【今夜だけはその腕で...】 Written by Myaa |
ドキッ!
バスルームから出てきたよしこ先生の姿を見た時、俺の心臓が大きく跳ねた。
ドアの影に隠れるようにして立つよしこ先生が、いつもと全く違って見えたからだ。
もちろん、いつもだって綺麗だ。
眼鏡の奥の瞳の輝きには気付いていたし、常にアップにした髪を下ろしたらどうなるのかな・・・なんてことを想像したりもしていた。
だけど、そこに立っていたのは先生じゃなくて、ひとりの女性だった。
しっとりと濡れた長いブラウンの髪・・・室内灯の下だと、栗色にも見える。
眼鏡を外した先生の瞳は・・・綺麗だった。想像してた通りだ。
そして、ショーツと俺のワイシャツだけを身につけたその身体は・・・・。
ごくり。
いかんいかん。
俺は何を考えているんだろう。先生がついさっきどんな目に遭ったか知っているはずなのに。
・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・。
でも・・・。
洗いざらしの真っ白いシャツの間から覗く先生の肌は・・・きめ細かで、艶めかしいほどに白くて。
気がつくと、ふっくらと盛り上がった丘を凝視していた。
「卓朗くん・・・・?」
「・・・・・・えっ!?」
「どうしたの?」
「いっ、いや・・・なんでもない」
自分でも何を話しているのか分からなかった。
先生の白い太股だけが、視界一杯に広がっている。
俺の視線に気付くと、先生は恥ずかしそうに両脚を擦りあわせた。
「ごっ、ごめんっ!」
俺は慌てて背中を向けた。顔が赤くなってたかもしれない。
全く、卓朗様としたことがなんてざまだ・・・。
だけど、このまま先生を見詰めていたら、とても我慢できないだろう。
ギシッ。
背後で、先生がベッドに腰掛ける音が聞こえた。
しかし俺の方はそれどころじゃない。
情けないことに、どうやら顔が真っ赤になってるみたいだ。
こんなところ、とてもじゃないが見せられない。
「・・・どうしたの、卓朗くん?」
「・・・えっ!?」
い、いかん・・・俺が後ろ向いてぼーっとしてたから・・・。
「なっ、なんでもないんだ先生・・・」
言いかけて、振り向いた俺の目に飛び込んで来たよしこ先生の太股の白さに、俺は硬直していた。
なんて白いんだろう・・・。
あんなに・・・あんなに・・・。
俺はもう自分が限界に来ていることを感じていた。
駄目だ・・・そんな目で俺を見ないでくれ、先生。
これ以上先生を見ていたら、俺は・・・。
そう思いつつも、俺は先生から目が離せなかった。
だんだん頭がぼーっとしてくる。
「やっぱり変よ、卓朗くん。目もうつろだし・・・もしかして、さっきの暴漢にどこかやられたんじゃ」
「ち、違うよ。本当になんでもないんだ。目がうつろなのは・・・」
思わずそう言いかけて、俺は咄嗟に思いとどまった。
「先生の身体に見とれていたから」
そんなことを言ってしまえば、もう絶対に抑え切れない。
俺は慌てて目を逸らし、のぼせ上がった頭をぶんぶん振った。
しかし、そんな俺の仕草を何か勘違いをしたのか、先生は立ち上がって俺の方に近づこうとする。
「ああ、やっぱりそうなのね!私ったら、自分のことばかり考えて、卓朗くんが怪我をしてることに気付かないなんて・・・」
「だ、だから違うって・・・」
駄目だ、近づかないでくれ先生!
