【虜(とりこ)
−涙のちパルプンテ☆−】

 

作・大場愁一郎さま


ざしっ!

「ふう、かたづいたぜ!みんな〜、ケガはないかぁ?」

 愛剣としているロトの剣についた血糊を、ちょうど今切り伏せた妖術師のローブを

引き裂いて拭い、鞘におさめながらクレルフェス・ローレシアは、旅の仲間であるプ

ロフェイン・サマルトリアとラスティア・ムーンブルクに声をかけた。

 彼らはこの大アレフガルドの北東部を治めているローレシア、サマルトリア、ムー

ンブルク…ムーンブルクに限っては過去型になるが…の王位継承第一位、つまりは王

子、王女達なのである。

 彼らは、数年前にこの大アレフガルドに現れた邪神崇拝系新興宗教、シドー教の大

教祖ハーゴンを討伐するための旅をしている最中なのだ。

 その当時、大アレフガルドのほとんどの自治国王達は、しょせん新興宗教、捨て置

けとばかりハーゴンの布教活動を黙認していたのである。

 しかし今年の春、ハーゴンは彼の忠実なる右腕、悪魔将軍ベリアルと悪魔軍団をひ

きいてムーンブルクを襲撃、大アレフガルド全土に宣戦布告を行ったのであった。

 それにともなうモンスター共の凶悪化、各地で起こる不作、疫病、その他天変地

異。

 力の無い民衆は混乱し、おびえ、救世主の登場を息をひそめて待つほかなかった。

 そして、救世主は名乗りをあげたのである。

 偉大なる勇者ロトの血筋をひくローレシア、サマルトリア、ムーンブルクの若き王

子、王女は大アレフガルドに再び平和を取り戻さんがため、手に武器を、心に勇気を

携えて敢然と立ち上がったのであった…。

「ああ、ボクはだいじょうぶだ。」

「わたしも無傷よ!」

 二人の頼もしい返事に安堵の笑みを浮かべるとクレルフェスは二人のそばに駆け

寄ってきた。たくましい長躯の彼もまた、負傷らしき負傷は受けていない。

「なぁクレルフェス、これでいくらほどたまった?」

 優雅な美男子然としているプロフェインは愛用の鉄の槍を肩にかけてクレルフェス

に尋ねた。いくらほど、というのはむろんこの世界共通の通貨であるゴールドの蓄え

のことである。

 というのも、クレルフェスがこの小さいパーティーの中の財務担当を任されている

からだ。

 最もモンスターに近接して戦い、真っ先に戦利品に触れることができるからという

クレルフェス本人からの単純発想からそうなったのである。さもしい下心などはこの

熱血正義感青年には微塵も無い。現に不正事件などは旅を始めてから今までに一度た

りとも起こっていない。

 クレルフェスは大きなサックの中から小さな厚手のサックをとりだし、さきほどの

戦利品の金貨を何枚かちゃりんちゃりんとその中に放りこみ、

「そうだなぁ、このところ宿に入っても数えてなかったからなぁ…でもまぁ2万ゴー

ルドは余裕であるだろうな!」

 そう言って嬉しそうにサックを持ち上げてみせた。

「え、もうそんなにあるの!?だったらこれで装備もランクアップできるね!」

 ゴールドのサックをまじまじと見つめていたラスティアは、先日ローレシアの地下

牢に現れた地獄の使いから奪ったいかづちの杖をクルクルさせながら言った。

 身長160センチくらいのこの王女は今年で18になるのだという。これは二人の

王子よりも二つ年下という計算になる。幼げで甘えんぼそうな表情に違わず、実際甘

えんぼな性格だ。

 彼女はハーゴンのムーンブルク襲撃の難を逃れた折、ハーゴンの呪いによって子犬

の姿に変えられていた経験がある。クレルフェス達がラーの鏡によってハーゴンの呪

いを打ち破ってからもう二ヶ月ほどが経過していた。

「ここから少し行ったところにペルポイという街があるようだ。初めて訪れる街だけ

ど、ちょっとした武器や防具を売ってるかもしれないな。」

 クレルフェスとは違って肉厚の薄い、スラリとした長身のプロフェインが線の細い

顔に微笑をたたえ、地図を見ながらその方向を指さした。

「もうやがて日も暮れるしお腹もすいたし、それに今日はヤケに疲れた…。いつも以

上にモンスターを倒したような気がするが…違うか、クレルフェス?」

「ハハハハ!実はそうなんだ。ペルポイは初めてくる街だから少しでもお金があった

ほうがいいと思ってね。でもま、みんな無事でレベルもあがったし、いいじゃないか

!」

 ガッシリとした身体を揺さぶるように、クレルフェスは実に屈託無く笑った。日頃

快活な彼は、考えるよりも先に行動を起こす性格である。

「じゃあ早く行こうよ!オフロにも入りたいし、とにかく荷物を置いて落ち着きたい

し。さ、早く早く!クレルフェス、プロフェイン!!」

「おいおい待てよラスティア!慌てなくたって街は逃げないよ!」

「とか言って、本当はお前が一番急ぎたいんじゃないのか、クレルフェス?」

「あ、やっぱわかるか?ははは、じゃあ急ごうぜ、プロフェイン!」

 

「あれぇ〜、なんなの、ここ?」

 立て札にははっきりと…古びてはいたがはっきりと、

『不可能の無い街、ペルポイにようこそ!!』

と書いてあったにもかかわらず、だ。

 広々とした辺りにあるのは小さなブロック造りの小屋がひとつ。その前には一人の

男性と、彼のペットであろう犬が焚き火にあたっているだけであったのだ。ラスティ

アがすっとんきょうな声をあげたのもムリはない。

「ペルポイ…って書いてあるよなぁ…。どうなってんだぁ、この街は?」

「とにかくそこの人に聞いてみよう。」

 いぶかしげに立て札を睨み付けるクレルフェスをよそに、プロフェインは焚き火の

男にありふれた感じで話しかけてみた。するとその返答は次のようなものであった。

「いやぁ…私がパピィと旅に出ていて、久しぶりにこの街に戻ってきたら街が無く

なっていたんだ!みんな私をおいてどこかに行ってしまった…さみしいようっ!」

 そう言うと彼は肩を落とし、愛犬のパピィと一緒に西のほうへ歩き去っていった。

西には船の入れる川があったな、とマップ担当のプロフェインはひとり納得する。

 これでここに残されたのは小屋と焚き火と、彼ら三人になってしまった。

 クレルフェスとプロフェインが途方にくれていると、小屋を物色していたラスティ

アが大声で二人を呼んだ。

「ねぇ!この小屋、金のカギのドアがあるよ!」

 ラスティアの元に駆け寄ったクレルフェスとプロフェインは頑丈な金のカギのドア

を確かめてから顔を見合わせた。

「金のカギは…あったよな?」

「じゃなきゃお前のロトの盾とロトのカブトはないだろう?とにかく開けてみよ

う。」

 

「な、なんてことだ…」

「街ごと地下に隠すとは…どうりで金のカギのドアなんかで閉ざされてるワケだ…」

「すごいすご〜い!!」

 長い螺旋階段を下った先にあったのは、天井までの高さが20メートルほどのメト

ロポリスであった。

 メトロポリスとはいえ、暗くなどまったくなかった。至る所に輝精灯があり、街の

すみずみまで明かりが行き届いているようである。

 おまけにそんじょそこらの街などよりもはるかに賑々しい。広場では街の歌姫らし

い女の子が美しい歌声を観衆に聞かせているし、街の奥のほうからは福引き所のファ

ンファーレまで聞こえてくる。

「とりあえず宿をとって…それから各自散策だな。」

「それで構わないよ。」

「じゃあ早く行こうよ!この街すっごく楽しそう!!」

 

 それから少し時間が経つ。

 彼らはいつものように、就寝前の最終ミーティング…明日の打合せをやるためにク

レルフェスの部屋に集まっていた。散策して聞き集めた情報は酒場ですでに交換済み

だ。そのうえで情報を最終分析し、明日の行動を決定するのである。

「オレは牢屋のカギを密売しているってウワサを聞いてきたんだが…」

「うん。ボクもなにかうさんくさい道具屋を見付けた。もしかしてそこ、かもな。」

「…」

「じゃあ明日はその道具屋を尋ねてみよう。それからもう一日かけてこの街を歩きま

わってみよう。」

「そう…だね。それじゃあ…ラスティア、どうした?」

 ラスティアはぼうっとしていたところをプロフェインに突然声をかけられ、驚いた

ように肩をふるわせた。

「な、なに?どうしたの?」

「どうしたの?じゃないよ、ボーッとしたりして。はしゃぎ疲れたのか?」

「え、う、うん…まぁそんなトコ…、ゴメンね。」

 クレルフェスの気遣いにもなんとなく不自然な態度をとるラスティア。どこかしぐ

さと口調がよそよそしい。プロフェインだけは彼女を冷静な目で観察していた。

「ま、疲れもたまってるのは事実だろうし、もう寝るとするか!あ、そうだ…」

 ふいに口調を変えたクレルフェスはそこで一区切り付け、

「あの…オレさ、武器を買い替えたいんだけど…いいか?」

 そう早口で切り出し、二人を見た。

「武器…ね。何を買うんだ?」

「ロトの剣よりもいいものがあったの?」

 自分たちの寝室へと席を立ちかけたプロフェインとラスティアは、クレルフェスの

申し出に改めて椅子に座り直した。

「光の剣っていってさ、すごく軽くて切れ味もよくて、おまけに特殊効果もついてる

剣があったんだ!16000ゴ−ルドなんだけど、いいかな?」

「いいじゃない!戦力アップなら歓迎だよ!えへへ、そのぶんラクできるしっ!」

「…ああ、ボクも構わないが。」

 ラスティアは両手を胸の前で合わせて即答した。釈然としない表情をうかべてはい

たが、プロフェインもまた了承した。

「そうか!あ〜よかったぁ!嬉しいよ!!16000なら余裕であるし。二人とも、

ホントにありがとう!」

 そう言ってクレルフェスはニコニコ顔で、二人に何度も頭を下げたのであった。

 

 そして舞台は翌日、武器と防具の店に変わる。

「おやじ!いるかぁっ!?」

「おう、昨日のあんちゃんじゃねえか。また光の剣を眺めにきたのか?ま、光の剣は

高嶺の花、眺めるだけならタダだからいくらでも眺めていけや!がっはっは!!」

 クレルフェスが大声でどなり込むと、店主である髭面のオヤジは負けじとばかりに

大声でどなり返してきた。しかも本人には悪気はないのであろうが、客を見ためで判

断したりしている。

 プロフェインはそのことに少しムッしたようであったが、クレルフェスは気付いて

いないのか余裕の表情で、

「ま、光の剣くらいならカル〜く買えるくらいの金はあるんだがな。今日は別のもの

を買いにきたんだよ!」

 その言葉にプロフェインもラスティアもおやっ?とした顔をした。

「どうしたの?気が変わったの?」

 問いかけるラスティアの声に、クレルフェスは二人の方に向き直ってはにかむよう

に笑いかけた。

「いやあ…あれからオレ、金を勘定してみたんだ。そしたらちょうど21500ゴー

ルドあったんだよな!で、気付いたんだけど…プロフェインのシールド、まだ皮の盾

のままだったんだよな。」

 その言葉にプロフェインもラスティアもハッとなった。二人の表情が変わってい

く。プロフェインは苦笑を、ラスティアは困惑をそれぞれたたえて。

「お前…思い出してくれたのか…」

「礼は言うなよ!金数えるまですっかり忘れてたんだから…というわけでオヤジ!光

の剣なんてケチくさいこといわないで、力の盾をひとつだっ!!」

 そう言ってクレルフェスは店主をびしぃっと指さした。自信に満ちた微笑みからの

ぞく白い歯が、思い知ったか!と語っている。

「ち、力の盾だとぉっ!?おいおいマジかよ?金を見せてみろよ!?」

「ほらよ!ちょうどあるはずだぜ!!」

 クレルフェスは重たげなゴールドのサックをどさっとカウンターに置いた。

 驚きまくっているオヤジの表情にしたり顔のクレルフェスの背後で、ラスティアは

顔に両手をやって、微かに震えていた。プロフェインは横目でそれを見逃さない。

 見事な手つきでゴールドを数えている店主を余裕の表情で眺めながら、クレルフェ

スはカウンターに肘をついてさらに言った。

「ゆうべ何回も数えたんだぜ?セコイことしてないで早く持ってこいってんだ!」

「…なに言ってやがる、1000ゴールド足りないぜ、あんちゃんよ!」

「な…なんだと!?ふざけんな、冗談だろ!?」

「冗談言ってどうなる、自分で数えてみたらどうだ?」

 店主の言葉にクレルフェスは、店主に劣らない物凄い勢いでゴールドを数え始め

た。その姿を見てラスティアは目許を押さえた。プロフェインはさらに気付かぬふり

をする。

「…ほんとだ…」

 数え終わったクレルフェスの声はうめき声のように聞こえた。実際そうであったの

かもしれない。余裕の表情は失せ、無念の色が顔一杯に拡がっている。

 クレルフェスの声に店主はしたり顔で、本人に悪気は決して無いのだが、言った。

「どうする?あきらめてケチくさい光の剣でも買うか?」

「くっ…!!」

 クレルフェスはゴールドの入ったサックをひっつかむと、

「お前らちょっと来い!!」

とどなるなり、半泣きになって店を出て行った。

 

 ペルポイの地上にあがるなり、クレルフェスは凄い剣幕でまくしたてた。

「誰がくすねたんだ!?」

 その言葉にプロフェインは嫌悪の表情を露わにしてくってかかった。

「人聞きの悪いことをいうなよ!どうして犯人がボク達に限定されるんだ!?」

「ちょっと考えればわかることだ!犯人が第三者なら1000ゴールドだけ盗むよう

なことはしないはずだ!オレは熟睡してたんだろうからサックごと持っていけばいい

話だ!さらに言うならオレがくすねた可能性もゼロだ!オレが勝手に使ったからって

いちいちお前らを疑ってみる必要があるか!?具体的な数字はオレしか知らないワケ

だし、黙ってればそれで済む話だ!しかもオレは昨日、光の剣を買うって言ったんだ

!そんなことしたんなら何にも言わずにに光の剣を買ってるさ!数え間違いなんての

もない!10ゴールドほどならまだしも1000ゴールド、しかもゆうべ3回はかぞ

えたんだ!21500なんてあまりにもピッタリ過ぎたからな!まだなんか言うこと

あるかよ!?」

 クレルフェスは相当動転しているらしく、いつになく饒舌であった。武器屋の店主

にナメられたことが引いてもいるらしい。

 その時、クレルフェスの糾弾を前にラスティアは声を出して泣き出した。

「わ、わたし、わたし…」

「…見ちまった、んだろ?」

 ふいにプロフェインが、ラスティアが何か言おうとする前に彼女の頭を抱いて続き

を遮った。

「…どういうことだ、プロフェイン…?」

 クレルフェスは獣のように低くうめいた。

「夕べあれからな、ノドが乾いて寝つけなかったから酒場にいこうってお前の部屋に

忍びこんだんだ。1000ゴールドだけ拝借したのさ。よく寝てたんで安心してたん

だけど、ラスティアにはその現場を見られてたのさ。そうだろ?」

「そ、そうなのか…ラスティア?」

 クレルフェスは震える声で訊いた。ラスティアにさりげなく目配せするプロフェイ

ン。

「…う、うん…」

「そういうことだ。すまない。」

ばきぃっ!!

