〜 一年の計は元旦にあり 〜
present by ちひろ
「ちょっとシンジ!はやくきて!!」
突然の叫び声に、リビングでテレビを見ていたシンジが飛び起きる。
バスルームの方から発せられたその声に、シンジは慌てて駆け寄った。
「どうしたの!アスカ!!」
そういって、アコーディオン・カーテンをかまわず開ける。
が、そこにいたのは、産まれたままの一糸も纏わない姿のアスカであった。
おもわず見とれてしまうシンジ。
「きゃっ!シンジったら大胆なんだから。アタシにだって心の準備が・・・」
赤くなった顔を両手で隠しながら、モジモジするアスカ。(他んとこ隠せよ(^^;)
「ごっ、ごめんよ!アスカ。」
慌ててカーテンを閉める。
何かが違う、直感的にそう思ったシンジ。
「アスカの悲鳴が聞こえたから、心配になって急いで来たんだけど。」
とりあえず弁解する。
「・・・・・・」
返事がない。
「・・・アスカ?」
少し不安になり、シンジは、今閉めたカーテンをそっと開け、中をのぞきこんだ。
と、突然アスカがシンジに抱き着いてきた。
「うれしい!そんなにわたしの事思っててくれたなんて。」
「ちょっ、ちょっとアスカ!」
アスカのふくよかなムネがシンジの体を直撃する。
「ムッ、ムネが・・・」
なす術のないシンジ。
そんなシンジのむなもとに耳をあて、アスカはそっと目を閉じる。
「シンジの鼓動が聞こえる・・・とってもドキドキしてる。」
そのはずである。
スタイル抜群の、美少女と呼ぶにふさわしいアスカに、全裸で密着されているのだから。
「ア、アスカ、あの・・・」
この状態をなんとかしようとした彼であったが、思考回路はすでにショート寸前であった。
からだじゅうの血液が急激に沸騰するのがわかる。
すぐに、シンジはやばいと思った。
アレが、起き始めたのだ。
アスカから体を離そうとするが、言う事をきいてくれそうにない。
幸か不幸か、このシンジのからだの異変に、アスカが気がついた。
「あんっ!シンジったら・・・今日はお休みの日って言ったのに(はぁと)」
そういって、上目遣いでシンジの顔を見つめるアスカ。
アスカのそのクリクリした瞳が、シンジの脳髄を直撃する。
シンジがこの仕草に弱いことをアスカは知っていた。
こうなると、シンジはイチコロである。
さすがはアスカ様、ツボを心得た攻撃(^^;。
「ボッ、ボクはもう・・・」
カウントダウン開始。
5
4
3
2
1
「レイ、そうわたしは綾波 レイ。零号機パイロット。ここはどこ?ここは碇君の家。碇君の場所。どうしてわたしここにいるの?命令だから。わたしの命令。それは私自身の意思。碇君への想い。好きということ。わたしは碇君が好き。碇君もわたしが好き。わたし達の想いを邪魔するのは誰?それは弐号機パイロット、セカンドチルドレン。服を着ない女、露出狂の女。それは敵、わたし達の敵。目障りな者、障害物、乗り越える物。碇君とふたりで。わたし達の愛で。行きましょう碇君、二人だけの世界へ。」
「あっ、あの綾波!?いっ、いつからそこにいたの?」
引きつった顔で、あっけにとられるシンジ。
「ちょっと!!!なんであんたが出てくんのよ!って言うか、いったいどっから入ってきたのよ!!」
訳がわからず、怒鳴るアスカ。
「碇君、逃げてはダメ。乗り越えるの、二人の愛で。」
いきなりシンジの手をつかむレイ。
じっとシンジの目をみつめて一言。
「行きましょっ!」
そう言うが速いか、シンジの手をひっぱり、トイレへ駆け込むレイ。
「カチャッ」
「あっ!?こらっ、開けなさいファースト!!ちょっと、なにやってるのよシンジ!!」
ケリ、パンチ、体当たりにものともしない頑丈なドアに阻まれて、苛立つアスカ。
「わっ!アスカ、おっ、落ち着いて!」
ドアを挟んで聞こえてくる、その凄まじい攻撃にビビるシンジ、動じないレイ。
「邪魔者は消えたわ。」
「へっ!?」
「時は成就したわ。わたしは、今日この日のために生まれてきたの。碇君と結ばれるために。」
「綾波?」
「いまこそ、アダムとリリスの禁断の融合を果たす時よ。」
「なっ、なに訳のわかんない事言ってるんだよ。」
「それは、とてもとても気持ちのいい事なのよ、碇君。わたしとひとつになるのよ。」
「ちょっ、ちょっと!?」
そう言ってレイは、強引にシンジを便座に座らせた。
そして、シンジの膝の上にまたがる様に腰を下ろす。
「ばきばきばきっ!!」
突然、鍵のかかっていたドアが開く、いや無理やりこじ開けられる。
アスカの馬鹿力によって。
「シ〜ン〜ジ〜、こぉぬぉ裏切り者!!!!!」
そこには、怒り狂った形相のアスカ様が、仁王立ちしていた。
あまりの恐ろしさに失禁してしまうシンジ。
「あっ!わたしの下着が濡れちゃた。碇君たら、せっかちなんだから(はぁと)」
この状況に、さらに追い討ちをかけるレイ。
そして、それに拍車をかけるようなシンジの発言。
「違うんだよ!これは誤解だよアスカ!!レイにかけたのはボクの・・・」
「問答無用!!!!!!!!!!!!!!!」
「はっ!!夢か・・・ハハッ、ほんとに夢でよかったよ。しかし、初夢がこんなんじゃ、今年1年、先がおもいやられるよなぁ。」
「どんな夢みてたの?」
「いや、それがさぁ、綾波にいきなりトイレに連れ込まれて、そのまませまられて、馬乗りになってきた彼女の下着よごしちゃったんだ。」
「それで?」
「いやぁ〜ホント、あの時はどうなることかと思ってさ。そうそう、傑作といえば、アスカのあの鬼のように怒り狂った形相、あれはあれで、めちゃめちゃ怖かったよ。ほんとっ、この世のものとは思えないくらいすごい顔だった。今、こうして生きていられるのが不思議なくらいだよ。いやぁ〜生きてるっていいなぁ〜、すばらしいよ。」
「ふ〜ん、そんなにすごい顔だった?」
「そりゃあもうって、そうそう!!ちょうどそんな顔、ほんとそっくりだ・・・・・・・・・・・・・よ、あれ?ボクまだ夢のなかにいるのかなぁ・・・・・・・・・・・・」
一向に変わらない、目の前の顔。
「そうだよなぁ・・・・・・・・・・・・・・・・そうであってほしい!いやっ、そうに決まってる!!ボクは、まだ死にたくないんだ、この年で死ぬなんていやだ!
誰か助けてよ!母さん!父さん!トウジ!ケンスケ!ミサトさん!加持さん!リツコさん!あやな・・・」
「瞬殺」
その後1年間、アスカ様の下僕として、虐使される彼の姿が目撃されている。
合掌。