ぱぱげりおんIFのif・第壱拾七話

アスカとレイの子育て日記・その2

EPISODE:02 The Best


〜 見慣れぬ日常 〜


平成14年4月27日校了



 出産が終り退院しても、母親には授乳をはじめとする子供の養育に必要な、ありとあらゆる役目があり、普通は1年程度は子供のそばを離れることはまずできない。
そのため仕事を持った女性には、育児休業が与えられている。
旧労働基準法で規定されていた妊産婦の申請によって与えられることとされていた育児休業は、セカンドインパクト後の婦女子の保護、少子化対策などのため、妊産婦に対する育児休業の付与義務、あらゆる差別待遇の禁止、法定最低賃金の支給義務など、雇用者側にとってかなり厳しい物となって、2003年秋に再開された通常国会の冒頭、改正労働基準法として可決され、即日施行された。
また男性に対しても、旧労基法の妊産婦に対して認められていた権利を適用するなど、男性の育児機会を拡大する方向へと改正されたのも、この新労基法の特徴といえた。
これはどのような組織・団体で働く女性に対しても平等で、例えそれが国際的機関であっても同じだった。
条文には、


国内に存在する施設における労働者で、国際機関、在外資本法人等、日本国において成立した組織・団体ではない組織・団体に就労する者であっても、以下に掲げる各号に該当する者の場合には、当規程を準用するものとする。

1 主に国内において生計を立てていると認められる場合
2 居住地が国際法上の治外法権以外の土地である場合
3 前項において除外された土地内に居住する者であっても、日本国内法に従わねばならない場合
4 その他所轄労働基準監督署長が必要と認める場合


と記述され、外国人居留者に対しても、ほぼ同様に適用されている。
そしてこのこともまた、日本の国際的地位向上に大きく貢献していた。

\(^^\) 余談は (/^^)/ おいといて・・・。

 NERVに対してもこの規定は当然適用されるわけで、NERV職員としての肩書きがあり、ましてや子供の父親が使徒戦役の英雄である碇シンジとなれば、例外的なことをする事はできない。
結果としてアスカは、ユイカ出産から1年、自宅に居て育児に専念することが決定してしまった。
アスカ自身はかなり抵抗したようだが、リツコがそれを許さなかった。

「これはあなたのためじゃないわ、シンジ君のために言っているのよ。
 ユイカちゃんをきっちり育て上げることが最優先で、それが出来るのはあなただけ。
 シンジ君が帰って来た時に、これがあなたの娘よって見せてあげたかったら、おとなしく従いなさい」

その一言が、アスカの胸に深々と突き刺さった。
事実、シンジを取り戻すために研究を続けると言ったのはアスカ自身だが、しかしユイカという絆を求めたのもまたアスカ自身だ。
自分にしかできない事だと言われてしまい、かつ、ユイカのあのあどけない笑顔を思い浮かべたアスカは、黙って首を縦に振った。
とはいえ、何もすることがないでは退屈だろうと、かなり限定されたままではあったが、家に置いた端末からMAGIへアクセスすることだけは許された。
一種の在宅勤務とも言えそうだが、ただし時間は朝9時から夜20時までに限定されており、時間外は強制的に接続が切られた。
そんなわけで、夕食が終り、ユイかを寝かしつけた後のアスカには、自分が寝るまでの時間はかなり退屈な時間だった。
そんな暇を潰すためにだろうか、今アスカは、出版社から送られて来た雑誌をぱらぱらとめくっていた。
その雑誌は新生NERVを取りあげた記事を掲載するため、1ヵ月ほど前に大々的な取材チームを派遣して来ていた。
ちょうど出産前の休暇入り直前だったアスカも、使徒戦役の主力パイロットの一人ということで取材を受けていた。



WORLD NEWS NOW 日本版 1月号

第2特集 世界を変えたNERV 世界を変えるNERV

て、使徒戦役終結と同時にNERVはその役目を変更することになった。


使 徒戦役後、NERVが国連の単なる学術研究団体になった象徴として、その本部施設が第三新東京市旧市街の中心部に建てられた。もっとも、はるか昔に人工進化研究所と呼ばれていた時代には地上にも施設があったのだが、使徒迎撃要塞都市としての第三新東京市の開発が始まると同時に、主に機密保護の観点からジオフロント内の蒼いピラミッド型のビルに全て移転してしまい、兵装ビルなどの地下にあっても意味がない施設を除いて、地上施設は全て取り壊されていた。しかし、使徒戦役の最終決戦として行われた秘密結社ゼーレとの直接対決、いわゆる「最後の戦い」の処理と、この際にゼーレによって使用された化学兵器や生物兵器などによる汚染を取り除く作業が終るまでの安全確保のために、地下施設への一般の立入禁止が解除されていないため、地上施設の建設工事は最優先で行われている。

