ぱぱげりおんIFのif・異聞

ぱぱげりおんIFのifのIF
第弐話


平成14年6月18日校了

平成15年1月13日改訂版



 自分の机に向かったまま眠り込んでしまっていたミサトの頭の横で電話が鳴っている。
うっすら目を開けたミサトは、時計を確認して悪態をついた。

「なによぉ・・・、まだ7時前じゃない・・・」

半ば寝ぼけたままの頭で受話器を取った。

「はい、葛城です」
『総務部の皆川1尉です。
 本日、惣流アスカ・ラングレーの遺品を回収に係員を派遣しますが、宜しいですか?』
「ええ、かまわないわ。
 品物はみんな、ドイツの御両親が?」
『はい、そうです』
「わかった・・・。
 で、何時頃に?」
『10時にお窺いします。
 それとこれは確認なのですが、代りに綾波レイをそちらに住まわせるのは、今日からで宜しいですね?』
「レイを?
 どういうこと?」
『ご存じないのですか?
 司令は作戦部の要求とおっしゃっておられましたが・・・』
「ごめん、あたし夕べは作戦後の片付したらすぐ帰ってきたから、書類確認してないわ」
『はぁ・・・。
 それではまた改めて』
「いいわよ、司令が言うのならあたしに逆らえるわけないし」
『では予定通り、10時に』
「了解、よろしく」

電話を切ったミサトは、のろのろと立ち上がると部屋を出た。
アスカの部屋からした物音に気付いて襖を開けると、そこにはアスカの荷物を片付けるシンジの姿があった。

「シンジ君・・・」
「あ、ミサトさん、おはようございます。
 朝ご飯、できてるから食べちゃってくださいね」
「あなた、何を・・・」
「何かやってないと、気が滅入っちゃって・・・。
 それに、アスカがいなくなっちゃったら、また僕がこの部屋に戻ってもいいんでしょ?」
「そうね・・・」

ミサトはその平板な言い方に、シンジがどんな思いでアスカの遺品を整理しているかが、ひしひしと感じられた。
だからミサトは、あえてシンジの好きにさせることにした。

「あ、でも・・・」
「何かあるんですか?」

初めて手を止めたシンジは、まじまじとミサトの顔を見た。

「うん、司令の指示でねぇ・・・。
 レイがここに越して来るのよ」
「綾波が?
 父さんの?
 なんで・・・」
「一ヶ所にまとめといた方が安全だからじゃないの?
 でも、ちょうど良かったわ。
 10時に係の人がアスカの荷物引き取りに来るから、それまで片付けお願いね」
「はい。
 でも、ミサトさんは・・・」
「あぁ、あたしは昨日の続きで本部行くから。
 じゃぁ、よろしくね」
「はい」


 総務部の職員が来た時には、既にほとんどの荷物が片付いていた。
もともとたいした量があったわけではない上、きっちりと整理されていたおかげで、段ボール箱に詰めるのが楽だったからだ。
しかもシンジは、レイが越して来ると聞いて、全ての品を梱包するのをやめ、一部を分けると自分の部屋に隠したのだ。
驚いたことにシンジは、日記やアルバムといった想い出の品を、一切残さなかった。

『全ては心の中にある。
 今はそれでいい・・・。
 いずれ、お前にもこの意味が解る時が来る』

シンジは初めて、ゲンドウがユイの墓碑の前で口にした言葉の意味を理解したような気がした。


 入れ違いに運ばれてきたレイの荷物は、ほとんど何も無いと言って良かった。
なぜならあのパイプベッドと箪笥以外に、必要な物がなかったからだ。
総務部の職員が帰ったあとシンジは、部屋でぼうっとしていたレイの前に幾つかの段ボール箱を積んだ。

「綾波、これ、アスカからのプレゼントだよ」
「なぜ?」
「綾波、いつも制服ばっかりでしょ。
 だから、アスカが着てた服を少し分けてもらったんだ。
 きっと似合うと思うよ」
「そう」
「あ、そうだ、お昼ご飯、どうするの?」
「いい。
 私、お昼食べないから」
「だめだよ、そんなの。
 ちゃんと食べなきゃ」
「命令ならそうするわ」
「命令とかじゃないけど・・・。
 でも、父さんもリツコさんも、ミサトさんだって食べたほうがいいって言うと思うよ」
「そう。
 じゃあ、そうするわ」
「うん。
 できたら呼ぶから」

シンジはレイの部屋を出ると、キッチンに向かった。



 司令室のデスクに置かれた電話が鳴る。
受話器を上げたゲンドウは、報告を上げてきた保安諜報部員に新たな指示を出した。

「そうだ、ファースト、サードともに現状維持だ。
 葛城3佐宅への新たな増員の必要は無い」
『はっ、了解しました』

受話器を置いたゲンドウは、物問いたげに見下ろす冬月に目線を向けた。

「キール議長の方はどうするのだ?
 弐号機喪失と最後の瞬間のあの姿・・・。
 ずいぶんとご執心だぞ」
「ゼーレの老人達には赤木博士がうまく説明してくれている、心配ない」


