ぱぱげりおんIFのif・異聞

ぱぱげりおんIFのifのIF
第壱話

「みゃあのお家」300万アクセス突破記念


平成14年4月21日校了

平成15年1月13日改訂版



 2039年6月3日深夜の住宅街。
仕事帰りの酔っぱらいサラリーマンの姿すら途絶えた時間に、いまだに明りの消えない家が一軒。
その門柱の表札には、「碇」の文字があった。


 リビングルームのソファーに座ったシンジは、ゆっくりとアルバムのページをめくっていた。
デジタルメディア全盛の今、わざわざ印画紙に焼き付けてアルバムにするなどというレトロな方法で記録したことには、大きな意味があった。
そこには、彼と妻の過ごしてきた日々が、そして娘達の成長の記録が、家族で暮らしてきた想い出の全てが綴られているのだ。

「お父さん」
「ユイカ、まだ起きてたのか・・・。
 明日は早いんだろう?
 もう寝なさい」

表紙を閉じたシンジは、振り返って笑みを浮かべた。

「でも・・・」
「挨拶はさっき済ませただろ?
 母さんはもう寝ちゃったぞ」
「うん・・・、何となく寝られなくって・・・。
 お父さんは何してたの?」

ショートボブの黒髪にきゅっと指を絡ませたユイカは、苦笑を浮かべるとゆっくりとリビングに入って来た。

「僕かい?
 ほら」
「あっ、アルバムだぁ。
 わたしも見たぁい」
「じゃぁ、ここへおいで」
「うん♪」

ユイカはシンジの隣に座ると、表紙に手をかけた。


 出産記念、ゲンドウとリツコの結婚、七五三、幼稚園、小学校、中学校、高校、ミライの就職、ノゾミの短大時代、ユイカの専門学校時代、綴られた写真の一枚一枚に思い出話を咲かせる。
三つ子の末娘のユイカは「究極のファザコン娘」と呼ばれるほどの甘えん坊で、今年で40の大台に乗ったシンジの外見があまり変らないせいもあってか、ぴたりと寄り添う姿は、親子というよりは、ちょっと年の離れた恋人同士のようだ。

「うるさいよぉ、寝られないじゃない」
「あ、ミライ姉、ごめん、起しちゃった?」
「起しちゃったじゃないわよ、大事な日の前にまで甘えちゃって。
 だいいちお父さんもユイカも、何時だと思ってるの?」

目を擦ってぶつぶつと文句を言ったミライは、少し栗色がかったロングの髪に指を突っ込んでぽりぽりと頭をかくと、むすっとした表情のまま空いていたソファーにドスンと腰を下ろした。

「楽しそうねぇ、何してるのぉ」
「あははっ、ノゾミ姉まで起きてきちゃった」
「ううん、あたし寝てないよぉ。
 面白いテレビやってたからぁ、まだ起きてたのぉ」
「あいかわらずマイペースなやつね」

ひょこっと顔を出したノゾミはいたずらを見つけたような笑みを浮かべると、ミライの突っ込みを澄まし顔でかわし、栗色のセミロングの髪を揺らせながらソファーに座った。

「寝てたのはミライだけよ」
「母さんも起きてたの?
 なによぉ、アタシだけのけ者ぉ?」

最後にリビングに現れたレイは、手にしたトレーに人数分の紅茶と、小皿に盛った手作りクッキーを乗せて持って来ていた。

「あはっ、いただきっ♪」

腕を伸ばしたミライは、レイがトレーから降ろす前の小皿からクッキーを摘まむと口に放り込んだ。

「姉さん、行儀悪いよぉ」
「いいのっ。
 あんただってTシャツ一枚の下はショーツとブラだけのくせに。
 そんなので家の中うろうろしてるアンタに言われたくないわよぉだ」

くすっと笑ったノゾミを横目で睨んだミライは、タンクトップと短パンという、たいして変らない格好をしている自分を遥かに高い所にある棚に上げ、長い足をくいっと組み替えた。

「ミライ姉、なんかズレてるよ、それ」
「はいはい、パジャマの優等生は黙ってなさいっての」
「それじゃぁ、私も優等生なのね」

パジャマにカーディガンを羽織ったレイは、おかしそうに笑った。

「その姿で「優等生」なんて呼ばれると、なにか懐かしいわね」
「ははっ、アスカか」

両親が浮かべた笑みに、ミライは怪訝そうな表情を浮かべた。

「ん?
 誰それ?」
「僕とレイの古い友達だよ、アスカっていうのは」
「あなたと似た感じのね」
「ふぅん、そうなんだぁ」
「あ、もしかして、それって惣流アスカ・ラングレーの、あのアスカ?」
「あぁ、そっかぁ、たしかぁ、お父さん達とぉ、パイロット仲間だったのよねぇ」
「わたしも、歴史の教科書で習った覚えある」
「アタシ達にその頃のことを話してくれたのって、初めてじゃない?」
「そうそう、わたし達、お父さんとお母さんの馴れ初めも聞いたこと無いような気がする」
「そうだったね。
 でも、いい機会だから、話してあげるよ。
 教科書に載って無い、本当のことを」