 頭を下げたプロフェインは勢いよくクレルフェスに殴り倒された。衝撃に涙をうか

べたまま口許をおさえるラスティア。

 上体をおこしたプロフェインは口許から血をのぞかせて、変色してゆく左頬を押さ

えながら睨みあげた。

「気がすんだか…?」

「…もう二度とこんなマネはしないでくれ。金がいるならいるで、ひとこと言ってく

れればそれでいい。」

 クレルフェスも後味の悪そうな顔でそう言った。それから無理に笑顔を作り、プロ

フェインに右手を差し出した。

「痛かったろ?オレ、感情に煽られやすいから力の加減がヘタなんだ…しかしオレ

も、まだまだリーダーとしては未熟だな。みんなの気持ちを把握しきれてない。」

 

 結局その日は三人ともしらけてしまい、旅を続けるでもなくペルポイで一日中自由

行動ということになった。

 その夜遅く、プロフェインはポケットボトルのバーボンを舐めながら推理小説を読

んでいると、ふいに部屋のドアがノックされた。

「どうぞ?」

「プロフェイン…」

 パジャマ姿のラスティアが顔をのぞかせる。プロフェインが手招きして、やっと彼

女はドアを閉めて部屋に入ってきた。

「今朝はごめんね、わたしをかばってくれたせいで殴られたんだもん…」

「なぁに、気にすんなよ。ホントの事はアイツには黙っててやるから。」

「え…」

 ベッドの端に腰かけたラスティアは目を丸くしてプロフェインを見た。ランプの明

かりでシルエットがさしているしなやかな顔は不気味な笑みを浮かべていた。

「ボクは見てたんだぜ、一部始終をな。あの男、何者だ?」

「そうだったの…彼の名前はルーク。覚えてるでしょ、ザハンにいた奥さんを。」

 プロフェインは黙ってうなづく。ラスティアは続けた。

「彼は…モンスターに襲われて記憶を失ってるの。いつも教会の前で寝起きしてて、

記憶が戻るように毎日お祈りしてるんだって…。でも体もボロボロで仕事もできない

からお金もないし…だから、病院にも行けない…」

「それで1000ゴールドほど融通してあげたってのか。優しいんだな、ラスティア

は。わかった。黙っててやるよ。」

 プロフェインはラスティアの前に立ち、優しく微笑みかけて口許で人差し指をたて

てウインクした。

「ありがとう!お礼は必ずするから!」

 ラスティアは言って頭をさげた。優しい仲間とともに冒険ができることを感謝し

た。

 プロフェインはラスティアをそっと立たせる。

「お礼なんていいよ。その代わり口止め料として…」

「え…」

 刹那。

 プロフェインの唇がラスティアの整った唇を塞いだ。数瞬遅れて事態を把握し、慌

ててプロフェインを突き放すラスティア。

「な、なにを…!?」

「へへへ、ファーストキスだったのか?すっごくおいしかったぜ?」

 ラスティアは真っ赤になって口許を押さえ、部屋を出ていこうとする。

「待てよ、話はまだ終わってねぇんだよ!」

 ラスティアの華奢な左腕を乱暴にひっつかみ、ベッドに放り倒す。上質でないベッ

ドが悲鳴をあげた。

 プロフェインはラスティアにのしかかり、両腕を上から押えつけつつ続けた。

「お礼なんていらないよ。ただ口止め料としてお前のヴァージンが欲しいんだ…」

「な、なにを言ってるの!?そんな、イヤよ!絶対イヤ!!」

 ラスティアは毅然とした顔で言い放つ。プロフェインはフンと鼻で笑うと、平手で

音高く彼女の左頬をはたいた。

「きゃあっ!!」

「アイツに殴られるよりは痛くないハズだぜ…?」

 のしかかったままで悪意に満ちた優面を近づける。ラスティアは涙を浮かべてい

た。

「へ、変なことしないで…クレルフェスを呼ぶわよ!」

「聞こえやしないよ。ペルポイの宿だけあって防音は完璧な構造だ。おまけにアイツ

がちょっとやそっとじゃ起きないのはお前が一番よく知ってるだろう?」

 もう一度キスを試みる。ラスティアは足をばたつかせ、身をよじって逃れようとし

た。

「おとなしくしてればひどいことはしないよ。」

「離してっ!ダメッ!やめてっ!!」

 無我夢中でもがくうち、ふいにプロフェインの左手が外れ、右手が自由になった。

それを確認したラスティアはプロフェインの横っ面を勢いよくひっかいた。そのまま

ベッドから離れ、胸元をかばうようにして吐き捨てる。

「偽善者!!サイテーよ!!そんな人だなんて思ってなかった!!」

 爪痕を刻まれた左頬を押さえていたプロフェインであったが、キッとラスティアを

睨つけるなり一瞬で彼女に踏み込み、今度は容赦なく拳をみぞおちにくわせた。

「がぅっ!!」

「このアマ!!」

 パジャマの襟元に右手をかけ、強引に引き下げる。デタラメな力技にボタンが耐え

切れず弾け飛び、カタチは良いが大きくない女性の膨らみが剥き出しにされた。そこ

へプロフェインの左手が襲いかかり、痛々しく鷲づかむ。

「痛いっ!!」

「けっ、ぺったんこのくせに守るほどの価値があるのかよ、えぇ!?」

 再びベッドに寄り倒れると、プロフェインはラスティアのパジャマの上着を完全に

はだけさせ、細い肩から真っ白な二の腕からを露わにさせた。真っ赤になっていやが

る彼女を無視し、ぎゅむっぎゅむっと粘土細工をするように、小さく、弾力の少ない

胸を両手で乱暴に揉みほぐしてゆく。これでは愛撫ではなく暴行そのものだ。

「いたいっ!やめてよぉっ!やめてっ!!」

「うるさいっ!」

 抵抗しようと必死に両手で突き放そうとするラスティアに、もう一度右の拳が放た

れる。拳は無慈悲にもさらさらな左頬を打った。

 拳で殴られた衝撃で抵抗の手を中断させられたラスティアに、プロフェインは顔を

しっかり押さえてキスした。用心のために舌は入れない。恥辱と恐怖に震える彼女の

唇を執拗についばんでは押し当て、何度も角度を変えては吸い、ゆっくりと唾液を流

し込む。

 息継ぎは耳元で聞かせるように深く、熱く…。恥ずかしくてならないのかラスティ

アはブルブルッと身体を震わせた。両目はきつく閉ざされたままだが、顔は相変わら

ず固定されたままだ。

「はあっ…あ、ラスティア…セックスしよう…?」

「や、や…やぁ…」

「もっともっとキスするぜ…?王女様の唇、メチャクチャおいしくって…」

「だめっ…ん、ちゅ…やあ…あ、ん、むっ…ちゅぱ、ひゃあ…」

 ただれた睦言を押しつけながらプロフェインは先ほど殴りつけたラスティアの左頬

に強く吸い付いた。ちゅばっと唇を離すと、そこに色鮮やかなキスマークが残され

る。

 そのキスマークは右頬にも、額にも…いくつもいくつも残され、そしてまた唇を吸

われる。ラスティア自身もキスには憧れていたのだが、まさかプロフェインがファー

ストキスの相手になるとは幼少の頃からも思っていなかった。

 ラスティアの喉が、んく、とうごめく。口一杯に流し込まれたプロフェインの熱い

唾液は溢れさせることも許されず、とうとう嚥下してしまったのだ。軽くアルコール

の…バーボンの味がする。いつだったか飲ませてもらい、強過ぎてむせこんだ記憶が

蘇ってくる。プロフェイン味にブレンドされたバーボンは、キスと同じくらいラス

ティアの心身に影響を及ぼし、興奮で動悸が早まっていくのがわかった。

「ドキドキしてる…キス好き?ラスティア…?」

「違う…ちがうもん…そんなんじゃない…」

 鼓動が聞かれている。ドキドキがバレている。そう考えただけでラスティアはいっ

そう頬が熱くなるのを感じた。

 プロフェインの両手が再びラスティアの両手を押さえつける。抵抗が弱まったのを

確かめながらプロフェインはラスティアの首筋に、鎖骨に、肩にキスを撃ち、新しい

キスマークを残していった。

 そのまま唇は柔らかな左胸を伝い、ちっちゃな乳首をそっとふくんだ。ピクン、と

肩を弾ませるラスティア。プロフェインは唇を押さえつけるようにしながらちゅう

ちゅう吸った。唾液をこぼしては、ずずずっと音を立てて吸い付く。唇で挟み、舌の

腹で先端を刺激するとラスティアは激しくかぶりを振って反応した。

「おっぱい気持ちいいんだろ、ラスティア?」

「そ、そんなワケ、ないっ…!離して、もうやめてっ!」

 左胸の乳首はすっかりしこっていた。健気なくらいつんつんに固まり、威嚇してい

るようにも見える。プロフェインは右胸も同様に責め立てた。容易く破けそうなほど

にぷにゃぷにゃな膨らみに手のひらをそえ、撫でさするようにふよふよと揉む。

 解き放たれた両手でラスティアは抵抗を再開するが、プロフェインのもくろみ通り

初めほどの力はなかった。ラスティアはキスと胸への愛撫によってすっかり脱力して

しまったらしい。想像もしたことない淫らな行為に神経すらも麻痺しかけていた。

「うはあ…ぷにゃぷにゃ…指が、吸い付くみたい…」

「くすぐったい…!恥ずかしいよぉ、ぷ、ぷろふぇいん…!」

 ラスティアが両手でプロフェインを押しのけようとしながらも、甘えたような声を

出す頃には彼女の両胸はすっかり揉みほぐされて桜色になっていた。

 プロフェインはラスティアの背中に手を回し、抱き寄せるようにして胸の谷間にキ

スした。顔を膨らみの間に沈ませ、きゅう…っと吸い付く。ラスティアは声をあげま

いと人差し指を噛み、認めたくない快感に耐えていた。それでも身体はのけぞり、無

意識に腰が浮いてゆく。まるで求めているかのように。

「ラスティア、おしり…触ってもいいよね?」

「だ、だめ…も、もう…」

 プロフェインはラスティアの背中から右手を滑らせ、彼女のパジャマのズボンに手

をかけた。親指はしっかり下着にまでかかり、一息にハダカにしてしまうつもりらし

い。

「脱がすぜ…?」

「だ、だめっ!」

 拒む声も無視し、ズッと右腕を伸ばすとズボンと下着はずり下げられ、ラスティア

の真っ白で滑らかなお尻がシーツの上に現れた。プロフェインは身体を寄せながらラ

スティアをベッドの端に追いやり、ベッドから落としざま、ズルリ、と彼女の下半身

を露出させた。ゴトン、と頭から床に落とされたラスティアであったが、まだ抵抗の

意志は残っており、足下にズボンと下着をからめたままドアまで這って逃れようとす

る。

「逃がすかっ!」

「がぁうっ!!」

どかっ!

