逮捕しちゃうぞ

■GOOD MORNING! NATSUMI&MIYUKI 3rd■

(前編)

Written by みゃあ


 

ちゅん、ちゅちゅん。

ちちちち……。

 

 

時は薄明。

ようやっと、スズメたちも起き出す時間。

要するに早朝である。

 

 

そんな時刻に、タンクトップにスポーツタイプのショーツ一枚という格好で、一つのドアに忍び寄る影。

……とことん怪しい。

 

「ふっふっふっふ……今日こそは逆襲させてもらうわよ、美幸ぃ〜」

 

にまらぁ、と不気味な笑いを浮かべたのは、言わずと知れた辻本夏美である。

 

『MIYUKI’s ROOM』

と札のかかったドアの前で、夏美はひとり闘志を燃やしていた。

 

しかし、何故彼女が相棒よりも早く、こんな時間から起きているのかというと。

 

突然だが、夏美は寝起きが悪い。

ひたすら悪い。

とにかく悪い。

最悪である。

そんなわけで、相方の小早川美幸は毎日夏美を起こすのに知恵を絞ったものだ。

 

ヘッドホン最大ボリューム作戦。

霧吹き&ドライヤー作戦。

エアガン乱打作戦。

氷攻め作戦。

電気ショック作戦。

 

過酷な攻めである。 

だが、この苛烈極まる攻撃も、最近効きが鈍っているというのだから、夏美は……。

とにかく。

このような攻撃で毎日叩き起こされる夏美は、美幸への逆襲を決意したのであった!(全て自分の寝坊のせいという話もある)

 

キィ……。

 

「おっと……」

 

あぶないあぶない。

言うまでもなく、美幸の部屋は侵入者対策のトラップで一杯である。

夏美は入り口の有線(ワイヤー)トラップを乗り越えた。

赤外線センサーのスイッチを切っておきながら、昨日はこれにやられた。

 

すー……くー……。

 

「ふっふっふ……良く寝てるわね」

 

ショートボブの髪を掻きあげて、ベッドを覗き込む夏美。

きちんとパジャマを着て寝ている美幸を確認。

ちなみに夏美は寝る時、今と同じくスキャンティとタンクトップ一枚という格好である。

しかも女であることを捨てた、物凄い寝相。

えらい違いである。

 

「美幸ちゃ〜ん……」

 

ぬっふっふ……と笑い、夏美は両手を「わきわき」させながらベッドへと忍び寄る。

お前は酔っ払いおやぢか!?

 

そろ〜り……そろ〜り……

 

「お・っ・は・よー。朝・でっ・す・よ……うりゃ!」

 

必殺、ボインターーーーーッチ!

本当におやぢかあんたは。

 

むにゅ。

 

柔らかい。

86のCとみたっ!!

 

「……っっっっっっっっきゃあああああああっっっっ!!」

 

しかし、予想外の過剰反応。

 

ありゃ。

美幸ったら、本当に中嶋くんと何もないのね。

ったく、二人とも奥手なんだから……。

 

などと思ったのも束の間、美幸は半分寝ぼけたまま、枕元にあったスナイパー銃『SUPER9・Miyukiスペシャル』を連射した。

CO2使用で初速170km/sという化け物じみたシロモノである。

 

スパパパパパパパパパッッッ!!!

 

「痛たたたたたたたたたっっっ!!」

 

いかにBB弾とはいえ、この至近距離からこれをまともに食らって『痛い』で済ませる夏美はやはり普通ではない。

 

「きゃーっ、きゃーっ、きゃー!」

 

美幸はすっかり夏美を痴漢か何かと勘違いしている。

目をつむったまま連射、連射連射!

この手加減のなさは、美幸も夏美のことは言えない。

結局ストックを全て打ち尽くした所でようやく我に返る。

 

「あ、あれ……?」

 

ベッドの上に座り込んでいた美幸がおそるおそる目を開けると、床で夏美がうつぶせになって伸びていた。

 

「なんだ……夏美か」

 

ふうっ、とため息をつく美幸。

寝る時には下ろしている髪がほつれて、そこはかとなく色っぽい。

 

また何かやろうとしたわね……。

 

まったくもう、とため息をつきかけた美幸は重大なことに気づく。

枕元のサイドボードに載せてあったボトルが見当たらない。

 

良く見ると、夏美の頭がびしょ濡れだが……。

と、見る間に夏美がむっくりと体を起こす。

 

「ま、まさか……」

 

美幸は不吉な予感を覚えつつ、床に転がっていたボトルのラベルを見る。

 

『ウォッカ』

 

……。

アルコール度数60%である。

 

そして……言うまでもなく夏美は……

酒乱だった。 

 

「あらぁ〜、美幸りゃないろ〜」

 

……既に手後れだったようである。

 

「あ、あかん……」

 

一度、酔っ払った夏美に襲われかけたことのある美幸は、本能的な危機感を感じて後ずさる。

トン。

……しかしここはベッドの上だった。

 

「し、しまった……」

「らりが、しまったのぉ〜?うふふふふふふ〜……」

 

アブない光をその目に宿して、夏美が迫る!

どうやら先ほどのボインタッチ(超死語)が引き金となって、美幸を襲うことに使命感を感じているようだ。

危うし美幸!!

 

 

以下次号!(ひきょーもん)

 

 

(つづく)

 


みゃあの後書きらしきもの

 

あー、楽し(笑)。

こういうライトなノリって書いてて楽しいんですよ。

特に「逮捕」(女神さまもだけど)ってキャラが立ちまくってるからスラスラ書けるしね(笑)。

ちなみにPart3となってますが、1、2はコミックスを参照のこと(笑)。

逮捕は結構組み合わせに自由度がないですね。

美幸×中嶋って濡れ場似合わないし(笑)。

葵ちゃんなんか上手く使うと面白いかしんない。頼子は……ギャグにしかならんでしょ(^^ゞ。

TV版だと夏美×東海林って組み合わせもあるけど……。これが一番アダルトな組み合わせ?

いやいや、瀬奈×中嶋ってのも……(ってオイ(^^ゞ)。

やっぱり夏美×美幸がしっくりくるなぁ(大爆笑)。

え?ストライク男?……止めてくださいよ(^^ゞ。

まぁ、次回はおいおい考えます。だって……最近の新ジャンルって感想がほとんどないんですもん(T^T)。読まれてないのだろーか、やはり……しくしく(;_;)。

 

BGM:「墨東ラブ・ストーリー」(辻本夏美&課長)(笑)  


(99/01/06 第二稿)