ぱぱげりおんIFのif・第壱拾参話

過去との出逢い・その2



平成14年1月1日校了

m(_ _)m 迎春慶賀 m(_ _)m



 ドアの前を何度も往復するシンジの手が、心の状態を顕すかのように何度も閉じ、開かれる。
どのくらいそうやっていただろうか、視線を感じて振り返ると、そこにミサトが立っていた。

「シ〜ンジ君、さっきから何してるのかなぁ?」
「え、いや、あの・・・」

頬を赤らめて俯く。
ミサトはチェシャ猫のような笑みを浮かべて近付いた。

「ここ、アスカの部屋でしょ?」
「あああああ、あの、は、はは・・・はい」

もちろんミサトは、わざとやっているのだ。
普段ならシンジも

「知ってますよっ!
 何言ってるんですかっ!」

とでも返して終わらせるはずなのだが、今日は緊張感のせいで、あからさまに態度に出てしまった。
そんなシンジに、ミサトの笑みが更に妖しさを増す。

「なぁるほどね」

腕を組んでうんうんと頷くと、シンジのおでこをツンとつついた。

「いいわねぇ、青春しちゃってぇ。
 よっし、優しいお姉さんがいいアドバイスあげちゃうっ♪」

ミサトはシンジの肩に手を置くと、屈み込んで顔の高さをあわせた。
急に真剣な表情で真っ直ぐに見つめられたシンジは、その瞳の奥にある何か得体の知れない力に飲み込まれそうになった。

「これは、あなたたちが決めた事なの。
 それはとても価値のあることよ。
 だからあたしは何も言わない。
 自分で決めたことなんだから、今は思う通りになさい。
 今まであなたたちには、無理ばっかり押しつけて来たわ。
 だから・・・、今を精一杯楽しみなさい。
 今しかできないこと、今ならできること・・・」

そこでふっと表情をゆるめる。

「あたしったら、何説教臭いこと言ってるのかしらね・・・。
 まぁ、とにかくよ。
 せっかくここまで来たんだもの、待たせたらアスカに悪いわよ」

そうってウインクをしたミサトの表情が、また真剣なものに戻る。

「いいこと、シンちゃん。
 女の子はね、こういうの、ものすごい覚悟がいることなの。
 最初はやっぱり恐いものなのよ・・・、どんなに平気な態度に見えてもね。
 だから・・・、どんなことがあっても絶っ対に焦っちゃダメ。
 わかった?」
「は・・・、はい・・・」
「ほら、今からそんなにガチガチになってどうするの。
 リラックス、リラックス!」

ミサトはシンジの手を取ると、何かを握らせた。

「それ、忘れちゃダメよん♪
 んじゃねぇ」

軽く手を振りながら去って行くミサトの背中から、自分の手に視線を落す。
そこにあったのは、一辺5センチほどのビニールの包装に包まれた、何やらグニュグニュしたモノ。
ミサトの精一杯の優しさに触れ、シンジは危うく涙をこぼしそうになった。

ミサトさん・・・、ありがとう。

シンジはミサトの心からの祝福のプレゼントをポケットにしまうと、勇気を振り絞ってドアをノックした。
返事がない。

「アスカ、いないのかな?」

もう一度ノックをする。

プシュゥ

ドアが開くと、目の前にアスカが立っていた。

「ゴメンゴメン、今ちょっとシャワー浴びてたの。
 テレビでも見て待ってて」

髪の毛をタオルで包み、体にバスタオルを巻いた、マンションでもよく見る姿のはずだった。
しかしシンジには、なぜかそれがとても新鮮に見えた。
返事も待たずにバスルームに戻るアスカの背中に感じた感覚。
その正体が何なのか、今のシンジにはまだ解らなかった。


 ワンルームマンションと言うか、ビジネスホテルのシングルルームと言うか、宿泊のみに機能を絞っただけの小さな部屋。
シンジには、カヲルの部屋に泊りに来た時のイメージから、NERV内の宿舎はみんなそんな物だと思っていた。
ところが、今シンジやアスカががあてがわれている部屋は、それに比べればはるかに広いもので、セミダブルのベットの他にソファーとテーブルなどのリビングセットが置かれ、中学生が寝泊まりする部屋にはあり得べからざるモノを並べたサイドボードがあったりと、かなり立派に感じる。
実は標準サイズの部屋は、ここ数日のきな臭さに備えるために泊まり込みを続けている職員達で埋まってしまっていたのだ。
子供にこの部屋はもったいないという意見も一部にはあったようだが、もともとパイロットは士官待遇だったことからも、こうして高級幹部用に準備された部屋があてがわれることになったのだ。
だからシンジは、ソファーに座ってもどこか落ち付かない感じで、目はテレビを向いているものの、完全に上の空だった。

「おまたせぇ」

バスルームから出て来たアスカは、いつものノースリーブに短パンの普段着。

「なんか飲む?」
「あ、うん」
「ここさぁ、すっごいいろいろあるのよねぇ・・・。
 えっと・・・」

冷蔵庫を開けたアスカは、缶を二つ取り出した。

「へっへぇ、これでいいでしょ?」

ちょっとイタズラっぽい笑みを浮かべて、両手に持った缶をかざしてみせる。

「それはちょっと、マズイんじゃ・・・」
「何言ってるのよ、こんなの水よ水ぅ。
 ほら!」

押しつけるように渡された缶は、いつもマンションでミサトが文字どおり水のごとく飲みまくっている、あのエビチュだった。

プシュッ!

