２１　君が居てくれて良かった。

　風が穏やかに流れている。今まで、その力の限りに揺さぶってきた木々を労るように、優しく、木々の枝葉を撫で、過ぎていった。雨の匂いを今だ吹くんだ風は、昨日までの荒々しさが嘘のような、静かなものに変わっていた。空もまた、一変したものだった。あの重苦しい雷雲はかき消え、青く澄んだ空が、天井を覆っている。

　昨日の嵐の被害は、王都を中心にかなり酷いものとなっていたらしい。豪雨による河川の反乱、風による家屋の倒壊。さらには、不運にも雷に打たれ、死亡してしまったものもいると言う。雨風の被害と併せて、聖都周辺の死亡者だけでも、何十人と言う始末だ。負傷者となると、それを張るかに上回る数。

　さらに、聖都のある本領と、最も接しているターバー公領にも、別の嵐が来ていたと言う。それの被害も、本領ほどではないが、かなりのものらしい。サディアム公領の港にも、突風による津波があったと、聖王宮に報告が来た。他の四領にも、少なからず、似たような被害があったそうだ。

　聖王一人の精神状態が乱れただけで、ゴールドバーン中が荒れた。そして、その被害の余波は、他国にも及んでいることだろう。

　アルディスは、この世界の要なのだ。その要が揺れたとき、影響は彼の座すゴールドバーンのみならず、全ての大陸へと行き渡っていく。いずれ、他国からの苦情が、ゴールドバーンに寄せられてくるだろう。リベスタ公やクインドラ公が、使者を立てたようにだ。

　この非常事態に、バルスの判断で、各領の公爵達を聖王宮に呼び寄せることを決めた。これから、大きな混乱がくるだろう。その前に、彼等の手綱を引き締めておかねばならないのだ。聖王宮が荒れた時に、各領地を代表する六公が暗躍しなかった例はない。その彼等を抑えるため、今回限りは、何かあった場合、決して容赦はしないと、暗に言っておくつもりらしい。

　ルドラもまた、各公領に魔物倒伐名目で放ってある将軍達に、大武聖の名目で書状を送ったらしい。公爵達に対する睨みと、さらには、アルディスが弱まっている間、魔物達に警戒するようにと、注意を促したらしかった。

　そして、アルディス。

　彼は昨日から一夜明けた今、私室のベッドの中で昏々と眠り続けていた。

　昨日、後宮に戻った後、彼はあっさりと意識を失い、そのまま、ルドラの手で寝かしつけられた。そして、正宮での重臣達の混乱も知らぬまま、ずっと穏やかに眠っているのだ。

　アルディスの表情は、いつもの彼らしい寝顔だった。穏やかで落ち着いている。昨日まで見せていたような、辛そうな表情はどこにもなかった。

　そんな彼の穏やかさを示すように、現時点でのゴールドバーンの気候はどこまでも穏やかだ。そのことに、皆が胸を撫で下ろしている。

　安堵していたのは、アディアナも同じだった。アルディスのすぐ側の椅子に座り、彼の静かな寝顔を見守る。そして、彼の面に、昨夜のような辛さがないことを見て、彼女は淡く微笑んだ。

　昨日はさすがに、彼女付きの女官であるセシリアに頼み込まれ、おとなしく自室に戻ったが、今日だけは、彼女は譲らなかった。日頃、どこまでも穏やかな、この姫が、頑として、父親についていると言ったのだ。彼女の支配下にある侍女達に、文句が言えるわけもない。

　ただ一人、彼女を諌められる人物であるセシリアも、バルス側から圧力があったのか、何の文句も言わなかった。むしろ、半ばあきらめたように、好きにしてくれと言ったほどだ。

　だからこうして、今、アディアナは心ゆくまで、アルディスの寝顔を眺めていた。

　今のアディアナは、昨日の夜の無残な姿が嘘のような、整った正装に身を包んでいた。何時もは背に流している金の髪も、高く結い上げ、ドレスと同じ白い布で飾ってある。聖王のかたわらに座る姫は、どこまでも可憐で、また清楚だった。

