るろうに剣心
- 新章 -
作・みゃあ
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薫の身体は、羽のように軽かった。
少なくとも、剣心にはそう感じられた。
綺麗だ。
その肌を目の当たりにして、剣心は素直な賞賛の思いにとらわれた。
清楚な純白の夜着がはだけられた下から覗く脚は、さらなる白さを誇っている。決して病的な白さではなく、健康的な艶かしさを帯びていた。
ふと、視界の隅で黒い髪が揺れた。
視線を上げると、薫が一途な表情で、自分の顔を舐めている。
愛おしさが込み上げて、剣心は薫の胸元へ掌を滑らせた。
ぴくん、と薫が身じろぎして、眉間に微かな皺が寄る。
剣心は下から、まるい膨らみを掌中に包み込んだ。
「んん……っ」
薫が、鼻に掛かった小さな声を上げた。
剣心は、慎重に掌を動かし、その重みを確かめるようにすくい上げた。
薫の柔らかくも慎ましやかな胸が心地よい。
幾度か同じ動作を繰り返すと、薫の身体が小刻みに震え出した。
「なんか…へん。…剣心」
揉みしだくというより、撫でるといった感じの剣心の愛撫だったが、くすぐったさを超えた痺れが全身に心地よく拡がるのを感じた。
剣心は、薫の裡の微妙な感覚の変化が負の方向へ向かわぬように、根気強く、優しい動きを繰り返した。
薫の乳房は次第に火照り、雪のように白かった肌が桜色を帯び始める。やがてそれは、全身へと伝わった。
さらさらと絹の感触だった薫の乳房が、剣心の掌の中で、しっとりとした感触に変わりつつあった。
肌に吸いつくような感触を、剣心は暫く愉しんだ。
荒い息を圧して、薫も無我夢中で剣心の胸板を撫で続けた。
掌を滑らせ、細っこい指を円を描くように遊ばせる。
いつの間にか、剣心の上で下腹を切なげに押しつけている自分に気づく。
恥ずかしかった。
はしたない、という思いも頭の片隅を掠めたが、嫌悪感は微塵も感じなかった。
目線を落とすと、相変わらず剣心の手が胸をまさぐっている。
それは、まったく見慣れぬ光景だった。
剣心が自分の胸を触っている。
信じられない光景だが、嬉しかった。
薫の乳房はやや小ぶりだが、その柔らかさは絶品だった。
下から包み込むように、幾度もまさぐられ、薫は喘いだ。
剣心の手が動くたびに、乳房の形も千変万化する。薫は、その先端が緊張にしこりだすのを感じて、ますます頬を赤らめた。
剣心の掌も、薫の先端の突起がしこり出すのを敏感に感じた。
刺激が強くなりすぎぬよう、掌の窪の部分で優しく擦り上げるように、乳房全体を捏(こ)ねた。
「っ……剣心、そこ…だめ…」
弱々しい薫の抗議の声が上がったが、剣心は愛撫を続けた。
剣心の上で上体を支えている薫の腕が震えている。
内側から押し寄せる快感に、力が入らない。
それでも薫は健気(けなげ)に耐えていたが、突起を指先で転がされて、たまらず剣心の胸にしなだれかかった。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
薫は剣心の胸に頬をつけて、荒い呼吸をついた。
「はぁ…はぁ…っ。…剣心のいじわる」
「すまんでござる」
「恥ずかしいよぅ…」
そこで剣心は過ちに気づいた。
「薫殿…」
「はぁ…はぁ…え?」
「薫殿…」
「なに…あっ…」
剣心は上体を起こすと、さっと薫と体の位置を入れ替えた。
薫の声に所作で応じながら、剣心は薫の名を呼び続けた。
「薫殿」
「…剣心」
「薫殿」
「…はい」
薫は剣心に抱かれた。
軽い口づけの後、剣心は薫のふくらみに顔を埋めた。その間も、常に剣心は薫の名を呼ぶ。
うん…、と応えながら、薫は良人に身を任せた。
剣心の唇が、白い乳房の上を滑る。
ちゅ…っ。
「はっ……!」
ちゅ…ちゅっぅ。
「…ぁ…っは、剣心…剣心」
唇でなだらかな球面をなぞりながら、ところどころに朱を刻んで行く。
吸いつくと、その度に薫は可愛らしい声を上げた。
愛おしくて、剣心は何度も薫を呼んだ。
純白の野に付けた紅い跡を、今度は癒すように舌で擽(くすぐ)る。
