●2017年10月16日朝 コンフォート17マンション 1101号室 ユイカが1歳を迎えた翌日、育児休暇の明けたアスカはNERVに出勤した。 心配がないではなかったし、リツコも無理に出勤する必要はないと言っているが、初日くらいは様子を知るためにも出勤したいとの願いが聞き届けられた。 「隣にはミサトさんがいるし、私もいるわ」 「うん、宜しくね、レイ」 「大丈夫、ユイカは私が面倒見るもの」 ユイカをあやすレイ。 その笑顔が、別の笑顔と重なる。 そしてそのことがレイの心に、ある痛みを呼び覚ました。 ●2004年某月某日午前 ゲヒルン本部 第二実験場 人工進化研究所からゲヒルンに名称が変更されてから半年。 彼らにとっては一大転機となるであろうはずの、大きな実験が行われようとしていた。 『LCLリンク、圧力、プラス0,2』 『送信部に、デストルドー反応、無し』 『擬似フィールド、安定しています』 職員達のアナウンスが流れる中、管制室でも緊張感が高まっていた。 チェックリストをめくるナオコの足元に、ぽふっという感触と共に何かがぶつかった。 驚いて見下ろした先に、自分を見上げるシンジがいた。 「えへへ」 シンジはナオコに無邪気に笑いかけると、とととっと窓の方へ走って行った。 「なぜここに子供がいる?」 冬月のやや刺のある声に答えたのは、ぶつかられたナオコだった。 「所長のお子さんですよ?」 「碇、ここは託児所ではない。 今日は大事な日だろうに」 冬月は、椅子に座って机に肘を突いたいつものポーズを取っているゲンドウに皮肉を投げかけた。 『すみません、先生。 私が連れて来たんです』 シンジは物珍しそうに窓の外を見回している。 そこにユイの姿を見付けたシンジは、にぱっと破顔して手を振った。 「あはっ♪ おかあしゃん♪」 無邪気な態度のシンジに苦り切った表情を浮かべながら、冬月は苛立たしげに言葉を続けた。 「ユイ君、今日は君の実験だぞ」 シンジに手を振りながら、ユイはなおも冬月に答えた。 『だからなんです。 この子には、明るい未来を見せておきたいですから』 エントリープラグに乗り込んだユイは、スクリーンがオンになってすぐ、管制室の窓をズームアップした。 ごめんね、シンジ。 でも、しばらくの我慢よ。 私があなたの未来を守ってあげるわ。 ゲンドウさん、先生・・・、シンジを宜しくお願いします。 ユイはもう一度、シンジの無邪気な笑顔を脳裏に焼き付けるようにじっと見つめた。 ●2017年11月9日午後 コンフォート17マンション 1101号室 今日もアスカは出勤している。 アスカの留守中は子守りを仰せ付かっているレイは、ユイカの寝顔をじっと見つめた。 その顔は、シンジにも、アスカにも、そして自分のようにも見える。 「私にできるのは、この子の幸せを願うことだけ・・・。 碇君・・・、早く帰って来てあげて、この子のためにも」 レイは、サイドボードの上に飾られたシンジの写真に向かってそっと呟いた。 ●2009年某月某日午後 ゲヒルン本部 第二実験場 複雑に絡み合ったコードが束ねられ、収束した先には、初号機と、そこから半ば引き出されたエントリープラグがあった。 『全探査針、打ち込み完了』 『電磁波形、ゼロ、マイナス3で固定されています』 管制室に構えた主要メンバーは、緊張した面持ちでモニターを見つめていた。 「自我境界パルス、接続完了」 「了解、サルベージ、スタート」 「了解、第一信号を送ります」 「エヴァ初号機、受信を確認。 拒絶反応、ナシ」 「続けて、第二、第三信号、送信開始」 『対象カテクシス、異常なし』 『デストルドー、認められません』 「了解、対象をステージ2へ移行」 「ユイ・・・」 ゲンドウは思わず呟いていた。 しかし突然、自我境界パルスの状況を表示するモニターに、急激な変化が現われた。 警告音が鳴り響く。 「だめです。 自我境界が、ループ状に固定されています」 「全波形域を全方位で照射」 依然として表示の異常は収まらず、警報も鳴りやまない。 「だめです。 発進信号がクライン空間にとらわれています」 「干渉中止、タンジェントグラフを逆転! 加算数値をゼロに戻せ」 「はい!」 「7エリアにデストルドー反応! パターンセピア」 「コアパルスにも、変化が見られますっ! プラス0,3を確認」 「現状維持を最優先、逆流を防げ」 「はい!」 ゲンドウはぐっと拳を握り締めた。 冬月は、その手が小刻みに震えているのを見逃さなかった。 「これは・・・、なぜなんだ? 帰りたくないのか? ユイは・・・」 モニターに「 REFUSED 」の文字。 