みなさん、はじめまして。
PCゲームソフト
ガイナックス謹製
「鋼鉄のガールフレンド2nd」買いましたか?
私は買いました。
ゲームをやっておもわず、パッケージを床に叩きつけた人。
大枚叩いて後悔した人。
ガイナックスに呪いのメールを送った人。
様々な方がいらっしゃるとおもいます。
私も当初あまり期待していなかったんですが、発売日が近づくにつれ、広告がいろいろな雑誌に載るようになり、その中にアスカとシンジがベッドインしているようなシーンが載っているではありませんか。
「はうっ、これはもしや!」
と思い、LAS派を自称する私としては買わずにはいられなくなりました。
て、私ってバカですね。
18禁ソフトでもないのに、私の煩悩を満たしてくれるわけありませんでした。
私もこのゲーム途中までやって、進めていません。
で、ならば自分で煩悩を満喫出来るものをつくろうと思い、これを書きました。
いわばマスターベーション的作品です。
この独りよがり、ただ己の煩悩を膨らましただけの自己満足的作品が、みなさんのご期待とご要望(?)に添えるかわかりませんが、お楽しみいただけたらと思います。
●舞台設定
「新世紀エヴァンゲリオン」最終話のシンジが見たひとつの可能性の世界。
いわゆる「学園エヴァ」、「ときめきエヴァンゲリオン」をベースにしております。
ですので、エヴァは出てきません。
セカンドインパクトもありません。
新興都市「第三新東京市」に住む、幼なじみ、惣流アスカと碇シンジのお話です。
アスカとシンジの両親はともに「国際組織ゲヒルン研究所」に務める研究員です。
ヒカリもいます。
トウジもいます。
ケンスケもいます。
綾波レイはシンジといとこ同士ということにさせていいただきました。
ま、今回登場人物はシンジとアスカとユイとゲンドウだけなんですが、、、。
それではお楽しみください。
ピンポーン。
碇家の玄関のチャイムが鳴る。
スライド式のオートドアが開く。
「おはようございます。」
明るい声とともに女の子が入ってきた。
栗色の髪の毛にトレードマークの赤いブローチを付けた、蒼い瞳の少女、惣流アスカである。
「いらっしゃい、アスカちゃん」
シンジの母、ユイが答える。
「おはようございます。おばさま。おじさま。」
リビングまできて、アスカはあらためて挨拶した。
「おはよう。」
ユイはキッチンで、朝食の片付けをしながら笑顔で応えた。
「ああ。」
シンジの父、ゲンドウはリビングで椅子に腰掛け、新聞を見たまま、返事だけした。
舞愛想なのはいつものことで、アスカは気にしていなかったが、シンジが将来こうなったらいやだなぁと、思った。
朝、登校前にシンジの家に寄るのはもうアスカの日課になっていた。
アスカはユイに尋ねた。
「シンジはまだ寝ているんですか。」
「いいえ、今日はめずらしく早く起きてきたわ。さっきご飯食べ終わって、自分の部屋に戻ったわね。そういえば、それから出てきてないわ。」
「じゃあ、ちょっと見てきます。また、寝ちゃっているかもしれないし。」
「ええ、お願い。」
アスカはシンジの部屋に向かった。
そのアスカの後ろからユイの声が聞こえる。
「ほら、あなた、新聞ばかり読んでないで、準備してください。今日は出張なんですから、手間がかかるでしょ!」
ゲンドウは「ああ。」とあいまいに返事をするだけであった。
「もう、シンジと変わんないだからぁ。」
ユイの嘆きを聞き、アスカは微笑ましく思った。
「シンジ、開けるわよ。」
シンジの部屋の前で、そう言うと、アスカはシンジの部屋の障子を開けた。
案の定、シンジはベッドで寝ていた。
でも、いつもと様子が違う。
いつもなら、Tシャツに短パン姿で、毛布にくるまって寝ているのに、今日はすでに学生服に着替えており、毛布を下にして仰向けになって寝ていた。
そして、アスカが見逃せない点があった。
シンジの股間の膨らみである。
これを、見るたびにアスカは恥ずかしい気持ちになり、顔が紅潮してしまう。
男の生理現象だというが、アスカには納得できなかった。
性器が反応するということは、そんな気持ちになっているからだ。と、アスカは考えていた。
