『うっ・・くっ・・・。ごめ・・んね・・・』

『お兄ちゃん、うっ・・・。私のせい・・で、負け・・・ちゃって』

 

『別にお前のせいじゃないよ。負けたのは悔しいけどな』

『でも、おもしろかっただろ?ソフトポール』

 

『(ごし・・)うん』

 

『めぐみはまだ小さいからな』

 

『一つしかちがわないよっ』

『・・・でも、大きくなったらもっとうまくなれる?』

 

『なれるよ』

 

『お兄ちゃんをまかせるぐらい?』

 

『そりゃどうかな・・・』

 

『じゃあわたし、お兄ちゃんをまかすまでソフトボールやめないからね』

 

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・

・・


螢ちゃん。

螢ちゃん・・・。

 

いつも笑ってる螢ちゃん。

照れたような螢ちゃんの瞳。

私が泣くと、いつも優しく手を握ってくれたよね。

私にとっては、誰よりも頼もしい螢ちゃん。

・・・ずっと、ずっと好きだった。

 

どこまでも、一緒に行こうよ。

ずっと側にいて欲しいんだ。

私の一番大切な絆だから・・・。

・・・大好きなお兄ちゃん。


ああっ女神さまっ

■Let's go along together■

−兄妹の絆−

Written by みゃあ


いつからだろう。

自分のことを「私」と呼ぶようになったのは。

螢ちゃんのこと「お兄ちゃん」と呼ばなくなったのは。

 

たぶん、自分の気持ちにけじめをつけたかったんだと思う。

でないと私・・・。

きっと好きって言ってしまっただろうから。

私の気持ち知ってる、螢ちゃん?

それでも私のこと、ずっと好きでいてくれる? 

 

 

 

 

「け・・・螢ちゃん。好き・・・好きよ」

 

あれは私の本当の気持ち。この時は、なぜだか素直に口をついて出た。

 

「ど・・どうしたんだよ急に!!そっ・・・そうか、兄妹のノリの好きってやつだよなっ!!なっ!!」

 

螢ちゃん・・・慌ててる。そうだよね。実の妹から告白を受けたんだもの。

でも・・・本当だよ。

 

「・・・違うわ。私・・・螢ちゃんの男性としての魅力に気づいたの」

 

私がそう言うと、案の定螢ちゃんは真っ赤になって焦り出す。

ウソ。

本当は、ずっと前から気づいてるよ。

 

血の繋がった兄妹だもの。

螢ちゃんの髪。

螢ちゃんの瞳。

螢ちゃんの唇。

螢ちゃんの指。

全部知ってるよ。

 

小さい頃からずっと一緒だったもの。

いつも側にいたんだもの。

 

それでも、好きになっちゃいけないの?

初めて好きになった相手が、螢ちゃんじゃいけないの?

 

「血のつながりなんて、超えられるわ」

 

好きだよ螢ちゃん。

好きだよお兄ちゃん。

 

やがて・・・私の服がするりと滑り落ちた。

自分の全てを螢ちゃんの目の前に晒す。

 

「見て・・・・・」

 

私は震えながら、未だ体を隠している両手をどけた。

声も震えてる・・・。

 

「ねぇ、見てよ螢ちゃん。この胸も・・・おしりも・・・」

 

私、自分が何をしているのかもう分からなかった。

ただ、螢ちゃんに私を見て欲しかった。

ずっと、螢ちゃんのことだけを考えていた。

 

「ココ、だって・・・もう大人(おんな)なんだよ」

 

私は、自分で中心を押し広げてみせる。

見られてるけど・・・螢ちゃんなら平気。

 

私、泣いていたと思う。

こんなことをしたって、螢ちゃんの心を変えることはできないと知っていたから。

そして、思い出していた。

私は、そんな螢ちゃんだから好きになったんだってこと・・・。

 

「螢ちゃん・・・」

 

裸身を晒したまま鳴咽を漏らす私を、螢ちゃんは困ったような顔で見ていた。

ちょうど、昔私がわがままを言って泣いた時のように。

 

ふわり。

 

そして次の瞬間、その時と同じように螢ちゃんは優しく私を抱き締めてくれた。

螢ちゃん・・・?