「エヴァ、信号を拒絶!」 「LCLの自己フォーメーションが、分解して行きますっ!」 「プラグ内、圧力上昇!」 「全作業中止! 電源を落せ!」 それから1時間後、全ての電源が落とされた管制室。 職員達は失敗の原因を探るために不在で、真っ暗になったそこに、ゲンドウと冬月だけが残っていた。 初号機とプラグの状況をモニターする小さなCRTの明かりだけが灯る前で、動揺を隠せないゲンドウに、冬月はそっと語りかけた。 「やはり、MAGIの完成を待つべきだったな」 「しかしそれでは・・・」 その時、突如モニターの数値に変化が現れた。 「何だ、これは・・・」 「職員を呼び戻そう!」 「待て、冬月! これは・・・、違う・・・」 「モニターを」 「あぁ」 ゲンドウは自らパネルを操作し、回線を繋ぐ。 そこには・・・。 「碇・・・」 「あれは・・・?」 「俺にも、あれがユイ君には見えんな」 モニターに映る人物は確かに、彼らの知る碇ユイに見えなくはない。 しかしその姿は、実験当時と違い異様に白い肌の、蒼銀色に輝く髪を持った、しかも27歳の女性とはとても思えない少女の姿だったのだ。 ●2018年1月10日夕方 NERV本部 第7ケイジ 週に一度、水曜日だけはレイがNERVに出勤し、アスカは家でユイカの面倒を見る日と決められていた。 そして今日は、この年最初のレイの出勤日だった。 仕事を終えて帰る前に、レイはケイジに立ち寄った。 格納された初号機をじっと見つめる。 「あなたは、まだ眠っているの? みんなは、こんなにあなたの帰りを願っているのに、まだ眠り続けるの?」 しかし初号機は、レイの問いかけには何も答えてくれなかった。 「そう・・・、二人とも、まだ眠っているのね・・・」 ●2009年某月某日夕方 ゲヒルン本部内某所 くり返されるサルベージ。 しかしそれは、何度やっても同じ結果を生んだ。 次々と現れる謎の少女。 しかし最初の一人を除けば、全ては抜け殻だった。 魂とも呼ぶべき物が存在しなかったのだ。 「どういうことなんだ、碇・・・。 生物とは言えないぞ、これでは・・・」 「最初の一人以外は、すべて予備、ということだ」 「エヴァと言い、この少女と言い・・・。 まだまだ判らんことの方が多いな」 「問題ない」 ●2017年 2月5日夕方 コンフォート17マンション 1101号室 「うだぁ!」 「なに?」 「うきゃぅ、だぁ!」 「そう、わかったわ」 レイは、用意されたユイカ用の食事を準備すると、食べさせはじめた。 「おいしい?」 「きゃう!」 「そう、よかったわね」 ぐきゅるるるる 「ふや?」 「な、何を言うのよ」 恥ずかしげな表情を浮かべたレイは、ユイカが食事を終わると、今度は自分とアスカの夕食を準備しに掛かった。 ●2009年某月某日深夜 ゲヒルン本部内某所 誰かに呼ばれたような気がして目をさました。 しかしそこは見たこともない場所。 それまで大きな空間をたゆたうような温和な気分でいたのに、急にそこから引き出されて見れば、何故か小さな空間に閉じ込められた自分がいる。 もう一度目を閉じ、じっと記憶を探った。 『私は今は、まだここを離れられないわ』 『そう』 『だから、代りにあなたが行って。 私のメッセージを伝えて。 あの人と、そしてシンジとの絆を繋いで』 『絆?』 『そう、絆よ』 もう一度目を開いた時、そこには二人の男がいた。 「目覚めたか・・・」 「どうする気だ、碇?」 「レイのことか?」 「レイ?」 「あぁ、レイだ」 それがこの世界での自分の名前、そして眼鏡を掛けた男が碇ゲンドウと呼ばれ、もう一人が冬月コウゾウと呼ばれていることも判った。 やがてレイは、この小さな世界に閉じ込められたことの意味を、自分がここに来たことの意味を知ることになった。 ●2010年某月某日朝 ジオフロント人工天蓋部 後に下層第二直掩エリアと呼ばれることになる場所に建設中の兵装ビルの最下部にある、超硬質ガラスをはめ込まれた床の上に立って、ゲンドウは眼下に見える本部ビルを見下ろしていた。 そして彼の右には、同じように地下を眺める幼い少女の姿があった。 「あれがゲヒルン本部だ」 ゲンドウは、まるでそれ以外の表情を知らないようなわざとらしい笑みを浮かべた少女に、眼下に見えるピラミッド状の建物の名前を教えてやった。 「おはようございます、所長」 かけられた声に顔を上げると、ナオコとリツコがそこにいた。 「お子さん連れですか? あ、でも、確か男の子じゃ・・・」 「あぁ、この子ですか? シンジではありません。 知人の子供を預かることになりましてね。 