シンジはそう言って、今では使徒戦役と呼ばれて、歴史の教科書に載っているだけになってしまった自分達の経験談を話し始めた。



 2015年のある日の第三新東京市郊外。
その日、父に呼ばれてここまで来たシンジは、突然の非常警報で臨時停車した列車から放り出されると、何が何だか判らないうちに逃げ遅れ、人影の消えた路上に一人残されてしまった。
ふと見ると、一人の少女がこちらを見ている。
何がどうなっているのかを聞こうと思って駆け寄ろうとした瞬間、その少女の姿は消えていた。


 迎えに来た、葛城ミサトと名乗る女性に案内され、不幸(?)にも道に迷うというアクシデントの後、ようやく第7ケイジまで案内されたシンジの見上げる視線の先に、実に3年ぶりの父の姿があった。
じっと自分を見る父にも、見上げるシンジにも、久しぶりの邂逅という感慨も感激もなかった。

「どうして僕を呼んだの?」
「お前の考えているとおりだ」
「じゃあ、僕がこれに乗って、さっきの黒いのと戦えって言うの?」
「そうだ」
「嫌だよ、そんなの・・・。
 何で今更・・・。
 父さんは僕が邪魔だったんじゃないのか!?」
「誰がそんなことを言った?
 お前の思い込みじゃないのか?
 まあ、どう解釈しようが自由だが・・・。
 ・・・・私はお前が必要になったから呼んだまでだ」
「なぜ僕を」
「他の人間には無理だからな」
「無理だよそんなの。
 見たことも聞いたことも無いのにできるわけないよ!!」
「説明を受ければいい」
「そんな。
 できっこないよ。
 いきなりこんなの乗れるわけないよ!!」
「乗るのなら早くしろ!
 でなければ帰れ!!」

ゲンドウは表情一つ変えずに、発令所を呼び出した。

「冬月、レイを起してくれ」
『使えるかね?』
「死んでいるわけでは無い」
『解った』
「レイ」
『はい』
「予備が使えなくなった、もう一度だ」
『はい・・・』

ゲンドウはもう一度下を見下ろすと、リツコに命じた。

「赤木博士、初号機をレイのパーソナルパターンで書き換えろ。
 あの子を乗せる」
「はい」

ゲンドウの指示に、リツコは作業員達に声を掛けた。

「初号機のシステムをレイに書き直して!
 再起動!」
『了解、現作業を中断、再起動に入ります』

しばらくしてストレッチャーが運ばれてくる。
包帯だらけの姿で苦しそうに肩で息をしているのは、不思議な蒼銀色の髪をした、シンジと同じ年齢くらいの少女だった。

「うくっ・・・。
 ひ・・・」

その少女、レイは痛々しげな悲鳴を漏らしつつも、荒い息のまま体を起した。
そこへ巨大な振動が襲う。
天井から、外れたパイプや桁が落下する。
その振動でストレッチャーが倒れ、レイは転げ落ちてしまった。
シンジが慌てて駆け寄る。

「はぁ・・・く・・・。
 う・・・、くぅ・・・」

レイの包帯を通して染み出た血が、シンジの手にも付着する。

「やります。
 僕が乗りますッ!」

シンジは思わずゲンドウに叫んでいた。



 その日の体育の授業は、男子は校庭でバスケットボール、女子はプールで水泳だった。
自分達の番を待つシンジたちは、プールの方を眺めて女子のスタイルのことを話すのに夢中だった。

「お、センセ。
 何熱心な目で見てんねん?」
「あ、いや、別に」
「綾波か、ひょっとして?」
「あ、ち、違うよっ!」
「またまたぁ、あ・や・し・い・なっ」
「あ、綾波の胸。
 綾波の太股。
 綾波の」
「「ふくらはぎぃっ!」」
「だから、そんなんじゃないって」
「だったら何見てたんだよ?」
「ワシの目ぇはごまかされへん」
「う、うん・・・。
 どうしてあいつ、いつも一人なんだろうって思ってさ」
「あぁ?
 ・・・・・あぁ・・・。
 そない言うたら、1年の時に転校してきてから、ずっと友達いてないなぁ」
「何となく、近寄り難いんだよ」
「ホンマは、性格悪いんとちゃうかぁ?」
「エヴァのパイロット同士なんだろ、シンジの方がよく知ってるんじゃないの?」
「そらそうや」
「ほとんど口、きかないから・・・」


 古い建物の解体工事と新築工事の槌音が響き渡る第三新東京市郊外の公営住宅団地。
その一角、来年には取り壊される予定の建物、D−3号棟4階にある402号室の前に、シンジの姿があった。
伸びた指先が、インターホンのボタンを押す。
しかしそれは、何の反応も示さなかった。

留守かな?
でも、帰るワケにいかないしな・・・。

彼には、レイに更新されたIDカードを渡すという重要な用事がある。
困り果てたシンジは、そっとドアノブを回してみた。
鍵はかかっておらず、ノブはあっさりと回った。

いるのかな?