『我々も穏便に事は済ませたい。
 君にこれ以上の・・・』
「何度もご説明したはずです。
 使徒を取り込んだことで、素体に変調を生じ、リリス本来の姿を取り戻した。
 コピーとはいえ全く同じ遺伝子を持つもの同士です。
 それ以外には考えられません」
『気の強い女性だ・・・。
 碇がそばに置きたがるのも解る』
『だが、碇の代理人としてここに来た以上、虚偽の報告はまずいぞ』
「私には、先程申し上げた以上の解答はご用意できません」
『良かろう、赤木博士。
 しかし、事実でないとわかった時には、覚悟はできているんだろうな』



 深夜のコンフォート17マンション1101号室。
ミサトは磁気メディアをパソコンにセットすると、録音された音声を再生した。
スピーカーから加持の声が流れる。

『君の欲しがっていた真実の一部だ。
 他に36の手段を講じて君に送っているが、確実なのはこのカプセルだけだ。
 こいつは俺の全てだ。
 君の好きにしてくれ。
 パスコードは、俺達の最初の思い出だ。
 じゃぁ、元気でな』

シンジがサルベージされた日の夜、加持から渡されたカプセル。
慎重に開封したミサトは、中から小さなデータチップを取り出した。
それをスタンドの明りにかざしてみる。

「鳴らない電話を気にして苛つくのは、もう止めるわ。
 あなたの心、受け取ったもの・・・」

ミサトは自分に言い聞かせるように呟くと、チップをメディアにセットし、パソコンに挿入した。
受け取ったチップの容量からするとファイルサイズは、ほぼ限界とも思える巨大さだ。
ミサトはカーソルをあわせてクリックしてみた。
小さなウィンドが開き、パスワードの入力を求められる。
ミサトは「最初の思い出」と言われて思い付く限りのキーワードを入力してみた。
それは6つ目でやっと認証され、データ閲覧画面が表示された。

「あのバカ・・・、なんてパスを設定してるのよ・・・。
 でも、加持らしいわ・・・」

ミサトは苦笑を浮かべ、画面が切り替わるのを待った。

「なんてこと・・・」

驚くべきデータがそこにはあった。
熱心に読み進んでいた時、電話が鳴っているのに気付いた。
受話器を上げようとしたとたん、静かになる。
どうやらシンジが出たらしかった。
どうせ自分への電話だと思ったミサトは、受話器を耳にあてた。

『はい、もしもし?』
『そのまま聞いて。
 あなたのガードを解いたわ。
 今なら外に出られる』
『リツコさん?』
『すぐに本部の私の部屋まで来てちょうだい』
『どうしちゃ』
『いいから、これは大事な話よ。
 あなたにとっても、私達にとっても・・・。
 それから、この事は誰にも言わないで。
 もちろんミサトにも。
 解ったわね?』
『はい』

電話が切れたのを確認したミサトは、わざとらしくないように気を使いながら声を出した。

「シンジく〜ん、誰からぁ?」
「あ、いえ、えと、ケ、ケンスケです」
「そう、相田君、疎開先についたんだ」
「あ、は、はい」

シンジがごまかしているのは解っていたが、後々のことを考えてミサトは、何も言わずにおいた。
それで安心したのか、シンジは自分の部屋に戻るとすぐさま着替えた様子だ。
ミサトは自分も出かける準備をしながら、シンジが行動を起こすのを待った。
しばらくしてシンジが部屋から出て来るのが窺えた。
足音を忍ばせ、気付かれないようにしている様子がおかしくて苦笑を浮かべたが、出て行くまでじっと待っていた。
ベランダから見ていると、シンジが足早に走り去る後ろ姿が見えた。
ミサトはそれから5分だけ待って、自分も出かけた。
シンジがいつも使うルートを避け、それでいて先回りできるコースを使って本部についたミサトは、リツコの所在を確認した後、加持がフリーパスに変造したカードを使って大深度地下施設に潜り込んだ。


 リツコはテンキーを操作すると、自分のカードをスリットに通した。
アラームが鳴り、LEDがカードを拒否したことを表示する。

「え?」

驚きの声を漏らしたリツコの背に、固い物が押しあてられた。

「無駄よ、あたしのパスがないとね」
「そう・・・、加持君の仕業ね」
「ここの秘密、見せてもらうわよ」
「いいわ、ただしこの子もいっしょにね」
「シンジ君、冷たいじゃない。
 あたし達、家族でしょ」
「知ってたんですか?」
「こう見えてもあたし、あなたの保護者なのよ。
 それに一応、作戦部長だしね」

見ようによっては冷笑ともとれる笑みを浮かべたミサトは、驚くシンジにウインクをしてみせた。
ドアを開け、暗い通路を進んだ3人は、そこにあったエレベーターに乗り込んで更に地下深く潜って行く。
その間誰一人として口を開かなかった。
やがて止まったエレベーターを降りると、埃の積もった通路の先にドアが見える。
そこには「人工進化研究所第三分室」の文字が書かれている。
無言のままドアを開けたリツコは、中に入ると壁のスイッチを操作した。
打ちっぱなしのコンクリートの壁、乱雑におかれた段ボール箱や器材、まるで病院のようなパイプベッド。

