漆黒の空間、その空間に二つの命が漂っていた。
赤い髪の少年が目をさました。
「ん?」
瞼を開けると、アヤネの心配そうな顔があった。
「目覚めた??」
レイジは真顔で言った。
「??、アヤネって実体あったけ??」
それを聞いたアヤネはしかめっ面をしながら蹴りを入れた。
「失礼な!!実体はもともとあるの!!」
蹴りを放ってきたアヤネの足をつかんで、キョロキョロと周り を見回した。
「あれ??うーん、巨大ボディは?」
その言葉を聞いたアヤネは捕まれたまま腹を抱えて笑っい、 笑いが収まると心臓の上に手を置き顔を傾けながら答えた。
「ここですけど?」
それを聞いたレイジは「いまいち納得行かないけどそれが現実 」と自分に言い聞かせるように、 ブツブツと目をつぶって三回ほどつぶやいた。
アヤネは不思議そうにそれを見て「訳解からない」といった表 情をしていた。
レイジは目を開き言った。
「ここから出ません?」
その問い掛けにポンっと手を打つアヤネ
「そうだよ、早く出してよ」
そう言われたレイジはいまだ足を持ったまま腰を曲げて言う。
「ご協力していただけますか?」
その回答にアヤネは「はい?今何て言いました?」といった感 じの顔をした。
「それどういうこと?」
「俺が出来ることは力に指向性を操る事だけだと思うから、 ここから出る為のエネルギーはないと思うんで...」
レイジは目線をずらし頭を掻いた。
回答を聞いたアヤネは額に手を当てた。
「ここから出るには、それしか方法が無いんでしょ?仕方ない から協力します。マスター」
「ご協力どうも。肩に手を当ててエネルギーをこっちに回して 」
アヤネが肩に手を置くとレイジはその嫌味を受け流して、 右手を体の中央に持ってきて意識を集中し始めた。
レイジの右手に膨大なエネルギーが溜まっていき、光りを纏っ ていった。
右手を頭の左側に持ってきて一気に振り下ろした。
その瞬間、右手の通った軌道に引っ張られたような感覚がして 、ほおり出された様な感覚がした。

