アナザーエヴァンゲリオン シンジの物の怪退治列伝

再会 そして運命は回り始める 後編

 

 

 ここは神社の裏、あのあとふたりはしばらくのあいだお互いを見つめ会っていた。

最初に口を開いたのはレイの方だった。

 

「碇くん、結婚して。」

爆弾発言!!勃発!!!

 

 シンジは固まってしまった。 状況をまったく判断できていないのか頭の上には?マークが浮かんでいる。

 

 へ?、、結婚、それってあの一人の女性を争ってやる西部劇の、、

 

 それは、決闘

 

 じゃあ、一人の女性に夢中になるって言う、、、

 

 それは、ゾッコンです。

 

 えっ、じゃあ結婚て、あの、もしかして、夫婦になるっていうやつかな?

 

 そうそう、それです。

 

 なーんだ、そんなことかって、、、えーーーー!!!!

 

 

 「あ、あ、あ、綾波―――」

 

 「どうしたの、碇くん」

 

 「そんなこといったって、僕達まだはやいよ。」

 

 「碇くんは、私のこと嫌いなの、そう嫌いなのね。」

 

 とたんに赤い瞳の中がウルウルになってきたレイ、このまま泣かせたらまずい、まずすぎる。なんとか慰めないと

 もうシンジの頭のなかはグルグルである。

 「そんなことない、僕は綾波が大好きだよ。」

  この言葉にうそはない、本気でそう思う。 

 

 「本当?」

 

 だんだん泣き止んできた。

 

 「本当に?」

 

 「うん」

 

 「じゃあ、結婚して」

 

 う…

 

 「ねえ、結婚して」

 

 まるで、子どもの駄々である。あれが欲しい、ねぇ買って、みたいな。

 

 シンジはこまった。 べつに当人達が愛し合っているのなら問題ないのだが、彼の中の理性が、モラルが、

それを許さなかった。 というか、シンジ自身はぜんぜんOKなのだが、いまの自分では綾波を幸せに出来ない。

 そう考えている。

 

 「まずは、友達からでどうかな。」

 

 「いや。」

 きっぱり言われた。

 

 「じ、じゃあ恋人って事じゃ、だめかな」

 完全に、苦しまぎれだ。 こうでも言わないとまた泣き出しそうだったから。

 

 「うん」

 

 レイはちょっと残念そうだったが、それでも納得してくれた。

 シンジもほっとした。内心、いつ泣かれるかとびくびくものだったのだから

 しかしつぎのレイの言葉はまたもシンジをあせらせた。それは、

 

 「じゃあ、婚約者として碇くんのご両親にあいさつに行ってこなきゃ」

 

 「こっこんにゃく。」

 

 「ちがうわ、婚約よ。」

 

 「婚約って僕達まだ」

 

 「だめなの」

 上目遣い。

 「ねぇ、だめなの」

 

 「そっそんなこといったって」

 

 「ねぇ、だめ?」

またも目が潤んできた。必殺泣き落とし作戦。

これで、OKしない男はいない。少なくとも作者は撃沈する。

 

困った。また困った。なんだか今日は嬉しいことやなんやらがたくさんあるなぁ。

 シンジは自分の両親の事を考えた。

 

 あの二人なら、簡単にOK出すかも…

苦笑いしていた。

 

 そこへ、まるで会話を聞いていたかのようにユイとゲンドウが現れた。

二人とも手には大量の駄菓子やおもちゃ、そして二人の手はしっかりにぎられている。

すでに結婚して10年以上たっているはずなのだが、気分はまだまだ新婚のようである。

 

 「あなた、楽しかったわね。」

 

 「ああ、そうだな、ユイ、ところで」

 

 「なーに、あなた。」

 

 「そのわたがし、すこしくれ」

 

 「えぇ、どうぞ」

 

 パク、もぐもぐもぐ、

 「うむ、甘いな。」

 

 「ええ、そうですね。」

 

 ラブラブである。

そして二人ともシンジのほうを見ると、

 

 「「そっちはどうだった。」」

 

なんて声を合わせて聞いてきた。

 

 「父さん、母さん。」

 