　アルディスを優しく見守る様は、まるで絵のようにも見えた。それほど、荘厳で神々しい姿だったのだ。エルフィナなどは、久々に見た姉の正装姿に、昨日の騒ぎさえ忘れたように、ぼうっと見惚れ、大騒ぎした程だ。

　その妹姫も先ほどまでは、この部屋にいたのだ。だが、その彼女も、『喧しいから』と、ルドラに難癖を付けられて、引っぱられていってしまった。今ごろは、慣れないながらも、大武聖の責務を、無理やりに手伝わされていることだろう。おそらく、彼女が我慢出来なくなり、脱走するまで、それは続くはずだ。

　今まで、微動だにもせずアルディスの寝顔を眺めていたアディアナだったが、ふと、不安な面持ちで顔をカーテンが引いてある窓の方へと向けた。

　耳を澄ませ、外の光の様子を探る。そして、時刻がすでに昼にかかっていることを知り、重いため息を付いた。

　アルディスを見守るためにと、バルスは確かに後押しをしてくれた。だが、彼は女官達を説得する代償に、一つ条件を出したのだ。いわく、昼になったら、正宮に顔を出すこと。

　こんな自分に何が出来るとは、アディアナは到底思えない。だが、バルスは何を言っても、いつもの無表情さで、条件をつきつけてくるのみだ。最後には、アディアナもその条件を飲んだものの、本当に、バルスが何を考えているのか、さっぱり判らなかった。

　それに昼と言えば、使者を向けた六公の内、ターバー公などの聖都近くに領地のある者達がやってくるような時刻ではないか。そんな時刻に、来いと言うバルス。本当に、何をやらせるつもりなのだろうか。アディアナでなくても、不安になってくる。

　それに、アルディスが目覚めないうちに、彼の側を離れるのも不安だった。どうせなら、自分が側にいるうちに、起きて、安心させてほしい。

　そこまで考えて、アディアナはわずかに頬を赤くした。誰も見ていないと言うのに、困ったような表情になり、指先で顔を隠してしまった。

「嫌ですわ、わたくしったら……」

　たかが、昨夜、アルディスの過去をかいま見ただけだと言うのに、酷く増長している気がした。自分が見たのは、ルドラ達も知っているはずの、アルディスの過去の一部だ。それだけだと言うのに、何か嬉しいような、得意になっているような気分になった。それを、アディアナは自ら恥じた。

　確かに、自分は昨日の夜、アルディスへの思いを口にしてしまった。だが、それだけなのだ。

　それだけなのに、こうやって、恥ずかしげもなく、侍女達に駄々をこね、眠り続けているアルディスの側にいようとしている。

　それもまた、彼女の気を暗くさせた。

　彼女は、指先で口元を覆ったまま、大きく息を吐き出した。悲しそうに表情を歪め、アルディスの静かな寝顔へと、視線を戻す。

「お父様……わたくし、もう行きますわね」

　自分が浅ましいことを理解しているのに、そのまま、この部屋に止まることは、アディアナには出来なかったらしい。彼女は、名残惜しそうにしながらも、勢いよく座っていた椅子から立ち上がった。

　だが、立ち上がったところで、また動きを止める。何時までも眠り続けるように見える、養父の寝顔をもう一度、まじまじと眺めた。

　奇麗な人。

　見慣れているはずの顔なのに、ふと、そう思った。そして、気が付く。彼女がこうやって、アルディスの寝顔を見るなど、始めてだったことに。

　それがおかしくて、アディアナは思わず、クスクスと笑ってしまった。アルディスの側に居られるのが嬉しくて、そんなことも、つい失念していたのだ。彼の寝顔を見られるのが幸せで、他への配慮が欠けていた。

「エルフィナもきっと、穏やかではありませんわね……」

　昨夜の、妹の必死な様を思い出し、彼女は小さくため息を付いた。

　正宮に出るために整えておいた正装の裾を旨く捌くと、結い上げた髪の端を舞い上がらせながら、身を翻した。

　衣擦れの音が、静かに部屋の中に響く。そっと、アディアナの白く細い指先が、ドアノブに振れた。そして、最後にと、彼女はまた、首だけ回して、父親の様子を伺った。

　思った通り、アルディスは穏やかな寝息を今だ立てたままだった。

　自分の未練がましさが可笑しいのか、アディアナは小さくクスクスと笑った。

　その拍子に、アルディスの寝息が乱れた。わずかにまぶたが震える。

　だが、その時丁度、彼から視線を逸らしたアディアナは、それに気が付かない。彼女は、極力アルディスを起さないようにと、慎重に部屋の扉を開き、この場を後にしようとした。