 ベッドから駆け下りたプロフェインが少し身体をひねるようにすると、ラスティア

の右脇腹にローキックが見事に決まり、無情にも壁へと蹴り転がされた。プロフェイ

ンはうなだれた彼女の右腕を強くつかみ、ベッドまで引っ張って連れ帰った。

 プロフェインはベッドの枕を背にして足を投げ出して座り、彼の前に、彼と同じ体

勢でラスティアを座らせた。背後から手をまわし、小さな胸のマッサージの続きを始

める。

「ボクはね、胸の大きな女は趣味じゃないんだ。ほら、お前が人間の姿に戻ったとき

を覚えてるだろ?ハダカのまんまなので真っ赤になったお前に、クレルフェスは風の

マントをかぶせてくれたよな?ボクはあのときから、いつかお前を犯してやるって企

んでたのさ。まったく、いいタイミングで事を起こしてくれたよな、感謝するぜ!」

「もう…もうやめてってばぁ!!」

 邪な笑声にラスティアは耳を塞いで激しくかぶりをふり、肘を何発かプロフェイン

にくわせた。身体を揺さぶるように何度も肘を打ち付ける。

「しつっこい女もキライなんだが…」

 そう言うとプロフェインはうざったそうな顔でポケットボトルのバーボンを口に含

み、強引にラスティアの頭を抱え込んで口移しした。ラスティアは目を見開き、刺激

の強すぎる液体の侵入を拒まんと涙を流してもがく。

「げほっ!が、あぷ、えほえほっ!!やっ、んむ…!!」

 いくらかあふれこぼれたものの、首元をつかまれたので意志とはうらはらにかなり

の量を飲み込んでしまった。喉元を押さえて激しく咳き込む。

「えほ、えほっ!!ひ、ひどい…」

「ほら、おとなしくしてろってば!」

「ひっ、つ、冷たぁい!」

 先ほどの体勢を立て直し、プロフェインはフッとラスティアの胸元に息をふきかけ

た。強いアルコールが揮発して熱を奪い、ラスティアの両腕にサッと鳥肌がたつ。

 プロフェインはさらに鳥肌をたてさせるつもりかラスティアの真っ赤な耳たぶを唇

でくわえ、熱い吐息を何度も耳孔に吹き込んだ。その度に身もだえするように震える

ラスティア。そのタイミングを見計らってプロフェインは右手を彼女の太ももの間に

滑りこませた。

「ひぃあうっ!!」

 ラスティアは初めて鳴いた。否定したくてならない快感が押し寄せてくるのを我慢

しきれず、喜びの声を上げてしまったのだ。

 快感が波紋のように…しかし鋭く拡がる太ももの奥はねっとりと潤んでいた。ラス

ティアの漏らした粘液はおしりの穴をつたい、シーツにまでこぼれてジットリと染み

をつくっている。濃いピンクに充血した肉の裂け目に中指を割り込ませながら、プロ

フェインは意地悪く訊いた。

「…ここ、気持ちいいんだろ?お前レイプされそうなのに結構その気なんじゃないの

か?おい、なんとか言ってみろよ?」

「ち、ちがうもん!勝手、かってにこうなっちゃったんだもん!ぷ、プロフェインな

んか大嫌いなんだからっ!」

「嫌いなのか…ふうん。」

「や、あああっ!だめ、動かさないで、触っちゃだめえっ!!」

「かわいい声…。嫌いなヤツにそんな声聞かせていいの?王女様?」

「お願い…もうしないで…わたし…こんなの…」

 嫌悪の表情で嫌悪の声をあげながらも…プロフェインの中指が潤った柔肉を擦るた

び、固くなっているルビー色の小さなオーブを弾くたび、逆らえない衝動でラスティ

アは狂おしく女の子の鳴き声をあげた。思春期の男の子ならこの声だけで淫らな行為

にふけってしまいかねないほどの艶っぽさに満ちている。

「ぜんぶ出しちゃおっか…?」

「ひきっ…だめ、剥いちゃだめ…」

 プロフェインの右手がラスティアの控えめな性毛をくすぐりながら動く。すっかり

ぬめった中指と人差し指でクリトリスを挟むと、押し摘むようにして薄皮を下げた。

痛々しいくらいに充血したクリトリスはついに本体をさらけ出してしまう。ぬめりな

がらとはいえその直接の刺激は相当強いようで、ラスティアはきゅっと唇を噛み締め

て苦痛に耐えた。

「戻して…痛いの…!」

「…皮の上からならいいってこと?」

「ちが…も、もうやめてっ…やだ、もう…!」

「逃がすもんか…ん、いい匂い…。背中もすべすべ…」

 必死に身をよじるラスティアだが、背後からしっかり抱え込まれているためにどう

にもできない。アルコールと快感が気力を削いでいることもある。

 ハダカのラスティアは普段よりもずっと小さく見える。プロフェインが抱え込むと

いっそう小さく見えてしまう。プロフェインは包み込むようにしながら彼女の首筋、

肩から背中にかけて頬ずりし、彼女特有の匂いに浸った。プロフェイン自身まで目的

を忘れ、濡れてしまうような甘やかな匂い…。

 しかしきめ細かな肌から香るフェロモンはプロフェインの加虐心をさらにかきたて

た。ラスティアが嫌がるのも構わず裂け目を押し開くように中指を割り込ませ、のこ

ぎりをひくように指の腹全体で敏感な突起をこすり始めた。剥き出しのクリトリスが

ヒリヒリからズキズキと悲鳴を上げる。

「ひいいっ!!だ、だめ、だめ、だめぇっ!!たすけてぇっクレルフェスぅっ!!」

「起きてくるわけないだろ、あの素直で純粋な所だけがとりえのバカがよ。」

 そう低く囁くと、プロフェインは胸の攻略を担当していた左手の動きを手のひらで

押しこねるように変えた。厚みのない膨らみを通して肋骨の感触が伝わってくる。

「ボクの理想なんだよな、お前は…。胸は小さく、でもおしりはぴちぃっと大きい。

まるで胸の栄養がほとんどおしりに持っていかれてるような女の子…。」

「そ、そんな変なこと言わないでぇ…!」

「変だなんて…ボクは誉めてるつもりだよ?」

 プロフェインは目を閉じてラスティアの長い髪の匂いをかいだ。洗い立ての髪から

は彼女ご愛用のシャンプーの匂いがする。夏の太陽をイメ−ジさせるような香りだ。

 その間にもラスティアの裂け目からはびちゅびちゅ濡れる音が止まない。潤いは枯

れることなく、熱も失われることなく…もがくことを続けながらもラスティアは快感

の渦にどんどん飲み込まれていくようであった。満足そうに口元を緩めたプロフェイ

ンは中指ののこぎり作業をやめ、伸ばした指をくっと曲げた。中指の先端がラスティ

アの入り口に押し当てられる。すがりつくようにヒクつく入り口は紛れもなく挿入を

求めていた。

「ラスティア…ここ…指、吸いついてくるぜ?お前、レイプされそうなのにホントは

求めてんじゃないのか?」

「ちが、ぁあ、ちがう…んっ、ち、がうもん…!」

「けっ、じゃあこのぬるぬるはどう説明するつもりだ?ヤケドしそうなくらいに熱く

なってきてるココから漏れ出てくる汁はよ!?わかるように説明してくれよ?」

「そ、それは…」

 口ごもるラスティア。気持ちでは徹底的に拒んでいるのに…物理的刺激が身体を狂

わせることが恥ずかしくてならない。自分はここまで淫らな女だったのだろうか。

 プロフェインも答えを期待していなかったようで、ベッドから下りると自分のパ

ジャマを脱ぎ始めた。

 しばし愛撫の手から開放されたラスティアは背後の枕に身をあずけ、弾んでいる息

を落ち着かせようと聞かれないように深呼吸した。プロフェインはこちらを見つめた

まま作業している。逃げだそうと動けばまた乱暴されるだろう。

「おい、休んでないでこっち向け!」

「ひっ!?」

 腕をつかまれて身体ごと向き直らされたラスティアの眼前には…ランプの明かりで

テカテカにぬめり光っている大きく怒張した男性器があった。性毛の中から突き出て

いる異形のソレはラスティアを怯えさせるに十分であった。

「こんな間近に見たことは一度もないだろ?ほら、たっぷり味わってみな。」

「んんーっ!」

 プロフェインは張りつめたペニスをラスティアの口中に侵入させようとぐいぐい唇

に押し当てるが、彼女は頑として口を開けようとはしない。涙を流して嫌がる。異性

の性器に口づけしているという事実に羞恥で気が狂いそうであった。なのにこの上頬

張れというのか…?

「言うことをきけよっ!!」

ばしっ、ばしっ!

 ラスティアの頬を音高く往復ビンタが襲う。これで都合何度ぶたれたのだろう?彼

女の頬は恥じらい意外の原因も加わり、すっかり真っ赤になっていた。

「うう…」

「ほら、さっさと口開けろ!」

「あがっ!んーっ!んんーっっ!!」

 脱力したところで頬を両側から押さえられるようにしてあごを下げられ、拒むのを

無理矢理口中に押し込まれる。小さな口中は男性器が占拠してしまった。

「んぁう、あぁうっ!!」

「苦しかったら鼻で息をするんだ。動くぞ。歯は絶対にたてるなよ!舌をなめらかに

持ち上げてみな。そうそう、そうやって包むように…ん、いいぜ…。」

 プロフェインは涙と汗と唾液でべとべとのラスティアの顔を枕に押えつけ、ゆっく

りと腰をグラインドさせていった。ペニスが押し込まれ、引き出されるたびにラス

ティアの小振りな唇もそれに合わせて動く。

 ラスティアは苦痛と羞恥と恐怖に締め付けられながら…それでも暴力に怯え、命じ

られるままに舌をくねらせた。太くて長いペニスが喉の奥を突くたびラスティアの胃

は激しくケイレンする。

「へへへ、ラスティアぁ、なかなか…う、うまいぜ…?ボクの妹も、フェラはうまい

んだけど、それに負けないくらい気持ちいい…。」

「…!!」

「へへへ、驚いたろ。お前も知ってるよな、ボクより五つ下のセルファビューズを。

あいつももうずっと前からヴァージンじゃないんだぜ?」

「んあ…ああ…!!」

 この男は何を言っているのだろう。それはあの小柄で可愛らしいサマルトリア王女

を…彼自身の妹を陵辱したということなのか!?

 もういやだ。もうこんな精神異常者と一秒でも一緒にいたくない。こんな最低な男

が本当に勇者ロトの末裔なのだろうか。ラスティアは渾身の力を振り絞り、両手で目

の前の色気違いの腰をつっぱねた。汚らわしくてならない。

「そんなコトしてもムダだよ、あんまり気持ち良すぎたんでね…ちょっと早いけど、

目いっぱい奥に出してやる…!」

「ん、んーっっ!!んんー…っ!!」

 プロフェインの邪悪な言葉にラスティアは汗と涙を散らして嫌がった。ブルブルッ

と首を振ったのが拍車をかけたのか、次の瞬間プロフェインはラスティアの頭をしっ

かり押さえ、うわずったうめき声とともに強くのけぞった。

びゅうっ!!びゅっ!びゅっ!どく、どく…

「…っ!!」

 口一杯に最後の膨張を見せると、プロフェインのペニスはラスティアの喉の入口付

近に熱々の精液を勢いよく噴出した。びゅっ、びゅっと何度も何度も喉の奥を灼き、

経験したこともない異様な苦みが口中をヌルヌルと満たしてゆく…。ラスティアはぽ

ろぽろ涙をこぼし、口中を犯された事実を噛み締めていた。

 射精の余韻に浸りながら腰を引き、強張ったままのペニスを引き抜いた途端、ラス

ティアはむせ返りながら精液を吐き出そうと努力した。唇の端から黄ばみかけた精液

が伝う。そんなラスティアのあごをプロフェインは再び強くつかんだ。ぐい、と上に

持ち上げ、睨み付けて命じる。

「吐き出すな。残りは全部飲むんだ。」

「い、いや…!」

「飲みこめっ!まだわかんないのか…?」

「ひ、きぃ…!!」

 白い、整ったあごに爪が食い込む。

「飲むんだ。」

「…ん…」

んく…んく、んく…

 最悪の味が舌を通り…胃に流れてゆく。舌の裏から歯茎までヌルヌルなままだが、

命じられるままそれらもさらえて嚥下した。精液の味が…舌に染み込んでゆく。

 それを見届けたプロフェインがようやくラスティアを解放すると、彼女は腰を起こ

し、幾度かの深呼吸の後に落ち着きを取り戻してまっすぐにプロフェインを睨つけ

た。

「気違い!あなたは人間なんかじゃないわ!偽善者を装っているデビルロードよ!

ムーンブルクを襲撃したときにすりかわったのね!!正体を…」

「よくしゃべるなぁ…」

どぐっ!

「うぐっ!」

 ラスティアはみぞおちに何の躊躇いもない膝蹴りをくらい、呼吸困難に陥ってあえ

いだ。再び飲み込んだ精液が口中にまで戻ってくる。

「ほら、しっかり吸いだして。でなきゃ本番したときこどもができちゃうぞ?」

「やあ…」

「ほら…」

 プロフェインは普段のような優しい顔を見せ、あれだけ大量に放っておきながら少

しも小さくならないペニスをくわえ直させた。涙も親指で拭いてやる。

 言われるままにちゅ、ちゅうっと吸い出すラスティア。きつく目を閉じたまま、無

心で吸い続ける。そうしていないと正気を保てないからだ。あの優しい旅の仲間だっ

たプロフェインのペニスを吸っているなんて…吸わされているなんて。

「ラスティア。吸い終わったら今度は舌でペロペロ舐めるんだ。ボクの顔を見ながら

するんだぞ。わかってるよね?」」

「いや…恥ずかしい…お願いだからもう…」

「休むなよな、おい?」

「い、いたいっ!」

 プロフェインは無慈悲につぶやくとラスティアの左の胸をぎゅうっと握った。爪が

くいこむほど強く握られ、ラスティアは顔をしかめる。

「ほら。キスしてからぺろぺろ舐めてみて。」

「…っ!」

ちゅ…ぺろっ…ぺろ…

 先端に唇を押し当てた後、ラスティアは舌を伸ばして先端から裏からを丁寧に舐め

上げた。くびれた部分には舌をからめ、乱暴を恐れて一生懸命尽くした。その間上目

遣いでプロフェインの顔を見上げたままだ。恥ずかしくて涙が止まらない。せめても

の救いはプロフェインが浮かべているいつもの笑顔と、そっと頭を撫でてくれる右手

だけであった。

「いいぜ、ラスティア。さて、それじゃあ…しようか?」

 プロフェインは意味深な笑みとともにそう言い、ベッドから下りてサイドテーブル

のポケットボトルをあおった。ラスティアに背を向けて汗まで拭いたりしている。

 朦朧とする意識の中で、ラスティアは最後のチャンスが訪れたと確信した。幸いド

アのカギは閉まっていない。今なら駆け出せば逃げられる。廊下にさえ出ることがで

きれば助けも呼べるだろう。ここで失敗したらすべておしまいだ。

 ラスティアはちら、とプロフェインの様子を伺い、気がそれていることを確認する

と、運を天に任せてベッドから駆け出した。

「ふん…」

 しかしプロフェインは鼻で溜息をつくと、すっと身体をひねって右足による回し蹴

りを繰り出した。ラスティアの進行方向に突然足が現れた状況になり、次の瞬間、彼

女はものの見事にベッドに卒倒した。

「やると思ったぜ…なんでする前にバーボンなんか飲むのか、不自然とは思わなかっ

たのか?よく今まで冒険者なんてやってこれたな、甘えんぼの王女様?」

 振り向いたプロフェインの視線にはありありと悪意が含まれていた。凍り付くよう

な表情。慈悲のかけらもない冷たい目…。ラスティアは怯えきった表情であごを震わ

せ、プロフェインを見上げた。無意識に胸元をかばう。

「ご…ごめんなさい…お願いっ、ら、乱暴しないで…!」

「床で犯してやるよ…王女様。」

「きゃあああっ!!だれか、だれかあっ!!」

 助けを叫び、両手両足をバタつかせて最後の抵抗を試みるラスティアであったが、

すっと片手を捕まれると勢いよく床の上に引き落とされた。のしかかられ、ハダカの

身体どうしが擦れ合い、汗の粒が混ざり合うと…プロフェインはラスティアの唇を同

じ唇で塞いだ。なおも抵抗するラスティアの横っ面を拳で二、三度殴り、抵抗を鎮め

てから彼女の脚を大きく開いた。

「だめえっ!だめえええっ!!」

「うるさいなっ!」

 右脚の上に座り、左足を肩に担ぐようにする。腰を滑らせ、あからさまに開かれた

ラスティアの中心に逸り水を滲ませたペニスをあてがう。そっと左足を抱き寄せ、腰

を突き入れようと力を加える。

「は、入るわけないよっ!だめっ!しないでっ!!だれか、だれかたすけてぇっ!

