新世紀エヴァンゲリオン ■スイカの名産地■ (或いは加持のスイカ畑死守日記) Written By.みゃあ
「やあ、みんな元気かい?俺の名は加持リョウジ。スイカ栽培に命をかける男だ」
きらーんっ!加持の歯が光る。
本人は極めて渋く決めたつもりなのだが、言ってることでそれも台無しである。
「見てくれ、俺の後ろに広がる、この広大なスイカ畑を!」
加持が振り向いた先には、1ヘクタールに及ぼうかという、バカみたいに(というか実際バカだが)だだっ広いスイカ畑が広がっていた。
「おおおおおっ、このつやつやしたスイカの可愛らしいこと!」
そりゃ農薬のせいだって(←つっこみ)
「なあっ、みんなもそう思うだろうっ!?」
彼の頭より大きいスイカに、無精ひげの生えた顔でほお擦りしながら、加持は潤んだ目でこちらを見る。
思わない、思わない。
加持はその行為に、たっぷり20分ほど浸ってから、ようやく我に返る。
「はっ。いかんいかん、つい可愛いスイカたちを見ると我を忘れてしまうなぁ。もうっ……このおちゃめさんっ!」
ひゅおおおおおおお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
この瞬間、推定1億2千万人が引いた。
「ふっ。このように俺は、日夜丹精こめてスイカづくりに励んでいる。……が、中にはこの俺のそんなささやかな楽しみを妨害する輩がいる。俺は、日夜そんな暴徒どもと戦っているのだ!」
〜case1.ゲンドウ&冬月の場合〜
冬月「……碇。こうしていると昔を思い出すなぁ……」
暗闇の中、ほっかむりをしてしみじみと呟く冬月。
ゲンドウ「ああ………」
返事をするゲンドウも同じくほっかむりである。
冬月「セカンドインパクト以前か……子供の頃はこうして良くスイカ泥棒をしたものだ」
ゲンドウ「ああ………」
闇の中を匍匐前進する二人。
小脇には、すでにしっかりと大玉のスイカが抱えられている。
「待てっ!怪しい奴らめ!」
そこに現れたスイカ男。
なぜかスイカの着ぐるみを着て仁王立ち。手には懐中電灯。(←お前の方が数倍怪しいっ!)
「何をしているんですか、司令……」
「フッ……。我々のささやかな楽しみだ。邪魔をしないでもらおう、加持くん。行くぞ、冬月…」
言って駆け出すゲンドウと冬月。
「ああっ、待ちやがれこのヒゲメガネ〜!!!」
しゅたたたたたたたたたた〜!
セカンドインパクト世代は足が速かった……。
「ちっくしょう!!!」
我が子のようなスイカを持ち逃げされて、くやし涙を流す加持であった。
〜case2.アスカ&シンジの場合〜
「だっ、だめだよアスカ……こんなところで。誰か来たらどうするんだよ」
「バカねえ、だから燃えるんじゃないの。それに、外でスルのって久しぶり……」
こっそり逢い引きに来た二人。
「さっ、シンジ……」
「う、うん。アスカ……」
「ん……シンジぃ……」
甘いキス。そしてゆっくりと倒れ込むふたり。
そのまま2時間ぶっ続けで燃え上がる。
が………。
「こらぁっ!お前たち!」
二人の倒れ込んだ先は、昨日加持が一生懸命うね起こしをした場所だったのだ。
「やばいっ!」
「加持さん目がすわってるわっ!」
「逃げろっ!」
しゅたたたたたたたた〜!
服を小脇に抱えて逃げ出すふたり。
「待てえ〜〜〜〜〜〜〜!」
しかし、さすが現役中学生は足が速かった。
「うわあああああああああっっっっっ!!!」
ふたりの行為のため、完全に「ならされて」しまった畑を見て涙する、加持であった。
〜case3.リツコ&マヤ&シゲル&日向〜
「こっちよ、マヤ」
「やだあ、センパイ嘘を教えないでくださいよ?」
「大丈夫だって、マヤちゃん」
「そのまま真っ直ぐ、真っ直ぐ」
彼らは休日を利用して、この辺に遊びに来ていた。
季節は夏。
周りはスイカだらけ。
となれば当然……。
「うおらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!俺の畑でスイカ割りするなあぁぁぁぁぁっっ!!」
クワを振り上げて疾走してくる加持。
「ちっ。邪魔が入ったわね」
「マヤちゃん、ちょい右」
「そう、ちょい右」
「そのまま、渾身の力を込めて振り下ろすのよっっ!」
「こ、ここですかぁ?えいっっっっっっっ!!」
ばきゃっ!