「まるで綾波の部屋だ・・・」

シンジは思わず呟いた。

「綾波レイの部屋よ。
 彼女が生まれ育った所」
「ここが?」
「そう、生まれた所よ。
 レイの深層心理を構成する光と水は、ここのイメージが強く残っているのよ」
「赤木博士、あたしはこれを見に来たわけじゃないのよ」
「判っているわ、ミサト」

部屋を出たリツコは、2人を別のドアへ案内した。
ドアの奥、巨大な空間の中段に設けられたらしい場所に出ると、スイッチを入れる。
床に無数の穴と溝が走り、巨大な骸が幾体も転がっている。
よく見るとそれは、零号機の外見によく似ていた。

「エヴァ?」
「最初のね。
 失敗作よ。
 10年前に破棄されたわ」
「エヴァの墓場・・・」
「ただのごみ捨て場よ。
 あなたのお母さんが消えた所でもあるわ、あなたは覚えてないかもしれないけど・・・。
 あなたも見ていたはずよ、お母さんが消える瞬間を」
「リツコっ!」

ミサトは固い表情でリツコに銃を向けた。

「ふふっ、余計なことだったわね・・・。
 行きましょう」
「まだあるんですか?」

既に半ば恐慌状態になっているシンジは、まだ先があると聞いて肌を粟立たせた。

「そうよ・・・。
 いえ、今から行く所が本当に見せたかった場所」
「まさか・・・」
「ええ、そうよ、ミサト。
 さぁ、いらっしゃい」

リツコは先頭に立ってドアをくぐると、再び通路を歩き出した。
最後のドアは、それまでと違って頻繁に開閉されているらしく、カードスリットも敷居も汚れてはいなかった。

「ここよ」

リツコはテンキーを操作し、カードを通した。
その部屋は広い円形の部屋で、中央にはガラスのシリンダーが置かれ、そこから伸びたパイプが巨大な機械につながっている。
それはまるで、人の脳味噌のように見えた。

「これが、ダミープラグの元だというの?」
「そのとおりだ、葛城3佐」
「父さんっ!」
「シンジ、今から見る物は、お前にとって辛い物だということは判っている。
 しかし、お前にはこれを見る義務がある。
 エヴァ初号機パイロットとしてではなく、碇シンジという人間としてな」
「どういう・・・」
「見れば解る・・・。
 赤木博士、2人に真実を見せてやれ」
「はい・・・」

リツコはポケットから携帯端末を出すと、ボタンを押した。
一斉にライトが点き、周囲の壁と思われていた部分を照らす。
そこは水槽になっていて、中にはLCLらしいオレンジ色の液体が満たされていた。
そしてその水槽の中には・・・

「綾波・・・、レイ・・・」
「まさかっ!
 エヴァーのダミープラグはっ!?」
「そうだ。
 ダミーシステムのコアとなる、その生産工場だ」
「これが・・・」
「ここにあるのはダミーよ・・・。
 そしてレイのためのただのパーツにすぎないわ」
「そ、そんな・・・」
「人は神様を拾って、喜んで手に入れようとした。
 だから罰が当たった、それが15年前よ。
 せっかく拾った神様は消えてしまった・・・。
 でもこんどは神様を、自分達で復活させようとした。
 それがアダムよ。
 アダムに似せて人間を作った。
 それがエヴァよ」
「人・・・、人間なんですか?」

シンジは顔を上げると、水槽を見回した。
無数のレイも、シンジを見ている。

「そう、人間なのよ。
 本来魂のないエヴァには、人の魂が宿らせてあるもの。
 みんなサルベージされたものよ。
 魂の入った入れ物はレイ、一人だけなのよ。
 あの子にしか、魂は生まれなかった。
 ガフの部屋は空っぽになっていたのよ。
 ここにならぶレイには魂がない、ただの入れ物なのよ」
「シンジ、真実を受け入れろ。
 さもないと未来はない。
 我々にも、お前にも」
「父さん・・・」
「まもなく時が来る。
 あまり時間はない。
 どうするかを選ぶのは、お前だ」

ゲンドウはそれだけを言うと部屋を出て行ってしまった。
後に残されたシンジは、ただ呆然と、水槽に浮かぶ無数のレイを見つめているだけだった。
ミサトに引きずられるようにして帰宅したシンジは、そのまま自分の部屋に閉じ篭って出てこなかった。
翌朝ミサトが様子を見に行くとそこには、シンジの姿はなかった。



 その3日後、もともとレイの部屋だった公営住宅D−3号棟402号室の片隅に、膝を抱えてうずくまるシンジの姿があった。
恐らくまともに食べ物を口にしていないのだろう、やつれ、頬がこけている。

みんないなくなった。
トウジもケンスケも、委員長もいなくなった。
加持さんも死んじゃった。
アスカも死んじゃった。
みんな僕を置いてどっかへ行っちゃう。
みんな僕を一人にするんだ。