ここでちょっと新生NERVが発行しているパンフレットを見てみよう。まず目を引くのが綺麗な紫の表紙だ。この色は、かつて人類の命運を一身に背負って戦って散った故碇シンジ氏が、パイロットとして搭乗していたエヴァンゲリオン初号機を髣髴とさせる色で、我々人類が彼の尊い犠牲によって平和を取り戻したことを象徴しているかのようで、非常に興味深い。中央のマークは、かつては黒かった部分を白く変えただけなのだが、それでもずいぶん明るい印象を受けるから不思議だ。更には、新生NERVを象徴するスローガンの「 TRY to NEW 」が、明るい未来を見据えているようで頼もしささえ感じられる。
さて、表紙をめくるとそこにはNERV会長、碇ゲンドウ氏の挨拶文が彼の写真と共に掲載されている。いかにも研究者然としたその写真からは、最終決戦で最愛の息子を失った悲しみは見て取れないものの、人類の叡智の結集を目的とする研究機関の長としての風格と気迫が感じられる。
このパンフレットの次ページには、本部棟を中心に撮影された空撮写真が掲載されている。各種事務などを行う本部棟、セミナーや学会を開催できる会議棟、各種研究・実験施設を完備した研究棟、職員の寮や来訪者の受け入れを行える宿泊棟、そして持てる医療技術の発揮や研究成果の臨床などに使えるメディカルセンターなど、最後の戦いで中心部に穿たれた巨大クレーターの埋め戻しと並行して建設が行われた施設群の一部が写ったものだ。NERVの広大な敷地には緑も多く、この空撮写真も半分は森林地帯しか映っていない。これは、学術に専念出来る最高級の環境を提供するというNERVの基本姿勢から、元の第三新東京市中心部に実に5キロ四方に及んで広大な緑地帯が設けられたことによる。
パンフレットの残りページには、組織図や各部門の説明、各種施設の概要などが掲載されているが、このパンフレットはNERVの公式サイトからの申し込み、あるいは直接広報部に連絡すれば入手可能で、誰でも手にすることができるようになっている。


日行った取材で、使徒戦役当時からNERVに所属したメンバーにインタビューをしているので、順を追って紹介しよう。まずは会長の碇ゲンドウ氏からだ。

記者(以下 記) まずは、本日は取材に応じて下さりありがとうございます。
碇会長(以下 会) いえ、問題ありません、歓迎します。
 さっそくですが、このNERVという組織についてお話し願えませんか?


124




 退屈しのぎのつもりだったアスカだが、読み進むうちに意外と知らなかったことがあったためだろうか、だんだんと記事にのめり込んでいた。
時には

「ふぅん・・・、そっかぁ」
「へぇ、ホントかしらね」

等と独り言もこぼれている。

「そっかぁ・・・、これも知らなかったなぁ、アタシ・・・」
「ただいま、アスカ」
「お帰り、レイ」
「何を知らなかったの?」
「これよ、これ」

アスカに代って実験に参加するための出勤から帰宅したレイに、アスカは見ていた雑誌を指差してみせた。
レイ自身も取材を受けており、すぐにそれがなんなのか気が付いた。

「NERVは奥が深いわ。
 私の知らないことも多いもの」
「ホントにぃ?」

ちょっと意地の悪い表情で聞き返す。

「私が知っているのはエヴァのこと、使徒のこと、そして自分のこと・・・。
 他のことは、あなたの方が詳しいわ、きっと」
「そう・・・、かもね」

無表情に、淋しげな声で応えたレイに、アスカもちょっとトーンを落した。

「気にしないで。
 そういう育てられ方をしただけだから」
「まぁ、そうなんだけどね」

微妙な笑みで返したレイに、アスカの表情が和らぐ。

「ユイカはちゃんとしてあげないとね」
「そう。
 それがあなたの役目。
 あなたが今すべき事は、この子の幸せを第一に考えることだもの」
「リツコみたいなこと言わないでよ」
「そうね」

軽くむくれたような声に、レイが笑う。
日々表情が豊かになるレイに、アスカも嬉しさを隠せない。

「ユイカだけじゃないわよ。
 アンタもなんだからね。
 普通の女の子になれるように、頑張らなきゃ」
「そう。
 じゃぁ、あなたは私のお母さんになるのね」
「やめてよぉ。
 一気にオバサンになった気分になっちゃう」

意地悪を言うレイに、アスカは苦笑を浮かべながら答えた。
それでなくてもアスカは、ユイカを連れて買い物に行くようになったら「奥さん、これお買い得だよ!」などと声をかけられるんじゃないかと余計な心配をしているだけに、深い所では多少ショックを受けたようだ。
それを見て取ったのかどうか、レイはさらに追い打ちをかけるように呟いた。

「子供ができたんですもの。
 抵抗は無意味よ」
「はいはい・・・。
 疲れたから寝る」

ややげんなりした様子のアスカ。
レイはさもおかしそうにくすっと笑うと、着替えるために部屋に戻った。


 マコトは、一人机に向かって悩んでいた。
本部棟2階の奥まったエリアにある総務部の更に奥に、執務室として専用のオフィスをあてがわれているのだが、今はこの一人だけという環境が悲しくなるくらい、誰かの助けを必要としていた。
しかし彼にとっては、新任の、それも1尉に据え置かれたまま元作戦部から横滑りで、ましてやあの冬月の後を継いでの総務部長だったこともあり、軽々しくスタッフに相談することもできないでいる。

「はぁ・・・。
 こんな時に奴がいてくれたらなぁ・・・」

思い出しているのは、NERVに入った時からの親友、今は地道にライブハウス巡りとインディーズレーベルCD販売のバンド活動を続けている青葉シゲルのことだった。




総人(発)16−34


2016 . 11 . 05





発  令  等  通  知




   技 術 部    惣流アスカ・ラングレー博士

             2016.10.15から2017.10.14までの間、育児休暇を付与する
             (2016.10.15)

             出産祝い金を支給する
             (2016.10.15)

             扶養手当の支給を開始する
             (2016.10.15)

             パイロット手当の支給を停止する
             (2016.11.05)























