Shadow Touch

第弐夜 着任、その扉の向こうに

作者/カイビトさん

 

 

発令所のモニターに映るのはビルの林の中に立つ光の円柱。

直径100m、高さはその倍ほどもある。

先ほど使徒が光った直後に出現し、使徒をおおってしまった。

表面が不透明なので中の様子を見る事はできない。

「……状況確認を急いで」

それをしばらく見ていた『赤木リツコ』がオペレータに指示をだす。

「「はっ、はい。少々お待ち下さい」」

状況確認をすべく、急いで操作する『青葉シゲル・日向マコト・伊吹マヤ』の3オペレータ。

 

 

数秒の後、監視モニターに数字の羅列が流れる。

「内部に使徒の存在を確認」

「……これは!?」

マヤの見る先には、徐々に上がっていく数値。

これこそ使徒のエネルギー値を示していた。

「目標のエネルギーが増大しています、止まりません!!」

「光の壁の解析は?」

「解析不明です!!情報量が少なすぎます!!」

焦りともいえる声で、マヤはリツコに答える。

 

 

「目標のエネルギー増加、止まりました。

 初期値と比べて約2倍になっています!!」

「2倍ですって!?」

リツコは驚きエネルギー値のモニターを見る。

見ると発光前と現在の値が2倍近く上がっているのが確認できる。

「内部の使徒、動き出します」

「光の壁、消失していきます!!」

マコトに続きシゲルが報告をする。

その報を聞き、発令所の全ての人の視線が使徒の映るモニターにそそがれる。

「…………」

使徒の足元から霞むように消えていく光の円柱。

「………!?!?」

やがて光の円柱が消え去り、使徒が姿を現した。

「……見た目は変化なしね」

リツコはエネルギーが2倍になったのだから、何かしら変化があるのでは?

と思っていたが。現れた使徒の変化のない体を見てちょっとがっかりしている。

まぁ、これもまた然りである。

「目標、進行を開始」

使徒がのっそりと足を踏み出していた。

 

 

 

 

 

「私だ、予定どおり発動する」

使徒健在の報告を受けて、

上の司令席に座っていた国連将校が電話で指示を出す。

それと共に重爆撃機の飛行進路が表示され、

使徒に『投下目標』と銘打っている。

 

「…NN作戦、ミサトは!?」

「サードを保護。現在こちらに向けて走行中です」

リツコの質問にマコトがそう言って一つのモニターを指差す。

それはIDに反応した位置検索システム。

そのモニター上では2つのIDがネルフに向かってることが分かる。

「さっきの少女も一緒?」

「IDの反応はありませんが、おそらくは一緒にいるものと思われます」

「ミサトからの連絡は?」

「ありません」

「まったく…、何をやっているのかしら」

そう言うと、リツコは連絡をする為電話をかける。

 

 

「ゼーレから送られてきた適格者………」

冬月がゲンドウの目の前にある簡易端末を操作すると、

シンジの経歴リストが表示される。

 

   ―――――――――――――――――――――――

   階級:少佐

   所属:ネルフ特殊迎撃部隊

   

   2007.06 能力覚醒

    .10 ゼーレにより保護

   2008.01 能力教育開始

   2011.02 国連軍機動重装歩兵部隊[ジャッカル隊]配属

   2013.05 同隊解体   

    .10 ゼーレ特殊戦術部隊[ケルベロス隊]配属   

    .12 E計画適格者:サード・チルドレンに選出

   2014.01 適格者訓練開始

2015.06 ネルフ特殊迎撃部隊配属

       

 

   [関連事項]

    ・ゼーレ    ・ネルフ    

    ・能力詳細   ・ジャッカル隊 

    ・参加作戦   ・ケルベロス隊

    ・E計画適格者

   ―――――――――――――――――――――――

 

「碇シンジ少佐、蒼炎の能力者」

関連事項のファイルを見て彼の能力。

「『蒼き死神』か……」

そして、彼を畏怖する者達によって付けられた名をつぶやく。

「我々ネルフにとって死神と成りうるのか……」

「奴はそこまで浅はかではない」

ゲンドウが静かに答える。

「自分の息子を『奴』呼ばわりか?」

「向こうも親とは思っていない」

(それは、お前が捨てたからだろう?せめて覚醒直後に引き取っていれば……)