「ごめんください・・・」

そっとドアの隙間から覗き込んだシンジは、そのまま玄関に入り込んだ。
ポストからは郵便物が溢れ、床にもそれが散らばっている。

「ごめんください、碇だけど。
 綾波、入るよ?」

返事が無い。
シンジはしかたなく上がり込むことにした。
そのまま上がろうとして、意を決して靴を脱ぐ。
床は、どこからどこまでが玄関で、どこからが床なのかわからないほど汚れていたからだ。
そっとつま先立ちで奥に入って行くシンジの目に、薄ら汚れて使われた形跡のないキッチン、閉ざされたままのカーテン、血の付いた枕、脱ぎ散らかされたままの制服、血の付いた包帯の捨てられた段ボール箱、何かの薬の袋と水の入ったビーカーが乗せられた小さな冷蔵庫、小さな衣装箪笥が映った。
そして衣装箪笥の上に、レンズのひび割れた眼鏡。

「綾波のかな?」

シンジはゆっくり近付くと、それを手に取って、思わずかけてみる。
その時背後でカーテンの開く音がした。
慌てて振り返った先に、肩からバスタオルを掛け、髪の毛を拭くレイがいた。

「いや、あ、あの・・・」

レイはキツい表情を浮かべると、シンジに近付いた。

「僕は、別に」

レイの手が伸び、シンジの顔から眼鏡を取りあげる。
慌てたシンジの肩からさげた鞄が、チェストの半開きの引き出しに引っかかった。

「あ、わ、うわ、たたたっ!」

バランスを崩したシンジは、そのままレイの上に倒れ込んだ。
引き出しが外れ、中にあった下着が散らばる。
シンジは、ちょうどレイを押し倒したような状態になってしまった。

「どいてくれる?」

レイに言われて初めて、シンジは自分の左手がどこにあたっているかに気がついた。

「はっ!
 あ、あ、あのっ!」

飛びのいたシンジを無視して、レイはそそくさと服を着はじめた。
着替え終わったレイは、さっさと出て行ってしまう。
シンジは、肝心のセキュリティーカードを渡していないことに気付いて、慌てて追いかけた。
しかし、裸を見てしまい、まして手を触れてしまったことが恥ずかしかったシンジは、何をどう言えばいいのかに戸惑った。
レイのそっけない態度が、さっきのことを怒っていると思ったのだ。
シンジが何かを話しかける決心を付けたのは、レイが自分のカードを通してもゲートの装甲シャッターが開かないことに戸惑っている時だった。

「これ、新しいカード・・・」
「そう」

ひったくるようにカードを取ったレイは、すぐにゲートの中に消えて行ってしまった。
シンジがレイに追い付いたのは、それからしばらくして、地下へと向かうエスカレーターの上だった。

「さっきは、ごめん」
「なにが?」
「あの・・・、今日、再起動の実験だよね?
 今度は、うまくいくといいね」
「・・・・・」
「ねぇ、綾波は恐くないの?
 またあの零号機に乗るのが」
「どうして?」
「前の実験で大ケガしたって聞いたから・・・、平気なのかなって思って」
「・・・・・。
 あなた、碇指令の子供でしょ?」
「う、うん・・・」
「信じられないの?
 お父さんの仕事が」
「当たり前だよッ!
 あんな父親なんて!」

ざっと振り返りじっとシンジの目を見つめたレイは、怒りの表情もあらわに、その頬にビンタを飛ばした。


 第二実験場で開始された起動試験。
以前の事故のこともあり、管制室は緊張に包まれていた。

「これより、零号機の再起動実験を行う。
 第一次接続、開始」
「稼働電圧、臨海点を突破」
「了解、フォーマットを第二フェーズへ移行」
「パイロット、零号機と接続開始」
「回線開きます」
「パルス、及びハーモニクス、正常」
「シンクロ、問題なし」
「オールナーブ・リンク終了、中枢神経素子に異常なし」
「再計算、誤差修正なし」
「チェック、2590まで、リストクリア」
「絶対境界線まで、あと2,5、1,7、1,2、1,0、0,8、0,6、0,5、0,4、0,3、0,2、0,1、突破。
 ボーダー・ライン、クリア
 零号機、起動しました」
『了解、引き続き、連動試験に入ります』

直後、けたたましく鳴った内線電話を取った冬月は、話の内容に表情を固くした。
使徒が出たとの報せに実験を中止したゲンドウは、初号機の出撃を命じた。
しかし初号機が地上に出ると同じに攻撃を仕掛けて来た使徒のために、シンジは気を失ってしまった。
初号機はすぐさま回収され、シンジはメディカルセンターの救急処置室に搬入された。
そして処置カプセルで治療を受けるシンジの横に、椅子に座ってじっとカプセルを見つめるレイがいた。
その手には、ゲンドウの眼鏡が握られていた。


 調査の結果、使徒は強力な加粒子ビーム砲を備え、近寄る外敵は全て攻撃することが判明した。
しかも目に見えるほど強力なATフィールドを張るため、おいそれとは近付けなかった。
そこでミサトは、戦略自衛隊の開発していたポジトロンライフルを徴発、日本中の電力を全て供給することで使徒を攻撃するというプランを立てた。
ヤシマ作戦と名付けられたそれは、狙撃地点を双子山に定めた。
持込まれたバンの中にしつらえられた仮設ロッカー。
着替えるシンジは、カーテン越しにレイに声をかけた。