綾波レイ・・・。
やっぱりそうなのか、あの感じ・・・。
母さん・・・。
綾波は母さん。
もうどうでもいい・・・。

表のドアが開いても、シンジは何の反応も見せなかった。

「碇シンジだな?」

保安諜報部の者が問いかけても、シンジは見向きもしなかった。
抱えるように連れ出されたシンジは、そのままメディカルセンターに収容された。


 シンジ発見の報告は、すぐさま発令所にも届けられた。
受話器をおいたマコトは、振り返ってミサトに報告を上げた。

「保安諜報部から連絡です。
 シンジ君を発見、身柄を確保したそうです」
「そう・・・。
 丸3日もかかるなんて・・・」
「嫌味なんじゃないですか、作戦部への」
「困ったものね・・・」

ほんと困ったものね。
この大事な時に、あんなものをシンジ君に見せるなんて・・・。
まだまだあたしの知らない事の方が多そうね・・・。

ミサトはじっと考え込んでいた。

「そういえば葛城さん、明日じゃなかったですか?
 予備のパイロット」
「そうね・・・」

このタイミングでの予備の機体とパイロット・・・。
上はいったい何を考えているの?

「どうします?」
「どうって何を?」
「受け入れ、うちでやるんですか?」
「まっさかぁ。
 最初はやっぱ技術部っしょ。
 んじゃ、ちょっちシンジ君の様子見に行って来るわ。
 後よろしくね」
「はい」

マコトの肩をぽんと叩いたミサトは、発令所を出るとエレベーターに向かった。


 病室のベッドに寝かされたシンジは、そっと目を開けた。
そこにはレイがいた。

「綾波・・・」
「・・・見たのね」
「うん・・・。
 やっぱり、綾波は母さんだったんだ・・・」
「いいえ、違うわ。
 私は私、あの人じゃないもの」
「でも・・・」
「もらったのは魂の入れ物だけ。
 心は別」
「そっか・・・、やっぱり母さんは、エヴァの中にいるんだ・・・」

ミサトは中から聞こえる話し声に、ドアに掛けた手を止め、じっと耳を済ませた。

「僕は・・・、僕はどうすればいいんだろう・・・」
「それはあなたが決めること」
「解らないよ。
 解らないんだよ、僕には。
 父さんが言ったことも、何も解らないんだ」
「解ろうとしたの?
 あなたは解ろうとしたの?」
「したよ・・・。
 ずっと考えてた・・・。
 でも、僕はどうしたらいいのか、解らないんだ。
 この戦いだって、いつ終わるかも判らないし・・・」
「あと一人・・・」
「え?」
「あと一人で終わるわ・・・」
「あと一人って・・・。
 でも、その時に死んじゃったら・・・」
「あなたは死なないわ、私が守るから」
「そう命令されたから?」
「いいえ、違うわ」
「じゃぁ、・・・何?」
「絆だから」

レイは立ち上がると、部屋を出て行こうとした。

「あ、綾波!」
「なに?」
「ありがとう・・・。
 来てくれて」
「いい。
 じゃぁ、おやすみなさい」

シンジは閉まったドアをじっと見つめていた。
レイの最後の言葉が「さよなら」ではなかったことに気付いたからだ。
しばらくするとミサトが入って来た。

「ミサトさん・・・」
「シンジ君・・・、ゴメンね」
「何がです?」
「あたし・・・、家族家族ってえらそうな事言ってて、あなたに何もしてあげられなかった・・・」

シンジは返す言葉が見つからなかった。
ミサトもそれ以上続ける言葉を持たなかった。
だから話題を切り替えた。

「ねぇ、退院許可は出てるけど、どうする?」
「帰ります。
 病院は好きじゃないから」
「そうね、じゃぁ、下で待ってるわ」
「はい」

ミサトが出て行くと、シンジは起き上がって着替えはじめた。


 カートレインを降りたミサトの車が地上に出ると、あたりは夕焼けに照らされてオレンジ色に染まっていた。
一変してしまった風景。
弐号機の爆発が起きた第三新東京市中心部は大きくえぐれ、芦の湖と完全につながり、巨大な湖になってしまっている。

「ミサトさん・・・、車止めてください」
「どした・・・、って聞くだけ野暮か」

ミサトは道の端に車を寄せると、そこで停車した。

「すみません」
「いいわ、待っててあげるから」
「いいです、先戻っててください」
「でも」
「大丈夫です、もう逃げたりしませんから。
 それに、逃げるとこなんてどこにもないし」
「うん、わかった・・・、じゃぁ、気をつけてね」

車を降りたシンジは、ゆっくりと波打ち際まで歩いていった。

「アスカ・・・」

視界がにじむ。
シンジは座り込むと、そっと目をつむった。
膝を抱えて嗚咽をあげるシンジの頭の中に、アスカの姿が思い浮かぶ。
それはいつものように勝ち気な態度で、腰に手をあて、自分を指差し、眉を釣り上げて迫ってきた。