今更遅いな。と考えを止める。

「この少女についてはどうする?」

冬月が操作すると、映像が映し出される。

そこには、シンジの放った炎をかき消したと同時に自らも消え、

シンジの『影』から現れる少女。

「影…、闇の能力か?ユイ君と同じだな。サードと一緒にいるようだが」

「ゼーレからの報告は無い」

「いいのか?他の組織の者かもしれんぞ」

「問題無い。たかが能力者一人、どうとでも出来る」

「たいした自信だな」

皮肉まじりの口調で言う冬月。

その言葉を聞き。にやりとゲンドウは唇の端を上げるが、

顔の前で組まれた手とサングラスによって、その心を読む事は出来ない。

 

 

 

 

 

(聖衣強化…、私に反応してる?しかたないか……)

そろそろ市内に入ろうとしている車の中。

使徒の力を感じながら、少女は目をつむったまま考える。

「ふふっ」

「何?」

ふいに笑った少女に、シンジが何事と聞く。

「……碇シンジ君は好戦的?」

「好戦的?戦うことは嫌いじゃないよ」

「そう♪」

「それと呼び方はシンジでいいよ。えーっと?」

「????」

「ごめん。名前教えてくれる?」

まだ名前も知らなかった事に気付き苦笑する。

「…神凪(かんなぎ)シオン」

少女はあらかじめ用意していた名前を言う。

「神凪さんだね(初めて聞く名前だな……)」

 

 ピピピッ、ピピピッ…。

 

ミサトの携帯が鳴り出した。

「あ…」

シンジは後部座席にいるミサトを伺う。

ミサトはまだ目を覚ましていない。

「……………」

 

 ピッ。

 

「もしもし」

『えっ?あなた……シンジ君?』

しょうがないので電話に出たシンジ、

電話の相手はミサトじゃないことに困惑した様子。

「はい、碇シンジです」

『ゼーレから派遣された適格者ね』

「はい」

『はじめまして、私は赤木リツコ。で、葛城一尉はどうしたの?』

「気絶しています。

 見たところ外傷は無いので、そのままにしていますが」

『………。今は急ぐのでそれは後回しにします』

「はい」

『軍がNN兵器を使用します。

 そこはすでに範囲外だから問題は無いと思われるけど、念の為に避難させます』

『そこから1ブロック先の交差点に収容できる場所があるからそこまで移動して』

「はい、分かりました」

『……それと連れの人は一緒?』

「はい、一緒です」

予想された質問に、ちらりとシオンを見て答える。

『そう、ならいいわ』

何が?と言いそうになったが、

目的の交差点にたどり着いたので収容場所を探す。

見れば『緊急地下退避通路』と案内板が地下に続く道を指している。

シンジがそこに車を滑り込ませると重々しい隔壁が降りた。

 

 

 

 

 

 ズゴオォォォォォォーーー!!

 

ジンジ達が避難した数十秒後、使徒に対してNN爆雷が投下された。

「見たかね!!これがNN爆雷の威力だよ!!」

「電波障害の為、目標確認まで今しばらくお待ち下さい」

「あの爆発に耐えられるわけがない。碇君、これできみの新兵器とやらは必要ないな」

国連将校はオペレータ・フロアにいるゲンドウに言い放つ。

ゲンドウは、ただモニターをじっと見つめている。

 

 ピピッ……。

 

「爆心地にエネルギー反応!!」

「何っ!!」

「映像回復します!!」

そこにはNN爆雷によってクレーター化した街。

その爆心地には表面がちょっと焦げたが、見る間に再生している使徒が存在していた。

「我々の……」

 

 ピリリッ、ピリリッ。 

 

国連将校の言葉を遮るように鳴る電話。

「………………はっ、分かっております」

「はいっ……では失礼します」

 

 ピッ。

 

「碇君。本部からの通達だよ……」

「現時刻をもって、本作戦の指揮権は君に移った」

「我々国連軍の所有兵器が、目標に対して無効であったことは認めよう……」

信じがたい現実に、ふうと一呼吸を置いて言葉を続ける。

「だが碇君、きみの新兵器なら勝てるのかね?」

「ご心配なく、その為のネルフです」

くいっとサングラスを押し上げて答える。

「……そうか、健闘を祈る」

国連将校はネルフに対して敬礼をして退室する。

 

