HAPPY IN LOVE

エヴァンゲリオンH番外編

作者/K-2さん

 

 

     ―――――コンフォート17マンション・11−A−2号室―――――

 

 

 

 

 

 

少し早目の昼食が終わった後

 

(ちなみにメニューは『五目炒飯』と『中華風卵スープ』だった)

 

すっかり『おさんどん』が板に付いてしまった僕――碇シンジは食器の後片付けをしていた。

 

 

 

 

 

 

洗剤をつけたスポンジで、丁寧に油汚れを落とす。

 

普段の僕なら、鼻歌交じりにこなす程度の作業だ。

 

が、今日に限っては、もう既に二度ほど皿を割りそうになっている。

 

 

 

僕は、―――――激しく動揺している。

 

 

 

 

 

『二度目』だから多少慣れているとは言え、使徒との闘いは命懸けだ。

 

その中ですら、ついぞ見せた事の無い動揺が全身にみなぎっているのが分かる。

 

 

全身が、心臓になったみたいにドキドキしている。

 

 

 

(変……だな。僕は……どうしちゃったんだろう?)

 

 

 

精神の表層ではそんな寝呆けた事を考えていたけど、

 

本当は僕にも、この動揺の理由は判っていたのだと思う。

 

 

 

 

皿を洗う手を休め、『動揺の原因』の方にゆっくりと振り返る。

 

 

僕らがさっき昼食を摂ったダイニングテーブルには、

 

頬杖を付いて座り、こっちを見つめる少女がいた。

 

僕が密かに「今度こそ、命を懸けても必ず守る」と誓いを立てている、希代の天才美少女。

 

 

 

      ・・・セカンドチルドレン――惣流・アスカ・ラングレー・・・

 

 

 

 

 

              ――いつも僕に怒り散らし――

 

 

             ――何かに付けて文句を言って――

 

 

           ――事ある毎に僕を楽しそうにおちょくる――

 

 

 

                ――――アスカ――――

 

 

 

     ――あの「怒り虫」のアスカが、何故だか今日は、ずっと微笑んでいる――

 

 

            ――それが、とてつもなく可愛く見える――

 

 

 

 

 

 

  その髪は、紅茶で染め上げたように鮮やかな赤味を帯びた金髪。

 

  正午過ぎの日差しが射し込み始めた室内で、

 

  その髪は熱を持たぬ焔のように、幻想的に揺らめいて見える。

 

  白磁の如く白く透き通る、新雪のようにきめ細かい肌。

 

  珊瑚礁の海を焼き付けたかのような、深く透き通る瑠璃色の双眸。

 

  化粧なんかしなくても薄く櫻色に染まる瑞々しい唇が、華のような微笑を浮かべている。

 

 

 

(……………天使…だ……)

 

 

 

その瞳に魅了されて、僕はそんな事を思った。

 

 

多分魂を抜かれたようになっているであろう僕の視線を、可笑しそうに見つめ返す『天使』。

 

はっきりと――とても幸せそうに――笑ったその笑顔に、僕はますます引き込まれる。

 

 

 

「どうしたのよ?ぽーっとしてると、お皿落っことすわよ?――バ・カ・シ・ン・ジ」

 

 

 

からかうような、それでいて優しい言葉を受けても、

 

 

 

「………あ、……うん」

 

 

などと間の抜けた返事を返すばかりになってしまう。

 

あのターコイズブルーの瞳に見つめられる度に、鼓動は早く、思考は鈍くなっていく。

 

 

(これが世に言う『骨抜き』って状態なのかな?)

 

(………それとも『虜』?)

 

(………『骨抜き』と『虜』って………、状況的に、どっちがより末期症状なんだろ?)

 

 

 

他人事のようにそんなことを考える僕に、アスカが話し掛けてくる。

 

僅かに頬を染めている様に見えるのは、きっと錯覚だろう。

 

アスカが僕を見て頬を染めるなんてこと、あるわけ無いもの。

 

 

 

「ね?シ〜ンジ! アンタ、今日は……これから暇?」

 

「……へ?…ぼ、僕?」

 

 

みっともないくらい裏返る僕の声。

 

アスカが、少し呆れたように、でも相変わらず幸せそうにそれに答えてくる。

 

 

「今は二人っきりでしょ〜が?アンタの他に誰がいんのよ!」

 

「そ、そうだよね……ウン」

 

「で?どーなのよ、暇なの?」

 

「う、うん。特に予定も無いけど……」

 

「じゃ、決まりね!それ(皿洗い)、さっさと済ましちゃいなさいよ」

 

「決まりって……??」

 

 

話に付いて行けずきょとんとする僕を尻目に、

 

アスカはなにやら嬉しそうに、指折り数え始めた。

 

 

「映画観に行って〜、買い物して〜、ちょぉっと豪華なレストランでディナ〜♪♪

 

 ―――――予定が無いんなら、当然付き合うわよね?」

 

「……どうしたの?アスカ。いきなりそんな事言い出すなんて……」

 

 

買い物に付き合わされるのは、まあよくある事としても、映画にディナー??

