サクラ大戦

■Maria〜day&night〜■

she is a girl. she is a lady. so...she is a woman.

Written By Myaa


 

〜DAY〜

 

 

「クレモンティーヌ!・・・君を、愛している」

「オンドレさま!」

 

舞台の上で、彼女は男。

ハスキーな声。

短く切り揃えられた金髪。長身。

そして鋭いサファイアの瞳。

 

今日はフランス革命の闘士・・・。

彼女は男装に身を包み、観客を魅了する。

 

これは偽りの姿・・・?

ニェート(いいえ)、これも本当の彼女の一つ。

 

Maria...

She is a lady...?

 

 

〜NIGHT〜

 

 

暗闇の中、裸身を月光に弄らせて。

彼女は全裸のままシーツにくるまって眠る。

 

シーツの白より、もっと艶めかしい白。

彼女の肌。

朱に染まった、熱く火照る泉に指を浸す。

 

のけぞる首筋。

開かれた唇から覗く、白い歯と真紅の舌。

 

あの人を思うと、際限なく指が蠢く。

 

夜の闇の中に抱かれていると、フラッシュバックする過去・・・。

それを忘れさせてくれる・・・昇華してくれる、あの人の笑顔。

 

あの人の指。あの人の唇・・・。

想像に任せて、細くしなやかな指が、純白の二つの丘と、しとどに濡れそぼる花を蹂躪する。

荒くなる吐息。

深く突き入れられる指。

背筋がのけぞり、宙を泳ぎ・・・天を仰ぎ・・・落ちる。

 

ハァ・・ハァ・・ハァ・・ハァ・・

 

朦朧とする意識と視界。

耳鳴りのように響く自分の呼吸。

その向こう、部屋の扉が何時の間にか開かれている。

 

廊下からの仄かな明かり。

戸口に佇むシルエット。

 

はぁ・・はぁ・・はぁ・・・

 

彼女は潤んだ瞳を影に向け、手を伸ばして彼を求める。

愛しい人の顔。

近づいてくる温もり。

 

「・・・隊長・・・」

「・・・マリア・・・」

 

やがて、微笑をたたえた二人は、唇を重ねて行った・・・。

 

Maria...

She is a woman.

 

 

〜and...DAY AGAIN〜

 

 

舞散る桜の花びら。

煌く陽射し・・・。

 

穏やかな光の下で振り返る彼女。

その微笑みは、無垢な少女。

 

澄み切ったブルーの瞳に、思い人の笑顔を映し込んで、

無邪気に笑う。

聖女のような瞳に、慈母のような表情。

 

差し伸べた白い掌に、重なる手。

きつく握り合って、二人は空を仰ぐ。

雲一つない青空。

舞い踊る桜花の清涼な香り。

 

もうこの手は離さない。

 

Maria...

She is a girl!

 

(END)