　その彼女の背に、アルディスの物憂げな声がかかってくる。

「アディ……？」

　不意に聞こえてきた声。それに、アディアナはビクリと体を震わせ、その身を硬直させた。まるで、天敵に背後を取られてしまった小動物のように、身動き一つせず、ただ、体を小さく震わせていた。

「アディ、行くのか？」

　振り向かず、自分の声に応えようとしない『娘』に、アルディスはいぶかしげに、重ねて彼女の名前を呼んだ。

　それでも、アディアナは振り返ろうとしない。

　そのことに、いくぶん戸惑いながら、アルディスはゆっくりと起き上がった。今だ、頭はクラクラとするものの、昨日の倒れた直前ほどではない。むしろ、『魔王』が収まったせいだろう。体はやや辛くとも、心はずいぶんと軽かった。

　彼が見つめる中、アディアナは観念したように、ゆっくりと振り返った。

　彼女の、整った正装姿を見て、アルディスは苦笑する。

「どうした、バルスに正宮に来いとでも、言われたのか？」

「えぇ、そうですわ」

　アディアナは頷き、ゆっくりと引き返す。ベッドのすぐ側まで来ると、今まで座っていた椅子には座り直さず、ベッドの脇に膝を付いた。

　ベッドの高さの関係から、アディアナは、そこで身を起しているアルディスを見上げるような形になる。穏やかな表情で、養父の面を見上げ、彼女は微笑んだ。

「お体の方は、いかがですか、お父様？」

「ん……まだちょっと、だるいかな。でも、昨日ほどじゃない」

「それは、よろしゅうございました」

　父親の回復を、娘として、アディアナは率直に喜んでいた。

　そのまま、二人とも、何も喋らなかった。沈黙を望んだわけでも、また、何も言えなかったわけでもない。ただ、相手が何か言い出すのを、お互い、待っていたのだ。

　その沈黙に、最初に耐えられなくなったのは、意外にもアルディスのようだった。何時もならば、また、相手がルドラならば、そんな沈黙と駆け引きを楽しんでいるようにさえ見える彼だった。だが、それも、アディアナの真摯な瞳を前にして、崩れ去ったとも言える。

　昨夜のことを、彼もはっきりと覚えているのだろう。そのせいで、今だ、本調子を取り戻せないのかもしれない。

「あ……アディ？」

「はい？」

「昨日は……その、悪かったな」

　そう、謝ってから、アルディスは、重いため息を付いた。

　改めて、彼女に謝罪してみて、自分のしでかした事の大きさを思い知ったのだ。

　嵐を起しただけでも、大事件だと言うのに、その最中、自分はこの娘にずいぶんどころではない、とんでもないことをしてしまったのだ。

　アディアナの、淡く微笑む美しい面さえ、あの事を思うと、自分を責めているように見える。

「本当に、悪かった。俺も……」

　何か、アルディスは必死に言い訳をしているように見えた。

　だが、それも卑怯で無様だと思っていたのだろう。口の先にまで出かかった言葉を、そのまま飲み込んだ。

「……言い訳しても、駄目だな。だが、謝ってはおく。済まなかった」

「構いませんわ」

　アルディスが手持ちぶさたに、ベッドの上に投げ出した手を、アディアナはソッと抑えた。そして、優しく微笑む。

「仕方なかったのです。そうでしょう、お父様？」

「仕方ないとか、そういうことじゃなくて……」

「『魔王』のことは、バルス様やルドラ様から聞き及んでおります。リース様のことも、エルフィナから聞きました。だから、いいのです」

「それでも、俺のしたことは……」

　さらに、自分を責めるような言葉を口にしようとするアルディスを、アディアナは、彼の目前で指を立てることで押し止めた。『静かに』と言う知るしの、小さな仕草。彼女が、優しい表情を浮かべながらした、その行動一つで、アルディスは言葉を詰まらせてしまう。

