翌日早朝。 初めてシンジと出逢った石像の上に、マナの姿があった。 「人は無からは何も作れない。 人は何かに縋らなければ何もできない。 人は神ではないものね」 『だが、神に等しい力を手に入れようとしている男がいる』 『我らの他に、再びパンドラの箱を開けようとしている男がいる』 『そこにある希望が現われる前に、箱を閉じようとしている男がいる』 「希望? あれがリリンの希望なの?」 言葉と共に次々と現れるモノリスに、マナは冷笑を浮かべた。 『希望の形は人の数ほど存在する』 『希望は人の心の中にしか存在しないからだ』 『だが、我らの希望は具象化されている』 『それは偽りの継承者である黒き月よりの我らの人類、その始祖たるリリス』 『そして正当な継承者たる失われた白き月よりの使徒、その始祖たるアダム』 『そのサルベージされた魂は、君の中にしかない』 『だが、再生された肉体は、既に碇の内にある』 「シンジ君のお父さん、あの人もあたしと同じか・・・」 『だからこそお前に託す、我らの願いを』 モノリス達が消えた途端、マナの表情が曇った。 「解ってるわよ。 そのためにあたしは今、ここにいるんだから・・・」 その様子を双眼鏡で窺っていたミサトは、手にした缶コーヒーを一口すするともう一度マナの方を見た。 「こんな朝っぱらから独り言を言うために散歩? 怪しい子ね・・・」 視野の中でマナが振り返ると、視線が合ってしまう。 マナは、笑みを浮かべているように見えた。 うそっ! 気付かれた? まさかね・・・。 「シンジ君は綾波さんといっしょにいるんだもんね・・・、けじめ付けなきゃね。 あたしの絶対的自由も、もうすぐかな・・・」 ミサトの視線が外れたのを感じたマナは、石像から飛び降りるとマンションへ戻りはじめた。 NERVへ出勤したミサトは、柱の影にいたマコトに呼び止められた。 小さく頷いたミサトは、そのままマコトを車に乗せて地底湖添いを走り、中央部にかかった斜張橋の上で脇に寄せて車を止めた。 車から降り、手すりに手をかける。 「どう、あの子のデータ、入手できた?」 「これです。 伊吹2尉から、無断で借用した物です」 「すまないわねぇ、泥棒みたいなことばかりやらせて」 メディアを受け取ったミサトは携帯端末を取り出し、オフラインになっていることを確認してからスリットに挿入し、内容を表示させた。 「なぁによ、これっ!?」 「マヤちゃんが公表できないわけですよ。 理論上は有り得ないことですから」 「そぉねぇ・・・。 ふぅ・・・、謎は深まるばかりだわ。 エヴァーとのシンクロ率を自由に設定できるとは。 それも自分の意思でねぇ。 またもなり振りかまってらんないかぁ・・・」 ミサトは再び車を走らせ、本部に戻った。 車を降りてマコトと別れると、すぐにエレベーターに乗り込む。 目的のフロアについたミサトは、通路を進んでとある部屋の前に立った。 ノックしようとした途端、ドアが開かれる。 「そろそろ来ると思ったわ、入って」 「じゃぁ、あたしが何の目的で来たかも判ってるんでしょ、リツコ?」 「ええ、そのつもりよ」 「単刀直入に聞くわよ。 あの子の、霧島マナの正体は、何?」 「恐らく・・・、最後の使者よ」 「そう・・・、やっぱりね」 ケイジの零号機の前まで来たマナは、その顔を見上げた。 ふっと笑みを浮かべる。 「さぁ、行くわよ。 おいで、アダムの分身、そしてリリンの僕(しもべ)」 ブリッジから一歩踏み出したマナは、そのままふわっと空間に浮かんだ。 突然警報が鳴り響いた。 ミサトは慌てて飛び出して行った。 「始まったわね・・・」 リツコはぼそっと呟くと立ち上がった。 ミサトが発令所に駆け込んできた時、既に態勢は整っていた。 マコトが振り向く。 「エヴァ零号機、起動!」 「レイなの?」 「いえ、違います。 レイちゃんはシンジ君と今、こちらに向かっています、確認済みです!」 「じゃぁいったい誰が?」 「零号機にエントリープラグは挿入されていません! 無人です!!」 シゲルとマヤが相次いで報告をあげる。 誰もいない? マナでもないの? 「セントラルドグマでATフィールドの発生を確認!」 「零号機?」 「いえ、パターン青! 間違いありません、使徒です!」 セントラルドグマのシャフト。 大深度地下へと続く縦鉱の中を、マナと零号機が降下する。 『零号機、第4層を通過、リニアの電源が切れません!』 「セントラルドグマの全隔壁を緊急閉鎖! 少しでもいい、時間を稼げ!」 『全隔壁、緊急閉鎖、総員退去、総員退去』 「まさか、ゼーレが直接送り込んで来るとはな・・・」 「老人は予定を一つ繰り上げるつもりだ。 我々の手で」 『人は愚かさを忘れ』 『同じ過ちをくり返す』 『自ら贖罪を行わねば、人は変れぬ』 『アダムや使徒の力は借りぬ』 『我々の手で、未来へと変るしかない。 