 『げっ、なんでこんなにタイミングよく来るんだよ。』

シンジは思わず二人を呼んでしまった。

 

 「碇くんのお父さんとお母さんですか。」

いつのまにかレイが二人の方に行っていた。

 「ええ、そうよ 私が母親のユイ、こっちが父親の、、」

 

 「ゲンドウだ。」

 

 シンジは固まっていた。すでに次に起こる事が分かってしまっていたから。

そして、レイが口を開いた。

 

 「碇くんの婚約者の綾波レイです。よろしくお願いします。お義父様、お義母様」

さっきと呼び方が違う。

 あぁ、もうだめだ。

シンジはあきらめの境地だった。

 しかし、次に帰ってきた言葉は、まったくシンジの予想しないものだった。

 

 「あらあらシンちゃんたら、こんなかわいい子をお嫁に貰えるなんていいわねぇ。」

 

 「まったくだな、しかしこれで初孫が早く見られるな。」

 

 「本当ですね。」

 

 「はっはっはっはっは」

 「うふふふふふ」

 

 二人とも簡単に許してくれた。予想通りといえば予想通りなのだが、保護者としてこれで良いのだろうか?

 

 「あの、碇くんをお借りしてもいいですか。」

 「ああ、煮るなり焼くなり、好きにしていいぞ。」

 

 ひどいよ、父さん。人の気も知らないで、綾波と一緒にいられるのはうれしいけど、このままだと

ぼく、いくとこまでいっちゃうよ。

 一人苦悩しているシンジだった。

 

 「碇くん、行きましょう。」

 

 「うん。」

 

 もうすでにこの少年の覚悟は決まっていたようだ。

 

 彼の両親にいたっては

 

 「シンジ、明日の朝食は私達二人で食べる。 ぞんぶんにやりたまえ。」

 

なーんて言ってる。

 

 (はぁ………)

 少年は心の中で深く深くため息をついた。

 

 

 

 

 

 「ただいま。」

 「おじゃまします。」

 「おかえりなさい、あらレイ、この子は。」

ここは綾波神社の居間、そこにはレイの母のサヤカがいた。(ちなみに父親は今、修行のため恐山に行っている。)

 

 「あの、碇シンジです。よろしくお願いします。」

 「まあまあご丁寧に、私は、レイの母のサヤカです。 娘と仲良くしてやってくださいね。」

 

 「心配ないわ、私、この人と結婚するもの。」

 「「えっ」」

 シンジとサヤカ母さんは二人で声を出してしまった。

そして、真っ赤になってうつむくシンジと、さすがに慌てているサヤカ母さん。とゆうか、これが普通の親の反応だと思う。

 「さ、さすがに結婚はまだ早いんじゃないの。」

 

 「大丈夫よ。今は恋人としてつきあってくつもりだから。」

 

 「そっそうなの、じ、じゃあ、あんしんね。」

  何が安心なのだろうか。

 

 「じゃあ、碇くん部屋に行きましょ。」

 

 「う、うん」

 

 そう言ってすたすたとレイはシンジをつれて行ってしまった。

 

レイの部屋、シンジとレイはベットの上にすわっていた。

 「あ、綾波」

 

 「なに、碇くん」

 

 「僕達、まだ早いんじゃ」

 

 「そんなことないわ、これは今やるべきことよ。」

 

 「そ、そんなこと言ったって、まだ心の準備が。」

 

 「大丈夫よ、あなたなら。」

 

 「うん、わかったよ。」

そう言ってシンジが自分の服に手をかけようとした時、レイが顔を寄せてきた。

 

 逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ。

 

シンジが気力を振り絞り、レイを抱きしめようとした瞬間、レイが口を開いた。

 

 「あなたの死んだ後、私は代官屋敷に向かったわ。」

 

 「へっ?」

 

 シンジは、自分の考えていたことがみごとにはずれ、恥ずかしくなり言い訳をなんとか言おうと思ったが、レイの顔が真剣そのものなのでそうもいかなかった。

 

 「私は、結局代官に利用されただけだった。」

 

 「そうだったんだ。」

 

 「ええ、最後の瞬間、代官は言ったわ、自分も生まれ変わるって、そしたらまた前のようなことになる。」

 

