東京魔人會はいかなるものにも縛られない。
法律も正義も道徳も存在しない。
なぜならば彼等は力を持っているからだ。
力があれば自分を通すことが出来る。他人を踏み台にしてより高みへと登っていける。
一見傲慢な理論だが、東京魔人會の會員は皆そうして生きていく。
自分が自分でいるために、曲げない生きないために、踏み台にされない為に・・・
東京魔人會のTOP三浦死狼は異界からの召還に応じてその場所に立っていた。
召還の目的は召還者の保護、そして世界を因果律通り進めることである。
「まぁ、こんな弱い奴等が相手ならどうってことも無いか」
たった今倒した敵に死狼は何の感情も抱かない。精神的な動揺とか感傷、罪悪感など微塵も存在しない。
ただ、敵という現象を片づけただけに過ぎないのだ。
彼にとって世界は単純である。
自分に関する全てが状態に過ぎず、自分以外の全ては現象に過ぎないからだ。
例えば幸福も不幸も危機も彼にとっては自分の置かれている状態であり、 誰かが自分のために死んでも、知っている人間が敵になっても、 そういう現象が起きて、自分がどう対応すれば良いか考えるだけ。
だから彼にとって自分以外の人間は全て敵、もしくは敵になりうる存在であって、それ以上ではない。
友情も愛情も彼の価値観に存在しない。そもそも価値観自体が無いかも知れない。
例えば他者を見るとき死狼は顔を個体のパターン、名前は番号、身体的特徴から戦闘能力を量る。
そして相手がどのような行動にでるか、その行動にどう対処したらいいかをシュミレートする。
・・・注意すべき戦闘能力を持たない人間は即座に記憶から消される。
まともな人間の考え方ではないが死狼はそうやって生きてきたし、これからもそう生きていく。
「強い」ということはそれだけで何物にも勝る価値があると死狼は考えている。
事実彼の住んできた世界ではそれが全てだった。
「弱い」ということはそれだけで意思も命も蹂躙されることを意味していた。
そうならないために今まで生きてきた。そしてこれからもそう生きていく。
だから死狼は戦い続ける。
強くなるために。自由でいるために。
「汚れるのだけは勘弁して欲しいが、まぁそれも仕方ないか・・・なんせ相手がゾンビだからなぁ」
軍用ブーツの先端には鉄片が仕込まれているし、スネの部分にはガード兼ダメージ倍増のプロテクターを着けている。
ましてや東京魔人會のTOP死狼の蹴りである。『ソンビ』の頭部など復元不可能なほど粉々に吹き飛んでしまった。
そう、今回の舞台は、『バイオハザード3』である。
「・・・で、俺はお前を助ければ良いんだな?」
おそらくこの世界で一番の美人が疲れた表情でそうだと呟いた。
いや、唯一の美人と言うべきだろうか・・・
「報酬はこちらの述べたとおりだ。でなければ帰る」
自分を召還した相手、ジル・バレンタインを見据えながら死狼は言った。
この世界に持ってこれた武器「CHEZALION」を手入れしている。
都市迷彩の戦闘服に左胸には戦闘用ナイフ「イマックス」が装備されている
普通死狼はもう一つの武器を持っていない限り他人のいる場所では決して手入れはしない。
その瞬間に襲われることを警戒しているからだが、
武器を持たないジルの戦闘能力はゴミにも等しいと判断しての行動だ。
ジル・バレンタイン。
死狼にってゴミと判断されたが彼女はれっきとしたラクーン市警察のSTARSの一員である。
本来この世界の因果律によれば彼女が一人で戦わなくてはならないのだが、
元々のバグか、ソフト改造の際に狂わされたのか彼女の武器がナイフ一本残らず消滅してしまった。
どんなに凄腕のプレイヤーでもナイフも持たずにこの世界で生き延びていくのは不可能だ。
そんな絶体絶命の事態が起きたからこそ、ジルは東京魔人會にコンタクトを取ったのだ。
東京魔人會に救援を頼むと言うことがどんなことか、誰もが即座に理解する。
下手すれば現在直面している事態よりも悪い結果になりかねない。
「ふぅ・・・」
武器無しでゾンビだらけの街に一人いる事への恐怖か、それとも死狼から感じる恐怖なのかは解らないが、
溜息をついたジルの顔は血の気が引いて青白かった。
東京魔人會の面々を呼びだした際、召還者は會員とかならず契約を結ぶ。
呼び出した目的と報酬の確認なのだが、會員は一度来てしまえば契約をせずともその世界で自由に行動することが出来るし、
例え契約を結んでも一方的に破棄することが出来きる。
魔人會は何者にも縛られないのだ。
「わかってる・・この世界の決まりで貴方以外の魔人會の人は呼べないのよ」
世界には因果律という物が存在する。その世界を世界たらしめている絶対に曲げられない律がある。
流石に郷に入りては郷に従えなのかはしらないが、違う世界の魔人會の會員がその世界にいるためにはその律に従わざるを得ない。
もちろん従いたくない律ならばその世界から帰れば良いだけである。
魔人會もいつでもどこでも好きな世界に行けるというわけではないが、要請があればいかなる場所へも赴く。
例えそこが戦場であろうと魔界であろうと。
もちろん誰でも良いというわけではなく、その世界にいても最も不思議でない人物がゆくのだ。
召還者側にしてみれば強力な味方を得られるかもしれないわけだがその報酬は多くの場合は数十億単位の財産、依頼者の未来、もしくはそれに相応する特殊アイテムだ。
魔人會が入手したアイテムは魔人會の世界に適した物に変えて存在することになる。