 目の前に置かれた、アスカへの人事発令。
悩むようなことではないはずの書類決裁なのだが、最後の行が引っかかっているのだ。
対外的には弐号機が存在しないため、アスカはもうパイロットではない。
であれば、実戦という命の危険をともなう仕事であることを前提に支給されるパイロット手当のカットは当然の処置といえる。
しかし実際には、弐号機は依然として健在で、ケイジに格納され続けている。
しかも、必要とあらばエントリーを求めることもある。
つまり実際には、アスカは弐号機パイロットであり続けるのだ。
まして育児休暇中は給与の額も低くなり、何かと要りようのはずの今の時期、これは厳しいはずだ。
公的にはシンジは戦死であり、かつ入籍もできずにいたため、アスカの戸籍には夫はなく、娘のみがいるという典型的な母子家庭だ。
シンジの遺産は、遺言と呼ぶべきものが無かったため、法の定めに従って遺児であるユイカへ配分されるのを除けば、全てが唯一の肉親であるゲンドウに渡されて、アスカには一銭も入らない。
しかもユイカに与えられる分は保証規定のせいで、ユイカが18歳になるまでは一切手を付けられない。
ゲンドウはアスカに渡すことを考えているようだが、贈与税やら何やらで、実際の金額は額面の半分にもならない。
今後支給されることになる扶養手当と、出産祝という名の一時金だけでは、とてもではないが生活を維持できないだろうと考えたのだ。
逆に言えば、パイロット手当がそれだけ高額だったということだ。
マコトは、あとは自分が決済印さえ押せば、ゲンドウの元に届けて裁可を受けるだけになった紙面を見詰め、もう一度大きな溜め息をついた。


 リツコは、キーボードを叩く手を止めて大きな溜め息をついた。
目頭をきゅっと摘まむと、マグカップに手を伸ばす。
しかしそこにコーヒーは一滴も入っていなかった。
もう一度ため息をついてカップを置くと、今度は煙草に手を伸ばす。
ボックスの蓋を開けたリツコの眉が急角度でつり上がる。
空の箱をギュッと握り潰したリツコは、怒り任せにそれを後ろに放り投げた。

「きゃ!」

声に驚いたリツコの振り返った先には、ファイルを抱えたマヤがいた。
潰れた空箱をゴミ箱に入れたマヤは、リツコの側に来るとファイルを渡した。

「先輩、ちょっと休んだらどうです?」
「そうも言っていられないわ。
 ただでさえ人手は足りないのよ」

苛立たしげに言いながらファイルをめくる。

「何、これは?」
「え?
 あぁ、これですか・・・。
 生駒ミツコ曹長です」
「生駒曹長?」

覚えのない名前と階級。
リツコはいぶかしげにマヤの顔を見上げた。

「はい、部内選抜の士官候補生です。
 元は兵藤1尉の研究チームにいた女性です」
「そう、兵藤君のね・・・」

兵藤のチームは、主にエントリープラグの居住性改善やレスポンス改善といった、プラグまわり全般の研究開発を行っていて、ダミープラグ開発においては主役を演じたグループだった。
しかしリーダーの兵藤はじめ、多数のメンバーが最後の戦いで殉職している。
技術部以外にも、最後まで持ち場を離れられなかった職員は、戦自の襲撃から逃れられなかったのだ。
襲撃を逃れた職員も、その後の破壊工作で命を落している者が多数いた。
そのことも、施設復旧やサルベージ作業が遅れる一因となっていた。
そんな環境のせいもあり、新たに幹部職員を養成するため、部内でそれなりの成績を上げている者を、選抜試験により士官に登用して不足を補おうというプロジェクトが、技術部だけではなくNERV全体で行われている。
ミツコもその制度で試験を受け、新たに士官候補生として曹長の階級を与えられたうちの一人だった。

「それにしても、こんな子供じみたアイデア、よく出して来たわね」

読み進むうち、リツコの表情は厳しいというよりは呆れたという感じに変化し、最後には笑みさえ浮かべていた。

「エントリープラグのI/Oを直接MAGIと接続して、外部からアクセスを図るなんてね・・・」

リツコはそのファイルをポンと机の上に投げ出すと、端末の電源を切って立ち上がった。

「気が抜けたわ。
 休憩しましょ」
「はい」

二人が出て行った部屋に残されたファイル。
関連する情報は一つ残らず保存せよというリツコの指示が幸いし、破棄されることなくファイリングされたこの提案書は、二度と開かれることなくそのまま忘れ去られた。
しかしそれがまさか、13年後にとんでもない成果を生むことになろうとは、提案者のミツコ始め、誰一人として知る由もなかった。


 検査結果をプリントアウトした物をファイルしたボードを片手に、端末に呼び出したカルテの画面を見る老医師は、ボードを置くと担当する患者に向き直った。

「軽い風邪じゃろう。
 しかしまぁ、状況が状況じゃから、できれば入院してもろうたほうがエエじゃろうな」

彼の前に座っているのは、そろそろ出産予定日が近付いて来たミサトだった。
体調が思わしくなかったため、リョウジの薦めもあり、メディカルセンターに来ていたのだ。

「入院、ですか?」
「お腹の子供のこともあるでなぁ。
 もうそろそろなんじゃから、このまま出産が済むまで入院していた方がエエじゃろ」
「はぁ・・・」

お国訛り丸出しで言う医師に、ミサトは思案顔だ。
確かに、このNERVメディカルセンターなら安心はできる。
それにリョウジにしても、つい1年ほど前までは独身だったし、今も家事の半分以上、いや、ほとんどは彼に依存しているので、家のことを心配する必要はないだろう。
ミサトが心配するのは、隣のアスカのことだ。
レイと同居しているとはいえ、最近レイは学校を休み、アスカに代って技術部に出勤する日々が続いている。
留守中は単なる主婦のミサトが何かと相手をしていることが多いが、それが出来なくなってしまうのだ。
もちろん身重の体なので、たいしたことをしているわけではない。
単に話し相手として、一日一緒に過ごすだけだ。
ついでに言えば、生れて来る子供のために、ユイカを育児の練習台にしていることすらある。
アスカは端末を通じて研究の続きをできるし、ユイカの相手をしなくて済む。
しかもそろそろ出産の近いミサトも母乳が出るようになっており、授乳すらミサトが代わりに行うことすらあったのだ。