 

 

「なによ……、ヤなの?」

 

 

途端に、まるで捨てられて仔犬みたいな寂しげな、

 

すがるような目をして僕を見つめるアスカ。

 

そんな表情をされて、僕はまるで壊れたおもちゃのようにプルプル首を横に振った。

 

 

「い、嫌なんかじゃないよ!……少し驚いただけで……」

 

「じゃ、早く洗っちゃいなさいよ?アタシは着替えてくるから」

 

 

アスカは満面の笑みを浮かべて立ち上がり、自室に歩き出しかけて急に立ち止まる。

 

 

「あ!!……ね?アンタも着替えるんでしょ?」

 

「うん、さすがにこのカッコじゃ、ね」

 

 

そう言って、僕は自分の服を見た。

 

着古した『XTC』のTシャツに洗いざらしのGパン。

 

さすがにこの恰好では、近所のコンビニにすら行きづらい。

 

 

 

「着替えるんなら、とびっきり気合入れた服、選ぶのよ!?」

 

「気合??」

 

「そー!気合!!日本語で言う『いっちゃら』……だったっけ?それを着るの!」

 

「それって……一張羅の事を言ってるの?」

 

「そう、それよ!!『いっちょ〜ら』!!

 

 ……せっかく・この・アタシが・デートに誘ってやってるんだからね!」

 

 

 

                  にっこり

 

 

 

その破壊力抜群の言葉と笑顔に、僕は遂に、拭いていた皿を一枚落としてしまった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ―――――映画館『ミラクル座』前―――――

 

 

 

 

映画を観終わって映画館を出ると、僕はごく小さく嘆息した。

 

 

(『デート』なんて言うから、てっきり恋愛映画でも観せられるのかと思った)

 

 

いわゆる『ラブロマンス』がイマイチ好きになれない僕は、

 

その懸念が杞憂に終わってほっとしていた。

 

 

アスカのセレクトした映画は、封切り前から話題になっていたアクション物の洋画だった。

 

 

  一般人への煽り文句は―――――『空前のアクション超大作』

 

  映画評論家の評価は―――――『潤沢な予算を注ぎ込んだB級アクション』

 

 

まぁ、そういった類の映画だ。

 

一般人である僕には、充分楽しめる内容の筈だったんだけど………。

 

 

 

 

僕は正直、映画どころの話じゃなかった。

 

隣に座ったアスカに、上映中ずっと手を握られっぱなしだったから―――――、

 

 

 

 

 

(しかも、まだ握りっぱなしなんだよな)

 

 

思いつつ視線を落とし、自分の右手に軽く絡められた、白く細い指を見やる。

 

上映中は、映画の内容にのめり込んだアスカが握り締めてきて痛かったりもしたのだが、

 

今は緩く、温もりを伝える程度に繋いでいるだけだ。

 

 

 

今の僕には、何物にも代え難い温もりを―――――

 

 

 

 

(一体、どういうつもりなんだろ、アスカは?

 

 買い物の荷物持ち以外の理由で、僕を連れ出すなんて……。)

 

 

(………………………しかも、……『デート』だなんて。

 

 

 今まで二人っきりで出掛ける事も、皆無って訳じゃなかったけど、

 

 『デート』なんて単語、口の端にも上らせなかったのに……………)

 

 

(…………………考えすぎ、だよな。多分、からかってるだけ、なんだろうな)

 

 

手を引いて歩き出したアスカの背中を見ながら、僕はそんな埒も無い事を考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

     ――――大型総合百貨店ビル『ツイン・シティ』3F――――

 

 

 

 

アスカはショッピングの間も、繋いだ手を離そうとはしない。

 

 

 

「あ!ほら、シンジ、あれ見て!あの服!!かわいい〜!!」

 

 

 

「ぷっ!!なにこれ〜、『さるぼぼ』?変なのぉ〜!!あはは!」

 

 

 

「む?むぅ……、こ…この柔と剛の合体は……秀逸なデザインね」

 

 

 

ちなみにここは、アスカや綾波達と水着を買いに来たデパートだ。

 

いつもなら手当たり次第に(少なくとも僕にはそう見える)買い物をするハズのアスカ。

 

でも今日は、楽しそうに歩き回るだけで、特に何も買おうとはしなかった。

 

ただ、常に笑顔を絶やさず、何だかとても幸せそうに僕の手を引いている。

 

 

彼女を想い続けてきた僕としては、その態度は勿論嬉しかったのだが、

 

その豹変ぶりには少々困惑もしていた。

 

 

 

と、アスカの足が止まった。――――百貨店の貴金属売り場だ。

 

食い入るように見つめる彼女の視線の先には、

 

シンプルなデザインの指輪が幾つか並んでいる。

 

その指輪をたっぷり3分間は見た(睨んだ)後、

 

 

             『ぐるん』

 

 

アスカは体ごと僕の方へ振り返った。

 

サミットで各国首脳がする『固い握手』のように、

 

繋いでいた僕の右手を両手で握り締め、なにやら熱ぅぅい視線を送ってくる。

 

 

 

(…………『目は口ほどに物を言う』って……、ホントだな)

 

 

 

一応『国際公務員待遇』の僕らチルドレンには、ネルフから毎月の給料が出る。

 