シンジの隣に腰を降ろしたアスカが、さっさと自分の缶を開けた。

プシュ!

アスカに目で促されたシンジも、迷いを振り払うように、勢いよく開ける。

「かんぱぁい!」
「か、かんぱい・・・」

軽く缶を触れさせると、中の液体をぐっと喉に流し込む。

「くぅ〜〜〜〜っ。
 お風呂上がりは最っ高!」

アスカが横目で見ると、シンジはまだたいして口を付けていないようだ。

「ほぉらぁ、男でしょうが。
 グッといきなさいよ、グッとォ!」
「あ、うん」

言われたシンジは、思い切って一気に呷った。

「ぷはっ!」
「やぁるぅ!
 あたしも・・・」

アスカも、残ったビールを一気に流し込んだ。

「ふぅ・・・。
 ね、もう一本いっとく?」
「あ、うん・・・」

シンジは半ばしびれたような感覚のまま生返事をした。
アスカが冷蔵庫から新しい缶を持って帰って来る。

「一本は多いし、はんぶっこしよっ」
「あ、じゃぁグラス出すよ」
「いいわよ、そんなの」

座ったアスカと入れ違いに立とうとしたシンジは、腕を掴まれて引き戻された。

「だって・・・」
「こうすればいいじゃない」

ビールを口に含んだアスカは、缶をテーブルの上に置くと、不思議そうな表情を浮かべるシンジの顔を捕まえ、そのまま唇を押しつけた。

「んう!」

触れた唇から流れ込んできたビールは、ほのかにアスカの味がした。

「はぁ・・・」
「シンジ・・・・、アタシ・・・」

それまでの強気がウソのような声。
よく見れば、俯いた頭が、妙に力の入った肩が、膝の上で握った拳が、かすかに震えている。

『いいこと、シンちゃん。
 女の子はね、こういうの、ものすごい覚悟がいることなの。
 最初はやっぱり恐いものなのよ・・・、どんなに平気な態度に見えてもね』

ミサトの言葉が頭を過る。

「アスカ・・・」

シンジは、そっとその震える肩に腕を回した。

「シンジ・・・」

縋るような目で見上げるアスカ。
その瞼がそっと伏せられる。
シンジは迷うことなく、アスカの唇に自分の唇を重ねた。

「ん・・・・、ふ、ん・・・」

重なった唇がゆっくり開く。
その意味を悟ったシンジは、おずおずと自分の舌を伸ばした。
さっき飲んだばかりのビールの味と共に、不思議な甘さを感じる。
やがてシンジの舌が探り当てたアスカの舌は、触れた瞬間ぴくっと震えて引き込みそうになり、しかし、やがて妖しく絡みだした。

「ふ・・・ん・・・」

最初は緊張に震えていた息が、少しづつ湿り気を帯びる。
やがて唇が離れ、二人の唾液が銀色の橋をかけ、切れる。

「シンジ・・・、好き・・・」
「僕もだよ、アスカ」

シンジはもう一方の腕をゆっくりとアスカの膝の裏に回すと、軽く力を篭めた。

「え?
 きゃっ!」

そのまま立ち上がったシンジにしがみつくように、首に腕を回す。

「シンジ・・・」

うっとりとした表情で頭をシンジの胸に預ける。
シンジはゆっくりとベットに向かった。

ぽふ

スプリングがよく効いたベットの上に降ろされたアスカは、シンジを期待と熱気の篭った目で見上げた。
しかしシンジは笑みを返しただけで、その体にそっとシーツをかけてやった。

「え!?
 ど、どうして・・・?」

驚きに目を開き、がばっと起き上がる。

「アスカが好きって言ってくれたのは、とっても嬉しいんだ・・・、でも・・・」
「だったら・・・」
「僕達には、まだやることがあるんだ・・・。
 続きは、その後にしようよ・・・。
 ね」

極上の笑みを浮かべるシンジ。

「わかった・・・」

膝を抱えて、俯いたまま、囁くような小さな声。

「じゃぁ、僕、帰るね」

二三歩ほども歩いた時のことだった。

「待って!!」

アスカが顔を上げて叫んだ。

「お願い・・・、一人にしないで・・・。
 ・・・恐いの。
 アタシ、・・・恐いのよぉ・・・」

真っ直ぐシンジを見つめる瞳から、光る物が溢れ出す。

これが・・・アスカ・・・?
本当のアスカ?

「お願いよぉ・・・、ずっと・・・、ずっと一緒にいて。
 今日だけでいいから、今だけでいいから!」

それは、アスカの心の叫びだった。
迫り来る不安感に押しつぶされそうな自分を、ギリギリで支える最後の望み。
それが、今目の前にいるシンジという存在。

「わかったよ、アスカ」

シンジは、しかし戻るのではなく、外に通じるドアに向かった。

「シンジっ!」
「大丈夫。
 ちょっとだけ・・・、ちょっとだけ待ってて」

慌てて呼び掛けたアスカを安心させるように微笑むと、ドアから外に出た。
ドアが閉じられたとたん、アスカはまるでそこが無限の広がりを見せる何も無い空間のような気がした。
シンジの初号機はユイが覚醒し、使徒を捕食することでS2機関も搭載している。
しかし自分の弐号機は、NERVドイツ支部で建造された時の、全くのそのままの状態だった。
しかも第拾五使徒から受けた精神攻撃で、いまだにシンクロ率は起動ぎりぎりよりちょっと上程度の線で低迷している。
満足な戦闘ができるかどうかの自信すら失いかけた今のアスカには、例えそれが国連軍や自衛隊の通常兵器であったとしても、ある意味使徒以上に凶悪な存在なのだ。