名前は綾波レイです」 「レイちゃん、こんにちわ」 リツコはにこやかに話しかけた。 わざとらしい笑みを浮かべたままのレイは、じっと黙ったままだった。 ナオコはしかし、その顔を見て表情を曇らせた。 この子、誰かに似ているわね・・・。 ユ、ユイさん・・・? ナオコは自分の部屋に入ると、すぐにレイのパーソナルデータを検索しはじめた。 綾波レイに関する全ファイル・・・、抹消済み? 白紙か・・・、どういうこと? ナオコはレイに関する全てをゲンドウから聞かされるまで、いろいろとかぎまわることになった。 というよりは、嗅ぎ回っているうちにゲンドウにたどりつき、問い詰めようとした矢先に、まるで口封じをするかのように教育係を命じられ、共犯者に引き込まれたと言ったほうがいいだろう。 そしてそれは、ある事件をきっかけとして娘であるリツコに受け継がれることになった。 ●2018年2月28日午前 NERV本部 第二発令所 月末毎に行われるMAGIの月例点検の日。 朝から関係職員が準備したメンテナンスキットやチェックリストが散乱し、普段は各部署で仕事をしているメンバーが集まって来ていることもあり、発令所はまるで使徒戦役当時のような活況を呈している。 「マヤ、上げてちょうだい」 「はい」 リツコの声に頷いたマヤがスイッチを入れると、油圧シリンダーが作動してMAGIの筐体がせり上がって来た。 「さあ、母さん・・・、定期検診の時間よ」 職員が一斉に担当の筐体に散り、ケーブルの接続を始めている。 カスパーだけは自分の手で、というリツコの固い意志を尊重し、この時だけは副司令のリツコが技術部長のマヤの下で働くと言う形になっている。 しかしそれが名目上のことで、実際に動き出してしまえばそれは、かつての技術部長赤木リツコ博士と主任オペレーター伊吹マヤ2尉の関係に逆戻りしてしまうことは、誰もが承知していた。 リツコは月例点検のついでにいつも、あらゆるデータバンクに検索をかけ、サルベージ技術に関するファイルが痕跡でもいいから残っていないかを探すのが恒例になっていた。 「母さん、お願い、思い出して・・・。 何でもいいの、サルベージのことを思い出して」 非常点検口から内部に潜り込んだリツコは、カスパーのCPUカバーを撫でながら呟いた。 「そうじゃないと、司令に耄碌ババァなんて言われて、用済みにされちゃうわよ」 めずらしく軽口を叩くリツコに、補助のために潜り込んでいたレイは表情を固くして、囁くように言った。 「婆さんは用済み・・・」 「レイ、何か言った?」 「いえ」 「そう・・・」 ●2010年某月某日夜 NERV本部 第一発令所 その日、ついにMAGIが完成した。 メインオペレーター席から感慨深げに見下ろすリツコに、同じように下を覗くナオコが言った。 「MAGIメルキオール、MAGIバルタザール、MAGIカスパー。 MAGIは3人の私。 科学者としての私、母親としての私、女としての私。 その3つがせめぎ合っているのよ」 「3つの母さんか・・・。 あとは電源を入れるだけね」 そのリツコの言葉に、ナオコは満足げに頷いた。 「今日、先に帰るわね。 ミサトが帰って来るの」 「そういえば、彼女もゲヒルンに入ってたのよね。 確か、ドイツだったかしら?」 「ええ、第三支部勤務よ」 「ふふふっ、遠距離恋愛っていうやつね」 「別れたそうよ」 「あら・・・。 けっこうお似合いに見えたのに・・・」 「男と女は解らないわよ。 ロジックじゃないし」 「そういう醒めたところ、変わらないわね、あなたも・・・。 そういうことを言っていると、嫁のもらい手がなくなるわよ。 自分の幸せまで逃してしまうわ」 「幸せの定義なんて、もっと解らないわ。 ・・・さてと、飲みに行くのも久しぶりね」 「お疲れ様」 言いながら出口へ向かうリツコに、ナオコは声をかけた。 「お疲れ様、母さん」 リツコの出て行ったドアから目線を外し、もう一度感慨深げに3台の大型コンピューターを見渡したナオコの耳に、声が聞こえる。 「あかぎせんせい・・・」 振り向くと、リツコが出て行ったのと反対側から、レイが顔をのぞかせていた。 「あら、レイちゃん。 どうしたの?」 「みちにまよったの」 「あらあら。 じゃぁ、私と一緒に出ようか?」 「いい」 「だって、一人じゃ帰れないでしょ?」 「おおきなおせわよ、ばあさん」 耳慣れない単語が出て来たことに、ナオコの表情が固まる。 「なんですって?」 「ひとりでかえれるから、ほっといてよ、ばあさん」 「婆さんって・・・。 