 「そうなんだ、でも僕達も生まれ変わったんだし、今度はなんとかしなくちゃね。」

 

 「それって、代官を倒すって事なの」

 レイは顔をしかめた。彼女はこの時代で決して昔のようなこと、つまり人を殺めることをしたくない、そう思っている。

しかし、シンジの言ったことは、自分の思っていることとはだいぶ違った。

 

 「代官も救うんだ。僕達は、誰も不幸にしない。それがどんな人であっても、どんな物の怪であってもけっして、みんなで幸せになろうよ。誰かが不幸になってそのうえに出来た幸福なんて、むなしいだけだよ。まあ、結局それも僕の勝手な言い分なんだけどね。」

 

 シンジは最高の笑顔で言った。それがどんなに苦しいことかわかっていたけれど。

 

 「ええ、そうね、みんなで幸せになりたいもの。」

 

 レイも微笑んでいた。

 

 「碇くん、初号鬼のことなんだけど。」

しばらく見つめ合った後、レイがおもむろに口を開いた。

 初号鬼、昔僕を守っていた鬼、一番長い間いっしょにいた最初の友達

 

 「うん」

 

 「あの後、あなたの墓標のうえに残ったの。今もいるかもしれない。行ってみましょう。」

 

 「うん、そうだね。でも今日はもう遅いよ。明日の朝に出かけようよ。」

 

 「ええ、それで碇くんどこに泊まるの、私の部屋?」

すでに綾波家に泊まることは決定事項らしい。

 

 「それはちょっと、ね。部屋を一つ借りれるとうれしいんだけど」

 

 「そうなの、私はかまわないのに、じゃあお母さんに部屋のこと頼んでくるからまってて。」

 

 「うん、わかったよ。」

 

 はぁ、それにしても綾波の部屋ってすっきりしてるなー。家具とか全然ないし、こんど買い物でも誘ってみようかな。 

買い物か、昔の僕だったらそんなこと考えもしなかったろうな。こういうのが幸せなんだよな。

 やっぱりいいよな、こういうの、暖かいよ。

 

 そのうちレイが帰ってきた。

 「碇くん、部屋に案内するから」

 

 「うん、わかったよ。」

 

 トコトコトコトコ

 「ここよ。」

 

 「うん。」

そこは自分の部屋の2倍以上の広さをもつであろう和室だった。そして真ん中に布団が二枚

 

 「広いね。」

 

 「普段は、大勢で寝るんだけど、今日は碇くんしかいないから。」

 

 「そうなんだ。」

 

 「じゃあ、おやすみなさい。」

 

 「うん、おやすみ。」

 その後シンジはすぐに眠りに落ちた。レイと会えたことで心のどこかがふにゃーっとなってしまったので。

なぜ布団が二枚あるのか多少気になったが、、、

 

 深夜、ごそごそごそ、すーー、パタン

 「碇くん」

 てぽてぽてぽ、スルッ、くすー

 

 

 

 次の日、翌朝

 

 「うーん体が重い。昨日は遅くまで起きていたからかな。 うん、なんだろこれなんか体に当たってる。」

 ゆさゆさゆさ

 「うふん」

 ゆさゆさゆさ

 「あふん」

 

 目に入ったのは水色の髪、レイがシンジを抱き枕にして寝ていたのだ。

 

 「なんだ綾波か、って、綾波―――」

 がくっ  

 シンジ気絶。

 

 

 5分後、

 「今度こそ、起きなきゃ、よいしょっと、綾波を起こさないように」

 

 「んん、碇くん。」

あっ、起こしちゃったかな。

 

 「すーすー」

 寝言か、、、かわいいな。

 

 

 脱出成功。

 

 「さてと、散歩でもしてこようかな。 それにしても綾波、寝顔かわいいな。」

 

 ぼっ…

 さすがに口に出すと恥ずかしい、それにしても自分の言ったことで赤くなってどうするよ。

 

 

 

 神社の中庭

 シンジは目をこすりながら散歩していた。 さすがにとなりで女の子が寝ているのに眠りにつけるわけがない。

 

 「あらシンジくんおはよう。」

声をかけてきたのはサヤカ母さんだった。

 「おはようございます。」

 