!」

「誰も来るもんか…!」

「しないでっ!いやあああっっ!!」

 悲痛な叫びが室内に満ちたとき、押し広げられた入り口が、ぷつ、とイヤな音をた

てた。ラスティアの潤みきった入り口から中へと…プロフェインのつやめく先端がヌ

ル、ブプ…と埋没してゆく。

「いっ…き、ひいいい…っっ!!」

「もっともっと入れるぜ…?」

 そうつぶやくとプロフェインはさらに奥へと埋め込むため、腰を強く突き出した。

ズルルッと根本近くまで入り込む。ちぎれそうなくらい拡げられたラスティアの膣口

からは破瓜の血が微かに滲んでいた。ラスティアは床の上で奪われたのだ。

「ここで…終点、かな?すっげえ狭い…!」

「痛い…痛いよぉ…抜いて…お願い…」

 ラスティアは今まで経験したいかなる痛みよりも鋭い痛みに涙を流し、木製の床を

ひっかいてうめいた。口をハクハクさせながらやっとの思いで懇願する。

「もう遅いって。抜いてもしばらく痛いものらしいからね。それにしても…やっぱり

胸の栄養は下半身にきてんだな…おしりは大きくてつやつやだし、お、おまんこなん

かジクンジクン感じてるのわかるように締め付けてくる!熱くて、ヌルンヌルンなん

だけど…引き抜けないくらい狭い…!さぁて、動くぞ…?」

「やめてえっ!ず、ズタズタになっちゃうっ!!」

 プロフェインはしっかとラスティアの左脚を抱き締め、ピストン運動を開始した。

押し込むのは容易だが、引き抜こうとすればすがってきて、おまけにペニスのくびれ

がひっかかって思うようにならない。ぬるる、じゅぱ、ぬるる、じゅぱ、と引き抜い

ては押し込むたびに腰どうしがぶつかりあって間抜けな音をたてる、の繰り返しでど

んどんラスティアの内側をえぐってゆく。

 プロフェインは恍惚の表情で無意識に腰を動かしていたが、ラスティアのほうはき

つく目を閉じ、床をばしばし叩き付け、ひっかいて苦痛の嗚咽を重ねた。

「熱いよ…ラスティアのおまんこ熱いよ…煮えてるみたいに熱い…。ああ…頭おかし

くなりそう…メチャクチャ気持ちいい…!!」

「…待って、だめ…やめて、抜いてよぉ…死んじゃう…」

「いやだね…ほら、おしりの穴にも指、入れてやるよ。」

「うそ、だめっ!そんなところ…だめ、絶対だめえっっ!!」

 ラスティアはプロフェインの言葉に慌てて左手をバタつかせたが、虚しく空をかく

ばかりであった。プロフェインは言葉通り、右手の人差し指に床まで溢れているラス

ティアのラブジュースを塗りつけ、ヌルヌルにしてから小さくすぼんだ穴にまっすぐ

挿入した。その瞬間ラスティアはひきつるようにのけぞる。

「ひきいいいっっ!!」

「締め付けるっ…。おしりの中すっごい熱で…うわ、ボクの、薄い皮ごしに動いてる

のがわかるよ!はははっ、えぐってるえぐってる!」

「やめて、抜いて、もうやだぁ…お父さん…おかあさん…」

「ね、ラスティア…」

 亡き両親に救いを求めたとき、ふいにプロフェインは動きをやめ、そう呼びかけて

きた。涙目でそちらを見ると、プロフェインはあの優しい笑みを浮かべていた。旅の

途中で何度も励ましてくれたときの…寂しいときには慰めてくれたときのあの笑顔

を。

「プロフェイン…」

「好きだよ。ラスティア。大好きなんだ。」

「え…?」

 一瞬胸がきゅん、と痛んだ。レイプされている最中とはいえ、ラスティアの気持ち

を動かすには十分な言葉であった。身内を失い、呪縛を解き放ってくれてから実の兄

のように慕っていたクレルフェスとプロフェイン。そのプロフェインが…まさかこん

なカタチで告白…?

 頬が熱くなり…意識が真っ白になろうとする。ラスティアは動揺を隠しきれず、た

どたどしい口調で聞いた。

「プロフェイン…ホント?わたしのコト、好きって…?」

「…ウソに決まってるだろう!?どこまでバカなんだよ、お前は!?」

「や、やあああっっ!!」

 刹那で笑顔が翻り、凶悪なカミソリのような表情に変わった。ラスティアの純真な

乙女心を踏みにじったプロフェインはとどめとばかりにデタラメなスピード、スト

ロークでピストン運動を再開した。狭い内側からラブジュースをかき出し、ぱんぱん

の先端が何度も何度も子宮口を突く。その度にラスティアは激痛の奥から拡がってく

る途方もない快感に身を震わせた。

 こんな最低人間に犯されて感じはじめているなんて…。

 そんなラスティアに追い打ちをかけるように、プロフェインは荒い呼吸の中に言葉

を混ぜて聞かせた。

「そろそろ出すぜ…?ラスティアに中出し…ううっ、想像しただけでイッちまいそう

だ!目一杯奥に流しこむからな…?」

「そ、そんな…!わたし達、旅の途中なんだよ!?あ、あかちゃんできたらどうする

の!?だめだよ、それだけは絶対だめ!!中に出しちゃだめ!!」

「知るかよ、一回くらいじゃ妊娠しないって。」

「む、無責任なコト言わないで!!だめ、やめて!!外に、お願い、外に出して!!

今日は絶対だめ、絶対あかちゃんできちゃうよぉっ!!」

 悲痛な叫びも無視し、プロフェインはねばつく音をたてながら腰をグラインドさせ

た。ストロークは短く、子宮口だけを狙う。濡れた袋がぺたぺたと太ももの付け根で

揺れている。人差し指はおしりの穴に挿入したままだ。

「だんだん気持ちよくなってきたろ?ラスティア、声出てるよ?ボクも、もう気持ち

良すぎて…イクよ、思いっきり…」

「あ、き、気持ちよくなんて…な、あひっ、な、ないもん!早く抜いて!そと、そと

にぃ…ああ、か、いひぃっ!あ、か、神様…!」

 神に慈悲を…そして許しを乞うた瞬間であった。プロフェインははちきれんばかり

のペニスの先端を子宮口に押しつけ…

びゅううっ!!びゅるるっ!びゅくっ、びゅ、どぷ…

「あ…ああ…っ!!」

 ラスティアには射精の脈動がわかった。一番奥まで入れられた状態でプロフェイン

が強く爆ぜた瞬間がわかった。目を見開き、絶望にわななく。

「…うわ…すごい出てる…まだ止まんないっ…」

 ラスティアの左脚にすがりついたままのプロフェインはうなだれてグッタリしたよ

うにそうつぶやいた。根本まで入っているペニスはいまだ脈動を続けている。まぎれ

もない膣内射精であった。

 余韻に包まれながらヌルル…と引き抜いた後もプロフェインのペニスは萎えること

を知らず、ぺち、と彼のへそを打ち付けた。二度も射精しておきながらなおも先端か

らは白濁の液が滲み出ていた。

 身体を解放されてぐったりと横になったラスティアはレイプされた余韻に震えてい

た。プロフェインサイズに拡げられた入り口から二人の混ざり合った体液がジワリと

溢れてきて太ももを伝う。

『わたし…犯されちゃったんだ…プロフェインに…』

 きゅっと目を閉じたとき、最後の涙がぽろぽろと頬を伝い、床に落ちた。

 

「おはよーうラスティア!!今日もいい天気だぞ!!ってここは地下だっけ?ははは

!!とにかくメシだから早く着替えてきなよ!」

 元気のいいクレルフェスの声が聞こえる。

「はっ!?」

 目を覚ますとラスティアは自分の部屋で、パジャマを着て眠っていた。

 なんとなく背中が痛い。寝相が悪かったのか、毛布もシーツもくしゃくしゃであ

る。

『…夢?』

 忌々しい光景がまざまざと蘇る。プロフェインに唇を奪われ…乱暴され…そして犯

されたあげく中出しされて…。

 しかし現実だったとしたらどうやって自分の部屋に…パジャマだって荒らされた形

跡はないし…。本当に夢だったのだろうか。

 着替えようと立ち上がる。すると両足の付け根…女の子の秘密の場所が激しく痛ん

だ。歩き方がヒョコヒョコと不自然なものになる。

『いたぁい…なんでだろ?でもほんとに夢だったのかしら…夢にしてはいやにリアル

で…でもどこから夢なんだろう…?』

 どうにか身支度を済ませ、食堂に行ったときにはもうすでにクレルフェスとプロ

フェインはテーブルについていて、いつもらしく談笑していた。談笑とはいえクレル

フェスがボケ、プロフェインがツッコミのドツキマンザイにも見える。

 ラスティアが二人のテーブルに歩み寄るとプロフェインが彼女に気付き、片手を上

げて何気ない笑顔を送ってくれた。

「や、おはよう。ラスティア。」

「お、おはよう、プロフェイン…」

 なんとなく顔を直視できない。頬を赤らめてそっぽを向きながらオウム返しに挨拶

して席につく。

「おはよ、ラスティア!さて、三人揃ったところでメシにしようぜ!みんなモーニン

グセットでいいよな。オーダーしてくる!あ〜、ハラ減った!」

 クレルフェスが厨房の方に走っていくのを見送り、プロフェインは口を開いた。

「ラスティア、昨日はよく眠れた?」

「う…うん。でも…なんだかイヤな夢をみちゃったの。」

「イヤな夢…ね。今晩は気持ちのいい夢が見れるといいね。ゆうべのボクみたい

に。」

「え…?」

 ラスティアは思わずプロフェインを見つめてしまった。

「夕べは大変だったよ。新しいパジャマとか、ね…?」

「新しいって…うそ…」

「ははは!大丈夫だよ、今夜からはぐっすり眠れるようになると思うよ?」

 そう言ったプロフェインの笑顔はいつも通り優しいものであった。しかし右頬には

くっきりとひっかき傷ができており、彼の美しい笑顔を損ねていた。

 たちの悪い夢だったのだ、とムリに自分に言い聞かせる。

 しかし、ゆうべの悪夢はあくまできっかけにすぎなかったのである。

 

 あの夜以来。

 ラスティアは毎晩のようにプロフェインの慰みものにされていた。

 ラスティアの部屋で、プロフェインの部屋で。

 湯あみをしている最中にも、挙句の果てには野宿をしているとき、そばにクレル

フェスが寝ているにもかかわらず犯された事もあった。

 人気のない教会で祈りを捧げているときに求められ、神の御前で精液を顔中に浴び

せられたこともある。

 世界樹に両手をつかされ、立ったまま後ろからされたこともある。

 もちろん求められるたびにラスティアは必死で抵抗したが、そのたびにプロフェイ

ンは容赦なく手をあげる。彼女は実質的に休息をとる時間を奪われてしまっていた。

 そんなこととはつゆ知らず、リーダーのクレルフェスは順調に旅の計画をたて、そ

の通りにパーティーはハーゴンのもとへと近づいて行った。

 あれから一行はラゴスから水門のカギをとり、テパの村を訪れ、満月の塔で月のか

けらを入手し、海底神殿で邪神の像を手にいれ、紋章を全て集め、精霊ルビスからル

ビスの守りを賜わった。

 そしてついに、ロンダルキアの大迷宮を攻略しようというところまできていた。

 その間ラスティアが犯されなかった日はほとんど無かった…。

 

「腐った死体は地下一階にしか現れねぇようだが…問題はバーサーカーとドラゴン共

だ。このあいだドラゴンに蹴られた跡がまだ痛むんだぜ?」

「確かにドラゴンは驚異だね。ボクのザラキも確実ってわけじゃないし。ハーゴンの

騎士達も怖いよ。仲間を呼んでは二回攻撃。呪文は効きにくいうえに、アイツらたい

ていフレイムを引き連れている。こいつらもまたやっかいだ。」

「わたしはとにかくメイジバピラスとダークアイね。わたしの場合、MPを吸い取ら

れちゃうともうお手上げだもん。」

 その夜のミーティングはかなり遅くまで続いていた。

 これまでにつごう三回、彼らは大迷宮に足を踏みいれているのだが、そのいずれの

場合でも必ず誰かが戦闘不能状態…すなわち死亡することとなり、リレミトで脱出す

る結果となっているのだ。

 それだけロンダルキアのモンスターは今までに無いくらいに攻撃力、HPが高く、

陰湿な特殊攻撃をそろえているのである。

 しかしその事実は裏返せば相当な経験を積むことにもつながり、結果として彼らは

高レベルの冒険者に成長していた。

 さらに言うなら装備もかなりのものを揃えていた。その内訳は、

クレルフェス、稲妻の剣、ロトの鎧、盾、カブト。

プロフェイン、鉄の槍、ミンクのコート、力の盾。

ラスティア、いかづちの杖、水の羽衣、不思議な帽子。

 ちなみに稲妻の剣とロトの鎧、不思議な帽子はこの大迷宮内で入手したものだ。

「とにかく、装備もレベルももう現時点ではバッチリだと思うんだ。明日の九時にこ

こを出発し、大迷宮に再挑戦する。だから、特にラスティア!」

 クレルフェスは真剣そのものの口調で語り、ラスティアを名指しして言葉を区切っ

た。突然名前を呼ばれ、いつもの悪い習慣で必要以上にビックリするラスティア。

「は、はい!?」

「前々から思ってたんだけど…お前夜更かしでもしてんのか?いつも元気なさそうだ

し、ときどきうつむいてタメイキなんかついたり。以前はそんなんじゃなかったぜ?