『何よアンタ、まぁた泣いてるの?』
「泣いてなんかいないよ」
『泣いてるじゃない!
 まったくもぉ、相変わらずバカシンジなんだから』
「だって、アスカがいなくなったからじゃないか」
『アンタバカァ?
 アタシはここにいるじゃない!
 いつだって逢えるわよ、アンタがあたしを忘れない限りね』
「そうだね・・・、そうだよね・・・」
『泣くんじゃないの。
 ほら、顔を上げて』
「うん」
『こういう時はね、思いっきり歌うの。
 すっきりするわよ。
 ♪ Freude, schoner Gotterfunken, Tochter aus Elysium ♪」

シンジはそれが想像のアスカの声ではないことに気付き、慌てて顔を上げた。
崩れかけた石像の上に女の子が座っている。
歌声は、その女の子がつむぎ出した物だった。

「♪ Wir betreten feuertrunken, Himmlische, dein Heiligtum! ♪
 か・・・。
 歌っていいよね。
 歌は心を潤してくれる。
 リリンの産み出した文化の極みよ、そう思わない?
 碇シンジ君」

第壱中学校の制服は着ているが、見たことがない女の子が自分の名前を知っていることが、シンジの心拍数を跳ねあげる。

「え、僕の名前を?」

活発そうなくりっとした目で微笑みかけられたシンジはドキッとした。
セミロングの髪が風に揺れる。

「知らない人はいないわ。
 失礼だけど、もう少し自分の立場を知ったほうがいいと思うよ」
「そうかな・・・
 あの、君は・・・?」
「あたし?
 あたしはマナ、霧島マナよ。
 碇君と同じ仕組まれた子供、フィフス・チルドレンなんだ」
「フィフス・チルドレン?
 君が、あの、霧島さん」
「マナでいいよ、碇君」

にこっと微笑んだマナに、シンジはぽっと頬を染めて笑みを返した。

「僕も、シンジでいいよ」


 少し離れた所で様子を窺っていたミサトの車に近づく影。
助手席のガラスをノックしたマコトに気付いたミサトは、ドアロックを外して車内に入れてやった。

「あれがフィフス・チルドレンです」
「霧島マナ、過去の経歴は抹消済み。
 レイと同じくね」
「ただ、生年月日はセカンドインパクトと同一日です」
「委員会が直で送って来た子供よ。
 必ず何かあるわ」
「マルドゥクの報告書も、フィフスの件は非公開となっています。
 それもあって、ちょいと諜報部のデータに割り込みました」
「あっぶないコトするわねぇ!」
「その甲斐はありましたよ。
 フィフスのシンクロテスト、今からやるそうです」
「今から?
 いきなりね・・・。  スケジュールも教えないなんて、リツコは何を考えてるのよ」
「で、どうします?」
「決まってるでしょ、乱入よん♪
 このあたしに黙ってシンクロテストやろうなんて、10年早いのよ」

マコトの問いかけに答えるミサトの表情は、悪戯を仕掛けようともくろむ子供のそれとよく似ていた。

「行ってどうするんです?」
「そうねぇ・・・、フィフスの少女、お手並み拝見と行きましょう。
 じゃぁ、あたしはあの2人連れて戻るわ」
「了解です。
 じゃぁ、先に戻ります」

ミサトが車を戻した時、ちょうど保安諜報部の車がマナを迎えに来た所だった。

「あら、どうしたの?」
「フィフス・チルドレンの迎えです」
「へぇ、この子がそうなの。
 ちょうどいいわ、あたしが送って行ってあげる」
「いえ、我々はフィフス・チルドレン以外・・・」
「何言ってるの、この子がチルドレンである以上、あたしの部下よ。
 あたしが連れてくわ、あなた達は帰りなさい。
 これは作戦部長としての、正式の決定です」
「は、はい」

官職を楯に言われてしまえば、逆らうことはできない。
苦虫を噛みつぶしたような表情を浮かべた保安諜報部員は、それでもしぶしぶひきあげた。

「あなたが霧島さんね。
 あたしはミサト、葛城ミサトよ、よろしくね」
「霧島マナです。
 よろしくお願いします」
「さぁ、乗って。
 行くわよ」

2人を乗せたミサトは、車を発進させた。


 第一実験場のシミュレーションプラグ。
ミサトが乱入し、当然のごとくマコトが付き従い、同じ車で来たシンジまで揃ってしまった結果、レイだけを比較対照とする予定だったテストは、結局いつものシンクロテストと同じかっこうになってしまった。
以前はアスカの使っていた物にマナが入り、他の2本にはそれぞれレイとシンジが入っている。

「どこでかぎ付けたんだか・・・」
「このあたしを謀ろうなんて10年早いのよ、赤木博士」
「よく言うわ・・・。
 日向君のハッキングの痕跡は消しといてあげるから安心して、葛城3佐」
「ありがと」

