こちら、FM第3新東京ステーション2
present byちひろ
「さぁっ!またまたやってまいりました、FM第3新東京のお時間です。」
「司会は、従順で奥ゆかしい国民的清純派アイドル、惣流 アスカと、」
「エプロン姿のよく似合う、碇 シンジでお送りします。そして、提供は、創業100年の歴史を誇る冬月堂と・・・」
「おそーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!トロトロしてっと、おいてくわよ!」
「そんな、せかさないでよ!このまえだって、提供先からクレームが・・・」
「アンタ・・・アタシに口答えすんの?」
「い、いや、そんなわけじゃなくて・・・」
「じゃなくて?」
「なんでもないです。」
「じゃあ、早速いくわよ!アタシの新設コーナー、題して、アスカの突撃ラブアターーック!!」
「えっと、このコーナーは、アスカが恋の相談役として、みんなの悩みをバンバン解決するんだよね。」
「アタシがタダで相手してやんだから、ありがたく思いなさいよ。」
「アスカ、それはちょっと高慢なんじゃ・・・」
「口をはさむな!」
「ご、ごめんよ、アスカ!」
プルルルルッ!
「あらっ、さっそく、恋の悩みのおデンワね。はいはい、モシモシィ?」
「モシモシ、霧島亭?」
「はっ?」
「チャーハンみっつ、大至急ね!」
「・・・どちら様かしら?」
「相田だよ、相田。常連の声ぐらい憶えとけよな。」
「・・・・・・」
「おーい、モシモシ?」
「コロス」
「ひっ!そ、その声はまさか・・・」
「あとで行くから、首洗って待ってな!」
「は、はいっ!」
「じゃあな。」
ガチャン!
「というわけでぇ〜、良い子のみんな、間違いデンワには気をつけよねっ!アスカからのお・ね・が・いっ(はぁと)」
「そうそう。アスカって、デンワにもうるさくってさぁ。ボクがアスカの家にかけるときなんか、時間帯を考えないと、そりゃもう、後で大変な・・・」
「しゃべるなっつってんだろ!」
「わー!ぶたないでよ、アスカ!」
プルルルッ!
「ア、アスカ、ほらっ、次のデンワだよ!はい、モシモシ?」
「アンタが出てどうすんのよ!ほら、とっとと貸しなさいよ!」
「おう!ケンスケか?ワシじゃ。」
「・・・・・・」
「なに、黙っとんのじゃ。まだ、痛むんかい。惣流からぶったたかれたとこが。」
「・・・・・・」
「いーいー、無理して喋らんとも。毎度のことやからなぁ〜。アイツは手加減っちゅうもんを知らんから。」
「・・・・・・」
「わかるで〜、その痛み。ワシも、つい口がすべって、狂暴赤毛サルの裏拳食らうからなァ。ホンマ、ヤツは男なんとちゃうか?ワシは生まれてこの方、あんな野蛮な女、見たことないわ。まったく、アイツほど暴力が似合う女も珍しいで。おしとやかさのカケラもないわ。一回でいいから、ヤツのでばなをくじいてみたいもんやわ、なぁ、ケンスケ!ハハハハハハハハッ!」
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」
「おいおい、なに女のような声で笑っとんじゃケンスケ。」
「・・・・・・」
「それ、ひょっとして、惣流のマネか?」
「・・・・・・」
「おいおい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・マジ?」
「だとしたら、どうする?」
「・・・・・・あの〜、相田さんのお宅ですよね?」
「・・・・・・」
「ケンスケさん、お願いします。」
「始末したわ。」
「すると次は・・・」
「アンタよ。」
「ヒッ!」
「茶菓子用意して、待ってなさい!」
ガチャン!!
「ど〜も、今日は、調子が狂うわ!」
「・・・・・・」
「ちょっと、シンジ!なんとか言ったらどうなの!」
「さっき、しゃべるなって・・・」
「男がいちいち細かい事、気にしてんじゃない!」
「だって・・・」
プルルルルル!