初号機による遂行を願うぞ』 「エヴァ零号機により、装甲隔壁が突破されています」 「目標は、第15層を通過!」 「エヴァ初号機に追撃させろ。 どのような方法をもってしても、目標のターミナルドグマ侵入を阻止しろ」 「はい!」 なぜ使徒は零号機を・・・? 苦々しげに指示を出すゲンドウの声に答えたミサトは、しかしそれが可能だという自信は無かった。 「まさか使徒は、零号機との融合を果たすつもりなのか?」 「あるいは破滅を導くためだ」 冬月の問いかけにゲンドウは小さく呟くように答えた。 「嘘だ嘘だ嘘だ! マナが使徒だったなんてっ! そんなの嘘だっ!!」 『事実よ、受け止めなさい。 出撃、いいわね?』 そのミサトの冷たい言い方に、シンジは苦悶の表情で顔を上げた。 シャフトを下る零号機とマナ。 マナは上を見上げると、そっと呟いた。 「シンジ君、遅いな・・・」 『エヴァ初号機、ルート2を降下、目標を追撃中』 「裏切ったな、僕の気持ちを裏切ったな! 父さんと同じに裏切ったんだっ!!」 怒りに震えるシンジは、降下する初号機の中で罵り声をあげた。 『初号機、第19層を通過、目標を捕捉しました!』 「いたっ!」 初号機の気配に、マナは上を見上げた。 『やっぱり来てくれたのね、シンジ君』 初号機がつかみ掛って来る。 しかしそれは零号機によって受け止められた。 「綾波、ゴメンッ!」 初号機はプログナイフを取り出すと、零号機に切りかかった。 『エヴァシリーズ・・・。 アダムから生まれた、リリンにとって忌むべき存在なのに。 それを利用してまで生き延びようとするなんて・・・。 あたしには理解できない』 振りおろされたナイフ。 しかしそれは、同じ動きで取り出された零号機のナイフで阻止されてしまう。 初号機のナイフは、零号機のナイフの刃にざっくりと刺さって火花を上げた。 「マナっ! やめてよっ、どうしてだよっ!」 『エヴァはあたしと同じ体でできてるわ。 あたしもアダムから生まれたもの。 魂さえなければ同化できるわ。 この子には、魂が無いのよ』 初号機と零号機の押し合いが逸れ、滑ったプログナイフの切っ先がマナに近づく。 しかしそれは、ATフィールドによって阻まれた。 「ATフィールド!」 『そう。 あなた達リリンはそう呼んでるわね。 誰にも侵さることのない聖なる領域、心の光・・・。 リリンも解ってるんでしょ。 ATフィールドは誰もが持ってる心の壁だってこと』 「そんなの判らないよマナっ!」 シンジの叫びに隙ができた初号機の胸に、零号機のナイフが突き刺さる。 「ぐぅっ!」 うめき声を上げたシンジに反応して、初号機のナイフが零号機の首筋を捉えた。 『エヴァ両機、最下層に到達』 『目標、ターミナルドグマまで、あと25』 オペレーターの声に表情を歪めたミサトは、そっとマコトの席に近づくと、耳元に囁きかけた。 「初号機の信号が消えて、もう一度変化があった時は」 「解ってます。 その時は、ここを自爆させるんですね。 サードインパクトを起されるよりましですから」 「すまないわね」 「いいですよ。 あなたといっしょなら」 「・・・ありがとう・・・」 互いにナイフを突き立てたままの零号機と初号機。 そしてそれを眺めるマナ。 『人の定め、か・・・。 人の希望は悲しみでいっぱいなのに・・・』 寂しげな笑みを浮かべたマナが目を閉じる。 その瞬間、巨大な振動がジオフロントを揺るがした。 「どういうことっ!?」 「これまでにない、強力なATフィールドです!」 ミサトの叫びに、マコトの声が重なる。 「光波、電磁波、粒子も遮断しています! 何もモニターできません!!」 シゲルの叫び声に、ミサトは呆然と呟いた。 「まさに結界か・・・」 「目標、及び零号機、初号機、ともにロスト。 パイロットとの連絡も取れません!」 三者三様の姿のままにシャフトを下り、やがてドグマの大空間に到達する。 堆積した土砂を舞いあげて落下したエヴァを尻目に、マナはゆっくりと空間を渡って行く。 「マナっ、待ってっ!」 立ち上がろうとした足にぐっと引っ張られる感覚。 見れば零号機が足を掴んでいる。 「くっ!」 シンジは歯を食いしばると、渾身の力で足を持ち上げる。 つられて引き上げられた零号機の顔面に拳を振るった。 マナは、長い通路の端まで来ると、カードスロットをひと睨みした。 電子音と共にロックが解除される。 マナの前で、巨大なドアがゆっくりと開いていった。 「最終安全装置、解除!」 「ヘブンズドアが、開いていきます・・・」 「ついに辿り付いたわね・・・、使徒が・・・。 日向君」 ミサトの声に、マコトは黙って頷いた。 「イヤァッ!」 シンジの気合いと共に、初号機は零号機の頭部にプログナイフを突き立てた。 