ・・・・。瞳が少し・・・潤んでる。

頬に、先生の吐息が・・・・・。

 

キュ・・・。

 

「え・・・・・」

 

手をどけなきゃ・・・。

その俺の意志とは反対に、俺の手は先生のふくらみにより押しつけられていた。

意外そうな先生の声と顔。

 

すっ・・・・・

・・・・・きゅっ。

 

「あ・・・・・っ」

 

気がつくと、俺は先生の身体を抱き締めていた。

下になった先生を抱きかかえるように。

俺の頬の横に、先生の頬がある。熱い・・・。

 

チッ・・チッ・・チッ・・チ・・・・。

 

「や・・・・だめ・・・・」

 

しばらくして、ようやく事態が飲み込めたのか、よしこ先生は俺の下でじたばたと身体をよじった。

力はそれほど入れてないけど、先生の両腕をしっかり抱え込んでいるので、身動きがとれないみたいだ。

先生は唯一自由になる頭を、いやいやをするように動かした。

 

「卓朗君・・・こんなの、ダメ・・ぇ・・・」

 

先生が言う。

俺は答えなかった。

その気になれば、自由になる脚で俺を蹴飛ばして逃げれられるはずだ。

そうしなかったことに、俺は一縷の望みを託した。

 

なでなで・・・。

 

俺は無言のまま、先生の洗い髪を撫でた。

しっとりとした感触が、火照った掌に心地いい。

先生はびっくりしたように身体を強張らせた。

 

なでなで・・・。

 

俺はしばらくそのままで、先生を髪を撫で続ける。

先生はどうしたらいいのか分からないように、俺の腕の中でじっとしていた。

かすかな震えが、俺の肩越しに伝わって来る・・・可愛い。

 

「・・・・卓朗・・・くん?」

 

その時、ようやく俺は顔を上げて先生を見た。

よしこ先生の、綺麗な鳶色の瞳を覗き込む。

 

「先生・・・好きだ」

「えっ・・・・んんっ!?」

 

言って俺は、唐突に口付けた。

先生の唇に、俺のを押し付けるだけの稚拙なキス。

だけど、それだけで先生は目を白黒させている。

驚きに見開いた先生を瞳を確認して、俺は目を閉じた。

 

俺の胸板を撥ね退けようと、先生の手に力が篭る。

でも、今度は俺もしっかりと先生を抱きすくめて逃がさなかった。

先生が脚をばたつかせてもがく。

だけど、俺は先生に押し付けた唇を離さなかった。

先生に何も言わせないように、俺は唇を塞ぎ続ける。

 

やがて、苦しくなったのか先生が息を吐き出した。

同時に、身体から一時的に力が抜ける。

俺は一瞬唇を離した。

 

「好きだよ・・・先生」

「・・・あっ・・・」

 

意表をつかれているよしこ先生の顔に、俺はキスの雨を降らせた。

おでこ・・・

眉・・・

瞼・・・

睫・・・

目の下・・・

頬・・・

鼻の頭・・・

顎・・・

 

小さなキスを繰り返す度に、先生の身体から力が抜けていく。

 

はぁ・・・・・・・

 

俺の唇が首筋に達すると、先生は熱い吐息を漏らして、全ての力を抜いた。

 

「よしこ先生・・・・・」

「・・・・・・・・・・卓朗・・・くん」

 

俺はもう一度よしこ先生に口付けた。

同時に、導かれるようにして先生の大きな胸をシャツの上から、静かに揉みしだきはじめた。

 

 

 

(つづく)


みゃあの後書きらしきもの

 

うーん・・・どうかなぁ。

Koujiさまリクエスト・原案による大作の第一回目です。

見ての通り、まだ18禁書けない病が克服されてません(^^ゞ。

ここからどれだけHにできるか、ですね。

が、頑張ります(^-^;。

 

最後に、丁寧かつ緻密なストーリーと描写に対するご意見を頂きましたKoujiさまに感謝の意を込めて。