 「昨日はよく眠れたかしら。」

 

 「は、はい」

 ちょっと赤くなっているシンジを不思議に思ったサヤカ母さんだが、それよりも聞いてみたいことがある。

それはもちろん『自分の娘との関係』である。

 

 「ねえシンジくん、娘とはどこまでいってるの。」

いきなりど真ん中な質問をしてきた。

 

 「あ、あの、綾波とは、まだキ、キスまでしか。」

 

 「へえ、もうあのこの唇を奪ったんだ。」

 

 「そんな、奪うだなんて」

 

 「ふふふ、いいのよ。あの子、家に友達連れてきたことなかったから、ちょっと心配してたの。」

 

 「はぁ、そうなんですか。」

 

 「ふふ、正直最初はおどろいたけどね、あの子が彼氏を作るなんて。でも、安心したわ。」

 

 「大丈夫ですよ。綾波なら、かわいいし、優しいですしね。」

 

 「シンジくん。」

 

 「はい。」

 

 「あの子をよろしくね。」

 

 「まかせてください。」

いつになく強気で言う自分にちょっとおどろいた。

 

 

 「ほら、迎えが来たわよ。」

 

 「えっ」

 

 「碇くん。」

レイが走ってきた。あのあとすぐ来たようなので、パジャマのままである。全力疾走だったのか息も荒い。

 「あらあらレイったら、パジャマのままじゃないの、そんなにシンジくんが心配だったのかしら。」

 

 かぁー、という音が出そうなほど真っ赤になるレイ。

 

 「どうしたの、綾波」

 シンジが聞いてみる。

 

 「だって、碇くんいなかったから、」

 

 ああ、そうゆうことか。

シンジは納得した。まあ、あの状況でまた一緒に寝られるほうがすごいと思うのだが

 

 「碇くん、朝ご飯。」

 

 「うん、わかったよ。」

 

 「じゃあね、シンジくん。」

 

 「はい。」

 サヤカ母さんの言った言葉にシンジが答えたのがまずかったのだろうか、レイが一瞬サヤカ母さんの方をにらむ。

そして、シンジの腕をつかみ、

 「早く行きましょう。」

と言って、引っ張って行ってしまった。

 

 「あらあら、あの子も焼きもちを妬くようになったのね。」

 シンジを引っ張っていくレイにそんなことを言っているサヤカ母さん。もちろんレイには聞こえないように。

そしてなにより娘の成長を垣間見ることが親として切ないような、うれしいような、そんな気持ちになっていた。

 

 所変わって大食堂。ここでは多くの人が一斉に食事を取っていた。

 そのなかで1ヶ所、他の場所から限りなく浮いているところがあった。 周りは全員巫女さん衣装、しかしそこだけ

カジュアルな服装、普通ならぜんぜん浮かない格好でも、周りの服装が服装なのでどうしようもなく目立ってしまう。

 

 その上、一人は見なれない人物、しかも二人のうちのもう一人、憧れの綾波嬢にご飯をよそってもらっている。

必然的に目線がいってしまう。

 

 「あのさあ、綾波僕達なんかすんごく見られているんだけど。」

見られている(実質、にらまれているの方が正しい。)のはシンジだけなのだが。

 

 「そんなことないわ。」

 

 レイ自身、シンジが一緒にいるだけでうれしいので、そんなことには気づいていない。

 

 絶対に見られてるよ。なんかちくちくする目線が来るもん。

 

シンジは、そんなことを考えていた。 おかげで食事もなかなかのどを通らない。

 

 「ところで碇くん、ご飯食べたらすぐ行きましょう。」

 

 「うん、いいよ。」

そこへサヤカ母さんがデザートを持って歩いてきた。

 「あらあらデートかしら、いいわねぇ若いって。」

 

  ガタン!!、

 シンジ達の周りで人々が一斉に立ち上がった。

これに、シンジはビビリまくり、恐る恐る周りを見ると、全員自分をにらんできている。

 ひぃ

シンジ、顔が引きつる。 一方レイは、

 「そんなんじゃ、、、」

と顔を赤くしながら言っている。

 

 もう、逃げ出したい。シンジは本気でそう思った。

 