人のことを婆さんなんて呼ぶものじゃないわよぉ」 「だってせんせい、ばあさんなんでしょ?」 「所長に言って叱ってもらうわよ」 「しょちょうがそういってるのよ。 ばあさんはうるさいとか、ばあさんしつこいとか」 怒りに表情をこわばらせるナオコ。 「ばあさんはようずみなの」 更に続けられたレイの一言が、彼女の感情を爆発させた。 ナオコが気付いた時、その両手はレイの首に回され、渾身の力で締め上げていた。 既に事切れたレイを未だ締め上げていることに気付いたナオコは、自分のしたことの重大さに恐怖し、その場にへたり込んだ。 「あかぎせんせい・・・」 声のした方向を振り向くと、レイが顔をのぞかせていた。 「ひぃっ!」 ナオコは複数のレイがいることを教えられていなかった。 地下の一角に秘密裏に作られたダミープラントの水槽に、多数のレイが存在することを知らなかったのだ。 「ば、化け物・・・」 「あかぎせんせい・・・、みちにまよったの」 「ひ、ひ、ひぃっ! こ、来ないでッ!!」 「せんせい」 「嫌、嫌、嫌ぁっ!」 恐怖に震えて後じさる。 なおも近づくレイ。 あのわざとらしい笑みを浮かべたレイは、ナオコの目の前まで歩いて来ると、じっと見上げた。 「あかぎせんせい・・・、みちにまよったの」 レイの顔にユイの顔が重なる。 「婆さんは用済みなのよ。 よ・う・ず・み」 まるで冷笑されたかのような声が頭の中に渦巻いたナオコは、恐怖に震え、なおも下がろうとした。 壁に背中があたったナオコは、そのままバランスを崩して転落した。 ●2018年4月15日午後 第三新東京市 雲雀ヶ丘商店街 日曜日の午後とあって、商店街には人通りが多い。 揃って買い物に出かけるアスカとミサトに引き立てられるように連れてこられたレイは、二人が買い物をしている間、店の外でユイカとミユキが乗った乳母車を2台とも預かる羽目になった。 「これが狙いね・・・」 ごくわずかに苦笑を浮かべるレイの目線に、何やら楽しげにじゃれあうユイカとミユキの姿が目に入る。 「良かったわね、あなたたちは一人じゃないもの」 その呟きは、どこか寂しげな響きを持っていた。 ●2014年某月某日午後 第壱中学校1年A組 ある日の朝礼に担任が連れて来た転校生は、発展する街に合わせて次々と増える人口に比例して次から次でとやって来る他の転校生とは、一線を画すものだった。 自己紹介も無く、示された机に付いた転校生は、それが当然かのように端末を準備し、教科書を並べた。 そうして、ノートを取るでもなく日長一日、ただ席に座って窓の外を眺め、終礼が終われば下校する毎日。 たまに欠席、早退、遅刻といったことがあっても全てが問題とされず、授業中にあてられることもない。 ただそこにいるだけで、とりあえず週番の仕事をしているおかげでクラスの一員らしいと認められてはいたが、それ以外の何者でもない存在。 寡黙で無表情で儚げな雰囲気から、隠れたファンがいることも確かだったが、しかし誰がどこで聞き込んだかNERVがらみらしいとの噂のせいで、誰も声を掛けようとはしなかった。 そんな彼女に友達ができるはずもなく、レイは常に独人(ひとり)だった。 ●2019年5月7日午前 NERV本部 第二実験場 その日は朝から忙しかった。 それまで、あちこちの予算を切り詰めて秘密裏に蓄積した裏金を還流したり、名目上の請求とは違うものに予算を流用する大和方式などを利用して、細々と続けられて来た工事の一つがようやく完成したのだ。 それは起動試験を行うために使用される第二実験場の施設だ。 4年前まで稼働していた状態と同じ機能を取り戻したかどうか、それを確認するため、弐号機を使って実際に起動試験が行われるのだった。 それまではケイジに固定したままの弐号機を使っての、ごく簡単なシンクロテストやハーモニクステストは行われていたが、実験場が稼働すれば、そんな無様な状況はなくなる。 シンジのサルベージのためには、どうしても必要な施設だったのだ。 シミュレーションプラグを置いた第一実験場、試験用素体をおいたプリブノーボックスなどは、サルベージには関係ないとして復旧作業自体が放棄され、使える部品は全て他に回され、今はただの巨大空間となっている。 大深度地下施設も、もしやの願いを込めて、唯一ダミープラントのみが細々と維持されているに過ぎない。 「アスカ、準備はいい?」 『OKよ、いつでもやって』 「了解。 これより、弐号機の起動実験を行います。 