プシュゥ

ドアが開かれ、入って来た人影。

「シンジ・・・?」
「おまたせ。
 今日から僕もこっちに寝るよ。
 そうすればほら、アスカを一人にしちゃうこともないしね」

肩にかけたバックを指差しながらにこっとする。
じっとしていられなくなったアスカは、ベットから走り降りると、そのままの勢いでシンジに飛びついた。

「シンジっ!」

抱き付かれた拍子に鞄が落ちる。
それを気にすることもなく、シンジはアスカを受け止めた。

「バカ、バカ、バカァ・・・」

アスカの声が微妙な湿り気を帯びる。
受け止めた感触に、シンジは初めて気が付いた。

アスカ・・・、まさか・・・。

さっきは緊張感で気付かなかったのだが、アスカはノースリーブの下には、何も身に付けていなかったのだ。
それが解ったとたん、シンジの体に変化が起きる。
健全な男子のごく当たり前の反応は、体を密着させていたアスカにもはっきりと伝わった。

「シンジ・・・、我慢しなくてもいいのに・・・」
「でも・・・」
「お願い、シンジ。
 シンジがアタシを好きだってこと、行動で示して。
 アタシを一人にしないってこと、アタシにはっきり解らせて。
 シンジの暖かさ、アタシにも分けて」

ここまで言われて、それでも自分を押さえるには、シンジもまだまだ若かった。
答える代わりにシンジは、なおも何かを言いたそうにしているアスカの唇を、自分の唇で塞いだ。

「んふ・・・う・・・」

さっきよりもはるかに短いキス。
不満げなアスカをシンジは、もう一度抱え上げると、そのままベットの上に寝かせ、今度は自分も覆い被さるように倒れ込んだ。
二人分の体重を受け止めたベットが、ほのかにざわめく。
二人はそのまま抱き合うと、再び唇を合わせた。
これで何度目だろうか。
今日が初めてのはずなのに、何かとても慣れたような不思議な感覚。
ずっと以前からそうだったかのように、情熱的に、積極的に、唇が、舌が、腕が、足が、くねって絡み合う。
徐々に顔を下げて、首筋にきつく吸いつく。
くっきりと残るキスマーク、アスカは自分のモノ、それを主張する刻印。
シンジの手がアスカの胸にかかる。

「ふぅっん・・・」

甘やかな色を帯びた吐息が漏れる。
首筋を開放したシンジの唇が、再びアスカの唇を捉えた。
アスカの舌を誘い込んで歯で押さえると、さんざん嬲り倒す。

「んむ・・・、ふ、んん・・・」

それだけで我慢し切れなくなったのか、アスカの腰が震えた。

「アスカの全部が見たい・・・、いいでしょ」

こくり

小さく頷いたアスカは、恥ずかしげに目を伏せた。
シンジの手が、ノースリーブシャツの裾にかかる。
緊張にぴくっと震えるアスカ。
シンジは、思い切って裾をめくり上げた。
若さに見合う張りと艶を持った肌があらわになり、14歳としては充分過ぎるくらいに発育した乳房が部屋の明りを浴びてまろび出る。

ごくっ

大きく息を呑んだシンジは、そっと手を這わせた。

「はぁんっ!」

掌に感じるしっとりとした肌ざわり、中心にこりっとした感触。
優しく揉み込むように、時々先っぽの突起をくすぐるように。
そうするとアスカの体が震え、甘い息が漏れる。

「ん、ふあ・・、はっ、あぁ・・・」

ますます粘り気を帯びるアスカの吐息に、シンジは有頂天になってそのまま唇を近付けると、先っぽの突起にキスした。

「あひ!
 そ、・・、あ、だめ、やん!」

シンジはそのまま両方の胸に交互にキスしながら、残りの方に手を這わせ続けた。
シンジの手や唇や舌が動くたびに震える体、立ち上る汗の匂いが、さらに誘い込むように思えたシンジは、いよいよ手をゆっくり腰のラインをなぞるように降ろして行き、ホットパンツの裾にかけた。
その手の上に、アスカの手がかぶる。

「お願い・・・、電気消して・・・」
「嫌だ」

アスカの哀願するような声に、シンジはきっぱりと返した。

「シンジ・・・」
「アスカの全部が見たいんだ。
 だから、嫌だ」

いつになくはっきりとした言い方、そして何より目の光が違う。
その奥底に秘められた力に、アスカは羞恥よりもときめきを覚えた。

いよいよ、アタシ、シンジに見られる。
何もかも見られちゃうんだ・・・。

覚悟を決めたアスカは、シンジの手から自分の手を離した。
そろそろと、ホットパンツが脱がされていく。
それが完全に抜き取られた時、目の前に現れた白い下着に、シンジの目が釘付けになる。