実際、自分だってそんな気持ちになれば、お腹の奥が熱くなる。
でも、そうなるのはそういう気持ちになっている時だけで、毎朝なんてならない。
それに、今日のそれは、いつもより大きく張られているように見える。
…男って、いっつもそんなことばっか考えているのかしら。
とアスカが思ったその時、シンジの声が微かに聞こえた。
どうやら、寝言を言っているようである。
アスカは耳を澄ました。
シンジの口から漏れた言葉は、
「ア、アスカ…」
その言葉を聞いた瞬間、アスカは血流が顔に集中するのが感じられた。
頬だけではなく、耳まで真っ赤になるのが自分でわかる。
全身からアドレナリンが沸き上がり、脳天を突き上げる。
それは、羞恥心を通り越し怒りに近い感情となり、アスカはあらん限りの大声を張り上げた。
「起きろーっ!!」
その声は部屋中に反響した。
シンジのまぶたが開き、その瞳がベッドの前で仁王立ちしている声の主を捉えた。
「あぁ、アスカ。おはよう。」
アスカの語気は治まらない。
「あんたいつまで寝てる気っ!」
シンジは上体を起こし、ベッドに座る姿勢になった。
しかし、まだ寝ぼけているようだ。
「あ、あぁ、昨日、眠れなくって、それで、朝も早く起きちゃったんだ。で、ご飯食べたら眠くなっちゃって。」
シンジは大きいあくびをした。
アスカは、眠れなかったという理由が気になった。
顔を近づけ、
「どうしたの具合でも悪いの?」
「あ、いや、なんでもない。」
シンジの顔が赤らみ視線を逸らした。
なにか隠し事をしているようだ。
アスカは問いつめる。
「なによ、正直にいいなさいよ!」
「いや、ほんとになんでもないんだ。」
アスカは無言で、シンジを睨み付けた。
こうなると、シンジはアスカに逆らえない。
すこし俯き、シンジは小声で言った。
「今日、アスカ、ウチに来てくれるんだよね。」
「そうよ。」
瞬間、アスカの脳裏に不安が浮かんだ。
こんどは、血の気が引くのがわかった。
思わず、アスカも小声になって、
「まさか、あんた、おばさまにそのことを言ったんじゃないでしょうね。」
「ウウン、言ってない、言ってないよ。」
シンジは首をブンブン横に振り否定した。
惣流アスカと碇シンジは幼なじみであり、惣流家と碇家は家族ぐるみのつき合いをしている。
また、アスカとシンジの両親はともに、ゲヒルン研究所の所員として、働いている。
そして今日、親たちは仕事の出張で、家に帰ってこない。
そこでアスカは今晩、シンジの家に泊まる約束をシンジとしていた。
当然、このことは誰にも秘密の約束である。
アスカはホッと胸に手をなで下ろした。
「じゃあ、なんで眠れなかったのよ。」
「その、、、。嬉しくて。」
「は?」
「アスカが来てくれるのが嬉しくて、、、。」
アスカは再び、顔が熱くなるのを感じた。
心臓の鼓動が高鳴る。
自分の心の奥そこから喜びの感情が沸いてくるのがわかった。
でも、素直にその気持ちを表すことがアスカにはできない。
恋愛とかの愛情を表すのに恥ずかしさが先に立ち、それを悟られまいといつもの強がってしまい、なかなか素直に気持ちを出すことができない。
こういった事に免疫がないのだ。
アスカに責める気持ちはないが、どうしても強い口調で、抗議してしまう。
「そ、そんなの隠すようなことじゃないじゃない。」
こういった事に免疫がないのはシンジも同様だった。
でも最近、シンジはアスカに対する気持ちを本人には素直に表すようになった。
「恥ずかしいと思ったんだ。」
シンジも顔をすこし赤らめている。
アスカは話題を変えた。
「あたしの夢を見てたでしょ。」
「え?」
「寝言であたしの名前、呼んでいたわよ。」
「あっ!」
思い出したのか、アスカの目の前でシンジの顔がみるみる赤くなっていく。
ゆでだこのようだ。
「どんな夢をみたのよ。」
「ご、ごめんなさい。」
なんで謝るのか、アスカには想像できた。
「まったく、男ってなんでそうエッチでスケベなのかしら。女のことしか考えてないでしょ、転校生のこととか。」
転校生とは、綾波レイのことである。
アスカは、レイを名前で呼ばず、『転校生』と呼んでいる。
先日、アスカとシンジが通う市立第壱中学校に転校してきてクラスメイトとなった。