 

「さて、どうする?」

「初号機を起動させる」

「サードを使うのか?」

「ああ」

「いきなり実戦で使えるのかね?」

「訓練はさせてある」

「勝てるかね?」

「サードが勝てなくてもユイがいる」

「それがシナリオか……」

冬月がケイジに拘束されている初号機をモニターで見る。

そして別のモニターを見る、

そこにはカートレインで搬送される青い車が映っていた。

 

 

 

 

 

「ネルフ…か」

眼下に見える森と湖、それと黒いピラミッドを見てシンジがつぶやく。

「神凪さん?」

「何?」

「これからどうするの?」

「姉さんに会うわ」

「姉さん?」

「ネルフにいるから」

「へぇ、そうなんだ……」

 

 ゴソゴソ…。

 

「うぅ〜ん」

衣擦れの音とミサトの声が後部座席から聞こえる。

「気が付きましたか?葛城一尉」

「…う〜ん」

ぼーっと辺りをうかがう。

「くるまのなか………」

場所を確認。

「シンジ君……ぉ」

シンジを確認。

「あなた誰?」

ぐるりとシオンを見る。

「……………………………」

 

途端、ミサトの脳裏に黒い怪物がよぎる。

「!!っ使徒は?」

急に目が覚めたミサトはシンジに聞く。

「軍がNN兵器を使用したようですが、

 自分達は退避したので、殲滅できたかどうかは分かりません」

「NN兵器?携帯取って」

そう言われ、ミサトの携帯を渡すシンジ。

ミサトは発令所に電話をする。

「………あっ、マヤちゃん、リツコ居る?」

「………うん、お願い」

「………リツコ!!私だけど………私は大丈夫。

 それより使徒は?……………何?それ?」

ミサトが電話をしているうちに、カートレインはネルフに到着。

「……そうね……あっ!!シンジ君、そこの駐車場に入って」

「はい」

「それと、あなたの名前は?」

「神凪シオン」

「ありがと。もしもし、名前は神凪シオン」

「……うん……、いいの?」

 

 

閑散とした駐車場に入り、シンジは出入口に近いところに駐車する。

3人は車から降り、シンジはキーをミサトに渡す。

ミサトは電話を終えており、渡されたキーで車に鍵をかける。

「そこのエレベータに乗って」

3人はすぐ近くにあったエレベータに乗りこむ。

ミサトのIDカードをスロットに通すとエレベータは下降し始める。

「さて、まずはお久しぶりシンジ君、元気だった?」

「はい、2ヶ月ぶりです。葛城一尉もお変わり無いようで」

「相変わらず堅いわね…、ミサトでいいわよ」

「遠慮しておきます」

「うぅ…」

不機嫌な顔を一瞬したが、にこっとシオンを見る。

「はじめまして神凪さん、私は葛城ミサト。挨拶が遅れてごめんね」

「いえ、気にしてません……」

「いきなり連れてきて悪いんだけど、一緒に来てくれる?」

「良いですよ……」

 

 ゴゴゥン

 

エレベータが止まり扉が開く。

「さぁて、行くわよ」

ミサトが先頭になって歩き始める。

シンジとシオンは後をついて行く。

 

 

 

 

 

「葛城一尉……」

「……なぁに、シンジ君?」

歩き始めてすでに10分がたっている。

「この道、さっきも通りましたよ」

「うっ……」

「迷いました?」

「…………」

地図を持つ手が震えて……

「まだ慣れてないのよ、つーかなんでこんなに入り組んでんのよ!!」

げしげしと通路の扉にケリを入れる作戦部長。

 

 プシューッ

 

