アナザーエヴァンゲリオン シンジの物の怪退治列伝

第2話 出発 新しい出会い、新しい場所

 

 

 「さあ、着いたわ、ここが私の仕事場よ。って、なにやってるの二人とも。」

 ミサトが後部座席をのぞき込むとそこには気持ち悪そうにうずくまるシンジと、目がうつろになっているレイがいた。

 それもそのはず、なにせ市街地でスピードオーバーその上追いかけてきたパトカーをまいてここまで来たのだから普通の人間なら気絶するほどのものである。

 ちなみに初号鬼はミサトの車の上に乗ってきた。霊が見える人だとなかなかすごい光景だったと思われる。なにせ市街地でパトカーとカーチェイスしている車の上に紫色の鬼が立っているのだから。

 

 「はあ、なにやってんだか。」

自分のせいだとは考えもしないミサト、シンジはつっこみたい衝動と吐きそうな衝動をなんとか押さえて車から出た。

 レイは車から出ることすら出来ないような状態におちいっていて、しょうがなくシンジにおんぶしてもらっている。 本人はこの状況を利用してすこしでもながくシンジにおんぶしてもらっていたい。などと考えているということはいうまでもない。

 

 「うわー、本物のジオフロントだ。」

 シンジは歓喜の声をもらしながら上を見上げている。レイはまだシンジにおんぶしてもらっている。 シンジはおろそうとするのだが、レイがしがみついていておろすにおろせない。

 そして一行はピラミット状の建物の中に入っていった。

 

 

 「あの、葛城さん、」

 

 「ミサトで良いわよ」

 

 「じゃあ、あの、ミサトさんここさっきも通りませんでしたっけ」

 

 「そ、そんなこと、ないわよ」

 そう言いながらなんども建物の地図を見ているあたり明らかに迷っている。

っとそこへ、 プシューッというドアの開く音とともに金髪黒眉毛のミサトと同じくらいの年齢のおば、おねーさんが出てきた。ちなみに霊力はない。

 「ミサト、あなたこんな所でなにやってるの。」

 

 「ああ、リツコ良かった。なんだか迷っちゃったみたいで」

 

 やっぱり迷ったんじゃないか、

一人心の中でつぶやくシンジであった。

 

 「で、この子達はだれ」

リツコの目がシンジたちにむく、ちょっと怖い

 「ああ、その子達ね。さっき仕事を手伝ってもらっちゃって」

 

 「仕事って、まさか」

 

 「そうなのよ。なんだかこの子達すんごい霊力もってるみたいなの」

 

 「へえ、それは興味深いわね。」 

実験動物を前にした科学者のような目でにじり寄ってくるリツコ、怖い

 「あ、あのよろしくお願いします。僕碇シンジっていいます」

 

 「私は赤木リツコよ、リツコでいいわ。よろしくねシンジくん、あとそっちの子は」

そういってリツコはシンジに今だおんぶされているレイのほうを見た。

 「綾波レイです。」

 そういってシンジから降りて小さく礼をした。

どうやら体の具合はとうの昔に良くなっていたようでシンジから降りたときにはすでに足元もしっかりしていた。

 「あら、あなたアルビノなの、色素が薄いけど」

 

 「………」

 

 「もしかして気にしてるの、ごめんなさいね。」

 

 「いいえ」

静かな沈黙、どうもリツコとレイが話すと間が持たなくなる。

 「じゃあ、あなた達はそうねえ、とりあえず司令室に行ってくれるかしら。ミサトに案内させるから。 ミサト今度は迷子にならないでね。」

 

 そう言ってすたすたと行ってしまった。

 

 

 「ミサトがつれてくるなんてあの子達、よっぽどのものなんでしょうね。フフフ、楽しみだわ。」

そのときの彼女の顔がマッドだったというのはいうまでもない。

 

 

 「ここが司令室よ、あっ、シンジ君初号鬼って言葉が通じるのかしら」

 

 「まぁ、僕の言葉は理解してくれているみたいだけど」

 

 「わかったわ、じゃあ初号鬼ここで待っててくれない、中に結界が張ってあるのとりあえずここの最重要ポイントだからね。」

 

 初号鬼はうなずいた。

 「ああ、通じた通じた。やっぱり人間、心で伝えれば届くのよねー」

 

ミサトはそう言って部屋のドアをノックした。

 「空いている。」

 返事が返ってきた。

あれ、今の声ってたしか

 シンジはちょっと不思議に思ったが声が似ている人なんてたくさんいる。そう思った。 

 「まさかね」

そしてミサトによって開かれた扉の先には、やはりというかゲンドウがいた。

シンジは自分の感が当たったことに喜べなかった。

 「父さん!!何してるのこんな所で」

 