「なぁ、加持さん。
 あんた、自分の事だけじゃなく、子供のことも考えてやらんといかんぞ。
 風邪をなめちゃぁイカンのじゃ。
 エエか?
 風邪は万病の因、っちゅう言葉もあるじゃろ?
 放っといたら、お腹の子供まで風邪を引かせてしまうぞ。
 あんた、それでもエエんか?」

黙っているミサトの事を入院嫌いとでも勘違いしたのか、老医師は滔々と説教を始めてしまった。
ミサトは老医師の言葉を右から左に流しながら、もしリョウジならどう言うか、などと考えていた。

俺のことは気にするな。
ミサト、今はお前と子供のことが一番大事だよ。
遠慮することは無いぞ、入院しちまえ。

言葉だけではなく、声や表情までが思い浮かぶ。

「わかりました、お願いします」

ミサトはフッと笑みを浮かべると、はっきりと医師に告げた。

「おお、そうかそうか、そうじゃろうて。
 エエこっちゃ、エエこっちゃ。
 なに、心配するでない。
 ワシから産婦人科の方へ連絡を入れておいてやる」
「はい、ありがとうございます」

うんうんと満足げに頷く医師に頭を下げたミサトは、彼の連絡で迎えに来た産婦人科の看護婦に連れられて、病室へと向かった。

「あれ?
 ここって・・・」
「はい、ついこの前まで惣流さんが入っていた部屋です」
「あはっ♪
 縁起がいいじゃない」
「縁起ですか?」

ぶかしげな表情の看護婦に、ミサトはニカッとした笑みを浮かべた。

「だって、アスカの出産はけっこう安産だったでしょ?
 これであたしも安産確実じゃない。
 縁起がいいっていうのはそういう意味よん♪」
「はぁ、そうですか」

いまいちよく判らないといった表情の看護婦の生返事を気にすることもなく、ミサトは用意された寝間着に着替えると、ベッドに潜り込んだ。


 ユイカの泣き声に目を覚ます。
最近はアスカも慣れた物で、その声の調子で何を求めて泣いているのかが解るようになって来た。

「ハイハイハイ、今行ってあげまちゅよぉ」

手慣れた手つきで紙おむつを交換して寝かしつける。
何事も無かったかのように眠るユイカを見ていると、自分も眠くなってしまった。


 ユイカの声で目を覚まし、様子を見に来たレイは、ユイカを寝かした布団の横で眠り込んでしまったアスカに毛布を掛けてやった。

あなたも大変なのね・・・。

碇君、早く帰って来てあげて。
この二人を守れるのは、あなただけなのよ。

初号機のコアで眠り続けるシンジに語りかける。
届かないとわかっていても、そうせずにはいられないほど、アスカの疲労は濃かったのだ。


 その日の内の書類決裁を諦めたマコトは、既にだれも残っていないオフィスを出て、駐車場へと向かった。
ポケットからキーを出して車に乗り込む。
本部棟横の駐車場を出ると、すぐにゲートだ。
看守に手を振って挨拶したマコトは、自分のアパートに向かって車を走らせた。
さすがにこの時間ともなると、特に旧市街と呼ばれるようになった元の第三新東京市中心部はひっそりと静まり返っている。
途中コンビニに寄って夜食と翌日の朝食を買ったマコトは、旧市街の外れ、というか新市街の外れとも言える場所にあるアパートの駐車場に車を入れた。
総務部長という肩書きからは考えられないような質素なアパート。
さすがに周囲への配慮からか、年明けにはそれなりのレベルの官舎へ引っ越すことが決まっていた。
二階にある自分の部屋へと階段を上がったところで、マコトは自分の部屋の前に懐かしい顔を見付けて驚きの声をあげた。

「おい!」
「よっ、ご無沙汰」

部屋の前で立ってた人物が手をあげる。

「電話くれれば迎えに行ったのに」
「いやァ、ちょいと訳ありでさ」
「どうせまた、バンドのメンバーとケンカでもしたんだろ?」

苦笑を浮かべながらドアを開けると、シゲルを中に迎え入れた。

「今もここに住んでてくれて助かったよ」
「今年一杯だけどね」
「やっぱり官舎に移るのか?」
「対外的な、っていうのに逆らい切れなかったよ。
 何もないけど、とりあえず」
「あ、サンキュ」