「アスカ、ここ、すごいよ・・・」

そこはもう既に熱く溶けて、張りついた下着越しに全てが見えてしまっている。
シンジはパンティーに手をかけると、一気に引き下ろした。
部屋に立ち上る雌の匂い。

「アスカ、奇麗だよ・・・」
「ばか・・・」
「アスカ・・・」
「待って。
 アタシだけなんて嫌。
 アンタも脱ぎなさいよ」

覆い被さって来るシンジを手で支え、アスカが言う。

「うん・・・」

シンジはシャツを捲り上げると、短パンとパンツを一緒に引きずり下ろし、力任せに脱いで放り出した。
シンジの股間で、ぶるんと、まるでバネ仕掛けみたいに跳ねるモノ。

「へぇ・・・、こんなになってるんだ」
「あうっ」

固く張り詰めた物をきゅっと握られると、シンジは思わず声を漏らしていた。

「だ、だめだよ、アスカ・・・、うっく」

さわさわと撫でるように往復する手に、一気に主導権が移ってしまった。

「すごい・・・、ぴくぴくしてる」
「う、・・・だ、だめだって・・・あ、くゥっ!
 あぁ、アス・・・カぁ!」

シンジが苦しそうにうめく。

「気持ち、いいの?」
「はぁ、はぁ、アスカ、もう・・・」

シンジは息も絶え絶えになっている。
アスカは、大きく震えた物がさらに一回り大きくなったような気がした。
更に刺激を加える手の動きに、シンジの体が漣のように震える。

「シンジ、我慢しないでいいのよ」
「あぁ、アスカ、アスカぁ!
 あうっ!」

ビクン!

シンジのモノがひときわ大きく震え、青臭い匂いが立ち上った。
いつまでもいつまでも、震えながら何度も何度も吹き出すのがわかる。
アスカの手に、腕に、お腹の上に、シンジの放出したモノが降り注ぐ。

「うっ・・・、はぁ・・・・・、はぁっ!
 はぁ、はぁ、はぁ・・・・・」

アスカの上で四つんばいのまま荒い息を付くシンジ。
アスカは指を顔に持って行くと、匂いをかいで、そのまま口に運んだ。

ぺろっ

「・・・変な味ィ・・・」

その淫媚さに、項垂れかけたシンジのモノに、再び力がみなぎる。

「シンジ、ヤラシイ・・・」
「アスカだって・・・」

体が粘つくのも気にしないで、再び抱き合う。

「今度はちゃんと・・・、ね」
「うん」

そっと体を離すと、一度放出してしまって落ち着いたシンジは、ゆっくりとアスカを見る余裕があった。
二つのたわわな膨らみ、小さく尖った桜色の突起、きゅっとくびれたウエスト、縦長の可愛いおへそ、髪と同じ栗色の茂み・・・。

シンジの手が、白い豊かな膨らみに延びる。
触れたとたん、アスカの口から吐息が漏れた。

「はぁ・・・、ん・・・」

シンジはもう一度アスカにキスしてから、そのまま肩、胸、お腹と舌を降ろしていき、さっき自分が放出したモノを舐め取るように蠢かした。

「やァん、へんたァい・・・」

シンジはそれに答えずに、そのままお腹、おへそ、茂み、と順番にキスして行き、ちょっと外して内股に軽くキスすると、膝、すね、足の甲、指と降ろして行く。

「だめ、汚い・・・」
「アスカに汚いトコなんてないよ。
 それに、アスカの体の隅々まで、僕の物にしたいんだ」
「ばか・・・」

シンジは足の指を全部しゃぶりながら、指の間にも舌を這わせた。
そのたびにアスカの体がぴくぴく震える。
それに言いようの無い愛しさを感じたシンジは、執拗に口撃を続けた。

「ふ、あん、や・・・、あん」

やがて足の指から、今度は反対の足の甲、すね、膝、内股と、唇と舌が昇ってくる。
シンジの舌は、肝心の場所に届く前に内股で行ったり来たりを繰り返す。

「アスカ・・・、いいよね?」

何が、などと野暮なことを問わずとも、アスカはそれが意味することをよく解っていた。
だからアスカは、小さく頷いた。
体を起したシンジの手が膝に掛かると、緊張で体に力が入ってしまう。

「アスカ、力抜いて・・・」
「だって・・・、恥ずかしいよぉ・・・」
「アスカ」

優しく、しかし力のこもった声に、アスカは観念したかのように力を抜く。
シンジの手がそろそろと足を開いてゆく。
濡れて光る部分に空気があたり、ひやっとした感触が走る。

「あぁ・・・・・」

足が完全に開かれた時、アスカは思わず声を漏らしていた。

「すごい・・・。
 きらきらして、可愛くて、奇麗だ・・・」

思わず口にするシンジ。
ケンスケやトウジ達と見た本やビデオとは違う、本物の、同い年の、しかも大好きな女の子の大事な部分。
ある種の達成感に、シンジの体が震える。
そっと伸びた手がその部分に触れた瞬間、アスカの体が跳ねた。

「ひゃぅん!」

ちゅ・・・、くちゃ・・・

アスカの流した蜜でドロドロになったそこから、粘つく水音が響く。

「ん、はぁ・・・、あう!」

シンジはゆっくり顔を近付けると、そこに口付た。

「ひぃう!
 あひ、そこは・・・、いやん!」

シンジの目の前で息づく襞、溢れかえる蜜。
シンジはそこいらじゅうにキスの雨を降らせた。

「ひ、あう!
 あん、あぁ!
 あ、あひぃ!」

アスカの喘ぎがだんだん激しくなって来る。
暴れる腰に手をまわして、一気に舐めあげる。
舌が小さな蕾にかかったとたん襲われた軽い絶頂感に、アスカの腰が跳ねた。
そこが最も感じやすい場所だと理解したシンジは、しつこくしつこくそこばかりを攻めたてる。
アスカは、頭の中が真っ白になった。

