【1120】

 

作・大場愁一郎さま


 この星の人々は多種多様な顔をしている。

 与えられるエネルギーに何の疑問も持たず、日々をただ過ごしてゆく者。

 枯れゆく星の行く末を自然にとけ込みながら憂う者。

 想像を絶する遊興施設で無限の富と享楽にひたる者。

 力ある者。

 力ある者に媚びる者。

 力無き者。

 そして、異形の者…。

 それでも星は今確かに存在し、そんな者たちの生き死ににはなんの興味も示さない

かのように自転、公転を繰り返し、時間だけが消費されてゆく。まさに退屈なエター

ニティ。

 そんな星の運命を強引にねじ曲げた者が現れた。

 その名はセフィロス。伝説のソルジャー。

 気の触れた現人神は、混沌と破壊の象徴である黒マテリアを用いて隕石召喚の魔法

を行使したのであった。

 頭上を仰ぎ見ればまがまがしき紫の光を放つ巨大隕石が、否応なしに視界に映るだ

ろう。今はまだ小さいようだが、確実にこちらに向かってきている。星の滅ぶ日は近

い。星は近親相姦の果てに殺されるのだ。

 だが希望は残されていた。もしも希望を持とうとする者が、その日暮らしに慣れ

きった世界中のほとんどの人間の中にいたとしたらであるが。

 黒マテリアに対抗しうる唯一の手段、平穏と再生の象徴である白マテリア。

 すなわち、メテオに対抗しうる唯一の魔法、ホーリーの発動…。

 星の自己防衛本能でもあるホーリーは既に為された。しかし未だその効果は顕現し

ていない。すべてはセフィロスが絶大なる力でホーリーを押さえつけているためであ

る。

 そのセフィロスを倒すために、ひいてはこの星を救うために旅をする一団があっ

た。その一団はかつて、『アバランチ』と名乗っていた。

 ハイウインドと名付けられた高速飛空挺で世界を飛び回る現在となっては、もはや

その名前は過去のものである。いまは特に名前など無い。星の騎士団とでも呼ぼう

か…。

 セフィロスの居場所はすでに割り出してある。彼の潜む大空洞へは、もはやなんの

障害もなくなった。後は乗り込んで叩きつぶすだけであった。

 だが星の騎士達にも休息は必要である。大いなる最終決戦を前に彼らは束の間の安

息日を設けた。

「それじゃあみんな、明日のちょうどこの時間、このロープウェイ乗り場に集合!明

日からは休んでなんていられないからな、無理しない程度に遊んでこいよ!」

 ゴールドソーサーと呼ばれる大陸一の遊興施設がある。ちょうどノースコレルとい

うひなびた街から南にくだった大流砂の上に建設された、まさに空中楼閣である。

 そのゴールドソーサーのゲート前で、星の騎士達のリーダー格である青年、クラウ

ドが一行に解散を告げた。

 仲間は合計8人(?)いるが、常に3、3、2の組み合わせで行動することをクラ

ウドは休息の時に条件として課している。この世界で一人行動が自殺行為であること

は、幾多の修羅場をくぐってきたクラウドには身に染みてわかっているからだ。

「おう、それじゃあちょっくら羽をのばしてくるとするか!ティファ、レッド!まず

はチョコボレースで一稼ぎしてくるか!」

 アバランチの元リーダーであるバレットが、頑丈そうな見た目に逆らうことのない

厳つい声でグラマラスな女性と赤銅色の毛並みを持つ大型犬に呼びかけた。右手をギ

ミックガンに改造していたり、左腕にタトゥーを入れていたりと知らない者が見たら

強盗団のリーダーが出撃の鬨の声をあげているのかと錯覚したかもしれない。現に入

場受付の女の子なんかは身を縮こまらせて視線だけで一行を見つめている。

「チョコボレースは後回し!体力のあるうちにスノボゲームをしようよ!」

 タンクトップとハーフパンツに身を包んだティファと呼ばれた女性は、スノーボー

ドに乗っているマネをしてバレットに異議を申し立てた。クイックイッと上体を揺ら

すたびに、男性なら思わず目が行ってしまいそうなはち切れんばかりのカタチのいい

胸が重たげに揺れる。もっとも、スケベな視線で彼女を見ていると、投げキスではな

く猛烈なパンチやキックが返ってくるから要注意だ。

「コロシアムがいいな!オイラ実力を試してみたいんだよ!」

 レッドと呼ばれた、羽根飾りをあしらわれた大型犬は不思議なことに流暢なヒト語

でさらなる意見を出した。彼は通称レッドサーティーン。魔法生物と言えば魔法生物

なのかもしれない。勇敢なる血統を持ち、クラウド達の星を救う旅に参加している心

強い仲間だ。

 この3人(?)組のリーダーであるバレットは腕組みしてじっくりと意見を吟味し

ているようであったが、それは単なる格好だけだったらしい。左手で分厚い胸をバシ

ンと叩き、豪快に笑いながらさっさと入場してゆく。

「まぁティファもレッドも、ウダウダ言ってるとすぐ時間になっちまう!とにかく

入ってからだ!オレ様もつきあうから適当に行こうぜ、じゃあクラウド、また明日な

!!」

「ま、待ってくれよバレット!」

 レッドが慌てて駆け出し、ゲートの奥に消えてゆく。ティファもヤレヤレ、という

風に肩をすくめてから、

「どっかのスクウェアで会えたら一緒に遊ぼうね!」

とクラウドに小声で言い残してから2人(?)の後を追って駆けていった。

 見ての通りでティファはクラウドに好意を寄せているのである。再起不能状態のク

ラウドにつきっきりで看病したり、生か死かのピンチから救ってくれたりしたのも彼

女である。クラウドも言葉にこそ出さないが、彼女のことを必要としている。

「シドはん、ほんならボクらはどうします?シューティングコースターにでも行きま

すか?」

「そうよ!ここに来たらアレに乗らんと来た感じがしねぇもんな!さすがケット

シー、かつてここにいただけあって、よくわかってるじゃねぇか!」

 一方ではネコとデブモーグリのぬいぐるみが槍を肩に担いだ男性と相談している。

ネコのぬいぐるみはケットシーと呼ばれる占いロボットだ。正体は遠隔操作をしてい

る神羅の幹部なのだが、神羅カンパニーが壊滅状態となった現在、彼は敵であったク

ラウド達と同行している。

 槍を担いだ男性は名をシドという。かつては飛行機乗りであり、ロケットの操縦士

にも抜擢されたこともある、くわえ煙草の似合う好漢だ。

 そんなシドだからシューティングコースター…弾を撃って点数を競うジェットコー

スターだと思っていただきたい…は大好きなのだ。ゴールドソーサー内で使用できる

通貨代わりの『GP』さえあれば一日中でもやっているに違いない。

 そんなこんなで話がまとまった2人(?…ってもう?ばかり使うの疲れた…このな

らず者部隊め)はさっさとゲートの奥に消えていった。

 2つの小部隊を見送ってから、クラウドはいつも行動をともにしている2人を見

た。2人とは若きマテリアハンターのユフィと、かつて神羅カンパニーの特殊組織、

タークスの一員だったヴィンセント。クラウドはユフィの前に立ち、おもむろに問い

かけた。

「ところでユフィ、お前、今日どこか行きたい所ってあるか?」

 小柄で引き締まった体型をチビセーターとハーフパンツで包んだユフィは、まるで

男の子のようにニカッと笑ってピシャリと答えた。竹を割ったような性格で、おまけ

に悪知恵を働かせるのが上手いこの娘はどんなときでも、どんな内容でもアクティブ

に意見を述べてくる。

「えへへ!あたしラウンドスクウェアに行きたいんだっ!」

 ラウンドスクウェアとは、ゴールドソーサーの要所要所が見て回れるロープウェイ

式遊覧車のことである。地上遥かに建造されたゴールドソーサーを外回りから内側ま

で見て回れ、非常に素晴らしい光景を目の当たりにすることができる。デートスポッ

トとしても最適だ。

 クラウドはユフィの意見に、普段見せたことの無いような安堵した表情を見せた。

その表情はどこか作り物めいている、とヴィンセントは鋭く洞察したが。

「そうなのか!実はオレもラウンドスクウェアに誘おうと思っていたんだ!よかっ

たぁ!ヴィンセント、悪いがしばらく時間をくれないか?行きたいところは後で必ず

つきあうからさ!」

「…私は行きたいところは特にない。ふたりにつきあわせてもらおう。」

 拘束具のようなコートとバンダナに不気味なガントレット、腰に愛用のライフル、

デスペナルティをつるしたヴィンセントは相変わらず冷めた様子だ。美形なんだから

もっと明るくふるまえないものなのかなー、とユフィは常々思っている。

「じゃあ決まり決まりぃっ!さあさあ、さっさと行こうっ!」

 ユフィは本当に楽しそうで、笑顔が絶えない。クラウドとヴインセントを置き去り

にしてゲートの向こうに走り去っていった。

「やれやれ、なんだかんだでユフィも子供だよなぁ?」

 クラウドは苦笑し、大げさに肩をすくめてヴィンセントの意見をうながすように振

り返った。ヴィンセントは視線だけでクラウドを見たが、低く鼻で笑っただけで何も

言わなかった。

 