苦笑を浮かべあった2人だったが、その目はモニターから離れることはなかった。

「プラグ深度をもう0,3下げてみろ」
「はい」

冬月の指示に、マヤはキーボードを操作した。
マナのプラグの設定値が変動しても、数値は変化しなかった。

「このデータに、間違いはないな?」
「全ての計測システムは、正常に作動しています」
「MAGIによるデータ誤差、認められません」

テストの結果は、驚くべき物だったのだ。
指揮を取った冬月は、感嘆のため息を漏らした。

「いくらエミュレートとはいえ・・・。
 よもや、コアデータの変換も無しに弐号機とシンクロするとはな・・・。
 この少女が」

マナの乗る予定の五号機はまだ到着スケジュールが決定されていなかったため、とりあえず手元にある弐号機のデータを元にエミュレートしたのだが、あまり時間がなかったため、データのかなりの部分を弐号機のそれから流用していた。
元々が、参号機の喪失を受けて弐号機の予備パーツから急遽建造されたのが五号機ということもあり、基礎データのほとんどが流用できた。
もっとも、マナをそのまま弐号機に載せるならともかく、実際には先の戦闘で失われてしまっている弐号機のデータが何かの役に立つかというと、それはそれで怪しいものなのだが・・・。
それでも無いよりはましとして使われたデータだったが、通常コアやパーソナルパターンのデータは操縦者固有の物であり、それを変換せずにシンクロできるということは、かなり希少な例だ。

「でも、信じられないわ・・・。
 いえ、システム上有り得ない・・・」

リツコは信じられないという面持ちで呟いた。

「でも、これが事実なのよ。
 まず事実を受け止めて、それから原因を探りましょう」

ミサトは厳しい表情で言った。


 レイはシンクロテストを終えて着替えると、上層階へ上がるエスカレーターに乗った。
上り切った所に、マナが立っていた。

「あなたがファースト・チルドレンね。
 綾波レイ。
 あなた、あたしと同じなのね。
 お互いに、この星で生きて行く体は、リリンと同じ形へと行き着いた・・・」
「あなた、誰?」
「あたしはフィフス・チルドレン。
 そして、あなたと同じよ、綾波さん」
「いいえ、そうじゃない。
 本当のあなたは誰?」
「あたしはあたし。
 それ以上でもそれ以下でもないわ」
「そう・・・」

これが古い漫画なら視線の中心に火花が描かれる、そんな感じでじっと互いを見つめあった2人は、同時に背を向けた。
マナは意味ありげな笑みを浮かべると、そのまま下りのエスカレーターに乗り込む。
その背中をじっと見つめるレイ。
視線に気付いたマナは、振り返りざまに小さく手をあげると、再び前を向いた。


 家に帰ったミサトは、加持が設けてくれたワームホールを使ってMAGIにアクセスしていた。
画面にはMAGIによるマナの調査結果が表示されている。

MAGIの全力を持ってしても、未だ正体不明・・・。
何者なの、あの少女・・・。


 ゲートの装甲シャッターが開く。
通路のベンチにシンジの姿を見付けたマナは、笑みを浮かべて近づいた。

「シ〜ンッジ君っ♪
 あたしを待っててくれたの?」
「あ、いや、別にそんなつもりじゃ・・・」
「このあとは何かあるの?」
「いや、別に。
 テストも終わったし、あとは帰るだけだけど」
「ふぅん・・・、いいなぁ、帰るとこがあって」
「え?」
「帰る家、ホームがあるっていうのは幸せにつながるわ。
 あたしなんかここの宿舎だもの」
「そう・・・かな」
「ね、あたし、もっとシンジ君とお話ししたいな。
 今晩、お邪魔してもいい?」
「え・・・、あ、う、うん・・・」
「だめなの?」
「あ、いや、別にそう言うわけじゃ・・・」

立ち上がったシンジは、並んで歩き出した。

「ね、シンジ君、手、繋いでもいい?」
「あ、え、あ・・・」
「ふふっ、シンジ君って、一時的接触を極端に嫌ってるよね。
 人と触れ合うのが恐いの?」

シンジは何も答えられなかった。

「他人を知らなければ、裏切られることも、お互いに傷つくこともない・・・。
 触れ合わなければ、失うこともない・・・。
 でも、それじゃずっと独りぽっちだよ。
 寂しいままなんて、あたしはそんなのヤだな・・・。
 人は寂しさを無くすことは永久にできないわ。
 人はみんな一人だもの。
 でも、寂しさを忘れることはできるよ。
 だから、人は生きて行けるんだもん」

言いながらマナは、そっとシンジの手を握った。
シンジの肩が、ぴくっと震える。
少しの間の沈黙。
地上に出ると、満天の星空。

「奇麗・・・」

マナは夜空を見上げて呟きを漏らした。

「そ、そうだね・・・」

シンジが見ていたのは、星空ではなくマナの横顔だった。

「人間は常に心に痛みを感じて生きてる。
 心が痛いから、生きることが辛いと感じることもある。
 ガラスみたいに繊細なのね、特にシンジ君の心って」
「僕が・・・?」
「そうよ。
 でも、そんなシンジ君、好きだな、あたしは」


 自分のベッドに寝転んだレイは、じっと天井を見上げていた。
頭に渦巻くのはマナに言われた言葉。

わたしはなぜここにいるの・・・?
なぜこの家にいるの?
何のために・・・。
誰のために・・・。
フィフス・チルドレン、あの人、わたしと同じ感じがする。
どうして?