まぁ、命懸けで人類を守ってる子供達に対して、としては『それなりの額』が。

 

買い物に行く度に呆れるほどのモノを買い込んで、

 

月末には必ず財政を逼迫させるアスカと違って、僕はほとんどお金を使わない。

 

せいぜい、毎日の食卓に並ぶ食材に『高くても良い物』を厳選するくらいだ。

 

貯まりゆくお金の使い道を、特に思い付く訳でもない。

 

 

 

僕は、アスカが見ていた指輪に目をやる。

 

 

(俗に言う『給料三ヶ月分』の値段だけど……、ネルフの給料からすると二月分弱……。

 

 別に使う予定も無いお金だし、せっかくアスカが誘ってくれたんだもんな………)

 

 

 

相変わらず、闘志ミナギル目つきで『じぃぃぃっ』っとこちらを見つめてくるアスカ。

 

僕は僅かに苦笑しながら、その瞳を見つめ返して口を開く。

 

 

 

「欲しいの?」

 

「!! う、うん。まぁね?買ってくれても、いいわよ」

 

 

 

期待に目を爛々と輝かせ、僅かに頬を上気させながら言うアスカ。

 

 

―――――――可愛いんだけど―――――少し怖い――――

 

 

 

「わ、分かった。じゃ、プレゼントさせてもらうけど……」

 

「けど?」

 

「後で一つだけ、質問に答えてくれる?」

 

「?……一つだけ、ね?なら、良いわよ」

 

 

 

『お決まりですかぁ?』

 

見計らったかのようなタイミングで、女性店員が声をかけてくる。

 

 

 

「あ、はい。………って、どれにするの?」

 

「シンジが決めて。あたしに似合うと思うヤツを」

 

「へ!?…僕が決めるの?

 

「そう!アンタが決めないと意味無いでしょ?」

 

「?? 意味無いって……、何が?」

 

「い〜から!早く選ぶ!選ぶ!!」

 

 

「??………う〜ん…………」

 

 

 

買い物の荷物持ちに連れ回す事はあっても、

 

僕に意見を求める事なんか一度も無かったのに。

 

 

 

やっぱり、今日のアスカはいつもと違う。

 

喋り方とかはいつも通りなんだけど、

 

何て言うか………………、普段より……………………、

 

 

          『僕に近い』

 

 

そんな気がする。何故なのかはサッパリ分からないけど。

 

 

 

ま、それはともかく、―――――今重要なのは、『アスカに似合う指輪の選考』だ。

 

アスカの性格からいって、迂闊な選択は『理不尽な怒り』→『不機嫌』に直結する。

 

ここは、慎重に…………………………………………………。

 

 

 

「…………………………………………………これ、かな」

 

 

熟考の末に僕が選んだのは、

 

プラチナとダイヤの少し大人っぽいデザインの物だった。

 

手に取って、アスカに示してみせると『大いに満足』と言わんばかりにぶんぶんと頷く。

 

 

 

「それじゃこれを……」

 

『ありがとうございますぅ!!それでは指のサイズをお測りしますんでぇ………』

 

 

 

やたらと元気良く営業スマイルを振りまく女性店員に促されて、

 

「はぁい♪」などと言いながら左手を差し出すアスカを、僕はぼんやりと見つめた。

 

 

 

(……………………………………………………………………)

 

(あ……!アスカの指、綺麗だなぁ……。格闘の訓練してるのに、全然骨張ってないや)

 

(俗に『白魚のような』なんて言われるけど……、ホントに、綺麗だ)

 

(爪も、まるで真珠みたいだし。マニキュアとか塗ってないのに……)

 

 

 

『…………………………………あのぅ、お客様ぁ?』

 

「ちょっとシンジ?ぽーっとしてないで、アンタも指出す!!店員さん困ってるじゃない!」

 

「………へ?何で僕まで」

 

「何でって………アンタねぇ……」

 

 

そこはかとなく呆れた声を上げるアスカ。

 

 

 

『……お客様、この商品はペアリングでしてぇ……』

 

「……?ペア…リング??」

 

「アンタ、いくらバカシンジだからって、

 

 まさかペアリングが何か知らない、だなんて言わないわよね?」

 

 

「べアリングは知ってるけど……、金属製の球――」

 

 

 

        スッパァァァーン!!

 

 

「お約束ボケ禁止!!次に言ったらはっ倒すわよ?!」

 

 

いずこからか取り出したスリッパで、僕の頭を思い切り『はっ倒す』アスカ。

 

ここまで絶妙のタイミングでツッコまれると、いっそすがすがしい気分になる。

 

………………痛いけど。

 

 

 

「ほら!さっさと指出して!」

 

 

そう言うや、アスカは強引に僕の左手の薬指を掴むと、女性店員の前に突き出した。

 

女性店員は、込み上げる笑いを懸命に堪えながら僕の指のサイズを測り、

 

いそいそとカウンターの奥に消える。

 

 

 

『こちらが商品になりますぅ。どうも有り難うございましたぁ!