同時に零号機も、初号機の胸部にナイフを突き刺す。 「ぐうっ!」 シンジが表情を歪めた瞬間、それは起った。 「今度は何?」 「ATフィールドです」 「ターミナルドグマの結界周辺に、さっきと同等のATフィールドが発生」 シゲルは正体を探るべくコンソールを操作した。 「結界の中に侵入します!」 「新たな使徒?」 「だめです、確認できません! あ、いえ・・・これは? 消失しました!」 「消えた? 使徒がっ!?」 ドアをくぐったマナは空間を渡り、十字架に張り付けられた白い巨人の前に立った。 悲しげな表情でその顔を見上げる。 『アダム・・・。 あたしたちのお母さん、アダムから生まれた子供は、アダムに還るのが運命(さだめ)。 たとえ人が滅んでも・・・』 七つの目を持った紫色の仮面を仰ぎ見たマナの表情が驚愕に変る。 『違う、これは・・・、リリス! そういうことなの、リリン!』 何かをふっ切ったような表情で振り返った先に、ようやく止まった零号機を押し倒し、よろばうようにしてドアをくぐって入ってきた初号機の姿。 手を伸ばした初号機は、そのままマナの体を捕まえた。 『ありがとう、シンジ君。 零号機は、あなたに止めておいて欲しかったの。 じゃないとあたし、あの子といっしょに、生き続けたかもしれないもの』 「マナ・・・、どうして」 『あたしが生き続けることが、あたしの運命(さだめ)だもの。 そのせいで人が滅びても・・・。 でも、このまま死ぬこともできるわ。 生と死は等価値なのよ、あたしにとっては。 あたし自身の死、それが唯一の、絶対的自由なのよ』 「何を・・・。 マナ、君が何を言ってるのか判んないよ、マナ!」 『遺言よ。 さぁ、あたしを消して。 あたしを解放して。 そうしないと、シンジ君達が消えることになっちゃうわ。 滅びの時を免れて、未来を与えられる生命体は、一つしか選ばれないのよ。 そしてあなたは、死んでもいい存在じゃないわ』 マナは、自分のATフィールドを破って入ってきた者の存在に気付くと、その方向に顔を向けた。 まるでそれが当たり前のように、優しげな笑みを浮かべると小さく頷いた。 レイもまた、同じ笑みを浮かべて頷き返す。 『あなた達には、未来が必要なの。 あなた達自身の手で勝ち取って、あなたたち自身の意思で決めた未来が。 あたしは・・・、シンジ君のことが好きだった・・・。 おしゃべりも楽しかった・・・。 みんなで食べた夕食、最高だった・・・。 でも、終わりにしなきゃいけないの、あなたを楽にしてあげなきゃいけないの。 あたしが、あたしが最後だから。 もう・・・、これで、・・・おしまい』 悲しげな表情で目を伏せたマナは、今度はにっこりと微笑んで、初号機を通して、その中にいて自分を見つめているであろうシンジを見た。 『立派な男の子になってね。 綾波さんが待ってるわ』 「綾波が・・・?」 『彼女も、あなたを選んだのよ』 「綾波が、僕を?」 シンジの脳裏に、次々とフラッシュバックする光景。 「シンジ君、君には、君にしかできない、君にならできることがあるはずだ。 誰も君には強要しない。 だから、自分で考えて自分で決めろ。 まぁ、後悔の無いようにな」 「シンジ、真実を受け入れろ。 さもないと未来はない。 我々にも、お前にも。 まもなく時が来る。 あまり時間はない。 どうするかを選ぶのは、お前だ」 「僕は・・・、僕はどうすればいいんだろう・・・」 「それはあなたが決めること」 「僕が、決めること・・・。 僕が考えて・・・、僕が選んで・・・、僕が決めること・・・。 そうか・・・、そうなんだね、マナ。 そのために、そのために僕達は、出逢ったんだね」 『ありがとう・・・、わかってくれて・・・。 あなたに逢えて、嬉しかった・・・。 さようなら、シンジ君』 シンジは、無限とも思える時間、ずっと震える手を掛けたままの操縦捍に目を落としていた。 再び目線を向けた先でマナは、まるでキスを待つかのようにそっと目を閉じた。 シンジは操縦捍から手を放すと真直ぐに伸ばした。 伸ばした手の中にシンジは、自分に微笑みを向けてくれているマナの幻を見た。 歯を食いしばり、目を閉じても、掌の中にある感触は消えなかった。 「さよなら・・・、マナッ・・・」 意を決したシンジは、自分の手を、ぎゅっと握り締めた。 そして、最後の使者は、消滅した。 その夜、シンジはマナと初めて出逢った波打ち際に来ていた。 その横には、レイが座っていた。 「マナは、好きだって言ってくれたんだ・・・、僕のこと。 初めて、初めて人から好きだって言われたんだ。 僕に似てたんだ・・・、それに綾波にも」 「私にも・・・」 「マナは、僕達には未来が必要だって言ってくれたんだ。 そして、それを選ぶのは僕だって・・・」 「そう。 