 ラウンドスクウェアのロープウェイはバラック小屋のようなゴンドラになってお

り、3GPで乗ることができる。ただし定員は2人だ。

 車内は狭く、案内用の小さなスピーカーと、1.5人がけのようなシートが向かい

合わせでふたつあるのみである。車内灯は外の景色がよく見えるように控えめにして

ある。大きな荷物や危険物(無論武器もそのひとつだ)などは受け付けで預かってく

れるので、非常にリラックスしたムードで場内散策が楽しめるというわけだ。カップ

ルなら約30分のツーショットタイムが満喫できる。

「それではごゆっくりお楽しみ下さいませ。」

 ラウンドスクウェアの受付嬢が丁寧に告げ、寸分の隙もなくおじぎするとゴンドラ

は動き出した。ユフィがシートに膝立ちになり、窓からヴィンセントに手を振る。そ

れでも相変わらずの無愛想さで、ヴィンセントは手を振り返すどころかニコリともし

ない。

「くぁ〜、やっと落ち着けるなぁ!さて、いっぱいやるとするか…」

 ゴンドラがプラットホームから離れるとクラウドはシートに深めに座り、ウエスト

ポーチから銀製のボトル…リキュールフラスコを取り出してラッパにあおった。中身

は以外と高級なバーボンである。ちょっとした休憩や、テントや宿で一泊するときな

どに飲んでいるのをユフィはなんどか見たことがあった。

「ユフィ、お前もどうだ?」

「おっさんくさいなぁ、クラウド!あたしはお酒飲めないの!」

「ウソつけ、そんなことないだろ?」

「ホントにホント!未成年でもあるしね。未成年といえばさぁ、クラウドォ…」

 いつも左腕に装着しているシールドグローブも預けてきたユフィはそのコンパクト

な体を活かしてクラウドの右側に強引に割り込んで腰を下ろした。クラウドの右腕に

しなだれかかって気味の悪い声を出す。

「なんだよ、薄気味悪いな。」

「えへへぇ…ね、今日なんの日かわかる?」

「知ってるよ。だから今日ここに誘ったんじゃねぇか。」

「え!?そうだったの!?なぁんだあ、あたしはつい、憧れのユフィさんと2人きり

の時間を過ごしたいなぁという、ささやかでありながら贅沢な願いがあったからか

なーなんて思ってたんだけど。さっすがリーダーだね!」

 ユフィは小さめな胸の前で手を組み合わせ、わざとらしく感動に打ちふるえながら

詐欺師っぽく瞳をキラキラさせた。ニッコリ微笑んで両手をクラウドに差し出す。

「ありがとう!いただきまぁす!!」

「ほれ、ハッピーバースデイ、ユフィ。」

 クラウドはフラスコをあおりながら、ウエストポーチからかわいらしくラッピング

された小さな箱を取り出してユフィの手のひらに乗せた。そうなのだ。今日は11月

20日、ユフィの誕生日なのだ。今日で彼女は17才になる。

 しかしプレゼントを受け取ったものの、ユフィは一瞬困惑するかのように首を傾げ

た。

「どうした?」

「いや…クラウドのことだから、きっとカンチガイしてるんだろうなーなんて思って

たんだケド…まさか本当にあたしの誕生日、覚えててくれたなんて…」

「ま、一応リーダーだからな。それになんだ、ティファとかの前で渡すのもアレだろ

う?」

「そうだケド…うわぁ、なんか嬉しいな、あ、あの…ありがと。」

 ユフィはそこまで言うと真っ赤になってうつむいてしまった。慌てて向かいのシー

トに座り直し、意味もなく窓外に顔を向ける。耳まで真っ赤になっていることを確か

めて下さいといわんばかりの間の抜けた行動だ。彼女らしくもなく動揺していること

にクラウドは人の悪い微笑を浮かべた。

「でも本当は…」

「え、えっ?」

 ふいにつぶやいたクラウドの声に、ユフィはギクシャクと振り向いた。

「ヴィンセントと来たかったんだろう?」

「…っ!!」

 そのクラウドの一言がユフィを完全に舞い上がらせた。治まりかけていた火照りに

油を注がれたかのように、再び顔じゅう真っ赤になってしまう。形のいい鼻の頭に浮

かんだ汗を人差し指で拭うと、キチンと座り直しながらもそっぽを向いた。

「そ、そ、そ、そんなことないよ、ヴィ、ヴィンセントも乗れたらよかったのになー

とかは思ったケドさ…」

「そうなのか?だってユフィはあいつのことが好きなんだろう?」

「ど、どうしてそんなっ…!!」

 ユフィは照れ臭さに満ち満ちて、今にも泣き出しそうな顔で思わず立ち上がってい

た。クラウドも立ち上がり、バーボンのフラスコをペチペチとユフィの火照った頬に

あて、彼女の耳元でささやきかけた。

「顔にかいてあるよ、誰が見たってわかるさ。」

「ひっ!!」

 クラウドは言葉の最後に、ユフィの耳にフッと息を吹き込んだ。ユフィは短い悲鳴

をあげると、尻もちをつくようにシートに腰を下ろした。ケッケッケと意地悪く笑

い、クラウドも元の場所に座り直す。耳元を押さえながら、怒ってるんだゾ、という

ような顔をしてユフィはくってかかった。

「な、なにするんだよっ!このバカクラウド!!」

「はっはっは、わりぃわりぃ。まとにかく、ささやかながらのプレゼント、開けてみ

てくれよ。17才のお祝いにはピッタリだと思うんだがなァ。」

「あ…そ、そっか。じゃあ開けるよ。マテリアかなぁ、何が出るかな、何が出るか

な…」

 どうにか機嫌を直した様子のユフィは何やら軽快なメロディーで口ずさみながら丁

寧にラッピングをはがしていった。包装紙の中には紙製の小さな箱があった。フタを

開けて指を入れ、中身をつまみ出す…。

「な、なにこれ…?」

 それは四角い小袋が4つつながっており、ひとつひとつの中に薄っぺらで透き通っ

た円形のものが入っているようだった。ユフィは17年の人生の間で見たことのない

ものであったから、思わずみとれつつクラウドに問いかけた。クラウドは、知らねぇ

のか、と前置きして、

「コン…」

 説明しかけたときであった。ゴンドラの外にシューティングコースターが駆け抜け

てゆき、車内を轟音が支配した。ビームを発射しながらコースターが駆け抜けるとゴ

ンドラの進行方向の両脇からサーチライトが点りだし、何本もの光の柱を浮かび上が

らせた。二人はしばしその光景に意識を奪われていたが、音と光が遠ざかってから、

ユフィは奇妙なプレゼントをつまんだままだったことに気が付いた。

「クラウド、コレ、一体なんなんだよ?」

「コンドームだよ。避妊具さ。」

「コ…ひ、避ぃ…っ!?」

 ユフィはクラウドの単純明快な説明に脳の回線が一瞬ショートし、回線が復帰した

途端にまたしても顔じゅう真っ赤にして手をバタつかせた。男性用避妊具がポト、と

床の上に落ちる。ユフィは拾おうともしないでクラウドに叫んだ。

「な、な、な、何を考えてるんだよ!?どうしてそんなモノ、プレゼントするわけ!

?」

「オトナになったことを祝福しようってんだぜ?ありがたく納めてくれよ。」

 クラウドは床に落ちたコンドームを拾い上げると、意地悪くユフィの眼前につきつ

けた。さすがにユフィもそういう知識は身に付いていたから、きゅっと目を閉じて激

しくイヤイヤした。足までバタバタさせて叫ぶ。

「へ、変態!本当にバカかお前わっ!!あ、あたし、まだ使わないよっ!!」

「お前が使うんじゃねぇよ。ヴィンセントに使ってもらえばいいじゃないか。」

「ヴィ…って、そ、そっ、そうじゃなくてっ!!」

「なんならオレが使ってもいいんだぜ…?」

 クラウドはそうつぶやくなり口中に何かを放り込み、ガブガブとバーボンを口に含

んだ。そして次の瞬間!

「っ!?」

 ユフィの可愛らしい唇はクラウドのそれで塞がれていた。クラウドの右手がユフィ

のあごをつかみ、強引に上を向かせる。そして舌がバーボンと一緒にユフィの口中に

割り込んできた!めくるめく強烈な刺激に思わず目を見開き、必死で抗うユフィ。両

手でドカドカとクラウドの身体を殴るが、さすがに修羅場をくぐり抜けている男の身

体だけあってビクともしない。

 ふいに何かのかけらがユフィの口中に転がり込んできた。苦しさのあまり、ユフィ

はバーボンごとそれを飲み込んでしまう。それを悟ったクラウドは、ぷはぁっと唇を

離した。溢れたバーボンを舌なめずりで拭う。

「…えほえほっ!ひ、ひどい…あ、あたしの…えほっ!ファーストキスが…」

 ユフィは喉元を押さえて強いアルコールにむせかえりながら、涙声でつぶやいた。

クラウドはユフィの横に腰を下ろし、いたわるように背中をさすってあげた。

「わりぃわりぃ。でも初めてだったのかぁ。おいしい唇だったぜ?柔らかくて最高

!」

「う、うるさいっ!バカクラウドッ!!ホントに何考えてんだよっ!!殺すぞっ!