その容姿はシンジの母ユイにそっくりであった。
アスカとシンジはそのことに驚いたが、後にユイの兄の娘と判明する。
シンジとレイはいとこ同士だったのである。
どうやらユイには綾波レイの転校を知らされていなかったようである。
ユイは兄弟とは疎遠であり、シンジとレイは学校で会うまで面識がなかったのである。
『まったく、兄さんも、知らせてくれればレイちゃんをウチで預かることもできたのに。』とはユイの弁。
どういう事情か、レイは親と離れ、アパートにひとりで暮らしている。
ユイはウチに来るよう勧めたが、レイはそれを固辞した。
アスカはそのことを聞き、内心ホッとしている。
マザコンのけがある、シンジにとって、母親と同じ容姿を持つレイはまさにレッドカード。
そんな女がシンジの家に居候してほしくない。
いまやレイはアスカの天敵となっている。
もちろん、シンジに関してである。
学校ではアスカ、シンジは公然の仲となっている。
アスカに言い寄る男たちは大勢いるが、アスカはことごとく振り払っているし、シンジの中性的な魅力に惹かれる女の子たちは、アスカの逆襲を恐れシンジに近づけないでいる。
そのなかでレイは、アスカの存在などものともせず、シンジに近づく。
アスカにとって由々しき事態である。
シンジが尋ねる。
「転校生って、綾波のこと?」
アスカはイヤミを込めた口調で、
「そうよ。よく学校でおしゃべりしてるし、この前だって、腕組まれて喜んでたクセに。」
「それは、綾波はいとこだし、ひとりで暮らしているから寂しくないかなって思うし、、、。」
アスカは、シンジが自分以外の女の話をすると沸々とわいてくる感情があるが、それがなにかわからなかった。ただ、不愉快だった。
それが嫉妬であることをアスカはまだ理解できない。
「シンジ様はお優しいのネ。」
「でも、ぼくにとって、女の子はアスカだけだよ。」
このシンジの直球ストライクの言葉にアスカの胸はまた高鳴りはじめた。
「ほんとだよ。母さんに綾波には親切にしなさいって言われているし、いとこだから仲良くしたいとは思うけど、ぼくにとって、女の子はアスカだけだよ。
だから、夢を見るのもアスカとだよ、、、。」
シンジはアスカを見つめた。
アスカはシンジが不器用だが自分に愛情を示そうとしていることが感じとれた。
…こいつ、あたしのこと想ってくれているんだ。…
しかし、口調はあいかわらず強気のまま。
「よ、よくそんな恥ずかしいこと言えるわね。」
「アスカだから言えるんだ。」
「ってことは、あたしをいつもオカズにしているってこと?」
「・・・ごめんなさい。」
ふたりの間の会話は途切れ、静寂が支配する。
アスカはしゃべるのをやめた。
言葉では自分の気持ちをシンジに伝えることができないと思った。
シンジの頬に手をそえ、その唇に自分の唇を重ねた。
アスカはお腹の奥がすこし熱くなるのを感じた。
…あたし、かんじている。
…イヤラシイ、、、。
とそのとき、リビングからユイの声がした。
「シンジー。もう時間よ。」
ふたりは我に返り、パッと離れる。
すこし気まずい雰囲気になったが、アスカが気を取り戻し小声で言った。
「ともかく、そう言ってくれるのは嬉しいけど、朝っぱらそんなんじゃあダメよ。
あたしとあんたのことは秘密なんだから。」
「う、うん。」
アスカとシンジの秘密。
ふたりは公然の仲である。
そして、ふたりはもう身体を重ねる関係になっている。
それは知られてはいけない。
「相田なんか感が良さそうだから、気付かれちゃあだめよ。もちろん、転校生にも!」
「わかっているよ。」
「今日、親が出張でいないってのも言っちゃあダメだからね。」
「え、なんで。」
「親がいないならって、鈴原や相田や転校生が遊びにくるっていったらどうするの。
あんたちゃんと断れる?」
「ああ、そうか。」
「今日のことは学校が終わってからだから、学校ではちゃんとしているのよ。」
「うん。」
「じゃあ、はい。」
アスカは机の上にあるティッシュを一枚取り、シンジに渡した。
なぜかわからず、シンジは尋ねた。
「なにこれ?」
「口紅、いまのであんたの口に付いちゃったのよ。」