お茶を出しながらの会話。

「ふぅ・・・」
「で、何をやったんだ?」
「あぁ、ちょいとな・・・」
「もしかして、ユミちゃんか?」
「うぐっ!
 ゴホッゴホッ!」

向かい側に座りながら意地悪げに問うマコト。
シゲルは思わずむせ返ってしまった。

「なんだ、図星か」

やれやれという表情のマコトに、シゲルは苦り切った表情を浮かべた。

「またいつものパターンだよ、いつもの。
 ったく、ユミカのやつ・・・」
「お前も、もうちょっと考えてやれよ」
「でもなぁ・・・」

サブオペレーターの宝生ユミカとシゲルが付き合いはじめたのは、まだNERVが使徒との戦いに明け暮れていた頃のことだった。
ユミカも音楽好きで、趣味が合ったことも幸いし、二人ははたから見てもお似合いのカップルだったのだ。
もともとほぼ同じスケジュールでの勤務だったこともあり、空いている時間が重なったおかげで、オフにどこかに出かけるといった回数も多かった。
使徒戦役が終った頃には、二人はシゲルのアパートで同棲していた。
そしてシゲルがNERVを辞めてバンド活動を始めると言った時も、賛成して第二新東京に引っ越すシゲルについて行った。
ユミカは歌がうまく、バンドでボーカルを務めている。
入籍こそまだだったが、ほぼ夫婦に近い生活といってもよいほどの二人だったが、最近ちょっとしたことでケンカしてしまうことが多かった。

「バンド、うまくいってないのか?」
「それがさぁ・・・。
 実は新曲がね。
 できるにはできたんだけど、ちょっとさ」
「ちょっとどうしたんだよ?」
「これなんだよ」

シゲルから渡されたレポート用紙。
そこに書かれた歌詞を読んだマコトは、大きなため息を漏らした。

「なるほどね・・・。
 これをユミちゃんが?」
「そうなんだ」

返されたレポート用紙を畳んで仕舞ったシゲルは、すっかりぬるくなってしまったお茶に口を付けた。

「それ、誰のことなんだろうな?」
「言ってくれないんだよ、どんなイメージで書いたのか」
「今度のケンカも、それで?」
「あぁ、まぁな・・・」

それきり二人は黙ってしまった。
マコトは鞄を開けると、結局決裁できなかった書類を出して、シゲルに見せた。

「それ、どう思う?」
「おいおい、俺はもう職員じゃないぜ」
「参考意見が聞きたいんだ、昔の誼みでさ」

アスカへの人事発令書類に目を通したシゲルは、じっと考え込んだ。

「う〜ん・・・。
 難しいネタだなァ・・・」
「そうだろ?」
「でもさぁ、これ、うまくすれば何とかなるんじゃない?」
「え?」
「アスカちゃんの子供、司令は認知したんだろ?」
「そりゃもう、生れる前からな」
「だったら簡単だよ。
 アスカちゃんとシンジ君の内縁関係が成立するじゃないか。
 遺族給付が付けられれば、かなりの額が入るぜ」

シゲルの言葉に、マコトの表情がぱっと明るくなる。

「あぁっ、そうかそうか!」
「そう。
 あれって確か、死亡者本人の生前の給料の70%だろ?」
「レートは変ってないよ」
「じゃぁ、十分じゃん。
 それに内縁関係が成立すれば、遺産分与だって贈与税は掛からないはずだぜ」
「ナイス!
 やっぱり持つべきは友だねぇ」
「バカ、これぐらい誰だって思い付くよ」

渡された書類を返す。
マコトはさっそく、シゲルの意見をメモしている。

「なぁ、シゲル。
 戻って来ないか?」
「それはダメだよ。
 今の仕事のほうが楽しいんだから」
「そうか・・・」

あっさりと断られてしまい、表情を曇らせるマコト。
苦笑を浮かべたシゲルは、話題を切り替えた。

「ところで、アスカちゃんの子供って、どっちだったんだ?」
「女の子だよ」
「もう家に?」
「そうだよ。
 行ってやればどうだ?」
「そうだな。
 久しぶりに、お姫様のご尊顔を拝しに行ってみるかな」
「そうと決まれば、今日はもう寝ようよ」
「そうすっか」


 早朝の澄んだ空気の中を走る車。
車内に、リツコとマヤの姿があった。

「先輩、こんな早い時間にどこへ行くんですか?」
「上よ」
「新本部ですか?」

ここしばらく泊まり込みを余儀なくされている二人は、整理し切れない資料が入った段ボールをいくつも積んだ車を走らせていた。
カートレインや直通リニアは戦自やゼーレの攻撃以来、復旧の目処がたたずに放置されており、地上と地下を往復する方法は限られている。
今のところは、建物内の直通エレベーターか、あるいは道路しかないのだ。
また、地下にはまだ弐号機が隠され、MAGIをはじめ最高機密が多数残っており、行くには特別許可を必要とするなど、施設復旧のための工事が滞る原因ともなっている。
何度もチェックゲートをくぐり、かつ煩雑な手続きを必要とするエレベーターよりは、多少時間が掛かっても車のほうが楽だった。

「上へ行ってどうするんです?
 本部のほうが・・・」
「たまには上の空気を吸いたいのよ。
 環境を変えて気分を入替えた方が、新しいアイデアが出るかもしれないでしょ?」
「はぁ・・・」


 病院食は味気ないとよく言われる。
特に風邪での入院になると、体が弱っていることもあり、ご飯はお粥、おかずも刺激の強いものは避け、柔らかくて消化の良いものが中心となる。
その食べ応えのなさが、味気ないという誤解を与えているのだろう。
ただ、ここに約一名、そうではない人物がいた。