あなたはそれを選んだわ」 「今まで僕は・・・、人類の未来とか、そんなこと考えたこともなかったんだ。 きっとこれからも、そんなこと考えることなんてないと思ってた・・・」 「でも、あなたは選んだわ、考えることを」 「僕に・・・、僕にできると思う?」 「できるわ。 でなければ、霧島さんはあなたを選んだりしない。 そして私も」 「綾波?」 レイの横顔は、それまでシンジが見たこともないような慈愛に満ちた笑みを湛えていた。 「あなたが考え、選ぶことが霧島さんの願い。 そして私の願い・・・、みんなの願い」 「重いね・・・」 「大丈夫、あなたは私が守るもの」 「これからも、ずっと守ってくれる?」 「ええ」 レイはそっと体を寄せた。 触れた肩から、暖かみが伝わって来る。 「ありがとう・・・。 綾波は優しいね、お母さんみたいだ」 「何を言うのよ」 「雨降って地固まる・・・、か」 「ずいぶん感傷的じゃない」 「茶化さないでよ、リツコ」 「ふふっ、加持君のことでも思い出したの?」 「ば〜か。 さ、野暮はこのくらいにして帰りましょ。 報告書を書かなくちゃならないし」 ミサトとリツコは車に乗り込んだ。 波打ち際には、静かに寄り添うシンジとレイだけが残された。 がらんとした発令所。 メインスクリーンには本部に所属する2機のエヴァが待機状態に置かれ、これまでに失われた3機のエヴァの登録が抹消されたことを示すシチュエーションボードが映し出されているのみだ。 最後の使徒を倒しているため、ほとんどのメンバーが休息を与えられていたためで、オペレーターの中でもリーダー格になるマコト、シゲル、マヤの3人だけが、最後の使徒を倒した戦闘の記録をまとめ、資料を整理するために残っている。 ようやく作業が一段落し、それぞれが飲み物と菓子を片手に雑談をしていた。 「はぁ・・・、長かったなぁ・・・」 「でも、まだ帰れないみたいだぜ」 「どういうことだよ?」 「出られないんだ・・・、本部から。 っていうか、立入禁止が解除されてないんだよ、本部施設」 「えっ、出入りが全面禁止のまま?」 「第一種警戒態勢のままか・・・」 「最後の使徒だったんでしょ? あの女の子が」 「あぁ、全ての使徒は、消えたはずだ」 「今や平和になった、っていうことじゃないのか?」 「じゃぁここは、エヴァはどうなるの?」 「たぶん、NERVは組織解体されると思う。 俺達がどうなるかなんて、判ったもんじゃない」 「補完計画の発動まで、自分達で頑張るしかないのか・・・」 シンジはその日、ゲンドウに呼ばれて司令室に来ていた。 そこには冬月はもとより、リツコ、ミサト、レイの姿もあった。 「シンジ・・・、なぜ呼ばれたか判るか?」 「わかってるよ・・・、父さん。 この前言ってたこと・・・、そうでしょ?」 「そうだ。 まもなく約束の時が来る。 お前はどうするつもりだ?」 じっと考え込むように俯いたシンジは、小さな声で呟くように答えた。 「まだ・・・、まだ解らないんだ。 使徒が何なのか、エヴァが何なのか・・・。 何がほんとで、何が正しいことなのか・・・」 「そうか・・・。 赤木博士、説明してやれ」 「司令・・・」 「ここまで来た以上、隠しておく必要はない。 人類補完計画が一体どういうものか、教えてやるんだ」 「はい・・・」 リツコは物悲しげな表情で頷くと、シンジに向き直った。 「シンジ君、これから話す話は、あなたのお母さん、碇ユイさんともかかわりが深いの」 いったん言葉を切ったリツコは、自分の言ったことがシンジに染み込むのを待ってから続けた。 「始まりは今から20年近く前のことよ・・・。 南極で巨大な空間を発見したの。 そう、南極にもここと同じジオフロントがあった。 その中心には、巨大な生命体が埋まっていたわ。 それがアダム、最初の使徒よ。 学者達はプロジェクトチームを結成、調査に乗り出したわ」 「それが・・・、ゼーレ?」 「そうよ、ミサト。 正確には、資金を提供して後ろ楯となった組織がゼーレ。 当時はまだ、単なる国際的な裏組織に過ぎなかったわ。 学者達は遺伝子レベルに至るまで、アダムを調べたの。 その結果解ったことは、遺伝子構造の99,89%が私達人と同じだったこと。 彼らは考えたわ、これは形こそ違え、人類に違いないって」 「まさか・・・、それじゃぁ他の使徒も?」 「全ての使徒は、人類の可能性にすぎないわ。 私達とは違う、あれもまた、人類の姿なのよ。 ただし、互いに相手を拒絶するしかない、悲しい存在だったけど」 「そんな・・・、そんな・・・」 「そして、エヴァも同じ・・・。 いえ、それだけじゃないわ。 我々も使徒。 リリンと呼ばれる、第18番目のね・・・」 「じゃぁ・・・、じゃぁ・・・、この戦いは初めっから・・・」 「ええ、そうね。 