 「その声、シンジか、お前こそどうしてここにいる。」

 

 ミサトはあ然としていた。

 

 「ミサトさんにつれてこられて、そんなことより父さんこそ仕事はどうしたの」

 「仕事って、仕事はこれだ、お前にはまだ話していなかったな」

 

 これは、夢だ、父さんがこんな怪しい場所で仕事なんて

シンジは驚きのあまり意識がどこかにとんでしまった

 

 「私は、ここの司令をやっている。 仕事の内容はゴーストハンティングだ…なにをふる、痛ひゃいふぉ。」

 

 シンジはおもむろにゲンドウの方へ行きその頬をつねった。

 痛いって言ってる。 やっぱり、夢じゃない

シンジがやっと現実に帰ってきた。 普通は自分のほっぺでやるものじゃないのか

 

 「司令、お話の途中失礼ですが、」

 

 「ああ、なんだね、葛城一尉」

 

 「先ほどの任務で、危ない所をシンジくんに助けられまして」

 

 「それで?」

 

 「彼が鬼を倒しました。」(実際倒したんじゃないんだけどね。)

 

 「ほう、シンジ本当か」

 

 「うん、とりあえずね」

 

 「そうか、で、そちらの綾波家のお嬢さんは」

 

 「この子からも強い力を感じたので同行させました。」

 

 「まあ、そうだろうな」

 

 「で、父さんなんでこんな所に連れてきたの。」

 

 「ああ、ホントなら記憶操作だけで終わるんだがな。シンジよ、ヒーローになる気はないか」

 

 「はあ?ヒーロー、父さん寝言は寝てから言おうよ。」

 

 「寝言ではない、今世界はセカンドインパクトの影響で混乱している。それは霊にとっても同じ事で、今世界中で悪霊が発生している。しかも、そのせいでサードインパクトまで起こるかもしれんのだ。」

 

 「なんだか説明がアバウトだけど、それで、僕にどうしろっていうの」

 

 「お前に、チルドレンとなって霊を処理して欲しい。」

 

 「処理って、消滅させるって事なの」

 

 「やり方についてはこちらからはなにも規定はない」

 

 「じゃあ、もし断ったら」

 

 「別にどうにもしない。しかし人手が足らんのだ、ドイツにいるチルドレンとそこにいる葛城一尉しかまだ実戦にでれん」

 

 「ふーん、まあやってもいいかな。霊たちもこのまま悪霊になっちゃ苦しいだろうし」

 

 「ホントか、シンジ」

 

 「ただし、条件付き」

 

 「なんだ、なんでもいってみろ」

 ニヤ、と父親ゆずりの笑みを浮かべる。大体このときはろくでもない事を考えている

 「んじゃあ、お言葉に甘えて、1つ目おこづかいアップ、3000円から5000円に値上げ」

 

 「く、シンジ私の小遣いをしっているだろう。」

 

 「じゃあやらないよ。」

 

 「うーむ、では必要経費として本部からだそう。」

 

 「いいのそんなことして」

 

 「問題ない」

 

 「二つ目、この仕事のことをしっかり母さんに話すこと 母さんこのこと知らないでしょ」

 

 「ぐ、まあ、なんとかしよう。」

 

 「三つ目」

 

 「まだあるのか」

 

 「大丈夫だよこれで最後だから。学校を転校したいんだ。綾波と一緒の所に」

 

 「そうか、それならかまわんが家からだと結構な距離になるぞ」

 

 「うーん、それは…」

 

 「碇くん」

いままで喋らなかったレイが口を挟んだ。

 「なーに、綾波」

 

 「私の家に住めばいい」

 

 「ホントにいいの」

 

 「ええ、碇くんが望むなら」

 

 「ならん、ならんぞシンジ」

 

 「どうしてだよ父さん」

 

 「いくらなんでも年頃の男と女を一つ屋根の下に住ませる訳にはいかん」

めずらしく親らしい事を言っている。まあ、自分に何かしらの経験があるのだろう。

 「シンジ、葛城一尉の家に居候させてもらえ。」

 

 「ええ!! 私の家ですか」

 

 「ああ、花嫁修行にもなる。」

 

 「でも私だって女のコなんですよ」

 

 「ならば早く結婚して『女の子』から『女性』になったらどうだ。」

 

 「よけいなお世話ですよ司令、」

 

 「ならば、ビールを付けよう、いつでも好きなだけ注文してくれ代金は必要経費としてこちらで持つ」

 