新世紀エヴァンゲリオン
〜神々の紡ぐ物語〜
ACT2 赤い海と決意の少年 by 鍵眼

気がつき、立ち上がってみると、赤い海が目の前に広がってい た。
俺は予想していたよりも物凄い嫌悪感を抱いた。自分勝手な欲 望の為に人を無くした事に.....
アヤネは、海に刺さってる。白く首がなく、胸に穴の開いた量 産機を見つめていた。
周りを見回すとすぐに、山々の向こうに白く大きい、半分の顔 が見えた。それを見た瞬間、 とてつもない嘔吐感に襲われた。
「ちょっとレイジ??大丈夫?」
俺の顔色はとてつもなく悪かったのかもしれない。自分ではわ からないが。
嘔吐を抑えつつ、引きつった笑顔を見せた。
「本当に大丈夫??」
「ん、...なんとか」
再度、気を取り直して、見回してみると、 白い砂浜に紫の鬼が刺さっていた。胸には赤黒い楔が貫通して おり、 貫通した楔は大地にも刺さっていた。
俺はそれを見て終末が微妙に違っているがわかった。
よく見てみると、その足元には膝を抱えて小さくなってる人間 を見つけた。
アヤネは初号機を見て何を思ったのかわからないが、急にアヤ ネの身体が光り始めた。 光が収まり徐々に姿が見えてくる。銀色のエヴァ四号機がたた ずんでいた。
アヤネは俺の前に手を置いた。その手に乗るとアヤネは慎重に 初号機の所まで行った。
俺をちょっと離れた所に降ろし、アヤネは初号機に近づき楔に 手をかけて、一気に引き抜いた。
初号機は楔が抜かれ、声を上げた。
その声はなぜか悲しく、悔しく、聞こえた。
初号機とアヤネはまた発光し、収まると黒紫の髪で腰より少し 上まであり、 翠色の瞳の20前後に見える美女が出てきた。
アヤネは自分と供に小さくなった楔を観察するように調べてい る。
少年は起こる事と無関係の様に小さくなっていた。
黒紫の美女は少年にゆっくり近づき、後ろから優しく抱きしめ た。
少年は身体をビックと反応させ、顔を上げた。
「こんな状態になったのは、あなたのせいじゃありません。気 にしないでください」
この言葉を聞いた少年は、しゃくり声を上げて泣いた。
しばらくして、少年は落ち着いたのか。赤面をしながら離れた 。
「あの、す、すみません」
「謝らないでください。私は当然事をしただけですから」
美女は優しく答えた。
「...でも。」
楔を地面に刺して俺の横に座ってた。アヤネが聞いた。
「ところで、何が起こったの??」
少年に答えられるはずも無く、美女の方が答えた。
「リリスとアダムの融合により全ての生命がL.C.Lに還元さ れ、保管されたんです。」
「ふーん、って事はそこの少年とレイジ以外人間は居ないわけ か」
少年は驚いたように聞く。不安な顔をしながら聞いてきた。
「え、...人間じゃないんですか」
俺はさらりと流して告げる。
「そんな事より、俺は高部零時。俺の横に座ってるのが白海ア ヤネ。エヴァ四号機」
「え、えぇぇ!!四号機は欠番になったはずじゃ。それに何で人 間の姿なんです!!」
「マスター、私もそうなんですが...」
しばし沈黙
少年は再起動をし
「マスター!?僕が??」
「ええ、そうですが。何か問題ありましたか?」
俺はこのままじゃ、いつまでたっても話しが進まないと思った 。
「君は初号機の足元にいたんだよな?」
「ええ、そうですけど...」
まだ、混乱してるな。と思いつつ話をすすめる。
「で、その初号機はどこにある??」
「どこって、ここに.....」
少年は振り返って初号機を指そうとしたが、そこには初号機の 姿は無かった。
「あ、あれ??確かにここにあったはずなのに....」
俺はやれやれと思いながら、アヤネを見るとアヤネは舟を漕い でいてよほど眠いらしい。
「私ならここいますけど、マスター??」
少年はやっと気がついたらしい。自分の横に座る美女が初号機 だという事に....。
「それじゃ、君が初号機なの??」
「そう言ってるじゃないですか」
こんなやり取りをほって置いたらいつまでもやってそうなので 、名前を聞いてみた。
知っているのだが。
「ところで、二人の名前は??」
少年は突然の質問に戸惑ったが答えてくれた。
「え、僕は碇シンジです。」
「私は、私は....」
俺は何となく分かった。名前がないのだと。それは当たり前か 、 今までただの番号同然の呼び方しかないのだし。
「名前が無いのか」
美女は顔を歪めた。
その顔を見て、無性に抱きつきたい衝動を抑える。
この時、美女はどんな顔でも奇麗だと実感した。アヤネとは違 った感じでいい。
「えぇ、そうなんです」
「なら、シンジにつけてもらえばいいじゃないか?」
アヤネは完全に寝いってしまった様で座ったまま寝ている。器 用な奴だ。
「え、何で僕なんですか!?別に僕じゃなくてもいいじゃないで すか」
俺は隙間を開けず返答した。ここで隙間を空けると多分、いや 絶対気まずい雰囲気になるから。
「シンジは初号機のパイロットだったんだよな。それなら一番 付き合いの長いがんだから、 お前がつけるべきだ」
シンジはいまいち納得行かないようだが頷いた。
「どんな、名前がいいかな」
シンジは横を向いて聞いた。
「私はマスターがつけてくれれば、どんな名前でもいいです」
シンジは眉間に皺を寄せ唸った。