 

 また、お越しくださいませぇ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(まったく、アンタのせいで恥かいちゃったじゃないの!バカシンジ!!)」

 

「(問答無用でツッコミ入れといて、僕だけのせいにしないでよ、アスカ……)」

 

 

 

貴金属売り場から逃げるように離れながら、小声で言い合う僕ら。

 

何となくお互いの視線が合う。

 

お互いの瞳に映る、『何かを堪えてる』顔。

 

 

そして、お互いがほぼ同時に、『堪えていた物』の限界を迎える。

 

 

(あ……、ダメだ)

 

 

 

「…………………………………………ぷっ」

 

「…………………………………………くくっ」

 

 

「「あははははははははははははははははははははっ!!」」

 

 

 

僕らの笑い声は、見事にユニゾンしてあたりに響く。

 

 

 

「こぉら!ナニ笑ってんのよぅ、バカシンジ……ップ、クククッ、クスクス」

 

「ア、アスカだって、笑っ……てる、ぷぷっ、だろ?……ぷふふふ」

 

 

「あははははははっ!!ばぁか、ばかシンジ〜♪」

 

「なんだよ、ぷぷっ、あはははははははは!!」

 

 

 

もう、『始めに何が可笑しくて笑い出したか』なんて関係なかった。

 

 

 

ただ、可笑しくて、

 

 

 

       楽しくて、

 

 

 

          僕らはずっと、

 

 

 

             笑いながら歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              ――――同ビル19F――――

 

 

 

 ――――高級☆☆☆☆☆(五つ星)レストラン『Myaa’s Room』店内――――

 

 

 

 

「うっわ……、すごいな、これは」

 

 

 

 

店内を見渡して、僕は軽く嘆息した。

 

ここは、外食を滅多にしない僕でも、その名を聞き及ぶ高級イタリアンレストラン。

 

厭味でない程度の間接照明を使って照らし出される店内は、

 

『高級感』と言う言葉を具現化したような空間だった。

 

けっして派手ではないのだが、豪奢な雰囲気のインテリア。

 

各テーブルに置かれているランプ一つ取っても、

 

さっき買った指輪の値段を軽く上回る物だろう。

 

『下品でない高級感』とでも言えば良いのだろうか。

 

案内された窓際の席に付く頃には、僕は完全に雰囲気に飲まれていた。

 

 

 

「うっっわぁ〜♪見て見て!シンジ!夜景が…綺麗〜!」

 

「う、うん。……そうだね」

 

「なぁに?ど〜したのよ、ぽけ〜っとしちゃって」

 

 

僕は軽く店内を見渡してから、小声で話しかける。

 

 

「いや、あの……。なんか、場違いじゃないかな、って思って……」

 

「アタシが??」

 

「ち、違うよ!アスカは、すごく馴染んでるよ!」

 

「アンタだって、そう悪くはないわよ?自信持ちなさいよ」

 

 

そう言って、アスカはテーブル越しに手を伸ばし、僕のネクタイに触れた。

 

 

僕が今着ているのは、デザイナーズブランドのスーツだ。

 

チャコールグレイの上下に、アイボリーのYシャツ。落ち着いたワインレッドのネクタイ。

 

少し前、ミサトさんやマヤさんと一緒に綾波の私服を買いに行った時、

 

 

「シンちゃんも、フォーマルな服の一着や二着、持ってたほーが良いわよ?」

 

 

というミサトさんの忠告により、買っておいた物だ。

 

(ただし、見立ては後から来たリツコさんにしてもらった)

 

まさか、本当に着る機会があるとは思ってなかったけど……。

 

 

 

 

「アンタって、割とスーツも似合うのね。ま、均整の取れた体つきしてるから、かな?」

 

「あ、ありがとう。その、アスカもすごく、似合ってるよ、その服」

 

 

 

アスカは、僕の言葉に一瞬、驚いたように固まった。

 

が、すぐに窓の方を向いて、

 

 

 

「あ、アンタにしては、気の利いた受け答えね。

 

 う、うん。ま、まあ、悪くない受け答えよ。

 

 な、75点、ってとこかしら。

 

 でも、『その服』とか言うの、余計よ!そ〜ゆ〜時は、一言

 

 

         『綺麗だ……』

 

 

 とか言えば良いの!!

 

『え、えと』とか『その』とか、どもるのは減点の対象になるんだからね!!」

 

 

 

などと、やたら早口にまくし立てた。

 

心なしか頬が赤く見えるのは、ランプの灯かりの所為なんだろうか?

 

 

 

アスカが着ているのは、丈の短い、襟無しのジャケットに、

 

ジャンパースカートっぽいドレス。

 

ジャケットは淡いベージュ、ジャンパースカートは濃いワインレッドだ。

 

薄くルージュでも引いているのだろうか?