「ぐわっ!」
飛び込んできた加持を殴らせるよう、誘導するリツコたち(鬼)。
マヤちゃんの一発は見事、加持ののーてんをとらえ、哀れ加持は一発で撃墜。
「あれ?今のホントにスイカですか?」
「ふっ。良くやったわ、マヤ」
一時間後。
目覚めた加持が見たものは、割られまくったスイカの山であった(しかも食べてある)
「うぅおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
可愛いスイカたちの残骸を抱きしめながら、号泣する加持であった。
〜case4.レイの場合〜
ガサガサ。
一人の少女がスイカを漁っていた。
しかも一つや二つではなく、横付けされた大八車に一杯積み込んでいる。
「こらあっ!そこで何をしているっっ!」
当然あらわれる加持。
レイは相変わらずの無表情で、手を止める。
「食料調達……」
ぼそっ、と呟くレイ。
「だめだ、だめだ、だめだ!ここは俺の畑だっ!勝手に……ぐぼぅっ!」
加持もまさか、と思ったことだろう。
抜く手も見せずに閃いたレイのスコップが、加持をノックアウトする。
倒れる加持を全く無視して、レイは積み込み作業を再開する。
「任務完了」
やはりぼそっ、と呟くとレイは大八車をご〜ろご〜ろと引いて去っていった。
やはり目覚めた加持の見たものは、根こそぎスイカを奪われた後の、すっかりさみしくなった畑であった。
「うおおおおおおおおおおお〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!」
涙を滂沱と流しながら絶叫する加持であった。
〜case5.ミサトの場合〜
「おっ、ミサトじゃないか」
草むしりに畑に来た加持は、その中心部にミサトの後ろ姿を見つけた。
が……。
「あん!?」
振り向いたミサトの目は既にすわっていた。
良く見ると、彼女の横にはうず高く積まれたビールの空缶の山が……。
「み、ミサ……ト?」
「あんた……このあたしよりも、こんなスイカがいいっての?」
完全にヤバイ目で、ミサトはギロリと睨み付ける。
「い、いや。それは……」
「ひっく………そう」
カラーン。
ミサトの手から、最後のビールが空になって落ちる。その数およそ30数本。
「うおおおおおおおりゃああああああああああっっっ!!こんなもの、全部叩き潰してやる〜〜〜〜〜〜っっ!!」
「おわああああああっっ、や、やめてくれミサト!」
暴走するミサトを止めに入る加持。
ごいんっ!
「ぐおっ!」
が、ミサトの投げつけた大玉のスイカに直撃され、あえなく撃沈。
「でやああああああありゃあああああああああっっっっ!!!うおりゃああああああああ〜〜〜〜〜っっ!」
ミサトの暴走は、その後3時間に及んだという。
やっぱり目が覚めた加持を待っていたのは、ほぼ全滅したスイカ畑であった。
「あぎゃあああああああああああっっっっっ!!!!!」
もう何も言うまい。
彼の名は加持リョウジ。こよなくスイカを愛する男。
彼はこうして日夜、畑を荒らす悪漢どもと戦っているのである。
(Fin)
みゃあの後書きらしきもの
………なんでしょ、これ?(自爆)
うわあああああああああっっっっっ!すみません、みなさま!
おかしいなぁ……なんでこんなんなっちゃったんだろう。
初めは加持の真面目なお話のはずだったんだが……。
すっかり大馬鹿SSになってますね(^^ゞ。
ごめんなさい。最近暴走気味のようです。
ホント、加持ファンの方ごめんなさいm(__)m。