 

 「いってきます。」

 「はい、いってらっしゃい。」

元気よくいってきますのあいさつをしたレイ、対照的に玄関まで自分達の案内をした人々に睨まれちぢこまっているシンジ。 その目からは明らかに、「お嬢さんを悲しませたら、海の底に沈めてやる。」という意思が感じ取れる。

 こうして初デートが始まった。

目的地へ行く途中、手と手を握り合っているその姿は、まさにラブラブカップルだった。

 

 

 

 

 

 

 

 「綾波、このあたりなの?」

 

 「ええ、そうよ、ここがあの場所」

 

 「じゃあ、この近くに」

 

 シンジ達がやって来たのは、街の中心から東へ行ったあたりのビルとビルのすきまの小さな場所だった。

そこには、立ち入り禁止のふだがはってあった。

 そこには鬼がいた。

 「ぐるるるる。」

 鬼はシンジ達を確認すると、勢いよく襲いかかってきた。

シンジ達はそんなことに気づいてもいない。

 鬼が宙に舞った瞬間、

 「あぶなーい。」

 という声が聞こえた。

 突如後ろから聞こえてきた声。振り向くとそこには、

 

 女の瀬戸際まで1歩手前、カレーの腕前はいろんな意味で世界一、今世紀最強の酒豪

花の独身、葛城ミサト、29歳が飛び込んできた。

 

 「ちょっと、大丈夫」

  ミサトは二人を抱えるとひとまず鬼から離れ、その後すこし離れた場所で二人を下ろすと口を開いた。

 「私は、葛城ミサト、あなた達、なんでこんな所にいるの」

 「あの、その」

 シンジは、とつじょ現れた人物に驚きなかなか言葉が出ない。レイの方はというと、びっくりしてミサトに放された瞬間からシンジにしがみついている。

 「まあいいわ、それよりここを動かないでね。」

そう言ってミサトはまた鬼の方へ走っていった。ちなみに手には何やら文字が刻まれた銀色のピースメーカーを持っている。

 「たあーー。」

 どん、どん、どん

 銃の発砲する音が聞こえてくる。

 「この鬼やるわね、ただの鬼じゃない」

 ミサトはびっくりしていた。今まで相手にしてきた奴は全部一撃の元に倒してきたのだから

 

 その頃、後ろではシンジが物思いにふけっていた。もちろんレイを放さないように手をつないだまま

 (あれは、初号鬼なのか、でもずいぶん姿が違うそれにもし初号鬼なら僕を襲わない)

 シンジは考え込んでいたが、あることを思い出した。それは、昔一度初号鬼が暴れたときのことだった。

 

 (あのときって、たしか初号鬼にずーっと魂を食事をあげられなかったんだよなそしたらいきなり グルルルルって初号鬼がうなって暴れ出したんだ。 原因は、、、そうだ、おなかが減っていたんだ。)

 

 シンジが、もの思いから目覚め、鬼の方を見るとそこには、弾丸が尽き、目を閉じ今にも殺されそうなミサトの姿があった。

 「くっ、まさかこんな所で終わるとわね、まったく今日はついてないわ。」

 鬼がミサトに飛びかかった瞬間。 

 ガキィイイイイイイン

 音とともに鬼が跳ね返る。そこにはあのバリアがあった。それは、昔初号鬼が使ったものと同じものであった。しかし

今度は、シンジが使っている。

 (ここって、天国じゃないわよね)

 ミサトが恐る恐る目をあけると自分の前にさっき助けた少年がいた。

 「大丈夫ですか」

 

 「ええ、なんとかね。それにしてもあなたなんでそんなものが使えるの。」

 

 「そんなものって」

 

 「アブソリュートテラーフィールド」

 

 「ア、アブ」

 

 「ATフィールドのことよ。」

 

 「ATフィールドってこの壁のことですか。」

 シンジの言った言葉にミサトはあ然としてしまった。

 「もしかして、知らないの」

ミサトは信じられないという風にシンジを見たが、とうのシンジの顔は『そんなもの知りません。』という顔であった。

 「まあ、とにかくその話はあとにしましょう。それよりこの鬼をどうするかよ。」

 急にまじめになるミサト。その代わりようにびっくりしたシンジだったが、

 「あの鬼、ぼくの友達なんです。」

っと気を取り直していった。 しかし、今度はその言葉にミサトがびっくりしてしまった。

 「あのねえ、君、友達っていうのはね、相手に暴力を振らないものよ。ってゆうか鬼が友達なはずないでしょう。」

 