 

妙に艶っぽい唇が、なんだか、すごく大人っぽい。

 

 

 

本当は、僕も『綺麗だ』って言いたかった。

 

口を衝いて、その言葉が出掛かった。

 

けど……………、恥ずかしくって言えなかった。

 

 

 

(こういうトコロは、なかなか変えられないんだよな)

 

 

(多分加持さんなら、そんなセリフもさらっと言えるんだろうけど……)

 

 

恐らく、ネルフ一の伊達男であろうミサトさんの彼氏を思い出して、心の中で苦笑する。

 

 

(アスカが憧れるのも無理ないよ。男の僕から見ても、カッコイイからな、加持さん)

 

 

 

ボーッと考え込んでいると、目の前をヒラヒラと白い物が動く。

 

目を上げると、アスカが白い手を目の前で振っていた。

 

その指には、いつの間にか、さっき買った指輪がはめられている。

 

 

 

「どう?シンジ。似合う?」

 

 

嬉しそうに笑いながら、左手の手の甲をこちらに向けるアスカ。

 

その薬指には、慎ましい自己主張と共に、プラチナのリングがあった。

 

 

「うん、よく似合うよ。ホント、思った通りだ……」

 

「何が?」

 

「アスカの指って白いし、ほっそり長くて綺麗だから、

 

 そういうデザインが似合うって、思ったんだ」

 

 

 

加持さんを意識したからだろうか?

 

今度は淀み無く、そういう言葉が出る。

 

自分でもびっくりした。

 

アスカの顔が、今度はハッキリ、『ポッ』っと効果音が聞こえそうなほど赤くなった。

 

 

 

「あ、あああアンタも、して、みなさいよ!その…、指輪!」

 

「へ?……あぁ、うん、そうだね」

 

 

 

僕は取り出した指輪を、少し迷って、左手の薬指にはめた。………アスカと、同じように。

 

 

(深い意味なんて、あるわけ無い。――無い筈だ)

 

 

そう思っても、やっぱり少しドキドキしてしまうのは、自意識過剰なんだろうか?

 

 

 

「男が指輪とかするのって、やっぱなんか、キザったらしいわね」

 

 

開口一番、アスカがそんな事を言う。自分で付けろって言ったくせに……。

 

でもその後すぐに、僕の左手を掴んでしげしげと眺めると、満足そうに微笑する。

 

 

「でもまぁ、悪くないわよ?シンプルだし。あんまり厭味じゃない」

 

「そ、そう、かな?良かった……」

 

「うん!気に入ったわ、この指輪!!

 

 だから、まあ一応、大事にしてあげる♪♪

 

 で、当然の如くアンタも大事にするように!

 

 念のために言っとくけど、無くしたりしたら死なすわよ?」

 

 

そんな風に言って、アスカはまた笑った。

 

悪戯っぽい、でも幸せそうなその微笑みに、僕も自然と微笑み返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

店を出て、エレベーターホールに歩を進める間、僕は軽く放心していた。

 

僕は最初、店の雰囲気に気圧されていたが、料理の味はそれ以上の物だったのだから。

 

 

 

『Myaa’s Room』の料理は、ただただ感嘆するしかない程美味しかった。

 

 

 

僕は嘆息して、言った。

 

 

「すごいね。あれがプロの技なんだ……。あういう物を作れるのが」

 

「ふ〜ん。ま、確かに美味しかったけど、良い材料使ってるからじゃないの?」

 

「そんな事ないよ。僕は、なまじ自分で料理するだけに、

 

 目の前にある料理に、どれだけの手間と技術が注がれているかが分かるんだ。

 

 あそこのコックさんは、間違い無く腕利きだよ!」

 

 

思わず熱弁を振るってしまった僕を、アスカがやや呆れたように見つめる。

 

 

「………料理の事となると、必要以上に熱くなるわね、アンタって。

 

 ………………つまりは、『五つ星』もダテじゃ無かったって事?」

 

 

「うん、そうだね」

 

「フ〜ン?ま、『葛城家の料理の鉄人』碇シンジ君が言うなら、そうなのかもね。

 

 

 でもさ、アタシ思うんだけど、

 

 同じ料理をシンジが作ったら、もっと美味しいんじゃない?」

 

 

「僕が?僕はあんなすごいの作れないよ」

 

 

 

アスカの突拍子もない提案に、思わず苦笑してしまう。

 

 

「確かに皆、僕の料理を美味しいって言ってくれるけど、

 

 僕のは所詮家庭料理のレベルだよ。プロのそれとじゃ、比較にならないって」

 

 

 

だけどアスカは、静かに首を振って言った。

 

 

「アタシ、料理の事はよくわかんないけど、

 

 シンジの料理が美味しいのは、調理技術が優れてるって事だけが理由じゃないと思う」

 

 

19Fに到着したエレベーターに乗り込むと、くるりと振り返り、

 

僕の胸を指差しながらアスカは続けた。

 

 

「シンジは料理を作る時、アタシや、レイや、ミサトの事を考えて作るでしょ?

 

 各人の好みとか考えるのは勿論、アタシ達の事、思いやって作ってくれてるでしょ?

 

 そういうの、伝わるのよ。アンタの料理から。

 

 

 ……だから美味しいのよ、シンジの料理は。

 

 

 ……………………きっと、そういう事よ。

 

アタシが言うんだから、間違いないわ。

 

 ………………………………………………………………………………

 

 ………………………………………………………………………………

 

 ………………………………………………………………………………

 

 フフッ、なぁ〜〜んてね☆、我ながら名演説ね!

