FF7

■約束の場所で■

〜AERITH other end〜

Written By.みゃあ

 


 

教会の中は、温かい光に満たされていた。

 

 

「あ……お花が……」

 

まるで時が止まっていたかのような室内を、懐かしそうに見回していた少女は、真っ先にそれを見つけた。

 

「本当だ……」

 

そこは、小さな小さな花壇のようになっていた。

 

稚拙なつくりではあった。

 

だが、小っちゃな手で一生懸命作り上げたであろうそれは、部屋の中でも、一際輝いていた。

 

「……あの子たちが、面倒を見てくれてたんだろう。しかしよくもまあ、ここまで……」

 

ひざまづき、愛おしそうに花に触れているエアリスの背後に立って、クラウドは呟く。

 

「……こうして、想いは受け継がれてゆくのかしら」

 

エアリスの声には、わずかな感情の昂ぶりが感じられた。しかしクラウドはそれには気づかないふりをして、静かにうなずく。

 

「ああ……」

 

「素敵ね」

 

エアリスの声はわずかにかすれていた。

 

こくり、とクラウドは無言のままうなずき、そして絶句する。

 

振り返ったエアリスの笑顔が、ステンドグラスから差し込む柔らかな陽光に七色に輝いていた。

 

この笑顔だ……。

 

彼の望んだものがそこにはあった。

 

「………奇麗だ」

 

喉の奥から絞り出すように、ようやくクラウドはそれだけを言った。

 

「本当……美しいお花たちね……」

 

エアリスはクラウドの表情には気づかずに、花に目を転じる。

 

「いや、俺が言ったのは花のことじゃない……」

 

「え?」

 

エアリスは再び振り向いて……、そしてクラウドの優しい笑みに迎えられた。

 

やがて静かに重なり行く影を、陽光が優しく包んでいた。

 

 

ふたりは帰ってきたのだ。

 

 

約束の場所へ……。

 

(Ende)