「これで、死ぬかもしれないね・・・」
「どうしてそういうこと言うの?」

レイの問いかけに、シンジは答えられなかった。

「あなたは死なないわ。
 私が守るもの」


 2人は、エヴァの背中までせり上がったタラップの上で、乗る時間を待っていた。
満月が青白い光を投げかけている。

「綾波は、なぜこれに乗るの?」

少しの沈黙。

「絆だから」
「絆?」
「そう、絆」
「父さんとの?」
「みんなとの」
「強いんだな、綾波は・・・」
「私には、他に何も無いもの・・・」
「他に何も無いって?」

レイはスッと立ち上がった。

「時間よ、行きましょ。
 じゃぁ、さよなら」


『8、7、6、5』
『目標に高エネルギー反応!』
『なんですって!』
『2、1』
『発射!』

初号機が引き金を引いた。
ポジトロンライフルから光が走る。
使徒からも光が走る。
それはちょうど真ん中あたりで干渉し合い、ヘビがのたくるようにからまると、お互いにぜんぜん関係ない山の中にそれて着弾した。

『ミスった!?
 第二射、急いでッ!』
『ヒューズ交換、再充填開始!』
『銃身、冷却開始』
『目標に、再び高エネルギー反応!』
『まずい!!』

再び使徒から放たれた光が、初号機を襲う。
シンジはそこに、信じられない物を見た。
自分の前に、零号機が盾を構えて割って入ったのだ。

「綾波ぃッ!」

『盾がもたないッ!』
『まだなのっ!?』
『あと10秒!』

「早く・・・、早くッ!」

なかなか揃わないレティクルに、シンジは苛立っていた。
それが揃った瞬間、シンジは指示を待たずにトリガーを引いた。
ライフルの光条が使徒を貫く。
加粒子ビームを受け、楯が溶解してもなお、機体そのものを使ってでも初号機を守り抜いた結果、零号機は大きな損害を受けて倒れ込んだ。
シンジは慌てて零号機の背部装甲板をはがすと、エントリープラグをつかみ出した。
高熱に爛れる初号機の手から、その痛みが伝わる。
しかしシンジはためらうことなく自身もプラグを排出すると、まだ熱気が渦巻く外へ飛び出し、零号機のプラグに駆け寄った。
加粒子ビームの熱はプラグにまで伝わっていたらしく、表面が溶け、歪んでいる。
かなり高温に熱せられている緊急ハッチハンドルに手を掛けるが、悲鳴を上げてのけぞる。
しかしシンジは、かまわずにハンドルに手を掛けると、渾身の力でそれを回した。

「綾波!
 大丈夫か!?
 綾波!!」

レイは、ゆっくりと目を開けた。
シンジは目にいっぱいに涙をためていた。

「自分には、他に何もないなんて・・・、そんなこと言うなよ。
 別れ際にさよならなんて・・・、悲しいこと言うなよ・・・。
 うくっ・・・、ぐす・・・、くっ・・・」
「何泣いてるの?」
「うく・・・ぐす・・・」
「ごめんなさい、こんな時、どういう顔すればいいか判らないの」
「笑えばいいと思うよ」

顔を上げたシンジの表情が、ある表情と重なった。
レイは、その笑顔が同じものであることを理解した。
次の瞬間シンジが見たレイの表情は、まるで花が咲いたような、澄み切った笑顔だった。



 突如起きた停電に、本来独立系統を持っているはずのNERV本部を含めて、第三新東京市全てが麻痺していた。
あり得ないはずの事故に混乱をきわめる発令所。
しかしそれは、学校帰りに本部に寄る予定だったシンジたちも同じだった。

「ダメだ、繋がらないよ・・・」
「こっちもダメね」
「緊急回線も繋がらないなんて、おかしいわ」

とにかく急いで本部に向かおうとしたシンジ達だったが、リーダーシップを発揮しようとして全てが空回りするアスカに引っ張りまわされ、道を間違えそうになる度に内部配置をよく知るレイのおかげでそれを回避するというパターンで、ようやく正しい道に戻るというパターンを幾度となくくり返していた。
3人の前に、また二股の別れ道が現れた。