「ひぃ!
 だめ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ!
 イク、もう、イク、アタシぃ!
 もうだめ、ああああああぁぁぁぁぁぁぁ!」

シンジに蕾を強く吸われた瞬間、アスカは大きな波にさらわれるように絶頂の渦に取り込まれた。

「はぁ、ん、・・・んく・・・、はぁ、・・・・あ・・・」

時々ピクンと震えながら荒い息を付いてるアスカに覆いかぶさると、シンジは優しくキスをした。
アスカの口の中に広がる自分自身の味。
離れた口から先に言葉をつむぎだしたのは、アスカだった。

「シンジ、アタシ、アタシ、もう・・・」
「うん、アスカ、僕ももう我慢できないよ・・・」

シンジはさっきミサトからもらった袋を取ろうとした。

「待って、シンジ。
 初めは、初めてはナシでお願い。
 そのままのシンジを感じさせて欲しいの」
「だって、アスカ・・・」
「大丈夫。
 今日はアタシ、大丈夫なの。
 だから・・・」
「わかったよ、アスカ・・・」

シンジはそのままアスカを抱きしめるようにして覆い被さる。
アスカも心持ち足を広げて、シンジの足が間に入るようにする。
シンジは体を起こすと、そのままアスカの腰を抱えて、中心部分に自分のモノをあてがった。

「いくよ、アスカ」
「来て、シンジ。
 いっぱいいっぱい感じさせて」

つぷ

小さな音がして、シンジのモノが入ってくる感触。

アタシ・・・、いよいよシンジのものになるんだ・・・。

アスカ・・・、とうとうアスカと一つになるんだ・・・。

頭が全部潜り込だところで見つめ合う瞳と瞳。
アスカは小さく頷くと、シンジの背中に手をまわした。
シンジがそろそろと腰を進める。

「くっ!
 つぅ、っく!」

脳天を突き抜けるような痛みに、アスカの眉が歪む。

「アスカ・・・」

根元まで飲み込まれたところで、シンジはアスカをしっかりと抱きしめた。
それだけでも気分が落ち着く。

「シンジ・・・、動いていいのよ」
「だって、痛いんでしょ?」
「でも、それじゃシンジが気持ちよくならないじゃない・・・」
「いいんだ、アスカ。
 僕はこうしてるだけでも、とっても幸せな気分だから」

その心が、言葉が、アスカの心を満たしてくれる。
加持と一緒にいても、大学でトップを取っても、訓練で誉められても、エヴァに乗っていても、何をしていても得られなかったものが、今目の前にいるシンジから伝わってくる。
重なった胸から、繋がった部分から、全身からシンジの鼓動が伝わってくる。
いつの間にか、アスカはほとんど痛みを感じなくなってた。

「シンジ、もういいよ。
 痛くないから。
 アタシ、大丈夫だから」

満たされた気分。
ミサトといても、トウジ達といても、父から誉められても、どこかに冷めた部分があったシンジの心に、アスカといることの幸せが一杯になる。
重なった胸から、繋がった部分から、全身からアスカの鼓動が伝わってくる。
シンジは、それだけでもこれまでに感じたことのない快感を覚えていた。

「動くよ、アスカ」

アスカの小さな頷きに、シンジがゆっくり動き出す。

「ん、くは・・・あ」
「ア、アスカ・・・、すごいよ」
「シンジ・・・、シンジのが、アツイのォ・・・」
「アスカ・・・、はぁっく」

シンジは、ついさっき出したばかりなのに、早くも限界を迎えようとしていた。

「ン、はぁ、シ、シンジィ、シンジィ!」

その声に押されるように、だんだんとシンジのペースが上がる。

「あっ、あぁ・・・う、んぁあ!」

アスカの喘ぐのに合わせるように、自然とシンジのペースが上がる。

「はぁ、はぁ、はぁ、アスカ、アスカ」
「あぁ、あン、はっ、アん、シンジ、シンジぃ」
「アスカ、アスカ、僕も、もう、あ、あ、アスカァ!」

どくん!

アスカの中で、シンジのモノが弾けた。
全てがそこから飛び出したような感覚。
一番奥深いところで、シンジはアスカに全てを解き放っていた。

「あひゃぅんっ!」

奥底に直撃を受けたアスカの体が大きく震える。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

荒い息をつき、時折痙攣するように震える。
再び重なるように互いの体に手をまわすと、ぎゅっと力がこもる。

「あっ・・・!」

アスカが驚きの声をあげた。
中に収まったままのシンジが、再び力を取り戻したのだ。

「アスカ・・・」
「いいの、シて・・・。
 何度でも、好きなだけ、シンジが満足するまでずっと」
「アスカっ!」
「あくっ!」

シンジは先程よりも激しく、最初っからトップギアに入れて体を動かした。

ずっ、ちゅ、ごぷっ

繋がった場所から、激しい水音と共に、白いものと赤いものが溢れる。
引っぱられる時は、まるでお腹の中が全部持って行かれるような感じがする。
押し込まれる時は、まるでシンジのからだが全部入ってくるような感じがする。
言い知れぬ感覚に、アスカは翻弄され続けた。
そしてどこか遠くの方からゆっくりと、自分の心を甘く誘う弱い流れが感じられる。
それを探すように、もっと強く感じるように、アスカはそこへ心の手を差し伸べた。
手が届いた、そう思った時、得体の知れない感覚が襲って来た。