第一次接続、開始」 「稼働電圧、臨海点を突破」 「了解、フォーマットを第二フェーズへ移行」 「パイロット、弐号機と接続開始」 「回線開きます」 「パルス、及びハーモニクス、正常」 「シンクロ、問題なし」 「オールナーブ・リンク終了、中枢神経素子に異常なし」 「再計算、誤差修正なし」 「チェック、2590まで、リストクリア」 「絶対境界線まで、あと2,5、1,7、1,2、1,0、0,8、0,6、0,5、0,4、0,3、0,2、0,1突破。 ボーダー・ライン、クリア 弐号機、起動しました」 『了解、引き続き連動試験に入ります』 こうしてその日一杯行われた試験であらゆるパターンが試され、第二実験場の完全復旧が確認された。 ●2015年某月某日午後 NERV本部 第二実験場 「ただいまより、零号機の起動試験を行います」 「起動フェーズ、開始」 「主電源接続」 「主電源接続完了 起動用システム、作動開始」 「稼働電圧、臨海点まであと0,5、0,2、突破」 「起動システム、第二段階へ移行」 「パイロット、接合に入ります」 「システムフェイズ2、スタート」 「シナプス挿入、接合開始」 「パルス送信」 「全回路正常」 「初期コンタクト、異常なし」 「左右上腕筋まで、動力伝達」 「オールナーブリンク、問題なし」 「チェック、2550まで、リストクリア」 「第三次接続準備」 「2580まで、クリア」 「絶対境界線まで、あと0,9、0,7、0,5、0,4、0,3・・・」 「パルス逆流!」 「第三ステージに異常発生」 「中枢神経素子にも、拒絶が始まっています!」 「コンタクト停止、6番までの回路を開いて!」 「だめです、信号が届きません!」 「零号機、制御不能!」 「実験中止、電源を落とせ!」 「はいっ!」 「零号機、予備電源に切り替わりました」 「完全停止まで、あと35秒!」 「危険です、下がってください!」 「オートエジェクション、作動しました!」 「いかん!」 「特殊ベークライト注入、急いでッ!」 「レイッ!」 「零号機、活動停止まであと10。 9、8、7、6、5、4、3、2、1、0!」 ゲンドウは慌てて管制室を飛び出すと、特殊ベークライトの飛沫が飛び交う実験場のフロアを駆け抜け、エントリープラグに取り付いた。 あちこちをぶつけ、こすった摩擦熱と、ロケットの排気熱によって熱せられている緊急ハッチハンドルに手を掛けるが、悲鳴を上げてのけぞる。 しかしゲンドウは、かまわずにハンドルに手を掛けると、渾身の力でそれを回した。 「レイ! 大丈夫か!? レイ!!」 「・・・・はい・・・・」 「そうか・・・」 ●2019年5月9日午前 NERV本部 第二実験場 「レイ、聞こえる?」 『問題ないわ』 「了解、ただいまより、弐号機の機体互換試験を行います」 「起動フェーズ、開始」 「主電源接続」 「主電源接続完了 起動用システム、作動開始」 「稼働電圧、臨海点まであと0,5、0,2、突破」 「起動システム、第二段階へ移行」 「パイロット、接合に入ります」 「システムフェイズ2、スタート」 「シナプス挿入、接合開始」 「パルス送信」 「全回路正常」 「初期コンタクト、異常なし」 「左右上腕筋まで、動力伝達」 「オールナーブリンク、問題なし」 「チェック、2550まで、リストクリア」 「第三次接続準備」 「2580まで、クリア」 「絶対境界線まで、あと0,9、0,7、0,5、0,4、0,3・・・」 「パルス逆流!」 「弐号機、起動不能!」 「実験中止、電源を落として!」 「はいっ!」 「弐号機、予備電源に切り替わりました」 「完全停止まで、あと10秒! 9、8、7、6、5、4、3、2、1、0!」 「レイ! 大丈夫!? レイ!!」 『・・・・はい』 「そう・・・。 ダメね・・・、もうあなたじゃエヴァを起動することはできないのね」 『はい・・・・』 ●2015年某月某日午後 NERV本部 第一発令所 「綾波レイ14歳、マルドゥクの報告書によって選ばれた、最初の被験者。 ファースト・チルドレン。 エヴァンゲリオン試作零号機、専属操縦者。 過去の経歴は白紙、全て抹消済み」 「で、先の実験の事故原因はどうだったの?」 「未だ不明。 ただし、推定では操縦者の精神的不安定が、第一原因と考えられるわ」 「精神的不安定? あのレイが?」 「ええ、彼女にしては信じられないくらい乱れたのよ」 「何があったの?」 「わからないわ・・・。 でも、まさか・・・」 「なんか、心当たりがあるの?」 「いえ、そんなはずがないわ」 ●2019年5月10日午前 NERV本部 旧作戦部会議室 「それでミツコ、結局、何が原因だったの?」 「まだわかんないのぉ。 