ま、冒険も大詰めを迎えていることだし、くたびれてるのもわかるけど、明日はしゃ

きっとできるようにしっかり寝ておけよ!」

「うん…」

 なんとなく力のない返事を返してしまうラスティア。そんな彼女を見てクレルフェ

スは腕組みしてタメイキをつき、プロフェインに小声で聞いた。

「プロフェイン、お前なんか原因知らねぇか?オレが聞いても、なんにもない、の一

点張りなんだよ。」

「さぁてね?乙女心は複雑だからね。」

 プロフェインはいつものように優しい微笑みを浮かべて肩をすくめてみせた。

 

 プロフェインはベッドに入り、なんとなく天井を見上げていた。

 明日に備えて今晩は早く眠りたい。

 眠ろうと思うのだが身体がまだ睡眠を欲していない。今日も苛酷な戦闘をこなして

きたのだ。身体は言うまでも無く疲れきっている。

 しかし彼は心のかたすみで、今夜もラスティアを犯したいという欲望が働いている

事実を感じていた。彼女を犯さなければ眠りを手に入れられないようになっている。

「夢魔にでも憑かれているのではないか…」

 そう苦笑して、寝返りをうったときであった。

コンコン。

「どうぞ?」

 ドアがノックされ、プロフェインはいぶかしがりながらも声をかけた。こんな夜中

に水の都ベラヌールで尋ねてくるような知人はいない。

「プロフェイン、ちょっと…ちょっとだけ、いい?」

 深夜の来客は意外にもラスティアであった。プロフェインは意外そうな顔をした

が、すぐにベッドから抜け出て手招きした。

 後ろ手にドアを閉め、おそるおそる近寄ってきたラスティアの顔はまだなにもして

いないというのに真っ赤であった。

「どうした?とうとう自分から欲しくなったの?」

 プロフェインはベッドの端に腰掛け、気軽な口調で訊いた。彼女にも座るよう勧め

る。

 しかしラスティアは腰掛けようとせず、プロフェインの正面に立つと、怯えた口調

で途切れ途切れにつぶやいた。

「プロフェイン、あ、あのね…わたし…あかちゃん…できたみたいなの…」

「…」

 プロフェインはラスティアを見上げたまま無言で話をうながす。

「生理がね…いつまでたっても来ないの。ね、どうしよう、一緒に考えてよ!これか

ら冒険も熾烈になっていくってときにわたしがみんなの足手まといになったらイヤだ

から…」

 ラスティアは下腹部に手をあて、今にも泣き出しそうな頼りなさで語った。が、プ

ロフェインは他人事のようにそっけなく、そっぽを向いた。

「うざったいな。ほっとけばいいじゃないか。」

「そ、そんな言い方ないでしょ!認めたくないけど、わたしのおなかの中のあかちゃ

んはあなたのあかちゃんでもあるのよ!そんなの、あなたが一番よくわかってるハズ

じゃない!わ、わたし、中はだめってされるたびに言ったのに…あなたが…あなた

が…」

 そこでラスティアは言葉を紡ぎ出せなくなり、とうとうすすり泣きを始めてしまっ

た。

 プロフェインは小さく溜め息をつくと、ベッドから立ち上がってラスティアの震え

る肩を抱いた。ただでさえも小さい肩が、泣いているといっそう小さく感じる。

「わかったよラスティア。ボクにいいアイデアがあるんだ。」

「…ど、どんなの?」

 ラスティアが潤んだ瞳をプロフェインに向ける。と同時にプロフェインの両手がラ

スティアのパジャマの前をはだけていた。ボタンも何も引きちぎってしまう。

「きゃあああっ!!な、なにを…」

 ラスティアが前をかばういとまもなく、プロフェインはラスティアをそのままベッ

ドに押し倒し、のしかかって彼女の下腹部を撫でながら悪魔の微笑でささやいた。

「なぁに、ボクの精液でその子をおぼれさせちまえばいいんだ!ラスティアは全然苦

しくないし、それどころか、いつものような快感を一晩で何回も味わえるんだぜ!

?」

 冗談としか思えないようなことを口走り、それでも本気のつもりなのかプロフェイ

ンはラスティアの左胸に食らいつき、強く吸い始めた。

「なにを考えて、あん、ああっ!そんなに吸っちゃ痛いよ!バカ、だめぇっ!」

 最近の夜と同じように、ラスティアは涙を散らしながら泣き叫んだ。相談に来たの

が間違いだったと今さらながら後悔した。これでは犯してくださいと自分から寝室に

忍んできたようなものではないか。

「ふふ、いい声!かわいいぜ、ラスティア…今夜も一緒にイこうね…!」

「やだ、離して!もういや!やめてえっ!!」

「とか言ってるけど、最近じゃあんあん鳴いてくれるし、この間なんかは焦らされ

て、早くして、なんて言ってたじゃんか!」

「そ、それは…」

 そうなのだ。彼女は耐え難い凌辱の他に、認めたくない快感とも戦わねばならない

身体にされてしまったのだ。忌み嫌っている男に絶頂に達する瞬間の顔を見せ、声も

聞かせてしまう…満たされた気持ちで疲れ果て、プロフェインに寄り添って眠ってし

まう…。プロフェインよりも、そんな自分自身のほうが嫌いになりはじめていた。

「どうしたの?ほぉら、乳首だってすぐにつんつんになっちゃうくせに。いつまでも

ムリしてるとストレスためるだけだよ?」

「んああぁうっ!!」

 クレルフェスが乳首を軽く噛むと、ラスティアは息を熱くしてあえいだ。

『…このままじゃいつものように犯されちゃう…。こうなったら相殺覚悟で…!』

 そう決心したラスティアは目をきつく閉じ、ありったけの気力と力を振り絞ってプ

ロフェインの首を絞め始めた。プロフェインは苦悶の表情で彼女の両手を引き離しに

かかる。

「な、なにを…気でも、狂ったか…?」

「狂ってるのはお互いさまよ!わたしの気持ちも考えないで、すぐにわたしの体を弄

ぼうとするなんて!もう限界よ!殺してあげるわ!!」

「ふうん…クレルフェスが知ったらどんな顔するかな?」

「はっ…」

 そうなのだ。話は二人だけで解決できることではないのだ。もし自分がプロフェイ

ンを殺したとして、クレルフェスにはどう説明すればいいのだろう。そしてこれから

先、どうやってハーゴンのもとへたどりつけばいいのだろう。

 三人でも苦労しているというのに、ましてや二人でなど…。

 そう考えているうちにラスティアの表情から殺意が失せ、どうにもできない絶望だ

けが残った。涙が溢れるのと同時にプロフェインの首から手がほどける。

「…ばーか。」

 戒めを解かれたプロフェインはつまらなそうにそうつぶやくと、全体重を右膝にた

くしてラスティアの下腹部を踏みつけた。鈍い音ともに膝がめりこむ。

「あっ、あああああっっ!!」

 引きつった悲鳴とともにラスティアはおなかを押さえ、目を見開いてベッドから転

がり落ちた。何かが破裂する感触。そしてたちまち拡がる激痛。

「あっ、ああっ!あああああ…っっ!!」

「もう頭にきた…おなかの子といっしょに殺してやる!お前が死ねばおなかの子も死

んでしまう。そのあとで教会にかつぎ込めば立派な中絶の完成だ!」

「ひ、ひどい…悪魔…」

「悪魔…そう呼ばれるのにも飽きてきたよ。」

 プロフェインもベッドから下りると、情け容赦なくラスティアの下腹部…ちょうど

子宮のあたりを激しく蹴りつけた。ラスティアはおなかをかばうようにしながら床の

上を悶え転がる。

「やめてっ!!やめてえええっ!!あかちゃんが、あかちゃんが死んじゃうよっ!

!」

 プロフェインは悪魔の微笑を浮かべたままで彼女につばを吐きかけた。

「自分の心配をしろってんだ。しっかし犬ッコロみたいだな。そういえばお前も以前

は犬だったんだよなぁ。」

 プロフェインはさらに激しく、今度は爪先で蹴り始める。ラスティアの瞳はすでに

うつろになっており、泣き声もとぎれとぎれのうめきに変わっていた。

 そして…とうとうパジャマのズボンが赤黒く汚れてきた。染みはじわじわと拡が

り、床をも汚してしまう。

「あ〜あ、やっちまった。ラスティア、生理が来たみたいだぜ?」

 プロフェインはベッドに飛び乗るようにして座り、ポケットボトルのバーボンをひ

とあおりして非道なジョークを飛ばした。

 ラスティアの身体がピクン、と動いたのはその後であった。うめき声ともなんとも

つかないような声が聞こえてくる。

「…天にいまして必然をつかさどりし流れの神リグファート、偶然をつかさどりし波

紋の神アグ・ザトラ・ヤー、地にいまして全ての存在を否定せし虚空の神アダゥ・

エー、今我が前に法衣の裾を…」

「やれやれ、とうとう狂っちまったか。ま、殺してから蘇生させればなんとでもなる

か。でもあの筋肉バカになんて言おうか…」

 うわごとのように何やら呟き出したラスティアを無視し、プロフェインはベッドに

引っ繰り返って目を閉じた。

「…のぞかせ、月との接吻を賭けた戦いの宴の支度を…」

「どうでもいいけどうるさいなぁ…」

 ラスティアはまだうわごとをやめない。プロフェインは眉根にしわをよせ、うざっ

たそうに彼女を見た。縮こまったままでうわごとを続けている。

「…我らに命じたもう…ああ、我らすでに支度整い…」

「とっとと殺しておこうか…ザラキでも使おうかな…」

「…後は風にも似た舞を演じるのみ、手拍子に合わせた合いの手を授けたもう…」

「…な…なんだ、これは…呪文!?なんだこの呪文は!?」

 プロフェインは微かに、しかし加速度的に勢いを増してくる魔法風を今更ながら感

じた。次の瞬間、室内を竜巻のような魔法風が吹き荒れ、ラスティアの向こうに何者

かが三人…それは物質界に呼び出された本物の神…が立っているのが見えた。

 プロフェインには想像できた。なにかとてつもない呪文の完成を。しかし気付くの

が遅すぎた。どうにかするにはもう時間はなかった。

「は、はやく殺さなきゃ…」

「…合いの手は…あなた方の姓名と同じく…パル、プン、テ…!!」

 慌てふためくプロフェインを前に、呪文は完成した。室内を閃光が満たす…。

 