初めから人類同士の戦いだったのよ」 ミサトの疑問に答えていたリツコは、じっと俯いたまま反応を見せないシンジを見やり、小さなため息を付くと、再び話し出した。 「話がそれたわね・・・。 ゼーレは世界中をくまなく調査したわ。 そして発見したのよ、もう一つのジオフロントを。 それがここ、この第三新東京市。 発見には、裏死海文書というものが使われたわ。 それは、太古の昔に行われた人類同士の戦争の事が書かれていた。 初め人類は、アダムという巨大な人を作り、世界を征服しようとしていたの。 ところがある日、二番目にできた巨人、リリスが敵側に奪われた。 そこで彼らは新たに15体の使徒を作り、リリス諸共敵を滅ぼそうとした。 でも、敵は強かった。 リリスの力を使い、次々と襲い来る敵を封印し続けた。 そしてとうとう、アダムとリリスだけが残ったのよ。 敵は自分達を作り替えたわ。 そうやってアダムを操る人類に抵抗したの。 人類は、彼らのことを18番目の使徒、リリンと呼んで恐れた。 最後の戦いはし烈を極めた。 人類はリリスの封印には成功したけど、結局滅ぼされてしまった。 そしてアダムは、リリンによって封印されてしまったのよ、南極の地下深くにね。 リリスの力は、もともと敵をその内側に取り込んで同化してしまうというものだった。 私達リリンの末裔がこうして世界を支配しているのは、リリンが全ての戦いに勝ったからよ。 最終的にリリスの力を手に入れた者だけが、人類の支配者として勝ち残ることができたからなの。 ゼーレが目を着けたのはここ。 自分達もリリスと同化すること。 群体として行き詰まりを見せている人類を、完全なる単体として同化し、人工的に進化させる。 そうすることで神にも等しい力を手に入れると共に、欠けた心をお互いに埋め合わせようとしたのよ。 それが人類補完計画なの。 そこに登場するのがシンジ君、あなたのお母さんなのよ」 「母さんが・・・」 「もともとのあなたのお母さんの論文は、こんなものじゃなかったわ。 環境の変化に適応して生物が進化するなら、人類にも当然それはあてはまるはず。 何らかの変化を人工的に与えてやれば、人類は更に進化する。 おそらくは認識力が増し、よりお互いを理解しあえるようになる。 お互いが理解しあえるようになれば、諍いも競争もなく、互いに平和に過ごせるはず。 より明るい未来を得ることができるはずと考えたのね」 「でも・・・」 「そう、ゼーレは違ったわ。 あなたのお母さんやミサトのお父さんを使って研究を進めさせ、結果だけを吸い上げた。 そして自分達の計画を進めるだけの態勢が整った時、邪魔になった研究者を全て消す気になったのよ。 そのために仕組まれたのがあのセカンドインパクトだったわ」 「消された・・・、父さんが? そんな・・・」 顔面蒼白のミサト。 実際にその場に居て、ただ一人生き残った彼女は、自分が所属する組織の上位組織こそが自分の父親を殺害した真犯人だと知り、言葉を失った。 「セカンドインパクトには、アダムとロンギヌスの槍が使われたわ。 ロンギヌスの槍は、アンチATフィールドを使って使徒を倒すために作られた武器だったの。 リリンが他の使徒を倒せたのも、槍があったからよ。 でも、槍には2種類の使い方があったの。 一方は、使徒を収拾してしまう、言ってみれば掃除機のような使い方。 これは第15使徒を倒した時の方法、つまり使徒を完全に消滅させるのよ。 そしてもう一つが、使徒の全エネルギーを瞬時に放散させてしまう方法。 この方法を使えば、使徒は胎児にまで還元されてしまうわ。 周囲に与える影響は大違いね。 もう解ったと思うけど、南極では第2の方法が使用されたのよ。 そのためにわざわざ、アダムを覚醒させ、活動状態にした上でね」 リツコはそこで、いったん言葉を切った。 そして目だけでゲンドウに、自分の迷いを伝えた。 帰って来た返事は、小さな頷き。 覚悟を決めたリツコは、再び話しはじめた。 「驚かないで聞いて。 ミサト、あなたがあの時南極にいたのには、理由が在るのよ」 「理由?」 「ええ。 エヴァにシンクロできるのが14才の子供だけなのは知っていると思うけど、実はアダムもなの。 アダムを制御するために選ばれた被験者として、あの時南極には2人の子供がいたわ。 あなたと、そしてもう一人」 「あたしが、被験者・・・」 「ええ、そうよ」 「でも、父さんは・・・」 「そこがゼーレのゼーレたる由縁よ。 彼らは、科学者達の中に潜り込ませた部下を使って、偽情報を流した。 遺伝子を採取して、それをアダムに同化させれば制御可能になるはずだと説明したのよ。 でも本当は、子供そのものをアダムと同化させるつもりだったわ。 