?」

「おー怖い怖い。でもキスまで経験したんだからさぁ、ユフィちゃんよぉ、この際最

後までしようぜ?ほら、ちゃ〜んとコンドームもあることだし!」

一閃。

「…」

「黙れ。本気で殺すぞ…」

 ユフィは両目を若干潤ませながら、クラウドの頬をぶん殴っていた。唇の端から血

が漏れてくる。クラウドを睨み付けて押し殺した声を出すと、ユフィはゴンドラの窓

から避妊具を投げ捨てた。下を見下ろせばそこは大流砂が広がっていた。

「いつまで隣にいるんだよ、あっちいけっ!」

 ユフィは容赦なしにクラウドを蹴りつけ、退かせた。クラウドは何も言わず、血を

拭って向かい側のシートに腰を下ろす。ユフィは憮然とした様子でシートに片膝を上

げ、無礼なリーダーを糾弾した。

「い、いくらなんでも冗談が過ぎるよ!あ、あたし、ファーストキスだったんだから

ね!乙女のファーストキスの価値がどんなものなのかわかってんのか!?おい、クラ

ウド!」

「悪かったよ。ユフィだからって軽い気持ちだったんだ。そんなこと気にするなんて

思ってなかったし…。本当にすまない。もうオレはなんにもしないから許してくれ。

コンドームだってちょっとからかうつもりだったんだよ。」

 クラウドは拝むように両手を合わせてからウインクしてみせた。ユフィはまだふく

れっつらであったが、フン、と鼻息をもらすと頬杖をついて窓外に視線をやった。

 そんなユフィに異常が発生したのはそれから2分も過ぎた頃であった。

『…っ!?』

 意味もなく頬が熱い。憮然としたまま、特に何も考えていなかったというのに。そ

れどころかなんとなく呼吸が苦しい。鼓動が耳元で聞こえる。

 頬杖をついたままの姿勢だったユフィが何気なしに右手で左胸を押さえた瞬間、

「あぁっ!」

「どうした?」

 ユフィがおもわず漏らした艶めかしい声にクラウドはツイと顔を上げ、問うた。ユ

フィは慌てて右手を胸から離し、なんでもないよっ、と早口に告げて再びそっぽを向

いた。

 しかし事態はそれだけではすまなかった。呼吸はどんどん速まり、胸が、特に胸の

先端のラムレーズンが固くしこっていくのが自分でもわかった。おそるおそるではあ

るが再び右手を左胸にやってみる。

 鈍く、しかし激しい痺れがユフィの脳髄を直撃した。幸いにも今度は声をあげたり

しなかった。痺れは苦痛ではない。どちらかといえば常用性を持つような…そう、ク

セになりそうな快感であった。

『あ、あたし…どうなってんの?』

 ユフィはわけもわからぬまま、そろそろと左胸をさすり始めた。素直に気持ちい

い。目の前にバカクラウドがいるというのに右手を止めることができない。

 ユフィはチラリとクラウドの様子を伺った。彼は殴られて赤く腫れた右頬に手をあ

てながらつまらなそうに窓外を見つめている。

 ユフィはできるだけ平静を装いながら、さりげなく右手の動きを速めた。それほど

大きくないふくらみをぷにぷにとつまんでみたり、普段は感じたこともない感覚を伝

えてくる先端を中指の腹でもてあそんでみたりした。

『どうしてだろ…やめらんない…。右の方もしたいよぉ…』

 じくんじくん、と右胸の先端も撫でられることを要求しているように痺れている。

ユフィは息が荒くなっていることにも気付かずに左手を右胸まで持ってきた。

「ユフィ?」

「あっ、やっ、な、なんだよクラウド!突然声かけるなよなっ!」

 突然の呼びかけにユフィは動揺を露にし、両手をぱっと離して八つ当たりぎみにク

ラウドに答えた。怪訝そうなクラウドは表情を変えず、訊いた。

「さっきから胸をさすってるようだが…顔も赤いし、気分でも悪いのか?」

「ほ、ほっとけよ!バカクラウドには関係ないよっ!」

「…悪い。」

 クラウドは短く詫びると再び窓外に視線を向けた。ユフィは妙に苛立っている自分

に、何を怒ってるんだ、と自問した。そして両手を胸にやるまい、と堅く決めて自分

のお尻の下に敷いた。ちょうど両手の甲に座るような格好になる。

「ひあぁっ!」

 そのリアクションが命取りであった。胸以上にお尻が、そしてなんといっても両足

の付け根がズキズキと痺れ始めたのであった。あごをわななかせながらユフィは女の

子の鳴き声をあげていた。クラウドが歩み寄り、右肩に手をかけてくる。

「おい、本当にどうしたんだよ。関係ないじゃすまされないようだぜ?」

「か…関係ないんだってば…ほっといてよ…」

 ヤバい。もう隠しきれない。我ながらそう思えるほど口調は頼りなかったがユフィ

は頑なに首を横に振り、ファーストキスをかすめ取った不埒な男の左手を肩から払い

のけた。そのとたん、先程まで触れられていた右肩までフワフワと鈍い感触が漂い始

める。もう呼吸は信じられないくらい深く、速まっていた。

 心配そうな顔つきのクラウドが向かい側のシートに戻ってから、とうとうとんでも

ない感触がユフィに襲いかかった。

ジワリ。

 ユフィの一番敏感な、ピンク色のちっちゃなマテリアがつんつんに尖ってきたかと

思うと、ハーフパンツの中のショーツがどんどん濡れていくのだ。無論おもらしでは

ない。ユフィは瞳を潤ませて視線をハーフパンツの股間に落とした。大事なところが

気持ち悪く濡れてゆくのがわかる。

 触りたい。激しく擦ってみたい。そんな衝動に駆られてしまう。理性が欲望を必死

に押さえつけている間にも、ショーツはジワ、ジワッと不快さを拡げてゆく。

『少しだけ、少しだけなら見付かんないって…』

 ユフィは必死に身体をよじり、左胸をさする左手がクラウドからは見えないように

し、両足の間に右手を着いているような体勢を整えて、あらためて中心に中指を走ら

せた。ハーフパンツごしの柔らかなふくらみの間に中指の先がめり込む。どうやら

ハーフパンツまでわずかながら濡れてきているようであった。

『気持ちいい…もうとまんないよぉ…!』

 ユフィは肩を小さく震わせ、きつく目を閉じながら濡れている中心を慰めた。押し

たり擦ったり、親指とでふくらみをつまんだり…。そのどれもがユフィの理性をとろ

けさせ、暴走させかねないほどのダメージを与えてきた。もうやめられない。やめた

くない。

『じかに…じかに触りたい…布地ごしじゃあ、もうガマンできない…っ!!』

 ユフィは真っ赤になりながら、できるだけ布のこすれる音を立てないよう細心の注

意を払い、ハーフパンツの裾から中へ指を侵入させた。指先はまずメチャクチャにネ

トついたショーツまで到達する。

『もう少し…もう少しだぁ…』

 チビセーターの上からでもわかるぱっつんぱっつんの乳首を左手でころがしなが

ら、右手の指がショーツの中に割り込みかけたそのときであった。

「おい。」

「ひっ!?」

 ユフィは夢中になりすぎていた。だから慌てて両手を引き抜いたときにはすべてが

遅かったのだ。いつのまに動いたのかクラウドが目の前に立っていた。下品な微笑を

浮かべつつこちらを見下ろしている。

「なにしてたんだよ。」

「い、いや…あの…その…」

 涙目になって狼狽するユフィのあごを乱暴にひっつかみ、強引に上を向かせるクラ

ウド。ユフィにはもはやいつもの勝ち気な様子はなく、いたずらが見つかったときの

幼子のように怯えているのみであった。口を二、三度パクパクさせてからつぶやく。

「ご、ごめん…違うんだよ…」

「何をしてたのかって訊いてんだよ、コラァ!!」

「ひいぃっ!!」

 とうとうユフィは涙をこぼした。サラサラな頬にきれいな直線を描いて涙が駆け落

ちる。そうこうしながらもユフィはモジモジと両膝をすり合わせていた。そうしてい

ないといられないくらい、アソコがジンジンしている。

 クラウドは意地悪くその様子を見咎め、先程まで自慰にふけっていたユフィの右手

をつかみ上げて彼女の眼前まで持っていく。

「なんだよ、このヌルヌル な右手は!?それになんだ?両足すり合わせてよぉ?」

「…っ!」

「なんとか言えよ、ヒトのこと変態呼ばわりしたくせに!あぁ?ユフィさんよぉ?」

「オ…」

「はっきり言え!何をし・て・た・ん・で・す・かぁっ!?」

「オ…オナニー…してたんだ…」

「ほほう。」

 ユフィは初めてその単語を口にした。恥ずかしくてたまらない。それをしたのも今

日が初めてであったのだ。クラウドは感心の声を漏らすとユフィを解放し、腕組みし

た。

「オレが側にいる状況で堂々とするなんざ、なんてはしたねぇヤツだろうねぇ!?か

わいいかわいいユフィちゃんよぉ、誰をオナペットで、してたんだ?ヴィンセントか

?」

「ち、違うんだよ!なぜだかわかんないんだケド…その…胸や、あ、アソコがムズム

ズしだして…それで、やめられなくなって…!」

 ユフィはうなだれて、しゃくりあげながら真実を説明した。その間にもショーツは

どんどん濡れてゆき、もはやハーフパンツの股間すらもじっとり変色していた。胸や

裂け目はうずいたままなのだ。早く続きがしたい。でないとおかしくなってしまいそ

うだった。

 クラウドはしばし考え込んでいるようであったが、ふいに極めてわざとらしく指を

鳴らした。ひらめきましたよ、といわんばかりに。

「ははぁ、わかったぞ。ユフィ、お前ゼイオの実を飲んだな?」

「ぜ、ゼイオの実!?それってチョコボの…!?」

 ゼイオの実とは、チョコボと呼ばれる乗用の大型鳥をペアリングするときに与える

果実の一種である。この果実はチョコボを強制的に発情期にさせる、いわば催淫剤で

ある。

「チョコボには袋単位で与えるのは知ってるだろう?それを人間ならひとかけらで興

奮剤の代わりになるって聞いたことがあってさ、ちょっと試してみようと思ったんだ

が…さっきキスしたときにユフィの口に転がりこんじまったらしい。」

「…で、デタラメだぁっ!あ、あのかけら、わざと飲ませたんだろっ!?」

 ユフィは真っ赤な顔のまま立ち上がり、凶悪な瞳でクラウドを睨み付け、彼の襟首

をつかみあげた。そこまでできただけでもたいした精神力である。しかしクラウドは

軽薄な笑みを浮かべたまま、しらをきってみせた。

「さぁてね?証拠はあるのかよ?」

「う、う、うるさいっ!本当に殺してやるぅっ!!」

 ユフィが涙を散らして右手の拳を振りかぶった瞬間であった。クラウドの左手が隙

だらけになったユフィの右胸をわしづかみにしたのだ!

「あああっ!」

 それだけでユフィは振りかぶった拳を下ろし、カクンとクラウドにもたれかかって

しまった。本当は立っているのも辛いのだ。腰に力が入れられない。クラウドはユ

フィの敏感になってしまった胸をチビセーターごしにこねながらそっとささやいた。

「ちっちゃくて…うひゃあ、ぷにゃぷにゃだ。そのくせ先っぽはつんつんだし…。ど

うだ?自分でもむのと他人にもまれるのとでは違うだろ?」

「ち…違わないもん…!やめろ…ほん…っとうに殺すぞ…殴って…蹴って…あはぁっ

!…ば、バハムートに…灰にしてもらうんだから…あ、ああっっ!!」

 ユフィは歯を食いしばって屈辱的な…だけどたまらない快感に耐えていた。少しで

も気を抜くと…夢中になって憎たらしいクラウドにしがみついてしまいそうだった。

そんなことだけは絶対にしたくない。でないと…大好きなヴィンセントの顔が見れな

くなってしまうからだ。

 クラウドはユフィの脅し文句にひるむ様子もなく、右手を彼女のお尻に這わせた。

手のひらを大きく広げ、ゆっくりとさすってやる。

「ひっ、やぁ、やめろってぇ…あ、あああ…」

「エッチな鳴き声…。ちっちゃいお尻だけど、もうビリビリきてるんだろ?」

「き、きてなんかないってば…!!もうはなせよぉ…」

「じゃあ…こんなのはどうだ?」

 クラウドはそう言うと両手でユフィのお尻をつかみ、ぐい、と自らの腰に引き寄せ

た。ユフィのへその辺りにクラウドの硬直した部分が押し当てられる。クラウドは両

手をモミモミさせながら腰を前後させてみた。

「オレの…あたってんだぜ?」

「や、やっぱり変態だよお前は…!やめ、離せよ、もうっ…!」

 ユフィはきゅっと唇を噛みしめ、クラウドの胸板をぐいぐいと押し返そうとする。

そのぶんクラウドは腰を突き出してくる。下腹部に押し当てられる固くて熱い感触

が、ユフィをますます困惑の深淵に貶めてゆくのであった。

 二人が密着したままでいるうち、ゴンドラがふいに停止した。窓の外を6匹のチョ

コボが駆け抜けてゆく。チョコボスクウェアの途中にさしかかったようだ。クラウド

はユフィの耳元に淫らなジョークを吹き込む。

「…今のチョコボ達も実を食べて交尾するんだろうなぁ。」

「み、耳元で変なこと言うなぁっ!な、頼むから離れてよ!離れてくれるだけでいい

んだ、後はなんにも要求しないから!」

「そうだ、ユフィ。」

「なんだよ!?」

 口調の変わったクラウドに、ユフィは火照りきった顔をうざったそうに上げた。

「あむ…!んんーっ…!!」

 ユフィの唇は巧みなフェイントでまたしても奪われた。クラウドの左手がユフィの

頭を抱え込む。そして右手は彼女のハーフパンツの股間を無遠慮にまさぐった!

「んぁっ!んむ…ぷぁ、あむ、ん…んんっ!ん…」

 優しく、そして深いキス。クラウドの舌がユフィの唇に挨拶し、なめらかに口中に

忍び込んでくる。そして同種同士のコミュニケーションを計り、くりくりゅとスキン

シップを重ねてゆく。

 死にものぐるいで抗い続けたユフィの理性が完全にとろけきったのはそのときで

あった。ユフィの両手がためらうように震えながらクラウドの背中にまわされ、そし

て自らも彼の口中に舌を潜らせていった。ざらつく感触を確かめあい、混ざり合った

唾液を味わい、飲み干して…。

 長い長いディープキスが終わり、引き離された二人の舌から唾液が床に落ちるのと

同時にゴンドラは動き始めた。ユフィを見つめるクラウドと、うなだれるユフィ。

「なぁ…」

「どうした?」

「ヴィンセントには…黙っててくれよな…」

 ユフィはうなだれたまま、膝をすりすりさせながらつぶやいた。もはや妖艶な女性

の粘液はなまっちろくなり太ももを伝い、彼女のお気に入りのルーズソックスにまで

到達している。こうしている間にも身体はうずいてしょうがないに違いない。

「いいぜ…」

 クラウドは短くつぶやくとユフィの身体をそっと押し、背後に窓をもってこさせ

た。こちらの窓は他と違ってハメ殺してあり、開く心配はない。ユフィは背中を窓に

あずけ、ひかえめな胸をクラウドに差し出した。恥ずかしげにそっぽを向くユフィ。

 クラウドは彼女の両足の間に自らの右足を割り込ませつつ、チビセーターごしに彼

女の左胸をまさぐった。押したり、こねたり、つまんだり…。人差し指と中指でし

こった先端を苛むことも忘れない。

 ユフィは恥を忘れたかのように右手をショーツの中に差し入れていた。熱くてヌル

ヌルの裂け目の中に直接中指を押し込み、のこぎりを挽くかのように前後させる。肉

の合わせ目にある小さな突起に刺激を加えると、熱い粘液がさらに絞り出されてき

た。もうショーツは替えなければならないほどにびとびとだ。

「ユフィ…セーター、たくしあげて…」

「…うん…」

 ユフィはクラウドに言われるまま草色のチビセーターを左手でたくしあげた。固定

することに徹されたデザインの、飾り気のない小さなカップのブラが現れる。クラウ

ドはブラの裾に指を滑り込ませ、ズルッとブラをもたくしあげた。形のいいふたつの

ふくらみと、赤くしこった乳首が外気に触れて打ちふるえるように小さく弾む。

「やっぱりじかに触られたほうが気持ちいいだろ?」

「うん…なぁ、さきっぽ、つまんでみてくれよ…」

「痛くても知らんぞ?」

 クラウドはユフィの求めに応じ、辛そうに張りつめたラムレーズンをきつくつまん

だ。ユフィは彼女には似つかわしくないくらいに艶めいた嬌声をあげ、強くのけぞ

る。

 クラウドはその反応に満足し、彼女のラムレーズンを軽く唇でくわえた。唇をすぼ

めてちゅうちゅうと吸ってみる。ユフィはくすぐったそうな表情で、思わず彼の頭を

両手で抱えてあえいだ。

「ああっ!で、出るわけないよ…なぁクラウド…あたしの胸ってつまんないだろ?」

「なぜ?」

「だって、てぃ、ティファみたいに大きくないから…ヴィンセントだって…大きいほ

うがいいんだろうなぁ…」

「じゃあオレが大きくしてやるよ。」

 クラウドはユフィの左胸にくらいついたまま、右胸も左手で愛撫した。大きく、痛

いくらいに強引に押しこねる。下から寄せ上げ、ぎゅうっと搾るようにつかむとユ

フィは頭を激しく振ってイヤイヤした。

「痛いっ!そ、そんなことしたら、大きくなる前にカタチが悪くなるじゃんかっ!」

「ケッケッケ、ぺったんこのくせに、カタチもクソもあるか。」

 クラウドは搾られたユフィの右胸に舌を這わせると、唇を押し当てて強く吸った。

苦痛に顔をしかめていたユフィもこれにはたまらないらしく、甘えるように鳴きなが

ら腰をズルズルと落とし、とうとうペタンと床にお尻をつけてしまった。

 クラウドはユフィの胸から口を離すと、つい、と後ずさった。余韻を確かめるよう

に舌なめずりする。

 ユフィは床の上でくったりしたまま、媚びるような瞳でクラウドにささやいた。

「やだ…もっとしてくれよぉ…ひとりでやっても…もう気持ちよくないんだ…」

「だったら自分でハーフパンツとショーツを下げな。それからだ。」

「…さ、最後までするのかよ…?」

 ユフィは不安そうな顔をして、そっと両手で胸を隠した。彼女の初々しいしぐさ

が…普段が普段でアクティブな性格だけにクラウドはより、そそられる。

「最後までしてほしくないのか?」

 クラウドは自らも上着を脱ぎながら問い返した。バレットのように分厚くはない

が、端正な筋肉をまとった上半身がむき出しになる。ユフィは今更ながら照れ臭そう

にそっぽを向いてつぶやいた。

「…は、初めては…び、ヴィンセントにあげたいんだ…」

「まぁ、いいだろう。ファーストキスがいただけただけでもよしとしよう。とにか

く、もっとしてほしければハーフパンツとショーツを脱ぐんだ。」

 クラウドは意味深に微笑みながら床の上にあぐらをかいた。あくまでユフィが自ら

脱ぐのを待つ腹づもりらしい。

 指先が屈辱と羞恥に震えている。しかしショーツの奥の柔肉は待ってはくれなかっ

た。ユフィは欲望に負け、ハーフパンツのファスナーを下ろすと、濡れそぼった

ショーツごと脱ぎ捨てた。下半身ハダカの状態になってしまう。ユフィはさすがに恥

ずかしいのか両足を閉じたまま、開こうとしない。

「ユフィの大事なところ、オレに気持ちよくさせてくれ。」

「こ、ここはダメだよ…恥ずかしい…」

「じゃあひとりでやりな。オレはもう知らねぇ。」

「…っ!わ…わかったよ…」

 クラウドがそっぽを向いたのを見てユフィはついに観念した。ゆっくりと両足を開

き、左右のシートに乗せるようにして、パックリと17才の女の子の部分を開帳し

た。恥ずかしくてたまらないのか、両目を手のひらで覆っている。

「きれいだ…それにカタチもいびつじゃないし。ユフィ、今オレ、目の前でユフィの

ここ、見てるんだぜ?」

「そ、そんなこといちいち言うなよぉっ…!」

 粘液で寄り集まった性毛。少しだけ発育良好気味な内側の花弁。花弁の端でぷっち

りとのぞいているユフィのデリケートなマテリア…。

 クラウドは総合評価で高得点を提示したが、本人は恥ずかしくてそれどころではな

いらしい。自分でも恥ずかしくて確かめたことがないのに、よりにもよってケンカ仲

間のクラウドに、大きく開いて見せているなんて…!