「何かもの足りないわね・・・」

とても病人とは思えない勢いでもりもりと朝食を平らげるミサトは、ふと箸を止めて呟いた。

「あ、そっかそっか!」

何かを思い付いたらしいミサトは、ナースコールのボタンを押した。

『はい、どうしました?』
「すみません、食事のことなんですけど」
『はい』
「あの、ビール出してもらえませんか?」
『はっ?』

インターホンに返事をした看護婦は、目が点になった。

『ですから、ビール下さい。
 家でいつも飲んでるんで、ちょっち物足りなくって』

なにが起こったのか飲み込めずにいる看護婦が振り返ると、ナースステーションの看護婦もみんな同じ表情で固まっていた。
額に手をあてて溜め息をついた婦長が、代ってインターホンに出る。

「加持さん?
 あなた、今入院中だっていうの、解ってますか?」
『はい、解ってますよ』

一点の曇りもない屈託のない声に、婦長の眉間の縦じわが増える。

「今行きます!」

インターホンではらちが開かないと思った婦長は、叩き付けるように受話器を切ってステーションを出た。
廊下をズンズンと進む異様な雰囲気に、すれ違う人が思わず道を空ける。
一人大名行列の婦長は、ミサトの病室の前に来るとノックもせずにドアを開けた。

「加持さんっ!」
「あ、持って来てくれたんですか?
 ヤだなぁ、ご飯終っちゃっいましたよぉ」

あくまでも自分の言ったことの正しさを疑いもしないミサトの態度。
婦長の感情の針が、一気にレッドゾーンに飛び込んだ。

「違いますッ!
 あなたはここがどこか解っているんですかっ?」
「え、だって、ここはNERVのメディカルセンターでしょ?」
「それが解っているのなら、入院患者の食事にビールが出るかどうかなんて、考えれば解るでしょ?」
「えぇッ!?
 出ないンですか?」
「ハァッ!?」

驚くミサトに輪をかけて驚く婦長。

「だってほら、あたしが松代でケガしてここに来た時なんて、毎日飲んでたわよ」
「加持さんッ!
 今はもうこの前までとは違いますッ!
 だいたいあなたは(以下略(^^;・・・)」

延々と続く婦長の説教は、昼食のワゴンが運ばれて来るまで続いた。


 子供の世話に炊事洗濯。
一家の主婦というのは、とかくやることがいろいろとある。
それは年齢に関係なく、一児の母となったアスカも同じだった。
昼食を終えて、洗濯物を干して一息つくと、今度はユイカの相手だ。
赤ん坊は、時間に関係なくいつ起きていつ眠るかがはっきりしないため、生れたてのうちは手も目も放せないのだ。
ようやく寝てくれたユイカに微笑みかけると、大きなあくびをする。

ピンポン

呼び鈴の音にリビングへ行く。
インターホンを取ると、モニターに懐かしい顔が映った。
返事もそこそこに玄関へ行ってドアを開ける。

「よぉ、久しぶり」
「いらっしゃい、青葉さん!
 上がって」

リビングに通されたシゲルは、羽織っていた革ジャンを脱ぐと、ソファーに腰掛けた。

「何にもないけど、どうぞ」
「おぅ、サンキュ」

テーブルに並べられたコーヒーカップとクッキーの盛られた小皿。
シゲルはさっそくコーヒーを一口すすると、クッキーに手を伸ばした。

「お、美味いじゃん。
 これ、手作りだよな?」
「レイよ、それ」
「へぇっ!
 レイちゃんスゴイな!」

アスカは愛弟子の教育の成果に満足げな笑みを浮かべながら、シゲルの向かい側に座った。

「どうしちゃったの、突然?」
「ン、あぁ、まぁ、いろいろと、ね。
 ちょっとまぁ、里帰りみたいなもんかな」
「ユミカとケンカしたんでしょ?」
「やれやれ、ここでもお見通しかよ」

アスカの意地悪げな笑みに、シゲルは苦笑するしかなかった。

「マコトにも一発で判っちまった」
「やっぱねぇ。
 あ、これ?」

アスカは床に落ちていた紙を拾うと、開いてみた。

「それが原因さ」
「ふぅん・・・」

書かれた詩を読み進むうち、アスカの表情が真剣なものになり、やがて瞳から涙が溢れた。

「あ、おい、アスカちゃん・・・」
「ゴメン・・・、なんか・・・」

アスカはレポート用紙をシゲルに返すと、慌てて涙をぬぐった。

「でもこれ、いい詩よ、ホント」
「いいんだけどね・・・。
 ちょっと『 EDEN 』のイメージと違うと思わないか?」

『 EDEN 』というのがシゲル達のバンドの名前だった。
ロックをやりたくて結成したという経緯があるため、そのコダワリのおかげで、なかなか他のジャンルをやってみようという気になれないのだった。

「ダメよ、青葉さん。
 アタシね、この前『 EDEN 』のファーストアルバム買ったんだけど・・・。
 ちょっとイマイチよ。
 全部曲調が同じだもん、飽きちゃった」
「ハハハ、厳しいねぇ。
 でもまぁ、ファンの声は大切にしないとな」
「たまには違うタイプの曲もいいんじゃない?
 ロックにこだわらなくても、『 EDEN 』の実力だったら受けると思うけどなぁ」

シゲルは目から鱗の思いだった。
実際考えてみれば、ちょっとハスキーで張りのあるユミカの「クリスタルの歌声」に、シゲルの「泣きのギター」、マサトシの「魂のベース」、ヨシキの「雷鳴のドラム」、ルミコの「流れるキーボード」という全てのメンバーが、気心の知れた元NERV職員だったこともあり、調和の取れた音のハーモニーはすばらしい物があり、それが『 EDEN 』の人気の秘密だった。
しかし最近、一軒、また一軒と呼んでくれるライブハウスが減っているのは、正にアスカの指摘したマンネリが原因だったのだが、そこに変化をもたらそうとしたユミカとロックにこだわり続けたいシゲルの意見がぶつかった。
しかも悪いことに、行き詰まりに焦りを感じて苛ついていたシゲルは、強い調子で文句を付けてしまい、せっかくのアイデアをけんもほろろにされてカチンと来たユミカと、売り言葉に買い言葉でケンカになってしまったのだ。