「アディ……」

「お父様、それでも、お父様が、申し訳ないと思われるのでしたら、一つ、お願いがあります」

「……何だ？」

　日頃、自分がこういう場合、とてつもない事を言っているアルディスは、アディアナの言葉に思わずひるむ。

　清廉な姫は、彼のその反応に、可笑しそうに笑った。

　そして、その笑みを潜めた上で、静かに、思っていたことを口にした。

「わたくしを、ウルヴィスまで、一度、お連れ下さいませ」

「アディ……」

「リース様が『還った』場所を、わたくしも見ておきたいのです。いけませんか？」

　そう言うアディアナの面には、純粋に『母』を恋しく慕っている、娘の表情があった。

　その彼女の言葉と、そして表情に、アルディスは思わず打たれたように目を見張った。淡く微笑みながらも、その表情の端に悲しみをたたえている娘の姿をじっと見つめる。

　そう、リースの死に悲しんでいるのは、何も自分だけではないのだ。

　不意に、そんな思いが心の中に湧きあがる。それを、ただ一人で悲しみ、自分勝手に暴れていたのは自分だけ。

　自責の念に囚われながらも、アルディスは苦笑いを浮かべ、頷いた。

「いいよ、連れて行こう。約束する」

「ありがとうございます」

　アルディスの快い同意に、アディアナは嬉しそうに微笑んだ。どこか、悲哀を浮かべながら。

　彼の手から、自分の手を離し、彼女はふと、視線を彷徨わせた。どこか物悲しげに、吐息する。

「わたくし、お母様が急にいなくなられてしまったと言われても、信じられませんの……」

「俺もだな。少しも、実感が沸かない」

　頷き、アルディスは皮肉そうな笑みを浮かべた。

「結局、レイナードには勝てなかったな」

「お父様……」

「あの時、俺の言ったことは、本心だよ、アディ」

　そう言って、アディアナは、『娘』に優しく微笑んで見せる。

　今だ半病人の、頼りない顔色だった。それでも、聖王たる彼が微笑むと、回りの空気が和らいで見える。光さえも、彼を支えているように見えた。

「俺は、レイナードがいなくなった時、心のどこかで、本当に喜んでいた。レイナードが死んで、悲しくなかった訳じゃない。だが、同時に喜んでもいたんだ」

　アルディスを見上げる姫の面が、わずかに曇った。それに、アルディスはどこか満足そうに微笑んだ。

「リースにしても、彼女を死に追いやったのは、結局、俺のせいだ。兄上に何を言ってみても、結局、あの大地を救うために、俺は彼女を犠牲にしたのだからな」

　アルディス達以外、誰もいない部屋。

　そこで、彼は懺悔のように、緯線も逸らさずに見つめ、そして、それら言葉を聞いてくれている少女に、自分の思いを吐露していった。

「挙句に、お前を傷つけた」

「お父様……いいえ……いいえ、それは違います」

「違わないよ。俺はお前の心と体、両方を傷つけようとした。いや、傷つけてしまった」

「いいえ」

　アディアナは、アルディスを見つめたまま、小さく首を振った。

「腕の傷は、貴方が癒してくださった。それに、貴方がつけた心の傷などありません」

「本当に？」

　アディアナの真意を探ろうと、アルディスは彼女のエメラルドの瞳を覗き込んだ。

　どこまでも澄んだ、奇麗な瞳だ。うちに光をため込んだように、美しく輝いている。

　一瞬たりとも、視線を逸らさず、まっすぐに、彼女はアルディスを見返していた。そんな少女の毅然とした態度に、アルディスは不意にこらえられなくなったように笑い出した。

　片手で顔を覆いながら、自嘲する。それは酷く自虐的な笑い方だ。

「いいよ、お前がそう言うのなら、そういうことにしておこう」

「お父様……」

　不安そうに、アディアナは最愛の人物の微笑みを見上げていた。

　そんな彼女をさらに安心させようとするように、アルディスはニッコリと、彼特有の笑みを浮かべる。そのまま、彼は身をずらすと、ベッドから起き上がろうとした。

「お父様、まだ、いけませんわ！」

　彼が、寝床から這い出ようとするのを、アディアナは当然のように押し止める。彼が高熱を出して倒れたのは、つい昨晩のことなのだ。それを、多少は良くなったからとは言え、こんなに早く、床から起き上がらせるわけにはいかない。