「あう…」

 気付くとプロフェインはベッドの上で横たわっていた。上体を起こし、静まり返っ

た室内をきょときょとと見回す。ランプは灯ったまま。やたらと散らかっている他は

ラスティアが見当たらないだけで何も変わっていないようである。

『眠っていたのかな…』

 そう思ったとき、ノックもなくドアは開けられた。

「誰だ?」

「わたしよ、プロフェイン。クレルフェスもいっしょよ。」

 ドアを開けて入ってきたのは寝間着姿のラスティアとクレルフェスであった。ラス

ティアの瞳はランプの明かりを照り返して妙にキラキラとしていたが、クレルフェス

は寝ていた所を叩き起こされた、とはっきり顔に書いてあった。大きなあくびをした

りする。

「気分はどう、プロフェイン?」

 ラスティアは脅える様子など少しも見せず、つかつかとプロフェインの前に歩み

寄って可愛らしく微笑みかけた。

「ああ…寝てたみたいで頭がぼうっとしてる。それに、なんだか胸が苦しい。」

「そうでしょうね。そんなに大きな胸してればね。うらやましいなぁ!」

「ん…?」

 プロフェインはその言葉を聞いてなんとなくうつむき、下をみた。やけにパジャマ

の胸元が突き出ている。その出っ張りが胸から下の視界を妨げているのだ。彼は慌て

てパジャマの襟元を開けた。

「な…!?」

 プロフェインはひといきで目が覚めるほどの衝撃を受けた。パジャマの中にはそれ

だけの衝撃があったのだ。

 開けられた拍子に、左右違いにぽよん、と揺れた大きな乳房。

 自分の、決して厚くはない胸板が…すくなくともEカップほどの乳房に変わってい

たのだ。確かに胸が苦しいわけで、肩も重い。

 プロフェインは訳がわからないといった顔でラスティアを見た。疑問を口に出す余

裕すらないほど動転していた。

「下も確かめてみれば…?」

 言われるままにプロフェインは慌ててパジャマのズボンの中に右手を差し入れてみ

た。しかしそこにはやわらかく盛り上がった小高い丘と、やさしい手触りの性毛しか

なかった。震える手を割れ目にそって、さらに奥にやってみる。

 微かに湿り気を帯びた裂け目。デリケートな肉の縁には確かに小さなクリトリスが

あった。そしてそこから伝わる感じたこともないほどの刺激…。

 プロフェインはこれで全てを悟った。自分はいつのまにか性転換してしまっていた

のだ。

「なぜ、どうして!?」

 そう叫んだ口許を驚きのあまり押さえこむ。声まで変わっている。すっかり狼狽し

て震え出したプロフェインのあごを、ラスティアは指でつまんで持ち上げた。

「気紛れなパルプンテの神々に聞いてみれば?それよりさ、わたしも、ね、ほら…」

「…!!」

 プロフェインの目の前に頑丈そうにいきり立ったペニスが突き出される。先端が赤

紫色につやめくそのペニスは、確かにラスティアの性毛の奥から突き出ていた。

 ラスティアは右手で筒を作り、乾いた音をさせてその棒を擦りはじめた。

「ん…っ、すごい敏感…。男の子のってこんな感じなのね。どう?プロフェインのと

わたしの、どっちが大きい?」

「ラスティアの方がおおきい…」

 プロフェインは倒錯した様子で、うっすら涙を浮かべて答えた。ラスティアは満足

そうにうなづくと、プロフェインを荒々しくベッドに突き倒した。

「な、なにをするんだ!?」

「あなたがわたしにしたのと同じことをクレルフェスと一緒にしちゃうの。今晩は眠

らせないからね…!!」

 ラスティアは心の底から嬉しいらしく、彼女の瞳は久しぶりに輝いていた。プロ

フェインは納得いかないらしく歯ぎしりし、ラスティアに殴りかかったが、

「残念でした、今はわたしのほうが力は上なの、よ!」

「あぅっ!」

 ラスティアは急襲したプロフェインの右拳を軽く受け止め、微笑ひとつ、プロフェ

インを左手の甲ではたき倒した。プロフェインが小さな悲鳴とともにベッドに転がる

と、彼の大きな胸はたぽん、と音立てて踊った。

「さぁ、ハダカに剥いちゃうからねっ!」

「じ、冗談じゃないっ!クレルフェス、退け!」

 ラスティアがプロフェインのズボンに手をかけた瞬間、プロフェインは立ち上がっ

て逃げ出そうとした。しかしドアの前にボーッと佇んでいたクレルフェスが恐ろしい

ほど絶妙なタイミングで蹴りを放ち、プロフェインの身体を突き返した。寝ぼけ眼と

はいえクレルフェスは一流の剣士かつ格闘家なのだ。

「ぐあっ!!」

「おかえりなさい!」

 プロフェインはベッドの上で座っていたラスティアの前にビデオのリプレイのよう

な動きで戻ってきた。二人並んで体育座りをするような体勢で、ラスティアは背後か

ら手をのばし、プロフェインの立派な胸をこねくりはじめた。

「パルプンテの神々も芸が細かいわぁ。クレルフェスはね、わたしの言うことにはな

んでも従うようにされちゃってるのよ!いつものマジメなクレルフェスはもういない

の!さ、クレルフェス、この子のズボン脱がせてあげて!抵抗するようだったら…容

赦なくひっぱたいてあげて!」

「オッケー、わかった!」

「や、やめろ、クレルフェス!!」

 クレルフェスはニヤリとうなづいてベッドに上がり、プロフェインのズボンをする

すると下着ごと脱がせた。女性の下半身が露わになるとクレルフェスは顔を耳まで

真っ赤にして、思わず生唾を飲み込んでしまった。まっすぐに顔を近づけ、プロフェ

インの裂け目をまじまじと見つめる。

「や、や…やめろぉ…!」

 前後から陵辱されようとしているプロフェインは情けなさと無念さで涙をこぼし

た。振り向いてラスティアにどなりかかる。

「ラスティアっ!覚えてろよ!!後で必ずひどい目にあわせてやるからなぁっ!!」

「ひどい目?ひどい目にあうのはプロフェイン、あ・な・た・よ!」

「んあっ!!や、やめろ…本当にやめろぉ…」

「あらら〜?ひどい目のつもりが、結構気持ちよかったりするの?」

 ラスティアがプロフェインの乳首を強く摘むと、プロフェインは嫌がりながらも女

の子の鳴き声をあげてしまった。慌てて唇を噛み、声を出すまいとする。

「おっぱい冷えてるよ?あっためてあげるね。」

「んっ!んんー…!!ん、んんっ!!」

「声を聞かせてよぉ。あたしにいつも言ってたでしょ?ほらほらぁ…」

 ラスティアの手のひらでなおあまる大きさのプロフェインの胸は熱を失っていた。

手のひらサイズの水枕のようなものだ。ラスティアが手のひらをいっぱいに拡げて

ゆっくりゆっくり揉むと、くすぐったいのか、それとも痛いのかプロフェインは宙を

仰いで悶えた。下から持ち上げるとみっちり重い胸は手触りがよく、ラスティアは見

知った感触ながら心地よさに酔いしれた。親指と人差し指で乳首を転がしながらたぽ

たぽとこねる。

「あ〜!なんていい手触り!いいなぁ、プロフェインってば!えいえい、こうされる

と気持ちいいでしょ?なんせ元女の子がするんだもんね。弱そうなトコロ、ぜ〜んぶ

解ってるんだから!!」

「やめろ、もうやめてくれ…や、はぁっ!こら、もう乳首、やめ…!」

「おっきくって敏感だなんて…!えいえいっ!!」

「やめ、ああっ!いいっ!気持ちい…ん、む…!!」

 プロフェインは身体をクネクネとよじらせ、禁句を叫ぼうとした自分の口を右手で

塞いだ。これだけは聞かせるわけにいかない。攻める側だったプライドがそうさせる

のだ。

 ラスティアは固くしこりだした乳首をきゅっきゅっとひっぱりながら、ちゅっと首

筋にキスした。ゾクゾクゾクッと震えるプロフェイン。ラスティアは耳元に囁き込ん

だ。

「気持ちいいんでしょ…ね、ホントは気持ちいいんだよね?」

「んーっ!!んんーっ!!」

 唇を噛み締めたうえ、右手で押さえ込んだ奥でイヤイヤしながらうめくプロフェイ

ン。左手はラスティアの愛撫を止めようと動くがモタモタと行ったり来たりするだけ

だ。

 ラスティアは首筋から肩口にいくつもキスマークを残し、右手でわきをくすぐりは

じめた。プロフェインの挙動が不安になる。

「んあ、んあぁ…っ!!やめ…やめてくれ…!!」

「イッてもいいよ…プロフェイン…」

 そう告げて耳たぶをくわえた時であった。プロフェインは腰に激震を走らせ、強く

のけぞると…

「あ、あっ、あああああっっ!!」

びゅっ。ちゃぱ、ちゃあああ…

「うわわっ!?」

 我慢しきれなくなったプロフェインが艶めかしい女の子の鳴き声を漏らしたとき、

彼はあろうことかしおを噴き、失禁してしまったのだ。覗き込んでいたクレルフェス

は白っぽい粘液と熱い雫に顔面を直撃され、思わず驚きの声を漏らした。プロフェイ

ンはとうとうイカされたのだ。

「あ…あうう…」

 ガックリうなだれるプロフェイン。激しい快感に浸る。しかし今の絶頂はホンモノ

ではなく、男の子としての記憶がリミットをかけた一部だけの絶頂であった。一瞬気

絶するほど気持ちよくなったのだ。その身体の解放が膣を強く収縮させ…そして失禁

させるに至ったのだ。

「あ〜あ、おもらしまでしちゃって。どう?気持ちよかったよね?」

「…」

 ラスティアの問いかけに無言でうなづくプロフェイン。陶酔にトロンとした瞳から

は歓喜の涙が止まらない。ぴくん、ぴくん、と小刻みに腰が震えてしまっている。

「あらあら。すっかり女の子になっちゃったね。クレルフェス、プロフェインが気持

ちいいところ舐めてほしいって。念入りに舐めてあげて。」

「…や、やめてくれ、しなくていいよ、クレルフェス!!は、恥ずかしい…っ!!」

「いや、ぜひ舐めさせてほしい…。ここが…女の子の…」

「やだ、鼻息が…!やめろ、やめろよぉっ!!」

 プロフェインの雫にまみれたクレルフェスは秘部に顔を近づけ、そっと舌を伸ばし

た。恥ずかしくてならないのか、プロフェインは激しく抵抗するようにクレルフェス

の顔を何度も蹴りつけ始める。

 するとクレルフェスは上体を起こしてプロフェインの顔をつかんだ。ラスティアは

コクン、と了承の返事をよこす。

「ひっ…」

 一瞬のモーションでプロフェインの顔が激しく横を向かされた。彼は気絶しない程

度に殴られたのだ。口許から血を見せながら肩を震わせてすすり泣く。

「…ちきしょう、ちきしょうっ!!」

「嫌がるからそうなるのよ?別に好きなだけ抵抗してもいいけどね。わたしがされた

ようにしてあげるから!」

 そう耳元でささやいたラスティアは彼の耳に息を吹きこみ、赤くなった頬をペロペ

ロ舐めてからキスした。大きな胸は愛撫によってすっかり熱を持たされ、こねたての

桜餅のようになっている。

 クレルフェスは再び体勢を戻すと、微かに湯気と匂いを放つプロフェインの裂け目

にちゅっとキスし、ざらざらした舌を裂け目にそって下から上に舐めあげた。

「あああああっ!!気持ちい、気持ちいいっ!!」

「プロフェイン…こうされると気持ちいいのか?」

「うわぁ、プロフェイン、あなたほんとに可愛い反応するわねぇ!」

 乳房を弄びながらわきの下に舌をはわせたラスティアが言うと、プロフェインは目

をきゅっとつむってイヤイヤした。涙は先ほどから止まることを知らない。

 プロフェインという女の子の反応に満足してか、クレルフェスは内側から少しだけ

桃肉がはみ出かけた裂け目を何度も何度も繰り返して舐め上げた。

 そのうち待てなくなったクレルフェスは指を使い、ぷつぷつと毛の生えた外側の肉

を開いた。独特の匂いとともに真っ赤に充血した桃肉が露わになる。

 潤んだ桃肉の内側には穴がふたつ…。桃肉の端には瑞々しいまでに艶めくクリトリ

スが絶頂の余韻から立ち直るのか、く、くっと大きくなってくるのがわかった。

「これが…クリトリスってヤツなのか、ラスティア?」

「あれ?クレルフェスって…もしかしてまだしたことないの?」

「ああ…は、恥ずかしい話…。じゃこのちっちゃい穴が…その、お、おま…?」

「ううん、そっちじゃなくって、下の方。そこに…ね?あは、恥ずかしいな!」

「は、恥ずかしいのはボクの方だよっ!!いい加減にしてくれよぉっ!!」

 今までなかった部分とはいえ、目の前で観察されているのかと思うとどうにも恥ず

かしい。しかもひとつひとつパーツを確認しないでほしい。泣きベソを隠そうともせ

ず、プロフェインは身をよじって逃れようとしながらそう叫んだ。

「ここかぁ…ここに…ここにっ…!」

「やだ、やめっ!!く…クレルフェス、お願いだ、やめてくれよぉ!女の子は…刺激

が、つよすぎ…あああっ!クレルフェス、やめろっ!舌入れるなぁ、いた、痛いって

!!」

 クレルフェスは…普段は口にも出さないが憧れていた女性の入り口を目の当たりに

したことですっかり無我夢中になってしまったらしい。伸ばした舌を固くし、裂け目

ひとつない清純な膣口に差し入れたのだ。予想外の痛みに泣き叫んで身悶えするプロ

フェイン。

「痛いっていえば…ふふふ!ね、クレルフェス、いいこと教えてあげようか?クリト

リスってね、皮に包まれてるんだよ?」

「え?そうなのか?これって…あ、そういやぁなんか小さい裂け目が…」

「一気に剥いちゃってもいいのよ…?」

 ラスティアは以前プロフェインにされたコトを思いだし、クレルフェスに同じ事を

させようとした。自分はそれなりの裂け目があったからよかったが、もし必要なだけ

の裂け目がなかったとしたらどうなるのか…。

「ラスティア、お前…なんてことを言うんだよっ!こら、クレルフェス!だめ、剥い

たらダメなんだからなっ!ダメなんだから…きひぃっ!!痛い、痛い痛いっ!!む

り、ムリだってぇ…あ、あああっ!ちぎれるぅっ!!」

 プロフェインの声を無視したクレルフェスは、小さな突起に指をそえて強く剥き出

そうと力を込めた。クレルフェスの力で薄皮一枚破れないわけもなく、小さめの包皮

はピッと小さな音とともに裂けた。微かな血に混じってつんつんのクリトリスが露出

される。

「…いたい…いたいよぉ…!!」

「うわぁ、ホントに出てきた!すっげえなぁ!」

「敏感なんだよ?舐めてあげて!」

 クレルフェスの舌先がクリトリスに触れる。しかし快感はなく、灼けるような鋭い

痛みだけが伝わってくる。プロフェインは両脚をバタバタさせて痛がった。

「痛いっ!!痛いんだっ!!おいラスティア、やめさせて、お願いだ!!」

「そうね…じゃあわたしに…その、ふぇ、フェラチオしてくれたら…やめさせてもい

いけど?」

 泣き叫ぶプロフェインを楽しむようにあしらうラスティア。初めて口にするその言

葉は恥ずかしくてならなかったが、この性欲のカタマリのような肉の棒が慰められる

コトを思うと期待に胸がワクワクした。ペニスはもう思いきり慰めたくてウズウズ

で、根本まで逸り水が伝い落ちている。プロフェインの背中に押し当てて擦れるだけ

でビクンビクンと待ち焦がれているのだ。

「どうする?あなたの背中でビクビクしてるの…頬張ってくれるよね?」

「冗談じゃない!死んでもイヤ…いやあああっ!クレルフェス、痛い!死んじゃうっ

!」

「ほらほら、ずぅっとひりひりズキズキしていたいの!?」

「わかった!!なんでもするからやめさせてくれっ!!」

「クレルフェス、ストップ!皮に戻して、その上から慰めてあげて。じゃあ…しても

らおうかな?前に回るね。」

 ラスティアの言いつけにクレルフェスはうなづいて従い、クリトリスを皮に戻して

慎重な愛撫を再開した。

 背後でパジャマを脱いだラスティアは女の子の体つきのままで男性になったような

体型をしていた。以前の身体にそのままペニスが生えたような感じである。

 クレルフェスの前でプロフェインをまたぎ、右手で突き出すようにしてぬめったペ

ニスを眼前に差し出した。ランプの明かりに照らし出された先端はパンパンに張りつ

めてつやつやしている。くびれかたもすごい。血管なんかもハッキリわかる。

「なんかグロテスクだなぁ…。さ、約束よ…お口開けて…?」

「…いやだ!」

 プロフェインは目をそらし、そう吐き捨てて口許を閉ざした。耐え難い恥辱と否定

したい快感から少しでも気をそらそうと努力しているのだ。ラスティアなんかに主導

権を握られたくない。それに自分自身はマゾなんかじゃないのだ。

 そんなプライドによる抵抗を続けるプロフェインの頬にラスティアの固められた拳

が何度も何度も襲いかかった。容赦なく、力任せの殴打。自分だってこうされてきた

のだ。躊躇うつもりはない。

 三発目をくらった後で、プロフェインは軽い脳震盪を起こしかけた。意識が薄ら

ぎ、うなだれようとする。

「休んじゃだめっ!早く開けてっ!」

「うぁぐ…」

 ぐい、と鼻をつままれて顔を起こされると、プロフェインは観念して口を開けた。

震える唇の中にラスティアのペニスが入ってゆく。まさか自分が男性器を頬張ること

になろうとは夢にも思わなかったのだろう、嫌悪感で身震いし、はげしくあえぐ。

「あがぁーっ!!ごぁーっっ!!」

「いい?歯なんて立てたら本気でひどい目に合わすわよ?自分で言ってたように舌で

包み込むようにしてみて。」

「…っ!!」

 渋い逸り水が舌の上に拡がる。予想以上に口中を満たしたペニスにプロフェインは

精一杯舌を拡げ、つやつやの先端を包み込んで擦った。呼吸が苦しい。鼻で息はでき

るものの、口に溜まってゆく唾液と逸り水を嚥下するのがたまらなく辛い。

 ラスティアも初めて体験する異性の快楽に涙を浮かべて身震いした。腰を走るゾク

ゾクがたまらない。すっかり男性に馴染んでいるのか、無意識にプロフェインの頭を

押さえて腰を前後させる。

「あ…はああ…っ!!すごいっ!気持ちいいよぉっ!!あはは、男の子って大変だよ

ね、こんなにせつないモノ付けて生きていかないといけないなんて…。はふぅ、わ、

わたしならもう毎日オナニーしてるんじゃないかなぁ…?プロフェイン、あ、すごい

いいよっ!く、くちびるすぼめて、そ、そう、きゅって…あ、んっ!」

 夢中で独語し腰をグラインドさせるラスティア。一方でプロフェインは少しでも侵

入を許すまいと両手をつっぱね、彼女の腰を押し戻している。その腕が時折滑るよう

に離れるのはクレルフェスが必死に裂け目を舐め続けているからだ。

 クレルフェスはもうすっかり身を乗り出し、性毛と恥丘に鼻先を埋めて口元をベト

ベトにしながら溢れるラブジュースを味わっている。プロフェインの裂け目がさかん

にヒクつき、白っぽい雫を溢れさせているのは否応なしに感じているからに相違な

い。この状況に…性戯を強要されている状況に。

『マゾッ気!?破滅願望!?ボクに…そんな!』

 自分に問いかけ、この状況下で喜んでいる身体を分析し…プロフェインは愕然とし

た。こんな目に合わされて…喜んでいる!?