でもぉ、レイがぁ、チルドレンの力をねぇ、なくしちゃったのかなぁ、ってぇ・・・」 唯一最後の戦いでリリスと同化してゼロエックスとして出撃したことを除けば、レイは零号機が失われて以来一度もエヴァに乗ったことはなかった。 カヲルの例があるため、ものは試しと実に4年ぶりの起動試験に望んだのだが、結局は失敗に終わった。 その報告会の席でアスカは、レポートをまとめたミツコの説明に、複雑な表情を浮かべた。 「つまりこれからは、エヴァの起動はアタシしかできないってことね・・・」 「う〜ん、そぉ〜ゆぅ〜ことよねぇ・・・」 「アタシは大丈夫よね?」 「それがぁ、わかんないのぉ・・・。 じつはねぇ、アスカぁ」 「なにか、心当たりがあるの?」 「うん、そうなのぉ。 あなたのシンクロ率とぉ、ハーモニクスがぁ、徐々にではあるけどぉ、落ちてきているのぉ。 あなたはぁ、実感がないかもしれないけどぉ・・・。 あの最後の戦いの時のぉ、96,5%がピークなのぉ。 あとはぁ、ほぼ1年に6〜7%程度の落ち込みがあるのぉ」 「それって・・・」 「そうねぇ、あなたもいずれぇ、弐号機を起動できなくなっちゃう可能性があるんだぁ」 「じゃぁ、今のままだと・・・、あと10年程か・・・」 「う〜ん・・・、それっくらいかなぁ・・・」 ●2015年某月某日午前 第三新東京市郊外 その日、父に呼ばれてここまで来たシンジは、突然の非常警報で臨時停車した列車から放り出されると、何が何だか判らないうちに逃げ遅れ、人影の消えた路上に一人残されてしまった。 ふと見ると、一人の少女がこちらを見ている。 何がどうなっているのかを聞こうと思って駆け寄ろうとした瞬間、その少女の姿は消えていた。 ●同日同時刻 NERV本部 メディカルセンター 『私のメッセージを伝えて。 あの人と、そしてシンジとの絆を繋いで』 『絆?』 『ええ、絆よ』 「そう・・・、あれがサード・チルドレン・・・。 私の・・・、絆」 ベッドの上で目を覚ましたレイは、静かに呟いた。 ●2019年5月10日夜 コンフォート17マンション 1101号室 浴室 ユイカを寝かし付けたアスカは、浴室に向かった。 先にレイが入っているため、中から水音が聞こえる。 「背中流してあげるわ」 「え?」 「たまにはいいじゃん」 レイの返事を待たずに入り込んで来たアスカは、掛り湯をすると浴槽に身を沈めた。 「ふぅん・・・、レイ、あんたって結構スタイルいいのね」 「そう?」 「うん、出るとこ出てるし、引っ込むとこ引っ込んでるし、バランスが取れてて・・・。 アタシなんか見てよ、これ!」 アスカはそう言うと、自分の胸を持ち上げてみせた。 「せっかく大っきくなったと思ったのに、また縮んじゃった」 「ユイカに取られたのね」 くすっとおかしそうに笑ったレイは、体に付いた泡を流しはじめた。 「かもね。 さぁ、背中流してあげるわ」 浴槽から上がったアスカは、スポンジにボディーソープをつけると、レイの背中をこすりはじめた。 「あんた、この頃肌の色、良くなって来たわね」 「そう?」 「うん、魚と鶏だけでも好き嫌いをなくしたからじゃない? バランスのいい食事は、健康の基礎よ。 次はいよいよ肉ね」 「・・・そう・・・」 「何よ、アンタまだそんなこと言う気? せっかくバストもこんなに立派になって来たんだから、ちゃんと頑張らなきゃ」 そう言ってアスカは、後ろから抱きかかえるように腕を回し、レイの胸を鷲づかみにした。 「だめ」 「たまにはいいじゃん、減るもんじゃなし」 「ミサトさんみたい」 その一言にアスカは、呆然として固まってしまった。 「流すわ。 どいてくれる?」 ●2015年某月某日 第三新東京市郊外 再開発予定区画 公営住宅D−3号棟402号室 更新されたセキュリティー・カードを渡すためにレイの家を訪れたシンジは、鍵がかかっていないものの呼んでも返事のないことで、心配になって中に上がり込んだ。 しかしそこにはだれもおらず、ただただカーテンが閉め切られた薄暗い空間だけが存在していた。 小さな衣装箪笥の上に変形してひび割れた眼鏡を見つけたシンジは、好奇心からそれを手に取り、掛けてみた。 ちょうどその時に聞こえた物音に振り返ると、そこにはバスルームから出て来たレイがいた。 肩からタオルを掛けただけの姿に驚き後じさるシンジに、彼女にしては珍しく怒りの表情を浮かべたレイがつかつかと歩み寄る。 レイがなおも下がるシンジのかけた眼鏡に手を伸ばした途端、シンジは背後のたんすに背をぶつけて倒れ込んだ。 まるでレイを押し倒したようになったシンジは、呆然としている。 「どいてくれる?」 