「お父様、まだ眠っていてください」

「そういう訳にもいかないだろう」

　アディアナの、押し止めようとする手を、逆に支えにしながら、アルディスは病人にしては、身軽な動作で、私室の床の上に足を付けた。

「昨日の嵐で、かなりの被害が出たはずだ。その後始末を、ルーエルやバルス達だけには、任せておけない」

「しかし……」

「公爵達にしても、バルスが呼び寄せたと思う。事前に圧迫しておくつもりだろうが、あっちも老獪なのばっかりだ。バルスもよく出来た奴だから、そこはそつなくやると思うけど……やっぱり、ちょっと不安があるからね」

　アルディスは、体の具合を見るように軽く腕を上げ下げした。そして、自分をハラハラと、心配そうな面持ちで見守っている姫に笑いかける。

「もっとも、バルスはその場に、お前を引き出すつもりだろうがな」

「え……？」

「たぶん、そうすると思う。バルス一人では辛くとも、心強い味方がいれば、何とかなると言ったところかな。まぁ、でも、連中をやり込めるのは俺の仕事だ。譲らないさ」

　聖王たる青年は、そう言って、挑戦的な瞳をアディアナに向けた。

　あまり見ることのなかった、聖王としての表情に、アディアナは、はたと見入っていた。

　恋焦がれてきた相手のはずだった。それが、どうしてまた、こんなに戸惑う程に、見入ってしまうのだろう。まるで、今始めて、アルディスに恋したようではないか、これでは。

　少女は、自分の反応に戸惑い、うっすらとその頬を染めた。

　アディアナの反応を見て、アルディス自身は楽しむように、苦笑していた。

「アディ、悪いが、誰か呼んできてくれないか。着替えがいるから」

「あ……はい」

　今まで、何とかアルディスを押し止めようとしていたアディアナだったが、彼が聖王の面を露にしてつぶやいた言葉い、即座に頷いてしまっていた。

　自分の対応に、アディアナも面喰らっている。アルディスもまた、こらえ切れなくなったように、小さく笑っていた。

おわり

後書き対談♪

ネコ『はい、ちょっと長めの話しだったの対談です（謎）』

陛下『前回はなかったけどねー。リースと話ししたかったなー（ーー＃』

ネコ『……ま、いいじゃないですか。ねぇ』

姫様『はい？（＾＾）』

ネコ『（話し聞いてなかったな、このお姫様は……）』

ルー『……で、俺もやるのか（汗）』

陛下『……それは、俺と話すのが嫌だってこと？（ムカ）』

ルー『いや……そうじゃなくて……（滝汗）』

神官『……（−−）』

ルー『（バルスまで睨むしよー。やってらんねー）（ーー；』

陛下『う……（；；）』

ルー『わー、悪かった、悪かった、俺が悪かったぁ！（＞＜；』

姫様『ニコニコ（＾＾）』

エル『……このメンバーじゃ収集付かないと思うな、僕（ぼそ）』

ネコ『じゃ、まず陛下に。ご苦労様でした』

陛下『いえいえ。別にヒステリー起こして暴れただけだからね（ふん）』

ネコ『……な、何か一言ありますでしょうか？』

陛下『……うーんとねぇ。強いていえば、ごめんなさいかなぁ。皆にね』

ネコ『……なるほど、なるほど。で、話しを変えますが、実は、こちらに六公からの報告書の写しがあるんです』

陛下『（ぎく）』

ネコ『今回の嵐での被害報告書だそうです』

陛下『うぅ……（＾＾；』

ネコ『まず水害関係からいきますね。聖都周辺はもとより、クインドラとかサーナーズの方でも河川の氾濫が多く起こりまして。海岸部でも津波による……（以下略）……だそうです』