先生が側に来たら、俺はもうどうなるか・・・。
「だめよ、ちゃんと先生に見せてご覧な・・・キャッ!」
「うわっ!」
不意に、先生がバランスを崩した。
やっぱりまだ足元がふらついていたのかもしれない。
俺は咄嗟に駆け寄ると、腕を伸ばして先生を受け止めようとした・・・。
ドサッ・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
一瞬思考が途切れる。
俺たち・・・・どうなったんだろう。
なんだか・・・柔らかくて、温かい感触が・・・。
フワ・・・。
それに・・・なんだろう、このいい匂いは・・・。
「・・・・・・卓朗くん?」
「・・・・・・えっ?」
気がつくと、目と鼻の先によしこ先生の瞳があった。
しっとりと濡れた髪の感触が、頬をくすぐっている・・・。
「あ・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
そして視線を下げると、俺の手の中には・・・。
先生の胸があった。
チッ・・チッ・・チッ・・チッ・・・・・・。
枕元に置いてある目覚し時計の針が刻を刻む音だけが、やけに耳についた。
俺は放心したように、目の前の先生の顔を見続けている。
綺麗だ・・・・。瞳が少し・・・潤んでる。
頬に、先生の吐息が・・・・・。
キュ・・・。
「え・・・・・」
手をどけなきゃ・・・。
その俺の意志とは反対に、俺の手は先生のふくらみにより押しつけられていた。
意外そうな先生の声と顔。
すっ・・・・・
・・・・・きゅっ。
「あ・・・・・っ」
気がつくと、俺は先生の身体を抱き締めていた。
下になった先生を抱きかかえるように。
俺の頬の横に、先生の頬がある。熱い・・・。
チッ・・チッ・・チッ・・チ・・・・。
「や・・・・だめ・・・・」
しばらくして、ようやく事態が飲み込めたのか、よしこ先生は俺の下でじたばたと身体をよじった。
力はそれほど入れてないけど、先生の両腕をしっかり抱え込んでいるので、身動きがとれないみたいだ。
先生は唯一自由になる頭を、いやいやをするように動かした。
「卓朗君・・・こんなの、ダメ・・ぇ・・・」
先生が言う。
俺は答えなかった。
その気になれば、自由になる脚で俺を蹴飛ばして逃げれられるはずだ。
そうしなかったことに、俺は一縷の望みを託した。
なでなで・・・。
俺は無言のまま、先生の洗い髪を撫でた。
しっとりとした感触が、火照った掌に心地いい。
先生はびっくりしたように身体を強張らせた。
なでなで・・・。
俺はしばらくそのままで、先生を髪を撫で続ける。
先生はどうしたらいいのか分からないように、俺の腕の中でじっとしていた。
かすかな震えが、俺の肩越しに伝わって来る・・・可愛い。
「・・・・卓朗・・・くん?」
その時、ようやく俺は顔を上げて先生を見た。
よしこ先生の、綺麗な鳶色の瞳を覗き込む。
「先生・・・好きだ」
「えっ・・・・んんっ!?」
言って俺は、唐突に口付けた。
先生の唇に、俺のを押し付けるだけの稚拙なキス。
だけど、それだけで先生は目を白黒させている。
驚きに見開いた先生を瞳を確認して、俺は目を閉じた。
俺の胸板を撥ね退けようと、先生の手に力が篭る。
でも、今度は俺もしっかりと先生を抱きすくめて逃がさなかった。
先生が脚をばたつかせてもがく。
だけど、俺は先生に押し付けた唇を離さなかった。
先生に何も言わせないように、俺は唇を塞ぎ続ける。
やがて、苦しくなったのか先生が息を吐き出した。
同時に、身体から一時的に力が抜ける。
俺は一瞬唇を離した。
「好きだよ・・・先生」
「・・・あっ・・・」
意表をつかれているよしこ先生の顔に、俺はキスの雨を降らせた。
おでこ・・・
眉・・・
瞼・・・
睫・・・
目の下・・・
頬・・・
鼻の頭・・・
顎・・・
小さなキスを繰り返す度に、先生の身体から力が抜けていく。
はぁ・・・・・・・
俺の唇が首筋に達すると、先生は熱い吐息を漏らして、全ての力を抜いた。
「よしこ先生・・・・・」
「・・・・・・・・・・卓朗・・・くん」
俺はもう一度よしこ先生に口付けた。
同時に、導かれるようにして先生の大きな胸をシャツの上から、静かに揉みしだきはじめた。
(つづく)
みゃあの後書きらしきもの
うーん・・・どうかなぁ。
Koujiさまリクエスト・原案による大作の第一回目です。
見ての通り、まだ18禁書けない病が克服されてません(^^ゞ。
ここからどれだけHにできるか、ですね。
が、頑張ります(^-^;。
最後に、丁寧かつ緻密なストーリーと描写に対するご意見を頂きましたKoujiさまに感謝の意を込めて。