るろうに剣心
−明治剣客浪漫譚−


−睦言シリーズ−
【溺レル程ニ愛シタイ】

緋村 巴
−口愛(1)−

Written by Myaa


 

ちゃぷ・・・・・チュルッ・・・・・。

ピチュ・・・ぷっ・・・・。

 

「う・・・ぁぁ・・・・・」

「・・・ンッ・・・ふ・・・・ぁ」

 

室内には、篭るような湿った音だけが微かに響いていた。

わずかに湿り気を含んだ空気に、肌から滲み出す汗が溶け出す・・・。

くぐもったような女性の声に重なるように、若い男のうめきが漏れ出る。

 

若い男、いや、まだ少年といって良い年齢の緋村剣心は、夢現(ゆめうつつ)といった視線を中空に漂わせていた。

わずかに開かれた口元からは、時折快楽によるうめきを発している。

 

全身が融けて行きそうだ・・・。

身体の中心部に端を発する甘美な感触は、脊椎を駆け上り、脳髄を麻痺させる。

時に、ぴくんびくんと震えながら、剣心はかつてない愉楽に身を委ねていた。

 

「・・・ふ・・ぁ・・・んふ・・ン・・」

「・・ぅ・・あぁぁ・・・は・・っ!」

 

本来、快楽とは無縁の彼には、この刺激は恐ろしいほどに甘美である。

それでも彼が、されるが侭に身を任せているのは、その相手が妻と決めた女性であるからに他ならない。

下腹の辺りを全て包み込まれるような痺れに、剣心は導かれるように視線を下げた。

 

ゆらぁ・・・ゆら・・・。

 

立ちすくむ剣心の視線の先には、彼が全てを委ねている女性の漆黒の長い髪が、ゆらゆらと揺れている。

着物のはだけた、透けるように白い剥き出しの肩に漆黒の髪が踊る光景は、この世のものとは思えぬほど美しく、嬌艶であった。

 

ジュ・・・ぷっ・・・チュ・・・。

ちゅるっ・・・ピチュ。

 

その黒髪を辿ると、白梅の中の紅梅のごとき艶やかさの紅い唇が濡れている。

紅も引いていないのに、仄かな赤みを持ったその唇が、夫となった男性の強張りの上を這っていた。

小さな口を健気に押し開き、男の勃起を迎え入れている。

その、艶めかしく濡れた唇の隙間から、時折淫猥な音を漏らして。

 

その女性、やはりまだ少女と呼んで良い年齢の緋村巴は、

ちゅぷ・・・

と、ゆっくり自らの口の中から強張りを吐き出すと、今度は小さく開いた口から、真紅の舌を出して、夫のものに這わせ始める。

 

「ぅあ・・・・と・・・もえ」

「ンッ・・・ちゅる・・・ピチュ・・・はぁ・・」

 

楚々とした巴の口が、男の勃起を咥えているというだけで、剣心は目眩にも似た快感を覚える。

その薄い唇から覗く、紅色の愛らしい舌が自らの勃起を弄っている様は、なんとも非現実的だった。

しかし、彼女からもたらされる刺激は、確実に彼を一つの高みへと導いて行く。

 

滴る唾液をたっぷりと塗した巴の舌が、強張りの形をなぞるように下から上へと絡み付く。

同時に、なまめかしいほどに白い指が、その下にある陰嚢をやわやわと撫でさする。

たまらず、剣心は喉を仰け反らせ、巴の黒髪に手を置いた。

 

「うあぁ・・・っっ!」

「・・・っはぁ・・・」

 

頂までなぞり上げた舌を離して、巴は余った手で強張りを扱き出す。

 

「・・・愛しい・・・」

「・・・・・・巴」

 

剣心の、からからの喉から出ずる声が震えている。

巴はうっとりとした表情を見せると、陰嚢の中にある二つの塊をこりこりとこすり合わせていた。

 

自らの唾液で濡れ光る陰茎に指をかけ、撫でるように、締め付けるように扱き上げる。

潤んだ紅い色の瞳が自分を見上げるのを、剣心は呆然と見下ろしていた。

 

視線が絡み合う。

剣心の藍色の瞳。巴の紅色の瞳。

それはどちらも情欲に溺れた色ではなく、互いを愛おしむ光だけが宿っている。

 

強張りに手をかけたままの妻に、剣心は身をかがめてその愛らしい唇に口付けた。

身じろぎもせず、その接吻を受け止める巴。

感極まった表情。

 

触れるだけの口付けが、なぜこれ程愛しい。

唇と共に互いの顔が離れて行くまで、その視線は愛する者の瞳に釘付けだった。

 

「・・・感じて・・・くださいませ」

 

巴は吐息と共にそう言うと、わずかに微笑み、そして両掌を陰茎と陰嚢に絡めたまま、その先端をゆっくりと貪った。

優美な唇に吸い込まれた強張りは、その口内で清浄な唾液に洗われる。

そして、柔らかくしっとりとした舌が、意志を持っているかのように絡み付いてきた。

 