「ひぁ!
 あっ、あぁ・・・う、んぁあ!」

シンジが動くたび、アスカの頭の中にピンク色の電気が走る。
だんだん何も考えられなくなって、頭の中に靄がかかって行く。

アスカの喘ぐのに合わせるように、モノから沸く感覚が強くなる。
だんだん我慢できなくなって、更にペースが上がる。

「はぁ、はぁ、はぁ、アスカ、アスカ」
「あぁ、シンジぃ、シンジのが、シンジのが、熱いぃ!」
「アスカのも、熱くて、蕩けそうで、すごいよ!」
「あ、あああ、あん、うぁ、あ、あ、ダメ、おかしくなる、おかしくなっちゃうゥ!」
「アスカ、アスカ、僕も、もう、あ、あ、アスカァ!」
「シンジ、シンジぃ、ダメェ、アタシ、イク、イッちゃうゥ!」
「アスカ、アスカ、アスカ、アスカァ!」
「あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「はうぁ!」

シンジにとって二度目の、アスカにとって初めての絶頂が、二人の全てを激しく揺さぶる。
永遠にも一瞬にも思える時間、シンジのモノはアスカの中で弾け続けていた。
流れ込んでくる熱い想いを乗せた迸りが、アスカの中に広がって行く。
受け止めるアスカの心が、シンジにも逆流してくる。
狂おしいほど愛おしくて、二人はお互いをしっかりと抱きしめた。
しばらく抱き合っていたシンジは、そっと体を起すと、ゆっくりと自分のモノを引き抜いた。
赤と白、二人の行為の全ての象徴が流れてシーツにたまる。

「アスカ・・・、もう、一人にしないからね」
「シンジ・・・、好き」
「僕もだよ」

自然と優しい笑みがこぼれる。

「汗かいちゃったね・・・。
 お風呂、入ろう?」
「ン、そうね・・・、でも、ちょっと待って」

アスカはベットを降りると、シンジの手を引っぱって立たせた。

「どうしたの?」
「これ・・・」

アスカはシーツをゆっくりと剥がすと、丁寧に折り畳んだ。

「今日の記念よ。
 洗わずに取っときたいの」
「そうだね」

意外に乙女チックな発想のアスカに、しかしシンジも笑うことなく賛成した。

「じゃぁ、代りのシーツ、取って来なきゃ」
「いいわよ、そんなの。
 お風呂入ってから、アンタの部屋で寝ればいいじゃない」
「それもそうか・・・。
 じゃぁ、お湯、準備して来るね」
「大丈夫、さっき入ったの、抜いてないから」
「ハハハ・・・、準備いいんだね。
 もしかして、こういうの予想してたの?」
「バカ、アンタだってあんなの持ってきてたじゃない」
「あ、アレはミサトさんが・・・」
「言い訳しないの。
 さ、お風呂行こ?」
「あ、うん」

言ったもののアスカは動かないでいる。
シンジは最初はきょとんとしていたが、やがてアスカの求めるものが何かを理解した。
そっと肩と足に手をまわすと抱き上げる。
どうやらアスカは、このシュチュエーションがお気に入りのようだった。
本日三回目のお姫様だっこに、うっとりとした表情がそれを物語っていた。


「で、どないしたんや、シンジ。
 アスカの部屋に行ったんかい?」
「う、うん・・・」
「かぁっ!
 やるじゃんか、シンジ!」

照れながら俯くシンジを、ケンスケは囃し立てた。

「で、どうなったのよ?」
「そりゃまぁ・・・、ね・・・」

アスカも恥ずかしげに頬を染めつつも、ヒカリのツッコミに答える。

「そらそうやんかなぁ・・・。
 そうでなかったら、ユイカちゃんが生まれるわけあらへんしな」
「そうなんだよね・・・」

シンジは苦笑を浮かべた。

「何よ、シンジ」
「だってアスカ、あの時なんて言ったか覚えてる?」
「あの時って?」
「アスカ、
 『今日はアタシ大丈夫なの』
 って言ったンだよ」
「そ、そうだっけ・・・」

怪しげな苦笑い。
どうやらアスカは、確信犯的にコトに及んだらしかった。

「シンジ、はめられたんやな・・・」
「ハメられたのはアタシよっ!」
「うわっとぉぃ!」
「アスカ・・・」
「なんちゅうストレートな・・・」

あまりにもあけすけなもの言いに、ケンスケもヒカリもトウジもあっけにとられ、愉快なポーズで固まった。

「「「イヤァ〜ンな感じィ!!」」」

久々に中学生気分の爆笑が炸裂した。

「それはエエとしてや、それからどないなってん?」
「そうだよ。
 そっちの方が大事だよ」
「そうよね。
 私達、疎開でいなかったんだし。
 それにあなたたちのその外見のこと、まだ説明してもらってないわよ」