アスカはナチュラルカラーのすこし光沢の出る口紅をしていた。
シンジは顔をまた赤くしてティッシュを受け取り、唇を拭った。
アスカもティッシュで唇を拭い、口紅を付けなおそうとしたが、またユイが呼ぶ声がしたので、口紅を付けずにシンジの部屋をでた。
「母さん、父さん、行ってきます。」
「おじゃましました。」
出かけようとするシンジとアスカをユイが呼び止めた。
「あっ、待ってシンジ。」
「なに、母さん。」
「父さんと母さん今日出張で帰らないから。」
「わかっているよう。」
「今日のご飯はテーブルにお金置いておくからそれで買って食べて。あと、戸締まりと火の始末はしっかりね。」
子を心配する親心。しかし、当たり前のことを言われ、シンジはすこし腹が立った。
それを察したアスカが、
「おばさま、シンジももう子供じゃないんだから、大丈夫ですよ。」
こんなことを女の子にフォローしてもらうのもシンジは抵抗があった。
ユイはアスカを一瞥して、
「そうねえ、、、。
そういえばアスカちゃんもひとりでお留守番でしょう。」
「ええ、そうですけど。」
「じゃあ、どうかしら。今日、ウチに泊まってくれない?」
「「ええ!!」」
シンジとアスカは声を揃えて大声をあげてしまった。
「やっぱり、ひとりだとちょっと不安なのよね。アスカちゃんならウチの勝手も知ってるし、ふたりなら安心するし。どうかしら」
アスカはユイの突然の提案に戸惑った。
本当は同意したいがユイの真意がわからず躊躇する。
「で、でも、ママにも相談しないといけませんし、私のウチのこともあるしぃ。」
「キョウコも年頃の娘を家にひとりで留守番させるのは心配だと思うのよねェ。賛成してくれると思うわ。ね、あなたもそう思うわよね。」
ユイは後ろを振り向き、リビングでまだ新聞を読んでるゲンドウに言った。
しばらくしてゲンドウが「ああ。」と言った。
はたしてその声が同意を意味してるのかどうかアスカにはわからなかった。
「ね、そのほうがいいと思うの。お願いできないかしら。」
ユイはアスカの前で手を合わせた。
アスカははやる心を抑え、しぶしぶという態度で、
「そういうんでしたら私はかまいませんけど、シンジはどうなの。」
シンジはうわずった声で答えた。
「い、いいんじゃないかな。ぼ、ぼくもかまわないよ。」
シンジに自分の気持ちを隠しごまかすことなどできるわけなかった。
「じゃあ決まりね。キョウコにはわたしから言っておくわ。」
親の目を盗んで、シンジのウチに泊まろうとした企みが、一気にオフィシャルな理由により公認されてしまったことに、アスカは当惑した。
でも、目的達成のための障害がひとつ消えたということで納得しようと決めた。
話も決まり、学校に登校するためふたりは玄関に向かった。
「おじゃましました。」
「行ってきます。」
「ああ。」
「いってらっしゃい。」
ユイは玄関まで見送りに来た。
「はやくいこう。」
シンジはスニーカーを履くととっとと出て行った。
「ちょっと待ちなさいよぉ!」
アスカは靴ひもを結ぶのに手間取っている。
「アスカちゃん。」
「はい?」
「シンジと仲良くしてね。」
アスカはユイの言葉の真意をやはり計りかねた。
なにか心の中を見透かされているような気持ちになった。
つい愛想笑いをしてしまう。
「え、なに言っているんですかおばさま。仲良くしていますよ。それでは、いってきます。」
「はい、いってらっしゃい。」
ユイは笑顔で見送り、アスカが出たあと玄関のオートドアが閉じた。
ユイはひとりほくそ笑む。
「フフッ、ふたりとも、おませさん。」
ユイはアスカの唇の色がシンジの部屋に行く前と後で変わっているのを見逃していなかった。そして、その意味も。
最近、ふたりの仲がすすんでいることを、ユイは感じとっていた。
…シンジはやっぱり尻に敷かれるタイプかしら。
…頼りない印象をもっているしぃ。
…でも相手がアスカちゃんなら別にいいわよね。
…仲がすすんだのも、やはりレイが来たせいかしら。
…フフッ、これから楽しみ、楽しみ。
しかし、実はふたりの関係が、自分の想像より遙かにすすんでいることをユイは知るよしもなかった。
( つづく )