「まただ・・・」
「こっちよ」

自分がリーダーという想いがあるアスカは、次々と道を選んでいくレイに嫌味を言った。

「アンタ、碇司令のお気に入りなんですってねぇ。
 やっぱ可愛がられてる優等生は違うわねぇ」
「こんな時に、やめようよ・・・、」

アスカはシンジの控え目な諌めにも耳を貸さずに続けた。

「いつも澄まし顔でいられるしさぁ」

何を言っても聞いている風のないレイに、アスカは眉を釣り上げて前に回り込んだ。

「アンタッ!
 ちょっと贔屓にされているからって、なめないでよッ!!」
「なめてなんかいないわ。
 それに、贔屓にもされてない。
 自分で判るもの」

やがて一行の前に、ベークライトで固まってしまった装甲シャッターが現れた。

「これは・・・、手じゃ開けられないよ」
「しかたないわ。
 ダクトを破壊して、そこから進みましょう」

言うが早いかレイは、手近にあった工事資材を掴むと、通気ダクトを叩きはじめた。

「ファーストって恐い子ね・・・。
 目的のためには手段を選ばないタイプ。
 いわゆる独善者ね」

アスカはシンジに囁くように言った。



 遥か衛星軌道から自分自身を落下させることで目標を破壊しようとする使徒を、エヴァで受け止め撃退するというとんでもない作戦を成功させた3人。
ロンギヌスの槍発掘のため南極へ出張中だったゲンドウは、結果報告を聞き、シンジに声を掛けた。

『そこに初号機パイロットはいるか?』
「はい」
『話は聞いた、良くやったな、シンジ』

シンジは表情をほころばせた。
それは、シンジがNERVへ来て、ゲンドウ相手に初めて見せた笑顔だった。



 初めて行われた機体相互互換試験で、レイは初号機に乗り込んだ。
次々と浮かび上がるイメージ。
レイは、最後に自分の顔が浮かび上がって来たことで、驚いたように目を見開いて、海中から浮かび上がるように現実世界に戻って来た。

『どう、レイ?
 初めて乗った初号機は?』

通信機からリツコの声が流れる。
レイは初号機のコックピットにいた。

「碇君の匂いがする・・・」

レイはぼそっと呟くように答えた。



 放課後の清掃時間。
箒がけをしていたシンジは、その手を止めて、レイが雑巾を絞っている様子をじっと見ていた。
下校したチルドレン3人は、そのまま真直ぐNERV本部に向かった。
その日は定期シンクロテストがあったのだ。
やがてシンクロテストを終えて帰宅する時、シンジは偶然、レイと同じエレベーターに乗り合わせた。
翌日に、3年ぶりの父との墓参りを控えていたシンジは、レイにそのことを話した。

「明日、父さんに会わなきゃならないんだ。
 何話せばいいと思う?」
「どうしてそんなこと私にきくの?」
「いつか、綾波が父さんと楽しそうに話してるの見たから・・・。
 ねえ、父さんってどんな人?」
「判らない」
「そう・・・」
「それがききたくて、昼間から私の方見てたの?」
「うん・・・。
 あ、掃除の時さぁ、今日も、雑巾絞ってたろ。
 あれってなんか、お母さんって感じがした」
「お母さん?」
「うん・・・。
 なんか、お母さんの絞り方、って感じがした。
 案外、綾波って主婦とかが似合ってたりして」
「・・・・・・何を言うのよ」



 昼休みのチャイムが鳴ると同時にトウジは教室を出て行った。
少し遅れて、パン争奪戦のために購買に駆け出して行ったケンスケが袋を抱えて帰って来ても、トウジはいなかった。

「あれ、トウジは?」
「いないんだよ」
「飯も食わずに?
 あいつが?
 有り得ない話しだぞ」
「うん・・・。
 変だよね、この頃」

その頃、話題の中心、トウジは屋上にいた。
手すりに凭れてぼうっと町並みを眺めるトウジに、後ろから声がかかった。

「鈴原君」
「うん?
 なんや、綾波か・・・。
 シンジやったらここにはおらんで。
 知っとんのやろ、ワシのこと。
 惣流も知っとるようやし・・・」
「ええ」
「知らんのはシンジだけかぁ・・・。
 人の心配とは珍しなぁ」
「そう?  よく判らない」
「お前が心配しとんのはシンジや」
「そう・・・、そうかもしれない」
「そうや」



 第壱拾五使徒の攻撃を受けたアスカは、レイがロンギヌスの槍を投擲して使徒を倒した結果助かったことがショックでならなかった。
そこに加えてあこがれの存在だった加持リョウジが行方不明となり、そのことが原因でシンクロ率もがた落ちになっていた。
アスカはヒカリの家に泊まり込み、学校へも行かず、日長一日ゲームをして過ごすという生活を送っていた。

「ヒカリ」
「何?」
「寝よっか」
「うん・・・」

真っ暗な部屋でアスカは、ぽつぽつと話しはじめた。

「ごめんね・・・、アタシ、じゃまかな?」
「そんなことないわよ」

アスカを心配するヒカリにも、何をどう言えばいいのか解らなかった。
そのせいか、言い方が平板なものになってしまう。

「アタシ、勝てなかったんだ・・・、エヴァで。
 もうアタシの価値なんてなくなったの、どこにも・・・。
 嫌い、大っ嫌い・・・、みんな嫌いなの。
 でも、一番嫌いなのはアタシ。
 なんかもう、どうでも良くなっちゃったわ」
「わたしはアスカがどうしたっていいと思うし、何も言わないわ。
 アスカは良くやったと思うもん」
「う、くっ、ぐすっ、くっ・・・」