「聞きたい?」

「そらまぁ・・・、て、今の誰や?」

トウジが振り返るとそこには、今帰って来たばかりなのだろう、ペン太を抱いたレイがいた。

「おぉ!
 綾波かいなぁ、邪魔しとるでぇ」
「トウジ、違うだろ」

ケンスケのツッコミ。

「私は碇レイよ、ジャージバカ」
「かぁ。
 あいかわらずきっつぃ言い方やのぉ」

苦笑を浮かべるトウジに、レイがちょっと澄ました意地の悪い笑みを浮かべる。

「アスカの教育のおかげね、これも」
「アタシなのォ?」

今度はアスカに矛先が向いた。
作者にとっては些か残念なこと(^^;ではあるのだが、こういう所は、確かにアスカの教育の賜物といってさしつかえないだろう。

「ところでシンジ、お前、アスカとユイカちゃんがいて、どうしてこっちにも部屋があるんだ?」
「最初に言っただろ?
 世間的には僕はあのシンジじゃなくて、父さんとリツコさんの子供なんだ。
 レイはあのシンジとは双子の姉弟だから、今はレイとは異母姉弟になってるんだ。
 だから本当はこっちが僕の家なんだよ」
「アタシだってユイカとは叔母と姪、シンジとはフィアンセっていうことになってるの。
 わかった?」
「納得」
「でけへんなぁ・・・。
 何でそんなウソつかんならんのか、きっちり話してくれんと」
「今から、それを話すよ・・・。
 でも、聞いたらもう後戻りはできないよ。
 構わないよね?」
「かまへん。
 目の前にこんな格好したお前らがおって、今さら何言われたって驚くかい」


 シンジとアスカは、あの後風呂場でもう一度、そしてシンジの部屋に移ってからも二度、愛し合った。
やがてどちらからともなく眠ってしまった二人を、早朝に大音量の警報が叩き起した。

「な、何?」
「何かあったんだ!
 急いで起きないと」

訓練で染み付いた習性に従って、一気に覚醒させられてしまった二人は、慌ててベットから飛び降りると、服を身に付け、誰に言われるでもなくロッカールーム目指して駆け出した。

『侵入警報、侵入警報。
 第一層から第三層を放棄、隔壁を閉鎖します。
 全職員は直ちに下層部に待避して下さい。
 繰り返します、侵入警報、侵入警報。
 第一層から第三層を放棄、隔壁を閉鎖します。
 全職員は直ちに下層部に待避して下さい』

走る二人の頭上に、アナウンスが降って来る。

「侵入?
 誰よ?」
「多分・・・、自衛隊・・・、だと思うよ」

アスカの疑問にシンジは、暗い顔で呟くように言った。

「とうとう来ちゃったんだ・・・、この日が」

一気に表情が暗くなるアスカ。
それでも二人はロッカーに駆け込むと、手早くプラグスーツに着替えた。


「自衛隊が来た?
 どういうことなんだよ、それ」
「ワイら、全部ゼーレやって聞いとったで」


 第二新東京にある首相官邸。
総理大臣のテーブル上、秘書官や官房長官すら通さない、完全に独立したホットラインの受話器を、緊張に湿った手が取り上げた。

「そうか・・・。
 間違いないのだな?」

電話の相手から告げられた言葉は、それまで漠然としたものでしかなかったNERVに対する疑義を、一気に確信へと昇華させた。

「解った、いいだろう・・・。
 ご苦労だった」

受話器を戻すと、脇に控えていた官房長官に無言で頷く。
同じく無言で頷き反した官房長官は、執務室を出ると自ら受話器を握った。

「首相の裁可が下りた。
 決行だ」


 森の中に設営されたテント。
野戦指揮所となっていたそこにもたらされた命令に、指揮官は大きく息を吐くと、幕僚達の顔を見渡した。

「彼等が行おうとしていることを看過することはできない。
 かねてからの予定通り、ジオフロント内の全施設の強制接収を行う。
 かかれ!」

人と人か・・・、ここ十年来無かったのにな・・・。

自分の一言が、世界の終わりへの最終安全装置を外したなどとは知らない彼は、単に人殺しをしなければならないことだけを、自らの運命として呪った。


 セカンドインパクトとその混乱は、全世界を無秩序の混乱に陥れた。
海岸沿いのほとんどの都市は津波と増水で、内陸の都市は地震で、壊滅的被害を受けた。
特に酷かったのはアメリカ合衆国だった。
世界の警察を自任し、その強大な国力で世界秩序の構築に中心的役割を担っていたアメリカは、東海岸の都市部も、西海岸の都市部も、津波と増水で壊滅していた。
偶然地方遊説に出ていて難を逃れた大統領は、国内の混乱を収拾するためにできる全ての手だてを実行するよう命じた。
しかしそこに、千載一隅のチャンスを待っている勢力がいた。
日ごろからアメリカを「大悪魔」と呼び、聖戦のターゲットとおおっぴらに呼称していた某宗教の原理主義者達だった。
彼等の中心地たる本国は、同様に壊滅的打撃を受けていたが、生き残った者達は大悪魔を滅ぼすチャンスとばかり、一斉に行動を開始した。
人種や言葉に端を発する軋轢が一挙に吹き出して、ただでさえ混沌の極みにあった米国各地にテロが発生し、幾多の人命が失われた。
米国の決断は早かった。
内陸部に生き残った軍施設を使い、かの宗教過激派のアジトと目される地域の全てに、大陸間弾道弾による報復攻撃を決行したのだ。
平時であれば、通常戦力による報復レベルで留まっていたであろうそれは、N2弾頭による殲滅戦となって現れた。
しかし世論は、それを許した。
当然である。
平時ですら、テロという卑怯な手段で無辜の人々を殺戮する狂信的過激派集団に対する軍事行動は、いわばヤクザの抗争に警察が銃を持って制止に入るような物として受け入れるべき当然の事であるのであり、これを戦争などと呼ぶおろかな平和ボケの軍事音痴が許されるべき状況では無い。
だが、更にこの全地球規模の危機的状況下、小さな欲望と狭量な狂信的思想による犯罪は、全人類の生存にかかわる暴挙と呼ぶことが生ぬるくすら感じられる愚挙だった。
明日はわが身という当然の危機感を持った人々は、米国の徹底した報復行動に賛同した。

