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(この物語は本編を大幅に変更したもう一つのエヴァンゲリオン。どう違うか、それは自分で読んでみてほしい。ちなみに、主人公は碇シンジではありません。)
ガタンガタンガタン
今、この電車はある一人の男をまだ成人でもない少年を戦場へと赴かすためにだけ走っていた。当の本人は、そのことを知っているのか知らないのかただゲームボーイで遊んでいた。周囲に人はいない。
まあ、この時期に戦場のど真ん中に行こうなんてまず普通の人は思わないだろうが・・・・
ゲームも飽き、窓の外の光景が移動していく様を見ていると機械音声のアナウンスがなった。
「まもなく、第3新東京市...第3新東京市でございます。お忘れ物のないようご注意ください。」
少年は椅子から立ち上がった。戦場に着いたのだ。
駅を出、近くにあるベンチに座る。もう先方は到着しているはずだが....
と、背後から声がした。
「瀬川ヒトシね。」
ヒトシは振り返ることなく、抑揚のない声でしかしそのことには応えなかった。
「現れたんですか。」
「ええ。」
「そうですか。」
問答はそれで終わりヒトシは初めて振り返る。そこには、金髪で、眼鏡をかけた長身の女性がたっていた。ヒトシはニコッと笑い言った。
「じゃ、行きましょうか。リツコさん。」
車をとばして約30分。あちこち破壊跡が見られたが別段何事もなく、目的地の駐車場についた。車から降り、入り組んだ通路を通過し、ある大きな広間に出た。そこには赤い血のような液体に浸っている大型の人型ロボットがあった。リツコはヒトシに歓迎の言葉を贈った。
「ようこそ、特務機関ネルフへ。あなたを歓迎するわ。」
「これが汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン....」
ヒトシはエヴァンゲリオンをじっとみつめた。これからヒトシはこの兵器と命を共有しなければならない。そう考えるとこれは第二の自分ではないか。ヒトシは苦笑した。第二の自分が破壊の化身とは笑わずに入られない。
「格好いいでしょう。」
いつのまにかリツコはいず、代わりにロングヘアーのどこにでもいそうな軽い女性がいた。
「お久しぶりです。ミサトさん。」
ヒトシはミサトの顔を食い入るように見ながら言った。
「ひさしぶりねー。....ん、なんかついてる。」
ヒトシの視線が気になったようだ。
「いえ、2年前と比べると、また一段と小じわが増えたなーとおもって、ミサトさん、もうそろそろ三十路・・・・・」
最後まで言えなかった。その前にミサトのアッパーカットがヒトシの顎を直撃していた。
「相変わらずねぇ。その人の神経を逆なでにするの止めなさいといっているでしょう。」
顎にくらった衝撃により、歯で唇を噛んでしまい余りの痛さに悶え苦しみ数分、痛みにも慣れ、なんとか口を開く。
「ひどいなあ。俺はミサトを心配して・・・」
「それが、大きなお世話なのよ。」
横からどこからともなく現れたリツコが口をはさむ。
「リツコー。こいつったら昔と全く変わってないぃ。」
リツコに助けをもらおうとしたが、
「上官がからかわれてどうするのよ。」
と冷たい反応がかえってくるだけだった。その様を笑いつつ、話をかえることにした。
「そういえば、碇指令は?」
「あ、碇指令は今回の使徒殲滅の報告と1stチルドレンについての今後の大まかな対応について検討中よ。」
ヒトシはそういえば使徒を昨日殲滅したということとそのパイロットの名が書かれた大まかな報告を思い出した。
「ふーん。じゃあ後で挨拶することにして・・・・・」
ヒトシの顔から笑いが消え代わりにシリアスな顔に変わった。
「例のものが見つかったようだな。どこだ。」
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(updete 2001/07/07)