死狼の場合この世界で入手しうる全ての物品の所有権、依頼者以外の生殺与奪権、そして依頼者への命令権。
最後に部分に一番難色を示した依頼者も、
「自分の命令に従わない依頼者は守れない」
という脅しに屈した。
「・・・しばらくこの倉庫の中に隠れていろ。私は外へ行って来る」
「え!?ここで私を守ってくれるんじゃないの!!???」
ダウンタウンの奥まったところにある倉庫は、途中までの通路に様々なトラップを仕掛けられていた。
また死狼が点検した上で倉庫への進入路は全て閉鎖。
死狼の目からしてもこの世界でこの倉庫へ侵入出来るのは因果律に沿った相手のみである。
「この場所に居続ければ死ぬだろう。そう勘が告げている。
外へ行っても平気なぐらいの武器を見つけて戻ってくる」
それだけで十分だった。魔人會もまたこの世界の因果律に従わなくてはならないが、
異界から来たせいかある程度未来を予測できるのだ。
「最後のトラップが破れたらこれで俺を呼べ。そしてあのコンテナに閉じこもって救助を待っていろ」
「ええ、解ったわ」
トランシーバーをジルに渡す死狼。
食料と弾薬の満載されたコンテナは、死狼もその頑丈さを見込んでいた。
アソコなら、この女自身があけない限り因果律でも破れないだろう。
コンテナ内にあった弾薬は全てトラップへと回されたため、この時点での死狼の持ち物は、
救命スプレー×1 ナイフ×1
カスタムガン「CHEZALION」×1
特殊弾倉×2 倉庫の鍵×1
だけである。
ふと何かを思いだしたように死狼は先程撃ち殺した男、小説家ダリオ・ロッソのフトコロを探った。
死狼への依頼はジルを守ることであり、ジル以外の人間の生殺与奪権は死狼が握っているのである。
あまりにもゴチャゴチャと五月蠅く、火薬と食料の入ったコンテナを占拠しようとしたので殺したのだ。
もちろん素手で仕留めた。ナイフを使って血の匂いをゾンビ達に嗅ぎ取らせる訳にはいかなかった。
背後からダリオ・ロッソの首をへし折るのは、折り慣れた死狼には簡単なことだった。
懐を探ってみると財布と手帳しか持っていなかった。
その手帳を見ると、何故か今日の出来事がすでに書いてある。
因果律でこの男は死ぬサダメだったのだろう。
「ふん・・・」
手帳を投げ捨てると、死狼はこの死体がゾンビ化しないように両手両足をロープで縛り、さらに倉庫の奥に縛り付ける。
と、何かを思いだしたように死狼はジルの元へ歩き出した。
「どうしたの?」
死狼の行動によって先程より大分顔色が悪くなっているジルが聞いた。
自分以外の人間の生殺与奪権は死狼にあるものの、やはり目の前で人間が殺されるのは耐え難かった。
死狼は見た目にも嫌な印象を与える笑いを浮かべると、ジッパーを降ろして、自分の一物を出した。
「舐めろ」
死狼は当たり前の要求であるかのようにそう言い切る。
死狼はこの命令にジルが従わなければ殺し、自分の世界に帰るつもりでいた。
薄々それを察知したのかジルは初めは躊躇ったものの、徐々に理解して黙って従った。
自分の命を死狼が握っているという現実がある。怒りも憎悪も湧いてくる。
だがなにより、ゲームの中でしか生きてこなかった彼女は一度は男としてみたかったのだ。
戦友はいた。恋人もいた。だが、男との絡みはゲームの中になかった。
ゲームの中で生きる彼女にはそれが全てである。
ジルは初めて見た男性器に唾を飲み込むと、そっと触れてみた。
まだふにゃふにゃしている。
ジルは扱い方が解らないのだろう、まだ力無く垂れている男性器を指でつついたり、振ったりしているうちに堅く立ってきた。
「・・・・・・」
好奇心と羞恥で真っ赤になったジルが、跪いた状態で死狼を見上げると、死狼は何も言わず頷いた。
ジルやゆっくりと死狼の一物を頬張るとそのまま困惑したように死狼を見上げた。
ゲームの中ではその手の知識を得られなかったため、何をすればいいのか解らないのだ。
「なんだ舐め方も知らないのか・・・まず先端を強く吸え」
言われた通りに堅く強張った先端を吸う。
唇の隙間から空気が漏れたのか、ちゅばっと言う音が倉庫に響いた。
「良いぞ・・次は舌で全体を舐めるんだ。・・・俺の顔を皆見ながら」
少しマニアックな注文を付けて舐めさせている。
色々な意味で呑み込みが良いのだろう。死狼の注文に忠実に沿って男性器を愛撫し続けていた。
舌だけ突き出させてなめさせたり、カウパーを「おいしい」と言わせながら舐め取らせたり、
袋を揉ませたり、しゃぶらせたり、男性器の名を連呼させながらしごかせたり、
顔で男性器を擦らせたあげくパイズリまでさせてディープスロートまで教え込んで喉の奥で果てた。
さらに喉の奥に一旦放ってから引き抜き、残りを顔にかけたのである。
もちろん発射し終わって滲む精液をジルの顔に塗りたくっていた。
魔人會の會員もその多くが異世界の人間と交わる。
それは快楽に変換され絶頂と共に放出される生命エネルギーを吸収する、房中術を心得ているからだ。
魔人會の多くが特殊能力を持ち、その能力を使用するには多くのエネルギーを必要とする。
大体自分のエネルギーで間に合うが、どうせなら他人から奪ってしまえ。と言うわけである。
死狼も同じく、十数人と24時間交わってもエネルギーだけを吸収することもできる。
鬼である。
彼が倉庫を出たのはそれから一時間後であった。
(update 99/10/09)