「ただいま」

シンジの声にばっと身を起す。
しかしレイは、その直後に聞こえた声に表情を曇らせた。

「おじゃましまぁす。
 わぁ、すごい、広ぉい!」
「あらぁ、シンちゃん、さっそく連れてきたのぉ?
 なっかなかやるじゃぁん♪」
「そ、そんなんじゃないよっ!」
「いいからいいから。
 さ、いらっしゃい」
「はぁい、おじゃましまぁす」

楽しげな声が聞こえたレイは、彼女にしては珍しくちょっとむっとした表情を浮かべて襖を開けた。

「あ、おじゃましてまぁす」
「そう、よかったわね」

レイはそのまま洗面所に行ってしまった。

「なにあれ?」
「さ、さぁ・・・。
 綾波はいつもあんな感じだから」
「ね、シンジ君、ここ、ベランダあるんでしょ?」
「うん」
「行こ♪」
「あ、うん・・・」

ベランダからは、巨大な湖になってしまった第三新東京市が見えるのみだ。
危険域を示す赤いライトが明滅する以外、何もない。

「いい眺めね・・・」
「街がなくなっちゃったから・・・。
 あんまりじっくり見たことなかったけどね。
 こっち来てから、いい思い出なかったから」
「違うわよ。
 山と星空」
「あ、うん・・・」

沈黙。
それを破って先に口を開いたのはマナだった。

「ね、何を話したかったの?」
「え?」

マナのストレートな問いかけに、シンジは一瞬困惑の表情を浮かべた。

「あたしに聞いて欲しいことがあったんでしょ?
 だからあたしのこと、待っててくれたんでしょ?」

小さなため息と沈黙・・・。
シンジの逡巡が、肌に染み透るように伝わって来る。
やがてシンジは、意を決したようにぽつり、ぽつりと話しだした。

「いろいろあったんだ・・・、こっちに来て・・・。
 来る前は、独りぽっちだった・・・。
 穏やかだけど、ただそこにいるだけだった。
 でも、それでもよかったんだ。
 僕には何もすることがなかったから・・・」
「他の人のこと、嫌いだったの?」
「別に・・・、どうでもよかったんだと思う。
 でも、父さんは嫌いだった」

僕はどうして、こんなことをマナに話してるんだろう・・・?

隣を見ると、マナは笑みを浮かべてじっとシンジを見ていた。

「あたしもね・・・、何もできない自分が悔しかった。
 たった一人で、自由を求めて・・・。
 でも、こうしてシンジ君と出逢えて、嬉しかったんだ」
「碇君」

レイに声を掛けられたシンジは、慌てて振り返った。

「あ、何?」
「ご飯、葛城3佐が呼んでる」
「え、あ、ご、ゴメン。
 もしかして、ミサトさんが準備しちゃった?」
「ええ」
「だ・・・、大丈夫かな・・・」
「コンビニ」
「あ、そうなんだ、よかった」
「え、なに?
 葛城さんってお料理しない人なの?」
「できるよ・・・、できるけど・・・」
「あははっ、それ以上いい。
 何となく判っちゃった」

シンジの表情を見たマナは、慌てたように手をぱたぱたと振ると、リビングに入っていった。

「碇君」

マナに付いて中に入ろうとしたシンジは、レイに呼び止められた。

「どうしたの?」
「碇君、大事なことを忘れてる」
「大事なこと?」
「人類を守る、お父さんに命令された、大事な義務」
「義務・・・、父さん・・・」

シンジは表情を歪めると俯いた。

「綾波は・・・、綾波は霧島さんのこと、嫌いなの?」
「・・・わからない。
 でも、あの人は私と同じ感じがする」
「同じ?」
「あの人にも絆がないわ。
 碇君しか」
「僕・・・、だけ・・・」
「しぃんちゃぁ〜ん、冷めちゃうわよぉ!」
「入りましょ」
「あ、うん」

じれたようなミサトの声と、さっさと中に入ってしまったレイにつられるように、シンジもリビングに戻った。
席についたシンジは、コンビニ弁当にミサトの手が加えられていないらしいのを確認してほっとした。

「い、いただきます」
「どぉぞどぉぞ。
 もぉ、結構大変だったんだからね。
 この前からの騒ぎでみんな避難しちゃったでしょぉ、開いてる店がなくってさぁ。
 やぁっと見つけたと思ったら、ひっどいのよぉ。
 ゼロが一個多いのよ!
 もぉ、ボッタクリよ、ボッタクリっ!」

ミサトは一人でまくしたてると、ぐいっとビールをあおった。

「ぷはぁっ!
 う〜ん、久々ぁっ!
 ・・・と、どうしちゃったのよ、みんな?」
「ミサトさん・・・、これ、本当にコンビニで買いました?」
「言ったでしょ、ゼロが一個多かったって」
「まさか・・・」
「そぉよ、あたしが作ったのよん♪
 どう、ちょっとはそれらしくできてるっしょ?」
「やっぱり・・・」