陛下『う……』

ネコ『陛下？』

陛下『うわーん（；；）』

　　　　　陛下、逃亡。

ネコ『……陛下が逃げちゃったので、次、大武聖です』

ルー『……あぁ』

ネコ『今回は最後においしい所をさらっていったような感じですが……どうですか？』

ルー『どうと言われてもなぁ……アルのヒステリーはいつものことだし。今さら何とも思わんな』

ネコ『……もう慣れちゃったんですね？』

ルー『そうみたいだな（苦笑）』

ネコ『で、次に大神官にいこうと思ったのですが、陛下を探しにいって行方不明なので飛ばしますね』

ルー『うーん……俺もちょっくら探しにいってくるわぁ』

ネコ『……いってらっさいませ』

ルー『どっかにはまってたりしたら、ヤバイし』

ネコ『……はまる？（汗）』

ルー『ま、そういうこともあったんだよ（遠い目）』

ネコ『で、姫様です。今回はご苦労様でした（＿＿）』

姫様『いえ……（＾＾）』

ネコ『この話では、陛下に首を絞められちゃったわけですが……』

姫様『そうですわね（＾＾）』

ネコ『……何か嬉しそうにしてません？』

姫様『あら、だって、お父様、なかなかにお力が強いんですもの。わたくし、あの時まで知りませんでしたわ（＾＾）』

ネコ『……はい？（滝汗）』

姫様『お寂しそうにしているお姿も、大変お奇麗で……（ポッ）』

ネコ『あ……あのぉ……』

姫様『寒そうになされている姿も、美しかったですわ』

ネコ『……あうあうあう（＠＠；』

姫様『……うふ（＾＾）』

ネコ『……次いきます（ゲンナリ）』

ネコ『……エルフィナさん？』

エル『……何？（怒）』

ネコ『……あ、あのぉ、その剣は何でしょうか？』

エル『あぁ、これ。あんまり嬉しくもないけどアルディスに貰ったやつだよ。あんな奴からのなんて、持ちたくないんだけどね。けっこういい剣だから我慢してるんだよ。魔剣で、相性もいいみたいだし』

ネコ『は……はぁ』

エル『（チャキ）……と言うわけで、死ね（ーー＃』

ネコ『はいぃ！？（＾＾；；』

エル『姉上をあんな目に合わせた罰だ。僕自ら叩っ切ってやる。覚悟しろ（ーー＃』

ネコ『はうぅぅぅぅぅ。あ、あれは陛下がぁ（＠０＠；』

エル『問答無用！（＞＜＃』

姫様『あら、エルフィナ、そのように室内で剣を振り回してはいけませんよ』

エル『あ……姉上（ちっ）』

ネコ『た……助かった……？』

姫様『やるなら外でおやりなさいな（＾＾）』

エル『……え……あ……うん』

ネコ『ぎょーえー（＠０＠；』

エル『姉上の許しも出た。さぁ、外でやろう（ニヤリ）』

ネコ『いーやー。誰かお助けぇぇぇぇぇぇ！！！！！』

　　　　　そのころ、とある喫茶店にて。

ルー『……いま、何か悲鳴のような声がしなかったか？』

陛下『気のせいじゃない？（ずずずずず）』

ルー『何、飲んでんだ？』

陛下『こぶ茶』

ルー『……（カウンターの方へ）すんませーん、俺にアイスティー、一つ下さーい』

陛下『……こぶ茶の方がおいしいのに』

ルー『……まぁ……バルスも飲んでるけどな（汗）』

神官『（ずずずずず）』

陛下『でさぁ、結局ルーもきちゃったけど、収録の会場、残ってるのってネコとアディ達だけ？』

ルー『だろうなぁ』

陛下『ネコ、生きてるといいね（ボソ）』

ルー『まさかぁ……アディが残ってんだぜ。大丈夫だろ？』

神官『……だから危ないかもな（ぼそ）』

ルー『……ま、まさかぁ……（＾＾；』

陛下『ルーエルはアディの恐ろしさを知らないんだよ（ふふふ）』

神官『そういうことですね』

陛下『そういうことさ（ニヤリ）』

ルー『（こいつら計って会場から逃げたな）（汗）』

　　　　　会場にカメラ戻し。

姫様『まったく。お父様をあんな目に合わせるなんて……許せませんわ（プンスカ）』

　　　　　姫様のかたわらには何かよく判らない動物の毛皮が敷いてあったりした。

(つづく)

(update 99/07/25)