カチャッ
「だれ?」
「やは!シンジくん。ごきげんいか・・・」
ガチャン!!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「アスカ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ア、アスカ!機嫌なおしてよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ほ、ほらっ、バームクーヘンだよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「好きだろ、アスカ、バームクーヘン。このまん丸のやつ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「小さい頃、よく二人で、はんぶんこにして食べたじゃないか。」
「・・・・・・・・・・・・」
「憶えてる?アスカったら、いっつも大きい方ばっかりとって、ボクそれで、泣いちゃってさ。」
「・・・・・・・・・」
「それで、自分のヤツをまた半分にして、ボクにくれたじゃないか。」
「・・・・・・」
「泣かないでって。シンジが泣いたら、アタシまで悲しくなっちゃうよって。」
「シンジ・・・・・・そんな昔の事、憶えててくれたんだ。」
「あたりまえだろ。アスカとは、生まれた時からずっといっしょなんだから。」
「シンジ・・・・・・」
「アスカ・・・・・・」
「グスンッ」
「泣いてるの?アスカ。」
「だって、シンジが・・・」
「えっ?」
「シンジがあんまりうれしい事言うから・・・」
「アスカ、泣かないで。」
「シンジが泣かせてるんだからねっ。」
「ごめんよ。どうしたら泣き止んでくれる?」
「アタシのこと、どう思ってるの?」
「えっ?」
「どう思ってるのよ!」
「そんなこと言われたって・・・」
「答えて!じゃなきゃ、もっと泣いちゃうからねっ!」
「わ、わかったよ!言うよ!」
「どうなの?」
「う〜んと・・・」
「ねぇ。」
「え〜と・・・」
「はやくぅ〜。」
プルルルルルッ!
「ア、アスカ、デンワだ!」
「ゴマカさないで!」
プルルルッ!!
「とりあえず、受話器取ろうよ。話はそれから・・・」
カチャッ
「ひどいじゃないか、シンジ君。突然切ったりな・・・」
ガチャン!!!
「・・・で、どうなの?」
プルルルル!!
「つまり〜・・・」
プルルルルルル!!!
「その〜・・・」
プルルルルルルルル!!!!
カチャッ
「やかましい!」
「あっ、相変わらず元気がいいな、アスカ君。」
「・・・・・・こ、これはこれは、ゲンドウおじ様!いつも、うちのシンジがお世話になっておりますぅ。」
「いえいえ、こちらこそシンジがご厄介になりっぱなしで・・・って、ちがう!」
「今日はどうなされたんですか?ひょっとして、ユイおば様のこと?」
「そうなんだ。ユイが最近、わたしをイジメるんだ。ネチネチと。」
「へぇ〜。」
「経費削減とか言って、私の少ないお小遣いをさらに減らすというんだ。」
「ほぅほぅ。」
「それで今月なんか、とうとうシンジとおなじ・・・って、ちがう!そうではなくて!」
「じゃなくて?」
「ゴホン、シンジをお願いしたい。」
「えっ?そ、そんなヤダ、突然。こちらにも心の準備ってものが。そりゃ〜、アタシだっていずれはって思ってたけど、でも、アタシ達、まだ中学生だしぃ〜、そういう事は、精神的にも肉体的にも早いんじゃないかって・・・きゃっ!肉体的だなんて、イヤン!シンジのエッチ!こういう事、平気でアタシに言わせるんだからぁ!しんじらんない。もう、ヤダヤダ!はづかしいぃ〜!」
「あの〜、お取り込み中の所、申し訳ないのだが・・・」
「あっ、はいはい、なんでしょうか、お父様。」
「シンジと話がしたいのだが・・・」
「えっ?シンジと?」
「かわってもらえるかな。」
「はい、かしこまりました。シンジ!お父様からお電話よ。」
「えっ?父さんから?」
「海の見える可愛い教会がいいって、言っといて!」
「はっ??」
「いいから、言うのよ!」
「なんか知らないけど、わかったよ。もしもし、父さん?なんか、海の見える可愛い教会がいいって、アス・・・」
「・・・・・・」
「もしも〜し、父さん?」
「碇君!」
「あ、綾波!?」
「うれしい、碇君。わたしも、そういうとこがいいと思っていたの。」
「へっ?」
「仲人はお父様にお願いして、式は早いほうがいいわね。明日、さっそく下見に行きましょう、碇君。」
「はいっ??」
「いいのよ、こういう事は。お互い初めてなんだから、気が動転するのも無理ないわ。でも、大丈夫よ。わたしがついてるわ。これからは、お互い手を取り合って、助け合って生きていきましょう。」
「どういうこと???」
「それが、夫婦というものよ。」
「夫婦!?」
「ふ、夫婦だなんてぇ〜。もうっ、シンジったらっ!」
バキッ!メリッッ!!