シンジはどよ〜んとした目で弁当を見つめた。

「シンジ君?
 レイ?
 霧島さん?」

レイは口元に箸を咥えたまま固まり、マナは遠い目をして視線をさまよわせている。
そしてペンペンは、泡を吹いて倒れていた。
シンジは黙って立ち上がると、全てを集めてミサトの前に積み上げ、キッチンに入っていった。

「何よ、もぉ・・・、こんなにおいしいのに」

ミサトは一人、お手製弁当をつつき、ビールをあおった。
しばらくして包丁を振るう音が聞こえて来る。
やがていい香りがキッチンに流れる。
シンジが席を立って15分。
トレーに3人分の食事を乗せたシンジが戻ってきた。
ミサトは手を止めてじっとそれを目で追っている。
皿をそれぞれの前に並べたシンジは、レイとマナの前に手を伸ばして、パチンと指を鳴らした。
それを合図に再起動した2人は、目の前の皿を見つめ、互いを見つめ、もう一度皿に目線を戻した。

「今度は大丈夫だよ、僕が作ったから」
「そう」
「あ、い、いただきます」

ミサトはその様子を見ていた。
シンジもじっと見つめる。

「おいしいっ♪」
「碇君のご飯はおいしい」

ミサトはシンジを肘でつついた。
シンジは最上級の笑みを向けると、自分も箸を付けた。

「ねぇ、霧島さん」
「あ、マナって呼んでください。
 なんですか、葛城さん」
「あたしもミサトでいいわよ。
 ねぇ、マナ、あなた、シンジ君の事、好き?」
「はい。
 あたし、シンジ君に逢うために生まれてきたのかもしれない」

マナは何一つためらうことなく返事を返した。

「ひょぉ〜〜〜ぅ!
 やるじゃぁん、シンちゃぁ〜ん♪
 くぉのこのぉ!」
「ミミミ、ミ、ミサトさぁん・・・」
「そう。
 でも、碇君は私が守るもの」
「ほえ?
 レイ?」
「綾波・・・」
「シンちゃん、レイになんかしたんじゃないでしょうね?」
「してないよっ!」
「絆だから」
「うっひゃぁ〜っ!
 シンちゃんってば、モッテモテじゃなぁい!」

からかいながらもミサトは、マナが複雑な表情を浮かべているのを見逃さなかった。





ドモドモ、J.U.タイラーでっす!(^^)/

 はい、「トリプル・イフ」こと「ぱぱげりおんIFのifのIF」の第弐話をお届けします。
はっはっは、どんどん伸びて行く・・・、予定を超えて、まだまだ伸びて行くぞぉっ!(やけくそ笑い)

「タイラー、これでは老人共がうるさいぞ」
「問題ない」
「レイにこだわり過ぎだな・・・」

\(^^\) 冗談は (/^^)/ おいといて


 私は自他共に認める「アスカ・ユーゲント」だと思っていたのですが、どうやら違ったようでして・・・(苦笑)
おぼろげながらユイファンであることは自覚していたのですが、この話を書くにあたって、もう一歩駒を進めることにしました(笑)

「まさか、作者が直接「アヤナミスト」宣言をして来るとはな・・・」
「タイラーは一つ予定を繰り上げる気だ、我々の手でな」
「まさか奴は、レイとの融合を果たすつもりなのか?」
「あるいは破滅を導くためだ」
※をひっ!ヾ(^^;)>ゲンちゃん&コウちゃん

\(^^\) 冗談は (/^^)/ おいといて(ぱぁと・つぅ)


 でも、この話はこれだけの行数を費やしても、まだ前振りでしかありません。
本番はここからです(笑)
今回の話を書くにあたって、久々に「鋼鉄のガールフレンド」をリプレイしました。
「加持に相談」パターンしかやっていなかった私は、今回始めて「直接マナ」と「やっぱりアスカ」の両パターンもやってみました。
そのうち、「アットホーム賞」以外もやってみよっと(笑)


 で、ちょっと気付いたことがあります。
マナって、見ようによってはユイとよく似てるんですね(苦笑)
ふとした表情が、何となく・・・。
もしかすると、ユイの中学生当時って、こんな感じだったのかも。
あぁ、イカン・・・、「マナリアン」もアリかなと想ってしまう・・・。
なんて浮気モンな私(爆)

あれれ?
ってことは、もしかして今回、ダブル林原?(^^;
しかも掛け合いがある・・・。
うわちゃちゃ(^^;
原作本編のアフレコ台本じゃないですが、思わずこう書きたくなってしまいますね(笑)

「林原様、何卒宜しくお願いします」(木亥火暴)





改訂版後書き・・・、と言うほどでもないか(^^;

 最終話を書き上げて、何度も読み返してみて、やっぱりどうしても書き直したいと思った部分ができましたので、結局全話に筆を入れました。
ほとんどは話の切り方の変更だけですが、極々一部には文章にも手を入れています。





次回予告

ついに現れた最後の使徒。
果してシンジに救いの時は来るのか。

次回、「ぱぱげりおんIFのifのIF」・第参話

合言葉は、トリプル・イフ!



 いやぁ、小説って、本当にいいもんですね。
それではまた、このページでお逢いしましょう。

でわでわ(^^)/~~