 そんなプロフェインをよそにラスティアはすっかり高ぶってしまったようで、女の

子の鳴き声を押し殺しもしないで腰を激しくグラインドさせていた。我慢もなにもな

い、駆け抜けるだけの動き…。

「舌って…ヒトの舌ってこんなに柔らかなものなのね…。たまんな、たまんないっ!

出る、出るぅ…あ、イクッ!!イクよぉっ!!ぷろ、ふぇいんっ!!」

『…口中に射精されるっ…!!』

 刹那でわきあがったのは嫌悪ではなく期待。プロフェインは突っぱねていた両手を

解放していた。ぐい、とラスティアのペニスは喉の奥深くを突く。

びゅびゅうっ!!びゅるるっ!びゅくっ、びゅ、ぷ…

「イッ…てるぅ…!!」

「…っ!!」

 初めての射精。その一瞬だけに凝縮されたエクスタシーにラスティアはあごをガク

ガクさせ、呆けたように口元から涎を垂らしてつぶやいた。腰の中身がとけて噴き出

したような感覚。強い脈動はかなりの間続き…プロフェインの口中を渋味でいっぱい

に満たした。

 そんなプロフェインは…いっこうに引き抜いてくれないペニスを頬張ったまま、歯

を立てないように細心の注意を払って少しずつ、

ごくん…ごくん…

と精液を嚥下した。舌に染み込み、喉にからまり、胃に流れ込んでゆく。

「プロフェイン…?」

 我に返ったラスティアは慌ててペニスを引き抜き、うつろな表情のプロフェインを

覗き込んだ。唇の端に白い液体がまとわりついている。元々中性的な美形だっただけ

に、猥褻さもひとしおだ。

「飲んでくれたの?わたしの…精子?」

「…サイテーだ…」

 プロフェインは気まずそうにそっぽを向き、そう吐き捨てた。立場が逆転して犯さ

れた事実に…そして信じたくないマゾッ気に吐き捨てたのだ。

「ふふ、かわいいよ、プロフェイン!さ、次はクレルフェス、あなたの番よ?」

「もうやめてくれよ…謝るから…」

「謝って済む問題じゃないでしょう?ほらほら、クレルフェスなんか待ちきれなくっ

てオナニーしちゃってるよ?」

 ラスティアがプロフェインの横にまわる。すると一生懸命プロフェインを愛撫して

いたはずのクレルフェスは、物欲しげな目でプロフェインの女性器を見つめながら必

死に自らのペニスをしごいているではないか。

「クレルフェス…なぁ、正気に戻ってくれよ…やめようよ…こんなの…」

「クレルフェスは正気よ。さ、クレルフェス、本番の前に一回出しとこうよ!この

りっぱなおっぱいを使って!」

「な…!?」

 驚きの声を上げたのはクレルフェスのみならずプロフェインもであった。抵抗する

気力を取り戻し、ラスティアの腕をつかんで抗議する。

「ちょっと待て!!そんなのいやだ!!おい、本気で怒るぞ!?」

「怒れば?わたしはそのぶんひどい目に合わせるだけだから。」

 ラスティアの瞳も口調も、プロフェインが毎晩見せたように冷たい、凍てつくよう

なものであった。容赦などするつもりもない頑とした口調である。

「ラスティア、いいのか?ぱ、ぱ…パイズリなんて作り話だとばかり…」

「これだけ見事ならできるよ!さ、プロフェインをまたいで。」

 またも言われるままにクレルフェスは進み出、プロフェインの上をまたいだ。鋼の

ような筋肉に包まれた身体。そしてそれに似つかしい巨大な男性器…。プロフェイン

は嫌悪よりも恐怖を瞳の色に混ぜた。

「やだ…クレルフェス…やめよ…?ボクなんだぞ?プロフェインなんだぞ?」

「プロフェインでもかまわないよ…オレ、もうガマンできないっ…!」

ちゅっ。

 そう言うとクレルフェスは夢中で唇を重ねた。彼にとってのファーストキス。たく

ましい両手で固定されたプロフェインの頭は少しも逃れることはできず、深く、熱く

くちづけを交わす以外できなかった。

 こればかりはプロフェインも嫌悪感を剥き出しにし、必死に両腕をふるってクレル

フェスの脇腹を殴りつけ、身体をよじって逃れようとした。しかし体付きが圧倒的に

違うのである。華奢な体付きになってしまったプロフェインの筋力は格段に落ちてい

るため、クレルフェスにとっては子供の腕押し程度にも効いていない。

 クレルフェスはファーストキスを持続したまま腰を下げ…猛り狂ったペニスはプロ

フェインのへそに密着した。さらさらな肌の上に逸り水をしたたらせ、そのまます

る、ぬる、と摩擦を始める。

「は…あぁ…キスってこんなのかぁ…ん…む…ぷぁ、ぷ、プロフェインの肌っ…ん…

ちゅ…すべすべで…気持ちいいっ…!」

「は、離れろぉ…んんっ…気色悪い…ぷあっ!あ、熱いよっ!腰を離せっ!!」

「クレルフェスぅ、夢中になるのはおっぱいで、ね?」

 横から眺めていたラスティアの声でクレルフェスは我に返り、キスをやめて上体を

起こした。どうせ出すならすごいほうで、という心情らしい。震える両手でプロフェ

インの胸をつかむ。形の良い乳房はクレルフェスの手のひらでちょうどの大きさで

あった。むにゅ、と包み込んでそっと感触を確かめる。

「すげぇ…ぽちゃぽちゃだぁ…。いいな、は、は、挟むぞ?」

「…くそぉ…好きにしろっ!!」

 悔し涙を浮かべたプロフェインは早口にまくしたてて横を向いた。自分もしたこと

のないパイズリを、まさか自分がされるなんて…。

 そう思っている間にもクレルフェスは自らのペニスを胸の谷間にあてがい、そっと

胸を寄せて包み込んだ。慎重にグラインドを開始する。

「ほ…うっはぁ、やわらか…あったかくて、…本でしか知らなかったけど、ま、まさ

か自分がするなんて…夢みたいだ…!すげぇ、すげえよプロフェイン!!」

 クレルフェスは乳房の心地よさに感動と賛辞を声にした。もちろんプロフェインに

とってはどうでもいい話だ。

 汗ばんだだけの谷間で動きにくかったものの、自らの逸り水がしたたるにつれヌル

ヌルと動きがよくなっていった。しかしそうなると今度は別の問題が生ずる。

 ペニスは強く反り返っているため、幾度か胸のトンネルを通り抜けるたびに胸を

割って上に抜け出てしまうのだ。

 そこでクレルフェスはプロフェインの身体を引き、彼の頭の向こうに胸板をつける

格好でどうにか納まった。両手で乳房を寄せながら、無我夢中でぬめるトンネルを往

復する。巨大な先端が真っ白な胸の膨らみから出たり入ったりするたびにぬめりは度

を増し、水っぽい音を大きくしていった。

「はあ…はあ…プロフェイン、プロフェイン…!」

「バカッ!ボクの名前なんか呼ぶな!!き、気持ち悪い…っ!!」

「イク…かける、かけるぞ…顔に、顔にっ!!」

「は、ば、バカッ!!やめろ!!そんなことしたら…」

 言い終えるいとまもあらばこそ。

ぷしゃっっ!!びちゃっ!べちゃっ、どぷ、どぷ…

「あああああっっ!!」

 抗議の声をあげようと顔を起こした瞬間であった。胸のトンネルを勢いよく駆け抜

けたペニスは膨張しきった先端からカタマリに近い精液を音立てて噴き出したのだ。

 柔らかな前髪を。サラサラな額を。怜悧さを漂わせる目を。整った鼻を。スベスベ

でニキビもない頬を。口紅の似合いそうな唇を…。おおよそ顔にあるパーツには残ら

ず熱々の精液がふりかけられた。勢いをなくした精液は首から胸元にこぼれて溜まっ

た。

「はあっ、はあっ、はあっ…すげ…」

「ひどい…なんでここまで…」

 イッた方もイかれた方も言葉は少なかった。生臭い液体がドロドロと流れ落ちる感

触に顔をしかめるとプロフェインは再びすすり泣きを始めた。

 クレルフェスが達した余韻から抜け出るのを見計らい、ラスティアは彼をどかせる

とプロフェインの顔をタオルで拭いてやった。

 ぐすぐすと鼻で泣いたりしているのを見るとけっこう可愛いモノがある。身長はそ

のままなわけだから征服欲なんかもくすぐられる。

「プロフェイン、あなた…ホントにかわいいわよ。」

「う、嬉しくなんかないよっ!と、とにかくもう終わりだよな?ここまでしたんなら

満足だろう?ドロドロに汚されたボクを見て、胸がすっとしただろう?」

 そう早口で問いかけるプロフェインに答えず、ラスティアは彼の両脚を大きく開い

た。右脚の上に腰を下ろし、左脚を肩に抱え上げる。

「まさか…す、するのかよ…?」

「当たり前でしょ?今までのは気持ちを高ぶらせるためのプロローグ。ね、この体

位、覚えてる?わたしの初めて…この体位で奪われたのよ?わたしにも男の子の感

じ、教えてほしいの。代わりに女の子の感じ、教えてあげるから…!」

 腰を近づけ、クレルフェスの愛撫でふやけそうなほど潤んだ裂け目にプチュ…と先

端をあてがう。それだけでプロフェインの入り口はきゅっきゅっと手招いて挿入を望

んだ。未経験であるにもかかわらず、肉体は悲しいくらい本能に忠実なようであっ

た。

「いや、いやだぁっ!ゴメン!ゴメンなさい!謝るよ!他のことなら何だってしてあ

げるから、お願い!犯さないで…どうか犯さないで!痛いのはもうイヤだあっ…!

!」

 絶体絶命を悟ったプロフェインは胸の前で両手を組んで許しを乞うた。散々いた

ぶってきたラスティアに屈服したのだ。最高の屈辱だったが、それを受け入れて余る

ほどに耐えられなかったのだ。これ以上の恥辱を。これ以上の苦痛を。これ以上の快

感を…。

 ラスティアは冷たい顔で溜息をひとつ吐くと、

「…ばーか。」

 挿入すらも容赦なかった。太く、長く、怖いくらいにくびれたペニスはぷちぶち、

と不気味な音をたてて狭い膣を突き進んだ。処女膜を突き破る、とはこれほど残虐な

ことをいうのではないだろうか。普通のロストヴァージンとは明らかに様子が異なっ

た。

「ひぃあああっ!!はあっ!!痛い、いたいぃっ!!」

「うわ…っ!!ホントだぁ、いつもあなたが言ってたように…すっごくきつい…あ

あっ、何回も何回も出したいよぉっ!う、動くねっ?」

「動かないでっ!抜いて!死んじゃうよっ!誰か、誰か来て、たすけてぇっ!う、う

わああああっっ!!」

 ラスティアは絶叫のような悲鳴をまるきり無視し、じゅぽっ、ずぼっと欲望に駆ら

れるまま乱暴に腰をグラインドさせた。ペニスが気持ちよくてならない。飽きるまで

射精したい。それくらいにセックスは…繋がることは魅惑的な行為であった。

 一方でプロフェインは破瓜の痛み、押し広げられる痛みに全身を緊張させ、シーツ

を血が滲むくらい強く握りしめていた。緊張がさらなる痛みを重ねるだけなのだが、

そこまで思い至るほどの余裕などなかった。

 プロフェインが痛みに備えれば備えるだけ膣内は緊張で強張り、ラスティアにはそ

れがより強い快感になるのである。

「プロフェイン、動けば動くほど締まっていくよ?ね、ね、どうしてなの?ホントは

気持ちいいの?」

「違うっ!痛くてなんないんだっ!中身、バラバラになりそう…もう許して、います

ぐ死にたいっ!!」

「そんなこと言わないで、もっともっと気持ちよくなってくるんだから。じゃあゆっ

くりするね?ほぉら…んっ、奥かなここ?ぜぇんぶ納まってるよ?」

「そ、そう…しばらく動かないでくれ…くっ、あ、動くなって!や、やめっ!奥、す

ごい、すごい…か、感じるっ!!」

 押し込めるだけ押し込んだラスティアは意地悪く行き止まり…子宮口をこつんこつ

んとノックしてみた。そのたびプロフェインの身体は不規則に電気が走るように跳ね

る。激痛の最中にも快感は押し寄せているのだ。嫌がる声はどんどん淫らな鳴き声に

変わっていった。つかんでいたシーツを引きちぎってしまうほどによがった。

「どう!?気持ちいいの?声に出していってみて!ほらほら!」

「あ、おくっ!奥気持ちいいっ!!おく、おくもっと…違、いや、いやだぁっ!」

 声に出して感じたい衝動と、快感を認めたくないプライドに板挟みにされ、プロ

フェインは軽い錯乱をきたした。ラスティアは執拗に奥の奥を突き攻めていたが、ふ

いにゆっくりと時間をかけてペニスを引き抜いてしまった。粘液にまみれてペチン、

とへそを打ったペニスは湯気がたちそうなくらいに熱そうである。

 プロフェインの入り口も同様であった。興奮に火照った入り口は大きく拡げられ、

破瓜の血とラブジュースが混じった淡いピンクの粘液にまみれており、ヒクンとうご

めくたびに生臭い湯気がたちそうであった。

 ラスティアは額の汗を腕で拭うと身体を離し、傍らで成り行きを見守っていたクレ

ルフェスに声をかけた。

「クレルフェス、あなたもしてみる?」

「い、いいのか?オ、オレ…さっきも言ったけど、したことないから…」

「大丈夫だよ!ほら、ぜんぜん小さくなってないじゃない!教えてあげるから!きっ

と想像してる以上に気持ちいいよ!」

 そう言って先ほどの位置に彼をつかせた。荒い呼吸を繰り返しているプロフェイン

の両脚を抱えて腰を曲げさせ、いわゆるM字開脚の体勢にさせる。彼の腰の下に枕を

置く、せめてもの情けを付け加えたりもした。ラスティアはニコニコ顔でクレルフェ

スの横から丁寧にレクチャーする。

「そうそう、そのまま鉛直に押し込めばいいの。さきっぽ埋まってるから、後は腰を

落とせばずぶずぶーって入ってくわよ!」

「も、もうやめてくれよっ!クレルフェスみたいな大きいの入れたら、ボク、ホント

に死んじゃうっ!な、頼むからやめてくれっ!これからは夕食のオーダーにムリな注

文したりしないから!ミンクのコートが暑いなんてゼイタクも言わない!不思議な帽

子が自分も欲しいなんてワガママも言わないっ!だからやめてっ!入れないでえっ!