「あ…剣心…だ…め…ぇ」
「薫殿…綺麗だ。それに、柔らかい…」
「ば…かぁ」
薫は細い腕で、恥ずかしそうに顔を覆った。
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「薫殿…?」
「はぁっ…はぁ…?」
剣心が顔を上げて薫の瞳を覗き込んだ。
薫は、息も絶えだえで、ろくに返事もできない。
「薫殿の胸に、口付けても良いでござるか」
「も、もうしてるじゃない」
「いや、そうではなく…その、頂きに…」
薫は顔を真っ赤にして、剣心の頭をぽかぽかと叩いた。
「そ、そんなこと聞かないでよ…っ」
「おろっ…おろっ。い、いや一応聞いておかないと。突然でびっくりするといけないと思って」
「う゛〜〜…」
薫は唇を噛んで首をすくめ、恨みがましそうな顔で剣心を見た。
それでも、どうしても言葉で答える気にはなれず、薫はやがて小さく頷いた。
正直なところ、胸の先に火が点ったかのようにじんじんと痺れ、そのもどかしさをなんとかして欲しかったのだ。
「では…」
「あっ、剣心、ちょっと待って…!」
「?」
「…あの、その…そ、そっとね。そっとして…お願いよ」
消え入るように言った薫は、頭から蒸気を出して俯いてしまった。
剣心は小さく微笑(わら)うと、こくりと頷いた。
剣心が舌を伸ばしてふくらみの先端に向かうのを、薫は顔を覆った両手の隙間から、どきどきしながら見ていた。
もう少しで触れる…という時、剣心の息遣いを感じて、薫は身じろぎした。
その小さな動きで乳房が揺れ、一瞬早く、剣心の舌先が触れた。
びくんっ。
「…!…!」
乳首から発した電流は、刹那の瞬間に薫の全身を駆け巡った。
声にならない喘ぎが漏れる。
それでも、一度目は耐えた。
しかし、剣心の舌が乳頭を優しく舐め上げ、口に含まれて舌先で捏ねられた時、薫は一瞬のうちに高みへと押し上げられた。
あっ、と思う間もなく、頭の中で光が弾ける。
一瞬、思考まで真っ白になって、薫は艶声を上げて果てた。
「…あっ、あーーっ!」
びくっ、びくっ、と薫の腰が跳ねる。
それは、彼女の意志を無視して跳ね上がり、剣心の下腹を熱く濡らした。
「……ぁ……ふぁ…ぁ…」
時折、ぴくり、ぴくりと痙攣しながら、薫は剣心にもたれて気を遣(や)っていた。
強烈な衝撃だった。
破瓜の後の疼きにも似た、甘い痛みが下腹を突き抜け、まったく力が入らなかった。
「薫殿。薫殿…大丈夫でごさるか…?」
わずかに涙ぐんでいるように見える薫に、剣心は心配になって声をかけた。
薫は、すん、と啜り上げると、じぃっ、と弱々しく睨み上げた。
「…すん……そっと…って…言ったのに…ぃ」
涙目で訴えかける薫の表情に、剣心は申し訳無さよりも愛おしさが込み上げて、薫の細い身体を抱きしめた。
二人の身体の間で、薫の乳房が剣心の胸板に押しつぶされ、そのしこった蕾が剣心をくすぐった。
薫はしばらく、断続的に啜り上げていたが、やがて剣心の匂いを嗅いでいて安心したのか、顔を上げると接吻を求めてきた。
「ん……んん…んむ…ふぁ」
剣心の掌が、薫のお腹を優しく撫でる。
薫はくすぐったそうに腰をくねらせた。
感覚をなくしていたような下腹部に、甘い疼きが点った。
剣心は薫の臍やわき腹を愛撫しながら、空いている方の手を吸いつくような感触の太ももに滑らせた。
できるだけ優しく、和毛(にこげ)も生えていないような肢を撫でた。
薫が震える。
熱い吐息が、可憐な唇から押し出された。
薫も、一所懸命に剣心の上半身を撫で回し、同じように肢にも手を伸ばして、指を這わせる。
薫はもちろん、剣心の呼気も、少しずつ早くなってくる。
二人は見つめ合うと、今までで一番濃厚に口付けを交わした。
ふたりはしばらく、我を忘れて、愛しい人の舌を求めた。
舌を吸う度に、身体の中心が蕩けていく。
舌を捉えられ、剣心の口内で啜られると、薫は身を震わせて温かい液体を女唇から溢れさせた。
薫の白い喉が動いて、剣心の唾液を飲み下した。
(つづく)
(update 99/10/10)