説教するでもなく、同情するでもない言葉をかけるヒカリの心使いに、アスカは嗚咽をあげることしかできなかった。


 その日現れた使徒は、それまでの物とは一風変っていた。
細い二重螺旋が円形になった外見をしており、コアの確認ができなかったのだ。
その日はオフで自宅にいたミサトは、報せを受けるとすぐさま車に飛び乗った。
走りながら自動車電話から指示を飛ばす。

「零号機を32番から地上に射出、弐号機はバックアップに回して」
『初号機は現状維持ですか?』
「そう、初号機は碇司令の指示に」
『それでは戦力が』
「あたしの権限じゃ、凍結解除はできないわよ、じゃぁ」


 発令所はミサトが留守のため、ゲンドウが直接指揮を取っていた。
ミサトの電話での指示に基づいて、次々と迎撃措置が取られる。

『零号機射出、迎撃位置へ』
「弐号機は現在位置で待機を」
「いや、発進だ」

マコトは驚いて、被せるように指示を出したゲンドウを振り返った。

「司令っ!?」
「かまわん、囮くらいには役に立つ」
「は、はい・・・」
『エヴァ弐号機、発進準備!』
『弐号機、第8ゲートへ。
 出現位置決定次第、発進せよ』


 発令所の音声は全てモニターされており、ゲンドウ達の会話も余さず耳に入っていた。
自分がどういう扱いを受けているかを理解したアスカの、ごくわずかに残っていたプライドに火が点いた。

「ふん、アタシが出たって足手まといになるだけだと思ってるんでしょ。
 みてなさい、アンタ達の鼻、あかしてやるわ!」
『目標、強羅絶対防衛線を通過』
「ヒカリ・・・、見てて。
 今日はアンタのために頑張るから」

何日も迷惑を掛けたにもかかわらず、いやな顔一つせずに受け入れてくれた親友の温情に報いたかったのだ。


 依然変らぬ使徒の様子に、やや緩慢な時間が流れる。
どう対処すればいいのか、誰にも具体策が浮かばないのだ。

『目標は高圧線上空で停滞。
 定点回転を続けています』
『目標のATフィールドは依然健在』

そこへ、ようやくミサトが駆け込んできた。

「状況は?」
「依然、膠着状態が続いています」
「パターン青からオレンジへ、周期的に変化しています」
「どういうこと?」
「MAGIは、解答不能を提示しています」
「答えを導くには、データ不足ですね」
「ただ、あの形が固定形態でないことは確かだわ」
「慎重に行かなきゃまずいわね・・・。
 2機一斉で対処しましょう。
 弐号機も35番から射出して」
「了解」
『弐号機、発進せよ』


 射出された弐号機は、リフトオフするとすぐさまATフィールドを展開した。
ついこの前まで起動すらままならないようなひどい状態だったが嘘のような好調ぶりに、発令所にも笑顔が戻る。
しかしアスカは、指示を待たずに狙撃ライフルを構えた弐号機は、勝手に射撃を開始してしまった。

『アスカっ!』
「やらなきゃならないのよ、アタシは勝たなきゃならないのよ!
 足手まといなんて言わせない。
 アタシが一番なのよっ!」
『かまわん、やらせろ』
『しかし司令!』
『零号機はバックアップに回せ』
『りょ、了解・・・』
「みてなさいっ!」

そのとたん、使徒が太いひも状に変化すると、真直ぐ弐号機へ突進してきた。

『アスカ、避けてっ!』
『だめです、間に合いませんっ!』
「このぉっ!」

弐号機は使徒の胴を掴むと、そこめがけてライフルを発射した。
しかしそれは何一つ影響を与えない。
それどころか使徒は、弐号機の張ったATフィールドを突破して、その腹部に接触すると融合しはじめてしまった。


 その様子は第二発令所でもモニターされていた。
スクリーンに映る異様な光景に、オペレーター達の声も上擦っている。

「目標、弐号機と物理的接触!」
「弐号機のATフィールドは?」
「展開中、しかし使徒に侵食されています」
「使徒が積極的に一時的接触を試みているの!?
 弐号機とっ!?」
「危険です、弐号機の生体部品が侵されています」
「レイ、アスカの救出と援護!」
『了解』

その様子を眺めるゲンドウに、冬月が話しかける。

「碇、このままでは・・・。
 今レイを失うのは得策ではないぞ」
「あぁ、解っている。
 葛城3佐、現時点を持って初号機の凍結を解除、弐号機の救出にあたらせろ」
「しかしそれは零号機が」
「零号機は初号機のバックアップだ」
「は、はい・・・。
 聞いての通りよ、初号機の凍結を解除、直ちに発進」

なにがしたいの?
そんなにレイが大事なの?