!」

 プロフェインは涙で顔中くしゃくしゃにしながら訳の分からないコトをまくしたて

て哀願した。しかしラスティアは口許に人差し指をあて、しぃーっと言ったにすぎな

かった。

「悪い…オレ、セックスしたい…!もう待てないんだっ!」

「いやだぁ…今度こそ破れる…!」

 ずぐっ、と鈍い音を残し、さらに膣口を押し広げて挿入が再開された。ラスティア

のよりもはるかに太いペニスが引力のヘルプも借りてズブズブ埋没してゆく…。

「うわ、わ、わああっ!すげえ…脳ミソ溶けそう…!もう手なんかでしたくないくら

い…気持ちいいっ!!」

「あぎぃいいいっ!!」

 想像を絶した心地よさにクレルフェスは野蛮なペースで腰をグラインドさせた。そ

のぶんプロフェインの痛みも想像を絶し、彼は絶叫すると泡を吹いて失神してしまっ

た。

「やれやれ。どう、クレルフェス?気持ちいい?」

「ああ、ホントすごいや…オレの、中で搾られてる…!」

「じゃあさ、プロフェインの体を抱え上げてまたがらせるように、自分はあおむけに

なってみて。」

「ん?こう、か?」

 クレルフェスは繋がったまま力技でプロフェインを抱き上げると、ラスティアの指

示通りに正常位から騎乗位に切り替えることができた。失神したままのプロフェイン

はクレルフェスの胸にクッタリと身体を預けている格好になる。

 ラスティアが鉄製のポケットボトルでプロフェインの頬をぺちぺち叩くと、彼はう

めきながら目を覚ました。涙でベトベトの頬にキスすると彼の耳元に小さくささや

く。

「プロフェイン、おしりの穴も塞ぐね。クレルフェス、プロフェイン動かないように

抱きしめて!」

「ちょ、ちょっと待ってくれよ!?そんな、二人いっぺんになんて絶対だめだぁっ!

!腰がメチャクチャになっちゃうよっ!こら、ラスティア!あっ、あてがうな!!だ

め、絶対だめだぞ!おしりなんて入りっこない!ボクそこまでしてないぞっ!おいク

レルフェス、放せ!放せったら!!」

 ラスティアは背後に回り、すでに溢れこぼれていたラブジュースでベトベトの小さ

なすぼまりにたぎったペニスをあてがった。

「やめろラスティア!!もし入れたらこれっきりパーティーは解散だからな!?」

 倒錯して早口でわめくプロフェインに、ラスティアは今度は最高に優しい微笑みを

見せた。瞳の端に寂しげな涙が光る。

「そうだね…もうこのまま解散しちゃおう。平和なんてどうでもいいよね、ずうっと

三人でこのまま…。ね、もっともっと早く、わたし達こうなれてたらよかったのに

ね。」

 プロフェインの肛門を二本の親指が強く拡げる。ペニスに加わる力が強まった。緊

張すればするほど、すぼまりは縮まろうとして先端を引き込む。

「本気かよ…ラスティアぁ…入れないで…おかしくなっちゃう…」

 言いつつプロフェインの潤んだ瞳はあきらめていた。心の底から、どうせなら本当

のメチャクチャにされたい、と願う気持ちが浮かんでくる。二本もペニスを突き立て

られ、気絶するまで犯し抜いてもらいたい…。

 そして、天罰はくだった。

「あああああ…っ!!」

 ラスティアのペニスがヌル、と中程まで挿入されると、プロフェインは目を見開

き、涎を垂らして鳴いた。腰が激しく震える。気が狂いそうだった。

「い、痛いくらいに締め付けるっ!プロフェイン、根元まで入れちゃうねっ!」

「オレも続き…動くぞ、プロフェイン…」

「や、あ、ひっ、ひいいいっっ!!」

 プロフェインは体内でピストン運動を開始した二本のペニスに身体じゅうで悶え

た。ベッドが弾みで少しずつずれ動くほど激しく、ラスティアとクレルフェスはプロ

フェインの膣の…腸の具合を確かめた。

 汗と涙と唾液と、そして精液にまみれたプロフェインの立派な胸がたぽんったぽ

んっと音をたてて揺れる。クレルフェスの胸板にしっかと爪をたてながらプロフェイ

ンはすっかり快感に浸っていた。膣の奥からもおしりの中からも…信じられないくら

い強烈な快感が脊髄を通して脳を撃ち抜いてくる。

「あ、あっ、あああっっ!!き、きもちい…気持ちいいよぉっ!!クレルフェスぅ、

ら、ラスティアぁ…腰が、腰が熔ける…!!おかしくなるようっ!!」

「プロフェイン…おしりの穴、すっごいよ!となりでクレルフェスがゴツゴツしてる

の、わかるんだよ!」

「オレもラスティアが動いてるの、わかる…!ああ…マジでヤバい、オレ、もうず

うっとこうしていたい…!!」

「うん、そう、そうだよ、もっと、もっとずっと…こうして…!あ、来る…ね、ラス

ティア、なんか来るよ…?あ、やだ、なに?怖い!し、死ぬかもしんない!す、すご

いの来そう!!怖いよ、ボク、どうにかなっちゃう!絶対狂っちゃう!!」

 プロフェインは二本差しの状況に悶え狂いながら、破瓜の痛みの奥から怒濤の勢い

で迫ってきた巨大な快感に恐怖を覚え始めた。怯えてクレルフェスにすがりつきなが

らも、自ら積極的に腰を動かしたりする。二人の間で大きな胸はむにゅっとカタチを

変えた。

「怖い、怖い、怖いよぉ…あたま、破裂しそうなくらい膨らんじゃう…こし、腰も

う、熔けてるよう…イク、あ、イキそっ!やだ、怖いよ、もうやめて、怖いいっ!

!」

 歓喜の涙をぽろぽろ流しながら快感にむせびなくプロフェイン。女の子の絶頂がも

うそこまで来ているらしく、クリトリスは小さく萎縮してしまっている。膣も肛門も

それに呼応してぴくん、ぴくん、と締め付けを増してゆく。今のプロフェインは無意

識に腰だけを動かし、あとはひたすらまだ見ぬ絶頂を怯えているのみだ。

 そしてラスティアとプロフェインにも、それぞれ来るべき瞬間が訪れようとしてい

た。

「きゃっ!?ぷ、プロフェインっ!ゴメン、わたしもうだめっ!急に来ちゃった…!

ガマンできないよぉ…だ、出すね、このまま出すね!?」

「うあ…オレももう限界…!出すぞ…大丈夫だよな、今日、中に出しても…!?」

 二人の言葉通りで限界はもう越えかけている。二人のペニスは今にも破裂しそうな

ほどガチガチに強張り、儚げな入り口を最高に拡げている。

「待って、だめ…もうやめて…中出しは堪忍して…。ラスティア、本当に、真剣に謝

るから許してよぉ…子供のことも悪かった!ボクどうかしてたんだ!ね、反省するか

ら、懺悔するから…ね、もうやめて、でないとボク、ボク…あ、く、来るっ!ホント

に来る!!だめえっ!いますぐやめてっ!でないと、あ、やっ!怖いっ!!こわいい

いいっ!!イク、あ、ホント、ホントに…イクぅ…!!」

 涙と汗にまみれながら哀願していたプロフェインであったが、一瞬クレルフェスに

強くしがみつき、最後の大激震を腰に走らせ…

「ひ…あ…あぁ…」

 張りつめた糸がゆっくり緩められるように…ぐったりとうなだれて意識を失ってし

まった。彼は女の子のエクスタシーに飲み込まれてしまったのだ。男では想像を絶す

るイキッぱなしの状態。身体が急激に熱くなる…。

 そして膣内は盛大にしおを噴こうとありったけの力で収縮を開始した。肛門も連動

した筋肉によって強くすぼまる。二人ぶんの精を逃すまいと動いているようであっ

た。

「あ、お、おしりに、で、出ちゃうううっっ…!!」

「うわ、吸い込まれて…だ、だめだぁっ!!イクッ!!」

 びゅううっっ!!びゅびゅうっ!びゅるっ、どくん、どく…

 プロフェインの二つの穴の奥に二人分の精液が勢いよく注ぎこまれる。エクスタ

シーはほぼ同時に、そして怖いくらいに大量の精液を噴出させた。

 膣を、腸をいっぱいに満たしてゆくほど果てなく脈動が続く…。ガマンにガマンを

重ねたうえ、最高に具合がよかったのと…三人の高ぶりかたが半端でなかったことが

原因だ。

「お、おしりの中が熱いよぉ…おちんちん、熔けちゃうよぉ…!!」

「おまんこの中で…オレ達、混ざっちまう…」

 二人はイッたままのプロフェインに繋がったまま、随喜の涙を浮かべて余韻に浸っ

た。やがて脱力すると、それぞれプロフェインから抜け出て折り重なり…まどろむ。

 二人分の体液がこぽこぽと溢れ出ていることにも気付かず、プロフェインもまた満

たされた笑みを浮かべてまどろみに落ちていった…。

 

 ラスティアはふと目を覚ました。ランプの油はいつの間にか切れており、室内はま

だ静かに朝を待っていた。

『まだ夜か…ふふ、クレルフェスとプロフェイン、抱き合って眠ってる。ん…あれは

?』

 ラスティアは部屋の隅にぼうっと輝く物体を認め、立ち上がった。

「あ、体、もとに戻ってる…」

 立ち上がった拍子に股間の違和感が無くなっていることに気付いた。ラスティアの

体はもとの女の子に戻っていたのだ。プロフェインを犯し抜いたペニスは跡形もなく

消え去っていた。

 ふいに部屋の隅の燐光は美しい女性の姿をかたどり、ラスティアに話しかけてき

た。直接意識の中に声が響く。

『ラスティア、聞こえますか?』

『あなたは…ルビスのほこらで…まさかルビス様…?』

『そうです、勇者ロトの子孫ラスティアよ。あなたの無意識下のパルプンテがなかな

かおもしろい効果を発揮したようですね』

『あ、や、そんな…』

 ラスティアは頬を紅くした。記憶はハッキリと残っている。今にして思えば何とい

う狂態を繰り広げたのであろう。あんなに淫乱な性格だったなんて…。

『ところでラスティア、この玉は何だと思いますか?』

 ルビスが差し出したものは美しく輝くオーブのような物体であった。

『これはあなたとプロフェインが作りあげた生命の結晶です。作られ方はどうあれ…

生命とは美しいものでしょう?』

『はい…まばゆくて、見てるだけで活力が湧いてきそうな…』

『そうでしょう。そこでひとつ提案なのですが、この生命を私に預けてください。今

のあなた達には必要ではないでしょう?この生命は、いつか生まれくる事が望まれる

勇者のために…そうですね、マスタードラゴンにでも与えておきましょうか。彼なら

きっとうまく役立ててくれるでしょう。託していただけますか?』

『はぁ…ルビス様にお預けします。よろしくお役立てください…。』

 そうは言ったものの、ラスティアには話のスケ−ルが大きすぎてピンとこなかっ

た。

『それでは、確かに預かりました。さて…あなたのおなかはひどいありさまですね。

私が癒してあげましょう…。とにかく、今回の件でプロフェインも懲りたでしょう

ね。生命は人間が…いえ、いかなる存在であろうともぞんざいに扱っていいような代

物ではないのです。では、そろそろおいとましましょう。私はいつでもあなた達を見

守っています。祈る気持ちを忘れずに…』

 そう告げるとルビスは再び燐光だけの姿に戻り、フッとかき消えた。

「ルビス…様…」

 ラスティアはそうつぶやき、そうっとおなかをさすってみたのであった…。

 

「二人とも朝だよ!起きて起きて!今日は山を登るんでしょ!?」

 すでに身仕度を整えたラスティアは心地のよい声とともに寝室のドアを開けた。

「ん…どぁっ、プロフェイン!お前、なんで裸でオレの上に寝てんだよ!?」

「んぁ…な、お前こそボクの部屋でなに裸になってんだよ!?」

『あら、二人とも覚えてないのか。つまんないの。』

 ラスティアは不満そうに室内に入り、状況を驚き合う男どもにどなりつけた。

「早く早く!もう九時まで時間ないよ!」

「うわあっ、ら、ラスティア!!ごめん!許してくれ!!今まで悪かった!もう絶対

ひどい事はしないっ!!だからもう勘弁してくれっ!!」

「ほぇ?」

「なんのことだ、プロフェイン?」

 プロフェインの怖いものでも見てしまったかのような脅えかたに、ラスティアもク

レルフェスも首を傾げた。

「と、とにかく!着替えるからお前達出てってくれ!!」

 顔を真っ赤にしたプロフェインに二人は廊下に追い出された。ドアが閉められた後

で顔を見合わす。

「どうしたんだろ、アイツ…」

「さぁね…やだ、く、クレルフェス!!あ、あなたも早く着替えてよ!!」

「おっと、ワリィ!汚ぇモノ見せちまったな!」

 そう言ってクレルフェスは自室に駆け戻って行った。

 ラスティアはそれを見送り、クスクスと思わず噴き出して笑った。そして廊下の窓

から空を見上げ、思わず独語してしまう。空は青く、雲が白く映える晴天。

「はぁ…パルプンテ、かぁ…。早く自在に使えるようになりたいなぁ…なんてね!」

 

 彼らがハ−ゴンを討ち、世界に平和を取り戻したのはそれから二週間後の事であっ

た。

 

おわり。