「ユフィ、オトナの遊び方を教えてやるよ…」

「あ…」

 クラウドはユフィにのしかかり、まず唇に、そして頬から首筋から、胸の谷間へと

キスを連発した。色白なユフィの身体にいくつものキスマークがつけられる。そのた

びにユフィは感電したように短い悲鳴を繰り返した。わきの下を舐めあげられたとき

などはガクガクと震えて大声で鳴き、失神しかけたほどだ。クラウドは乳首を責め立

てながらユフィにささやいた。

「敏感なんだな、ユフィって。ゼイオの実、飲んでよかっただろ?」

「このやろぉ…後で…絶対マテリア盗んで…コレルプリズンに放り捨ててやるぅ…

あ、あっ!もっとぉっ…!!」

「もっと?もっとおっぱい吸ってほしいってのか?」

「…ち、ちがうっ…今のは、その、言葉が…」

「わかってるって。皆まで言うな。」

 クラウドはユフィの弱いところ…乳首…を悟り、執拗に唇で苛み、子供のように

ちゅぱちゅぱと吸った。唾液をたらしてからずずずっと音をたてて吸うと、ユフィは

両手両足でクラウドにしがみつき、涕泣した。

 すっかりのぼせてしまったユフィの火照る頬を優しく撫で、クラウドはキスして小

さく尋ねた。もはやユフィはキスを拒もうとしなかった。従順に目を閉じ、きゅっと

吸ってくるくらいにキスにハマッたらしい。

「ユフィ、下の方も…していいよな?」

「だめ…なんか…なんかおかしい…おかしいんだ…」

 ユフィは異常を訴えると、むき出しの股間を怯えるように両手で隠した。クラウド

はユフィのバンダナを外して額にもキスしつつ、聞いた。

「おかしいって…どんな感じなんだ?」

「なんかさ…う、浮かんじゃう感じっていうの?とにかくなんか…なんかすごいん

だ…」「ククッ、じゃあ本当に浮かんでみるか?」

 クラウドは身体をずらし、ユフィの手をどけて性毛に包まれたモリモリした隆起を

露にした。へその下の、柔らかな性毛のはえたヴィーナスの丘に唇を押し当て、熱く

熱くキスをする。とどめとばかりに指先で粘膜状の花弁を強くつまむと…

「ぴぃっ!!…あ、あぁぁぁぁ…」

 緊張が続いたのはそこまでであった。ユフィは腰をガクガクと暴れさせ、ぐうぅっ

とのけぞると瞬時にすべての緊張を解き放った。初めてのエクスタシー。その快感の

もたらす脱力は凄まじく、彼女を失禁させるほどであった。

 両足の付け根…ヌルヌルな裂け目の奥の小さな穴から強い臭いの液体がぱちゃぱ

ちゃと飛び出し、ゴンドラの床を、クラウドのズボンを汚してしまう。

 ありったけを放出しきったユフィはそれでも意識までは喪失しなかったようで、泣

きべそになって左手の人差し指を噛んでいた。信じられない、といった表情だ。

「どうだった?浮かべたか?」

「浮かぶなんてモンじゃなかった…真っ白にぶっ飛んじゃったんだ…あたし、ここに

いなかったもん…」

「おもらしまでしちまいやがって…オレのズボンがだいなしだよ、もう。」

「ごめん…あ、あたし、き、気持ちよくって…すごくよくって…夢中で…」

「気にすんな。ユフィさんのオシッコなんて見たくても見れないモンだからな!」

「ば、バカクラウド!やっぱお前は変態だっ!」

 下品に笑うとクラウドはユフィの雫をたっぷり浴びた右手を舐めてみせた。照れく

ささと恥ずかしさでユフィは拳を振り上げて非難する。

 クラウドは熱く濡れたズボンを脱ぐと、そのままパンツも脱ぎ捨てた。全長20セ

ンチ強はありそうな、赤黒い先端を有するアルテマウェポンが現れる。痛そうに反り

返って天を仰ぐそれはまさに怒髪天ボンバー状態だ。

 クラウドはしゃがみこみ、強く怒張した性器を、まだ絶頂の余韻にひたって惚けて

いたユフィの眼前に突き出した。彼女が状況を把握するまでに軽く5秒は要してしま

う。

「ひっ!?」

「どうだユフィ?これが男の、だぜ?」

「き、気持ち悪い…!」

 ユフィは初めて目の当たりにする異性の真実に素直な感想を述べた。先端がぱんぱ

んにつやめき、血管がいくつもはしっている肉の棒など、今まで見てきた醜怪な魔物

達とも1、2を争うかと思われた。これが本当に人間の身体の一部なのか。

「オレにも気持ちよくしてくれよ。自分だけ気持ちよくなろうってのは虫がよすぎや

しねぇか?」

「そ、そんな…ゼイオの実を飲ませたのはクラウドじゃんか…」

「まだ言ってんのか。けっ、もっとしてほしくなってもしてやらねぇぞ?」

「大丈夫だよーだ…もう…ピークは過ぎたもんね。後で必ず復讐してやるんだか

ら…」

 ユフィにいつもの強気な口調と笑顔が戻ってきた。クラウドは、あ、そう、と身を

翻し、衣服を身につけ始めた。ユフィはヤケにあきらめがいいな、と思ったが、気に

しないことにして上体を起こそうと力を込めた。そのときであった。

ジクン。

「あっ…」

 立ち上がろうとした瞬間、今度は今まで以上に激しいうずきが、しかも秘密の洞窟

内で始まり、思わずまた寝転がってしまった。細いトンネル自体が強烈に痺れ、せつ

なさで哀号するかのように激しく粘液を分泌し始めた。

「あ…あぁ…」

 ユフィは鈍く痺れるそこに人差し指をやってみた。入り口は思ったよりも狭く、人

差し指だとちっちゃな縁取りに力を込めただけでズキンと痛んだ。仕方なく小指を押

し込んでみる。今度はどうにか挿入できた。ぐりゅぐりゅと狭くてヌルヌルで、すご

く熱い。自分の内側の感触を確かめたのも今日が初めてだった。

『アソコの中ってこんな感じなのかぁ…ん、もっと奥…もっと奥まで…もっと奥ま

で…あれ…あ、指が…』

 ドロドロにぬめる肉の筒がピリピリ痛むのをこらえつつ、うずきを癒さんと小指を

奥へ奥へと送り込む。しかし小指は望むところまで到達しなかった。すっぽり入り

きっているのだが、欲望を満たすにはユフィの小指はあまりに短く、あまりに細かっ

た。

 ユフィはぐいぐいと小指をより奥まで押しやろうとしたが、やはり無駄であった。

悔しくて…そしてたまらなくて涙が出た。

「クラウド…」

「あ?」

 ズボンをはき、上着を着ようとしていたクラウドにユフィは涙声で呼びかけた。ク

ラウドは肩越しに振り返っている。

「して…」

「なんだと?」

「つ、つづき…下も…して…。あたしの指じゃ少しも気持ちよくならないんだ

よぉ…」

 ハーデスばりに邪悪な笑みをクラウドが浮かべたことは、床に転がってうなだれて

いるユフィにはわからなかった。

 

 ユフィは醜怪にこわばった男性器を羞恥で困惑した顔で頬張っていた。そのかわり

にクラウドは彼女のうずきを鎮めるという条件を約束している。

 二人は今、俗に言うシックスナインの体勢でゴンドラの床の上に転がっている。相

変わらずユフィが下だ。

 クラウドは全裸、ユフィは半裸。チビセーターとブラ、ルーズソックスとブーツは

身につけたままである。ゴンドラは先程ゴールドソーサーの支配人、ディオの彫像を

通り過ぎたところであった。

 ユフィはクラウドの魔剣を握りしめ、アイスキャンディーを舐めるかのように舌を

伸ばして先端をチロチロしたり、頬張って舌でモゴモゴしたりを繰り返した。表側か

ら裏側まで、まんべんなくざらざらな舌の感触を伝えてゆく。

 裸で互いの性器を慰め合うなんて…頭が悪くなりそうであった。どんどん淫らに

なってゆくような気がする。そのためか体奥のせつないうずきは治まる気配をみせな

い。

「く、らうどぉ…なんとかしてくれよぉ…あたし…もうたまんない…」

「だからこうやって…舌で慰めてやってるじゃねーかよ。お前も休むなよな。」

「…」

 クラウドは両手でむっちりした肉を開き、ユフィの中心をむき出しにして舌を拡げ

て粘液を味わっている。真ん中の大事な穴はまだ小さく、誰にも踏みいられた様子が

なかった。ときおりぴうっと粘液がほとばしるのはユフィが感じすぎているからであ

ろう。ひどく充血したユフィの粘膜は桜色からすでに濃い赤に変色している。

 大嫌いな男に自分の大事なところをさらけだしている事実。恥ずかしくて悔しくて

涙が出るが、もはやひとりで慰めてもどうにもならないようであった。だからユフィ

は仕方なくクラウドに命じられるままペニスを吸い続けた。

 そんなペニスからも無色の粘液が漏れてきていた。苦みのある変な味が口中に拡が

る。ちゅうちゅう吸うと次々に漏れ出てくる。

「ユフィ…頬張ってくれ…。そう、舌で包み込むようにして…動くぞ?」

「んん?」

 クラウドの声は苦しげであった。ユフィは言われるまま注文を承諾し、大きく口を

開けて彼を受け入れた。クラウドはユフィの小ぶりな唇の奥にペニスを押し込み、舌

の感触を堪能するかのように腰を上下し始めた。ユフィはいいかげん舌が疲れてきた

ところだったので、ちょうどよかったといえばちょうどよかったのかもしれない。

「ああ…ざらざらで気持ちいいぜ…唇の感触も、たまんねぇ…!」

 しかしその動きは次第に大きく、早くなっていった。ユフィへの愛撫も中断してい

た。クラウドは腰を動かすことに夢中になっているようであった。大きく膨張してき

た先端が喉の奥を突くたびにユフィはむせかえりたくなるが、そのペニスが栓をして

いるのでむせることができない。苦しげに顔が歪む。

「ユフィ…ユフィッ…このまま出すぞ…全部飲めよ…」

「んんー…?んんっ!?んーっ!んんーっっ!!」

 残念なことにユフィはクラウドの辛そうな言葉の意味を理解するまでに時間がかか

りすぎた。慌ててクラウドの腰を退けようと両手を突っ張ったときにはもう遅かっ

た。

「ああっ!ゆ、ユフィッ!!いく、いく…っっ!!」

びゅうっ!!びゅくっ!びゅく、びく、びく…

「…!!」

 クラウドのアルテマウェポンはユフィの口の中で最後の大膨張をみせると乱暴に脈

打ち、勢いよく黄ばみかけた精液を喉の奥に、舌の上にまき散らしたのだ。ユフィは

口中いっぱいに満ちてゆくクラウドの体液に目を見開き、涙をあふれさせた。強烈な

苦みと汚らわしさにあごがガクガク震える。

「はぁ…はぁっ…ユフィ、飲むんだ。ぜんぶ飲まないと、もうしてやらないぞ…!