納得し切れないミサトは、指示を出しながらも心の中では全く別のことを考えていた。

「目標、更に侵食!」
「危険ね、既に5%以上が生体融合されているわ」

マヤの横からモニターを見つめるリツコは、険しい表情で呟いた


 リニアカタパルトで射出された初号機がリフトオフする。
目の前にある兵装ビルが開き、パレットライフルを乗せたアームが展張してきた。

『シンジ君、あと300接近したら、ATフィールド最大でパレットガンを目標後部に撃ち込んで。
 エヴァ初号機、リフトオフ』


 アスカは、使徒に融合されるというこれまで感じたことのなかった感覚に、生まれてはじめてとも思える恐怖感を味わっていた。
その心の中で、もう一人の自分と対峙していた。
オレンジ色の水の上に立つ自分と、太もものあたりまでが水に漬かった自分。

「アンタ誰?」

彼女の姿を借りてイメージを投影した使徒は、俯いたままアスカに話しかけた。

『アタシと一つにならない?』
「何バカな事言ってるのよ、アンタ誰?
 答えなさい!」
『バカはアンタよ。
 よっく自分の姿を見てみなさい』

そのとたん、体じゅうに走るミミズ腫れ。
それは自分に使徒が侵入して融合した証拠。

『アタシの心をアンタにも分けてあげるわ。
 この気持ち、アンタにも味あわせてあげる。
 痛いでしょう?
 ほぉら、心が痛いでしょ?』

言いながら使徒が顔を上げた。
その蒼い瞳が真っ直ぐ自分を射貫く。

「な、何これ・・・痛い・・・。
 これって・・・、寂しい?
 アンタ、寂しいのね」
『寂しい?
 なにそれ?』
「一人がヤなんでしょ?
 アンタ、一人でいるのが嫌なんでしょう?
 だからアタシとくっつきたいんでしょっ!?
 それを寂しいっていうのよっ!」

使徒は意地の悪い笑みを浮かべた。

『それはアンタの心よ。
 悲しみに張り裂けそうになってる、アンタ自身の心じゃないの』
「嘘よ、嘘よ、嘘よ、嘘よ、嘘よぉっ!」
『自分に正直になんなさいな。
 アンタはシンジが好きなんでしょ?
 だからファーストにヤキモチ焼いてるんでしょ?』
「違う、違う、違う、違う違う違う違うっ!」

アスカは何かが自分の膝に落ちる感触にはたと気が付いた。

「何?
 アタシ、泣いてるの?
 もう泣かないって決めたのに、また泣いてるの?」

初号機が接近してきた。
それに反応するかのように、使徒の先端が初号機を目指す。
その先端が、アスカの形に変化した。

「シンジッ!」

初号機が躱そうとした手を、使徒が捕らえた。

『ふふふふふふふ』
『ふふふふ、シンジ・・・』

初号機の手に脹れ上がったミミズ腫れから、ポコポコと盛り上がった瘤の一つ一つがアスカの形を作る。

「ひ、ひぃっ!」

シンジは恐怖のあまり、その手にプログナイフを突き立てた。

『ギャァァァァァァァッ!』

使徒の形作ったアスカの悲鳴が響く。

『ふふふ、痛いじゃない、バカシンジ』
『痛いよ、ふふふふふ』
『ふふふふふふふ』

無気味な笑みを浮かべた使徒の先端が初号機の手から離れると、もう一度接触しようとした。

「これがアタシの本心?
 アタシはシンジと一緒になりたいの?
 嫌よ。
 絶対に嫌ッ!  アンタとだけは、死んでも嫌ッ!!」
『ATフィールド反転、一気に機体が侵食されます!』
『ひゃぁっ!』

悲鳴を残して、使徒が全て弐号機に吸い込まれてしまった。

『アスカ、機体を捨てて逃げてッ!』
「嫌よ、アタシは負けるわけにいかないのよっ!」


「葛城3佐、弐号機を破棄しろ」
「はっ?」
「使徒を、弐号機ごと爆破しろ」
「しかしそれではパイロットがっ!?」
「かまわん、我々の使命は使徒を倒すことだ。
 パイロット1名の犠牲はやむをえん」
「そ、そんな・・・」


「そんなにアタシを捨てたいのなら、アタシが自分でやってやるわよっ!」
『アスカっ?』
「アタシが使徒と心中すれば解決するんでしょ!
 死んでやるわよっ!」

アスカはシートにあるカバーを跳ね上げると、中にあるハンドルを操作した。
弐号機の腹部から膨れあがった異様な物体が、もう一度弐号機に吸い込まれる。

『フィールド限界、これ以上はコアが維持できません!』
『バカなマネはやめなさい、アスカっ!
 弐号機のプラグを強制射出!』
「そっちのコントロールは切らせてもらったわよ!
 勝手なマネしないでっ!
 アタシの死に様、見てらっしゃい!!」
『だめです、信号届きません!』
『アスカっ!!』
『臨界突破、コアが潰れます!』

次の瞬間、弐号機の気体が真っ白な閃光を放ち、人の形を取った。
巨大な白いアスカが寂しげに微笑む。

『さよなら、バカシンジ・・・』

その瞳から、キラッと光る何かがこぼれた。
次の瞬間真っ白な閃光に包まれ、巨大な爆発と共に全てが消え去った。


 押し寄せた瓦礫に半ばまで埋まった初号機。
スクリーン一面をオレンジの光が支配している。

「あ、あすか・・・」

シンジは呆然と爆心を見つめていた。


 真っ赤に焼ける大地の様子を、スクリーンが映し出している。
その照り返しが、発令所全体をオレンジ色に染め上げていた。

「も、目標・・・、消失・・・」
「現時点を持って作戦を終了します・・・。
 第一種警戒態勢へ移行」

惚けたように報告するシゲルの声に指示を出すミサトの声は、怒りに震えていた。

「りょ、了解。
 状況イエローに、速やかに移行」
「弐号機は?」
「エントリープラグの射出は、確認されていません」
「生存者の救出、急いで」
「もしいたらの話ね」