「わぁ!!」

すると扉が横に開き、ミサトは勢いあまって扉の先に消えた。

「何をしているの?」

「あははは……」

シンジ達がミサトの後を追うと、

そこにはミサトと白衣を着た女性、それと黒のスーツの大男がいた。

「あなたが碇シンジ君?」

白衣の女性がシンジを見て聞く。

「はい」

「あらためてはじめまして、技術一課E計画担当博士の赤木リツコです」

「よろしくお願いします」

お互い、かるく会釈する。

「で、あなたが神凪シオンさん?」

「はい」

「…………」

リツコはシオンの体を上から下まで観察するように見ている。

「……ふぅん」

やがて、納得したような声を出し。

「じゃあ、あなたは避難場所に避難してて」

後ろに控えていた大男に指示を出すと。

「ついてこい」

「ま、仕方が無いか…、また後でねシンジ君」

「うん」

と、シオンを連れてその場を離れていった。

「じゃあ、ついてきて」

シオン達を見送った後、リツコはすたすたと歩きはじめる。

「何なの?」

すぐにミサトが追いつき、問いかける。

シンジも二人の後に続く。

「関係者でない者を、連れて行く訳にはいかないのよ」

「あっ、そうね」

 

 

 

 

 

「赤木博士、現状況を教えてください」

「国連が使徒に対してNN兵器を使用、けどATフィールドに阻まれて効果なし。

 現在ここに向けて進行中。予断は許されない状況よ」

「ATフィールド……、使徒も持っているのですか」

「まだ情報が少ないけどね」

 

 ヴィーーー!!ヴィーーー!!

 

『総員第一種戦闘配置、くり返す総員第一種戦闘配置。

 対地迎撃戦、初号機起動用意!!』

「ちょっと!!どういうこと?」

辺りに響く警報とアナウンスを聞き、ミサトが思わず声を出す。

「強羅の最終防衛線を突破されたようね。この上で迎撃するということよ」

リツコは説明し、指で上をさす。

「そんなことは分かってるわよ!!初号機のパイロットよ!!

 レイはまだ意識不明なのに誰が乗るのよ?」

「ミサト!!」

ミサトの不用意な言葉にリツコは声を荒げる。

「赤木博士、レイとはファースト・チルドレンの綾波レイですか?」

「そうよ」

「意識不明とは?」

案の定、シンジはリツコに聞いてくる。

「今は知らなくていいわ」

真実を話して、初号機の起動に障害があってはいけないとリツコは考えそう言う。

「三週間前の起動実験失敗の時からですか?」

だが、シンジはさらっと言い当てる。

「………知っていたの?」

「えぇ、いろいろ情報は入ってきてますので」

「知ってたのに問いかけたの?」

「すみません。当事者から聞きたかったものですから」

苦笑するシンジを見て、リツコはあきれる。

「まったく…、まあいいわ、レイは三週間前から意識不明。

 今日まで一回も目覚めてないわ、だからあなたが呼ばれたのよシンジ君」

(ん?さっき街で会ったのは綾波レイだよな??)

シンジはほんの少し考え込む。

「怖い?」

「自分は敵が目の前にいるのに逃げ出す事はしません」

リツコの言葉にシンジは我に返り、そう言う。

「今の状況ではありがたいわ」

 

 

「ちょっとリツコ!!シンジ君が乗るの?」

先ほどから黙って聞いていたミサトがリツコに問う。

「そうよ」

「そうよって、でも……」

「起動するかどうか?ですか?」

ミサトの考えを察知し、シンジは言う。

「えぇ……」

「実際にEVA本体で起動させた事はありませんが、その為に自分は訓練をしてきました」

「そうよミサト、模擬プラグだけど初号機と同一環境下での起動は成功しているのよ」

「起動しても…」

「葛城一尉」

言いよどむミサトにシンジが声をかける。

「現状を把握してください。使徒に対してEVA無しでは勝てません」

(私?問題ないわ)

シオンの言葉がよぎるが、それは置いといて言葉を続ける。

「そして、すぐにEVAを起動できる可能性があるのは自分だけです」

「…………」

「そういうことよミサト。さぁ、着いたわよ」

 

 プシュッ

 

「暗いから気をつけてね」

3人は真っ暗な部屋に足を踏み入れる。

リツコが入り口のスイッチを入れると明かりが灯る。

そこには肩までLCLにつかり、拘束された紫の巨人の横顔があった。

「……………初号機……」

「そう、人の造り出した究極の汎用決戦兵器、人造人間エヴァンゲリオン、

 その初号機よ」

シンジのつぶやきに触発されたようにリツコは喋る。

「赤木博士」

「なに、シンジ君?」

「プラグスーツに着替えたいのですが、更衣室は何処ですか?」

「えっ?なにか質問は無いの?」

「いえ、特にありません。資料も全て見ましたから」

シンジには、何故エヴァの所に連れて来られたのかよく分からない。

エヴァのことは資料の情報としては知っていたし、

なにより今は使徒が接近中である、初号機の起動を最優先であるはずだ。

なので更衣室に連れていかれるものと思っていた。

 

 ズズゥゥゥン!!