?」

「…っ!!」 

 陶酔の呼吸を繰り返していたクラウドが邪悪に命じる。ユフィは、精液なんて飲ん

でも大丈夫なのかよ?と自問しながらも、激しさを増してゆく膣のうずきに耐えか

ね…

ご、くん…ごくん…ごく…

 萎縮する様子のないクラウドのアルテマウェポンを頬張ったまま、胃袋が暴れるの

を無理矢理にこらえ、一滴残らず嚥下した。ヌルヌルの感じが喉や舌にからまったま

まで、気を抜くとすぐにでも吐き戻してしまいそうであった。

 クラウドが腰を浮かせ、凶悪性を発揮してみせた最終兵器をユフィの口から引き抜

く。やっと解放され、苦しげに外気を取り込むユフィの唇に白い糸がネトッと引い

た。歯も歯ぐきもヌルヌルで、あの最悪の味が拭い去れない。

「えほっ、え、おぇ…き、気持ち悪い…」

 これだけ気分が悪いのに、その悪寒をすぐに打ち消すように身体の奥が再びうずき

始める。ユフィの小さな筒はいまや完全に異性を求めていた。最後まで欲しくてたま

らなくなってくる。

「ユフィ、ほら、ほっぺに塗り込んでやるよ…すごくよかったごほうびだ。」

「や、やめ…汚い…」

 体勢を入れ替えたクラウドはユフィのサラサラな頬にペニスの先端を当て、押しつ

けるようにしてヌリヌリュと、にじみ出る精液を塗り込んでゆく。狂喜に歪んだ笑み

からはもういつものクラウドは見つけられない。それともこれが本来のクラウドなの

か…。

 クラウドはさらにユフィの鼻をつまみ、口をゆすぎな、とバーボンの入ったフラス

コの口をユフィに無理矢理くわえさせた。琥珀色の強いアルコールが流れ込んでく

る。

「けはっ!ごぼ、あ、やめ…っ!」

 鼻をつままれているために飲み干さないと息ができない。ユフィはフラスコが空っ

ぽになるまで飲めない酒を飲まされた。クラウド自身は、たかが50度数のバーボン

が200ミリほどだ、としか感じていない。

「あぅ…」

 すっかりのびてグニャグニャになったユフィだが、まだ身体がおかしい。中指をど

うしようもならないくらいに痺れる膣口に当てると、小さな入り口は無謀にもきゅ、

きゅっと吸い付こうとしてくる。

 クラウドはユフィの横ではらばいになり、彼女の手をどけて自分の指をユフィの中

心にあてがった。ユフィは無意識に腰を浮かせ、女の子の部分をヒクつかせて喜ん

だ。

「指がほしいんじゃないんだろ、ユフィ?」

「…だめだ…しっかり…しないと…」

「強がるなよ、ほら、まず小指をくれてやる…!」

 クラウドは右手の小指を慎重にユフィに挿入した。爪の先から第一関節、第二関節

へ…。節くれ立った男の指がヌプヌプと埋没してゆくにつれユフィは目を見開き、異

物の侵入に微かな鳴き声をあげて身震いした。自分の指よりも段違いに気持ちいい。

「ユフィのなか、すごく熱い…。せまくて、もうすっかりヌルヌルじゃねぇか…」

「あ、あっ…あ、あはっ!やだ、ゴツゴツして、やめろよクラウド!あ、あああっ

!」

「…ほぉら、全部入った。奥なんかキツキツだ。やめろっていうわりに、ぐいぐい締

め付けて飲み込もうとしてるぜ、ここは?」

 クラウドの小指は完全にユフィの膣内に潜り込んでいた。中は熱々のトロトロで、

ジクンジクンと感じながらヒクつくのがわかる。ユフィは左手で自らの胸をもみなが

ら、右手で頭を押さえて快感にむせび泣いた。差し込まれている中心から身体の隅々

へ、快感の暖かい波紋が拡がってゆくようだ。

 クラウドはユフィを引き寄せながら小指を膣からヌルーッと引き抜き、また乱暴に

突き入れた。そしてとうとうユフィは叫んだのだ。

「あああっっ!いい、いいっ!!」

「ケッケッケ、気持ちいいんだな?ヴィンセントがしなくても、このオレでも!」

「やだ、ヴィンセントのこと、言わないでぇ…あ、ひ、ひいいっ!!」

 クラウドは意地悪く笑うと小指の動きを速めた。にちゅにちゅにちゅ、とユフィの

中身をかきまぜてゆく。ユフィはクラウドの愛撫にすっかり夢中で、両足を大きく開

いて腰をすり寄せていった。両手両足でクラウドにしがみつこうとする。

 クラウドは小指の動きをめまぐるしく変化させた。素早く前後させたり、ゆっくり

深く前後させたり、ぐいぐいと膣壁をこねてみたり…。そのどれもがユフィをわなな

き、悶えさせ、完全な女の子にしていった。もはや普段の男の子顔負けの彼女はいな

かった。

 ユフィの視線が乱れ、呼吸が深いものになってきた。クラウドはユフィの快感と興

奮の証である白っぽい体液を確認すると、それを薬指にまんべんなく塗りたくり、膣

から溢れた雫でべっとべとになった彼女のお尻の穴に強く挿入した。膣内の小指と薬

指を強引にランデブーさせようとする。

「やだ、そこ、おしり…あ、あぁっ、やああっ!!あああああっっ!!」

 ユフィは両手で頭を押さえて絶叫すると、ぎゅう…っとえびぞりになり、引き締

まった身体を痙攣させて失神した。クラウドの小指と薬指がぎゅうぎゅうに締め付け

られてくる。ユフィはまた達してしまったのだ。

 クラウドがユフィの反応にゾクゾクしていると、ふいにゴンドラの中の明るさが変

わった。振り返るとゴンドラの窓外に赤や青、黄色といった色とりどりの風船が舞い

上がっている。どうやらイベントスクウェアを通っているらしい。ユフィもあの風船

のように、どこか違う次元にまで浮かび上がっていったらしい。

 つぽん、と二本の指を引き抜くとクラウドはユフィにキスして彼女の意識を呼び戻

した。まだ彼女の唇に自らの精液がまとわりついていたことなど微塵も気にはしな

い。

「あ…あたし…また飛んじゃった…さっきよりもすごかった…」

「そうか、よかったな。じゃあもうオレのしてやれることはないな。後は自分でなん

とかしろ。」

「え…?」

 クラウドはそう告げるとさっさとシートに腰掛け、外の様子を眺めだした。ユフィ

は困惑するような瞳で彼の足にすがりついた。上体を起こし、顔を見上げる。意識が

戻ったとたんにより激しい性衝動が襲ってきたのだ。ここでやめてほしくない。

「そんな、そんなのってないよ、あ、あたしまた…」

「知るかよ。ゼイオの実を飲み込んだのがそもそもの間違いじゃねぇか。それになん

だその発言は。大っ嫌いなバカクラウドに…まさか求めてんのか?」

「ゼイオの実を飲ませたのはクラウドだろ!せ、責任…とって…」

 ユフィの必死の糾弾もそこまでであった。収縮を極めていた膣壁が突如激しくうず

いたのだ。舌打ちして床に転がり、身を縮めて、今度は自ら小指を差し込む。

「きたきたきたぁ…っ!あ、あれ…おかしい…なんで…?」

 しかしゾクゾクと身もだえしたのは最初に挿入したときだけであった。それ以降は

どれだけ抜き差ししようが、どんなにかき回そうが気持ちよくならない。思い切って

人差し指を入れてみたが、それでもダメだった。

「そんな…やだ、やだよぉ…気持ちよくなんないじゃないかぁ…!イキたい…またイ

キたいのに…なんで…!?クソ、なんでだよぉっ!」

 ユフィは悔しそうに唇を噛みしめ、人差し指をじゅぽじゅぽと前後させた。粘液が

小さく泡立ち、ムース状になるとさらに次の粘液が溢れてくる。膣壁は指を締め付け

ては来るが、効果的な快感は得られない。

「おーおー。男の子みたいに勇ましかったユフィさんが、好きでもない男の前でこん

な淫らにオナニーしてるなんてなぁ。ヴィンセントのぶっといショットガンでも想像

しながらしてんのか、え?ユフィさんよぉ?」

 クラウドは全裸のまま足を組み、人の悪い目つきでユフィを見下ろした。必死に胸

をもみしだき、指を膣に押し込んでいるユフィはもはや別人であった。仲間が見たら

どんな顔をしただろう。

「ヴィンセント…ヴィンセント…!」

 必死に想い人をイメージしながら指を動かしてみるが、どうにも上手い妄想が作り

出せない。なにせヴィンセントはほとんど肌の露出のないスタイルで、熱帯であれ雪

山であれ過ごしているからだ。裸の姿が想像できない。

 そんなユフィの視線は、知らぬうちにある一点に釘付けになっていた。想い人の妄

想とは裏腹に、物欲しそうに見つめているものは、クラウドの組んだ足からのぞいて

いる脱力したアルテマウェポンであった。

『…いけない、いけないぞユフィ!そんなこと考えたら…ああ…でも…でもっ!!』

 ユフィは葛藤して激しくかぶりをふった。そして答えは出た。自分を捨ててしまう

ことに決めたのだ。もうがまんできない。おもむろに膝立ちになり、うつむいたまま

クラウドと対峙する。

「なんだ、飽きたのか?」

「して…」

「なんだと?」

「…せ…セックス…してほしいんだ…」

 ユフィのあごが屈辱にわななく。だけどそれ以上に膣は…否、身体は求めている。

膝立ちの膝がどんどんすり寄せられていくのが恥ずかしくてたまらない。そんなユ

フィをクラウドは鼻で笑った。

「何を言やぁがる。セックスしたら子供ができるってことは承知だろうが。コンドー

ムだってテメェから捨てておいて、アホかお前は。」

「だってもう!だって…もうホントにガマンできなくなっちゃったんだ…なぁクラウ

ド、避妊の方法は知ってるんだろ?外に出してくれればいいじゃないか…」

「ケッ!都合のいいヤツだぜ!してほしい、だけど外に出せ…本気でバカかお前は!

他の男どもが聞いたらどんな顔するだろうなぁ!」

「あそれからっ!それから…ヴィンセントには黙ってて…」

ガッチャーンッッ!!