 「ぜひやらせてください。」

まわりがずっこけた。

 「ちょっと待ってよ父さん、僕の意見はどうなるの」

 

 「シンジくん、これはもう決定したことなの。」

と真顔で言うミサトだが、 ビールは逃がさない という考えが見え見えである。

 「わかりましたよ。」

もう観念したシンジ。レイは残念そうにうつむいているが、いきなり

 

 「私もチルドレンにしてください。」

 

と言った。

 「ちょっと、父さん」

父に助けを求めるシンジ、レイには危険なことをやらせたくないのだが

 「別にかまわん、しかしとりあえず両親の承諾を得てくれ」

 

 「はい、あと私もミサトさんの家に行きたいのですが」

結局はシンジと一緒に住みたいだけかもしれない

  でもそれじゃあ僕が綾波の家にいても一緒じゃないか、

 っとシンジは反論するのだが、ビールに目のくらんでいるミサトがみすみすシンジを逃がすような発言をさせる訳がない。

 言う前にミサトに口を手で塞がれ、その上一言

 

 「いいわよ。もうじゃんじゃん来てくれて」

 で3人一緒に住むことが決定した。

 

 ミサトはビールで頭がいっぱい

  

 「モガモガ、プハッ、誰か僕の話も聞いてー」

 シンジの魂の叫びがこだました。

 

 

 しばらくして

 「はぁ、もう、わかりましたよ。」

 

 「じゃあ、早速行きましょうか。」

 

 「はい。父さん転校届け出しといてね。綾波、行こう。」

 

 「ええ、」

 

 「シンジ、迷惑をかけるなよ。」

 

 「大丈夫だよ。」

 

 「んじゃま、とりあえずねぇ、このなかを案内するわね。」

 

 

 そう言ってつれてこられたのは発令所

 「あら、葛城一尉大丈夫ですか。なんだか大変だったみたいですけど。」

 

 「えへへ、ちょっとね」

 

 「で、後ろの、お子さんですか」

 

 「違うわよ!!」

ミサトの声にその場にいた職員全員が振り向いた。

 「あの、今度からチルドレンになる碇シンジです。」

 「綾波レイです。」

 

 「あ、そうだったの、よろしくね私は伊吹マヤ、マヤって呼んで。」

 

 「よろしくお願いします、マヤさん」

 「よろしくお願いします。」

 

 「はい、よろしくね、あとは、そっちのメガネが日向マコト君」

 

 「よろしくな、シンジくん、レイちゃん。」

 

 「んで、そっちのロンゲが青葉シゲル君」

 

 「これから長い付き合いになりそうだな、よろしくシンジくん、レイちゃん。」

 

 「あとは、ここにはいないけど副指令の冬月コウゾウ副指令と、赤木リツコ先輩が」

 

 「ああ、リツコさんならさっきお会いしました。」

 

 「へえ、それじゃあここはだいたいそれだけかな」

 

 「んじゃ、あらかたあいさつも終わったし帰りましょうか。」

 

 「「はい。」」

 

 「え、もしかして葛城一尉の所に住むんですか。」

 

 「なにかあるんですか」

 

 「なにって、先輩の話しだとあそこは、ムガ、グモ」

ミサトがマヤの口を手で押さえ、目からは殺気をはなっている

 「あそこは、なんですか」

シンジが不思議そうに言う。

 「なんでもないわよ、さあ、帰りましょう」

 もしここで知られたらビールがなくなっちゃう、

 この場で事実が明るみにでるのはなんとしても避けたいミサトはなんとかその場を静めた。 

 

 「はぁ、わかりました。」

 

 可愛そうにシンジくん、なにもしらないのね。

困惑するシンジを見て、心の中でこれから起こるであろう事に同情するマヤであった。

 

 

 

 そして一行はミサトの家に着いた。

 

 ドアを開けた瞬間

シンジの第一声は

 「なんなんですかこれー」

続いてレイが、

 「人の住める環境じゃないわ」

そして初号鬼が部屋を見て思わず1歩後退する。

 さすがにへこむミサト、この子達に「ただいま」なんて言わせようとする試みはもろくも崩れ去った。

 「ぐすん、いいじゃないの3人でやればこんなのすぐ終わるわよ。」

 

 (マヤさんの言ってたことってこの事だったのか、父さんも知ってたのかな、はぁー)

しかしすでに『後悔先に立たず』である。

 

 すぐに、といっても、部屋の様子からしてすぐには終わりそうもない。

 なにせ、ビールの缶と黒いビニール、そしてコンビニ弁当が散乱しているそんな状況。絶対に独身女性の住む部屋ではない。

 