「ありがとうアスカちゃん!
 おかげでいい曲が書けそうだぜ!!」

残ったコーヒーを一気にあけたシゲルは、ぱっと立ち上がると革ジャンを羽織った。

「え、もう帰っちゃうの?」
「おう、いいイメージが浮かんだんだ。
 忘れないうちにやっつけたいからね」

かっこよくウインクを決めて玄関に向かうシゲルに、アスカもついていく。
エレベーターホールまで見送りに来たアスカに、ゴンドラに乗り込んだシゲルが言った。

「あぁ、そうだ。
 今度の曲、できたらCD送るからさ、買うんじゃないぞ。
 じゃぁな!」

シゲルが指二本を立ててぴっと小さな敬礼をしてみせた時、ちょうどエレベーターのドアが閉まった。


 自分の欄にも判を押したマコトは、新しく作った文書を挟んだバインダーをゲンドウに渡した。
しばらくじっと見詰めていたゲンドウは、無表情のまま決済印を押して顔をあげた。

「誰に相談した?」
「は、あ、あの・・・」
「答えられないような相手か?」
「いえ、あの、その・・・」

ゲンドウはバインダーを返しながら、ちょっと意地悪げな笑みを浮かべた。

「青葉君によく礼を言っておいてくれ。
 私の分もな」
「は、はいっ!」
「それから・・・」

引き出しを開け、一枚の辞令を取り出す。

「これは君の分だ」

受け取ったマコトの表情が輝く。

「本当ですか?」
「あぁ、本当だ。
 これで少しは、下の者に対してもハクが付くだろう。
 これからもしっかり頼むぞ、日向3佐」
「はいっ!
 ありがとうございますッ!!」

敬礼して会長室を出たマコトは、もう一度辞令を確認して、大きなガッツポーズを決めた。


 休憩所のソファーで煙草をくゆらすリツコは、テーブルの上の紙コップを口に運ぶと、中のコーヒーをすすった。

「ふぅ・・・、やっぱりインスタントはダメね。
 上にもコーヒーメーカーがいるわね」
「そうですか?」
「レギュラーとは雲泥の差よ。
 いいこと、マヤ、そもそもコーヒーはね(以下略(^^;・・・)」

マヤはミルクティーを飲みながら、リツコのコーヒーへの思い入れを拝聴していた。
いよいよコーヒーが日本に上陸するというところで、リツコは歴史絵巻きの講釈を中断させられた。

「博士ぇ、ここにいらしたんですかぁ」
「どうしたの、生駒候補生?」
「はいぃ、新しいアイデアを思いついたのでぇ、お見せしたくって持って来ましたぁ」

ゆったりと言うかトロいと言うか、のんびりした口調のミツコからバインダーを受け取ったリツコは、黙ってレポートを読み、無表情に突き返した。

「ねぇ、ミツコ。
 新しいアイデアを思い付くのはいいことよ。
 でも、使えるかどうかはもっとよく考えなくちゃダメ。
 あなたの案は、捻りが無いわ」

コップに残った、かなりぬるくなったコーヒーを飲み干したリツコは、立ち上がるとさっさと廊下を歩いて行ってしまった。

「良かったわね、生駒さん」
「えぇっ?
 なにがですかぁ?」

いぶかしげなミツコにマヤは、笑みを浮かべて話しかけた。

「解らない?
 あなた今、先輩に名前で呼ばれたでしょ?」
「あ、はいぃ・・・」
「先輩が名前で呼ぶっていうことはね、その人のことを認めたっていうことなのよ。
 先輩に認められるなんて、よほどのことよ。
 おめでとう、頑張ってね」
「はぁい!」

差し出されたマヤの手を、喜色満面のミツコも握り返した。


 二週間後のコンフォート17マンション。
夕方に帰宅したレイは、ポストに入っていたちょっと膨らんだ封筒を見付けて取り出すと、リビングでうたた寝していたアスカに手渡した。

「アスカ、アスカ、起きて、カゼひくわよ」
「ン・・・、あ、レイ、お帰り・・・」
「はい、あなた宛よ」

寝ぼけ眼で受け取った封筒の裏を見たアスカは、満足げな笑みを浮かべた。

「誰?」
「青葉さんからよ」

封を切ると、中には手紙とクッション材につつまれたシングルCDが入っていた。
ジャケットに書かれたタイトルは『LOVE FOREVER』だ。





アスカはケースを開けてディスクを取り出すと、オーディオセットのトレーにセットして再生ボタンを押した。
すぐに演奏が始まる。
それまでの『 EDEN 』からは考えられないような調子の曲だが、ユミカの声ともマッチしていて、違和感はない。