 しかし世界を驚かせたのは、米国の行動では無かった。
この米国の行動に、一番最初に賛意を表明し、あまつさえ手持ちの軍事力のうち、許す限りの全てを協調行動として差し出した国があったからだ。
その名を日本といった。
かの国の臨時首班として国内の混乱収拾と秩序回復に努めた彼は、自衛隊のほとんど半数以上を保有艦艇に乗せ、アジア方面の秩序回復のために緊急展開する第七艦隊に同行させる形で増援として派遣した。
中国を除くアジア各国は、この派遣を大いに歓迎した。
中国はいつもの「過去の歴史を忘れた暴挙」と言う声明を発表しなかったわけではなく、国内の混乱と暴動に終始する上、喧嘩を売ったはずのロシアから徹底した報復を受け、それどころでは無かっただけだったのだが・・・。
もう一方の反日の常連である北朝鮮など、東京攻撃にうつつを抜かしている隙に、物のついででシベリアから飛んで来た弾道弾により、世界一広大な更地にされ、声明を発表することができる人物が誰一人として残っていなかったのだから、何をか言わんやである。

 こうしてアジアを皮切りに環太平洋地域全域、中東、アフリカ、欧州、南北米大陸と、世界各地に秩序回復の緊急展開兵力として派遣され続けた自衛隊は、国連主導でなしくずし的に行われた世界的軍事力再構築でも中心的役割を担う事になった。
そして国内に残った自衛隊は戦略自衛隊として再編され、交代で国連緊急展開軍へと派遣された。
当時の自衛官で、日本以外の土地での任務を経験したことがないものは誰一人としてないと言うほどに、日の丸は世界の各地に翻った。
そうした混乱の時代を駆け抜け、幾多の戦場を生き抜き、使徒以外に敵のいなくなった戦略自衛隊が今、十年の時を越え、再び人にその銃口を向けようとしているのだった。


『総員配置に就け、総員配置に就け。
 作戦開始、作戦開始』

流れる命令、次々と起動されるエンジン、慌ただしく動く将兵、戦略自衛隊はその駒を一歩前に動かした。

『非武装、無抵抗を問わず、全ての敵に対する発砲を許可する。
 全人類の命運が諸君の双肩に掛かっている。
 容赦は無用だ』

ある意味残酷な、しかし彼等に取っては死活問題の命令が下される。


「それはちょっと、調べんといかんのとちゃうか?
 ごっつい問題やで・・・」

トウジの憤りに、しかしシンジは首を横に振った。

「無理だよ、きっと・・・。
 NERVの極秘ファイル以外には、どこにも記録は残ってないんだ。
 全部ゼーレの仕業にされて、日本政府は関与していないことになってるよ」
「ンなアホなっ!」
「本当よ。
 私はずっと見て来たから」

レイが、まるであの頃のように感情のない声で、しかしはっきりと告げた。

「日本政府は、戦後の復興にNERVの力を利用したがったの。
 NERVの影響力をそのまま残すことを条件に、全ては無かったことになったわ」
「国連がゼーレの残党狩りに乗り出したのは俺も知ってたけどさぁ、日本までとはねぇ・・・」
「みんなグルだったってことよ。
 でも、そのおかげでアタシだって、こうして今生きてられるわけなんだけどね・・・」
「どういうこっちゃ?」

アスカの言った内容よりは、その言い方に引っかかりを覚えたトウジは、いぶかしげに尋ねた。

「あの時の戦いのことを全部説明したほうがよさそうだね・・・」

シンジは沈痛な面持ちで言った。





ドモドモ、J.U.タイラーでっす!(^^)/

 はい、第壱拾参話をお届けします。


 今回は四部構成(予定)の第二回目です。
そんなわけで、もうちょっとこの話にお付き合い下さいm(__)m

しかしぃ・・・、とうとうヤッちゃったね、寝室送り・・・(^^;
その反動かねぇ?(^^;
最後の数十行は言いたいことを言いまくっちゃったよぉ(笑い)





次回予告

 14年前に起った「最後の戦い」と呼ばれる戦闘。
ジオフロントに充満する血と硝煙の匂い。
人と人が戦うという最悪の状況。
しかしそれが、人類の未来を決定付けることになった。


次回、第壱拾四話 「過去との出逢い」・その3


時間なんて、あまり関係ないのね (^^;
 By Hikari Suzuhara

でわでわ(^^)/~~