 しかしこれから自分たちのくらす場所がこんな状況じゃ誰だって嫌だ。

しかたなくシンジとレイ、そしてさっきの言葉でまだショックを受けているミサトは片付けを始めた。

 

 それから2時間後、見事なまでにきれいになったミサト家、

食事は疲れたのでインスタント食品、この家に他に食べ物がないというのも原因のひとつだが、それでもしっかり食べた。おなかが減っているとなんでもおいしいというのは本当のようだ。

 

 

 その後、お風呂の時間がせまってきた。

 「ミサトさんお風呂どうしますか」

 

 「今日は疲れたしねー、シャワーでいいんじゃない。」

 

 「シャワーってなに」

 

 「えっ、綾波シャワー知らないの」

 

 「ええ、私の家のお風呂ってひのきで作った風呂桶とお湯の出る水道だけだったから」

 

 「はぁ、そうなんだ、じゃあ綾波シャワー始めてなんだね。」

 

 「ええ、碇くん使い方教えて」

 

 「うん、えっとねスイッチがあるからそれを押せばお湯が出ると思うよ。」

 

 「ありがとう碇くん。じゃあミサトさんお風呂借ります。」

 

 「はい、ごゆっくり」

 

 

 

 ザーーーーーーー

風呂場からはシャワーの音が聞こえてくる。

そして男なら当然やりたくなる事、それは

     のぞき

 まぁしかし、シンジにそんな度胸と甲斐性はないので心配はない。

しかし今はシンジのそばにミサトがいる。

 「ねぇシンちゃーん」

 

 「なんですかミサトさんその呼び方」

 

 「いいじゃないの、それよりレイのお風呂覗かないの」

 

 「なに言ってるんですかミサトさん」

 

 「なにって、シンちゃん覗きたくないの」

 

 「そんなことないですけど」

 

 「じゃあ覗くの」

 

 「そんなことしません」

 

 「はぁ、シンちゃん意外に奥手なのねー」

 

 「ミサトさん、からかわないでください」

 

 「あはは、冗談よ」

 

 「冗談に聞こえませんでしたよ」

 

 「まぁまぁ、そんなことより」

 

 「そんなことって、ミサトさんが言い出したんじゃないですか」

 

 「あっ、そうだっけ」

 

 「もういいですよ、で、そんな事よりなんですか」

途端に目が真剣になる

 「あなたの初号鬼の事なんだけど」

 

 「ああ、初号鬼がどうかしましたか」

 

 「あれって、どれくらい強いのかしら」

 

 「ええと、昔暴れたときはひどかったですよ。村1つ一瞬で無くなっちゃいました。」

 

 「そんなに強いの」

 

 「ええ、でもミサトさんだって強いじゃないですか」

 

 「それはこれのおかげ」

そう言ってミサトは懐から銃を取り出した

 「これって」

 

 「ええ、うちの技術部のリツコが作ったの」

 

 「リツコさんが」

 

 「彼女、私達にいろいろな物をつくってくれるわよ、まあその中は怪しいものばかりだけどね」

 

 「へぇ、じゃあ僕達もなにか貰えるんでしょうか」

 

 「まぁね、頼めば大体のものは作ってくれるわよ」

 

 「そうなんですか、なに頼もうかな」

 

 「シンジくん。あなたなにか特技とかあるの、特に戦闘に関して」

 

 「ある分けないじゃないですか、普通の中学生ですよ」

  ガチャ、バタン

 「あはは、それもそうね。 あ、レイがお風呂上がったみたいよ。」

 

 「そうですね。じゃあミサトさん先にどうぞ」

 

 「あら、いいの、じゃ、覗かないでね」

 

 「あはは、別に見たくもないですよ」

  しまった余計な事言っちゃった。

 

 

 「シンジくん、それってどうゆう意味かしら」

 

 「え、あ、あの、僕には綾波がいますし、だから、その」

 

 「まあいいわ。そういうことにしときましょ」

 

 「ふぅ」

 

 こんな調子で着々とミサト家の夜はふけていった。

ちなみに初号鬼は屋根の上に寝ている。とりあえず霊も寝るらしい。

 

 

 

 次の日の朝、

 「ちょっと、ミサトさん起きてください。ご飯で来ましたよ。」

 

 「んんー後5分」

 

 「なに子どもみたいなこと言ってるんですか」

 

 「んん、あー」

 

 「ちょっ、ミサトさん、わぷ」

 次の瞬間シンジはミサトの胸の中にいた。寝ぼけたミサトがシンジを無理やり引きずり込んだ。

 ちなみに隣の部屋ではレイが寝ている。

 「苦しいですよ。ミサトさん起きてください。」

 