そう言われてシンジは始めて、自分の左手がレイの胸の上にあることに気付き、大慌てで飛び起きた。 着替えおわったレイは、そそくさと出て行ってしまった。 シンジは、肝心のセキュリティーカードを渡していないことに気付いて、慌てて追いかけた。 しかし、裸を見てしまい、まして手を触れてしまったことが恥ずかしかったシンジは、何をどう言えばいいのかに戸惑った。 レイのそっけない態度が、さっきのことを怒っていると思ったのだ。 シンジが何かを話しかける決心を付けたのは、レイが自分のカードを通してもゲートの装甲シャッターが開かないことに戸惑っている時だった。 「これ、新しいカード・・・」 「そう」 ひったくるようにカードを取ったレイは、そそくさとゲートの中に消えて行ってしまった。 シンジがレイに追い付いたのは、それからしばらくして、地下へと向かうエスカレーターの上だった。 「さっきは、ごめん」 「なにが?」 「あの・・・、今日、再起動の実験だよね? 今度は、うまくいくといいね」 「・・・・・」 「ねぇ、綾波は恐くないの? またあの零号機に乗るのが」 「どうして?」 「前の実験で大ケガしたって聞いたから・・・、平気なのかなって思って」 「・・・・・。 あなた、碇指令の子供でしょ?」 「う、うん・・・」 「信じられないの? お父さんの仕事が」 「当たり前だよッ! あんな父親なんて!」 ざっと振り返りじっとシンジの目を見つめたレイは、怒りの表情もあらわに、その頬にビンタを飛ばした。 足早に女子更衣室にかけ込んだレイはベンチに座ると、まだシンジの頬の感触が残る右の手の平をじっと見つめた。 きゅっと握り、もう一度開いてみる。 「これは何? なぜ痛いの? なぜ叩いたの?」 「そう・・・、私にこの体をくれた人の想い・・・。 お母さんの想い。 だから痛いのね・・・、心が」 レイは静かに微笑んだ。 母の笑みで・・・。 ●2019年5月10日夜 コンフォート17マンション 1101号室 レイの部屋 アスカがレイの一言の呪縛から解けた時、浴室にはレイの姿は既になかった。 自分の体を洗って部屋に戻ったアスカは、レイの部屋に入って行った。 背を向けるようにして寝ているレイに、アスカはそっと話しかけた。 「さっきはごめんね」 「なにが?」 「うん、その・・・」 「・・・・・」 「お願いだから許して」 「どうして?」 「もう、ミサトみたいなんて言わないでよぉ」 「いい」 「ほんと?」 レイは笑みを浮かべて振り返った。 「ええ、いいわ」 「ありがとう、レイ!」 ぱっと破顔したアスカは、その首に噛り付くように抱きついた。 「もう一回押し倒す気?」 「それもいいかもぉ!」 「調子に乗らないで。 騒ぐとユイカが起きるわ」 「へへっ、ごめんごめん。 お休み、レイ」 「おやすみなさい、良い夢を」 レイはアスカの頬に軽く唇を触れると、さっさと毛布にくるまってしまった。 アスカが再起動したのは、それから30分後のことだった。 ●2015年某月某日午後 NERV本部 第二実験場 「これより、零号機の再起動実験を行う。 第一次接続、開始」 「稼働電圧、臨海点を突破」 「了解、フォーマットを第二フェーズへ移行」 「パイロット、零号機と接続開始」 「回線開きます」 「パルス、及びハーモニクス、正常」 「シンクロ、問題なし」 「オールナーブ・リンク終了、中枢神経素子に異常なし」 「再計算、誤差修正なし」 「チェック、2590まで、リストクリア」 「絶対境界線まで、あと2,5、1,7、1,2、1,0、0,8、0,6、0,5、0,4、0,3、0,2、0,1突破。 ボーダー・ライン、クリア 零号機、起動しました」 『了解、引き続き、連動試験に入ります』 直後、けたたましく鳴った内線電話を取った冬月は、話の内容に表情を固くした。 使徒が出たとの報せに実験を中止したゲンドウは、初号機の出撃を命じた。 しかし初号機が地上に出ると同じに攻撃を仕掛けて来た使徒のために、初号機は大きな被害を受け、シンジはショックで気を失ってしまった。 初号機はすぐさま回収され、シンジはメディカルセンターの救急処置室に搬入された。 そして処置カプセルで治療を受けるシンジの横に、椅子に座ってじっとカプセルを見つめるレイがいた。 その手には、ゲンドウの眼鏡が握られていた。 ●2019年12月14日夜 コンフォート17マンション 1101号室 ユイカが風邪をひいた。 四季が少しづつ戻りはじめているためか、今年の冬は例年に比べて2〜3度も気温が低かったのだ。 慌てたアスカはアリサに電話を入れると、アドバイスを受けた。 