外伝「母娘の会話」
作・PDX.さん
それは惣流ユイカ嬢がまだ6歳のころ。
「ねぇユイカ?」
「なぁにママ?」
「うふふ、ユイカもママに似て美人になってきたわね」
「ほんとう?」
「ママが言うんだから本当よ」
『ママに似て』という部分を自分で言っているアスカ。相変わらず自信まんまんである。一方ユイカといえば肯定するのもはばかられ、無論否定もできず曖昧に微笑むしかない。
「でもユイカ、いつも言っているけど、変な人についていっちゃ駄目よ?」
「うん!」
アスカ自身、幼いころからいろいろ身を守る必要があったのか、こういう事に関しては愛娘のユイカにも重々言い聞かせている。まぁアスカの場合、単に美少女だった、というだけでなくチルドレンというVIPだったから余計にいろいろあったのだが。
「お金目当ての誘拐や、ロリコンの変質者、あと芸能界のスカウトにも気をつけるのよ」
「………(汗)」
無言で『スカウトなんて来ないって』と思っているユイカ。
「本当に、犯罪者は逮捕しちゃえばあとはどうにでもなるけど、スカウトは追い払うしかできないから、追い払ってもまた来るのよね…」
ぶちぶちと言い続けるアスカ。よほど嫌な思い出でもあるのだろうか。ユイカとしては声をかけることすらためらってしまう。
「それに、ユイカが芸能界デビューなんてことになったら、保護者であるアタシもいろいろ面倒なことになるし」
「…ママ、面倒くさがりだもんね…」
なにげに失礼な事を言っているユイカである。
「第一、アタシにお声がかかりかねないわ!」
ゴン、と音を立ててテーブルにつっぷすしかないユイカ嬢。彼女の母は、やはり強気であったとさ。
終