横から聞こえたリツコの呟きに、ミサトはものすごい形相で睨み付けた。
しかしリツコも、まるでそうされるのが判っているかのように顔を背け、俯いて震えているだけだった。


 やがて開始された救助活動で、真っ黒に焼けこげたエントリープラグが発見された。
それは爆発のショックで極端に変形し、ハッチ部分には大きな穴や亀裂が確認された。

「赤木博士・・・」
「ミサトやシンジ君には見せられないわ・・・。
 すぐにプラグを回収して、関係部品の処分を」
「了解です・・・」

遺体は、それ程にひどい状態だった。


 帰宅したシンジは、着替えてベッドの上に座ると、SDATを取り出してみたものの、そのまま耳にあてることもなくふ抜けたようにぼうっと天井を見上げた。
そのままどのくらいそうしていただろうか、仕事を終えたミサトが帰宅してきた。

「シンジ君、開けるわよ?」

ミサトは部屋に入って来ると、シンジの隣に腰掛けた。

「ミサトさん・・・、出ないんだ、涙・・・。
 悲しいと思ってるのに、出ないんだよ、涙が」
「シンジ君、今のあたしにできるのは、このくらいしかないわ」

言いながら握ろうとした手を、シンジは払いのけた。

「やめてよっ!
 やめてよ、ミサトさん」

シンジはミサトを拒絶するかのように背を向けて丸くなった。

「ゴメンナサイッ」

ミサトはさっと立ち上がると、そのままの勢いでシンジの部屋を出て行ってしまった。


 部屋に帰ったレイは、箪笥の前まで来るとゲンドウの眼鏡を取り上げ、ぎゅっと握った。
その手にぽつぽつと水滴が落ちる。

「これが涙・・・。
 私、泣いてるの?
 あの人が消えたから?
 それとも・・・」


 司令室のデスクにいつものポーズで座るゲンドウ。
しかしその目線は小さな写真立てにじっと注がれ、手は微妙に震えているように見えた。

「シンジ君か・・・。
 彼は俺の絶望の象徴であり、お前の未来の希望でもある。
 やはり、気にするなと言う方が無理か・・・」





ドモドモ、J.U.タイラーでっす!(^^)/

 「何だこりゃ、どこが「IFのifのIF」なんだ?」と思ったでしょ?(^^;
しかもまだ、まるっきり始まったばっかり。
まぁ、この後がどうなるのかは、続きをお楽しみに(^^)/


 「アスカとレイの子育て日記」へ行く前に、そのプロットを立てている時に2つの話が浮かびました。
一つはプロットをそのままユイカの日記として書き直した「記念日 〜ユイカの日記〜」で、これは友人のゼンガーさんが管理人をしている「遊説堂」に投稿しました。
私はプロットを立てる時はいつも、予告編のような感じで書き、そこから思い付く話しを少しづつふくらませ、台詞を並べ、キャラに芝居を付けて、行間を文章で埋めて行くようにしています。
そしてたまたま、プロットをそのまま一人称形式の小説にしてみたら、もしかして日記みたいで面白いかな、と思ったのをきっかけとして、書いてみるとなかなかどうして、面白いものに仕上がりました。
で、こちらはタイミング良くURLを教えてもらったゼンガーさんのサイトへの訪問記念として投稿させて頂きました。

 そしてもう一つの方ですが、それがこの「ぱぱげりおんIFのifのIF」です。
「IFのif」の原作「パパゲリオン」からの設定変更点は、アスカの年齢のみです。
しかしこちらでは、そのアスカというキャラそのものについて大きな変更を加えました。
「パパゲリオン」という作品世界の「歴史のIF」に挑戦した、という程おおげさなものじゃないですが、かなり無茶苦茶やってると言える自覚はあります(苦笑)
そんなに長くなるとは思いませんので、どうか一つ、よろしくお付き合いのほどを・・・m(__)m





改訂版後書き・・・、と言うほどでもないか(^^;

 最終話を書き上げて、何度も読み返してみて、やっぱりどうしても書き直したいと思った部分ができましたので、結局全話に筆を入れました。
ほとんどは話の切り方の変更だけですが、極々一部には文章にも手を入れています。





次回予告

アスカの死。
眼前に突きつけられた事実に苦悩するシンジ。
しかし周囲の大人達は、無情にも更なる真実をシンジに突きつける。

次回、「ぱぱげりおんIFのifのIF」・第弐話

合言葉は、トリプル・イフ!



 いやぁ、小説って、本当にいいもんですね。
それではまた、このページでお逢いしましょう。

でわでわ(^^)/~~