For example...

「アイ!シてる7」

作・みゃあ


 

 

壁の側で、クッションをお尻の下に敷いたシンジが、S−DATを聞いている。

 

なぜか、シンジは壁際が好きだ。

アスカには、それがさっぱりわからない。アンタは虫か、と思う。

そして、シンジといえばS−DAT。

暇さえあれば、S−DATを手にしている。

一体、何が楽しいのか。

Tシャツとホットパンツだけというしどけない姿の美少女が横に、すぐそばに、手を伸ばさなくても息がかかるくらい近くに寝ているというのに、イヤホンを耳に突っ込んでいた不届きな事件は、記憶に新しい。

…まあ、そんなことはどうでもいいのだが。

 

とにかく、今日も風呂上がりのシンジはS−DATを聞いている。

すぐ横で、退屈そうにテレビを見ている美少女が寝そべっているというのに、だ。

…それもどうでもいい。

 

ともかく!

アスカは、気に入らないのだ。

飽きもせず、何をそんなに聞いているのか。

それを確かめるのは、同居人の義務というものではないか。

そう結論付けて、アスカはシンジの手からS−DATをむしり取った。

 

「あっ!」

「アンタいつも何聞いてんのよ!ちょっと貸してみなさい」

「だだだダメだよっ!」

 

意外にも、抵抗が激しい。

しかし、このアスカ様に逆らうとは身の程知らずな。

すらりとした足が二度ひらめいて、シンジはクッションの上に沈んだ。

 

「フン。あたしに逆らおうなんて、百年早いのよ。 どれどれ…」

「あわわわわ…」

 

アスカは、先ほどまでシンジがしていたイヤホンを耳に入れた。

 

『シンジ』

『シーンジ』

『シーンージー』

『シンジってば』

『あ、シンジ』

『シンジ!』

『アンタ、ばかぁっ?!』

 

「なななななな…」

 

聞こえてくるのは、まごうことなき自分の声。

怒った声、笑い声…日常のさまざまな会話が次から次へと…。

 

「なに聞いてんのよっ、エッチ!すけべ!バカ!変態!」

 

全身を真っ赤に染めたアスカに、シンジがぼろぼろにされるまで、5分とかからなかったという。

 

 

(おわり)

 

 

「バカシンジ!そんなの聞かなくたって…いつでも…(ごにょごにょ)」

 


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(updete 2004/06/19)