「ひいいっ!!」

 クラウドは空っぽのフラスコをユフィの背後の窓ガラスに投げつけた。ガラスの破

片が飛び散り、フラスコははるか下方に空しく落下してゆく。ユフィは恐怖に思わず

頭をかばっていた。クラウドは床を蹴りつけて立ち上がり、彼女のあごを強引につか

みあげる。

「テメェ、本当に殺すぞ…?」

「ごめんっ!じ、自分でもわがまま言ってるの、わかってる…だけど…」

「そんなにしてほしけりゃ、せめて丁寧語ぐらい使えっ!」

 クラウドは恐ろしい形相でユフィを睨み付け、吠えた。あごにかかってくる力はど

んどん増してゆくようだ。ユフィは両目に涙をいっぱい浮かべて哀願した。

「く…クラウド…あ、あたしに…せ、セックス…してください…!!」

「ほほう。そんなにしてほしいんだな?」

「うん…いや、は、はい…それで、あの、お願いですから膣内に出さないでくださ

い…それから…ヴィンセントにはこのこと…絶対に…」

「いいだろう。だったらまずこいつを叩き起こしてくれ。」

 お尻をモジモジさせ、慣れない丁寧語で泣いて懇願するユフィの顔面に、脱力し

きったクラウドのペニスが押し当てられる。ユフィはそれを手に取ると、飢えた子供

のようにパクッとくらいついた。

 右手で幹を握り、左手でフニャフニャな袋をコロコロさせて一心不乱にペニスを舐

めるユフィ。その間にも真っ赤に充血している裂け目からは白っぽい粘液がトロトロ

と溢れ、太ももを伝う。

 どうにか大きくなってきた先端にちゅっちゅっとキスを連発したり、舌で裏側を

擦ったり、大きく飲み込んで頭を前後させたりして無我夢中でクラウドをその気にさ

せようとするユフィ。彼女の愛撫は焦燥感に駆られたこともあり、恐ろしく淫靡で、

素敵だった。

 クラウドは熱い吐息とともに先端から逸り水を滲み出すと、ユフィの頭をそっとか

いぐりし、熱い頬を撫でた。

「ユフィ、もういいぜ…いつもこうだともっともっとかわいいのに…。そろそろして

ほしくてたまらないんだろう?」

「お願いクラウド、もう待ってらんない…あ、あたま、おかしくなっちゃう…っ!」

「オーケーオーケー、じゃあそこのドアの前に立って両手をつくんだ。それでオレの

ほうに尻を突き出せ。」

 ユフィはクラウドにしがみつきながら、どうにかこうにか立ち上がると言われるま

まにゴンドラの入り口ドアに手をついた。ユフィからは外の様子がよく見える。たく

しあげてあるとはいえチビセーターは着たままだから、遠巻きに見ても怪しまれるこ

とはないであろう。

 ユフィは真っ白で手触りの良さそうなお尻をきゅっと突き出し、後ろを見た。あん

なに元気でいつも憎まれ口を叩いていたユフィの顔は、いまや迷子の子供以上に不安

な顔をしている。もっとも、迷子の子供はここまで上気してはいないであろうが。

 クラウドは左手でユフィのお尻をつかみ、右手にアルテマウェポンをかまえてユ

フィのうるみきった裂け目にあてがった。濡れそぼった性毛から、ピンピンに張りつ

めた女の子のマテリアからを先端でまさぐり、あらためてヌルヌルにしてから儚げな

入り口に押しつける。

「な、なぁクラウド…や、やっぱ痛いの…?本当にそんな大きいの入るの…?」

「だいじょうぶだよ。ユフィのここ、もうベットベトに濡れてんだから。痛くてもト

ンベリの包丁よりは痛くないハズだぜ?」

「そりゃあそうだろうけど…本当に痛くないの?…な、お願いだからそっと…できる

だけそぉっと頼むよ…」

「本当にワガママなやつだなぁ。だいじょうぶだって、怖がんなよ。」

 クラウドはユフィのお尻から背中をそっと撫でて、不安そうに震えている身体から

緊張を解きほぐしてゆく。しばらく撫でられてから、ユフィはしっかりとうなづい

た。気持ちが落ち着いたのと、我慢の限界が訪れたからである。

「それじゃあ、するぜ?ちょっとだけガマンしてろよ…」

「うん…」

 ユフィの了承の声にクラウドは、熱々のアルテマウェポンをかまえなおすと体重を

移動させるようにして腰に力を加えた。赤黒い先端が入り口に小さな裂け目を残し、

ヌルッと潜り込んだ。ユフィは短い悲鳴をあげ、唇を噛みしめて痛みと快感に耐えよ

うとする。

「い…いぃ…っ!」

「もっと楽にしてろよ。緊張してるともっと痛むんだぞ?」

「だって…すごいんだもん…ホント、すごいんだ…クラウドが、は、入って…」

「もうちょっと入れるぞ…?」

 クラウドはユフィのお尻を両手でつかみなおし、徐々に腰を近づけていった。ズ

ブ…ヌプ…と少しずつではあるが、小指なんかよりはるかに太いアルテマウェポンが

ユフィの中に納まってゆく。ユフィは初めほど痛そうなしぐさをみせなくなり、あご

をわななかせて口元からよだれをつたわせた。痛みが、次第に快感に入れ替わってゆ

く。ユフィの本能が異物を来るべき物と認識したらしい。

 そしてとうとうクラウドの下腹とユフィのお尻が、ぺた、と密着した。そのままの

体勢を維持してクラウドがささやく。

「ほぉら…ぜぇんぶ入った、ぜと。」

「あうぅ…深いよぉ…な、なか、いっぱい…あ、あああ…」

 ゆっくり時間をかけたのとゼイオの実の効力もあり、初めてだったユフィでも、2

0センチ強のアルテマウェポンの鞘代わりになることができた。初々しい鞘はジクジ

クうごめき、まだ緊張が残っているようであったが快適だった。クラウドは両手をユ

フィの胸に運び、髪の匂いを確かめた。

「おめでとうユフィ。17才の誕生日にロストヴァージンだなんて、いい記念じゃ

ねぇか。どう?初めての感想は。痛い?それとも気持ちいい?」

「お、奥のほう…まだ痛い…。でもだいじょうぶ…拡げられて、気持ちいいの…っ

!」

「なぁ、ココって一番奥なのか?メチャクチャ狭くて…ホラ、なんかつっかえてる感

じしねぇか?」

「あひっ!そ、そこ、終点だよっ!あ、動くな、ひっ!あ、やだ、あっ、ひぃっ!」

 クラウドが先端を子宮口にコツコツさせてみると、ユフィはお尻をビクビクさせて

喜んだ。ぬめる膣壁も歓喜してか、クラウドを離すまい、と吸い付き、まとわりつい

てくる。指先で乳首を苛むと、ユフィは窓に頭をゴンゴンとぶつけて快感に酔いしれ

た。

「さて…そろそろ動くぞ…?」

 クラウドは再び両手でユフィのお尻をつかみ、ヌル、ブプ…と少しずつ腰のグライ

ンドを始めた。その動きは非常に緩慢であったが、波が大きくなるように、その動き

も次第に大きく、深く抜いては深く刺して、というように変化していった。まるで一

回一回再挿入されているようだ。

「ああっ、あふ、深いのっ!な、中身、で、出ちゃいそうだぁっ!!」

 激しくよがるユフィだったが、ふいに上体を支えていた両手がドアからズル、と

滑った。膝も折れるようにして曲がる。もう立っていられなくなったのだ。

 クラウドはつながったままユフィの身体を抱き込むと、ゆっくりゆっくり彼女をよ

つんばいにさせた。少し落ち着いてから重なるようにユフィの背中にのしかかり、ク

ラウドは耳元で淫らな睦言を唱える。

「犬の交尾みたいな格好だぜ…ユフィちゃん?」

「こ、交尾だなんて…やめてよぉ…」

「ほらほら、ユフィのおまんこ、ヌルヌルのトロトロで、も、最高…!」

「バカ、へ、変なこと言うなぁ…!あ、あ、いや、やだあっ!!」

 クラウドがズン、ズン!と腰を突き入れるたび、ユフィの頭がゴンドラの入り口に

ぶつかる。痛みよりも快感の方がはるかに大きいので気にはならない。ゴツゴツした

ペニスで膣壁がえぐりとられるような感触に、ユフィはそれどころではないのだ。

 ユフィは特に感じやすい体質なのか、クラウドの先端が膣の終点にぶつかるたびに

艶めかしく鳴いた。そして口ではイヤイヤ言っているのに、内側の方は裏腹にクラウ

ドをより奥まで引きずり込もうとうごめくのであった。

 クラウドの下腹とユフィのお尻がぺちぺちと間の抜けた不協和音を奏でる間にも、

性毛や太ももをつたって熱い果汁がユフィのトロピカルフルーツから溢れ出る。ゴン

ドラの床には強い女性の匂いが染みついてしまっていた。

 強ばっていたユフィの内側がやんわりと緊張を解いたのをきっかけに、クラウドは

彼女の胸への愛撫を再開した。みためは小さいが、下を向くとそれなりのボリューム

が生まれる。寄せてはこね、指先でつまびくとユフィはひときわ大きく鳴いた。

「おっぱい大きくなるように念入りにこねてやるよ、ほぉら、大きくなぁれ、大きく

なぁれ!どう?胸も感じてるんだろ?」

「う、うん…あ、か、からだ…バラバラに…なっちゃいそう…でも、く、クラウ

ド…」

「どうした?」

「てぃ、ティファに…あ、あたし、合わせる顔がないよ…。ティファの恋人なんだ

ろ、クラウドは…?」

「そんな風に思うってことは…オレに惚れたな?恋人を寝取った気分なんだろ?」

「そ、そんなんじゃないよっ!そうじゃなくて…あ、あひっ!!」

 クラウドはさりげなく答えをはぐらかし、ユフィの裂け目の縁取りに隠れていた充

血したクリトリスを強くつまんだ。ユフィはびくっと身体をのけぞらせ、刺激に反応

する。

「ここはどうだ?逆にヒリヒリするんじゃないか?」

「痛い、そ、ヒリヒリして痛いよ!あ、そう、それ…皮の上からして、あ、やっ!

か、感じちゃうよぉっ!!」

 むき出しになっていた女の子のマテリアはあまりにもデリケートであるが故に、直

に触れられると痛みを伴う娘もいる。クラウドは幾多の修羅場をくぐってきただけ

あって、そういう事情もよくわかっていた。当然そんな場合の対応の仕方もわきまえ

ている。

 クラウドはユフィの頃合いを見計らい、腰の動きに変化を加えてみた。ユフィのお

尻をしっかりつかみ、右に左に、まさに膣内をかきまわすように動くと彼女はさらに

激しくよがった。汗を散らして喜ぶ。

 とどめとばかりに先端を最奥に勢いよくぶつけてやると、ユフィは上体を両手で支

えきれなくなり、ガクン、とあごから床にくずおれてしまった。お尻だけを突き出す

格好になってしまう。お尻の穴までヒクついているのがわかった。

「ユフィ、イクのか?イキそうなんだろう?」

「うん…うん…!お願い、イかせて…!もうダメだ、あたし、あ、あたし、ダメに

なっちゃう…もうダメになっちゃうよぉ…」

 何がダメになるのかはわからないが、苦しそうに、しかし3度目の絶頂を期待して

媚びの混ざった声をだすユフィ。だがクラウドは彼女のお尻を両手で軽く叩いてか

ら、ヌルルルー…ッ、とペニスを引き抜いてしまった。ほぼ密封状態だったユフィの

膣から、コルク栓が抜けたような、ちゅぽん、といった音が鳴る。トロトロとしろっ

ぽい女の子のワインがみるみる溢れてくる。

「なんで…?やめないでよぉ…最後までしてよぉ…」

恨めしそうにユフィが肩越しに求めてくる。しかしクラウドは聞く耳を持たないと

いった感じでゴンドラのシートに腰掛けた。ぽんぽん、と自らの胸板を叩いてみせ、

フゥ、と金色の髪をかきあげた。

「座りながらしようぜ。ユフィもこっちに来いよ。自分で入れてみな。」

「えっ!?座りながらって…?」

「オレの腰の上であぐらをかくように、さ。外の景色も見えるぜ?」

 そう言ってクラウドは、ユフィの体液にまみれて湯気を出しそうなアルテマウェポ

ンをクイクイ指で動かしてみせた。ユフィは照れ臭そうにその光景を見ていたが、欲

望がソレを求めている。もう理性や貞節はほとんど残っていなかった。

 ユフィは腰掛けたクラウドをよじ登るようにして立ち上がると、彼の肩に両手をか

けてひとやすみした。いくつものキスマーク、汗の浮いたぷにゃぷにゃの胸、細いウ

エスト、閉じても隙間の生じる太もも、その狭間で濡れて、きらめいている性毛…。

そして、あどけないのに色っぽい、化粧を知らない顔。

「ユフィってこんなにかわいかったんだな。」

 クラウドは思わずつぶやいていた。ウソでも、世辞なんかでもない。一人の男とし

ての本音が出てしまったのだ。ただそれがクラウドの悪意、そして異常性になんらか

の影響をもたらすかどうかは別問題である。今日の目的は揺らぎはしない。

 今日の目的…すなわち、ユフィを犯すこと。身も心もズタズタにしてやること。

 生意気で減らず口しか叩かない小娘をボロボロにする、ただそれだけのためにクラ

ウドはゴールドソーサー休養を決定したのであった。パーティーのメンバーで気付い

た者は無論いない。

「えへへ、今頃気付いたってダメだよ。あたしが好きなのは…ヴィンセントだけなん

だもんね…。」

 嬉しそうに…しばし忘れかけていた、ニカッとした無邪気な笑みを浮かべるユ

フィ。その無邪気さがクラウドにさらなる加虐心を植え付ける。

 ユフィはクラウドの本心も知らずにシートに上がり、彼の腰をまたいでしゃがん

だ。クラウドに右手を導いてもらい、熱々のアルテマウェポンを握らせてもらう。

「さっきまでユフィのおまんこに入ってたんだぜ、こんなぶっといヤツが。」

「すっごいね…。ま、まさかクラウド、出してないよね?」

「バーカ。出したらどうなるよ。オレはそんな危険な橋は渡らねぇ主義なんだ。」

「それもそうか。じゃあ入れるね…。」

 クラウドとたわいもないおしゃべりを交わし、ユフィは結合を再開した。つやめく

先端を拡げられた穴にめり込ませると、引力にまかせてそのまま座り込む。

「んくっ!!い、いきなり奥まで…!」

 どすんと座り込んだため、先端はひといきで子宮口に衝突した。乱暴な痛みと快感

が同時にユフィを襲い、くぐもった声を出させる。

「ケケ、ほら、足をオレの背中にまわしな。ついでに両手でしがみついてろ。」

「うん…あ、ゴーストハウスが見えてきたよ…」

 クラウドの言いつけ通りに彼の身体にしがみつくとユフィは落ち着けたらしく、座

位の体勢で、ふぅ、と心地よさそうなタメイキを吐いた。そこへ突然ゴンドラの外に

人工の雨が降ってくる。窓外を見ると古めかしい洋館が見えた。ゴールドソーサーの

宿泊施設でもあるゴーストスクウェアにさしかかったらしい。

 クラウドもそちらを見ていたが、ゴーストハウスは入ってみてこそ面白味のあるも

のなので、すぐに視線を戻した。

「じゃあ続き、いくぞ…しっかりつかまってろよ?」

「うん…あ、ぎ、い、い…いい、いいっ!!」

 クラウドはユフィの腰を両手で抱えると、スプリングのきいたシートにギシギシ不

平を言わせて弾みだした。クラウドのペニスがユフィのヴァギナを激しく擦りなが

ら、何度も何度も最奥にぶつかる。そのたびにユフィはしがみつきを強くし、かわい

い鳴き声を耳元に漏らした。クラウドの袋にまでユフィの体液がつたい落ちてくる。

ぴっしゃーん!!ごろごろごろーん…

「きゃああああっっっ!!」

 ふいにゴーストハウスの特殊効果である雷がとどろき、衝撃がゴンドラを襲った。

ユフィは思わず絶叫し、クラウドにきつくすがりついた。

「うっ…!!ど、どうしたんだよユフィ!?お前、カミナリ嫌いだったっけ?」

「ち、違うんだ!と、突然だったからビックリして…はぁ、驚いたぁ…」

 ユフィの弁解通りで、彼女は雷が嫌いなわけではない。たまたま不意打ちをくらっ

たがために思わず驚いただけなのだ。ただその驚きがクラウドに強烈なダメージを与

えていた。

「驚いたのはいいんだが…ユフィ、お前締め付けすぎた…。うぁ、きゅ、急に…で、

出ちまいそうだ…!!」

「え、ウソ!?なんで!?ダメだぞ、中に出しちゃダメなんだからっ!」

 ユフィがしがみついてきた瞬間、彼女の膣にも強い緊張がはしったのであろう。膣

も筋肉のひとつであるから理屈も解る。だがクラウドはその締め付けと、ユフィの思

いもかけない女の子らしいしぐさに思わず達しかけたらしい。腰がゾクゾクしてい

る。ペニスもユフィのめいっぱい奥で強く膨張したまま、ジクンジクンと暴発しかね

ない雰囲気で終わりを待っている。

 クラウドはユフィを抱えたまま立ち上がると、丁寧に床の上に彼女を寝かせた。も

ちろん先程のガラスの破片がないところに、である。

 ちょうど正常位の体勢になったわけだが、クラウドは何もしないでおもむろに腰を

持ち上げ、ニュルル…ッとペニスを引き抜いてしまった。ユフィとの結合部からねっ

とりと糸を引いてみせると、ビクン、と今にも弾けんばかりにケイレンする。

「またやめるぅ…頼むから最後までしてくれよぉ…」

「うるせぇ!お前の締め付けのせいでオレは危うくイキそうになっちまったんだぞ!