あなたはたまたま選ばれなかっただけで、唯一の生き残りはもう一人の子供だったかもしれないのよ」 「その子は、どうなったの? それよりも、名前は? どんな子供だったの?」 ミサトは矢継ぎ早に質問を浴びあせ掛けた。 「名前はレイチェル。 レイチェル・ビグラント・綾波。 インド系イギリス人と日本人のハーフの女の子よ。 プロジェクトチームの中の一人、考古学者のアルフレッド・ビグラント博士の娘だった。 もちろん彼女は、アダムと同化させられて、今はもういないわ」 その今はもういないという言葉よりも、被験者にされてしまった少女の名前が全ての人の耳に響いた時のほうが、反応が大きかった。 特にシンジは、一瞬ピクッとして、レイの顔を見た。 しかしレイ自身も、驚きの表情でリツコを見つめていた。 「私の名前・・・」 「ええ、そうよ。 あなたの名前は、彼女からもらったものなの。 それが私達にできる、唯一の贖罪だった。 ゼーレを裏切る組織ではないという仮面を脱がないために・・・。 あえて、セカン、ドイ、インパクト、を、阻止・・・。 阻止しなかった、・・・という罪に対する・・・」 リツコはそこで、嗚咽を上げて顔を伏せた。 「君には荷が重かったようだな・・・。 続きは私が話そう」 リツコの肩に手をおき、話を引き取ったのは冬月だった。 「私がこのNERVに参加したのはそれから3年近く経った頃でね。 直接体験したわけではないが、碇から全てを打ち明けられてからも考え直すことなく参加した。 そういう意味に置いては共犯だ。 私が話しても構わんな?」 最後の質問は、ゲンドウに向けられたものだった。 「お願いしますよ、冬月先生」 その返事は、冬月に苦笑を浮かべさせた。 「ふふっ、君が先生と呼ぶ時は、ろくなことがないな。 さて・・・、その後の彼らの計画は、裏死海文書のとおりに他の使徒を全て倒すことだった。 更には最後に残ったアダムとリリスを使って、人類全てを取り込んで同化する。 そうやってリリスの中で人類は、完全な一個の群体として生きて行くことができる。 これが彼らの人類補完計画だった」 「じゃぁ、NERVは一体?」 「今から話す。 あの時、ゼーレに気付かれないよう、彼らに協力するように見せ掛けて・・・。 しかし彼らの計画ではなく、ユイ君の計画を進めるために準備している組織がいた。 それが私達NERVの前身、ゲヒルンだった。 ユイ君の計画は、ゼーレとはリリスの利用方法が逆だったわけだ。 ゼーレはリリスに受け入れさせることで人類全てを同化しようとした。 しかしユイ君は、逆に人類にリリスを受け入れさせることで、人としての認識力の拡大を図った。 つまり、リリスの力を人類一人一人が持つことで、他の人への理解力を高める計画だ。 ただし、そのためにはエヴァが必要だった。 使徒と戦い、勝つための兵器がね。 使徒を全て倒さないことには、計画は水の泡になる。 そのためだけに、NERVはゼーレに従っている振りをし続けたということだ。 唯一の誤算は・・・、それは・・・」 冬月は、それまでに無いような悲しげで苦しそうな表情をして、押し黙ってしまった。 その視線の先には、リツコがいた。 「私が言ってもいいかね、赤木博士?」 「いえ・・・、これだけは、これだけは自分で言います。 ・・・唯一の誤算は、母さんだったわ。 母さんは、NERVの様子を探るためにゼーレが送り込んだ、監視役だったの。 でも、MAGIを造るためには母さんが必要だった・・・。 だから・・・、だから・・・」 再び涙をこぼして俯いてしまったリツコの肩をぽんと叩いたゲンドウが、代って口を開いた。 「ナオコ君は、私に接近を図った。 女の武器という、もっとも強力な物を使ってな。 私は、その誘いに乗るように見せ掛け、逆に彼女を取り込もうとした。 しかし、それはできなかった。 だから、MAGIが完成した日、レイを使って彼女を始末せざるを得なかった」 「始末って、そんなっ! それじゃぁ、ゼーレが父さん達を殺したのと同じじゃないっ!!」 「いいの、いいのよ、ミサト」 「だって、リツコ」 「いいのよ。 母さんを殺すことを計画したのも、実行したのも、みんな私・・・。 私が、私がこの手で! 実の娘の私が母さんを殺したのよっ!!」 「そんな・・・」 重苦しい沈黙。 やがて、大きく息を吐いたリツコは、また口を開いた。 「全ては過ぎ去ったことよ。 それよりも、あまり時間が無いわ。 先を続けましょう。 エヴァは全て、リリスから作られたの。 でも、固体の分裂には成功しても、魂は生まれなかった。 そこで考えたのが、エヴァと人の同化だったのよ。 ユイさんも、アスカのお母さんのキョウコさんも、自ら志願したわ。 自分達の計画を成功させるため、人類の明るい未来のためにと・・・」 「でも、でも・・・じゃぁ、どうして綾波は・・・」 「知らなかったのよ、みんな。 