SAZAE HAZARD -9-
−VSフネ−
【前回までのあらすじ】
カツオの強い味方であったハズのサブちゃん。
しかし、気が付くとサブちゃんの首は跳ねられていた。
そしてその背後には爬虫類化した母、フネが立っていた。
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「か・・・母さん!?」
カツオは目を疑った。
目の前には割烹着を来たサブちゃんを殺した怪物が立っているのだが、
なぜだか母親の臭いがするのである。
「母さんかい??」
そう言ってカツオが手を伸ばそうとしたときだった。
「シャァァァァァッ!!」
その奇声に驚き、手を引っ込めたと同時にカツオの右手から
血が滴り落ちるのに気付いた。
フネの鋭い爪で斬りつけられたのだ。
「ひぃぃぃぃぃっ!!!」
たまたま引っ込めて助かったのだが、
あのまま手を伸ばしていたらエライ事になっていた。
そしていつも優しかった母の変貌振りにも驚き、
カツオは一目散に走って逃げた。
カツオの走力は100m6秒02である。
このタイムは小学生以上でもそう出せるタイムではない。
いや、世界記録である。
そう。頭は悪いが運動神経は抜群なのである。
この全速力で逃げれば、いくら怪物でも追い付けまい。
そう考えながら走りつつ後ろを見てみた。
案の定、フネの姿はもう見えない。
「うふふっ!! なんとか逃げ切れそうだ」
そう安心して前を見た時だった。
「シャァァァァッ!!」
「うそっ!?」
カツオの超人的条件反射で紙一重に攻撃を避けた。
フネがいつの間にかカツオの前へ回り込んでいたのである。
紙一重で避けていたのだが、鋭いツメのせいで
カツオの服の胸の部分が切り裂かれていた。
そしてそこからサブちゃんに貰ったピストルが出ているのに気付いた。
「うわぁぁぁっ!! これでも食らえっ!!」
カツオはサブちゃんに教わった通りにピストルをぶっ放した。
『バン バン バン』
カツオは夢中で三発撃ったが、フネが見あたらない。
もしやと思い、カツオが天井を見上げた。
「シャァァァッ!!!」
なんとフネはカツオの頭上を驚異的な脚力でジャンプしていたのだ。
このジャンプ力でさっきもカツオに追いついたのだろう。
「うぎゃっ!!」
カツオはあまりの驚きに尻餅を漬いてしまった。
この場面で尻餅は致命的であり、もう起きあがる余裕がない。
『スチャッ』
フネはそのままカツオの腹の上に着地して、馬乗りになった。
これでカツオはまったく起きあがれなくなった。
「シャァァァァァァッ!!!」
馬乗りになったフネがカツオの首目掛けてツメを振り上げた。
フネのヨダレがポタポタとカツオの顔に垂れてくる。
しかし、カツオは恐怖におののくどころか薄ら笑みを浮かべてフネを見ている。
普段のアホ面とは打って変わってかなりダンディな顔つきになっていた。
「母さん・・・きっと仇は取るからね」
そう言うと馬乗りになってツメを振り上げていたフネの頭を目掛けてピストルを2発発射した。
「ブギャッ!!」
馬乗りになっていた上、至近距離から撃たれたフネは全弾命中した。
かなりの破壊力でフネの頭の大部分を吹き飛ばし、
そのままフネは冷たい床に倒れ込んだ。
「誰が・・・母さんやワカメをこんな姿に・・・」
カツオは変わり果てた姿をして徐々に息をしなくなっていくフネを見て思った。
しかし、そんな変わり果てたフネが何か口をパクパクしているのに気付いた。
「サ・・・ザエ・・を・・・許さな・・・い・・・」
カツオは耳を疑った。
物覚えは悪いがカツオは聞き間違えはしない。
「マスオ・・・さんを・・助けて・・・おやり・・・」
どうやら死ぬ間近に意識を取り戻したらしい・・・。
「かっ・・母さん!! 一体みんなどうしたんだい!?」
カツオは全ての謎を母親、フネに問いただした。
「カツ・・・オ・・・『322』・・・この番号を・・・忘れちゃ・・・だめよ・・・」
「『416』!? なんだいその数字は!?」
「『322』だよ・・・相変わらず・・・頭悪いわね・・・」
そう言い残すとフネは息を引き取った。
なんとも情けない一言だ。
「母さん・・・一体・・・」
相変わらず謎が残ったままだが、『322』という数字がカツオを助ける事になるだろう。
「・・・ん?? このマークは・・・??」
フネの手の甲と喉元に見たことのないマークが付けられていた。
形自体は「JISマーク」のパクリっぽいのだが、
中に書かれている文字が会社名の様なものだった。
【Five Holes】
会社のロゴマークの様な物だが、
カツオには何の事だか分からなかった。
しかし、それらのすべての謎がもうすぐ解き明かされるのである。
−まだ続く−
(update 99/04/01)