指示をメモしたアスカは、それをレイに渡しながらまくしたてた。 「レイ、アンタはこれやって。 あたしは加持さん呼んで来るから! 車出してもらって、メディカルセンターに運ぶわ!!」 「私は、私はユイカを守ればいのね」 「そうよ、お願いっ!」 「わかったわ」 レイはユイカの頭をそっと撫でてやると、渡されたメモの内容を実行するべく立ち上がった。 「みゅ〜・・・」 ユイカが苦しげに呻く。 「大丈夫、あなたは私が守るもの」 もう一度ユイカの頭を撫でたレイは、急いで準備に取り掛かった。 ●2015年某月某日深夜 二子山仮設基地 臨時作戦指揮所 「本作戦における、各担当を伝達します。 シンジ君」 「はい」 「初号機で砲手を担当」 「はい」 「レイは零号機で防御を担当して」 「はい」 「これは、シンジ君と初号機の方がシンクロ率の方が高いからよ。 今回は、より精度の高いオペレーションが必要なの。 陽電子は地球の自転、磁場、重力の影響を受け、直進しません。 その誤差を修正するのを忘れないでね。 正確に、コア一点のみを貫くのよ」 「そんなこと・・・、まだ練習してないですよ」 「大丈夫。 あなたはテキスト通りにやって、最後に真ん中のマークが揃ったらスイッチを押せばいいの。 あとは機械がやってくれるわ。 それから、一度発射すると・・・。 冷却や再充填、ヒューズの交換などで、次に撃てるまで時間がかかるから」 「じゃぁ、もし外れて敵が打ち返して来たら・・・」 「今は余計なことを考えないで。 一撃で、撃破することだけを考えなさい」 「私は、私は初号機を守ればいいのね?」 「そうよ」 「時間よ。 二人とも、着替えて」 「「はい」」 ミサトの指示に仮設更衣室に入った2人は、黙って着替えをしていた。 我慢し切れなくなったシンジが口を開く。 「これで、死ぬかもしれないね」 「どうしてそういう事言うの?」 「・・・・・」 「あなたは死なないわ」 「?」 「私が守るもの」 仮設拘束台に上がった2人は、起動の時間までじっと月を眺めて待っていた。 「綾波は・・・、どうしてこれに乗るの?」 「・・・・・・・・・絆だから」 「絆?」 「そう、絆」 「父さんと?」 「みんなとの」 「強いんだな、綾波は」 「私には、他に何もないもの」 「他にないって・・・?」 その質問には答えずに、レイはさっと立ち上がった。 「時間よ、行きましょ。 じゃぁ、さよなら」 ●2019年12月14日深夜 NERVメディカルセンター 小児科病棟 急患扱いで診察をしてもらったユイカは、そのまま入院することになってしまった。 手続きをすませたアスカは、廊下のベンチで待っていたレイの隣に腰を下ろすと、大きなため息をついた。 「ありがとう、レイ」 「いいのよ」 静まり返った廊下に、2人の息遣いだけが流れる。 「ねえ、レイ・・・」 「なに?」 「前から聞こうと思ってたんだけど・・・。 レイって、どうしてシンジのお姉さんになったの?」 「・・・絆だから」 「絆?」 「そう、絆」 「シンジと?」 「みんなとの」 「そうか・・・、そうよね」 「私には、他に何もなかったもの」 「他にないって・・・?」 「私にはエヴァと碇君しかなかったわ」 「そうよね・・・。 でも、今は・・・」 「ええ、今は違うわ。 アスカがいる。 ユイカがいる。 みんながいる・・・」 「そうよね、アタシ達家族だもんね」 「家族? 判らないわ」 「だって、アンタがシンジのお姉さんなら、アタシにとってもそうじゃない。 ユイカにとっては伯母さんなのよ。 立派に家族じゃない」 「そうね」 レイは嬉しそうに微笑んだ。 「アタシ、今日はここに泊るわ。 アンタ、どうする?」 「帰るわ。 じゃぁ、おやすみ」 そう言ってレイは立ち上がった。 「うん、お休み。 加持さんにもお礼を言っといてね」 「了解」 レイはそれだけを言うと、ロビーで待つ加持の所へ歩いて行った。 ドモドモ、J.U.タイラーでっす!(^^)/ はい、第壱拾九話をお届けします。 今回の話は、1話にまとめることができませんでした。 ですので、もうちょっとお付き合い願いますm(__)m 次回予告 今さらながら、あふれ出す感情。 自分ではなくアスカを選んだシンジへの想い。 そして心の内にあるユイとしての想い。 その重さの中で揺れ動くレイの心。 次回、第弐拾話 「アスカとレイの子育て日記」・その5 EPISODE:05 Rei II 〜 想いの重さ・後編 〜 み〜んな、だいすきっ! (^^) By Yuika Soryu でわでわ(^^)/~~ |