  「んがー」

 起きる気配なし、しかも隣の部屋が起きる気配あり

シンジは今ミサトの胸の中にがっちり、そして近づいてくる物音このままだと恐ろしい事に…

 シンジ、大ピーンチ

 「ミサトさん、起きてください、ミサトさーん。」

 

 「んん… 加持のバカヤロー」

 いきなり大声を出すミサト。

 「どうしたんですかミサトさん、大丈夫ですか。」

 心配して声をかけるシンジだが、寝言に話しかけると大体ろくなことにならない。

 恐ろしき寝相の悪さで腕を振り上げ。そして、

バッチィイイイイイン

 という音とともにシンジのほっぺにもみじが、そしていつのまにかドアを開け、後ろに来ていたレイが状況を誤解して

 「碇くんの、、バカーーーーーーーー」

 と叫びまたも反対のほっぺに

バッチィイイイイン

 

 

 

 

 

 

 ジューーー 

 キッチンからは食欲をそそるいいにおいと、音が聞こえてくる。

朝食は、日本風にご飯、味噌汁、鮭の切り身、シンプルだがおいしい日本の朝の定番メニュー。

 しかし、調理人、シンジの顔には、大きなもみじが二つ、顔はぷんむくれというか、膨らんでいる。

 

 「ごめんってば、ねえ、シンちゃーん」

先程からすでに何回言ったのだろうというくらい謝っているのだがいまだに許してくれない。

 「碇くん、ごめんなさい。」

レイもあやまる、早とちりではあったがやったことには違いない。

 「綾波は悪くないよ。」

シンジはレイにたいしては許している。

 「何でレイにはやさしいのよー」

というミサトの発言はもっともなのだが、

 「ミサトさんが寝ぼけてあんなことやんなきゃ良かったんじゃないですか。」

と言われると反論できない。

 「ぶぅ」

 っとふくれるミサトそのしぐさが妙に子どもっぽいので怒るに怒れない。

 「まぁ、とりあえずご飯が出来たので、綾波ちょっと手伝ってくれないかな」

 

 「ええ、」

 

 ふふふ、シンちゃんきげん直してくれたみたいね。 にしても、あの二人ホントになかがいいわよね。

 将来いい夫婦になりそう。

 口元をにやにやとさせながらシンジとレイを見る。心の中では

 

  今度またいたずらしちゃお

 という新たな決意が心に芽生えていた。

 

 「ミサトさんも手伝ってくださいよ。」

 

 「はいはい、今行くわよ。」

 

 かいがいしくお茶碗にご飯を盛るシンジ、それを運ぶレイ、そしておかずをつまみ食いするミサト、平和な朝の光景がここにあった。

 

 

 「「「いただきます。」」」

 勢い良く食べ始めるミサト、静かにもくもくと食べていくレイ、ほっぺが痛くて口を開けるのが辛いシンジ、食事はなかなかおいしい、さすが碇ユイの息子、ゲンドウに似なくて良かった。

 そして、みんなが食べ終わりシンジが麦茶をコップにいれてもって来ると、ミサトの携帯が鳴り出した。

 「はい、葛城ですが、はい、はい、分かりました。では後ほど」

 

 「どうしたんですか、ミサトさん」

 

 「ああ、後でネルフに来なさいだって3人で」

 

 「なんなんでしょうか」

 

 「たぶん、指令じゃない、そうするとシンジくんの初仕事じゃない」

 

 「はぁ、がんばります」

すると横にいたレイが

 「ミサトさん、私も」

っと言った。

 「もちろん、レイもね」

 

 その後食事も終わり服を着替え、上で寝ていた初号鬼を起こし車に乗り込んだ。

 

 「ミサトさん、食べたばかりなので安全運転でおねがいします。」

 

 「わかってるって、じゃあ行くわよ。しっかりつかまってなさい」

 

 「分かってないじゃないですかーーーーーー」

ミサトの朝の胃を揺さぶる最悪ドライブフルコースが始まった。

 

 

 そしてシンジたちはネルフについた。 昨日訪れたときと同様の状態からもうちょっとひどい状態で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あとがき

 ミサトの部屋の様子が難しいです。っていうかやっぱりこれからもシンジは主夫になるんでしょうね。

お風呂覗きのシーンが書きたかったですが、シンジの性格を考えるとできませんでした。非常に残念。

 

 

 次回 ネルフに着き最初にきた指令は悪霊に憑依された女の子を助けろというものだった。その少女の名は鈴原カナ

 シンジとレイ、ミサトは少女を助けるため病院へと赴く。

 

 題名 初仕事 人を助けること 霊を助けること