.............5分後

「初音........でどう?」
「ありがとうございます、マスター」
名前が決まった。ところで、これからどうするのか気になった ので聞いてみる。
「シンジ、これからお前はどうするつもりだ?」
「できるなら、過去に戻ってこの不本意な未来を壊して、みん なを救いたいです」
俺がシンジの状態だったら同じ事いってるんだろうな。
「みんなって、人類全体をか??」
「ええ、そうですけど」
俺はシンジの目から本気なんだと感じとったが、冷徹な判断を 下した。
「そうか、その決意は評価するけど、人類全体なんか救えるわ けない。その考えは辞めておけ」
「でも!!僕のせいでこんな結末になったんですよ!!」
俺はその言葉を聞いて悲しくなった。 それと同時にゼーレが憎く、百回殺しても収まらないかも知れ ない。
なんでこんな少年が死にぞこないの老人達の計画に巻き込まれ なきゃいけない。 巻き込まれなきゃ、普通の生活を送れ筈なのに。
「この結末はお前のせいじゃない」
「でも!!僕が何もしなかったから!!」
この少年は心を傷つけながら戦った筈なのに、この少年はまだ 傷つかなきゃいかないのか。 やりきれない。
「シンジ、お前は何もしなかったんじゃない!!何もできなかっ たんだよ.....」
「それでも、僕が!!」
「シンジ!!お前は死ぬ思いをして戦って来て。今度は人類全体 を救う?? ふざけるな!!そんな事できる訳ないんだよ!!病気で死んだり、 寿命だったり。 手の届かない所まで救う必要なんてないんだ。救うなら手の届 く範囲の人間を救って、 こんな結末とは違った未来を見せてやれよ。未来を変える事が 救う事になるんだから。 俺はそれでいいと思う」
俺は自分の中に溜まっていた思いを全て口にしていた。
それを聞いてシンジは初音の胸で泣きじゃくった。
俺は確認したい事があったので聞いた。
「初音。ロンギヌスの槍で因果律と時間空間に....、穴な んて開けられる?」
初音は急に振られた質問に困惑したが、ちゃんと答えてくれた 。
「因果律は完全には断ち切れないでしょうけど、時間空間の方 は大丈夫だと思います」
俺はそれを聞いて安心した。 因果律が断ち切れなくてこの結末になる可能性は格段と少なく なったわけだから。
「レイジさん、あなたは何者ですか?」
その声に引かれて初音を見るとシンジは泣き疲れて眠ってしま っていた。
この状態でないと、なんの差し支えも無く話せないかもしれな い。
「全く関係無い次元から紛れ込んだ人間だよ。俺は」
初音の顔は何かを警戒しように厳しくなる。
「そんな警戒しなくていいよ。俺は元の次元に戻っても居場所 が無いんだし。 生きて行ける可能性に俺は乗るだけさ」
今だ警戒を解かない初音
「では、あなたはその楔がロンギヌスの槍だと知っていて、 マスターの心の内も知っているように思いますが....」
俺は元居た世界はこの世界とどういう関係なのか考えた。
そして、行き着いた結果はこの世界の上位世界って結論になる 。 しかし、それをこの世界の人間が聞いたら怒るだろう。 自分が上の世界の人の手のひらで踊らせていたことに.... 。
「絶対に怒らないでくれよ。いいな」
「ええ、約束しますから話してくれますか」
「俺はこの世界の上位世界から来た事になる」
初音はそれを理解して身体が震え始めた。
「それじゃ、マスター達は上の人間に操られいたんですか。き ずかない内に....」
喉からはっする声は震えていて、どす黒い物が含まれていた。
「.....ああ、そうなるな。これからは上はそう簡単に介 入しないはずだ」
「なぜ、そんなはっきりと断言できるんですか」
「それは、シンジが目を覚まして惣流アスカ・ラングレーの首 を絞めて、 泣いた時に上の世界からの干渉は終わったんだ。
他の奴に は言わないでくれよ。 恨まれるのは俺なんだから」
初音は一様納得してもらえたらしく顔がほころんだ。
「ええ、他人事にはしません」
とりあえず、アヤネとシンジが起きないと何もできないから、 考えをまとめる事にした。
まず、住居の事だが全員家なしの状態。これは深刻だ.... 。
シンジに頼んで、あの鬚と交渉してもらおうかな。
次に戸籍、第三東京市の管理は全てマギか......... .....マ、マギにハックするしかない!?
俺にそんな能力ないし、シンジも不可。初音またはアヤネにお 世話になるか。
最後に金。とりあえずバイトして。シンジの給料と合わせて何 とかするか。
でも、怪しまれる事間違いナシだな。
あぁ!!DNA調べられたらヤバイ....。どう誤魔化す.. ..........。
これは、手が出ない......。どないしましょ。
「あの、レイジさん??」
顔を上げるとシンジの顔がそこにあった。
「ん?どうかしたか?」
「何回も呼んだのに反応無くて....。」
「そりゃわりぃ、ちょっと考え事してたんだ。」
アヤネの方を見ると、まだ寝ている。ここに居ても話しが進ま ないから実行に移すか。
おもむろに立ち上がり楔を手に取った。
「シンジ、お前のやりたい事はなんだ?」
シンジは一瞬ボケっとしたが、すぐに顔が引き締まり答えた。
「手の届く範囲で人を救って、未来を変えること」
俺は微笑んだ。なぜ微笑んだのかは解からない。だが微笑んで いたのは確かだ。
「初音、俺にエネルギーをまわして、ありったけ。 シンジはアヤネを持って、初音に掴まって。」
俺は意識を集中させる。楔を一気に振り切る。
すると、前の空間がパックリと切れて漆黒の闇があった。
俺はそれを眺めると問い掛けた。
「行くか?」
シンジが力強く答えた。
「ええ、行きましょう」