「あらっ?ちょっと、力の加減を間違えちゃったかしら。まぁ、いいわ。かわりにアタシが出てあげる。」
「もしもし?おデンワかわりましたわ、お父様。」
「・・・・・・」
「もしもし?」
「アナタ、碇君じゃない。」
「なっ!なんで、アンタが!」
「碇君を出して。大事な用があるの。」
「こっちも、お父様に大事な用があるのよ!」
「お父様なら、もうここにはいないわ。」
「どういうことよ!」
「答える義務はないわ。」
「なんですってぇー!」
「いいから、碇君を出して。式場のことで、色々話があるの。」
「式場!?」
「そう、今度わたし達、海の見える可愛い教会で式を挙げるの。」
「ちょっと、なんでそうなるのよ!式を挙げるのはこのあたし達よ!」
「わたし達は、碇君のお父さまから、すでに公認の仲なのよ。あなたはお呼びじゃないのよ。」
「はんっ!こっちも、ちゃんとお父様からお許しを頂いてるのよ!アンタこそ、ひっこんでなさい!」
「そうはいかないわ。」
「ぬ〜、こうなったら、本人に直接聞いてみればいいわ!」
「そうしてくれると嬉しいわ。碇君の口からわたし達のあんな事やそんな事を聞けば、あなたも納得するだろうし・・・」
「あんな事やそんな事!?」
「あらっ?あなた何も知らないのね。少しぐらいは、気づいてたと思ってたんだけど・・・」
「なんの事よ!」
「今度、引っ越す事になったの。」
「話をそらすな!」
「逸らしてなんかないわ。」
「アンタが引っ越す事なんか、こっちは聞いちゃいないのよ!」
「じゃあ、後日あらためて、引越しの挨拶に伺うわ。」
「来なくていいわよ!」
「碇君とふたりで・・・」
「・・・・・・!」
「これからは、毎日、ごはんもお風呂も寝るのも、全部いっしょよ。」
「アンタ・・・・・・引っ越すって・・・」
「そう、碇君の家よ。」
ガチャンッ!!
「ちょっとシンジ!!どういうこと!!!」
「あらっ?いないわ・・・・・・」
「ハァハァハァハァ、こ、ここまでくれば大丈夫だろう。」
「しかし、まったく、父さんにはやられたよ。まさか、綾波を出すなんて・・・・・・火に油だよ。こうなる事分かってて、あえてやってくるんだから。」
「父さんのイタズラ好きには、ホトホト困るよなァ〜。家に帰ったら、よ〜く言っとかなくちゃ。」
「・・・・・・でも、明日からどうしよう・・・・・・アスカにはナイショにしておこうと思ったんだけど、ボクと同じ部屋だなんて言えないよなぁ〜」
「朝、起こしにきたら・・・・・・ちょ、ちょっとヤバイんじゃないか、これ。」
「わー、ボクはこんな簡単なことを、どうして今まで気づかなかったんだろう!」
「どうすればいいんだ!父さんのバカぁー!」
「なにか、言い訳考えなくちゃ・・・」
「いや〜綾波が部屋間違えちゃって・・・・・・」
「ダメだ!ベッドがふたつある事自体、不自然じゃないか!」
「ボクが部屋を間違えちゃって・・・・・・」
「だぁー!そんな事言ったら瞬殺されちゃうよ!」
「いっそのこと、早めに家を出るとか・・・・・・」
「全然解決になってない!そんな事したら学校でさらし首だよ。」
「なにか、他に良い案は・・・・・・」
コンコンッ!
「!」
コンコンコンッ!
「い、いま、入ってます。」
コンコンコンコンッ!
「ま、まさか・・・・・・」
「いるんでしょ・・・」
ビクッ!
「フフッ、お顔見せて、シンちゃん。」
「な、なにもしないよねっ・・・」
「ん〜?もちろん・・・」
「ホ、ホント?」
「どうかなぁ〜」
「どうって・・・」
「と・に・か・く・、これ開けちゃおうねっ!」
「で、でも〜・・・」
「じゃあ、アタシが開けちゃおうかっ!」
「へっ?」
バキバキッ!!!
「ヒッ!」
「さぁ〜いい子ね、シンちゃん。こっちにいら〜っしゃい。」
ぷるぷるぷるっ
「あらあら、ふるえちゃてるの?か〜わいっ!」
「アアアア、ア・・・」
「ううん、心配しなくてもいいのよ。」
ガタガタガタッ
「た〜っぷり可愛がってあげるからねっ!シンちゃん!」
Fin