 

 どう?カンド〜した??シンジ」

 

 

 

 

「………………………………う、うん。………ありがとうア…スカ

 

 …………その、…………すごく、嬉………しい……よ」

 

 

 

 

 

俯いた僕には、アスカがどんな顔をしているのか分からなかった。

 

顔を上げてても、ぼやけて良く見えなかっただろう。

 

ただ………………、

 

 

 

『………バカシンジ……、泣いてんじゃ無いわよ………』

 

 

 

と言って僕の頭を軽く撫でてくれたアスカの声は、とても優しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             ――――第3新東京市展望台――――

 

 

 

 

『帰る前にちょっと寄り道しよ?』

 

と言うアスカに連れられて、僕たちは、馴染みの峠の展望台に来ていた。

 

 

 

「レストランからの夜景も良かったけど、アタシやっぱりこの眺めの方が落ち着くなぁ〜」

 

「………そうだね。僕もここからの眺めが、一番好きだな」

 

 

夜の帳の下りた第3新東京市。

 

街の明かりは電気による物の筈なのに、何故だかとっても暖かい。

 

 

 

 

言ったきり、二人とも黙って夜景を見つめる。

 

 

 

アスカは夜景に見入って沈黙したんだろうけど、勿論僕は夜景ではなくアスカを見ていた。

 

―――こっそりと、だけど。

 

 

 

 

 

「あ!―――そ〜言えば」

 

 

アスカが唐突に声を上げ、僕に向き直った。

 

 

 

 

「質問って、何?」

 

「え?………質問??」

 

「指輪買ってくれた時の交換条件よ。アタシに一つ、質問があるんでしょ?」

 

「あぁ、アレか……」

 

「答えるわよ、何でも。なんなら3サイズでも……」

 

 

悪戯っぽい(小悪魔的とでも言うか)笑みを浮かべてアスカが歩み寄る。

 

両方の二の腕で胸を挟んで強調するような、わざとらしい腕組みでポーズまで取っている。

 

僕はしどろもどろになりながら、理性を最大動員してアスカから視線を逸らした。

 

 

「い、いや、そう言うんじゃ無くてさ…」

 

 

一瞬、ホントに3サイズを聞こうかと思う気持ちを抑えて、続きを口にする。

 

 

「アスカ、今日はなんだかずぅっと幸せそうだったから、何か良い事あったのかなって」

 

 

 

僕の言葉を聞いて、アスカは一瞬ポカンとした顔をした。

 

が、次の瞬間、半眼になって僕を見やると、

 

 

「鈴原並みの鈍感ね、アンタ」

 

 

と吐き捨てて、ウンザリしたように深々と嘆息する。

 

 

「そ、その言い方は僕とトウジに、二重に失礼だと思う……」

 

「何よ、ホントの事でしょーが?!」

 

 

 

噛み付くようにそう言い返した後、アスカは呆れたような微笑を僕に向けた。

 

 

「?アスカ??」

 

「まぁったく、ホント、アンタってバカシンジよね〜。」

 

「そんな事言われたって……」

 

 

返答に窮した僕がそう呟くと、アスカは僕の両肩に手を置いて俯いた。

 

そのまま大きく三回深呼吸した後、僅かに紅潮した顔を僕に向ける。

 

エヴァに乗っている時と同じ位、いや、もしかするとそれ以上かもしれない真剣な眼差し。

 

アスカはゆっくりと、僅かにかすれ、震える声で言った。

 

 

 

「い〜い?一回しか言わないわよ、質問も無し。いいわね?

 

 

  『アタシがどうして幸せそうなのか』

 

 

 その理由はね………………、

 

 

 

              自分の気持ちに、気付いたの。

 

 

 

               それでね、開き直ったの。

 

 

 

            その気持ちを、受け入れるって決めたの。

 

 

 

        そうしたら、自分がいかに幸せな状況に居るか分かったの。

 

 

 

    求めて止まなかった幸せに、実は自分が包まれていたんだって、分かったのよ。

 

 

 

                   だから、

 

 

 

            アタシは今も、きっとこれからもずっと、

 

 

 

               すっっっごく幸せよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             そう言って、アスカは笑ったんだ。

 

 

 

                   今日一番、

 

 

 

                   ううん、

 

 

 

             僕が今まで見た中で一番いい笑顔で。

 

 

 

 

 

 

こんな事言うとまたアスカに『バカシンジ!』って怒られるかもしれないけど、

 

実を言うと結局、僕にはアスカの幸せの理由がよく判らなかった。

 

 

でもそれでもいい。

 

一番大切な、僕が常に心配してた事については、判ったんだから。

 

 

 

今の生活が、アスカにとって幸せな生活なんだって判ったんだ。

 

 

アスカをこんな笑顔にさせるぐらい、幸せな生活なんだって……

 

 

だったらそれでいい。

 

それに対して僕のする事なんて、ただ一つだけ。

 

 

 

    『アスカを、

 

       そして、

 

         アスカの幸せを守る』

 

 

 

結局当たり前の、以前と同じ結論だけど、

 

それはつまり、僕の決意は間違ってなかったって事。

 

 

 

 

ほっとしてた僕に、アスカがそっと、呟くように言った。

 

 

「ありがとね、シンジ」

 

 

 

 

 

――――ただ躰が感じる。

 

 

後頭部に回り、引き寄せようとするアスカの右手。

 