どうして2人がエヴァに残ったのか。 それが判った時には、2人のサルベージは強行された後だった。 その結果が、初号機はレイとして、弐号機はキョウコさんの抜け殻として現れた。 でも、レイは・・・、レイだけは違った。 なぜならレイは・・・、リリスの魂を受け継いでいたからよ」 「まさか、そんな!」 「本当よ、シンジ君。 あなたは覚えていないでしょうね・・・。 レイを、いえ、リリスのコアを見つけたのは、あなた自身だということを」 「僕が? 綾波を?」 両親に連れられて来たジオフロント。 父は実験施設に篭っていたし、散歩に連れて来てくれたはずの母も、今は別の職員と難しそうな話をしていた。 草地に生える花に止まった蝶に手を伸ばすシンジ。 間近に迫った指に危機を感じた蝶が飛び立つ。 「あぁあ・・・」 飛んでいく蝶を追って口惜しそうな声を出したシンジだったが、ふと手を止めて、森の奥を見た。 誰かに呼ばれたような気がしたシンジは、森の奥によたよたと歩いて行った。 そして、少し入った所にそれはあった。 「きみ、だぁれ?」 『リリス』 「りぃりぃしゅ?」 鈍い赤い光りを放つ小さな球。 小首を傾げたシンジは、それを拾い上げた。 「シンジ、シンジ?」 「あ、おかぁたんがよんでる」 小さな掌がいっぱいになったそれを持って、シンジは母親の所に戻った。 「あらあらあら、こんなにドロドロにしちゃって・・・」 森から出て来た、服のあちこちに土や枯れ葉をくっつけた姿に、ユイは思わず笑みを漏らすと、ぱたぱたと汚れを払ってやる。 「おかぁたん、こりぇ」 誇らしげに両手を差し出したシンジ。 その掌に載せられた物に目が行く。 「まぁ、奇麗ねぇ。 どうしたの、これ?」 「ひよったぁ。 りぃりぃしゅっていうの」 「り、りり・・・・、!」 ユイの表情が一変した。 「シンジ、これ、お母さんがもらってもいい?」 「うん! あげゆぅ!!」 にかっと、自分としては最上級の笑みで元気よく答えるシンジ。 「どうやって見付けたの?」 「ぼく、よばれたよ」 ユイは愕然とした。 自分が今もここにいるのは、使徒、特にリリスとの遺伝子の親和力が高いというデータがあったからだ。 シンジ達の世代には、実験で得られた成果を残すことで、幸せになってもらうことだけを願っていたユイだったが、被験者にさせてしまうことは考えたこともなかった。 どう見てもコアに違いない物を拾った、しかもそのきっかけは呼び掛けに答えたからだ、と言うことは、息子のシンジまでもが自分と同じ資質を有しているということを意味する。 それに思い至ったユイは、居ても立ってもいられなくなった。 シンジを連れ、すぐさま研究所に戻ったユイは、託児所にシンジを預けると、真っ直ぐゲンドウのところへ向かった。 「ユイか・・・、もうすぐ終わる。 シンジと待っていてくれるか?」 「それどころじゃありません」 「どうしたんだ?」 ユイのただならぬ態度に、ゲンドウはいぶかしんだ。 「これを・・・」 白衣のポケットから出された物を見たゲンドウの目が細まる。 「コア、・・・か?」 「リリスのモノです。 シンジ、が見付けました・・・」 ユイの厳しいもの言いに、ゲンドウの目が見開かれる。 「なんということだ・・・。 お前の資質を、シンジも受け継いでいるのか・・・」 その時のことを思い出したのか、ゲンドウは目をつぶると俯いた。 冬月も、その時のことを思い出していた。 「碇・・・」 「あぁ、あの時からだ。 ユイが取り込まれた後、人に預けたのもそのためだ。 シンジに、どう接すればいいか、解らなかった」 珍しく気弱な口ぶりに、誰も何も言うことができなかった。 「そばにいれば、シンジを傷付けるだけだ。 だから、何もしないほうがいい。 自分が人から愛されるとは信じられない、私にそんな資格はない。 そう思い込むことで、自分が傷つく前に世界を拒絶し、逃げていたのだ。 人の心の間にある形も無く目に見えぬものが恐かった。 だから目を閉じたのだ。 その報いがこの有り様だ・・・、すまなかったな・・・、シンジ」 顔をあげたゲンドウは、じっとシンジを見た。 シンジも目線をじっと受け止めている。 「父さん・・・」 「人は思い出を忘れることで生きて行く。 しかし、決して忘れてはならないこともある。 ユイは、そのかけがえの無い物を教えてくれた。 私はな、シンジ。 それを確認するためにここにいるのだ」 「人は、自ら生きて行こうとする所にその存在がある。 それが、自らエヴァに残った、彼女の願いだったな・・・」 「そうだ。 そして、そのためのエヴァであり、NERVだ」 「じゃぁ、父さんは・・・」 「ああ、ゼーレの老人達との共存もここまでだ。 私は、人として生きる。 シンジ、ユイがあの日、残した言葉がある。 