 

その時、遠方から爆発音が響く。

「何?」

「おそらく使徒の攻撃」

「天井都市に!?」

『赤木博士!!使徒が市内に進入しました。EVA発進準備急いでください!!』

ミサトの問いに答えるように、スピーカから聞こえる切羽詰ったマヤの声。

「シンジ君、こっちへ」

「はい」

リツコ達は初号機の後頭部にあがる。

そこにはハッチの開いたエントリープラグとまわりで作業をしている整備員。

リツコ達に気付いた一人の整備員が近づいてきて『ヘッドセット』をシンジに渡す。

「これ、預けておきます」

「えぇ」

IDや貴重品を持っていたバックに詰めミサトに渡す。

「碇シンジ少佐、出撃します」

「がんばってね」

ヘッドセットをつけて敬礼したシンジにミサトは答礼し、シンジを見送る。

シンジがプラグに搭乗し、整備員が操作するとハッチが閉まり辺りに警報が鳴る。

『エントリープラグ挿入準備、作業員はすみやかに退避』

「さぁ、行くわよ」

リツコとミサトは発令所に向かう。

 

 

 

 

 

『パイロット、エントリープラグ内コックピット位置に着きました!』

『了解、エントリープラグ挿入!』

『プラグ固定終了』

『第一時接続開始。エントリープラグ注水』

シンジの足元からLCLが満たされていく。

「LCL…、生臭いから苦手なんだよなぁ…」

『我慢しなさい!』

シンジのつぶやきにミサトが反応する。

「葛城一尉は飲んだことありますか?」

『…………』

「後で飲ませてあげます」

『遠慮します』

興味本位で舐めた時のことを思い出し、きっぱり断るミサト。

『主電源接続開始、全回路動力伝達、起動スタート』

『A10神経接続……、異常無し、初期コンタクト全て問題無し』

シンジのまわりに流れる、文字や幾何学模様。

でもシンジは目を閉じて外の声に耳を傾けている。

『双方向回線開きます』

 

「誤差0.3%以内です」

「いい数字ね、いけるわ」

リツコがミサトに言う。

「エヴァンゲリオン初号機、発進準備!!」

 

『第一ロックボルト解除』

『第一第二拘束具除去』

『1番から15番までの安全装置解除』

『内部電源充電完了。外部コンセント異常無し』

『エヴァ初号機、射出口へ』

『7番ゲートスタンバイ』

『進路クリア、オールグリーン』

『発進準備完了』

 

「シンジ君、使徒の後方約500mに射出するわ。

 装備はプログソードとナイフ、ATフィールドを中和して攻撃して。

 それと兵装ビルの現稼動状況は約20%、あまり期待しないでね」

『了解』

目を閉じたままシンジは答える。

「司令!かまいませんね?」

ミサトは司令席にいるゲンドウに最終確認をする。

「もちろんだ、使徒を倒さぬ限り我々に未来は無い」

その言葉を聞き…。

「発進!!」

 

 バシュッ!!

 

停止状態からいきなり最高速になり、

まさに弾丸のように地上に打ち出される初号機。

「ふっ…」

その中では体にかかるほどよいGに、

シンジは嬉しくなり笑みをもらしていた。

 

 

 

 

 

[後書きなるモノ]

第弐夜をお送りしました。

遅っ……、しかもあまりお話も進まないような…。

書いてみて分かった事 ⇒ 心理描写が難しい。

稚拙な感じになっちゃうんですよ……。

まぁ、何とかなる………のかなぁ?

次回ようやく戦闘です。えぇ、暴走させますとも!!

でわ、また次夜で。

 

 


 ご意見・ご感想はこちらまで

(updete 2001/05/30)