新世紀エヴァンゲリオン

■ヴァージン■

−アスカの場合−

Written by みゃあ


 

「あっ!」

 

アスカが小さく悲鳴を上げたので、シンジは慌ててその動きを止めた。

 

「ご、ごめん・・・平気?」

「・・・・・・平気じゃないわよ」

 

シンジに弱みを見せたことが恥ずかしかったのか、アスカはシンジの身体の下で、仏頂面を作ってそっぽを向いた。

 

「いいから、さっさとやんなさいよ」

「で、でも・・・」

 

不機嫌そうなアスカの声。

でもそれが虚勢だということがシンジには良く分かった。

彼が触れているアスカの身体が小刻みに震えていたから。

 

アスカの言葉に躊躇したのではなく、これから彼女に与えてしまうだろう苦痛を思って、シンジはためらった。

 

「あんたね・・・ここまで来たんだから後戻りはできないのよ。まさか・・・あたしに恥かかせる気?」

「・・・・・」

 

それがシンジにはアスカが自分に言い聞かせているように感じられた。

アスカの身体を傷付けるのは恐かったが、せっかく勇気を振り絞っているアスカの心を傷付けるのはもっと恐かった。

シンジは心を決めて、ストップしていた腰をわずかに前進させた。

 

「・・・・・っつ・・・!」

「・・・・・・」

 

アスカは情けない声が出ないように、きゅっと唇を噛んでいる。

しかし、その隙間から苦痛が漏れるのは仕方がない。

シンジは気遣わしげにアスカの顔を見詰めながら、そっとその栗色の髪に手を伸ばした。

 

「・・・どうしたの。まだちょっとしか入ってないわよ」

「ん・・・分かってる。ちょっとアスカの髪が触りたくなったんだ」

 

強がりの多分に混じったアスカの言葉に、シンジは言葉を選んで返答した。

アスカは無言だったが、明らかに安堵したようだった。

シンジはしばらくアスカの髪を梳きながら、身じろぎもしなかった。

彼の分身は、先端の半分程度がアスカの狭い洞に沈んでいる。

 

「ん・・・・・」

「・・・・・・・」

 

シンジの優しい愛撫に、少し緊張がほぐれたのかアスカの身体から力が抜けた。

 

「・・・いつまでそうしてる気?夜が明けちゃうわよ」

 

あくまで強気を崩さないアスカの態度に、シンジは心の中で苦笑した。

同時に、彼女のそういう可愛らしさに笑みが零れる。

 

「ちょっと・・・何笑ってんのよ」

「ご、ごめん・・・いくよ?」

 

再びアスカが身構える前に、シンジは再び腰を沈めた。

ぐっ、という感じにシンジが入って来るのが分かった。

 

「・・・は、入った?」

 

必死に痛みを我慢しつつ、アスカはシンジに聞いた。思わず声が震えてしまったのは仕方ない。

 

「ん・・・半分くらいかな」

 

シンジの答えに、アスカは明らかにショックを受けたようだった。

紅潮した頬に、さっと動揺が走る。

 

(ウソ・・・これでまだ半分なのぉ。これ以上無理よ・・・)

 

「だ、だったら早く全部入れなさいよ」

 

心で思ったことと正反対の言葉をアスカは口走っていた。

救いがたい意地っぱりさに、自分でもあきれる。

しかしシンジはまたしても動きを止めた。

 

一気に貫いてしまった方がアスカには楽かな、とも思ったが、今の様子からして無理は禁物だとシンジは思った。

狭い。

これだけでも一杯のような気がする。

これ以上進んだら、裂けてしまうのではないかとも思う。

 

しかし、ここで止めたらアスカは自分を許してくれないだろうとも思った。

彼女のプライドがそれを許さないだろう。

シンジは破瓜の痛みが少しでも和らげられるようにしようと思った。

 

「アスカ・・・好きだよ」

 

真摯な表情で、シンジはアスカの水色の瞳を正面から覗き込んだ。

あまりにも真っ直ぐな視線に、アスカの方がうろたえる。

 

「な、なによ・・・急に・・んっ」

 

どぎまぎするアスカに、シンジは間髪入れずに唇を合わせた。

 

(な、なに!?・・・シンジのくせに随分積極的・・・)

 

開いたままの目を慌てて閉じると、アスカはシンジのキスを受け入れた。

シンジは唇を合わせるだけで、アスカの口内には入ってこなかった。

 

しばらくそのまま抱き合っていたシンジは、ようやく唇を離したかと思うと、アスカが気を取られている内に、また僅かに前進した。

 

「あっ・・・」

 

アスカが声を上げると、シンジは今度は瞼に、睫毛に、頬にとキスの雨を降らせた。

 

「好きだよアスカ・・・」

 

と囁きながら。

 

「んんっ・・・・あっ」

 

閉じられた瞳の端に滲んだ涙をシンジの唇が優しく吸い取る。

その行為を繰り返して、やがてシンジはアスカの再奥に到達した。

 

「あーーーーーーーーっ!!」

 

一際高い悲鳴と共に、アスカは白い喉を仰け反らせた。

 

 

 

 

 

 

「アスカ・・・・アスカ、大丈夫?」

 

行為の後で、わずかに鳴咽を漏らすアスカにシンジは優しく呼びかけた。

ぐすんぐすん、と鼻を啜っていたアスカは、シンジを見上げ・・・そしてぎゅっと抱き着いた。

 

「・・・いたかったんだからぁ・・・・痛かったんだからねバカ・・・」

 

子供のようにしゃくりあげるアスカを優しく抱き返しながら、シンジはその背をぽんぽんと叩いてやった。

 

「ごめん・・・でも、やっと一つになれたね」

 

アスカは暫くしゃくり上げていたが、やがてシンジの言葉に顔を上げ、今日一番嬉しそうに微笑んだ。

 

「・・・もう、逃がさないわよバカシンジ」

 

 

Neon Genesis EVANGELION

EpisodeXX:virgin

 

 

(おしまい)


みゃあ@作者の後書きらしきもの

 

ふぃ〜・・・難敵だった(笑)。

実は初体験を題材にするのは初めてです(^^ゞ。

イタイのが苦手なもので・・・。

アスカに関しては出産まで書いてるのにね(笑)。

というわけで、書いてみたら意外と素直に書けました。

全然エッチじゃないけど、こういうのもありかなと思いまして。

シンジくんちょっと頼もしすぎるかな(笑)。