罰としてお前の胸で出させてもらう。」

 クラウドはユフィの意見も聞かずに彼女をまたぐと、上からキッと睨み付けた。ユ

フィは一向に治まらないうずいた身体をよじらせながら、泣きべそぎみにつぶやい

た。

「あ、あたし知らないよぉ…ビックリしただけで…」

「うるせぇなっ!ほら、チビセーターを脱いで胸を寄せろ!オレが治まったら必ずイ

かせてやるから。」

「う、ウソ!?む、胸で挟めっていうのか!?そ、それってヒドイよ、女の子をバカ

にしてる!!」

 クラウドは強引にユフィをばんざいさせると、脱げと命じておきながら自らの手で

彼女の衣服をはぎとった。苛立ちと欲望が気を逸らせたのであろう。

「黙れ!都合のいいときだけ女の子を主張するな!それより自分のベトベトを胸の間

に塗りたくっておくんだ。いいか?」

 クラウドはユフィを怒鳴りつけると、胸板を彼女の頭よりも向こうの床につけ、ペ

ニスを胸の狭間に落ち着かせた。ユフィは言われた通りに指ですくった粘液を胸に塗

りつけ、両脇から胸を集めてクラウドを挟み込んだ。それでもどうにか埋まってい

る、というほどである。

 それでも、思ったよりも胸ってあるもんだ、とユフィは自分ながらに感心した。

ティファくらいあればこんな努力をしなくても余裕で挟み込めるだろうに、などと嘆

いたりもする。

 胸の挟まり具合を確認し、クラウドはゆっくりと腰を前後し始めた。ひかえめなユ

フィの胸のトンネルであったが、柔らかな感触と下腹に当たる乳首の感触が興奮を呼

び戻してくれる。イかせてもらえずガッカリしかけていたアルテマウェポンはたちま

ちツヤツヤのガチガチに立ち直った。

 ユフィは胸の狭間を出たり入ったりして少しずつ粘液をこぼしてゆくクラウドのペ

ニスをものほしそうな目で眺めていた。ひっきりなしに膣内がヒクついている。早く

また挿入してかきまわしてほしい…。

 ユフィは早く続きをしてほしいあまりに顔を持ち上げ、舌を伸ばしてクラウドの

ちっちゃな出口をチロチロした。不吉な味を思い出してしまうが、このさいかまって

などいられない。

「あぁ…ユフィ、気持ちいい…もう…もうっ…!」

 クラウドの腰の動きが早くなる。ただでさえもイク寸前だったものだから終わりが

早い。それよりも小生意気なユフィにここまで淫靡な行為をさせているという事実が

クラウドを燃えさせ、絶頂をより早めさせたのだ。当のユフィは胸を寄せながら乳首

を指先で転がし、少しでもうずく身体を落ち着かせようと努力していた。舌ももちろ

ん止めていない。

「ああ、ユフィ、ユフィッ!!」

びゅるっ!!びゅっ!びゅっ、どく、どく…

「うわあっ!!」

 クラウドがうわずった声で名前を叫んだ瞬間。胸のトンネルを駆け抜けたペニスは

勢いよく白濁の粘液をぶちまけ、ユフィの髪を、目を、鼻を、頬を、舌を生臭く汚し

た。勢いを無くし、トロトロと溢れ出る精液が胸元で溜まってゆく。

「あ、あああああ…」

「…」

 クラウドは予想以上の快感を手に入れたのであろう、床に爪を立てながら余韻にひ

たっている。ユフィは両手で寄せていた胸を解放すると、新鮮な精液で顔じゅうベト

ベトに汚された感触に呆然とした。言葉もなにも思いつかない。泣きたいような気分

だが、涙も出てこない。

 クラウドはユフィから身体を引き離し、精液にまみれたユフィの顔を覗き込んで下

品に笑った。

「きゃっはっは!あーあ、もうべっとべとだぜユフィちゃん?ほら、オレの精液でプ

ロテインでも補給しな。肌にツヤが出るかもな!」

 ごしごしとユフィの頬や額に精液を塗り込み、指ですくうと彼女の唇へ運んだ。

ぼぅっとしたままのユフィは眉をしかめてクラウドの手を払おうとしたが、その動き

は緩慢であった。衝撃と衝動が身体を浮かせているからだ。

 クラウドは顔を近づけて、ユフィの顔の匂いを嗅いだ。生臭い匂いがこびりついて

おり、征服欲が満たされてゆく。

「まだ指なんかつっこんでやがる。こんなにまでされておきながら、まだ足りないの

か?」

「頼むよ…イかせて…や、約束だろ…」

 ユフィは中指を膣内に押し込んだ格好で訴えた。自分では中指を挿入した覚えなど

無い。無意識下の行動だ。もうクラウドを…クラウドのペニスを待ちきれない。

「じゃあ中に残ってる精液を全部吸い出してくれ。少しでも残ってたらあかちゃんで

きるぞ?」

「ね、ヴィンセントには…絶対内緒だよ…?」

 ユフィは差し出されたペニスにむしゃぶりつき、パイプの中に残っていた精液を

ちゅうちゅうと吸い出した。クラウドはユフィの上によつんばいになり、再びシック

スナインの体勢をとる。モジモジしている膝を開かせ、指で入り口を露出させた。

「こんなに気持ちよくしてくれたんだ、ユフィ、イキそこなったぶん以上に気持ちよ

くしてやるよ。オレだって本当はユフィの中にずっと入っていたいんだ。ずぅっと

セックスしていたいんだぞ…?」

 クラウドは大きく舌を拡げ、敏感な粘膜を激しく舐め上げてから舌を尖らせて挿入

した。お尻の穴にも中指をめり込ませる。

「あああああっ!く、クラウドッ!お願い、もうダメ!入れてっ、入れてよっ!!」

 ユフィは激しく腰を浮かし、クラウドの胸板を跳ね上げてよがった。クラウドは口

で洗浄されたアルテマウェポンを握り直すと、ユフィの左足をまたぎ、のしかかっ

た。彼女の右足に肩をかけ、ブーツとルーズソックスを脱がせる。

「さ、オレ達の列車もそろそろ終点といこうか。」

 恥ずかしそうにユフィは成り行きを見つめていたが、顔を見られるこの体位が好き

ではないらしく、クラウドの言葉にはそっぽを向いてうなづいただけであった。クラ

ウドは軽く微笑むと、腰を押し出してヌブププ…と太い幹を埋めていく。

「んううううっ…!!んっ、くっ!!」

 クラウドのグラインドが再開される。深く深く、浅く浅くと変則的な動きを繰り返

し、ユフィをよがらせようとする。しかしユフィは恥ずかしくてたまらないらしく、

顔を逸らし、人差し指を噛んで声を立てまいとしていた。クラウドが前後するたびに

涙が溢れるのがわかる。

「ユフィ、気持ちいいときの顔、見せてくれ。エッチな声も聞かせてよ…。」

「や、やだ、あぁっ!は、恥ずかしいんだもんっ!」

「ここまでしておいて恥ずかしいもクソもあるかよ、ホラ、これなら、どうだっ!

?」

 クラウドは頑ななユフィにカチンときて、彼女の弱点である深奥を執拗に突き攻め

た。親の仇とばかりに強引に打ち込んでゆく。ひかえめな胸のふくらみも激しく円を

描くようにぶるんぶるんと揺れている。

「く、くうっ!く…やぁ、あ、あああっ!いいっ!気持ちいいのっ!!」

「そうそう、それでいいんだよユフィ。ほら、もっと淫らな女の子になっちまえ!」

 クラウドはツヤツヤの先端が抜け出そうなくらいに腰を引き、次の瞬間ひといきに

根本まで押し込んだ。杭打ち機のように何度も何度も繰り返して腰をユフィの股間に

ぶち当てる。ユフィはいつの間にかクラウドの頭を抱えて胸に押しつけていた。歯を

食いしばって快感にむせびなく。

「イッちゃう…イッちゃう…イッちゃうよっ!おかし…おかしく…なって…だめ、だ

めなんだってばぁっ!!」

「ユフィ、足の指、舐めさせて…ほら、指の間もきれいにしてやる…」

 クラウドはユフィの腕から逃れると、彼女のしなやかな右足を抱きしめて指の間に

舌を這わせた。松葉崩しの体勢で深く深く貫かれてゆくユフィはくすぐったさに床を

バシバシ叩いて耐える。あえぎ声はもはや絶叫に近かった。

「だめだよクラウドォッ!飛んじゃう、飛んでっちゃうっ!も、やめて…死にそ

う…」

「オーケー、ユフィ、よつんばいになるんだ。つながったままでいいからな。」

 クラウドは舌なめずりしてから額の汗を拭い、腰の動きをしばし止めて体勢を整え

させた。結局最初の体勢に戻ったのである。違いはユフィの感じ方と脱がされ状況だ

けだ。

 ちなみにクラウドはバックの体位がお気に入りらしい。ユフィの方も顔が見られな

いぶん落ち着けるので、この体位が気に入ったようだ。

 要領よくつながったままバックの体勢になると、クラウドはユフィのお尻をきつく

つかんで腰を猛烈なスピードで前後させた。ピストン運動のストロークは短く、ただ

一点、ユフィの子宮口だけを集中攻撃する。

「ユフィ、残念だったな。コンドーム捨てなきゃ今夜もしてあげられたのに!」

「も、もうクラウドなんかとしないよっ!今日だって…ゼイオの実を…飲んでな

きゃ、こんなことにはなって…なってなんかないよ…」

「今だから言うけどよ、あれ1個で3時間はもつんだってよ。ユフィ、あと2時間半

はそのままだぜ、クックック…」

「ウソ!?ちょ、そんなのないよ、なんとかできないの、ねぇ、クラウド!!」

 クラウドはわざとらしくゼイオの実の持続時間を笑いながら聞かせた。

 あと2時間半も異常性欲におぼれていないといけないのか!?肩越しに不安げな瞳

で見つめてくるユフィにクラウドは悪意に満ちた笑みを見せてささやいた。

「中出ししたらおさまるかもな。本来そのための実なんだもん。」

「そんなっ!中に出したらあかちゃんできるって言ったのクラウドじゃないか!そん

なのダメ、絶対にダメだからねっ!騙されないぞっ!」

 ユフィの強気の声にクラウドはピタッと腰の動きを止めた。ゴンドラの動く音だけ

が二人の荒い呼吸に重なる。そのとたんにユフィのヴァギナが、忘れかけていた耐え

難いうずきを再発する。もうしてもらっていないとおさまらないらしい。

「なんでやめるのさぁ…?いじわるしないでよぉ…」

「中出ししたいなぁ。これでやめちゃおうかなぁ。」

 クラウドはあさっての方向を見つめ、わざとらしい声でつぶやいた。いわずもがな

で、クラウドは暗に膣内射精を要求しているのだ。

 ユフィはそれを悟るとガックリとうなだれ、妊娠してしまうという不安と、最後ま

でしてほしいという欲望をぶつけあった。さりげなくユフィが腰を動かしても、クラ

ウドはそれに合わせて身体を前後させる。もうどうにもならない。ここまできている

のに、もうあと少しでもの凄い快感の大波がきそうなのに…!!