 

右肩を掴み、微かに震えるアスカの左手。

 

 

胸に僅かに押し付けられている、アスカの柔らかな、モノ。

 

 

額をくすぐる、アスカの紅茶色の金髪。

 

 

頬に感じる、柔らかな吐息。

 

 

そして唇に感じる、僕の『一生』で三度目の感触。

 

 

 

 

「ん……、っは。………」

 

 

唇を離し、軽く息をつくアスカ。

 

 

朱に染まった頬。

 

僅かに潤む、蒼碧の瞳。

 

 

 

僕と目が合ったアスカは、僅かに照れたように笑った。

 

 

「……コラ、ぽ〜っと見るな!目ぐらい閉じなさいよ、情緒の無い」

 

「………………あ、うん」

 

 

 

訳が判らない。

 

何故僕はアスカとキスしてるんだ??

 

どうしてアスカは僕に??

 

また『暇つぶし』??

 

 

 

呆然とする僕を余所に、アスカが幸せを噛み締めるみたいな口調で呟く。

 

 

「はじめてした、シンジとのキスの味は、デザートのレモンジェラートの味、か。

 

 

 甘酸っぱいファーストキス………。

 

 

 うん!!出来過ぎだけど、なんかイイな、こ〜ゆ〜のも♪」

 

 

 

なんだかそんな事、言ってた様な気がする。

 

 

ただ、放心状態の僕の耳には、意味のある言葉に聞こえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こぉらぁ!!ボーッとしてると置いて帰っちゃうわよ!バカシンジ!?」

 

 

澄んだ声。

 

何時の間にか展望台の出口まで歩み去っていたアスカの呼びかけで、

 

現実に引き戻される。

 

 

もう一度響く、澄んだ声。

 

 

今日聞いた中で、それは一番嬉しい台詞だった。

 

 

 

 

 

              「帰るわよ、アタシ達の家へ!」

 

 

 

 

 

                                       Fin

 

 

 

 

 

 ******************(おまけ)*******************

 

 

               ―――――帰り道―――――

 

 

 

「あ゛!!」

 

「は?何??どしたの、シンジ?」

 

「………忘れてた」

 

「何を??」

 

 

 

 

 

 

 

 

       ―――――コンフォート17マンション・11−A−2号室―――――

 

 

 

        ―――――――――(忘れられていた二人)――――――――――

 

 

 

 

「ちょぉぉっとぉぉぉ!!シンちゃん達、何処行っちゃったのよぉぉぉぉぉ!!

 

 ひもじいじゃないのぉぉ!!!」

 

 

「....碇君....お腹、空いた」

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――(後書きに替えて)――――――――――――――――

 

 

第一回『権謀術数座談会』

 

 

   作者@K−2(以下;K)

 

 

   超絶天才美少女;惣流・アスカ・ラングレー嬢(以下;アスカ様)

 

 

   永遠のおさんどん少年;碇シンジ君(以下;シンジ君)

 

 

以上三名にてお送りいたします。

 

 

 

K「みゃあ様、ごめんなさいぃぃぃ!!」

 

 

アスカ様「うっわ、いきなり詫びから入った。サイテ〜!」

 

 

シンジ君「まあ、みゃあ様に『番外編書かせて下さい』って頼んでおいて、

 

     この有り様じゃあね。気持ちは分かる気がする(苦笑)」

 

 

アスカ様「同情は出来ないけどね!大体これのドコが番外編なのよ!!

 

     ポジティブで可愛くなったレイも、

 

     葛藤と愛情に溢れた、人間味溢れるミサトも、

 

     やたらめったらカッコイイ加持さんも、

 

     全然出てこないじゃないの!

 

     こんなんでエヴァHの番外編を騙(かた)るなんて、

 

     エヴァHのファンの方にケンカ売るつもりなの、アンタ?!」

 

 

K「お二人とも、実に手厳しいですね。ははは、は」

 

 

アスカ様「とりあえず、弁明ぐらいは聞いてやるわ。(有罪確定だけど)」

 

 

K「弁明って言うか、そもそも小説書くの初めてなのに、

 

  そんなに沢山キャラだせるわけないじゃないですか。やだなぁ、もう」

 

 

アスカ様「開き直るなぁっ!!」

 

 

           ゴスッ

 

K「きゅ」

 

 

シンジ君「アスカ、いくらなんでもいきなり『鳩尾砕き』はマズイよ。

 

     なんか、吐血してるよ?」

 

 

アスカ様「チッ!!仕方が無い。蘇生するか……」

 

 

心臓のあたりを『ぐーぱんち』

 

 

K「と言う訳で、登場キャラはお2人に絞った訳です」

 

 

シンジ君「(本当に蘇生した?!)カケラも誠意の感じられない弁明ですね……。

 

     で?この小説、結局何が言いたいんですか?