少年達は歩き出す。行き止まりの道から違った道に行く為に。
茶髪の少女は、夢を見ている。
黒髪の美女は、主の手助けの為に。
赤黒い楔を持つ少年は、行き止まりを目指した老人達に絶望を 与える為。
黒髪の少年は、決意を胸に大切な物を救う為に歩く。
なてしなき大地を途中まで線路に沿って。

空間の切れ目が無くなり、命の鼓動はもう聞こえない。
ちょっと小高い丘の上に二つの木の墓標が赤い海を臨んでいた 。

少年の安全を案じるように。
赤い海の上で青い髪の少女が微笑んでいた。
そこには何にもいなかった様に波が打ち寄せる。
ここは行き止まりの世界。そして、黒髪の少年の決意の場所。

鍵眼 (..........うーん......ゾク!!)
   ヒュン....!!
レイ 「何故避けるの?」
鍵眼 「当たり前だろ。危ないし!!」
レイ 「そう、次は外さないわ!!」
   ヒュン...........
鍵眼 「おう!!確かに悪かったよ.........」
   ガチャ
レイジ「おーい、次のはできた?」
レイ 「そこよ!!」
レイジ「いきなりそれはないんじゃない?」
レイ 「....A.T.フィールド。あなたも使えたのね」
鍵眼 「これがそうだよ(ヒラ)」
レイジ・レイ「どれどれ(.....)」
レイ 「あたしがでてないわ。書き直して。」
鍵眼 (ニヤリ、ポチ)
   バン.........
レイジ「......けほ、げほ。煙幕か......... 」
レイ 「逃げられたわ」
   スタスタ....ガチャ、バタン
レイジ「エヴァ〜神紡ぎ〜ACT3 二人の少年、始まりの場 所へ」
鍵眼 「......ふぅ、やっと出て行ったか」
レイジ「....そ、そんな所に(汗」
鍵眼 「それより、異論は?」
レイジ「うーん、ここを...............」
鍵眼 「ふむ、ふむ...、いいでしょう(ニヤリ)報酬は. ........」
レイジ「わかったよ。宅配でいいか?」(ニヤリ)
鍵眼 「問題ない」(ニヤリ)