 しばらくユフィの反応を待っていた様子のクラウドが、あ〜あ、と彼女のお尻に手

をかけ、ヌルル…とペニスを引き抜きかけたときであった。

「待って!!」

「あん?」

 ユフィは短く告げた。クラウドは気の抜けた返事を返す。

「中出ししても…必ずあかちゃんできる…ってワケじゃないよね…?」

「…まぁ、な?」

 相変わらずクラウドの返事は気がない。ユフィはもう限界だった。たとえとんでも

ないリスクを背負おうともかまわない。最後までしてもらえるならいい、と思えたの

だ。もう意思が身体に逆らえないくらいに奥の奥までうずいている。

「クラウド…あたしに最後まで…してほしい…。な、中で…め、めいっぱい奥で出し

てもいいからっ!」

 ユフィは泣いた。意志の弱さと屈辱に。しかしこれで身体のうずきは癒えるだろ

う。必ず妊娠するとは限らないハズだし、みごもったらどうするかはその時に考えれ

ばいい。

「最後まで…してほしいんだな。後悔しないな?」

「うん!だから、早くっ!!もう…狂っちゃいそうだぁっ!!」

「よぉし!アクセル全開でイかせてやるぜっ!」

 クラウドはうってかわった快活な声でそう言うとユフィの腰に手をかけ、下腹を打

ち付けにいった。太いピストンが狭いシリンダーを乱暴に往復し、二人はひといきに

レッドゾーンまでかけのぼる。ユフィも、そしてクラウドもハイテンポなドライブに

酔いしれ、汗を散らしてよがった。

 快感を求めるだけの野蛮なセックスであったが、今のユフィにはこれくらいしても

らわないと満足できなかった。身体中のうずきが消え、巨大な快感の大渦が再び巻き

おこる。ユフィは床にゴトンと頭を落としてむせび鳴いた。

「もうだめっ、今度こそイッちゃう!もう…もうなんだかわかんないよぉっ!」

「ユフィ…ッ!このままノンストップで駆け抜けるぞ!めいっぱい奥に出すからな

!」

「オッケー、いいよっ…もう…あ…あひ…飛んで…っちゃ…」

『本日はご利用いただきましてまことにありがとうございました。まもなく終点でご

ざいます。小物等お忘れ物のないようご注意下さいませ。』

 快感に飲み込まれかけたユフィを現実に引き戻したものがあった。それはゴンドラ

の隅に備えられた小さなスピーカーであった。ゴールドソーサー内を周遊していたゴ

ンドラがまもなく元のプラットホームへ到着するらしい。

「うそ…」

「もう終点か。さ、ユフィちゃんの大好きなヴィンセントが待ってるぜ?」

「や…やめてぇっ!!やっぱりやめる!ダメ、クラウド!もうしないでっ!」

 想い人の顔を思い出し、取り乱したユフィが両手をバタバタさせて抗う。しかしお

尻を突き出した格好のままではどうすることもできない。前はドアで行き止まりだ。

「最後までしてっていったのはお前だろ?それに知らねぇのか?オレ達の列車は途中

下車なんかできねぇんだよ!!」

「だめっ!話が違うゾッ!!こんな格好…だめだよっ!ヴィンセントに見られちゃう

よぉっっ!!」

 泣き叫ぶユフィであったが、クラウドの激しく突き込まれるアルテマウェポンはも

はや後戻りできないところにまで彼女を高めていた。クラウドがつらそうな顔で天を

仰ぎながらうめく。

「ユフィ…最高だよ、溶けてまざっちまいそうだ…!!」

「い…いや…いやだぁっ!ほ、ホントに飛ぶぅっ!!」

 最後にクラウドが、ユフィの最奥に先端をねじ込ませるようにして押し込んだ瞬

間、ユフィは全ての意識を真っ白にしてしまった。

「あ…うぅぅ…」

 ユフィは濡れタオルのようにグッタリして、ありったけの息を吐き出した。腰に激

震を走らせ…膣が絶大な収縮をみせる。ユフィはとうとうつながったまま達したの

だ。

「すげっ、ゆ、ユフィッ…あ、あああっっ!!」

びゅっ!びゅびゅうっ!!びゅく、びく…

 クラウドも次いで、達した。狭い膣内の最奥に信じられないほどに大量の精液が噴

出される。3回射精したうちでもっとも大量で…そしてもっとも良かった。脈動がま

だ続いている。

「あ…あああ…ゆ、ふぃ…」

 とろけそうなくらいに気持ちよさそうなクラウドの表情に、冷たい笑みが滲み出

る。ざまぁみろ、と言わんばかりだ。

 そしてゴンドラは元のプラットホームに停止し、ドアが開いた。

「お疲れさまでし…た…」

 ラウンドスクウェアの受付嬢は言葉につまり、表情をひきつらせた。客の予想もし

なかった痴態を目の当たりにしてしまったからだ。クラウドはニタリと笑い、名残惜

しそうにユフィのヴァギナからペニスを引き抜いた。白い液体で、つうっ、と糸を引

かせてみせたそれは恐ろしいくらいに威勢が良く、ぢゅぽ、と外気に触れたとたん、

反り返るようにへそをぺちん、と打った。

 衣服を抱えて下車し、顔色を二転三転している受付嬢にクラウドは、

「…本当にお疲れさまだよ。」

と告げていやらしく笑った。ゴンドラが出発したときにいた場所から動かずに佇んで

いたヴィンセントに手を振って合図し、まだ下車してこないユフィに呼びかける。下

車しないのではなく、下車できないのだ。こんな格好を見られてしまったヴィンセン

トに合わせる顔がないのと、腰が抜けたように力が入らないのが原因だ。

「ユフィ!ヴィンセントも待っているぞ!早く来いよ!!」

 クラウドの声も無視して、ユフィは唇を噛みしめて泣いていた。

『見られた…!ヴィンセントに…見られちゃった!!』

 クラウドサイズに拡げられたユフィの入口から、こぽ、と精液の混じった体液が溢

れ出る。ユフィはお尻を突き出した体勢のまま、その感触に震えていた。そして、先

程達したばかりだというのに貪欲にも身体がまたうずき始める。

 クラウドは身支度を済ませるとわざとらしく手をポンと打ち、あ、ちょうど今思い

出しました、と言わんばかりの口調でユフィに告げた。

「あ、ユフィ!忘れてたんだけどさ、ゼイオの身に限らずチョコボに食わせる実って

のは発情作用があるだけでなく、受胎効果も高められるんだってよ。お前ゼイオの

実ぃ飲んでたんだよなぁ。悪い、すごくヤバイよなぁ。いやぁ忘れてた忘れてた!」

 あまりに軽薄そうなクラウドの声にユフィは絶望で表情を強ばらせた。ブルブルッ

とかぶりをふり、絶叫する。

「く、クラウドなんか死んじゃええええっっ!!」

バンッ!

 何の予告もなしにユフィの絶叫を打ち消すほどの轟音がプラットホームに響いた。

ユフィは思わず涙と汗と精液でベトベトの顔を上げていた。

 視線の先ではクラウドが…先程まで自分をレイプし、あまりに無責任なセリフをな

らべていたクラウドが突き飛ばされたように倒れる光景があった。眉間をヴィンセン

トの愛銃、デスペナルティに打ち抜かれて。

 受付嬢は信じられない場面の連続に短く叫ぶと、精神保護のためか気絶してしまっ

た。その後でユフィはゴンドラから這い降り、よつんばいのままヴィンセントに尋ね

た。

「ほ…本当に…殺さなくても…」

 ヴィンセントは普段通りの冷たい瞳でユフィを見下ろすと、デスペナルティを腰に

つるしてつぶやいた。口調も普段と変わらぬ凍てついた雰囲気だ。

「お前の願いを叶えたわけではない。馬鹿は死なねばなおらぬのと同様、ジェノバに

犯された者もまたしかり…。心配せずとも蘇生のマテリアは私が預かっている。」

 そしてクラウドの死体にも、ユフィにも興味を示すことなく、ヴィンセントはきび

すを返して立ち去ろうとした。何も言えずに見送るだけのユフィに、ふいに足を止め

たヴィンセントは振り返りもせず、告げた。

「ユフィ。私に好意を抱いても無駄だ。私はもう誰も愛さない。自分すらも。美しい

ルクレツィアのために、そう決めたのだから…。すまないが…そういうことだ。」

 ヴィンセントがエントランスへのゲートに消えるのを見届けてから、ユフィは失恋

の二文字を悟り、突っ伏して泣いた。17にして知った心の痛みであった…。

 

 ゴーストハウスの、ある寝室にクラウドはいた。あれからすぐに蘇生させてもらっ

たらしいが、記憶にない。気が付いたら既にこの時間、この部屋のベッドで全裸で

眠っていた。ユラリ、とランプの炎が身じろぎする。

「撃ち殺された…。このオレが撃ち殺された…。」

 ヴィンセントの無色の表情と冷たい銃口を思い出し、身震いして嘔吐しかける。

シーツは寝汗でベトベトであった。死の瞬間がここまで恐ろしいものだとは、幾多の

修羅場をくぐってきたクラウドでも思わなかった。戦闘不能に陥ったことは何度かあ

る。しかし今日のように完全に殺されたのは初めてであった。

「ちっ…!!」

 胸苦しさがクラウドのプライドをえぐり、彼を苛立たせる。サイドテーブルのグラ

スフラスコをひったくると、コップも使わずにガブ飲みした。冷たい水はカラカラに

渇いた喉を潤し、あらぶる心をいささかながら冷ましてくれる。

「!?」

 ふいに違和感が喉を突いていった。クラウドは清涼な水の中に何か異物が入ってい

たことに、それを飲み込んでしまってから気付いた。何度か咳き込んでみたが、出て

きそうにない。

 そんなクラウドのベッドサイドに飛び降りてきた者がいた。

「ユフィ!」

「へへへ、昼間はどうも…」

 突然現れたのは誰あろうユフィであった。ゴーストハウスに備え付けの、囚人服を

デザインしたボーダーパジャマを着込んでいる。ランプの暖かな光に照らし出された

顔はどこか照れ臭そうで、手持ちぶさたな指で鼻の頭をカリカリしている。

「どうしてここにいる…?それに…オレは殺されたんじゃなかったのか!?」

「クラウドはあたしが蘇生させたんだよ。フェニックスの尾を使ってさ。」

 クラウドの苦しげな声にユフィは背後に手をまわし、いつもの笑顔を浮かべつつ事

情を説明した。彼女が言うには、ひとしきり泣いて気が落ち着いた後でクラウドを蘇

生させ、それでも意識を取り戻さない身体を背負ってここに運びこんだらしい。

 クラウドは事情を聞いた後で、どうしても腑に落ちない疑問を口にした。

「…オレはお前を犯したんだぞ?今日のことは全て計画したうえでのことだったん

だ。そんなオレを恨みこそすれ、蘇生させるとはどういうつもりだ?」

「えへへぇ…ソレなんだけどね…あたしね、フラレちゃったんだ、ヴィンセント

に。」

「フラレた?」

 ユフィの照れ臭そうな口調にクラウドは怪訝な表情を見せた。説明になっていない

ぞ、と言いたげなクラウドの様子にユフィはさらに続けた。

「ウン。それでね…あたしの初めて…ぜんぶ持っていったクラウドに泣きつこうか

なー、なんて思って、今夜ここに忍び込んだワケ。」

 ユフィは今にも溶けてしまいそうな甘えた声でそう言うと、クラウドのベッドに上

がって膝立ちになった。そして胸ポケットから小さな物体を取り出し、クラウドの眼

前に突きつける。

「これ、な〜んだ?さっきクラウド、水、飲んでたよね?」

「ぜ、ゼイオの実…っ!ま、まさかユフィ、フラスコの…!?」

 クラウドはユフィの右手がつまみ上げている果実の名を叫び、サイドテーブルで

空っぽになっているグラスフラスコを見た。緊張した面持ちになり、腹を、口元を押

さえる。

「ご名答…!」

 そうささやいてユフィはゼイオの実を自らの口中に放り込み、ゴクン、と飲み込ん

だ。パジャマのボタンをひとつひとつ外し、前をはだける。ブラはつけていなかっ

た。そしてズボンに両手をかけ、ショーツごと膝までずりおろす。小さな胸、ひきし

まったウエスト、滑らかな恥丘に整ったヘアーがランプの明かりに浮かび上がる。

「ユフィ…何を考えていやぁがる…」

「相思相愛を作り出そうってワケ…。つまりはね、クラウドにキッチリ責任とっても

らいたいんだ。あ、もうひとつ教えてあげる。ティファの部屋にね、今から2時間

後、ここに来いって書き置きしてきたんだよ、もちろんクラウド名義でね。さぁ、ど

うしよっか、クラウド?」

「ユフィ…お前、気が…あ、…か、かはぁ…っ!!」

 ユフィの目つきが狂気を帯びている。それにユフィはこんな淫らな微笑み方を知ら

ないはずだ。クラウドは立ち上がろうとしたらしかったが、熱い吐息をもらしてバラ

ンスを崩し、倒れるように再び仰向けの体勢に戻ってしまった。身体に異常が発生し

たのだ。

 波のない大海のように平穏だった性器が突然猛り狂い、ちぎれんばかりに硬直しは

じめたのだ。勃起して苦痛を覚えたのは今が初めてであった。触れるのが怖いくらい

にガチガチに強張っている。ジクン、とペニスの付け根が脈打ち、早くも無色の粘液

まで滲んできたようだった。今すぐに、手でもかまわないから『したい』衝動に駆ら

れる。

 ユフィは意味深に微笑むと、パジャマの上着を床に放った。17才の、無駄のない

裸身が激しい性欲に苛まれるクラウドの眼前で露にされる。

「クラウド…今から3時間、何回できるか試してみない?」

「ユフィ…テメェは…!!」

 ユフィの声も昼間のゴンドラ内のように潤んできていた。憎々しげに彼女を睨み付

けるクラウドだったが、気を抜くと右手が股間に移動してゆく。ティファに目撃され

るかもしれないというのに、もう誰でも、なんでもいいからペニスを思い切り慰めた

い。

 意味のない時間が過ぎてゆく。二人の呼吸が早まり、鼓動が耳元で聞こえだしたと

き、ランプの炎がもう一度身じろぎした。

「ユフィッ…!!」

「あ、く、クラウドッ!!」

 クラウドの理性は強制された性欲に押し潰された。ユフィの細い身体をきつく抱き

しめるなり、彼女の下腹にはちきれんばかりのペニスをグイグイ押しつけた。

 ユフィも待ちこがれていた様子でクラウドにしがみつき、柔らかな胸を密着させ、

感触を伝えるように動いた。

 むさぼるように唇を重ね合い、舌をからめ…胸をまさぐり、ペニスをさする…。そ

してそのままベッドに倒れ込み…

 そうなのだ。これからは美狂乱と脱落の共犯者はいつでもそばにいるのである。こ

の事実だけがすべての享楽…。

 ゼイオの実のとりこになった二人にとって、これから三時間の間だけは幼なじみ

も、故郷も、そして星の運命すらも無意味で無価値なものだった。

 必要なものは恍惚の笑みと吐息、そして一瞬ごとの快楽。

 ただそれだけであった。

 

 おわり。


みゃあの感想らしきもの

 

すまんっ!時間不足です!

明日までお待ち下さい(^-^;。