 

     意図が良く分からないんですけど………。」

 

 

K「何が言いたいも何も、見ての通りのLASですよ?」

 

 

アスカ様「え゛〜!!これってLASだったの?!」

 

 

K「どういう意味ですかその『え゛〜』は」

 

 

シンジ君「どうして僕の一人称のみで、

 

     アスカの心理描写が無いんですか?」

 

 

アスカ様「何言ってんの?アタシみたいな『純真無垢な乙女』の感情の機微なんて、

 

     このウラナリに書ける訳無いじゃん」

 

 

K「言いたい放題だなぁ……。でも確かにその通りですね。

 

  アスカ様の『感情』はちょっと書きづらくて。(直球過ぎるんだもん)

 

  真面目な話をすると、一般的なLASでは、

 

 

  @『ハナから強烈にラブラブなアスカ様とシンジ君の、いちゃついてる所の描写』

 

 

  A『アスカ様がシンジ君を好きになってしまい、その感情に戸惑う。

 

    又は、戸惑いから、その感情を否定しようとする。(勿論出来ないんだけど)』

 

 

  まあ、他にもありますが大体こういったカンジの、

 

  言わば王道のパターンがある訳です」

 

 

アスカ様「まあ、そうね」

 

 

K「新参者で初心者の私が王道に手を出しても、偉大なる先達に鼻で笑われるだけかな、

 

  私の書くものの何百倍も素晴らしい作品が、たくさんあるんだから。

 

 

  と、まあ、そんな風に考えたんです。で、どうせなら違う物が書きたい。

 

  じゃあ、Aのパターンから戸惑いを外そう、と」

 

 

アスカ様「ふむふむ」

 

 

K「アスカ様にとっては認め難いシンジ君への感情、想い。

 

  でも自分が今幸せなら、ロジカルに考えてそれを受け入れる事が出来ると思うんです

 

  『納得できないけど、幸せだから、いいや』って」

 

 

シンジ君「それがアスカの告白の台詞に現れているんですね?」

 

 

K「そゆこと

 

  特にエヴァHのアスカ様は、シンジ君やレイさんのお陰で険が取れて

 

  メンタル面で余裕がありますからね。

 

 

  先程『こんなの番外編じゃ無い!!』という痛い指摘がありましたが、

 

  少なくともアスカ様やシンジ君のメンタリティの部分は、

 

  エヴァHを可能な限りトレースしたつもりです。」

 

 

アスカ様「成る程。つまりそれが伝わってこないのは、アンタの筆力不足なのね?」

 

 

K「(泣)そうなりますね」

 

 

アスカ様「にしても、冗長よね。もうちょっとシャープに出来ないワケ?」

 

 

K「う〜ん。これでもズイブン会話を削ったんですけどねぇ」

 

 

シンジ君「僕は一応『エヴァH』の碇シンジなんでしょ?

 

     ここまで鈍感じゃないですよ?」

 

 

K「うっ!い、痛い所を……。」

 

 

アスカ様「登場キャラは少ないわ、性格は掴めてないわ、ど〜しようもないわね……」

 

 

K「すみません。ホントは葛城家の4人で麻雀やる話とか、

 

  加持さんとミサトさんの艶っぽい話とか書きたかったんですけど……。

 

  筆力が追いつかないんです。申し訳ない」

 

 

シンジ君「はいはい。謝ってばかりでもしょうがないでしょう?

 

     頑張って精進して下さいね」

 

 

アスカ様「駄目なりにね」

 

 

K「くすん、駄目って言わないで下さい……」

 

 

アスカ様「あ、ついでに聞いとこう。『HAPPY IN LOVE』ってこのタイトルは?」

 

 

K「『SMiLE.dk』って言うユーロビートユニットの曲の名前です。

 

  この曲にインスパイアされてこの小説を書きました。

 

  つまり、元ネタって事です。

 

  この小説におけるアスカ様の心理状態を鮮烈に歌い上げてます(違)」

 

 

シンジ君「歌詞が可愛いよね、この曲。

 

     ちなみに『SMiLE.dk』は『DDR』の

 

     『Butterfly』で有名なバンドです。

 

     興味のある方は、アルバムを探してみて下さいね」

 

 

アスカ様「Happy,Happy,Happy in love♪

 

     Happy in love,

 

     Oh boy,I think I'm falling♪♪」

 

 

K「お!?アスカ様、上手い!」

 

 

アスカ様「あったりまえよ!!」

 

 

K「さすが未来形アイドル!!」

 

 

アスカ様「そう言うやばいネタはやめんかあぁぁっ!!」

 

 

ごすっ!ぺしっ!ばしん!『ぴっき〜ん!!』ゴスッ、ゴゴゴスッゥ!!

 

 

K「みぎゃぁぁぁぁぁ!!」

 

 

シンジ君「あ、そろそろ時間だ!アスカ、

 

     『跳び強キック・中足波動スーパーキャンセル真・昇竜拳』

 

     なんて殺ってないで、行こう」

 

 

アスカ様「そうね、バカを小突いて遊んでる場合じゃないわ!ね?シンジ」

 

 

K「(ボロボロになりながら)あの、お2人ともどちらへ?」

 

 

アスカ様&シンジ君「「デート♪♪」」

 

 

 

 

 

K「………………………………………………さいですか。

 

  それじゃあ私も、ここまで読んでくれた奇特な貴方に感謝しつつ、

 

  See You Next Time,

 

  Bye bye!!」

 

 


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(updete 2001/05/30)