「・・っふ・・・・う・・・」

「はっ・・はっ・・・ぅ・・・ぅぁ」

 

二人の呼吸が同時に荒くなる。

剣心は無論、巴もはだけた肩から覗く肌は桜色に上気していた。

 

愛している。

愛されている。

 

そのことを思うだけで、二人の身体は火照る。

 

愛したい。

愛されたい。

 

そう望むだけで、二人の中心部は熱く潤むのだった。

 

剣心の呼吸が早くなるに合わせて、巴は咥えた口を上下させ始める。

ぬかるんだ舌が張り詰めた強張りを締め付け、なぞり、しゃぶり、剣心の身体と心を高みへと導いて行く。

柔らかい感触の陰嚢をくすぐるように弄ぶと、剣心の吐息はさらに早くなった。

 

「はぁっ・・・はぁっ、はぁっ・・・巴・・・巴・・・」

「ん・・・んぶっ・・・んむ・・・もっ・・・」

 

情感が高まるにつれて、剣心のしなやかな指が、巴の頭を愛撫する。

髪を梳き、頬を撫で、耳朶をくすぐる。

そのあまりにも優しい愛撫に、巴は強張りを咥えたまま、くすぐったそうに首をすくめた。

 

「巴・・・巴・・・。愛している・・・」

 

剣心の熱の篭った呼びかけに、巴は勃起を含んだまま、幾度も頷く。

そして、いよいよ剣心が限界の様子を見せはじめると、ゆっくりと唇から陰茎を抜き去った。

 

「・・・あぁ。・・・はい、愛しております・・・あなた」

 

潤んだ瞳が剣心を見上げる。

剣心は、きつく抱き締めてしまいそうになる衝動を必死に堪えた。

再びついばむような接吻。

 

先端からとめどもなくあふれ出る粘液を全体に塗り込めながら、巴は誘(いざな)う。

 

「出してくださいな。・・・口に、くださいませ・・・あなたの精を」

「・・・・巴・・・・」

 

剣心の返事が終わる前に、巴は強張りを咥え込んだ。

強烈な快楽が、剣心の脳髄を麻痺させた。

 

愛しい者の清らかな口内に注ぎ込む。

その背徳感を想像しただけで達しそうになる。

 

しかし、巴が望むなら・・・。

無論剣心に否とする必要はなかった。

 

先ほどまでより、更にゆっくりと丹念になる巴の口愛。

揺れる漆黒の髪を見下ろしながら、剣心はただ呼びかけ続けた。

 

その名を呼ぶことで、愛する妻を愛撫するかのように。

 

・・・・巴!

 

「・・・・はっ・・・!!!」

「ん!・・・む・・・んん・・・んんん・・・んも・・・ぅ」

 

ドクドクと、自分の分身が脈打っている。

まるで身体から切り離されたように痺れている。

自分の意志とは無関係に、巴の口内に熱い精を注ぎ込んでいる。

 

後から後から・・・とめどなく。

巴は眉一つ顰めず、送り込まれた精をその舌と口内で受け止める。

 

とろとろと・・・

とろとろと・・・

 

注ぎ込まれるものを、確かめるように受け止めてゆく。

やがて、その雪のように白く細い喉が、こくりと動いた。

 

 

(第一回「口愛(1)」了)


みゃあの後書きらしきもの

 

これを読んでいる、ということはあなたはあの謎を解いてきたわけですね?

しかも、注意書きに同意していただけた、と。

ふぅ・・・なら怒られまい(笑)。

やっぱりこの寝室作って良かったよ・・・こんなもの一般の「るろ剣」ファンに見られたら、カミソリレターの100ダースくらい届きそうだもの((((((^_^;)。

いやぁ・・・濃いなぁ。

いやまぁ確かに・・・わざとそれを意図して表現に気を付けたんですけどね(^^ゞ。

この二人の組み合わせでコレをやると、まさかこんなにえっちだとは・・・。

うーむ・・・。

ま、まぁ実際こんなコトあるわけないですが、一応二人の想いからは有り得ないことじゃないと思ってますので。

文字どおり「死ぬほどに」愛し合ったふたりなら・・・。

たしかに結構な行為をさせてますが、「汚した」とは思ってません。

だってこれは二人の「睦み」ですもの。

 

・・・結局言い分けがましくなるのは次を考えてのこと。

ここに来た人でも、さすがに止めて欲しいというご意見があったら止めときます(^^ゞ。

あ、別に特別な行為をするわけじゃありませんから。

この二人が愛し合っているなら当然のことが展開されます。

特に「命をかけた」戦いのさ中にいる者達には、この想いはそれだけ強いものだと思います。

 

いいかげん重い話はやめましょ(笑)。

とにかく私はコレを書きたかったんだぁぁぁぁぁっ!!!(爆笑)

っつーわけで感想ください。でも「よくも二人を汚してくれたな!」っつーのはナシです。

それはここに入る以前に警告してありますので。

それでは。