 「ホントなんです。ただ、おなかが減ってまわりの見境がなくなっているんです。」

 

 「まあいいわ、いまの私じゃあれをどうすることも出来ないし。好きにして」

 

 「はい、 じゃあこの子頼んでもイイですか。」

シンジはさっきから自分にくっついて離れないレイをミサトに頼んだ。

 「別にいいわよ。 で、どうするつもりなの」

 

 「僕の霊力を与えます。ホントは霊の魂がいいんですが、初号鬼自体がなんでも食べれるんで」

 

 「でも、あなたの霊力で足りるの」

 

 「まあ、なんとかなりますよ、きっと」

 そう言って、シンジは自分の霊力を放出し始めた。初号鬼はすでに立ち上がり、口からそれを吸い込んでいる。

 

 「すごいわね。」

 ミサトはレイの手を握りながらあ然としていた。なにしろ、かれこれ5分以上自分の霊力を吸わせつづけているんだから。

 それからしばらくして、鬼が満腹になったのか霊力を吸うのを止めた。

 「ハアハア、やっとか…初号鬼僕が分かるかい」

シンジは霊力が減りすぎて息も絶え絶えになっている。まあ、あれだけ自分の中の物をなくしたんだから当たり前だと思うが、そして初号鬼は静かに頷いた。

 

 「やったわね。」

 

 「ええ、なんとかなりました。」

 

 「そういえば、あなた達の名前まだ聞いてなかったわね。」

 

 「あ、僕の名前は碇シンジです。」

 

 「へえ、じゃあこっちのガールフレンドは」

 

 「綾波レイです。」

 

 「へぇ、よろしくね。んでね、あなた達にちょっち聞きたいことがあるんだけどな。」

 

 「なんですか。」

 

 「ん、たいしたことじゃないんだけどここじゃちょっちね。」

主人のことを思い出した初号鬼がいつのまにか身構えている。

 「初号鬼、いいよ心配ない。この人なら大丈夫そう。」

 

 「んじゃ、決まりね。彼女はどうするの。」

 

 「えーと、綾波どうしたい。」

 

 「碇くんと一緒」

 

 「うん、じゃ二人で行きます。」

 

 「決まりね。じゃあ車を…」

そのとき、シンジが倒れた。慌てて近づく二人

 「ち、ちょっと、どうしたのよ。」

 「碇くんしっかりして。」

二人の声を聞いてシンジは微笑みながら言った。

 「あはは、ちょっと疲れちゃって。」

 

 「なんだ、ビックリさせないでよ。」

 「心配させないで。」

 

 「ごめん、でもしばらくすれば大丈夫だから。」

 

 「じゃあ、車持ってくるから、ちょっちまっててね。」

そう言ってミサトは車を取りに行った。

 

 「はあ、疲れたな。ちょっと初号鬼ここまで来てくんない。」

シンジは脱力しきった体で初号鬼を呼んだ。

そしてやって来た初号鬼に向かって手を差し出し、

 「また、会えたね。」

と言った。初号鬼も、同じ気持ちだったのだろう。レイは、シンジの手を握り締めていた。シンジは、そのまま眠りに落ちた。

 そのうち、ミサトの車が来た。

 

 本日も晴天なり。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あとがき

 この小説のテーマはまあ、ハッピーエンドです。

でも、従来のヒーローものと違って、オールメンバーが幸せになるようなのを書きたいと思っています。基本的に誰かが不幸になるのは好きじゃないから。

 なんだかまじめなことを書いてしまいました。

 

 

 

 

 次回 ミサトの運転でグロッキーのシンジくんとレイちゃん

 つれてこられた場所はもちろんネルフそこには自分のよく知っている人が

働いている。

 そして彼らにとって長いような短いような日々が始まる。

 

 題名 出発 新しい出会い、新しい場所