・・・・・・・。

・・・・・・。

・・・あったかい。

 

時折しゃくりあげる私の背中を、螢ちゃんはぽんぽんっと叩いて、髪を撫でた。

背はちっちゃいくせに、大きな手。

あったかい手。

 

「・・・しょうがないな、恵は」

「・・・?」

 

涙で赤くした瞳を上げると、螢ちゃんは微笑んでいた。

不安そうな表情で見上げる私のおでこに、軽いキス。

あ・・・。

 

「昔から泣き虫なんだから」

「螢ちゃ〜ん・・・ぐすっ」

 

私は、かつて良くそうしたように螢ちゃんの体にしがみつく。

あの頃と変わらない安心感。

そして・・・今は。

こうして螢ちゃんに抱きすくめていられるだけで、私の中心は熱く震えた。

螢ちゃんの指が私の髪を梳く度に、熱い液が溢れるのが分かる。

 

「恵・・・?」

「・・・お願い、螢ちゃん。もう少しだけ、こうしていて」

 

びくっ、びくっと断続的に痙攣を繰り返しながら、私は螢ちゃんに言う。

恥ずかしくて、とても顔は見られなかったけど、螢ちゃんは無言で頷いたみたいだった。

 

「あ・・・あ・・・!」

 

声が漏れるのを抑えられない。

ヤダ・・・ただ抱き締められてるだけなのに。

 

「螢・・ちゃん、もっと・・・。もっと強く抱き締めて」

 

ぎゅ。

 

「あっ・・・あ・・・!!!」

 

ダメ・・・。

頭の中が真っ白になっていく・・・。

螢ちゃん!

螢ちゃん!

 

「好き!螢ちゃん・・・螢ちゃーーーーーんっ!!」

 

螢ちゃんが私の手を握っている感触だけを残して、私の意識は白に融けた。

 

チュンチュン・・・チチチチチ。

 

「ん・・・・・螢ちゃん」

 

まぶしい・・・。

顔に光が当たってる・・・。

え・・・。光?

 

ガバッ!

 

私は勢いよく布団から身を起こした。

いつもの自分の部屋。

もちろん隣に螢ちゃんは寝ていない。

 

「やだ・・・夢?」

 

私って・・・馬鹿みたい!

私は一人、部屋の中で顔を赤くする。

螢ちゃんの手の感触だけが、かすかに残っていた・・・。

 

 

「おーす、恵。おはよう」

 

「!!お、おは、おはよう螢ちゃん」

 

「?どしたんだ、恵」

 

どもりまくる私に、訝しそうな螢ちゃんの顔。

とてもじゃないけど、まともに顔なんか見れないよぉ。

きっと私、顔赤い。

 

「どうしたんですか、恵さん。お顔が赤いですよ」

 

天使のようなベルダンディーの声。

なんの汚れもないその声に、私は余計に恥ずかしさが増した。

 

こつん。

 

おでこに軽く当たる感触。

目の前に、ベルダンディーの顔があった。

 

「あ・・・・」

「・・・熱は、ないみたいですけど」

「う、うん」

「体、大事にしてくださいね。風邪は、邪気を払うのが大変ですから・・・」

「・・・ん」

 

心配そうな瞳。

屈託のない笑顔。

・・・かなうわけないよね。

 

螢ちゃん。

 

ベルダンディーになら・・・。

 

「さ、そんなコトより早く行かなきゃ。授業始まっちゃうわよ」

 

ようやく、いつもの自分が取り戻せたような気がする。

ベルダンディーって、不思議な女性(ひと)。

元に戻った私に、拍子抜けしたような螢ちゃんの顔。

 

くよくよなんて似合わないわよ、私には。

さあっ、いつもみたいに張り切っていこうかな!

 

・・・お兄ちゃんと、一緒に。

 

 

(おわり)

 


みゃあの後書きらしきもの

 

っっっっっっっっかぁぁぁぁぁぁっっ!!!なんてベタな展開なんだぁぁっ!!(超核爆)

なんてお約束のセリフ連発なんだぁぁぁっっ!!しかも夢オチ!!

はっ、恥ずい〜〜〜(ごろごろごろごろ)←転がっている。

はぁはぁはぁ・・・なんかこれって、恵ちゃんじゃないよね?

キャラ的には恵って、ベルダンディーの次に好きなんです。だから上手く書いてあげたかったんですが・・・。

真面目に「兄妹」ってテーマを書いてたら、こんなんなっちゃいましたよ。トホホ(T_T)。

次書く時は、もっといつもの元気なトコが書きたいな。

あー、恥ずかしい。あまりコメントしたくないので(笑)これにてっ!!(シュタタタタ〜)

 

BGM:「きみを変えられない、ぼくが伝わらない」

「congratulations!」Goddess Family Club)