これだ」 ゲンドウは引き出しを開けると、古びたノートを取り出した。 その最後のページを開いたゲンドウは、シンジに手渡した。 『全ての生命には、生きて行こうとする力がある。 生きて行こうとすれば、どこだって天国になる。 生きてさえいれば、幸せになれるチャンスは、どこにでもある。 太陽と月と地球がある限り、大丈夫』 「母・・・さん・・・」 ノートを握り締めた手が震える。 そのページに、水滴が落ちた。 「そうか、お前にも解るか、シンジ・・・。 ユイの願いが」 「うん・・・、父さん、うん・・・」 シンジを見つめるゲンドウのまなざしは、それまで見たこともないような優しげなものだった。 「ゼーレの老人達はいよいよ、補完計画を発動させる気でいる」 「そのためにまだ、委員会は使うつもりなのよ。 アダムやNERVではなく、あのエヴァを」 その途端、司令室が暗転し、周囲を取り囲むようにモノリスが現れる。 『最後の晩餐は済んだかね、碇?』 「あ、な、なに?」 「慌てるな、ただの立体映像だ」 腰を浮かして周囲を見まわすシンジに、ゲンドウは笑みを浮かべた。 『約束の時は来た。 ロンギヌスの槍を失った今、リリスによる補完はできぬ。 唯一、リリスの分身たるエヴァ初号機による遂行を願うぞ』 「ゼーレのシナリオとは違いますが?」 「人は、エヴァを生み出すためにその存在があったのです」 「人は、新たな世界へと進むべきなのです。 そのための、エヴァシリーズです」 『我らは人の形を捨ててまで、エヴァという名の方舟に乗ることはない』 『これは通過儀式なのだ。 閉塞した人類が、再生するための』 『滅びの宿命は新生の喜びでもある』 『神も人も、全ての生命が死をもって、やがて一つになるために』 「死は何も生みませんよ」 『死は、君達に与えよう』 現れた時と同様、全てのモノリスが一斉に消える。 「聞いただろう、いよいよ始まる」 ゲンドウは、全員の顔を見渡した。 「総員、第一種戦闘配備」 「はいっ!」 全員が、弾かれたように席を立つ。 「シンジ」 ゲンドウはシンジを呼びとめた。 「はい」 「エヴァシリーズを全て倒せ。 我々が生き残る道はそれしかない」 「はい!」 最後に残ったレイに、ゲンドウは微笑みかけた。 「シンジを頼むぞ、レイ・・・」 「はい」 ドモドモ、J.U.タイラーでっす!(^^)/ はい、「トリプル・イフ」こと「ぱぱげりおんIFのifのIF」の第参話をお届けします。 結局6話構成になりそうです。 初めは2〜3本程度で終わるはずだったのにねぇ・・・(苦笑) そんなわけでこの話は、もうちょっとお付き合い頂くことになりそうです。 見てお解りのとおり、この「トリプル・イフ」シリーズは、ノリとしては「ダブル・イフ」シリーズの第壱拾弐話〜第壱拾五話「過去との出会い」四部作とほぼ同じ時間の、パラレルワールド的な物として書いています。 なので「ダブル・イフ」と違って、かなり重いストーリー展開になっています。 今回はお判りのとおり、2部構成になっています。 最初は第17使徒戦。 異論はいろいろとあると思いますが、これで終わるわけではありません、というか、このお話全体からすると、ようやく中間点に差し掛かるかどうかの位置です。 何が言いたいか判りますよね?(笑) ここで消えるようなチョイ役じゃないですよ、「鋼鉄の使者(by みゃあ)」は(^^) 後半は、セカンドインパクトやら補完計画にオリジナルの解釈を与えて、それとこれは恐らく数あるエヴァFFの中でも初だと思うのですが、裏死海文書にも触りました。 死海文書は、名前のとおり死海の遺跡から発掘された、いわゆるキリスト教系の古文書としてバチカンの奥深くに秘蔵されているとして有名なアレですが、裏死海文書は歴代法皇のみが閲覧を許される秘中の秘として、かの有名な「ムー」という雑誌にも何度も取り上げられた物で、存在自体も疑わしいのですが、私としては、こういう内容だったら、確かにキリスト教徒なら嫌がるだろうな、という所まで踏み込んでいます(笑) 今回はある意味、リッちゃんとミサトが主役かもしれません。 改訂版後書き・・・、と言うほどでもないか(^^; 最終話を書き上げて、何度も読み返してみて、やっぱりどうしても書き直したいと思った部分ができましたので、結局全話に筆を入れました。 ほとんどは話の切り方の変更だけですが、極々一部には文章にも手を入れています。 次回予告 舞い降りる白いエヴァ。 人類にとっての死神。 ゼーレにとっての天使。 戦場に、シンジの叫びがこだまする。 次回、「ぱぱげりおんIFのifのIF」・第四話 合言葉は、トリプル・イフ! いやぁ、小説って、本当にいいもんですね。 それではまた、このページでお逢いしましょう。 でわでわ(^^)/~~ |