いつからだろう
君を見ていた
いつも君だけを見ていた

それはあの日から
君を想ってた
いつも君だけを想っていた

たった一歩が踏み出せずに
夢の中まで悩み続けた
ある日君は言ったね
みんな同じよと

だからもう迷わない
君だけのため 言うよ
僕の心を 奪った天使
君だけに
LOVE FOREVER


いつからだろう
君と歩いてた
いつも君と二人歩いていた

それはあの日から
君がそばにいた
いつも君だけがそばにいた

たった一言
言い出せれば
誰にでもできる永遠の絆
あの日君は言ったね
あなたといたいと

だからもう迷わない
君だけのため 誓うよ
僕だけの天使になった
君だけに
LOVE FOREVER


だからもう迷わない
君だけのため 言うよ
僕の心を奪った天使
君だけに
LOVE FOREVER

僕だけの天使になった
君だけに
LOVE FOREVER





演奏が終わる。
レイはアスカにハンカチを渡してやった。

「まるで碇君とアスカのことみたいね」
「うん、いい曲ね」

また一曲、アスカのお気に入りが増えた。





ドモドモ、J.U.タイラーでっす!(^^)/

 はい、第壱拾七話をお届けします。
今回は前話のちょっと後のお話です。
ちょっと目新しい試みとして、イラスト代わりにテーブルタグを使って雑誌紙面や発令等通知の文書を挿入してみました。
ただし、ネットスケープユーザーの方には、期待どおりの効果は得られないことをお断りしておきます。
テーブルタグのボーダー指定を「0」にしても必ず罫線を表示するという、とてつもなく意地悪な設定になっているブラウザの仕様を恨んでください(爆)
ちなみにこの発令等通知ですが、あるいはご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、本物のお役所(防衛庁)の文書規則を元に書きました。
今テレビで話題の「各省庁の事務方」は、こんな文書を使って仕事してます(笑)
「作戦部は日向で持つ」のマコちんですから、こういう仕事もスイスイスイだと思うんですが、今回はちょっと悩んでいるようですね(笑)


 さてさて、ファンのみなさん、お待たせしましたぁッ!
シゲルっちの登場ですよぉ(^^)/
ちなみに『 EDEN 』のメンバーですが、発令所で一段下にいるサブオペレーター、技術部整備班のメンバーなどなど、イメージしてるキャラはそれぞれいますが、今回はとりあえずシゲルの彼女、宝生(ほうしょう)ユミカについてご紹介しましょう。
彼女は実は、サブオペレーターでも一番登場回数が多い、セミロングでちょっと可愛い系の、アスカ役でおなじみ宮村優子さんがアテ回しで声を担当していたあの子です。
役名はもらってなかったはずなので勝手に付けましたが、一応船(空母)の名前にこだわって、この名字にしました(笑)


 次の新キャラは技術部の生駒ミツコ曹長(候補生)です。
彼女のイメージは、高校時代のリツコに眼鏡、という感じなのですが、どっちかというと、解ってもらえるかどうか判りませんが、レイアースの三人娘の中に眼鏡っ子(名前忘れたよぉ・・・(^^;・・・)がいましたが、あんな感じなんですよ(笑)
彼女の名前も、空母から見つけた名字です。 イメージVCはかないみかか丹下桜ですかねぇ(笑)


 今回は新キャララッシュですね(笑)
メディカルセンターの内科の老医師と病棟の婦長さんをご紹介しましょう。
超反則技ですがこの二人、大滝秀二さんと加賀まりこさんをイメージしてます(爆)
特に婦長さんは、お誂え向きにもとから空母の名前だし(火暴)


 最後に『LOVE FOREVER』について。
この詩は最初、原作本編(「パパゲ」ではなく「エヴァ」の方)の劇場版で流れたパッヘルベルの『 KANON 』をBGMに、思い浮かんだ言葉を並べていました。
『 KANON 』に合わせて歌うこともできますが、多少ラップ調になってしまうと思います(苦笑)
それでちょっと悩みまして、気分転換にCDを掛けていたのですが、たまたま昔大いに填まりまくったとあるゲームのイメージソングが出て来まして、ふと歌詞を追いかけているうちに・・・。

「あ、歌えるやん!」

で、曲に合わせて歌詞をいじりまして、出来上がったのが今回お目にかけた物です。
でも、最初はスローバラードのつもりだったんですが、いつのまにか普通のアイドルソングのようになってしまいました(苦笑)
しかも完全な替え歌ではなく、多少歌い出しのポイントが変ったりもしています。
ちょっと思い付きで、CDのジャケットを描いてみました。
自分では「結構イケたかな」なぁ〜んて思ってるんですが、どんなもんですかね?(^^;

ちなみに、今回の物ではなく、最初に思い付いた詩のほうは、私のサイトで公開している「晴天吉日」というお話で使っていますので、もし興味のある方はご覧ください(苦笑)
※私のサイトは、この「みゃあのお家」のリンクに入っていますので、そちらからどうぞ(^^)/

最後に、今回イメージに使った元曲をご紹介しておきましょう。

『 Sweet on You 』
 作詞:elf 作曲:国枝学 歌:寺尾友美
 ゲーム『同級生2』イメージソング

一応、『LOVE FOREVER』用にアレンジした(つもりの)曲データも作ったんですが、恥ずかしいので添付はやめました(苦笑)
もうちょっと私に音楽センスがあればねぇ・・・(^^;
誰か腕に覚えのある方、リミックスやってみません?(笑)





次回予告

 ユイカもいよいよ6ヵ月。
そろそろ離乳食の時期なのだが、いっこうに乳離れの気配が無い。
意を決したアスカは、ある作戦に出た。


次回、第壱拾八話 「アスカとレイの子育て日記」・その3
EPISODE:03 Splitting from The Breast
〜 ばいばい、おっぱい 〜


もうダメ、ダメ、絶対ダメよっ! 〜゚・_・゚〜
 By Asuka Langlay Soryu.

でわでわ(^^)/~~