FF7

■「偏」愛■

〜Perverseness〜(1)

作・みゃあ


 

やはりそこにマテリアはあった。

 

「……この強情っぱりめ」

 

クラウドは、あきれとも憐憫とも取れない表情で苦笑した。

 

彼の目の前では一人の少女が、その姿を誇示するように大きく脚を広げている。

 

しかし少女の表情はそれとは対照的で、夕日に染まったかのように紅潮していた。

 

それもそのはず、少女は下半身には一切衣類を身につけていないのである。

 

「ち、ちくしょう……」

 

消え入りそうな声で、少女は非難がましい視線をクラウドに向けた。

 

彼女の中心部には、不思議な光沢を放つエメラルドグリーンの球体が、埋め込まれるようにして沈んでいる。

 

「ユフィ…お前なぁ。いくら忍者だからって、本当にそんなところに隠すな」

 

諭すように言うクラウドだが、さすがに目のやり場に困るのか、さかんに視線を宙にさまよわせる。

 

「う、うるさいっ……こ、ここなら見つからないと思ったんだ」

 

この後に及んでまだ虚勢を張っているところがいかにも彼女らしい。

 

はぁ……。

 

クラウドは思わずため息を漏らす。初めはまたマテリアを盗まれたことから頭に血が上っていたが、彼女の態度を見ていると、もうどうでもよくなってきた。

 

「……とにかく、早く取り出して服を着ろ。目のやり場に困るだろう」

 

「なっ…クラウドがこうさせたんだろっ!」

 

ユフィの顔が、羞恥のためでない感情によってさらに紅潮する。

 

ユフィの言葉に反応して、クラウドも顔を赤くした。

 

「人聞きの悪いことを言うな!お、お前が勝手に脱いだんだろう?」

 

「それはっ!……クラウドが服の中に隠してるんだろう、って疑うから」

 

「……実際、隠していたじゃないか」

 

「う……それは」

 

墓穴を掘ったユフィは反論できず、うつむいてしまう。

 

クラウドは仕方ないな、と再びため息をついた。

 

「……とにかく、早く服を着ろ。誰かに見られたらどうする」

 

もうクラウドに見られてるよ、とユフィは口の中で呟く。

 

さすがの彼女もれっきとした女の子である。それもティファやエアリスより年下の彼女は、心情的に複雑な年頃であった。

 

「まったく……年頃の娘が好きでもない男に裸を見せるな」

 

理解できん、とクラウドはあさっての方角を見つめながらぶつぶつと呟いた。

 

その瞬間、ユフィが反応を示した。紅潮した顔に、決意めいたものが浮かぶ。

 

「………好きだったら……どうするんだよ」

 

「…なに?」

 

ユフィはうつむいたままぼそり、と呟いたのでクラウドは良く聞き取れなかった。

 

「……あたしがアンタを好きだったらどうすんだよ!」

 

今度ははっきりと顔を上げてユフィは言った。

 

その言い方がぶっきらぼうで真っ直ぐで、いかにも彼女らしい。

 

こんな姿になれるのはクラウドの前でだけだ。

 

そうユフィは言いたかったのだが、ひとたび言葉を舌に乗せると、とてつもなくひねくれてしまうのがユフィのユフィたるゆえんであった。

 

 

沈黙。

 

………。

 

………。

 

「な、な、な、なんだって!?」

 

ようやく彼女の言った意味に気づき、クラウドはうろたえた。

 

あまりにも彼女らしからぬ発言だったからである。

 

好き!?この俺をか?

 

にわかには信じられない事態であった。

 

 

一方、言った側のユフィも硬直していた。頬どころか全身を真っ赤にそめている。

 

勢い余って告白してしまったのだから無理もない。

 

 

 

しばし、沈黙が流れた。

 

とくとくとくとくとく………。

 

ユフィの心臓の鼓動が早い。

 

とくとくとくとくとく………。

 

 

 

「ば……ばかなことを言うな」

 

「え?」

 

期待していたのとは全く違った反応に、ユフィは呆然とする。

 

「そんなことを言って、また俺をからかうつもりだろう」

 

言うクラウドの表情は、いつもの冷静さを取り戻していた。

 

 

………。

 

……なんだってぇ!?

 

カチン。

 

その表情を見たユフィの顔がみるみる怒りに染まる。

 

そして彼女は、ゆっくりと息を吐いた。熱い呼気を肺から押し出すように。

 

「………やめた」

 

「?なに」

 

突然冷静な声に戻ったユフィに、クラウドは振り返った。

 

「やめた!」

 

ユフィが突然大声を上げる。

 

「な、何がだ?」

 

ユフィは白い目でじーーーー、っとクラウドを見ると、小さくフン、と鼻を鳴らした。

 

「……マテリアを返すのを止めたんだよ」

 

「な…お前!」

 

「…欲しけりゃ自分で取れば?」

 

目のすわったユフィは、再び両脚を大きく広げると、クラウドに自らの秘部をさらけ出した。

 

「………え?」

 

間抜けなクラウドの声に顔。

 

きらり、とユフィの中心部でマテリアが光彩を放った。

 

 

(つづく)

 


 

みゃあの後書きらしきもの。

 

みゃあ「ふぅ……なんかイマイチだなぁ(T_T)」

エアリス「そうですねぇ」

みゃあ「ぐさっ!」

ティファ「いつもより描写がいいかげんだわね」

みゃあ「ぐさぐさっ!」

ユフィ「あんた……なんであたしン時だけ手を抜くんだよ」

みゃあ「手は抜いてませんよぅ(;_;)。ただ、ユフィって思ったより書くのが難しいんです」

ユフィ「…ま、当然だね。あたしってば他とは違うから(じまんっ!)」

みゃあ「そうそう…キャラが『立ち過ぎ』ちゃって、そのままじゃえっちシーンに突入できないんですよ。…なんせひねくれてるから」

ユフィ「なっ、なんだってぇ!?」

みゃあ「だから第一回は、どうしてコトに及んだか、みたいなのをわざわざ書かなくちゃならなくなったんですよ。しかも書いてみたら難しい難しい。なんかセリフもシチュエーションも『お約束』の連続になっちゃって……書いてて一人で転げまわっちゃいましたよ」

ユフィ「ぐっ……言わせておけばっ!」

みゃあ「ま、次からは書きやすくなるでしょう。クラウドにどう攻めさせるかが問題ですけど(^^ゞ」

ユフィ「(かぁ〜〜〜〜)な、何言ってんだっ!?」

みゃあ「だからぁ、いつも同じパターンじゃしょうがないでしょ?エロシーンがみんな同じだったら、なんのためにキャラを変えてるか分からないじゃないですか。それにそんな実も蓋もないエロ小説、私はイヤです」

ティファ「でも結局はえっちなワケね」

みゃあ「ま、まぁそれは……」

クラウド「相変わらず、処置なしだな」

みゃあ「あう(^^ゞ」

 

はぅ。

ええっと、タイトルのことですが、英語では「天の邪鬼」となっておりまして偏愛とは意味合いが少し違います(^^ゞ。でも、ユフィにはなんとなく合うのでオッケー(笑)

この小説もちび号さまのCGから着想を得たものであります。いつもインスピレーションを与えてくださるちび号さまには脱帽です。そして感謝!